【課題】吸収速度が初期遅く、中期普通、後期速いという速度パターンであり、かつ膨潤ゲルの通液性が高い吸収性樹脂粒子、及び、薄型紙おむつにおいてもカブレ等の問題を生じない吸収性物品を提供する。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を含む吸収性樹脂粒子であってDemand Wettability試験法において、吸収性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する吸収量が2gに達するまでの時間(t1)と、吸収量が20gに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が2〜20であり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上である、吸収性樹脂粒子。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を含む吸収性樹脂粒子であって、Demand Wettability試験法において、吸収性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する吸収量が2gに達するまでの時間(t1)と、吸収量が20gに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が2〜20であり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率が40darcies以上である、吸収性樹脂粒子。
炭素数8〜30の脂肪酸エステル、炭素数8〜30の脂肪酸及びその塩、炭素数8〜30の脂肪族アルコール、並びに炭素数8〜30の脂肪族基含有アミドの群から選ばれる少なくとも一種である疎水性物質(C1)と、有機ポリシロキサンである疎水性物質(C2)とを含有してなる請求項1又は2に記載の吸収性樹脂粒子。
疎水性物質(C1)がソルビットステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Alの群から選ばれる少なくとも一種である請求項3に記載の吸収性樹脂粒子。
疎水性物質(C2)がポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサンの群から選ばれる少なくとも一種である請求項3〜5のいずれか1項に記載の吸収性樹脂粒子。
吸収性樹脂粒子の内部に存在する疎水性物質(C1)の含有量が、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01〜10.0重量%である請求項3〜6のいずれか1項に記載の吸収性樹脂粒子。
吸収性樹脂粒子の表面に存在する疎水性物質(C1)及び疎水性物質(C2)の合計含有量が、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜1.0重量%である請求項3〜7のいずれか1項に記載の吸収性樹脂粒子。
生理食塩水のCRC試験法による遠心保持量が25〜36g/gであり、Vortex試験法で測定された吸収速度が40秒以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性樹脂粒子。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0007〜0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)、特開2003−165883号公報の0009〜0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー、特開2005−75982号公報の0041〜0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマー)のビニルモノマー等が使用できる。
【0014】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a2)となるビニルモノマー(a2)(以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。)は特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0024〜0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005−75982号公報の0052〜0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基(1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−CO−O−CO−)基、アシル基及びシアノ基等)を有するビニルモノマー)のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、当業者に周知の概念であるが、数値を用いて表すなら、例えば、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解は、当業者に周知の概念であるが、より具体的に表すなら、例えば、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解されることを意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸収性樹脂組成物の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
【0015】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましい。更に好ましくはアニオン性ビニルモノマー、より好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマーである。これらのなかでは、より好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0016】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH
4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0017】
単量体組成物が水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成成分とする場合、1種類を単独で構成成分としてもよく、また、必要により2種以上を構成成分としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成成分とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成成分とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0018】
前記の単量体組成物には、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成成分とすることができる。その他のビニルモノマー(a3)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0028〜0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0020】
その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計モル数に基づいて、0〜5が好ましく、更に好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2、とりわけ好ましくは0〜1.5であり、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0021】
内部架橋剤(b)としては特に限定はなく、公知(たとえば、特許第3648553号公報の0031〜0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003−165883号公報の0028〜0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤、反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005−75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー、特開2005−95759号公報の0015〜0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤が使用できる。これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0022】
単量体組成物に含まれる内部架橋剤(b)の含有量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計重量に基づいて、0.05〜0.7が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6、特に好ましくは0.15〜0.5である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0023】
架橋重合体(A)の製造方法としては、前記の単量体組成物を用いて公知の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等)や、公知の逆相懸濁重合(特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等)と同様にして製造することができる。重合方法のうち、好ましくは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましくは水溶液重合法である。
【0024】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能がさらに良好となる。
【0025】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜9、最も好ましくは3〜8である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後の架橋重合体(A)の壊れ性がさらに良好となる。
【0026】
水溶液重合法によって架橋重合体(A)と水とからなる含水ゲルが得られる。得られた含水ゲルは、必要に応じて細断して用いることができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、後述する溶媒(水を含む。)の留去が容易となり好ましい。
【0027】
細断は、公知の方法で行うことができ、公知の細断装置(たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。
【0028】
なお、有機溶媒の含有量及び水分量は、赤外水分測定器((株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W)により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0029】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0030】
水溶性ビニルモノマー(a1)としてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、含水ゲルを塩基で中和しても良い。酸基の中和度は、50〜80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸水性樹脂粒子の保水量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。
なお、中和は、吸水性樹脂粒子の製造において、架橋重合体(A)の重合以降のいずれの段階で行ってもよく、例えば、含水ゲルの状態で中和する等の方法が好ましい例として例示される。
中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。
【0031】
架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0032】
含水ゲルを乾燥して架橋重合体(A)を得た後、更に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、公知の粉砕装置(たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕した後、更に必要によりふるい分け等により粒度調整して用いることができる。
【0033】
ふるい分けして粒度調整を行った場合、ふるい分けを行った後に得られた架橋重合体(A)の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0034】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75m及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙(横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率)にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0035】
また、架橋重合体(A)に含まれる微粒子の含有量は、吸収性能の観点から、架橋重合体(A)に含まれる106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は架橋重合体(A)の合計重量に基づいて3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0036】
架橋重合体(A)の見掛け密度(単位はg/ml。以下同様。)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0037】
架橋重合体(A)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0038】
架橋重合体(A)は、必要に応じて、表面架橋剤(d)により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋剤(d)としては、公知{特開昭59−189103号公報、特開昭58−180233号公報、特開昭61−16903号公報、特開昭61−211305号公報、特開昭61−252212号公報、特開昭51−136588号公報及び特開昭61−257235号公報等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらのうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0039】
表面架橋剤(d)の使用量(重量%)は、表面架橋剤(d)の種類、架橋させる条件及び目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、架橋重合体(A)の合計重量に基づいて、0.03〜0.5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3、特に好ましくは0.08〜0.2である。
【0040】
表面架橋する工程は、架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合し、更に加熱することで行うことができ、公知(たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報に記載の表面架橋処理方法)の方法で行うことができる。
【0041】
表面架橋する工程として好ましい方法としては、架橋重合体(A)を撹拌しながら、表面架橋剤(d)の水溶液を架橋重合体(A)の表面に噴霧し、その後撹拌した状態または静置した状態で100〜200℃(好ましくは120℃〜160℃)に加熱する方法が挙げられる。表面架橋剤(d)の水溶液を架橋重合体(A)の表面に噴霧する場合、噴霧する水溶液に含まれる表面架橋剤(d)の濃度は、表面架橋剤(d)の種類により調整することができるが、吸収特性の観点等から、0.1〜10重量%であることが好ましい。噴霧する水溶液の液量は、表面架橋の均一性の観点から、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.5〜15重量%であることが好ましい。表面架橋する工程のうち、撹拌下にある架橋重合体(A)に表面架橋剤(d)の水溶液を噴霧することは、公知の流動式加湿混合造粒装置[フレキソミックス(ホソカワミクロン社製)及びシュギフレキソミックス((株)パウレック製)等]及び公知の粉体混合機[V型混合機、ヘンシェルミキサー及びタービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)等]に公知の噴霧装置を取り付けた混合装置等を用いて行うことができる。
【0042】
表面架橋する工程のうち、撹拌した状態で100〜200℃に加熱することは、表面架橋剤を噴霧した架橋重合体(A)を、加熱装置を付属した公知の撹拌装置(双腕型ニーダー等)を用いて加熱しながら撹拌することで行うことができる。表面架橋する工程のうち、静置した状態で100〜200℃に加熱することは、公知の加熱乾燥装置(循風乾燥機等)を用いて行うことができる。100〜200℃に加熱する場合の加熱時間は、通常3〜60分であり、好ましくは10〜40分である。
【0043】
なお、架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合する方法としては、表面架橋剤(d)の水溶液を噴霧する方法以外に、架橋重合体(A)を表面架橋剤(d)の水溶液に浸漬する方法を用いることもできる。架橋重合体(A)を表面架橋剤(d)の水溶液に浸漬した場合、その後撹拌しながら加熱する方法で表面架橋を行うことができる。
【0044】
本発明の吸収性樹脂粒子は、上記特定且つ適切な吸収速度パターンの観点から、さらに疎水性物質(C1)を含有することが好ましい。
【0045】
疎水性物質(C1)としては、長鎖(炭素数8〜30)脂肪酸エステル、長鎖(炭素数8〜30)脂肪酸及びその塩、長鎖(炭素数8〜30)脂肪族アルコール、長鎖(炭素数8〜30)脂肪族基含有アミド及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0046】
長鎖(炭素数8〜30)脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。
【0047】
長鎖(炭素数8〜30)脂肪酸及びその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Zn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。
【0048】
長鎖(炭素数8〜30)脂肪族アルコールとしては、炭素数8〜30の脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0049】
長鎖(炭素数8〜30)脂肪族基含有アミドとしては、炭素数8〜30の脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の脂肪酸とのアミド化物、炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の脂肪酸とのアミド化物等の炭素数8〜30の脂肪族基含有アミドが挙げられる。
炭素数8〜30の脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、酢酸N−オクチルアミド、酢酸N−ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N−オクチルアミド、二酢酸N−ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物の場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0050】
アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N−ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N−メチルアミド、ヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N−メチルアミド、ジノナン酸N−ヘプチルアミド、ジオクタデカン酸アミド、ジオクタデカン酸N−エチルアミド、ジオクタデカン酸N−ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N−メチルアミド、ジヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物としては、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0051】
炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N−メチルオクチルアミド、酢酸N−メチルヘキサコシルアミド、酢酸N−オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N−ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0052】
疎水性物質(C1)のHLB値は、1〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜7である。この範囲であると、吸収性物品の耐モレ性がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0053】
疎水性物質(C1)のうち吸収性物品の耐モレ性の観点から、ソルビットステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn及びステアリン酸Al、特に好ましくはショ糖ステアリン酸エステル及びステアリン酸Mgであり、最も好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステルが好ましい。
【0054】
疎水性物質(C1)は吸収性樹脂粒子の何れの箇所に存在していてもよく、例えば、吸収性樹脂粒子の表面に存在してもよく、あるいは吸収性樹脂粒子の内部に存在してもよく、吸収性樹脂粒子の内部及び表面に存在してもよい。好ましくは吸収性樹脂粒子の、少なくとも、内部に存在する。吸収性樹脂粒子内部に大部分の疎水性物質(C1)が存在することが好ましいが、その一部が表面に存在してもよい。吸収性樹脂粒子の内部に存在する疎水性物質(C1)の含有量(重量%)は、吸収性物品の耐カブレ性及び吸収性物品の耐モレ性の観点から、架橋重合体(A)の重量に基づいて、通常、0.01〜10.0重量%であり、好ましくは0.01〜5.0、さらに好ましくは0.05〜2.0、特に好ましくは0.1〜1.0である。
吸収性樹脂粒子の表面に存在する疎水性物質(C1)の含有量(重量%)は、吸収性物品の耐カブレ性及び吸収性物品の耐モレ性の観点から、架橋重合体(A)の重量に基づいて、通常、0.001〜1.0であり、好ましくは0.005〜0.5、さらに好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.01〜0.1である。
【0055】
吸収性樹脂粒子内部に疎水性物質(C1)が存在し、一部が表面に存在する構造は、吸収性樹脂粒子を、(1)疎水性物質(C1)と架橋重合体(A)の含水ゲルとを混合・混練する方法、または(2)疎水性物質(C1)の存在下、構成単位を重合させて架橋重合体(A)の含水ゲルを得る方法により製造され得る。
【0056】
(1)の方法において、疎水性物質(C1)の形状としては、粉砕物、ビーズ、棒状又は繊維状に加工したものを用いることができる。吸収性物品の耐モレ性等の観点から、好ましくは、粉砕物又はビーズであり、より好ましくはビーズである。疎水性物質(C1)の体積平均粒子径(μm)は、0.5〜100が好ましく、さらに好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜20である。
【0057】
架橋重合体(A)と疎水性物質(C1)との混合方法としては、疎水性物質(C1)が、架橋重合体(A)の少なくとも内部に存在するように混合されれば制限がない。しかし、疎水性物質(C1)は、架橋重合体(A)の乾燥体ではなく、(A)の含水ゲル又は(A)の重合液と混合されることが好ましく、さらに好ましくは(A)の含水ゲルと混合されることである。なお、混合は、練り込むように均一混合することが好ましい。
水溶液重合法により架橋重合体(A)を得るとき、疎水性物質(C1)と(A)とを混合・混練するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(C1)の存在下で、(A)を製造する}、重合工程直後、含水ゲルの破砕(ミンチ)中及び含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中が好ましく、さらに好ましくは含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中である。また、疎水性物質(C1)が長鎖脂肪酸塩の場合、通常、長鎖脂肪酸塩そのものを用いるが、この添加工程で長鎖脂肪酸と金属の水酸化物を混合していれてもよいし、個別にいれてもよい。
【0058】
逆相懸濁重合法又は乳化重合により架橋重合体(A)を得るとき、疎水性物質(C1)と(A)とを混合するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(C1)の存在下で、(A)を製造する}、重合工程直後、脱水工程中(水分10重量%前後まで脱水する工程中)、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中、含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中が好ましく、さらに好ましくは重合工程中、重合工程直後である。
【0059】
含水ゲルの破砕中又は乾燥中に混合する場合、混合装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の公知の装置が使用できる。重合液中で混合する場合、ホモミキサー、バイオミキサー等の比較的攪拌力の高い装置を使用できる。また、含水ゲルの乾燥中で混合する場合、SVミキサー等の混練装置も使用できる。
【0060】
混合温度(℃)は、(C1)を添加する工程により適宜調整することができる。例えば、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中に添加・混合する場合の混合温度(℃)は、20〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜80である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収特性がさらに良好となる。
【0061】
疎水性物質(C1)の存在下で、架橋重合体(A)を製造する(2)の方法において、架橋重合体(A)の重合液に疎水性物質(C1)を均一に溶解又は乳化(分散)させておくことが好ましい。疎水性物質(C1)が均一になり難い場合は、さらに含水ゲルの破砕工程中において均一にすることもできる。(A)の重合の進行と共に(C1)を析出させながら行うことができる。疎水性物質(C1)の存在下で重合を行うこと以外、重合方法は、架橋重合体(A)の場合と同様である。
【0062】
本発明の吸収性樹脂粒子は膨潤ゲル通液性の観点から、さらに疎水性物質(C2)を含有することが好ましい。
【0063】
疎水性物質(C2)としては有機ポリシロキサンが用いられ、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等の有機ポリシロキサンが含まれる。
【0064】
変性シリコーン{ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン及びアミノ変性ポリシロキサン等}の有機基(変性基)の位置としては特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点等から、ポリシロキサンの側鎖及びポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0065】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2〜40が好ましく、さらに好ましくは5〜30、特に好ましくは7〜20、最も好ましくは10〜15である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、ポリシロキサンの重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0066】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF−6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6191{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4952{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4272{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−7006{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2166{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2164{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ−2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0067】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200〜11000が好ましく、さらに好ましくは600〜8000、特に好ましくは1000〜4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0068】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−3701E{側鎖、4000}、X−22−162C{両末端、2300}、X−22−3710{片末端、1450}
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY 16−880{側鎖、3500}、BY 16−750{両末端、750}、BY 16−840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0069】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−343{側鎖、525}、KF−101{側鎖、350}、KF−1001{側鎖、3500}、X−22−2000{側鎖、620}、X−22−2046{側鎖、600}、KF−102{側鎖、3600}、X−22−4741{側鎖、2500}、KF−1002{側鎖、4300}、X−22−3000T{側鎖、250}、X−22−163{両末端、200}、KF−105{両末端、490}、X−22−163A{両末端、1000}、X−22−163B{両末端、1750}、X−22−163C{両末端、2700}、X−22−169AS{両末端、500}、X−22−169B{両末端、1700}、X−22−173DX{片末端、4500}、X−22−9002{側鎖・両末端、5000}
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3720{側鎖、1200}、BY 16−839{側鎖、3700}、SF 8411{側鎖、3200}、SF 8413{側鎖、3800}、SF 8421{側鎖、11000}、BY 16−876{側鎖、2800}、FZ−3736{側鎖、5000}、BY 16−855D{側鎖、180}、BY 16−8{側鎖、3700}
【0070】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−865{側鎖、5000}、KF−864{側鎖、3800}、KF−859{側鎖、6000}、KF−393{側鎖、350}、KF−860{側鎖、7600}、KF−880{側鎖、1800}、KF−8004{側鎖、1500}、KF−8002{側鎖、1700}、KF−8005{側鎖、11000}、KF−867{側鎖、1700}、X−22−3820W{側鎖、55000}、KF−869{側鎖、8800}、KF−861{側鎖、2000}、X−22−3939A{側鎖、1500}、KF−877{側鎖、5200}、PAM−E{両末端、130}、KF−8010{両末端、430}、X−22−161A{両末端、800}、X−22−161B{両末端、1500}、KF−8012{両末端、2200}、KF−8008{両末端、5700}、X−22−1660B−3{両末端、2200}、KF−857{側鎖、2200}、KF−8001{側鎖、1900}、KF−862{側鎖、1900}、X−22−9192{側鎖、6500}
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3707{側鎖、1500}、FZ−3504{側鎖、1000}、BY 16−205{側鎖、4000}、FZ−3760{側鎖、1500}、FZ−3705{側鎖、4000}、BY 16−209{側鎖、1800}、FZ−3710{側鎖、1800}、SF 8417{側鎖、1800}、BY 16−849{側鎖、600}、BY 16−850{側鎖、3300}、BY 16−879B{側鎖、8000}、BY 16−892{側鎖、2000}、FZ−3501{側鎖、3000}、FZ−3785{側鎖、6000}、BY 16−872{側鎖、1800}、BY 16−213{側鎖、2700}、BY 16−203{側鎖、1900}、BY 16−898{側鎖、2900}、BY 16−890{側鎖、1900}、BY 16−893{側鎖、4000}、FZ−3789{側鎖、1900}、BY 16−871{両末端、130}、BY 16−853C{両末端、360}、BY 16−853U{両末端、450}
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0071】
疎水性物質(C2)の粘度(mPa・s、25℃)は、10〜5000が好ましく、さらに好ましくは15〜3000、特に好ましくは20〜1500である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、粘度は、JIS Z8803−1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい−平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠して測定される{たとえば、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10
−2radの円すい型コーン)を用いて測定される。}
【0072】
疎水性物質(C2)は吸収性樹脂粒子の表面に存在していることが好ましい。吸収性樹脂粒子の表面に存在する疎水性物質(C2)の含有量(重量%)は、吸収性物品の耐カブレ性及び吸収性物品の耐モレ性の観点から、架橋重合体(A)の重量に基づいて、通常、0.001〜1.0であり、好ましくは0.005〜0.1、さらに好ましくは0.01〜0.05である。
【0073】
疎水性物質(C2)が吸収性樹脂粒子の表面に存在している構造は、吸収性樹脂粒子を、疎水性物質(C2)と架橋重合体(A)の紛体を混合する方法により製造され得る。この製造方法によれば、通常、疎水性物質(C2)は実質的に吸収性樹脂粒子の表面のみに存在している。
【0074】
架橋重合体(A)と疎水性物質(C2)との混合方法としては、疎水性物質(C2)が架橋重合体(A)の表面に存在するように混合されれば制限がない。疎水性物質(C2)と架橋重合体(A)とを混合・混練するタイミングとしては特に制限はないが、含水ゲルの乾燥後の表面架橋工程や表面架橋後の後処理等が挙げられる。これらのうち吸収性物品の耐モレ性等の観点から、表面架橋工程中が好ましい。疎水性物質(C2)は官能基を修飾したポリシロキサン構造を有する疎水性物質の場合、1種類の変性体を添加してもよいし、複数種の変性体を混合して添加してもよい。
【0075】
なお、本発明の樹脂粒子において、表面に存在する疎水性物質は、一般的には、(C1)のみの場合や、(C2)を併用した場合に(C2)のみの場合があり得るが、添加した(C1)の一部は表面にブリードアウトし得るので、(C1)と(C2)とを併用する場合、(C1)及び(C2)が表面に存在し得る。表面に存在する(C1)及び(C2)の合計含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜1.0が好ましい。(C1)+(C2)の含有量は下記の方法で測定される。内部に存在する疎水性物質(C1)の含有量は、疎水性物質の合計の添加量から表面の疎水性物質の含有量を引いたものとする。
【0076】
<表面の疎水性物質(C1)+(C2)の含有量の測定法>
冷却管を備えたガラス製のナスフラスコに吸収性樹脂粒子100重量部とn−ヘキサン300重量部を加え、溶解温度で24時間放置し、疎水性物質の抽出液を得る。この抽出液を濾紙を用いて濾過し、事前に秤量したガラス製のナスフラスコに採取した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させた後、秤量する。濾過液蒸発後の重量から事前に秤量したナスフラスコの重量を引いて抽出された蒸発乾固物の量を求める。
濾紙上に残った抽出後のサンプルを用いて、同様の操作を2回くり返し、3回の抽出で得られた蒸発乾固物の合計量を表面の疎水性物質(C1)および(C2)の含有量(重量%)とする。
【0077】
本発明の吸収性樹脂粒子は、更に多価金属塩(e)を含んでも良い。多価金属塩(e)を含有することで、吸収性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。多価金属塩(e)としては、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム及びチタニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と前記の無機酸又は有機酸との塩が挙げられる。
多価金属塩(e)としては、入手の容易性や溶解性の観点から、アルミニウムの無機酸塩及びチタニウムの無機酸塩が好ましく、更に好ましいのは硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、特に好ましいのは硫酸アルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、最も好ましいのは硫酸ナトリウムアルミニウムである。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0078】
多価金属塩(e)の含有量(重量%)は、吸収性能及び耐ブロッキング性の観点から吸収性樹脂100重量部に対して、0.05〜5が好ましく、更に好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.2〜2である。
【0079】
本発明の吸収性樹脂粒子が多価金属塩(e)を含む場合、多価金属塩(e)と混合する工程は、前記の表面架橋する工程の前、表面架橋する工程の後、及び表面架橋する工程と同時のいずれにおいても行うことができる。
【0080】
多価金属塩(e)の混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の公知の混合装置を用いて均一混合する方法が挙げられる。
表面架橋する工程の前又は後に混合する場合、混合する際の温度は特に限定されないが、10〜150℃が好ましく、更に好ましくは20〜100℃、特に好ましくは25〜80℃である。
表面架橋する工程と同時に混合する場合、混合する際の温度は特に限定されないが、前記の表面架橋剤(d)により表面架橋する工程と同様の条件で行うことができる。
多価金属塩(e)と混合する工程を行った後、更に粒度調整を行っても良い。
【0081】
本発明の吸収性樹脂粒子は、更に水不溶性無機粒子(f)を含んでも良い。水不溶性無機粒子(f)を混合することで吸収性樹脂粒子の表面が水不溶性無機粒子(f)で表面処理されることにより、吸収性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。
【0082】
水不溶性無機粒子(f)としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、クレー及びタルク等が挙げられ、入手の容易性や扱いやすさ、吸収性能の観点から、コロイダルシリカ及びシリカが好ましく、更に好ましいのはコロイダルシリカである。水不溶性無機粒子(f)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0083】
水不溶性無機粒子(f)の使用量(重量%)は、吸収性能の観点から吸収性樹脂100重量部に対して、0.01〜5が好ましく、更に好ましくは0.05〜1、特に好ましくは0.1〜0.5である。
【0084】
水不溶性無機粒子(f)を含む場合、吸収性樹脂粒子と水不溶性無機粒子(f)とを混合することが好ましく、混合は、前記の多価金属塩(e)の混合と同様の方法で行うことができ、その条件も同様である。
【0085】
水不溶性無機粒子(f)を混合する工程を行った後、吸収性樹脂粒子を粒度調整する工程を行っても良い。粒度調整は上述の粒度調整と同様に行うことができ、粒度調整後の粒径も同様である。
【0086】
本発明の吸収性樹脂粒子は、必要に応じて、添加剤(例えば、公知(特開2003−225565号及び特開2006−131767号等に記載)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、通液性向上剤及び有機質繊維状物等)を使用することもできる。これらの添加剤を使用する場合、添加剤の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、更に好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0087】
また、本発明の吸収性樹脂粒子は、生理食塩水の重量に基づいて0.5重量%含有させた場合の生理食塩水のpHが5.80〜7.20であることが好ましく、5.80〜6.50であることがより好ましい。この範囲内であると、弱酸性となり、よりカブレが生じにくくなるため好ましい。
【0088】
本発明の吸収性樹脂粒子は、Demand Wettability試験法(以下、DW試験ともいう。)で測定された、吸収量が2gに達するまでの時間(t1)と、吸収量が20gに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が2〜20であり、好ましくは3〜15であり、より好ましくは4〜10である。t2/t1が2未満だと初期吸収速度が遅く漏れ性が悪化しおむつのドライ性が失われカブレ等が生じやすくなる。またt2/t1が20を超えると尿吸収部位でのスポット吸収が生じやすくなり漏れ性が悪化する。
また、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率(以下、GBPともいう。)が40darcies以上であり、好ましくは45darcies以上であり、より好ましくは50darcies以上である。GBPが40darcies未満であるとt2/t1が2〜20の範囲内であってもSAP比率の高い薄型紙おむつ中においては尿の拡散が膨潤ゲルによって阻害され漏れ性が悪化する。
DW試験で測定された吸収量が2gに達するまでの時間(t1)と、吸収量が20gに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が2〜20であり、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率(以下、GBPともいう。)が40darcies以上である吸収性樹脂粒子は、荷重下非荷重下を問わずどのような状態においても安定して優れた吸収性能(液拡散性、吸収速度、及び吸収量)を発揮し、吸収性物品の耐カブレ性が良好となる。
【0089】
本発明の吸収性樹脂粒子は、Demand Wettability試験法において吸収量が2gに達するまでの時間(t1)が5秒〜60秒であることが好ましい。この条件を満たすと、吸収部位での偏在的なゲル膨潤が抑制されるので好ましい。
【0090】
本発明の吸収性樹脂粒子は、生理食塩水のCRC試験法による遠心保持量が25〜36g/gであり、Vortex試験法で測定された吸収速度が40秒以下であることが好ましい。この条件を満たすと、紙おむつ吸収体中の自由水が少なくなりドライ性の観点で好ましい。
【0091】
0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率(GBP)、Demand Wettability試験法で測定された無荷重下での吸収速度、CRC試験法による遠心保持容量、及びVortex試験方で測定された吸収速度は、25±2℃、湿度50±10%の室内でそれぞれ以下の方法で測定される。なお、使用する生理食塩水の温度は予め25℃±2℃に調整して使用する。
【0092】
<Demand Wettability試験で測定された無荷重下での吸収速度>
吸収性樹脂粒子0.50gと生理食塩水とを用いて特開2014−005472号明細書に記載されたDW法で測定した場合に、吸水開始からの吸収量(ml/g)が2.0となるまでに要する時間をDemand Wettability試験で測定された無荷重下での吸収速度とする。なお、DW試験はビュレットと導管とに接続された測定台上で、無荷重下における吸収性樹脂の吸い上げ能力を判断するものである。
【0093】
<0psiでの膨潤圧力でのゲルベッド透過率試験>
特許第5236668号明細書に記載された0psi膨潤圧力でのGBP試験方法に準じて測定される(単位;[darcies])。なお、GBPが高いほど吸収性樹脂粒子の吸収速度と膨潤ゲル間の通液性に優れることを意味する。
【0094】
<生理食塩水の遠心保持量>
特許第5236668号明細書に記載されたCRC試験方法(Centrifuge retention capacity試験方法)に準じて測定され、吸収性樹脂粒子0.200gを、生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に無加圧下で30分間、自由膨潤させ、次いで、遠心分離機で水切りし(290G、3分間)、水切り後においても吸収性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量(樹脂粒子1gあたり保持される生理食塩水の量:単位;[g/g])を測定する。なお、CRCが高いほど吸収性樹脂粒子の吸水性能が高いことを意味する。
【0095】
<Vortex試験で測定される吸収速度>
吸収性樹脂粒子2.000gが、JIS R 3503に規定する底面が平らな100mlのトールビーカー内で毎分600回の回転数で撹拌されている生理食塩水50gを吸収し終わるまでに必要とした時間(単位:秒)をJIS K7224−1996に準拠して測定し、Vortex試験で測定される吸収速度とする。
【0096】
本発明の吸収性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。なお、見掛け密度は架橋重合体(A)の場合と同様にして測定できる。
【0097】
吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0098】
本発明の吸収性樹脂粒子は、単独で吸収体として用いても良く、他の材料と共に用いて吸収体としても良い。
他の材料として好ましくは繊維状物が挙げられる。繊維状物と共に用いた場合の吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等)と同様である。
【0099】
上記繊維状物として好ましいのは、セルロース系繊維、有機系合成繊維及びセルロース系繊維と有機系合成繊維との混合物である。
【0100】
セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、アセテート及びキュプラ等のセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ及びCTMP等)及び漂白方法等は特に限定されない。
【0101】
有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維及び熱融着性複合繊維(融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型等に複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維及び上記繊維の表層を改質した繊維等)が挙げられる。
【0102】
これらの繊維状物の内で好ましいのは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維であり、更に好ましいのは、得られた吸水剤の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維である。
【0103】
上記繊維状物の長さ、太さについては特に限定されず、長さは1〜200mm、太さは0.1〜100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状及びウェブ状等が例示される。
【0104】
前記の吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体の場合、吸収性樹脂粒子と繊維状物の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維状物の重量)は40/60〜90/10が好ましく、更に好ましくは70/30〜80/20である。
【0105】
本発明の吸収体は、前記の吸収性樹脂粒子を含有してなる。本発明の吸収体は、吸収性樹脂粒子を単独で含有してなる吸収体であってもよく、あるいは吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体であってもよい。本発明の吸収体は、吸収性物品として用いることができる。吸収性物品としては、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品のみならず、各種水性液体の吸収や保持剤用途、ゲル化剤用途等の各種用途(例えば、ペット尿吸収剤、携帯トイレの尿ゲル化剤、青果物の鮮度保持剤、肉類や魚介類のドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物や土壌の保水剤、結露防止剤、止水材、パッキン材、人工雪など)に使用されるものとして適用可能である。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等に記載のもの)と同様である。
【実施例】
【0106】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
<実施例1>
アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%、以下同様である)135部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソ−株式会社製、以下同様である)0.51部、及び脱イオン水479部を撹拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
【0108】
次に得られた含水ゲル(1)全量をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して、引き続き疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(140℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、樹脂粒子(B1)を得た。
【0109】
得られた樹脂粒子(B1)100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、循風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)内に140℃で30分間静置して表面架橋を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。また、吸収性樹脂粒子(1)の内部に疎水性物質(C)は0.028%存在し、吸収性樹脂粒子(1)の表面に疎水性物質(C)は0.012%存在した。なお見かけ密度は0.59g/mlであった。
【0110】
<実施例2>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」に変更し、「脱イオン水479部」を「脱イオン水365部」、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.135部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」をエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.6部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.013部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。また、吸収性樹脂粒子(2)の内部に疎水性物質(C)は0.059%存在し、吸収性樹脂粒子(2)の表面に疎水性物質(C)は0.031%存在した。なお見かけ密度は0.68g/mlであった。
【0111】
<実施例3>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.068部」に変更し、「脱イオン水479部」を「脱イオン水287部」、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−3)ソルビットステアリン酸エステルを0.338部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.8部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.035部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。また、吸収性樹脂粒子(3)の内部に疎水性物質(C)は0.15%存在し、吸収性樹脂粒子(3)の表面に疎水性物質(C)は0.077%存在した。なお見かけ密度は0.65g/mlであった。
【0112】
<実施例4>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.135部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.9部および疎水性物質(C2−2)アミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.035部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。また、吸収性樹脂粒子(4)の内部に疎水性物質(C)は0.062%存在し、吸収性樹脂粒子(4)の表面に疎水性物質(C)は0.041%存在した。なお見かけ密度は0.68g/mlであった。なお見かけ密度は0.55g/mlであった。
【0113】
<実施例5>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」に変更し、「脱イオン水479部」を「脱イオン水365部」、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−3)ソルビットステアリン酸エステルを0.338部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.3部および疎水性物質(C2−2)アミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。また、吸収性樹脂粒子(5)の内部に疎水性物質(C)は0.16%存在し、吸収性樹脂粒子(5)の表面に疎水性物質(C)は0.048%存在した。なお見かけ密度は0.54g/mlであった。
【0114】
<実施例6>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.44部」に変更し、「脱イオン水479部」を「脱イオン水287部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.5部および疎水性物質(C2−2)アミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.013部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。また、吸収性樹脂粒子(6)の内部に疎水性物質(C)は0.028%存在し、吸収性樹脂粒子(6)の表面に疎水性物質(C)は0.017%存在した。なお見かけ密度は0.68g/mlであった。
【0115】
<実施例7>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」に変更し、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.338部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.7部および疎水性物質(C2−3)エポキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.035部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。また、吸収性樹脂粒子(7)の内部に疎水性物質(C)は0.16%存在し、吸収性樹脂粒子(7)の表面に疎水性物質(C)は0.062%存在した。なお見かけ密度は0.70g/mlであった。
【0116】
<実施例8>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.81部」に変更し、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.06部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水365部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.7部および疎水性物質(C2−3)エポキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。また、吸収性樹脂粒子(8)の内部に疎水性物質(C)は0.027%存在し、吸収性樹脂粒子(8)の表面に疎水性物質(C)は0.012%存在した。なお見かけ密度は0.69g/mlであった。
【0117】
<実施例9>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−3)ソルビットステアリン酸エステルを0.20部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水287部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.8部および疎水性物質(C2−3)エポキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.013部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(9)を得た。また、吸収性樹脂粒子(9)の内部に疎水性物質(C)は0.09%存在し、吸収性樹脂粒子(9)の表面に疎水性物質(C)は0.041%存在した。なお見かけ密度は0.58g/mlであった。
【0118】
<実施例10>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.88部」に変更し、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−3)ソルビットステアリン酸エステルを0.135部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.5部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0004部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(10)を得た。また、吸収性樹脂粒子(10)の内部に疎水性物質(C)は0.057%存在し、吸収性樹脂粒子(10)の表面に疎水性物質(C)は0.027%存在した。なお見かけ密度は0.57g/mlであった。
【0119】
<実施例11>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.338部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水365部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.8部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.013部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0013部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(11)を得た。また、吸収性樹脂粒子(11)の内部に疎水性物質(C)は0.15%存在し、吸収性樹脂粒子(11)の表面に疎水性物質(C)は0.063%存在した。なお見かけ密度は0.60g/mlであった。
【0120】
<実施例12>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」に変更し、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.06部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水287部」、「疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.035部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0035部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(12)を得た。また、吸収性樹脂粒子(12)の内部に疎水性物質(C)は0.026%存在し、吸収性樹脂粒子(12)の表面に疎水性物質(C)は0.032%存在した。なお見かけ密度は0.56g/mlであった。
【0121】
<実施例13>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」に変更し、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−3)ソルビットステアリン酸エステルを0.06部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)2.0部および疎水性物質(C2−2)アミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.013部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0013部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(13)を得た。また、吸収性樹脂粒子(13)の内部に疎水性物質(C)は0.027%存在し、吸収性樹脂粒子(13)の表面に疎水性物質(C)は0.018%存在した。なお見かけ密度は0.69g/mlであった。
【0122】
<実施例14>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.88部」に変更し、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.135部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水365部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−2)アミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.035部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0035部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(13)を得た。また、吸収性樹脂粒子(14)の内部に疎水性物質(C)は0.061%存在し、吸収性樹脂粒子(14)の表面に疎水性物質(C)は0.042%存在した。なお見かけ密度は0.57g/mlであった。
【0123】
<実施例15>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.338部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水287部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.6部および疎水性物質(C2−2)アミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0004部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(15)を得た。また、吸収性樹脂粒子(15)の内部に疎水性物質(C)は0.15%存在し、吸収性樹脂粒子(15)の表面に疎水性物質(C)は0.054%存在した。なお見かけ密度は0.65g/mlであった。
【0124】
<実施例16>
「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.88部」に変更し、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.338部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−3)エポキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.013部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0013部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(16)を得た。また、吸収性樹脂粒子(16)の内部に疎水性物質(C)は0.15%存在し、吸収性樹脂粒子(16)の表面に疎水性物質(C)は0.065%存在した。なお見かけ密度は0.62g/mlであった。
【0125】
<実施例17>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−3)ソルビットステアリン酸エステルを0.06部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水365部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.6部および疎水性物質(C2−3)エポキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.035部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0035部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(17)を得た。また、吸収性樹脂粒子(17)の内部に疎水性物質(C)は0.026%存在し、吸収性樹脂粒子(17)の表面に疎水性物質(C)は0.032%存在した。なお見かけ密度は0.59g/mlであった。
【0126】
<実施例18>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.135部」、「脱イオン水479部」を「脱イオン水287部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.8部および疎水性物質(C2−3)エポキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部と疎水性物質(C2−4)ポリエーテル変性ポリシロキサン0.0004部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(18)を得た。また、吸収性樹脂粒子(18)の内部に疎水性物質(C)は0.061%存在し、吸収性樹脂粒子(18)の表面に疎水性物質(C)は0.024%存在した。なお見かけ密度は0.59g/mlであった。
【0127】
<比較例1>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0部」に変更し、「脱イオン水479部」を「脱イオン水287部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.8部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0部」としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例の吸収性樹脂粒子(19)を得た。また、吸収性樹脂粒子(19)の内部および表面ともに疎水性物質(C)は0%存在した。なお見かけ密度は0.54g/mlであった。
【0128】
<比較例2>
「脱イオン水479部」を「脱イオン水365部」に変更して、「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.135部」、「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.6部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0部」としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例の吸収性樹脂粒子(20)を得た。また、吸収性樹脂粒子(20)の内部に疎水性物質(C)は0.057%存在し、吸収性樹脂粒子(20)の表面に疎水性物質(C)は0.025%存在した。なお見かけ密度は0.60g/mlであった。
【0129】
<比較例3>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0部」に変更し、「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.88部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.7部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.013部」としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例の吸収性樹脂粒子(21)を得た。また、吸収性樹脂粒子(21)の内部に疎水性物質(C)は0%存在し、吸収性樹脂粒子(21)の表面のみに疎水性物質(C)は0.008%存在した。なお見かけ密度は0.60g/mlであった。
【0130】
<比較例4>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−2)ステアリン酸Mgを0.675部」に変更し、「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.68部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.5部」としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例の吸収性樹脂粒子(22)を得た。また、吸収性樹脂粒子(22)の内部に疎水性物質(C)は0.30%存在し、吸収性樹脂粒子(22)の表面に疎水性物質(C)は0.11%存在した。なお見かけ密度は0.65g/mlであった。
【0131】
<比較例5>
「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0.06部」を「疎水性物質(C1−1)ショ糖ステアリン酸エステルを0部」に変更し、「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.51部」をから「ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.88部」、「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.4部および疎水性物質(C2−1)カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.004部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)の10%水/メタノール混合溶液(水:メタノールの混合比は70:30)1.8部および疎水性物質(C2−2)アミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)0.05部」としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例の吸収性樹脂粒子(23)を得た。また、吸収性樹脂粒子(23)の内部に疎水性物質(C)は0%存在し、吸収性樹脂粒子(23)の表面のみに疎水性物質(C)は0.03%存在した。なお見かけ密度は0.57g/mlであった。
【0132】
実施例1〜18及び比較例1〜5で得たそれぞれの吸収性樹脂粒子について、DW試験法で測定された無荷重下での吸収速度[吸収速度(T1、T2、T2/T1)]、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率[GBP(0psi膨潤圧力)]、生理食塩水の遠心保持容量(CRC)、Vortex試験法で測定された吸収速度[吸収速度(Vortex)]を以下の方法で測定し、表1に記載した。
【0133】
<DW試験で測定された無荷重下での吸収速度>
実施例1〜18及び比較例1〜5で得たそれぞれの吸収性樹脂粒子0.50gと生理食塩水とを用いて、上述の方法で測定した。DW試験はビュレットと導管とに接続された測定台上で、無荷重下における吸収性樹脂の吸い上げ能力を判断するものである。
【0134】
<0psiでの膨潤圧力でのゲルベッド透過率試験>
実施例1〜18及び比較例1〜5で得た吸収性樹脂粒子を用いて、上述の方法で測定した。この値が高いほど吸収体の吸収速度と膨潤ゲル間の通液性に優れることを意味する。
【0135】
<生理食塩水の遠心保持容量>
実施例1〜18及び比較例1〜5で得た吸収性樹脂粒子0.200gを用いて、上述の方法で測定した。この値が高いほど吸収性樹脂の吸水性能が高いことを意味する。
【0136】
<Vortex試験で測定される吸収速度>
実施例1〜18及び比較例1〜5で得たそれぞれの吸収性樹脂粒子を用いて、上述の方法で測定した。
【0137】
【表1】
【0138】
表1から、本発明における吸収性樹脂粒子は、吸収性物品(紙おむつ等)に適用したとき吸収性物品に使用されている吸収体において尿の偏りを生じさせることなくおむつ全体を有効に活用した吸収を実現させるために必要な吸収速度パターン(T2/T1)を有し、かつ表面にポリシロキサン構造を有する疎水物質を有するため高いGBPを発現しており薄型おむつのようなSAP比率の高い吸収体においても優れた尿拡散性を有することが期待できる。一方で、比較例の吸収性樹脂は吸収体における尿の吸収において必要な吸収速度パターンとGBPを両立していない。例えば、比較例1では内部、表面ともに疎水物質を含有しておらず、適切な吸収速度パターンを有していない。初期吸収速度が非常に速いため吸収部位でのスポット吸収を起こしその結果尿漏れを起こすことは容易に分かる。また、比較例2、4によれば内部、表面に適度な疎水物質を含有するため適切な吸収速度パターンを有しているがGBPが低いため、薄型おむつの吸収体においては尿の拡散が阻害され尿漏れを起こすと考えられる。比較例3、5は内部には疎水物質を有さないが、表面にポリシロキサン構造を有する疎水物質を含有するため初期吸収速度遅く、後期吸収速度も遅い。これは吸収体において初期の尿拡散は促進するが、後期吸収速度が遅いためその後の効率的な尿吸収が難しく尿漏れを起こすと考えられる。以上のことから、最適な吸収速度パターンを実現するために必要な疎水物質C1と高いGBPを実現するために必要な疎水物質C2の2種類以上の疎水物質が適切にSAP表面および内部に分布していることがおむつ性能にとって良いことが分かる。
【0139】
引き続き、吸収速度パターンが適切であると、吸収性物品に適用したとき、どのような吸収特性を示すか評価した。実施例1〜18及び比較例1〜5で得た吸収性樹脂粒子を用いて、以下のようにして、吸収性物品(紙おむつ)を調製し、SDME法による表面ドライネス値を評価し、この結果を表2に示した。
【0140】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製1>
フラッフパルプ80部と評価試料{吸収性樹脂粒子}120部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/m
2となるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5kg/cm
2の圧力で30秒間プレスし、吸収体(1)を得た。この吸収体(1)を10cm×40cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m
2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20g/m
2、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつ(1)を調製した。吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は60/40であった。
【0141】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製2>
「フラッフパルプ80部と評価試料{吸収性樹脂粒子}120部」を「フラッフパルプ60部と評価試料{吸収性樹脂粒子}140部」に変更したこと以外、吸収性物品(紙おむつ)の調製1と同様にして、紙おむつ(2)を調整した。吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は70/30であった。
【0142】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら{人工尿による光沢が確認できなくなるまで}、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央及びその左右{紙おむつ40cmの端から10cmの等間隔に3箇所}にSDME検出器を3つ載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値をそれぞれSD1−1{中央}、SD1−2{左}、SD1−3{右}とした。
なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0143】
【表2】
【0144】
表2から実施例の吸収性樹脂粒子は吸収性樹脂粒子の比率が高い紙おむつにおいても優れたドライ性を発現していた。比較例1では内部に疎水物質を含有しないため適切な吸収速度パターンではなく実施例よりもドライ性が劣っている。また比較例2、4は吸収性樹脂粒子内部の疎水物質の存在により吸収性樹脂粒子の比率が低い紙おむつ1においては適度なドライ性を維持しているが、吸収性樹脂粒子の比率が高い紙おむつ2においてはドライ性が低下している。これは実施例と比較してGBPが低いためと考えられる。比較例3、5は適切な吸収速度パターンを有していないため、吸収性樹脂粒子の比率が低い紙おむつ1においてもドライ性は低い。以上のことから、初期遅く、中期普通、後期速い吸収速度パターンを有し、かつ高いGBPを有することが紙おむつのドライ性能に効果的であることが分かる。