特開2019-11203(P2019-11203A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナベルの特許一覧

<>
  • 特開2019011203-自動倉庫の制御装置 図000003
  • 特開2019011203-自動倉庫の制御装置 図000004
  • 特開2019011203-自動倉庫の制御装置 図000005
  • 特開2019011203-自動倉庫の制御装置 図000006
  • 特開2019011203-自動倉庫の制御装置 図000007
  • 特開2019011203-自動倉庫の制御装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-11203(P2019-11203A)
(43)【公開日】2019年1月24日
(54)【発明の名称】自動倉庫の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20181221BHJP
   A01K 43/08 20060101ALI20181221BHJP
【FI】
   B65G1/137 B
   A01K43/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-181560(P2018-181560)
(22)【出願日】2018年9月27日
(62)【分割の表示】特願2015-244421(P2015-244421)の分割
【原出願日】2015年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 邦男
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB16
3F522BB24
3F522BB27
3F522BB36
3F522CC02
3F522CC05
3F522CC06
3F522FF27
3F522GG03
3F522GG17
3F522GG24
3F522GG27
3F522GG44
3F522LL17
3F522LL22
(57)【要約】
【課題】卵を効率よく出荷することができる自動倉庫の制御装置を提供する。
【解決手段】等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンとを備えた自動倉庫において、入庫ステーションに搬入された卵群をどの物品保管棚に保管するかを決定するに際して、複数ある出庫ステーションのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報またはユーザにより設定された出庫要求情報を参考にして、いずれの物品保管棚に保管するかを決定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、
入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、
保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、
入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンと
を備えた自動倉庫において、
入庫ステーションに搬入された卵群をどの物品保管棚に保管するかを決定するに際して、複数ある出庫ステーションのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報またはユーザにより設定された出庫要求情報を参考にして、いずれの物品保管棚に保管するかを決定することを特徴とする、自動倉庫の制御装置。
【請求項2】
等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、
入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、
保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、
入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンと
を備えた自動倉庫において、
入庫ステーションに搬入された卵群を物品保管棚に転置する作業、物品保管棚に保管された卵群を出庫ステーションに転置する作業、または、複数の物品保管棚間で卵群を再配置する作業のうち、いずれの作業を行うかを決定するに際して、当該自動倉庫の直前工程における卵群の入庫待機情報または次工程における卵群の出庫滞留情報を参考にして、いずれの作業を行うかを決定することを特徴とする、自動倉庫の制御装置。
【請求項3】
等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、
入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、
保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、
入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンと
を備えた自動倉庫において、
一の物品保管棚に保管された卵群を他の一の物品保管棚に移動させるのに際して、複数ある出庫ステーションのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報を参考にして、いずれの物品保管棚に保管するかを決定することを特徴とする、自動倉庫の制御装置。
【請求項4】
スタッカークレーンは、入庫ステーションに搬入された卵群をどの物品保管棚に保管するかを決定するに際して、入庫ステーションに搬入された卵群の等階級に関する入庫等階級情報を取得し、複数ある出庫ステーションのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報に含まれる等階級情報またはユーザにより設定された出庫要求情報に含まれる等階級情報と、前記入庫等階級情報とが比較された後、等階級の一致する出庫ステーションの近傍の物品保管棚に配置するよう制御されるものである、請求項1に記載の自動倉庫の制御装置。
【請求項5】
自動倉庫は、複数の入庫ステーションを備えている、請求項1、2、3または4記載の自動倉庫の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等階級別に選別された鶏卵を一時的にストックし、必要なときに所定等階級の鶏卵を取り出すための自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
卵は、生産農場である鶏舎にて鶏から産み落とされ、消費者の手元に届くまでに、重量、ヒビの有無、汚れの有無、内部異常の有無などの物理的性状により選別(Grading)され、その後、卵パックなどの容器に包装(Packing)されて出荷される。そのような選別作業及び包装作業は、GP(Grading&Packing)センターと称される卵の選別包装施設において行われる。
【0003】
選別包装施設では、従来、生産農場から運ばれてきた卵が、重量を主な基準として選別された直後に包装されて出荷されてきた。しかしながら、選別包装施設の効率化の観点から、また卵の多品種少量出荷といった需要に対応するために、本発明者は、鶏卵の選別包装装置における選別工程と包装工程との間に自動倉庫を介在させ、両工程を分離したものを考えている(下記特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1の自動倉庫では、選別された等階級の卵が充填されたトレイを複数枚積層した状態(この状態を「(等階級の)卵群」と呼ぶ。)で保管し、需要に応じてトレイを出庫する。出庫された後には、トレイ上の卵が各卵パックに分けられて包装された状態で出荷されるという生産管理方法が採用されている。このように自動倉庫を介在させて選別と包装を分離させることにより、作業ロスを低減し、かつ顧客からの注文、すなわち需要量に応じて出荷量を調整できる。
【0005】
このような自動倉庫は、卵群を外部から受け入れるための入庫ステーションと、卵群を外部に引き渡すための出庫ステーションと、卵群を保管する物品保管棚を備えるラックと、当該自動倉庫内で卵群を移動させるための転置手段であるスタッカークレーンとを備えている。そして、入庫ステーションに入ってきた卵群は、スタッカークレーンを用いて入庫ステーションから物品保管棚に移動させて保管するとともに、出庫要求に応じて、物品保管棚から出庫ステーションに移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−96784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、卵の選別は高速化が求められ、単位時間あたりに処理される卵の量、すなわち自動倉庫に入庫される卵の数が増加している。また、出荷作業も多品種、少量での包装が要求される傾向が強まっている。これにより、自動倉庫を用いた選別包装システムにおいても、卵の入庫または出庫において高速化が必要になる。すると、入出庫の要求にスタッカークレーンの移動が追いつかず、卵の出荷管理が非効率となる場合があった。
【0008】
しかして、本発明は、卵を効率よく出荷することができる自動倉庫の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、請求項1に記載の自動倉庫の制御装置は、等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンとを備えた自動倉庫において、入庫ステーションに搬入された卵群をどの物品保管棚に保管するかを決定するに際して、複数ある出庫ステーションのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報またはユーザにより設定された出庫要求情報を参考にして、いずれの物品保管棚に保管するかを決定することを特徴とする。ここで、「卵群」とは、LLサイズ、Lサイズ、Mサイズ、MSサイズ、Sサイズ、SSサイズといった指標で区分された等階級の複数の卵がトレイに充填された状態のものを意味する。
【0010】
このようなものであれば、卵特有の状況、すなわち、自動倉庫への入庫から出庫までの期間が比較的短く、出荷作業も多品種、少量での包装が要求される傾向が強まっている状況にある卵を効率よく出荷することができる。特に、卵はその規格の特質上、LL〜SSまでの6等階級に分けられることから、一般的な自動倉庫で収容される工業製品のような種類が多岐にわたる物品に比べて、一の出庫ステーションに対応する等階級を定めやすい。一方で、一の出庫ステーションから出庫される卵群の等階級は、顧客からの注文によって変動がある。例えば、一の出庫ステーションにはMサイズの出庫要求がある場合もあれば、Lサイズの出庫要求がある場合もあり、日によって、または一日の時間帯によっても、その取り扱う卵群の等階級が異なる。また別の例では、Mサイズの出庫要求を行いたい場合に、一の出庫ステーションから出庫させることもあれば、他の出庫ステーションから出庫させることもあり得る。
【0011】
このような卵特有の事情に鑑みると、上述したような本発明にかかる自動倉庫の制御装置を用いることによって、卵特有の状況を最大限生かしながら、卵の出荷の効率化を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の自動倉庫の制御装置は、等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンとを備えた自動倉庫において、入庫ステーションに搬入された卵群を物品保管棚に転置する作業、物品保管棚に保管された卵群を出庫ステーションに転置する作業、または、複数の物品保管棚間で卵群を再配置する作業のうち、いずれの作業を行うかを決定するに際して、当該自動倉庫の直前工程における卵群の入庫待機情報または次工程における卵群の出庫滞留情報を参考にして、いずれの作業を行うかを決定することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の自動倉庫の制御装置は、等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンとを備えた自動倉庫において、一の物品保管棚に保管された卵群を他の一の物品保管棚に移動させるのに際して、複数ある出庫ステーションのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報を参考にして、いずれの物品保管棚に保管するかを決定することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の自動倉庫の制御装置は、請求項1に記載の自動倉庫の制御装置において、スタッカークレーンが、入庫ステーションに搬入された卵群をどの物品保管棚に保管するかを決定するに際して、入庫ステーションに搬入された卵群の等階級に関する入庫等階級情報を取得し、複数ある出庫ステーションのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報に含まれる等階級情報またはユーザにより設定された出庫要求情報に含まれる等階級情報と、前記入庫等階級情報とが比較された後、等階級の一致する出庫ステーションの近傍の物品保管棚に配置するよう制御されるものである。ここで、「出庫ステーションの近傍の物品保管棚」とは、当該物品保管棚と出庫ステーションとの間でのスタッカークレーンの動作範囲や動作時間ができるだけ短いものあればどの位置の棚であってもよい。
【0015】
請求項5に記載の自動倉庫の制御装置は、請求項1、2、3または4に記載の自動倉庫の制御装置において、自動倉庫が、複数の入庫ステーションを備えているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、卵を効率よく出荷することができる自動倉庫の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかる鶏卵の選別包装システムの概略平面図。
図2】同実施形態にかかる自動倉庫の概略側断面図。
図3】同実施形態にかかる自動倉庫の制御装置の構成説明図。
図4】同実施形態にかかる自動倉庫の制御装置がプログラムに従い実行する処理の手順例を示すフロー図。
図5】同実施形態にかかる自動倉庫の制御装置がプログラムに従い実行する処理の手順例を示すフロー図。
図6】本発明の変形例にかかる自動倉庫の概略側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図1図5を用いて説明する。図1は、本発明にかかる鶏卵Eの選別包装システム10を説明する平面図であり、図2は自動倉庫2の概略側段面図である。なお、本明細書では鶏卵の等階級を鶏卵の取引規格である卵重区分で説明する。
【0019】
本実施形態にかかる鶏卵Eの選別包装システム10は、卵Eの選別工程をシステム化した選別システム1と、この選別システム1の次工程に配置される自動倉庫2と、この自動倉庫2の次工程に配置され包装工程をシステム化した包装システム3とを備える。
【0020】
選別システム1は、主に重量を基準にして卵Eを選別する選別装置11と、選別された後の卵Eを充填されたトレイ(仮容器)Tを段積みする段積み装置12とを備える。
【0021】
選別装置11は、卵Eを例えば6列で搬送する第一搬送部13と、この第一搬送部13の下流側に接続され卵Eを1列で搬送する第二搬送部14と、この第二搬送部14の下流側に接続され当該第二搬送部14から受け取った卵EをトレイTに入れた状態で搬送する複数の第三搬送部15とを備えている。本実施形態では、第一搬送部13の搬送方向と第二搬送部14の搬送方向とは直交するとともに、第二搬送部14の搬送方向と第三搬送部15の搬送方向とは直交するように配置されている。
【0022】
第一搬送部13は、卵Eの重量を計測する重量計測部(図示せず)を備えている。本実施形態では、この重量計測部の計測結果に基づいて、卵Eが、LLサイズ、Lサイズ、Mサイズ、MSサイズ、Sサイズ、SSサイズの6種類(等階級)に選別される。第二搬送部14は、計量された卵Eを第三搬送部15まで搬送するものである。第三搬送部15は、卵Eの選別条件、すなわち等階級に応じて設けられている。本実施形態では、卵Eが搬送される上流側からLLサイズに対応したライン15aと、Lサイズに対応したライン15bと、Mサイズに対応したライン15cと、MSサイズに対応したライン15dと、Sサイズに対応したライン15eと、SSサイズに対応したライン15fとの6つの分配ラインを備えている。第三搬送部15の各分配ライン15a〜15fでは、1枚のトレイT(例えばアメリカントレイなど)に30個の卵Eが充填される。
【0023】
段積み装置12は、第三搬送部15から卵Eが充填されたトレイTを受け取り、卵Eの充填されたトレイT同士を一枚ずつ上下方向に重ねて1つの卵群Gを形成するものである。卵群Gは、偶数段目のトレイTと奇数段目のトレイTとが相互に水平方向に90°回転した状態で積み重ねられている。卵群Gは、この状態で、当該段積み装置12の下流側に接続される自動倉庫2へと移動する。
【0024】
自動倉庫2は、外壁21を断熱材で覆われた断熱構造で構成されているとともに、内部空間22を所定の条件に保つ空気調整手段が備えられたものであり、上流側で等階級別に分類された卵Eを等階級ごとの卵群Gとして入庫する入庫ステーション4a〜4dと、入庫された卵群Gを保管する複数の物品保管棚51を備えるラック5と、保管された卵群Gを出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーション6a〜6cと、入庫ステーション4a〜4d、物品保管棚51及び出庫ステーション6a〜6c間を移動し、これら入庫ステーション4a〜4d、物品保管棚51及び出庫ステーション6a〜6cに卵Eを転置するスタッカークレーン7と、このスタッカークレーン7を制御するための制御装置8とを備えている。本実施形態では、対をなす2つの立体状のラック5、5と、これらのラック5、5のうち選別システム1側に配置された一のラック5に設けられた4つの入庫ステーション4a、4b、4c、4dと、包装システム3側に配置された他のラック5に設けられた3つの出庫ステーション6a、6b、6cと、2つのラック5、5の間に配置された1つのスタッカークレーン7とを主体に構成されている。換言すれば、一対のラック5、5はスタッカークレーン7の走行経路の両側に配置されるとともに、当該スタッカークレーン7の走行経路は第二搬送部14の搬送経路と平行になるように配置されている。
【0025】
各入庫ステーション4a〜4dは、一のラック5の物品保管棚51に設けられたものであり、選別システム1から送り込まれた卵群Gを受け入れ、スタッカークレーン7が卵群Gを取り込める位置まで搬送する入庫搬送装置41を備える。各入庫ステーション4a〜4dは、入庫搬送装置41を介して段積み装置12に接続されており、段積み装置12から卵群Gを受け取るようになっている。この入庫ステーション4a〜4dにどの等階級の卵群Gが入るかは、当該入庫ステーション4a〜4dに関連づけて設けられた設定器42を用いてユーザにより設定される。本実施形態の入庫ステーション4a〜4dでは、例えば、選別装置11の第三搬送部15におけるLL、L、M、MSの4つのライン15a、15b、15c、15dに対応して、第一、第二、第三、第四の入庫ステーション4a、4b、4c、4dが選別装置11側のラック5の左右方向に並んで設けられている。そして、ユーザにより第一の入庫ステーション4aにはLLサイズの卵群Gが入庫される設定がなされ、同様に、第二の入庫ステーション4bにはLサイズの卵群Gが入庫される設定がされ、第三の入庫ステーション4cにはMサイズの卵群Gが入庫される設定がされ、第四の入庫ステーション4dにはMSサイズの卵群Gが入庫される設定がされる。このような設定による入庫等階級情報は、スタッカークレーン7の制御に用いるために制御装置8へと送られる。また、各入庫ステーション4a〜4dには、卵群Gがセットされたことを検知するセンサ43が設けられており、卵群Gを受け入れた旨の入庫受入情報が制御装置8へと送られる。
【0026】
各ラック5、5は、左右方向(図1のY方向)及び上下方向(図2のZ方向)に延びて壁状に造立され、奥行き方向(図1及び図2のX方向)に間隔をおいて並べられている。各ラック5は、左右方向及び上下方向に並ぶ複数の物品保管棚51を備えている。
【0027】
各出庫ステーション6a〜6cは、他のラック5の物品保管棚51に設けられたものであり、スタッカークレーン7が転置した卵群Gを包装システム3に搬送するための出庫搬送装置61を備える。各出庫ステーション6a〜6cは、出庫搬送装置61を介して包装システム3の後述する段バラシ装置32a〜32cに接続されており、出庫ステーション6a〜6cが受け取った卵群Gは、出庫搬送装置61により包装システム3に搬送される。この出庫ステーション6a〜6cでどの等階級の卵群Gが送り出されるかは、当該出庫ステーション6a〜6cに関連づけて設けられた設定器62を用いてユーザにより設定される。ユーザが、「第一の出庫ステーション6aからLLサイズの卵Eを1000個出庫する」という設定を行うと、その出庫要求情報は、スタッカークレーン7の制御に用いるために制御装置8へと送られる。
【0028】
スタッカークレーン7は、2つのラック5、5間を当該ラック5、5の延在方向、すなわち、左右方向及び上下方向に移動可能に構成されたものであり、両方のラック5、5の各物品保管棚51に対して卵群Gを搬入/搬出できる。スタッカークレーン7の移動は制御装置8により適宜制御され、左右方向及び上下方向に自在に移動できる。
【0029】
制御装置8は、主にスタッカークレーン7を制御するためのもので、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェースなどを有したマイクロコンピュータシステムである。この制御装置8は、物品保管棚51への搬入、搬出に関するスタッカークレーン7の移動を制御し、また、保管する卵群Gの数量や、物品保管棚51の位置に関する情報などを管理し、物品保管棚51の空き状態についても適宜記憶している。この自動倉庫2の制御装置8は、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gをどの物品保管棚51に保管するかを決定するに際して、各出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報またはユーザにより設定された出庫要求情報を参考にして、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定する。
【0030】
具体的には、本実施形態にかかる制御装置8は、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gをどの物品保管棚51に保管するかを決定するに際して、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gの等階級に関する入庫等階級情報を取得する。そして、複数ある出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報に含まれる等階級情報またはユーザにより設定された出庫要求情報に含まれる等階級情報と、前記入庫等階級情報とを比較して、等階級の一致する出庫ステーション6a〜6cの近傍の物品保管棚51に配置する制御を行う。
【0031】
ここで、出庫履歴情報には、例えば、出庫ステーション6aから「直近の3日以内に、LLサイズの卵が10000個、Lサイズの卵が10000個それぞれ出庫された」などのように、日付情報と、等階級情報と、数量情報とが含まれている。この出庫履歴情報に関しては、入庫等階級情報と比較するための等階級情報を得るために、直近の所定期間において当該出庫ステーションから一番多く出庫された等階級が算出されるようにしてもよい。同様に、出庫要求情報には、例えば、出庫ステーション6aから「LLサイズの卵を、1000個出庫する」などのように、等階級情報と、数量情報とが含まれている。また、入庫ステーション4a〜4dが受け入れた卵群Gについても、例えば、「LLサイズの卵を、540個入庫する」などのように、等階級情報(入庫等階級情報)と、数量情報とが含まれた入庫受入情報がユーザにより設定されている。
【0032】
また、本実施形態の自動倉庫2の制御装置8は、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gを物品保管棚51に転置する作業(入庫作業)、物品保管棚51に保管された卵群Gを出庫ステーション6a〜6cに転置する作業(出庫作業)、または、複数の物品保管棚51間で卵群Gを再配置する作業(再配置作業)のうち、いずれの作業を行うかを決定するに際して、当該自動倉庫2の直前工程における卵群Gの入庫待機情報または次工程における卵群Gの出庫滞留情報を参考にして、いずれの作業を行うかを決定する。具体的には、入庫待機情報は、どの程度入庫側が混雑しているかに関する情報であり、入庫ステーション4a〜4d及び入庫ステーション4a〜4dの前工程側の入庫待機場所に設けられた検知手段により検出される。具体的な一例としては、本出願人が特願2015−061728(未公開)明細書中で提案しているような方法を用いることができる。同様に、出庫滞留情報は、どの程度出庫側が混雑しているかに関する情報であり、出庫ステーション6a〜6c及び出庫ステーション6a〜6cの次工程側の出庫受入場所に設けられた検知手段により検出されるものである。
【0033】
特に、再配置の作業において、本実施形態の自動倉庫2の制御装置8は、一の物品保管棚51に保管された卵群Gを他の一の物品保管棚51に移動させるのに際して、複数ある出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報を参考にして、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定する。
【0034】
包装システム3は、卵Eが移載された卵パック(出荷容器)Pを封緘する包装装置31a〜31cと、卵Eを包装する準備段階として段積みされた卵群Gを一枚のトレイTごとにばらす段バラシ装置32a〜32cとを備える。
【0035】
段バラシ装置32a〜32cは、出庫ステーション6a〜6cから出庫され段積みされた状態の卵群Gを受け取り、卵Eの充填されたトレイT同士を一枚ずつ分離させるものである。本実施形態では、自動倉庫2の第一、第二、第三の出庫ステーション6a、6b、6cに対応して、第一、第二、第三の段バラシ装置32a、32b、32cが設けられている。
【0036】
包装装置31a〜31cは、トレイTに充填されている卵Eを卵パックPに移載し、卵EをパックPで包むものである。各包装装置31a〜31cは、段バラシ装置32a〜32cに一対一の関係で接続され、段バラシ装置32a〜32cにより分離されたトレイTを受け取った後に、パック詰め作業を行う。パック詰めされた卵Eは、段ボール箱などの集成容器に詰められて、市場に出荷される。
【0037】
次に、上述した自動倉庫2の作動方法の一例を、図4及び図5を参照しながら示す。この実施例では、自動倉庫2の前工程及び次工程が同時に稼働している状態、すなわち自動倉庫2への入庫作業と、自動倉庫2からの出庫作業とが並行して行われている状態を示す。
【0038】
<出庫を急ぐモード>
自動倉庫2の制御装置8は、各出庫ステーション6a〜6cのいずれかの設定器62から出庫要求情報を取得し(ステップS1)、その出庫ステーション6a〜6cの次工程における卵群Gの出庫滞留情報を取得しない場合(ステップS2)、スタッカークレーン7が出庫作業を優先して行うように制御する(ステップS3)。すなわち、一の出庫ステーション6a〜6cに対して出庫要求があって、その出庫口付近が混雑していない場合には、出庫作業を優先する。一例として、「第一の出庫ステーション6aからLLサイズの卵を1000個出庫する」という出庫要求情報を設定器62から制御装置8が取得した後に、第一の出庫ステーション6aや、この第一の出庫ステーション6aの外側にある出庫受入場所にトレイTに入った状態の卵Eが残っているか否かの出庫滞留情報を取得する。出庫した次工程が混雑していなければ、スタッカークレーン7は、物品保管棚51に保管されたLLサイズの卵群Gを第一の出庫ステーション6aに転置する作業(出庫作業)を行う。
【0039】
一方、ステップS1で出庫要求情報を取得しない(出庫要求がない)場合、または、ステップS2で出庫滞留情報を取得した(出庫滞留がある)場合には、入庫ステーション4a〜4d側を確認する(ステップS4、S5)。
【0040】
<入庫を急ぐモード>
自動倉庫2の制御装置8は、各入庫ステーション4a〜4dのいずれかの入庫受入情報を取得し(ステップS4)、その入庫ステーション4a〜4dの直前工程における卵群Gの入庫待機情報を取得した場合(ステップS5)、スタッカークレーン7が入庫作業を優先して行うように制御する(ステップS6)。すなわち、一の入庫ステーション4a〜4dに入庫すべき卵群Gがあって、その入庫口付近が混雑している場合には、入庫作業を優先する。一例として、「第一の入庫ステーション4aからLLサイズの卵を540個入庫する」との入庫受入情報を設定器42やセンサ43から制御装置8が取得した後に、第一の入庫ステーション4aや、この第一の入庫ステーション4aの外側にある入庫待機場所に段積みされた状態の卵Eが待っているか否かの入庫待機情報を取得する。入庫する前工程が混雑していれば、スタッカークレーン7は、入庫ステーション4aに搬入された卵群Gを物品保管棚51に転置する作業(入庫作業)を行う。
【0041】
一方、ステップS4で入庫受入情報を取得しない(入庫すべき卵群Gがない)場合、または、ステップS5で入庫待機情報を取得しない(入庫待機がない)場合には、再配置の作業を行う(ステップS7)。
【0042】
<再配置モード>
自動倉庫2の制御装置8は、当該自動倉庫2の直前工程における卵群Gの入庫待機情報や次工程における卵群Gの出庫滞留情報を参考にして、入庫作業や出庫作業を急ぐ必要がない場合、例えば、選別包装作業のない休憩時間や夜間にスタッカークレーン7を稼働させて、複数の物品保管棚51間で卵群Gを再配置する作業を行う(ステップS7)。なお、本実施形態の自動倉庫2の制御装置8は、一の物品保管棚51に保管された卵群Gを他の一の物品保管棚51に移動させるのに際して、各出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報を参考にして、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定する。より具体的には、各出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報に含まれる等階級情報と、転置する卵群Gの等階級情報とを比較して、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定する。卵群Gの等階級情報は、制御装置8内に記憶してある。
【0043】
出庫の際には、基本的に先入れ先出し、すなわち入庫された順番の早いものから出庫されるため、再配置を行う際には、入庫された順番の早いものから順番に再配置の対象となる。ここで例えば、一の物品保管棚51に保管されたMサイズの卵群Gを再配置させる場合には、各出庫ステーション6a〜6cの出庫履歴情報(直近の所定期間内にどの出庫ステーションからMサイズが最も多く出庫されているか)を参考にして、等階級の一致する出庫ステーションの近傍の物品保管棚51に配置するようスタッカークレーン7を制御する。このような再配置時における制御装置8の処理手順については、後述する(図5を用いて説明する)入庫時の処理手順に準ずるため、詳細な説明を省略する。
【0044】
なお、等階級の一致する出庫ステーション6a〜6cがない場合には、どの物品保管棚51に配置するようにしてもよい。その際、各出庫ステーション6a〜6cの近傍の物品保管棚51に転置しないようにすれば、次にこれらの物品保管棚51に保管すべき卵群Gが入庫された際に、これらの物品保管棚51に優先的に卵群Gを転置することが可能となる。
【0045】
以上で説明したように、本実施形態の制御装置8は、入庫待機情報や出庫滞留情報を参考にして、入庫作業、出庫作業、または、再配置作業のうち、いずれの作業を優先して行うかを決定する。
【0046】
<入庫時の制御>
次に、卵群Gを入庫ステーション4a〜4dから物品保管棚51に転置する際に行われる制御について補足する。本実施形態の制御装置8は、例えば、第一の入庫ステーション4aに搬入されたLLサイズの卵群Gをどの物品保管棚51に保管するかを決定するに際して、各出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報またはユーザにより設定された出庫要求情報を参考にして、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定してもよいし、第一の入庫ステーション4aの近傍の物品保管棚51に保管するようにしてもよい。ここで、第一の入庫ステーション4aの近傍とは、例を挙げれば、第一の入庫ステーション4aが設けられている物品保管棚51に隣接する棚やその周辺、またはスタッカークレーン7を挟んで入庫ステーション4aと対向する物品保管棚51など、スタッカークレーン7が第一の入庫ステーション4aから比較的短い動線、比較的短時間で卵群Gを運ぶことができる位置を意味している。
【0047】
各出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報またはユーザにより設定された出庫要求情報を参考にする場合には、制御装置8が、第一の入庫ステーション4aに搬入された卵群Gの等階級に関する入庫等階級情報を取得し、各出庫ステーション6a〜6cの、過去の出庫履歴情報に含まれる等階級情報またはユーザにより設定された出庫要求情報に含まれる等階級情報と、前記入庫等階級情報とが比較された後、等階級の一致する出庫ステーション6aの近傍の物品保管棚51に配置すればよい。
【0048】
一例としては、図5のフローチャートに示すように、制御装置8は、第一の入庫ステーション(図では「入庫ST」と記載)6aにLLサイズの卵群Gが搬入された入庫受入情報を受け取ると(ステップS11)、当該卵群Gの等階級に関する入庫等階級情報(A)を取得する(ステップS12)。その後、第一の出庫ステーション(図では「出庫ST」と記載)6aの(出庫履歴情報/出庫要求情報に含まれる)等階級情報(B1)、第二の出庫ステーション6bの(出庫履歴情報/出庫要求情報に含まれる)等階級情報(B2)、第三の出庫ステーション6cの(出庫履歴情報/出庫要求情報に含まれる)等階級情報(B3)を取得し(ステップS13)、入庫等階級情報(A)と各出庫ステーション6a〜6cの等階級情報(B1、B2、B3)とを順次比較する(ステップS14、S15、S16)。
【0049】
この実施例では、出庫ステーション6aの出庫要求情報に含まれるLLサイズという等階級情報(B1)と、LLサイズという入庫等階級情報(A)とが一致するので、当該卵群Gを第一の出庫ステーション6aの近傍の物品保管棚51に配置する(ステップS17)。なお、第二の出庫ステーション6b、第三の出庫ステーション6cについても、これに準じた制御が行われ、LLサイズ以外の等階級の場合はそれぞれ適切な物品保管棚51へ収容される(ステップS18、S19)。ここで、出庫ステーション6a〜6cの近傍とは、例を挙げれば、各出庫ステーション6a〜6cが設けられている物品保管棚51に隣接する棚やその周辺、またはスタッカークレーン7を挟んで各出庫ステーション6a〜6cと対向する物品保管棚51など、スタッカークレーン7が各出庫ステーション6a〜6cまで比較的短い動線、比較的短時間で卵群Gを運ぶことができる位置を意味している。
【0050】
なお、一の出庫ステーションに出庫要求情報がない場合、例えば、現時点で出庫要求のないMサイズの卵群Gが入庫ステーション4cに受け入れられた場合は、各出庫ステーション6a〜6cの出庫履歴情報(直近の所定期間内にどの出庫ステーションからMサイズが最も多く出庫されているか等)を参考にして、等階級の一致する出庫ステーションの近傍の物品保管棚51に配置するようスタッカークレーン7を制御する。
【0051】
また、等階級の一致する出庫ステーションがない場合には、どの物品保管棚に配置するようにしてもよい(ステップS20)。
【0052】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態にかかる自動倉庫2の制御装置によれば、等階級別に分類された卵Eを等階級ごとの卵群Gとして受け入れる入庫ステーション4a〜4dと、入庫された卵群Gを保管する複数の物品保管棚51を備えるラック5と、保管された卵群Gを出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーション6a〜6cと、入庫ステーション4a〜4d、物品保管棚51及び出庫ステーション6a〜6c間を移動し、これら入庫ステーション4a〜4d、物品保管棚51及び出庫ステーション6a〜6c間で卵群Gを転置するスタッカークレーン7とを備えた自動倉庫2において、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gをどの物品保管棚51に保管するかを決定するに際して、複数ある出庫ステーション6a〜6cのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報またはユーザにより設定された出庫要求情報を参考にして、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定する。このようなものであるため、スタッカークレーン7を効率よく稼動させることが可能となり、自動倉庫2への入庫から出庫までの期間が比較的短く、出荷作業も多品種、少量での包装が要求される傾向が強まっている卵Eを効率よく出荷することができる。
【0053】
特に本実施形態では、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gをどの物品保管棚51に保管するかを決定するに際して、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gの等階級に関する入庫等階級情報を取得し、複数ある出庫ステーション6a〜6cのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報に含まれる等階級情報またはユーザにより設定された出庫要求情報に含まれる等階級情報と、前記入庫等階級情報とを比較して、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定していた。
【0054】
等階級の種類が多岐にわたる場合には各出庫ステーションに対応する等階級の設定が複雑になるが、鶏卵の等階級は数種類に限られるという事情がある。すなわち、卵Eはその規格の特質上、LL〜SSまでの6等階級しかないことから、一般的な自動倉庫で収容されるような種類の様々ある他の物品に比べて、出庫履歴情報や出庫要求情報に基づいて一の出庫ステーションから主として出庫される卵Eの等階級を定めやすい。また、卵群Gが自動倉庫2から出庫された後に、自動倉庫2の下流側で卵パックPに詰める包装作業を行わなければならないため、出庫ステーション6a〜6cの下流側には、卵Eの大きさなどに合わせたラベルや豆シールなどの包装資材が用意されていることが多い。このような事情により、各出庫ステーション6a〜6cから出庫される卵群Gの等階級が完全に固定されているわけではないが、おおむね、各出庫ステーション6a〜6cに対応する等階級を決めることができる。
【0055】
その一方で、一の出庫ステーションから出庫される卵群Gの等階級は、顧客からの注文によって変動がある。例えば、一の出庫ステーションにはMサイズの出庫要求がある場合もあれば、Lサイズの出庫要求がある場合もあり、日によって、または一日の時間帯によっても、その取り扱う卵群Gの等階級が異なる。また別の例では、Mサイズの出庫要求を行いたい場合には、一の出庫ステーションから出庫させることもあれば、他の出庫ステーションから出庫させることもあり得る。このような卵特有の事情に対応可能な本実施形態の制御装置8によれば、自動倉庫2内の卵群Gの配置を適切なものとすることが可能となり、卵Eの出荷の効率化を図ることができる。
【0056】
特に、卵用の自動倉庫2は、選別工程(選別システム1)と包装工程(包装システム3)とを分離して、自動倉庫2から出庫した卵Eを出荷する。これにより、包装工程において選別工程に依存することなく、急な注文、少量多品種の注文等にも臨機応変に対応することができ、選別包装工程(選別包装システム10)全体を効率化するのに寄与している。そのため、この選別包装工程全体の中における自動倉庫2のスタッカークレーン7が無駄の少ない動きをすることによって、頻繁に入出庫が行われる卵Eの自動倉庫2、及び自動倉庫2を含む選別包装工程全体のさらなる効率化に貢献できる。
【0057】
なお、本実施形態の選別包装システム10では、上述したように選別システム1と包装システム3とを分けるべく、選別された卵Eを入庫、保管、出庫できる自動倉庫2を備えているので、生産農場から選別包装施設を介して市場に出荷される卵Eの流通において、自動倉庫2がバッファとなる。自然物である卵Eは、その流通において、生産量の調整及び需要量の調整が難しいが、このようなバッファを備える選別包装システム10によれば、生産量の変化と出荷量の変化に対応して卵Eを流通させることができ、効率的かつ最適な施設運営をすることができる。
【0058】
また、本実施形態の自動倉庫2の制御装置8は、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gを物品保管棚51に転置する作業、物品保管棚51に保管された卵群Gを出庫ステーション6a〜6cに転置する作業、または、複数の物品保管棚51間で卵群Gを再配置する作業のうち、いずれの作業を行うかを決定するに際して、当該自動倉庫2の直前工程における卵群Gの入庫待機情報または次工程における卵群Gの出庫滞留情報を参考にして、いずれの作業を行うかを決定する。このようなものであるため、効率よくスタッカークレーン7を稼働することができる。
【0059】
さらに、本実施形態の自動倉庫2の制御装置8は、一の物品保管棚51に保管された卵群Gを他の一の物品保管棚51に移動させるのに際して、複数ある出庫ステーション6a〜6cのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報を参考にして、いずれの物品保管棚51に保管するかを決定する。このようなものであるため、入出庫作業がなく、従来スタッカークレーン7が稼動していなかった時間帯にも卵群Gを好ましい位置に配置する作業を行なうことにより、自動倉庫2内における卵群Gの配置を最適化できる。
【0060】
また、本実施形態のスタッカークレーン7は、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gをどの物品保管棚51に保管するかを決定するに際して、入庫ステーション4a〜4dに搬入された卵群Gの等階級に関する入庫等階級情報を取得し、複数ある出庫ステーション6a〜6cのうち少なくとも一つの出庫ステーションの、過去の出庫履歴情報に含まれる等階級情報またはユーザにより設定された出庫要求情報に含まれる等階級情報と、前記入庫等階級情報とが比較された後、等階級の一致する出庫ステーション6a〜6cの近傍の物品保管棚51に配置するよう制御されるものである。
【0061】
このようなものであるため、出庫ステーション6a〜6cの近傍に保管してあった卵群Gがスタッカークレーン7により取り出され、スタッカークレーン7の移動距離及び移動時間ができるだけ短い状態で当該出庫ステーション6a〜6cへと受け渡されるので、出庫作業を素早く行うことができる。
【0062】
さらに、本実施形態の自動倉庫2は、複数の入庫ステーション4a〜4dを備えているので、上述した実施形態のように、各入庫ステーション4a〜4dが受け入れる卵群Gの等階級の設定を、各出庫ステーション6a〜6cの出庫要求情報や出庫履歴情報を参考にして行うことも可能である。すなわち、各出庫ステーション6a〜6cに近い場所にある入庫ステーション4a〜4dが受け入れる卵群Gの等階級に関する設定を、各出庫ステーション6a〜6cに設定された等階級に対応させることが考えられる。これにより、スタッカークレーン7の移動距離や移動時間を小さくでき、入出庫作業を円滑にすることができる。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0064】
上述した実施形態では、出庫ステーションの出庫要求情報を参考にしてスタッカークレーンを制御するようにしていたが、各出庫ステーションと出庫要求情報/出庫履歴情報との組み合わせは上述したものに限られず種々変更可能である。また、制御装置は、少なくとも一つの出庫ステーションの出庫要求情報/出庫履歴情報を参考にすればよい。さらに、このような情報を参考にした際に決定される卵群を保管するための物品保管棚は、等階級の対応する出庫ステーションの近傍の物品保管棚以外の棚であってもよい。さらに、このような入庫作業時の制御は、入庫待機情報や出庫滞留情報と組み合わせて行われるものには限られない。
【0065】
また、作業の優先度を決める際、スタッカークレーンが、入庫待機情報または出庫滞留情報のいずれか一方のみを参考にして制御されるものであってもよい。
【0066】
さらに、複数の物品保管棚間での再配置は、ユーザにより操作される再配置要求スイッチなどを設けて、この再配置要求スイッチからの信号を制御装置が受信した場合にスタッカークレーンを稼動させるようにしたものであってもよい。
【0067】
自動倉庫は、上述したものに限られず種々変更可能である。例えば、図示したようないわゆる立体倉庫以外に、平面的な倉庫であってもよい。また、自動倉庫は、入庫から出庫まで卵群が自動倉庫内を一方向に送られるもののみならず、入庫から出庫まで卵群が自動倉庫内でUターンして同一方向からの入出庫をするものであってもよい。
【0068】
さらに、自動倉庫は、壁や床などで物理的に分けられた複数の空間にまたがるように配置されていてもよい。例えば、建屋の1階と2階とを区画する床部分と、自動倉庫の壁面とを用いて選別工程と包装工程とを完全に分離する構成とすれば、例えば、洗卵工程で発生する排水や湿気などが、最終段階の包装工程に拡散してしまうことを抑制できる。
【0069】
入庫ステーションの数は4つに限られず、それ以外の複数個または単一であってもよい。また、入庫ステーションは、物品保管棚に形成されたものには限られない。さらに、入庫ステーションを物品保管棚に形成する場合には、ラックのどの位置に設定してもよい。
【0070】
ラックの数も2つには限られず、それ以外の複数個または単一であってもよい。ラックの物品保管棚の数や形状についても図示したものには限られず種々変更可能である。
【0071】
出庫ステーションの数は3つに限られず、複数であればよい。また、出庫ステーションは、物品保管棚に形成されたものには限られない。さらに、出庫ステーションを物品保管棚に形成する場合には、ラックのどの位置に設定してもよい。
【0072】
スタッカークレーンは複数であってもよく、ラックとの配置の組み合わせも種々変更可能である。自動倉庫の具体的な変形例としては、図6に示すような、搬送路が平行に配された2つのスタッカークレーン7、7と、これらのスタッカークレーン7、7間に配され両側のスタッカークレーン7、7からアクセス可能な中央ラック5aと、一方のスタッカークレーン7の外側に配される外側ラック5bと、他方のスタッカークレーン7の外側に配される外側ラック5bとを備えたものが挙げられる。このようなものであれば、上述した実施形態のものに比べて、自動倉庫2の運用の自由度を高めることができる。すなわち、卵群Gの入庫作業を主として行う第一のスタッカークレーン7と、卵群Gの出庫作業を主として行う第二のスタッカークレーン7とで別々の作業を並行して行うことが可能となり、入出庫作業の高速化を実現できる。なお、図6において、上述する実施形態と同一またはこれに対応する部分には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0073】
等階級は、選別されたサイズにより分けられたもの以外に、産卵された日や鶏種によりグループ分けされたものであってもよい。
【0074】
入庫ステーション側の設定器(及びユーザによる入力作業)は、バーコードなどの識別子と読み取りのための装置を用いて自動化させることが可能である。識別子は、例えばトレイに付けたり、複数のトレイをまとめて載せるためのパレットに付けたりすればよい。
【0075】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、等階級別に選別された鶏卵を一時的にストックし、必要なときに所定等階級の鶏卵を取り出すための自動倉庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
2…自動倉庫
4a、4b、4c、4d…入庫ステーション
5…ラック
51…物品保管棚
6a、6b、6c…出庫ステーション
7…スタッカークレーン
8…制御装置
G…卵群
E…卵
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2018年11月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、
入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、
保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、
入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンと
を備えた自動倉庫において、
入庫ステーションに搬入された卵群を物品保管棚に転置する作業、物品保管棚に保管された卵群を出庫ステーションに転置する作業、または、複数の物品保管棚間で卵群を再配置する作業のうち、いずれの作業を行うかを決定するに際して、当該自動倉庫の直前工程における卵群の入庫待機情報または次工程における卵群の出庫滞留情報を参考にして、いずれの作業を行うかを決定することを特徴とする、自動倉庫の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の自動倉庫の制御装置は、等階級別に分類された卵を等階級ごとの卵群として受け入れる入庫ステーションと、入庫された卵群を保管する複数の物品保管棚を備えるラックと、保管された卵群を出庫要求に応じて出庫する複数の出庫ステーションと、入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間を移動し、これら入庫ステーション、物品保管棚及び出庫ステーション間で卵群を転置するスタッカークレーンとを備えた自動倉庫において、入庫ステーションに搬入された卵群を物品保管棚に転置する作業、物品保管棚に保管された卵群を出庫ステーションに転置する作業、または、複数の物品保管棚間で卵群を再配置する作業のうち、いずれの作業を行うかを決定するに際して、当該自動倉庫の直前工程における卵群の入庫待機情報または次工程における卵群の出庫滞留情報を参考にして、いずれの作業を行うかを決定することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】