特開2019-112319(P2019-112319A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-112319(P2019-112319A)
(43)【公開日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】整髪用組成物および整髪方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20190621BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20190621BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20190621BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20190621BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20190621BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20190621BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61K8/00
   A61Q5/06
   A61K8/92
   A61K8/81
   A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-244700(P2017-244700)
(22)【出願日】2017年12月21日
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
(72)【発明者】
【氏名】久野 萌子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC102
4C083AC261
4C083AC262
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB13
4C083BB33
4C083CC32
4C083DD08
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】整髪用高分子が配合されているものの、噴霧使用される際に整髪時間を長くとることができる整髪用組成物、及びこの組成物を使用する整髪方法の提供。
【解決手段】整髪用組成物は、毛髪に噴霧して使用されるものであって、アクリル系整髪用高分子、並びに、ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸が配合されたものであり、整髪方法は、その整髪用組成物を毛髪に噴霧して使用するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪に噴霧して使用される整髪用組成物であって、
アクリル系整髪用高分子、並びに、ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸が配合されたことを特徴とする整髪用組成物。
【請求項2】
前記アクリル系整髪用高分子として、アニオン性アクリル系高分子が配合された請求項1に記載の整髪用組成物。
【請求項3】
前記アクリル系整髪用高分子として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー又は(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPが配合された請求項1又は2に記載の整髪用組成物。
【請求項4】
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の整髪用組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の整髪用組成物を使用する整髪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に噴霧して使用される整髪用組成物及びこの組成物を使用する整髪方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアゾール用容器などで噴霧して使用される整髪用組成物は、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーなどの整髪用高分子を、主たる整髪成分として配合したものが多い。その整髪性高分子は、他の整髪成分として知られているロウよりも、毛髪を固め易いことが長所である。その反面、固まってしまうと、ヘアスタイルを変更し難い短所がある。
【0003】
上記の整髪用高分子の短所を補うために、例えば特許文献1には、良好な再整髪性を実現するべく、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体を配合した原液と、所定割合のジメチルエーテルおよび液化石油ガスを含む噴射剤と、を充填したエアゾール式スプレーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−177352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ヘアスタイルの種類は多く、中には、整髪の際には時間を要することがある。しかし、整髪用高分子が配合され、噴霧使用される整髪用組成物は、その高分子によるヘアスタイルの固定を行い易いものの、毛髪が固ってしまうがために整髪時間が十分ではなく、ヘアスタイルを意図通り行い難いことがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、整髪用高分子が配合されているものの、噴霧使用される際に整髪時間を長くとることができる整髪用組成物、及びこの組成物を使用する整髪方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等が毛髪に噴霧して使用される整髪用組成物について鋭意検討を行った結果、アクリル系整髪用高分子と共に、ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸を配合すれば、整髪時間を長くできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る整髪用組成物は、毛髪に噴霧して使用されるものであって、アクリル系整髪用高分子、並びに、ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸が配合されたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る整髪用組成物は、例えば、前記アクリル系整髪用高分子として、アニオン性アクリル系高分子が配合されたものである。また、本発明に係る整髪用組成物は、例えば、前記アクリル系整髪用高分子として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー又は(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPが配合されたものである。
【0010】
本発明に係る整髪用組成物は、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合されたものが良い。テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合されていると、アクリル系整髪用高分子の温水除去が容易となる。
【0011】
本発明に係る整髪方法は、本発明に係る整髪用組成物を使用するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る毛髪に噴霧して使用される整髪用組成物によれば、アクリル系整髪用高分子と共に、ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸が配合されるから、整髪時間を長くできる。
【0013】
また、本発明に係る毛髪に噴霧する整髪用組成物を使用する整髪方法によれば、その組成物に、アクリル系整髪用高分子と共に、ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸が配合されるから、時間をかけて整髪することが可能となり、意図するヘアスタイルを実現し易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る整髪用組成物は、アクリル系整髪用高分子、並びに、ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸が配合されたものである。また、実用上許容されるのであれば、更に公知の整髪用組成物に配合されている原料が、任意に配合されていても良い。
【0015】
(アクリル系整髪用高分子)
アクリル系整髪用高分子は、皮膜を形成する性質を有し、髪型を維持可能なことが知られているものである。本実施形態の整髪用組成物には、一種又は二種以上のアクリル系整髪用高分子が配合される。本実施形態の整髪用組成物におけるアクリル系整髪用高分子の配合量は、0.5質量%以上10質量%未満が良く、1質量%以上7質量%未満が好ましく、2質量%以上5質量%未満がより好ましい。0.5質量%以上であると、ヘアスタイルのセット力に適し、10質量%未満であると、アクリル系整髪用高分子の十分な洗浄除去が容易となる。
【0016】
上記アクリル系整髪用高分子としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸を構成モノマーとして有するアニオン性アクリル系高分子が挙げられる。
【0017】
上記アニオン性アクリル系高分子としては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPなどが挙げられ、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPは、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットの配合による温水除去が優れる上に、耐水性に優れるので、湿度変化に伴う整髪持続性の低下の抑制を期待できる。本実施形態の整髪用組成物には、一種又は二種以上のアニオン性アクリル系高分子が配合されると良く、この整髪用組成物における上記アニオン性アクリル系高分子の配合量は、0.5質量%以上10質量%未満が良く、1質量%以上7質量%未満が好ましく、2質量%以上5質量%未満がより好ましい。0.5質量%以上であると、ヘアスタイルを固めるセット力に適し、10質量%未満であると、アクリル系整髪用高分子の十分な洗浄除去が容易となる。
【0018】
(ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸)
本実施形態の整髪用組成物には、ヒマシ油、イソステアリン酸などの液状脂肪酸、又は、ヒマシ油及びイソステアリン酸が配合される。ヒマシ油及び/又は液状脂肪酸を配合すれば、本実施形態の整髪用組成物を塗布してから数分後の整髪性が向上する。すなわち、アクリル系整髪用高分子を主とした整髪成分とする整髪用組成物を使用して整髪する場合、当該組成物の乾燥が進むにつれて整髪性が大きく低下する傾向があるが、この低下をヒマシ油及びイソステアリン酸、又は、イソステアリン酸の配合により抑制できる。また、ヒマシ油を配合すれば(イソステアリン酸の配合がなければ)、上記数分後の整髪性の向上に伴って生じやすい塗布後のべたつき及び塗布後の毛髪の指通りの悪化を抑制できる。
【0019】
本実施形態の整髪用組成物にヒマシ油及び/又はイソステアリン酸を配合する場合、ヒマシ油及びイソステアリン酸の配合量は、例えば2質量%以上8質量%未満である。
【0020】
(任意原料)
本実施形態の整髪用組成物には、上記の通り、公知の整髪用組成物に配合されている原料を任意に配合しても良い。この任意原料は、エタノール、アクリル系整髪用高分子以外の整髪用高分子、ノニオン界面活性剤、ヒマシ油以外の油脂、エステル油、高級アルコール、多価アルコール、香料、紫外線吸収剤などである。
【0021】
エタノールは、アクリル系整髪用高分子の溶剤として適する。本実施形態の整髪用組成物にエタノールを配合する場合、配合量は、例えば65質量%以上95質量%未満である。
【0022】
ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルは、整髪後のアクリル系整髪用高分子を温水除去する際の除去効率を高める。当該エステルは、公知のものであって、オレイン酸と酸化エチレンを付加重合したソルビトールとのテトラエステルである。
【0023】
本実施形態の整髪用組成物には、一種又は二種以上のポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルが配合される。本実施形態の整髪用組成物におけるポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルの配合量は、0.1質量%以上5質量%未満が良く、0.5質量%以上3質量%未満が好ましい。0.1質量%以上であると、アクリル系整髪用高分子の温水除去に好ましく、5質量%未満であると、セット力の低下抑制に適する。
【0024】
上記ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルは、酸化エチレンの平均付加モル数が25以上75以下のものが良く、35以上65以下のものが好ましい。25以上のものであると、アクリル系整髪用高分子の温水除去に好ましく、75以下のものであると、セット力の低下抑制に適する。
【0025】
上記ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルは、例えば、テトラオレイン酸ソルベス−30、テトラオレイン酸ソルベス−40、テトラオレイン酸ソルベス−60が挙げられる。
【0026】
(剤型)
本実施形態の整髪用組成物の剤型は、液状であると良い。液状であると、噴霧して毛髪に塗布する場合の剤型に適する。液状剤型である場合、B型粘度計を使用して25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば100mPa・s以下である。
【0027】
(使用方法)
本実施形態の整髪用組成物を使用する際、噴霧して毛髪に塗布される。この塗布では、本実施形態の整髪用組成物を液状の原液とし、この原液と噴射剤とを充填したエアゾール用容器から噴霧させると良い。上記の充填において、原液と噴射剤との質量比としては、例えば、原液:噴射剤=40:60〜80:20である。
【0028】
上記の充填において、噴射剤は公知のもので良く、例えば、プロパンとn-ブタン(ノルマルブタン)、プロパンとi−ブタン(イソブタン)、又は、プロパンとn−ブタンとi−ブタンなどの組合せガスである液化石油ガス(LPG);ジメチルエーテル(DME);が挙げられる。LPGとDMEを併用する場合、その質量比としては、例えば、LPG:DME=5:95〜90:10である。
【実施例】
【0029】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
実施例及び比較例の整髪用組成物を製造し、評価した。詳細は、以下の通りである。
【0030】
(実施例1〜2、比較例1〜4)
実施例1〜2、比較例1〜4の液状整髪用組成物を、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、ヒマシ油、パーシック油、イソステアリン酸、2−オクチルドデカノール、パルミチン酸2−エチルヘキシル、テトラオレイン酸ソルベス−60、及び、エタノールから選んだ成分を組み合せて配合し、製造した。このときの配合量は、下記表1の通りである。
【0031】
(評価:噴霧してから数分後の整髪性、噴霧直後のべたつき抑制、噴霧直後の指通り)
原液である実施例1〜2、比較例1〜4の整髪用組成物と、LPG:DME=20:80の質量比である噴射剤とを、原液:噴射剤=6:4の質量比でエアゾール容器に充填した。このエアゾール容器から、実施例1〜2及び比較例1〜4の整髪用組成物のいずれかを、ヘッドマネキンに植毛された毛髪に噴霧し、「噴霧してから数分後の整髪性」、「噴霧直後のべたつき抑制」、「噴霧直後の指通り」を評価した。「噴霧してから数分後の整髪性」の評価では、噴霧してから2〜3分後に意図する整髪が可能かを評価した。「噴霧直後のべたつき抑制」の評価では、噴霧直後の毛髪のべたつく感触が抑制されているかを評価した。「噴霧直後の指通り」の評価では、噴霧直後の毛髪の指通りが滑らかであるかを評価した。以上の評価における評価者数、評価基準は、以下の通りとした。
【0032】
評価者数:
実施例1、比較例1〜3:5名
比較例4〜5 :2名
【0033】
評価基準:
評価者5名の場合:
○ 基準と比較して、3名以上が良い。
― 基準と比較して、3名以上が同等。
× 基準と比較して、3名以上が悪い。
評価者2名の場合:
○ 基準と比較して、2名が良い。
― 基準と比較して、2名が同等。
× 基準と比較して、2名が悪い。
【0034】
下記表1に、原液組成、噴射剤組成を、評価結果と共に示す。
【表1】
【0035】
上記表1に示す通り、ヒマシ油又はイソステアリン酸を配合した実施例1〜2は、「噴霧してから数分後の整髪性」が優れる評価であった。この評価は、整髪する際の時間を長くとれることを意味する。また、「噴霧直後のべたつきの抑制」、「噴霧直後の指通り」について、ヒマシ油を配合した実施例1は、イソステアリン酸を配合した実施例2とは異なり、基準と同等の評価であった。
【0036】
上記実施例及び比較例とは別に、参考例の整髪用組成物を製造し、これら組成物で形成させた皮膜の水(温度:30℃以下)及び温水(温度:40℃程度)への溶解性の試験を行った。詳細は、次の通りである。
【0037】
(参考例1a〜1b、参考例2a〜2f、参考例3a〜3b)
参考例1a〜1b、参考例2a〜2f、参考例3a〜3bの液状整髪用組成物を、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、テトラオレイン酸ソルベス−60、テトラオレイン酸ソルベス−30、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)、及び、エタノールから選んだ成分を組み合せて配合し、製造した。このときの配合量は、下記表2〜4の通りである。
【0038】
(整髪用組成物で形成した皮膜の水への浸漬試験)
赤色227号色素で着色した参考例の整髪用組成物のいずれか1gを、縦7.5cm程度、横2.5cm程度のスライドガラスに滴下し、このガラス表面上に伸ばした。次に、そのスライドガラスを、設定温度50℃の恒温槽内に放置し、整髪用組成物の皮膜を形成させた。そして、スライドガラスの一部を水に30秒間浸漬し、浸漬してから1分程度経過した整髪用組成物の皮膜を目視確認した。
【0039】
(整髪用組成物で形成した皮膜の温水への浸漬試験)
水を、約40℃の温水に変更した以外は、上記「整髪用組成物で形成した皮膜の水への浸漬試験」と同様に、整髪用組成物を目視確認した。
【0040】
下記表2〜4に、参考例の整髪用組成物に配合した成分、配合量と共に、浸漬試験の結果を示す。なお、表1〜3における「評価」の項目は、基準と比較して、整髪用組成物皮膜の除去が進行している場合に「○」、同等である場合に「―」と評価した結果を示している。
【0041】
【表2】
【0042】
上記表2に示す通り、水に浸漬した場合、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(テトラオレイン酸ソルベス−60)の配合有無により、参考例1a及び1bの整髪用組成物で形成した皮膜の状態に差は認められなかった。一方で、温水に浸漬した場合、参考例1aの整髪用組成物で形成した皮膜だけに剥離が認められた。つまり、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットの配合により、整髪用組成物の温水除去効率が高まったといえる。
【0043】
【表3】
【0044】
上記表3に示す通り、参考例2a〜2bの整髪用組成物で形成した皮膜だけに剥離が認められた。つまり、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットの配合により、整髪用組成物の温水除去効率が高まったといえる。また、参考例2aと参考例2bを比べると、参考例2aの皮膜の剥離が進んでいた。従って、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットにおける酸化エチレンの平均付加モル数が多くなるにつれて、整髪用組成物の温水除去効率が高まるといえる。
【0045】
【表4】
【0046】
上記表4に示す通り、水に浸漬した場合、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(テトラオレイン酸ソルベス−60)の配合有無により、参考例3a及び3bの整髪用組成物で形成した皮膜の状態に差は認められなかった。一方で、温水に浸漬した場合、参考例3aの整髪用組成物で形成した皮膜による着色が薄くなっていた。つまり、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットの配合により、整髪用組成物の温水除去効率が高まったといえる。
【0047】
なお、表2の参考例1aと、表4の参考例3aとを比較すると、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPを配合した参考例1aでは皮膜の剥離が認められず、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPを配合した参考例3aでは皮膜の剥離が認められた。このことは、アクリル系整髪用高分子に関して、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPを配合した場合、耐水性に優れることを示す。