(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-112838(P2019-112838A)
(43)【公開日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】偏心管カバー及びこれを備えた湯水混合水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/044 20060101AFI20190621BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20190621BHJP
【FI】
E03C1/044
E03C1/042 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-247527(P2017-247527)
(22)【出願日】2017年12月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】西岡 利明
(72)【発明者】
【氏名】山田 里志
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BB01
2D060BC24
2D060BE00
(57)【要約】
【課題】構造がシンプルでありながら、着脱性及び安全性に優れた偏心管カバー及びこれを備えた湯水混合水栓を提供すること。
【解決手段】本発明の偏心管カバーは、中空で下方が開放された偏心管カバー1であって、前面壁4には下向きに開いたスナップフィット部5が設けられ、背面壁6には、横向きに突出するフック部7と、該背面壁6の下端かつ該フック部7の先側から該フック部7の上側まで延びる切り欠き部8とが設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空で下方が開放された偏心管カバーであって、
前面壁には下向きに開いたスナップフィット部が設けられ、
背面壁には、横向きに突出するフック部と、該背面壁の下端かつ該フック部の先側から該フック部の上側まで延びる切り欠き部とが設けられていることを特徴とする偏心管カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の偏心管カバーを具備した湯水混合水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、湯水混合水栓と一次側の供給配管とを繋ぐ偏心管を覆うための偏心管カバー及びこれを備えた湯水混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
湯水混合水栓とその一次側(上流側)の給湯配管とを繋ぐ偏心管が露出していると、内部を流れる湯によって高温となったこの偏心管に接触した者が火傷する恐れがある。そこで、従来、上記偏心管はカバーで覆われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3107355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のカバーは、弾性脚によって偏心管に係止しているのみであり、弾性脚が比較的変形し易いものであると、このカバーが何かのはずみで偏心管から外れ、偏心管が露出し、火傷の防止が不完全となる恐れがある。逆に、弾性脚が比較的変形し難いものであると、このカバーを偏心管に取り付けるのに大きな力が必要となり、装着性が低下する。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、構造がシンプルでありながら、着脱性及び安全性に優れた偏心管カバー及びこれを備えた湯水混合水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る偏心管カバーは、中空で下方が開放された偏心管カバーであって、前面壁には下向きに開いたスナップフィット部が設けられ、背面壁には、横向きに突出するフック部と、該背面壁の下端かつ該フック部の先側から該フック部の上側まで延びる切り欠き部とが設けられている(請求項1)。
【0007】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る湯水混合水栓は、請求項1に記載の偏心管カバーを具備している(請求項2)。
【発明の効果】
【0008】
本願発明では、構造がシンプルでありながら、着脱性及び安全性に優れた偏心管カバー及びこれを備えた湯水混合水栓が得られる。
【0009】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の偏心管カバーでは、フック部を係止させる操作とスナップフィット部を係止させる操作とを行うだけで装着が完了するのであり、その装着性を高めることができる。しかも、フック部が係止する方向と、スナップフィット部が係止する方向とは相違するので、偏心管カバーに対してどのような方向から力が加わっても、フック部の係止とスナップフィット部の係止とが一気に解除されるということはなく、それだけ安全性を高めることができる。さらに、本発明の偏心管カバーに設けるスナップフィット部及びフック部はともに簡易な形状でよく、構造のシンプル化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る偏心管カバーの構成を概略的に示す正面側からの斜視図及び背面側からの斜視図である。
【
図2】(A)〜(H)は前記偏心管カバーの構成を概略的に示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は(A)のC−C線切断断面図、(D)は(B)のD−D線切断断面図、(E)は底面図、(F)は背面図、(G)は右側面図、(H)は左側面図である。
【
図3】(A)〜(J)は前記偏心管カバーを備えた湯水混合水栓の構成を概略的に示す図であって、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は背面図、(F)は底面図、(G)は左上からの斜視図、(H)は右上からの斜視図、(I)は左下からの斜視図、(J)は右下からの斜視図である。
【
図4】(A)〜(D)は、前記偏心管カバーの装着方法を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0012】
図1(A)及び(B)、
図2(A)〜(H)に示す偏心管カバー1は、湯水混合水栓2に繋がる二つの偏心管3のうち、その一次側(上流側)に給湯配管(図示していない)が接続される偏心管3を覆うためのものである(
図3(A)〜(J)参照)。
【0013】
具体的には、この偏心管カバー1は、中空で下方が開放された略箱状を呈し、前面壁4には下向きに開いたスナップフィット部5が設けられ、背面壁6には、下端において横向きに突出するフック部7と、背面壁6の下端かつフック部7の先側からフック部7の上側まで延びる切り欠き部8とが設けられている。
【0014】
本例の前面壁4は、前方に突出する突出部4A,4Bを左右に有し、このうちの一方の突出部4Bの前面にスナップフィット部5が設けられている。そして、スナップフィット部5は、下向きに開放されたC字状(優弧状)に形成されており、上部全体は前面壁4(突出部4B)の上縁に一体化されている一方、左右の係止部9は前面壁4における他の部分から離間して弾性変形し易くなるように構成されている。
【0015】
本例の背面壁6において、突出部4Aの背面側に相当する部分は他の部分よりも後方に突出しており、この突出した部分にフック部7が設けられている。
【0016】
上記の構成からなる偏心管カバー1によって偏心管3を覆うには、
図4(A)〜(D)に示す手順を踏めばよい。なお、
図4(A)〜(D)では、偏心管カバー1及び偏心管3の構成を極めて簡略化して示している。
【0017】
すなわち、まず、
図4(A)に示すように、偏心管3の上流部3A(この上流部は、偏心管3の一部であってもよいし、偏心管3の上流側に接続される配管等の部材の一部であってもよい)に対して偏心管カバー1を側方(ここでの側方は、偏心管3の上流部の軸方向に対して略垂直な方向を指し、前方及び後方を除く意味で用いており、例えば上方や下方であってもよい)から接近させ、切り欠き部8の内外にわたって偏心管3の上流部3Aが延びる状態にする(
図4(B)参照)。
【0018】
続いて、
図4(B)及び
図4(C)に示すように、偏心管3の上流部3Aが切り欠き部8の奥側(
図1(B)に示す状態におけるフック部7の直上側)に位置するように偏心管カバー1をスライドさせる。これにより、フック部7が偏心管3の上流部3Aに係止した状態となる。
【0019】
さらに、偏心管3の上流部3Aを切り欠き部8の周縁に当接させながら(
図4(C)に示す例では上側に引き上げながら)偏心管カバー1を倒すと(偏心管3の上流部の軸回りに回動させると)、スナップフィット部5が偏心管3の下流部3B(この下流部は、偏心管3の一部であってもよいし、偏心管3の下流側に接続される湯水混合水栓1等の部材の一部であってもよい)に係止するのであり、これにより、偏心管カバー1の装着は完了する(
図4(D)参照)。なお、偏心管カバー1を取り外したい場合は、上記の逆の手順を行えばよい。
【0020】
上記のように構成された本例の偏心管カバー1では、フック部7を係止させる操作とスナップフィット部5を係止させる操作とを行うだけで装着が完了するのであり、その装着性を高めることができる。しかも、偏心管3の上流部3Aに対してフック部7が係止する方向と、偏心管3の下流部3Bに対してスナップフィット部5が係止する方向とは相違するので、偏心管カバー1に対してどのような方向から力が加わっても、フック部7の係止とスナップフィット部5の係止とが一気に解除されるということはなく、それだけ安全性を高めることができる。さらに、本例の偏心管カバー1に設けるスナップフィット部5及びフック部7はともに簡易な形状でよく、構造のシンプル化を図ることができる。
【0021】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0022】
上記実施の形態では、偏心管3に流量調整用の操作部10(
図3(C)参照)が設けられていることから、この操作部10を露出させるための開口11を前面壁4の突出部4Aに設けているが(
図1(A)参照)、この開口11の位置や形状等は操作部10の構成に応じて適宜変更可能である。
【0023】
上記実施の形態では、スナップフィット部5とフック部7とは正面視において左右方向に離れ、フック部7はこの左右方向においてスナップフィット部5に向かって突出しているが、これに限らず、フック部7がスナップフィット部5から離れる方向に向かって突出していてもよい。
【0024】
上記実施の形態では、フック部7を偏心管3の上流部3Aに係止させ、スナップフィット部5を偏心管3の下流部3Bに係止させているが、これに限らず、例えばフック部7を偏心管3の下流部3Bに係止させ、スナップフィット部5を偏心管3の上流部3Aに係止させるようにしてもよい。
【0025】
上記実施の形態では、湯水混合水栓2に繋がる二つの偏心管3のうち、その一次側(上流側)に給湯配管(図示していない)が接続される偏心管3を覆うために偏心管カバー1を用いているが、その一次側に給水配管が接続される偏心管3を覆うために偏心管カバー1を用いるようにしてもよい。
【0026】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0027】
1 偏心管カバー
2 湯水混合水栓
3 偏心管
3A 上流部
3B 下流部
4 前面壁
4A 突出部
4B 突出部
5 スナップフィット部
6 背面壁
7 フック部
8 切り欠き部
9 係止部
10 操作部
11 開口