特開2019-11(P2019-11A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-11(P2019-11A)
(43)【公開日】2019年1月10日
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20181207BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20181207BHJP
【FI】
   A01K85/16
   A01K85/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-115896(P2017-115896)
(22)【出願日】2017年6月13日
(11)【特許番号】特許第6241979号(P6241979)
(45)【特許公報発行日】2017年12月6日
(71)【出願人】
【識別番号】517208159
【氏名又は名称】菅井 健樹
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】菅井 健樹
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アクションを加えなくても、自動的に不規則な動きをするルアーを提供する。
【解決手段】ルアー1は、ラインに連繋されるライン連繋部11と、フックに連繋されるフック連繋部12と、を有する本体部10であって、合成樹脂によって形成される本体部10と、本体部10に埋設されるウエイト部20であって、上面視でS字状又は逆S字状に左右に屈曲して形成されたウエイト部20と、を備えている。そして、このような構成によれば、アクションを加えなくても、自動的に不規則な動きをするルアー1となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインに連繋されるライン連繋部と、フックに連繋されるフック連繋部と、を有する本体部であって、合成樹脂によって形成される本体部と、
前記本体部に埋設されるウエイト部であって、上面視でS字状又は逆S字状に左右に屈曲して形成されたウエイト部と、を備えるルアー。
【請求項2】
前記本体部は、下部が湾曲した山型に形成されるとともに上部が平坦な平面型に形成されている、請求項1に記載されたルアー。
【請求項3】
前記本体部及びウエイト部は、前端から後端に向かって上方向又は下方向に凸形状に曲げられて形成される、請求項2に記載されたルアー。
【請求項4】
前記本体部及びウエイト部は、前端から後端に向かって直線形状に形成される、請求項2に記載されたルアー。
【請求項5】
前記本体部及び前記ウエイト部は、熱を加えることによって手で上方向又は下方向に凸形状に曲げられることが可能となっている、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載されたルアー。
【請求項6】
前記ウエイト部は、前端寄りの位置にヘッドウエイト部を一体に有している、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載されたルアー。
【請求項7】
前記ウエイト部は、後端寄りの位置にテールウエイト部を一体に有している、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載されたルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに使用されるルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、釣りに使用されるルアーでは、キャスティングしたときに飛距離を稼ぐこと、また、所定の深度まで潜水させること、などを目的として、ルアーの本体内部にウエイト(錘)が配置されているものがある。このようなルアーでは、本体の頭と尾が水中で左右に均等に振動しやすいように、本体の左右方向の中央近傍にウエイト(錘)が配置されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ルアー本体内部の前後方向にシャフトを配設し、シャフトに沿って移動するウエイトを内蔵してなるルアーにおいて、ウエイトが移動する範囲のうち、任意の位置においてウエイトの表面に当接する当接部をルアー本体内部に設けたルアーが開示されている。このような構成によって、特許文献1では、ウエイトの移動および停止の状態においてルアー本体との衝撃による衝突音の発生を解消するとともに、安価な材料により重心移動可能なルアーとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−253205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来のルアーでは、ウエイトが左右方向については均等に配置されているため、ロッド等でアクションを加えない限り、ルアーが不規則な動きをすることはなかった。
【0006】
そこで、本発明は、アクションを加えなくても、自動的に不規則な動きをするルアーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のルアーは、ラインに連繋されるライン連繋部と、フックに連繋されるフック連繋部と、を有する本体部であって、合成樹脂によって形成される本体部と、前記本体部に埋設されるウエイト部であって、上面視でS字状又は逆S字状に左右に屈曲して形成されたウエイト部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明のルアーは、ラインに連繋されるライン連繋部と、フックに連繋されるフック連繋部と、を有する本体部であって、合成樹脂によって形成される本体部と、本体部に埋設されるウエイト部であって、上面視でS字状又は逆S字状に左右に屈曲して形成されたウエイト部と、を備えている。このような構成によって、アクションを加えなくても、自動的に不規則な動きをするルアーとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例のルアーの平面図である。
図2】実施例の湾曲型のルアーの側面図である。
図3】別形態のストレート型のルアーの側面図である。
図4図2のF−F断面図である。
図5】変形例のウエイト部の形状について説明する断面図である。
図6】ルアーの断面図である。(a)は図4のA−A断面、(b)は図4のB−B断面、(c)は図4のC−C断面、(d)は図4のD−D断面、(e)は図4のE−E断面である。
図7】実施例のルアーの動きを説明する説明図である。(a)は撮影手法について説明した説明図であり、(b)は従来のルアーの移動軌跡であり、(c)は本発明のルアーの移動軌跡である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下に説明するルアーは、例えば、全長20(mm)〜260(mm)で、重量5(g)〜280(g)であることを想定している。この場合、ウエイト部は、全長10(mm)〜260(mm)で、重量3(g)〜250(g)となる。しかしながら、本発明のルアーの全長や重量は、これらの範囲に限定されるものではなく、より小さいものや大きいものであっても本発明を適用できる。本発明のルアーは、「スライドミノーペンシル」という、新ジャンルのルアーのカテゴリーをなすものである。
【実施例】
【0011】
(構成)
まず、図1を用いて本発明のルアー1の全体構成を説明する。本発明のルアー1は、図1に示すように、合成樹脂製の本体部10と、本体部10に埋設されて鉛等の金属製のウエイト部20と、を備えている。
【0012】
本体部10は、合成樹脂によって形成されているものであり、ラインに連繋されるライン連繋部11と、フックに連繋されるフック連繋部12と、を有している。より詳細にいうと、図4に示すように、本体部10の内部には、ステンレス製などのワイヤ13が前後方向に貫通されており、ワイヤ13の前端がC字状(乃至O字状)に曲げられてライン連携部11とされ、ワイヤ13の後端がC字状(乃至O字状)に曲げられてフック連携部12とされる。後述するように、このワイヤ13は、ウエイト部20を貫通している。
【0013】
本体部10の素材は、比重が小さくて強い合成樹脂を使用することで、本体部10の強度保持、水流抵抗調整、軽量化の3つを同時に実現させている。このような構成によって、ルアー1が回転しにくく、かつ、不規則な左右スライドアクションや前後スライドフォールを自由に調整できる。すなわち、本体部10の素材としては、熱可塑性の剛性樹脂を用いることで、熱を加えることによって手で簡単に曲げることが可能となっている。
【0014】
そして、本体部10の断面形状は、図6(a)〜(e)の断面図に示すように、下部10bが湾曲した山型に形成されるとともに上部10aが平坦な平面型に形成されて、全体としては楕円形状に近い形状となっている。換言すると、使用状態における、上部10aの曲率は小さく、下部10bの曲率は大きくなっている。
【0015】
さらに、本体部10(及びウエイト部20)は、図2に示すように、前端から後端に向かって上方向に凸形状に曲げられることが好ましい。このように本体部10が曲げられることによって、水中の泳動姿勢における水の抵抗が増加するため、いっそう不規則なアクションが増長されるようになっている。なお、上述したように、曲がり具合(曲率)は、加熱することによって調整可能となっている。したがって、本体部10(及びウエイト部20)は前端から後端に向かって直線形状に形成することもできる。
【0016】
ウエイト部20は、比重の大きい素材、例えば鉛等の金属によって形成されているものであり、図4に示すように、上面視でS字状に左右に屈曲して形成されている。すなわち、図4に示すように、本体部10の内部において、棒状のウエイト部20は、ライン連繋部11の後方に先端があり、前端から後端に向かって、まず右側に曲がり、次に左側に曲がって中央を超え、最後に右側に曲がってフック連繋部12の前方まで延びている。なお、ウエイト部20は、図5に示すように、上面視で逆S字状に左右に屈曲して形成されることも好ましい。
【0017】
加えて、ウエイト部20は、前端寄りの位置にヘッドウエイト部21を一体に有するとともに、後端寄りの位置にテールウエイト部22を一体に有している。換言すると、ウエイト部20の前端及び後端は、それぞれ拡大されている。さらに、ウエイト部20は、曲がりやすい素材によって形成されているため、手で簡単に曲げることが可能となっている。
【0018】
また、ウエイト部20の断面形状は、図6(a)、(e)に示すように、前端部近傍及び後端部近傍では、本体部10と相似形となっている。すなわち、ウエイト部20の下部は湾曲した山型に形成されるとともに上部は平坦な平面型に形成されて、全体として楕円形状に近い形状となっている。
【0019】
さらに、ウエイト部20の断面形状は、図6(b)、(d)に示すように、S字の斜辺においては、楕円の中央側に向いた面が削ぎ落とされた形状となっている。したがって、ウエイト部20の断面形状は、図6(c)に示すように、S字の斜辺の中央近傍においては、楕円の両側面が削ぎ落とされて略四角形状となっている。
【0020】
(作用)
次に、本実施例のルアー1の作用について説明する。ここでは、実際にボートからラインを介してルアー1を水中で泳動させて前方からカメラで撮影し(図7(a)参照)、撮影された動画を解析してルアー1の位置を図7(b)、(c)のグラフ上にプロットした移動軌跡について説明する。撮影では、ルアー1にアクションをつけず、トローリングによってボートを移動させながらルアー1を撮影した。
【0021】
まず、従来のルアー(ここではペンシル型のミノーを採用した)では、図7(b)に示すように、水中での移動軌跡は、規則的な左右の移動が中心であり、上下の移動も少なく、不規則な動きは見られない。
【0022】
これに対して、本発明のルアー1では、図7(c)に示すように、水中の移動軌跡は、規則的な左右の小円弧状の移動軌跡に加えて、不規則的な大円弧状の移動軌跡が頻繁に見られる。さらに、ルアー1が上向きや下向きや横向きになるため、円弧の方向についても一定せず、不規則な方向に移動していることがわかる。
【0023】
(効果)
次に、本実施例のルアー1の奏する効果を列挙して説明する。
【0024】
(1)上述してきたように、本実施例のルアー1は、ラインに連繋されるライン連繋部11と、フックに連繋されるフック連繋部12と、を有する本体部10であって、合成樹脂によって形成される本体部10と、本体部10に埋設されるウエイト部20であって、上面視でS字状又は逆S字状に左右に屈曲して形成されたウエイト部20と、を備えている。このような構成によれば、図7に示すように、アクションを加えなくても、自動的に不規則な動きをするルアー1となる。
【0025】
(2)また、本体部10は、下部10bが湾曲した山型に形成されるとともに上部10aが平坦な平面型に形成されているため、泳ぐ姿勢(上下方向)を安定させて、主として左右方向に不規則な動き(アクション)をさせることができる。
【0026】
(3)さらに、本体部10及びウエイト部20は、前端から後端に向かって上方向又は下方向に凸形状に曲げられて形成されるため、ルアー1が水の抵抗を増して不規則な動きを拡大することができる。
【0027】
(4)また、本体部10及びウエイト部20は、前端から後端に向かって直線形状に形成されることで、不規則なアクションをさせつつ、移動範囲を狭くすることができる。
【0028】
(5)さらに、本体部10及びウエイト部20は、熱を加えることによって手で上方向又は下方向に凸形状に曲げられることが可能となっていることで、水圧・流速に合わせて現場で調整できる。
【0029】
(6)また、ウエイト部20は、前端寄りの位置にヘッドウエイト部21を一体に有しているため、前端の浮き上がりを抑えて、ルアー1が水面から飛び出ないようにすることができる。
【0030】
(7)さらに、ウエイト部20は、後端寄りの位置にテールウエイト部22を一体に有しているため、キャスト時の飛行姿勢を安定させて飛距離をかせぐことができる。
【0031】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0032】
例えば、実施例ではウエイト部20は、S字状に連続しているとして説明したが、これに限定されるものではなく、すべて連続している必要はなく、途中で途切れていてもよいし、複数に分割されていてもよい。ただし、形状の安定化のためには、ウエイト部20は一体に連結されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0033】
1 ルアー
10 本体部
10a 上部
10b 下部
11 ライン連携部
12 フック連携部
13 ワイヤ
20 ウエイト部
21 ヘッドウエイト部
22 テールウエイト部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2017年10月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインに連繋されるライン連繋部と、フックに連繋されるフック連繋部と、を有する本体部であって、合成樹脂によって形成される本体部と、
前記本体部に埋設されるウエイト部であって、上面視でS字状又は逆S字状に左右に屈曲して形成されたウエイト部と、
前記本体部は、下部が湾曲した山型に形成されるとともに上部が平坦な平面型に形成されている、ルアー。
【請求項2】
前記本体部及びウエイト部は、側面視で前端から後端に向かって上方向又は下方向に凸形状に曲げられて形成される、請求項1に記載されたルアー。
【請求項3】
前記本体部及びウエイト部は、側面視で前端から後端に向かって直線形状に形成される、請求項1に記載されたルアー。
【請求項4】
前記本体部及び前記ウエイト部は、熱を加えることによって手で上方向又は下方向に凸形状に曲げられることが可能となっている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載されたルアー。
【請求項5】
前記ウエイト部は、前端寄りの位置にヘッドウエイト部を一体に有している、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載されたルアー。
【請求項6】
前記ウエイト部は、後端寄りの位置にテールウエイト部を一体に有している、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載されたルアー。