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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-112470(P2019-112470A)
(43)【公開日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】血流改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/15 20060101AFI20190621BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20190621BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20190621BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20190621BHJP
   A61K 31/401 20060101ALI20190621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190621BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20190621BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20190621BHJP
【FI】
   A61K36/15
   A61P9/00
   A61K31/198
   A61K31/405
   A61K31/401
   A61P43/00 121
   A23L33/105
   A23L33/175
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-79785(P2019-79785)
(22)【出願日】2019年4月19日
(62)【分割の表示】特願2015-99432(P2015-99432)の分割
【原出願日】2015年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】中島 千絵
(72)【発明者】
【氏名】長崎 歩
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 仁人
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD19
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086BC14
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA07
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZC75
4C088AB03
4C088AC06
4C088BA08
4C088BA14
4C088CA03
4C088CA04
4C088MA02
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA36
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA10
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA36
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】 血流改善効果の高い血流改善剤を提供すること。
【解決手段】 松樹皮抽出物と、グルタミン、リシン、システイン、ロイシン、アスパラギン、アスパラギン酸、イソロイシン、プロリン、及びトリプトファンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸とを有効成分として含有することを特徴とする血流改善剤である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮抽出物と、グルタミン、リシン、システイン、ロイシン、アスパラギン、アスパラギン酸、イソロイシン、プロリン、及びトリプトファンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸とを有効成分として含有することを特徴とする血流改善剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血流改善剤に係り、詳しくは、松樹皮抽出物及び特定の他の成分を有効成分とする血流改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会においては、運動不足やストレスによる自律神経失調等の様々な要因から、血液の循環(血流)の不調が問題となることが多い。この血流の不調(血流量の低下)は、頭痛、肩凝り、肌のくすみ、冷え性、むくみ等の様々な症状を引き起こすため、健康上、美容上の観点から、血流量を増加させ、血流を改善する方策が求められている。
【0003】
このような血流改善のための組成物として、例えば、ヒソップ抽出物(特許文献1参照)や、カシス濃縮物とアミノ酸または有機酸を含む組成物(特許文献2参照)や、カモミール抽出エキス(特許文献3参照)等が提案されている。
【0004】
一方、本件出願人は、松樹皮抽出物と黒胡椒抽出物とを含有する血流改善用組成物(特許文献4参照)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−8575号公報
【特許文献2】特開2004−262878号公報
【特許文献3】特開2005−68069号公報
【特許文献4】特開2012−051833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、高い血流改善効果を有する血流改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、松樹皮抽出物の血流改善能について鋭意調査・研究したところ、松樹皮抽出物と特定の他の成分とを組み合わせることにより、高い血流改善効果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、松樹皮抽出物と、血流改善能がほとんどないか、その能力が小さい特定の他の成分を組み合わせることにより、血流改善能を相乗的に向上させることができることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明は、松樹皮抽出物と、下記(a)〜(e)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とを有効成分として含有することを特徴とする血流改善剤に関する。
(a)長命草、黒ショウガ、ココヤシ、ショウガ、及びヒハツから選ばれる少なくとも1種の植物素材
(b)麦芽糖、フラクトオリゴ糖、トレハロース、還元パラチノース、還元麦芽糖、及びイソマルトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種の甘味料
(c)アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、リシン、プロリン、及びトリプトファンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸
(d)没食子酸及びクロロゲン酸から選ばれる少なくとも1種のポリフェノール
(e)ビタミンC、ナイアシン、葉酸、イノシトール、亜鉛、鉄、及びマグネシウムから選ばれる少なくとも1種のビタミン・ミネラル類
【0009】

本発明の血流改善剤は、松樹皮抽出物と(a)〜(e)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とからなる有効成分を添加して得たものであってもよい。
【0010】
本発明の血流改善剤において、松樹皮抽出物及び他の有効成分の配合質量比は、0.5:1〜70:1の範囲であることが好ましい。
また、本発明の血流改善剤は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、又は液剤であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、上記本発明の血流改善剤を摂取させることを特徴とする血流改善方法(ただし、医療行為を除く)に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の血流改善剤によれば、血流量を増加させ、高い血流改善効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+植物素材)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左上のグラフが、植物素材として長命草を用いたものであり、右上のグラフが、植物素材として黒ショウガを用いたものであり、左下のグラフが、植物素材としてココヤシ(ココナッツ)を用いたものであり、右下のグラフが、植物素材としてショウガを用いたものである。
図2】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+植物素材)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図であり、植物素材としてヒハツを用いたものである。
図3】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+甘味料)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左上のグラフが、甘味料として麦芽糖を用いたものであり、右上のグラフが、甘味料としてフラクトオリゴ糖を用いたものであり、左下のグラフが、甘味料としてトレハロースを用いたものであり、右下のグラフが、甘味料として還元パラチノースを用いたものである。
図4】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+甘味料)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左のグラフが、甘味料として還元麦芽糖を用いたものであり、右のグラフが、甘味料としてイソマルトオリゴ糖を用いたものである。
図5】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+アミノ酸)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左上のグラフが、アミノ酸としてアスパラギンを用いたものであり、右上のグラフが、アミノ酸としてアスパラギン酸を用いたものであり、左下のグラフが、アミノ酸としてシステインを用いたものであり、右下のグラフが、アミノ酸としてグルタミンを用いたものである。
図6】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+アミノ酸)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左上のグラフが、アミノ酸としてイソロイシンを用いたものであり、右上のグラフが、アミノ酸としてロイシンを用いたものであり、左下のグラフが、アミノ酸としてリシン(リシン−塩酸塩)を用いたものであり、右下のグラフが、アミノ酸としてプロリンを用いたものである。
図7】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+アミノ酸)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図であり、アミノ酸としてトリプトファンを用いたものである。
図8】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+ポリフェノール)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左のグラフが、ポリフェノールとして没食子酸を用いたものであり、右のグラフが、ポリフェノールとしてクロロゲン酸を用いたものである。
図9】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+ビタミン・ミネラル類)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左上のグラフが、ビタミン類としてビタミンCを用いたものであり、右上のグラフが、ビタミン類としてナイアシンを用いたものであり、左下のグラフが、ビタミン類として葉酸を用いたものであり、右下のグラフが、ビタミン類としてイノシトールを用いたものである。
図10】本発明の血流改善剤(松樹皮抽出物+ビタミン・ミネラル類)をブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)に適用した場合のNO産生量の結果を示す図である。左上のグラフが、ミネラル類として亜鉛を用いたものであり、右上のグラフが、ミネラル類として鉄を用いたものであり、左下のグラフが、ミネラル類としてマグネシウムを用いたものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の血流改善剤は、松樹皮抽出物と、下記(a)〜(e)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分(以下、他成分ということがある)とを有効成分として含有することを特徴とする。本発明の血流改善剤は、かかる有効成分の組合せの相乗効果により、より有効に、血管周辺の筋肉を弛緩させて血管を拡張し、血流量を増加させることができ、頭痛、肩凝り、肌のくすみ、冷え症等の症状を効果的に予防ないし改善することができる。
【0015】
[松樹皮抽出物]
本発明の血流改善剤の有効成分となる松樹皮抽出物は、主な成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン−3−オールおよび/又はフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群である。
【0016】
本発明に用いられる松樹皮抽出物の原料としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ等を挙げることができ、これらの中でも、フランス海岸松が好ましい。得られた抽出物は、必要に応じて濃縮又は乾燥して、液状、ペースト状、又は粉末としてもよい。また、松樹皮抽出物は、市販品を用いることができ、例えば、株式会社東洋新薬製の松樹皮抽出物を用いることができる。
【0017】
また、本発明に用いられる松樹皮抽出物は、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有されていることが好ましい。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、例えば、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)であり、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)が好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。本明細書では、重合度が2〜4の重合体を、OPC(oligomeric proanthocyanidin)という。本発明に用いられる松樹皮抽出物は、OPCを20質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、40質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0018】
松樹皮抽出物は、松の樹皮を水又は有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には温水・熱水が好ましく用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール等の食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。特に、水、エタノール、含水エタノール等が好ましく用いられる。
【0019】
松樹皮から松樹皮抽出物を抽出する方法としては、特に制限はないが、例えば、加温抽出法や超臨界流体抽出法等の抽出法が用いることができる。松樹皮抽出物の抽出方法においては、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。
【0020】
[他成分]
(a)植物素材
本発明の血流改善剤においては、松樹皮抽出物と共に、有効成分として、長命草、黒ショウガ、ココヤシ、ショウガ、及びヒハツから選ばれる少なくとも1種の植物素材を用いることが好ましい。
【0021】
これらの植物素材は、葉、茎、根、花、実、幹、枝等、植物のいずれの部位であってもよく、植物素材そのもの(乾燥物を含む)の他、その粉砕物、搾汁、抽出物等の植物素材処理物を用いることができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することに得ることができ、溶媒としては、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。これらの植物素材は、市販されているものを使用することができる。
【0022】
長命草は、セリ科カワラボウフウ属に属するボタンボウフウとも呼ばれる多年草植物である。本発明の植物素材として用いる部位としては、葉、根が好ましい。
【0023】
黒ショウガは、学名をKaempferia Parvifloraといい、東南アジアに自生するショウガ科バンウコン属の植物である。本発明の植物素材として用いる部位としては、根茎が好ましい。
【0024】
ココヤシは、ヤシ科の植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、果実(胚乳)が好ましい。
【0025】
ショウガは、ショウガ科ショウガ属の植物であり、例えば、三州生姜、黄生姜、金時生姜、谷中生姜を挙げることができる。本発明の植物素材として用いる部位としては、根茎が好ましい。
【0026】
ヒハツは、コショウ科の植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、果実が好ましい。
【0027】
(b)甘味料
本発明の血流改善剤においては、松樹皮抽出物と共に、有効成分として、麦芽糖、フラクトオリゴ糖、トレハロース、還元パラチノース、還元麦芽糖、及びイソマルトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種の甘味料を用いることが好ましい。本発明の甘味料とは、甘味を呈するものを意味し、甘味料としての使用目的に限定されない。
【0028】
(c)アミノ酸
本発明の血流改善剤においては、松樹皮抽出物と共に、有効成分として、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、リシン、プロリン、及びトリプトファンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸(塩を含む)を用いることが好ましい。塩としては、例えば、ナトリウム塩、塩酸塩等を挙げることができる。
【0029】
(d)ポリフェノール
本発明の血流改善剤においては、松樹皮抽出物と共に、有効成分として、没食子酸及びクロロゲン酸から選ばれる少なくとも1種のポリフェノールを用いることが好ましい。
【0030】
(e)ビタミン・ミネラル類
本発明の血流改善剤においては、松樹皮抽出物と共に、有効成分として、ビタミンC、ナイアシン、葉酸、イノシトール、亜鉛、鉄、及びマグネシウムから選ばれる少なくとも1種のビタミン・ミネラル類を用いることが好ましい。なお、本発明のミネラル類としての亜鉛、鉄、及びマグネシウムは、これらの金属を含む化合物の形態を含む。
【0031】
本発明の血流改善剤は、松樹皮抽出物及び所定の他成分を含有し、血流改善に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに血流改善作用の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、飼料等を挙げることができる。いわゆる健康食品においては、「めぐりを良くする」、「むくみが気になる方に」、「肌の色が気になる方に」、「目のくまが気になる方に」、「血管機能を高める」、「血管のしなやかさを高める」等を表示したものを例示することができる。
【0032】
本発明の血流改善剤の形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント粉末飲料、インスタント顆粒飲料を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0033】
本発明の血流改善剤における松樹皮抽出物及び他成分(有効成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0034】
一般的には、本発明の血流改善剤が医薬品やサプリメント(錠剤,カプセル剤)の場合には、有効成分が乾燥質量換算で全体の0.0001〜100質量%含まれていることが好ましく、0.1〜85質量%含まれていることがより好ましく、0.5〜70質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0035】
本発明の血流改善剤が容器詰飲料(液剤)である場合には、有効成分が乾燥質量換算で全体の0.0001〜15質量%含まれていることが好ましく、0.001〜12.5質量%含まれていることがより好ましく、0.01〜10質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0036】
また、本発明の血流改善剤がインスタント粉末飲料(粉末剤)、インスタント顆粒飲料(顆粒剤)である場合には、有効成分が乾燥質量換算で全体の0.001〜80質量%含まれていることが好ましく、0.005〜70質量%含まれていることがより好ましく、0.1〜60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、有効成分が乾燥質量換算で本発明の血流改善剤全体(水分を除く)の80%以上含まれていることが好ましく、90%以上含まれていることがより好ましく、95%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。さらに、本発明の血流改善剤が成分(a)〜(e)のいずれかを含有する場合、その含有される成分は、本発明における有効成分のみで構成されることが好ましい。すなわち、本発明の血流改善剤が例えば成分(a)(植物素材)を含む場合には、長命草、黒ショウガ、ココヤシ、ショウガ、ヒハツ以外の植物素材を含まないように構成することが好ましい。
【0038】
本発明の血流改善剤の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、1日当たりの有効成分の摂取量が、0.1mg/日以上となるように摂取することが好ましく、1mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、10mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましく、40mg/日以上となるように摂取することが特に好ましい。その上限は特に制限されないが、例えば、4g/日であり、好ましくは2g/日である。
【0039】
本発明の血流改善剤は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2〜3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0040】
松樹皮抽出物及び他成分の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.5:1〜70:1の範囲であることが好ましく、0.75:1〜60:1の範囲であることがより好ましく、1:1〜60:1の範囲であることがさらに好ましく、1:1〜50:1の範囲であることが特に好ましい。松樹皮抽出物及び他成分の配合比が、上記範囲であることにより、本発明の効果をより有効に発揮することができる。
【0041】
本発明の血流改善剤は、必要に応じて、経口用として許容される有効成分以外の成分を添加して、公知の製剤方法によって製造することができる。
【0042】
また、本発明の血流改善剤としては、有効成分を含有する血流改善用食品の他、食品に対して有効成分を添加して得た血流改善用食品を挙げることができ、例えば、通常の食品に比して本発明の有効成分含有量を増加させた食品や、本発明の有効成分を通常含まない食品に対して有効成分を添加した食品を挙げることができる。有効成分の添加は、それぞれの成分を別々に添加してもよいし、同時に添加してもよく、また、有効成分以外の他の成分と共に添加してもよい。
【0043】
本発明の血流改善用食品としては、例えば、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、スムージー、青汁等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、ヨーグルト等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及びその加工食品;ソース、醤油等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、牛丼、ハヤシライス、オムライス、おでん、マーボドーフ、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール、各種ソース、各種スープ等のレトルトパウチ食品などを挙げることができる。
【0044】
本発明の血流改善方法としては、上記説明した本発明の血流改善剤を摂取させることを特徴とするが、医療行為は含まれない。本発明の方法としては、例えば、レストラン等の飲食店において、本発明の血流改善用食品を提供することにより、血流の改善を図る方法を挙げることができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
1.細胞培養
(1)37℃、5%COインキュベーター内で、75cmフラスコを用いて、ブタ肺動脈血管内皮細胞(PPAEC)を10%FBS−RPMI 1640により培養した。
(2)トリプシン処理により浮遊させた細胞を75cmフラスコから96well plateの各wellに1.0×10cells/wellの細胞密度で播種した。
(3)37℃、5%COインキュベーター内で48時間前培養した。
(4)各wellより培地を除去後、4%FBS−αMEMにて所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μLずつ添加し、COインキュベーター内で16時間培養した。
【0046】
なお、松樹皮抽出物と他成分の併用サンプルについては、それぞれ2倍濃度の被験物質含有培地を50μLずつ添加することで目的の濃度とした。また、controlについては、被験物質をDMSOに溶解したものに対しては0.25%DMSO含有4%FBS−αMEMを用いて調製し、その他の被験物質に対しては4%FBS−αMEMを用いて調製した。
【0047】
松樹皮抽出物については、フランス海岸松の樹皮の熱水抽出物(乾燥粉末)を用いた。松樹皮抽出物と共に用いる他成分としては、表1〜表5に示す物質を用いた。
【0048】
2.NO産生量の評価
(1)16時間培養後、培養上清50μLを1.5mLサンプルチューブに回収し、N=3のサンプルを混合した。
(2)4℃、2000gで3分間遠心し、上清を別の1.5mLエッペンチューブに移した。
(3)Nitrate/Nitrite Assay Kit,Fluorometric(Cayman製)を用いて、(2)のサンプル中のNO濃度(μM)を測定した。なお、血管内皮細胞から産生されるNOは、血管周辺の筋肉を弛緩させて血管を拡張する作用を有する。
(4)算出したNO濃度をもとに「% of control」を算出した。
【0049】
% of control
=試料のNO濃度(μM)/controlのNO濃度(μM)×100
【0050】
その結果を表1〜表5、及び図1図10に示す。各図は、左から、「コントロール(添加なし)」、「松樹皮抽出物の単独添加」、「他成分の単独添加」、「松樹皮抽出物+他成分添加」の結果を表す。また、グラフ下部の説明における数値は、サンプル濃度を示し、例えば、図1の左上のグラフの「松_5」は、松樹皮抽出物5(μg/mL)を示す。添加成分の濃度単位は、すべてのグラフにおいて、μg/mLである。縦軸は「% of control」を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
長命草については、葉の乾燥粉砕末を用いた。
黒ショウガについては、黒ショウガの根茎の60%エタノール抽出物(乾燥粉末)を用いた。
ココナッツについては、市販のココナッツミルクを乾燥後、油分を除いたものを用いた。
ショウガについては、ショウガの根茎の熱水抽出物(乾燥粉末)を用いた。
ヒハツについては、果実の乾燥粉末を用いた。
ヨモギについては、生葉の微粉砕末を用いた。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
表1〜表3、及び図1図10に示すように、松樹皮抽出物と、本発明の特定の他成分を組み合わせることにより、NOの産生量が相乗的に増加した。したがって、本発明の血流改善剤によれば、血管の拡張が促進され、有効に血流の改善を図ることができる。
【0058】
[実施例2](錠剤の製造)
下記成分からなるタブレット(500mg)を製造した。
還元麦芽糖 5質量%
コラーゲンペプチド 15質量%
大豆タンパク質 15質量%
でんぷん 15質量%
松樹皮抽出物 8質量%
ショウガ抽出物 4質量%
ヒハツ抽出物 1質量%
ビタミンC 1質量%
葉酸 1質量%
没食子酸 1質量%
セルロース 2質量%
二酸化ケイ素 2質量%
ステアリン酸カルシウム 1質量%
【0059】
[実施例3](カプセル剤の製造)
下記混合物をソフトカプセルに封入し、カプセル剤を製造した。
ココナッツミルク末 100mg
イソマルトオリゴ糖 50mg
麦芽糖 50mg
松樹皮抽出物 20mg
二酸化ケイ素 10mg
ナイアシン 0.5mg
マグネシウム 1mg
【0060】
[実施例4](顆粒剤の製造)
下記成分を混合して常法により顆粒剤を製造した。
フラクトオリゴ糖 20g
イソマルトオリゴ糖 20g
ショ糖脂肪酸エステル 2g
二酸化ケイ素 1g
松樹皮抽出物 0.4g
クロロゲン酸 0.1g
システイン 0.001g
グルコン酸亜鉛 0.001g
【0061】
[実施例5](インスタント粉末剤の製造)
下記成分を混合して常法によりインスタント粉末(10g)を製造した。
トレハロース 0.1g
還元パラチノース 0.1g
ショ糖脂肪酸エステル 2g
長命草乾燥末 2g
黒ショウガ 1g
松樹皮抽出物 0.4g
没食子酸 0.02g
グルタミン 0.01g
グルコン酸亜鉛 0.001g
塩化鉄 0.001g
ステアリン酸カルシウム 残部
【0062】
[実施例6](液剤の製造)
下記成分からなる液剤(500mL)を製造した。
黒ショウガ抽出物 1.0質量%
麦芽糖 0.3質量%
松樹皮抽出物 0.08質量%
ロイシン 0.05質量%
イソロイシン 0.02質量%
アスパラギン 0.01質量%
アスパラギン酸 0.01質量%
プロリン 0.01質量%
トリプトファン 0.01質量%
ビタミンC 0.001質量%
ビタミンE 0.001質量%
水 残量
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の血流改善剤は、血流を改善する効果を有し、経口剤として用いることができることから、本発明の産業上の有用性は高い。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10