【実施例】
【0011】
(構成)
まず、
図1を用いて本発明のルアー1の全体構成を説明する。本発明のルアー1は、
図1に示すように、合成樹脂製の本体部10と、本体部10に埋設されて鉛等の金属製のウエイト部20と、を備えている。
【0012】
本体部10は、合成樹脂によって形成されているものであり、ラインに連繋されるライン連繋部11と、フックに連繋されるフック連繋部12と、を有している。より詳細にいうと、
図4に示すように、本体部10の内部には、ステンレス製などのワイヤ13が前後方向に貫通されており、ワイヤ13の前端がC字状(乃至O字状)に曲げられてライン連携部11とされ、ワイヤ13の後端がC字状(乃至O字状)に曲げられてフック連携部12とされる。後述するように、このワイヤ13は、ウエイト部20を貫通している。
【0013】
本体部10の素材は、比重が小さくて強い合成樹脂を使用することで、本体部10の強度保持、水流抵抗調整、軽量化の3つを同時に実現させている。このような構成によって、ルアー1が回転しにくく、かつ、不規則な左右スライドアクションや前後スライドフォールを自由に調整できる。すなわち、本体部10の素材としては、熱可塑性の剛性樹脂を用いることで、熱を加えることによって手で簡単に曲げることが可能となっている。
【0014】
そして、本体部10の断面形状は、
図6(a)〜(e)の断面図に示すように、下部10bが湾曲した山型に形成されるとともに上部10aが平坦な平面型に形成されて、全体としては楕円形状に近い形状となっている。換言すると、使用状態における、上部10aの曲率は小さく、下部10bの曲率は大きくなっている。
【0015】
さらに、本体部10(及びウエイト部20)は、
図2に示すように、前端から後端に向かって上方向に凸形状に曲げられることが好ましい。このように本体部10が曲げられることによって、水中の泳動姿勢における水の抵抗が増加するため、いっそう不規則なアクションが増長されるようになっている。なお、上述したように、曲がり具合(曲率)は、加熱することによって調整可能となっている。したがって、本体部10(及びウエイト部20)は前端から後端に向かって直線形状に形成することもできる。
【0016】
ウエイト部20は、比重の大きい素材、例えば鉛等の金属によって形成されているものであり、
図4に示すように、上面視でS字状に左右に屈曲して形成されている。すなわち、
図4に示すように、本体部10の内部において、棒状のウエイト部20は、ライン連繋部11の後方に先端があり、前端から後端に向かって、まず右側に曲がり、次に左側に曲がって中央を超え、最後に右側に曲がってフック連繋部12の前方まで延びている。なお、ウエイト部20は、
図5に示すように、上面視で逆S字状に左右に屈曲して形成されることも好ましい。
【0017】
加えて、ウエイト部20は、前端寄りの位置にヘッドウエイト部21を一体に有するとともに、後端寄りの位置にテールウエイト部22を一体に有している。換言すると、ウエイト部20の前端及び後端は、それぞれ拡大されている。さらに、ウエイト部20は、曲がりやすい素材によって形成されているため、手で簡単に曲げることが可能となっている。
【0018】
また、ウエイト部20の断面形状は、
図6(a)、(e)に示すように、前端部近傍及び後端部近傍では、本体部10と相似形となっている。すなわち、ウエイト部20の下部は湾曲した山型に形成されるとともに上部は平坦な平面型に形成されて、全体として楕円形状に近い形状となっている。
【0019】
さらに、ウエイト部20の断面形状は、
図6(b)、(d)に示すように、S字の斜辺においては、楕円の中央側に向いた面が削ぎ落とされた形状となっている。したがって、ウエイト部20の断面形状は、
図6(c)に示すように、S字の斜辺の中央近傍においては、楕円の両側面が削ぎ落とされて略四角形状となっている。
【0020】
(作用)
次に、本実施例のルアー1の作用について説明する。ここでは、実際にボートからラインを介してルアー1を水中で泳動させて前方からカメラで撮影し(
図7(a)参照)、撮影された動画を解析してルアー1の位置を
図7(b)、(c)のグラフ上にプロットした移動軌跡について説明する。撮影では、ルアー1にアクションをつけず、トローリングによってボートを移動させながらルアー1を撮影した。
【0021】
まず、従来のルアー(ここではペンシル型のミノーを採用した)では、
図7(b)に示すように、水中での移動軌跡は、規則的な左右の移動が中心であり、上下の移動も少なく、不規則な動きは見られない。
【0022】
これに対して、本発明のルアー1では、
図7(c)に示すように、水中の移動軌跡は、規則的な左右の小円弧状の移動軌跡に加えて、不規則的な大円弧状の移動軌跡が頻繁に見られる。さらに、ルアー1が上向きや下向きや横向きになるため、円弧の方向についても一定せず、不規則な方向に移動していることがわかる。
【0023】
(効果)
次に、本実施例のルアー1の奏する効果を列挙して説明する。
【0024】
(1)上述してきたように、本実施例のルアー1は、ラインに連繋されるライン連繋部11と、フックに連繋されるフック連繋部12と、を有する本体部10であって、合成樹脂によって形成される本体部10と、本体部10に埋設されるウエイト部20であって、上面視でS字状又は逆S字状に左右に屈曲して形成されたウエイト部20と、を備えている。このような構成によれば、
図7に示すように、アクションを加えなくても、自動的に不規則な動きをするルアー1となる。
【0025】
(2)また、本体部10は、下部10bが湾曲した山型に形成されるとともに上部10aが平坦な平面型に形成されているため、泳ぐ姿勢(上下方向)を安定させて、主として左右方向に不規則な動き(アクション)をさせることができる。
【0026】
(3)さらに、本体部10及びウエイト部20は、前端から後端に向かって上方向又は下方向に凸形状に曲げられて形成されるため、ルアー1が水の抵抗を増して不規則な動きを拡大することができる。
【0027】
(4)また、本体部10及びウエイト部20は、前端から後端に向かって直線形状に形成されることで、不規則なアクションをさせつつ、移動範囲を狭くすることができる。
【0028】
(5)さらに、本体部10及びウエイト部20は、熱を加えることによって手で上方向又は下方向に凸形状に曲げられることが可能となっていることで、水圧・流速に合わせて現場で調整できる。
【0029】
(6)また、ウエイト部20は、前端寄りの位置にヘッドウエイト部21を一体に有しているため、前端の浮き上がりを抑えて、ルアー1が水面から飛び出ないようにすることができる。
【0030】
(7)さらに、ウエイト部20は、後端寄りの位置にテールウエイト部22を一体に有しているため、キャスト時の飛行姿勢を安定させて飛距離をかせぐことができる。
【0031】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0032】
例えば、実施例ではウエイト部20は、S字状に連続しているとして説明したが、これに限定されるものではなく、すべて連続している必要はなく、途中で途切れていてもよいし、複数に分割されていてもよい。ただし、形状の安定化のためには、ウエイト部20は一体に連結されていることが好ましい。