【解決手段】吸収式熱交換システム1は、被加熱流体FLの温度を上昇させる第1の吸収部A1、第2の吸収部A2、第1の凝縮部C1、第2の凝縮部C2と、加熱源流体FHの温度を低下させる第1の蒸発部E1、第2の蒸発部E2、第1の再生部G1、第2の再生部G2と、各凝縮部C1、C2を流出して各吸収部A1、A2に流入前の被加熱流体FLと、各蒸発部E1、E2及び各再生部G1、G2に導入前の加熱源流体FHから分岐された一部の加熱源流体FHsと、の間で熱交換を行わせる熱交換部80を備え、吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルにより、第1の蒸発部E1は第1の凝縮部C1よりも、第2の蒸発部E2は第2の凝縮部C2よりも、内部の圧力及び温度が高くなり、熱交換部80から流出した被加熱流体FLが各吸収部A1、A2に流入する。
前記熱交換部から流出した前記加熱源流体が前記第1の蒸発部、前記第2の蒸発部、前記第1の再生部及び前記第2の再生部から流出した前記加熱源流体に合流するように、前記加熱源流体の流路が構成された;
請求項1に記載の吸収式熱交換システム。
前記第1の吸収部及び前記第2の吸収部の少なくとも一方から流出した前記吸収液が、直接又は間接的に、前記第1の再生部と前記第2の再生部とに並列に流入し、前記第1の再生部及び前記第2の再生部の少なくとも一方から流出した前記吸収液が、直接又は間接的に、前記第1の吸収部と前記第2の吸収部とに並列に流入するように、前記吸収液の流路が構成された;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収式熱交換システム。
前記第1の吸収部及び前記第2の吸収部の少なくとも一方から直接又は間接的に前記第1の再生部又は前記第2の再生部に流入した前記吸収液が前記第1の再生部及び前記第2の再生部を直列に流れ、前記第1の再生部及び前記第2の再生部の少なくとも一方から直接又は間接的に前記第1の吸収部又は前記第2の吸収部に流入した前記吸収液が前記第1の吸収部及び前記第2の吸収部を直列に流れるように、前記吸収液の流路が構成された;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収式熱交換システム。
前記第1の吸収部を流出した前記吸収液が前記第1の再生部に流入すると共に前記第1の再生部を流出した前記吸収液が前記第1の吸収部に流入するように前記吸収液を前記第1の吸収部と前記第1の再生部との間で循環させる第1の吸収液循環流路と;
前記第2の吸収部を流出した前記吸収液が前記第2の再生部に流入すると共に前記第2の再生部を流出した前記吸収液が前記第2の吸収部に流入するように前記吸収液を前記第2の吸収部と前記第2の再生部との間で循環させる第2の吸収液循環流路とを備える;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収式熱交換システム。
前記加熱源流体が、最初に前記第1の再生部又は前記第1の蒸発部に流入すると共に、前記第1の再生部、前記第1の蒸発部、前記第2の再生部及び前記第2の蒸発部を適宜の順序で直列に流れるように、前記加熱源流体の流路が構成され;
前記被加熱流体が、前記第1の凝縮部及び前記第2の凝縮部を直列に流れた後に前記第1の吸収部又は前記第2の吸収部に流入すると共に、前記加熱源流体が前記第1の蒸発部を流れた後に前記第2の蒸発部を流れる場合は前記第2の吸収部を流れた後に前記第1の吸収部を流れるように、前記加熱源流体が前記第2の蒸発部を流れた後に前記第1の蒸発部を流れる場合は前記第1の吸収部を流れた後に前記第2の吸収部を流れるように、前記被加熱流体の流路が構成された;
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の吸収式熱交換システム。
前記加熱源流体が前記第1の蒸発部と前記第2の蒸発部と前記第1の再生部と前記第2の再生部との少なくとも2つに並列に導入されるように前記加熱源流体の流路が構成されることと、前記被加熱流体が前記第1の吸収部と前記第2の吸収部とに並列に導入されること及び前記被加熱流体が前記第1の凝縮部と前記第2の凝縮部とに並列に導入されることの少なくとも一方が行われるように前記被加熱流体の流路が構成されることと、の少なくとも一つが行われるように構成された;
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸収式熱交換システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器の用途の1つとして、排熱を回収することが挙げられる。排熱は、使用されずに捨てられる熱であるため、排熱を回収して温度を上昇させる低温の流体の出口温度を、排熱を含む高温の流体の入口温度よりも高い温度にすることができれば、活用の幅が広がることとなる。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、低温の流体に相当する被加熱流体の出口温度を、高温の流体に相当する加熱源流体の入口温度よりも高くすることができる吸収式熱交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図1に示すように、吸収液Saが冷媒の蒸気Ve1を吸収した際に放出した吸収熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第1の吸収部A1と;吸収液Saが冷媒の蒸気Ve2を吸収した際に放出した吸収熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第2の吸収部A2と;冷媒の蒸気Vg1が凝縮して冷媒液Vf1となる際に放出した凝縮熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第1の凝縮部C1と;冷媒の蒸気Vg2が凝縮して冷媒液Vf2となる際に放出した凝縮熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第2の凝縮部C2と;第1の凝縮部C1及び第2の凝縮部C2の少なくとも一方から直接又は間接的に冷媒液Vfを導入し、導入した冷媒液Vfが蒸発して第1の吸収部A1に供給される冷媒の蒸気Ve1となる際に必要な蒸発潜熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第1の蒸発部E1と;第1の凝縮部C1及び第2の凝縮部C2の少なくとも一方から直接又は間接的に冷媒液Vfを導入し、導入した冷媒液Vfが蒸発して第2の吸収部A2に供給される冷媒の蒸気Ve2となる際に必要な蒸発潜熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第2の蒸発部E2と;第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2の少なくとも一方から直接又は間接的に吸収液Swを導入し、第1の凝縮部C1に供給される冷媒の蒸気Vg1を生成するために、導入した吸収液Swを加熱して吸収液Swから冷媒を離脱させるのに必要な熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第1の再生部G1と;第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2の少なくとも一方から直接又は間接的に吸収液Swを導入し、第2の凝縮部C2に供給される冷媒の蒸気Vg2を生成するために、導入した吸収液Swを加熱して吸収液Swから冷媒を離脱させるのに必要な熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第2の再生部G2と;第1の凝縮部C1及び第2の凝縮部C2を流出して第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2に流入する前の被加熱流体FLと、第1の蒸発部E1、第2の蒸発部E2、第1の再生部G1及び第2の再生部G2に導入される前の加熱源流体FHから分岐された一部の加熱源流体FHsと、の間で熱交換を行わせる熱交換部80とを備え;吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルによって、第1の蒸発部E1は第1の凝縮部C1よりも内部の圧力及び温度が高くなり、第2の蒸発部E2は第2の凝縮部C2よりも内部の圧力及び温度が高くなるように構成され;熱交換部80から流出した被加熱流体FLが第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2に流入するように、被加熱流体FLの流路が構成されている。
【0007】
このように構成すると、第1の吸収部及び第2の吸収部から流出する被加熱流体の温度を、第1の蒸発部、第2の蒸発部、第1の再生部及び第2の再生部に流入する前の加熱源流体の温度よりも高くすることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る吸収式熱交換システム1において、熱交換部80から流出した加熱源流体FHsが第1の蒸発部E1、第2の蒸発部E2、第1の再生部G1及び第2の再生部G2から流出した加熱源流体FHに合流するように、加熱源流体FHの流路が構成されている。
【0009】
このように構成すると、吸収式熱交換システムに出入りする加熱源流体の流量をバランスさせることができる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第3の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図2に示すように、吸収液Saが冷媒の蒸気Ve1を吸収した際に放出した吸収熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第1の吸収部A1と;吸収液Saが冷媒の蒸気Ve2を吸収した際に放出した吸収熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第2の吸収部A2と;冷媒の蒸気Vg1が凝縮して冷媒液Vf1となる際に放出した凝縮熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第1の凝縮部C1と;冷媒の蒸気Vg2が凝縮して冷媒液Vf2となる際に放出した凝縮熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第2の凝縮部C2と;第1の凝縮部C1及び第2の凝縮部C2の少なくとも一方から直接又は間接的に冷媒液Vfを導入し、導入した冷媒液Vfが蒸発して第1の吸収部A1に供給される冷媒の蒸気Ve1となる際に必要な蒸発潜熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第1の蒸発部E1と;第1の凝縮部C1及び第2の凝縮部C2の少なくとも一方から直接又は間接的に冷媒液Vfを導入し、導入した冷媒液Vfが蒸発して第2の吸収部A2に供給される冷媒の蒸気Ve2となる際に必要な蒸発潜熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第2の蒸発部E2と;第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2の少なくとも一方から直接又は間接的に吸収液Swを導入し、第1の凝縮部C1に供給される冷媒の蒸気Vg1を生成するために、導入した吸収液Swを加熱して吸収液Swから冷媒を離脱させるのに必要な熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第1の再生部G1と;第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2の少なくとも一方から直接又は間接的に吸収液Swを導入し、第2の凝縮部C2に供給される冷媒の蒸気Vg2を生成するために、導入した吸収液Swを加熱して吸収液Swから冷媒を離脱させるのに必要な熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第2の再生部G2と;第1の凝縮部C1及び第2の凝縮部C2を流出して第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2に流入する前の被加熱流体FLと、第1の蒸発部E1、第2の蒸発部E2、第1の再生部G1及び第2の再生部G2から流出した加熱源流体FHと、の間で熱交換を行わせる熱交換部80とを備え;吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルによって、第1の蒸発部E1は第1の凝縮部C1よりも内部の圧力及び温度が高くなり、第2の蒸発部E2は第2の凝縮部C2よりも内部の圧力及び温度が高くなるように構成され;熱交換部80から流出した被加熱流体FLが第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2に流入するように、被加熱流体FLの流路が構成されている。
【0011】
このように構成すると、第1の吸収部及び第2の吸収部から流出する被加熱流体の温度を、第1の蒸発部、第2の蒸発部、第1の再生部及び第2の再生部に流入する前の加熱源流体の温度よりも高くすることができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム1において、第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2の少なくとも一方から流出した吸収液Swが、直接又は間接的に、第1の再生部G1と第2の再生部G2とに並列に流入し、第1の再生部G1及び第2の再生部G2の少なくとも一方から流出した吸収液Saが、直接又は間接的に、第1の吸収部A1と第2の吸収部A2とに並列に流入するように、吸収液の流路が構成されている。
【0013】
このように構成すると、吸収液の濃度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図3に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム3において、第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2の少なくとも一方から直接又は間接的に第1の再生部G1又は第2の再生部G2に流入した吸収液が第1の再生部G1及び第2の再生部G2を直列に流れ、第1の再生部G1及び第2の再生部G2の少なくとも一方から直接又は間接的に第1の吸収部A1又は第2の吸収部A2に流入した吸収液が第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2を直列に流れるように、吸収液の流路が構成されている。
【0015】
このように構成すると、吸収液の濃度差を大きくして出力を増大させることができる。
【0016】
また、本発明の第6の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図4に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム4において、第1の吸収部A1を流出した吸収液Sw1が第1の再生部G1に流入すると共に第1の再生部G1を流出した吸収液Sa1が第1の吸収部A1に流入するように吸収液を第1の吸収部A1と第1の再生部G1との間で循環させる第1の吸収液循環流路14、34と;第2の吸収部A2を流出した吸収液Sw2が第2の再生部G2に流入すると共に第2の再生部G2を流出した吸収液Sa2が第2の吸収部A2に流入するように吸収液を第2の吸収部A2と第2の再生部G2との間で循環させる第2の吸収液循環流路18、38とを備える。
【0017】
このように構成すると、吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルの独立した系路を複数個有することとなって、吸収ヒートポンプサイクルを複数で制御して管理することができる。
【0018】
また、本発明の第7の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム1において、被加熱流体FLが第1の吸収部A1及び第2の吸収部A2を直列に流れるように被加熱流体FLの流路が構成されている。
【0019】
このように構成すると、被加熱流体を2段階で昇温させることができ、より高い温度の被加熱流体を取り出すことができる。
【0020】
また、本発明の第8の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図5に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム5において、加熱源流体FHが、最初に第1の再生部G1又は第1の蒸発部E1に流入すると共に、第1の再生部G1、第1の蒸発部E1、第2の再生部G2及び第2の蒸発部E2を適宜の順序で直列に流れるように、加熱源流体FHの流路が構成され;被加熱流体FLが、第1の凝縮部C1及び第2の凝縮部C2を直列に流れた後に第1の吸収部A1又は第2の吸収部A2に流入すると共に、加熱源流体FHが第1の蒸発部E1を流れた後に第2の蒸発部E2を流れる場合は第2の吸収部A2を流れた後に第1の吸収部A1を流れるように、加熱源流体FHが第2の蒸発部E2を流れた後に第1の蒸発部E1を流れる場合は第1の吸収部A1を流れた後に第2の吸収部A2を流れるように、被加熱流体FLの流路が構成されている。
【0021】
このように構成すると、加熱源流体が最初に第1の再生部に流入する場合は加熱源流体から被加熱流体に移動させる熱量を大きくすることができると共に流出する被加熱流体の温度を高くすることができ、加熱源流体が最初に第1の蒸発部に流入する場合は、加熱源流体から被加熱流体への移動熱量の増大及び流出する被加熱流体の高温化に加えて、第1の再生部及び第2の再生部における吸収液の濃度の上昇を抑制することができて吸収液が過度に濃縮して結晶してしまうことを回避することができる。
【0022】
また、本発明の第9の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図6及び
図7に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム6、7において、加熱源流体FHが第1の蒸発部E1と第2の蒸発部E2と第1の再生部G1と第2の再生部G2との少なくとも2つに並列に導入されるように加熱源流体FHの流路が構成されることと(例えば
図7参照)、被加熱流体FLが第1の吸収部A1と第2の吸収部A2とに並列に導入されること(不図示)及び被加熱流体FLが第1の凝縮部C1と第2の凝縮部C2とに並列に導入されること(例えば
図6参照)の少なくとも一方が行われるように被加熱流体FLの流路が構成されることと、の少なくとも一つが行われるように構成されている。
【0023】
このように構成すると、加熱源流体及び被加熱流体の少なくとも一方の流路の抵抗を小さくすることができる。
【0024】
また、本発明の第10の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図8に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第9の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム1Aにおいて、第1の再生部G1と第1の凝縮部C1とを、第1の再生部G1と第1の凝縮部C1とが連通するように収容する第1の再生凝縮缶胴30と;第1の吸収部A1と第1の蒸発部E1とを、第1の吸収部A1と第1の蒸発部E1とが連通するように収容する第1の吸収蒸発缶胴10と;第2の再生部G2と第2の凝縮部C2とを、第2の再生部G2と第2の凝縮部C2とが連通するように収容する第2の再生凝縮缶胴40と;第2の吸収部A2と第2の蒸発部E2とを、第2の吸収部A2と第2の蒸発部E2とが連通するように収容する第2の吸収蒸発缶胴20とを備え;第1の再生凝縮缶胴30と第2の再生凝縮缶胴40とが水平方向に異なる位置に配置され;第1の吸収蒸発缶胴10と第2の吸収蒸発缶胴20とが水平方向に異なる位置に配置され;第1の再生凝縮缶胴30及び第2の再生凝縮缶胴40の上方に第1の吸収蒸発缶胴10及び第2の吸収蒸発缶胴20が配置されている。
【0025】
このように構成すると、吸収液の流れを確保しながら装置の大型化を抑制することができる。
【0026】
また、本発明の第11の態様に係る吸収式熱交換システムは、例えば
図10に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第10の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱交換システム9において、吸収液Saが冷媒の蒸気Ve3を吸収した際に放出した吸収熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第3の吸収部A3と;冷媒の蒸気Vg3が凝縮して冷媒液Vf3となる際に放出した凝縮熱によって被加熱流体FLの温度を上昇させる第3の凝縮部C3と;第1の凝縮部C1、第2の凝縮部C2及び第3の凝縮部C3の少なくとも一つから直接又は間接的に冷媒液Vfを導入し、導入した冷媒液Vfが蒸発して第3の吸収部A3に供給される冷媒の蒸気Ve3となる際に必要な蒸発潜熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第3の蒸発部E3と;第1の吸収部A1、第2の吸収部A2及び第3の吸収部A3の少なくとも一つから直接又は間接的に吸収液Swを導入し、第3の凝縮部C3に供給される冷媒の蒸気Vg3を生成するために、導入した吸収液Swを加熱して吸収液Swから冷媒を離脱させるのに必要な熱を加熱源流体FHから奪うことで加熱源流体FHの温度を低下させる第3の再生部G3とを備え;吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルによって第3の蒸発部E3は第3の凝縮部C3よりも内部の圧力及び温度が高くなるように構成され;熱交換部80は、第1の凝縮部C1、第2の凝縮部C2及び第3の凝縮部C3を流出して第1の吸収部A1、第2の吸収部A2及び第3の吸収部A3に流入する前の被加熱流体FLが流入するように構成され;熱交換部80から流出した被加熱流体FLが第1の吸収部A1、第2の吸収部A2及び第3の吸収部A3に流入するように、被加熱流体FLの流路が構成されている。
【0027】
このように構成すると、被加熱流体の温度をより上昇させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1の吸収部及び第2の吸収部から流出する被加熱流体の温度を、第1の蒸発部、第2の蒸発部、第1の再生部及び第2の再生部に流入する前の加熱源流体の温度よりも高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0031】
まず
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る吸収式熱交換システム1を説明する。
図1は、吸収式熱交換システム1の模式的系統図である。吸収式熱交換システム1は、吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルを利用して、低温流体FLの出口温度が高温流体FHの入口温度よりも高くなるように、低温流体FLと高温流体FHとの熱交換を行わせるシステムである。ここで、低温流体FLは、吸収式熱交換システム1において温度を上昇させる対象となる流体であり、被加熱流体に相当する。高温流体FHは、吸収式熱交換システム1において温度が低下する流体であり、加熱源流体に相当する。低温流体FLの例として、暖房用に利用したり他の吸収冷凍機や吸収ヒートポンプ等の熱源機器の熱源として利用する流体が挙げられる。高温流体FHの例として、製鉄所や発電所や工場製造プロセス等から排出された流体が挙げられる。吸収式熱交換システム1は、吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルが行われる主要機器を構成する第1吸収器A1、第2吸収器A2、第1蒸発器E1、第2蒸発器E2、第1再生器G1、第2再生器G2、第1凝縮器C1、及び第2凝縮器C2を備え、さらに、熱交換部80を備えている。
【0032】
本明細書においては、吸収液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「希溶液Sw」、「第1希溶液Sw1」、「濃溶液Sa」や「第2濃溶液Sa2」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「第1蒸発器冷媒蒸気Ve1」、「第2再生器冷媒蒸気Vg2」、「冷媒液Vf」、「第1冷媒液Vf1」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H
2O)が用いられている。
【0033】
第1吸収器A1は、第1蒸発器E1で発生した第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を濃溶液Saで吸収する機器であり、第1の吸収部に相当する。第1吸収器A1は、低温流体FLの流路を構成する第1吸収伝熱管11と、濃溶液Saを第1吸収伝熱管11の表面に供給する第1吸収器溶液供給装置12とを内部に有している。第1吸収器A1は、第1吸収器溶液供給装置12から濃溶液Saが第1吸収伝熱管11の表面に供給され、濃溶液Saが第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収して第1希溶液Sw1となる際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、第1吸収伝熱管11を流れる低温流体FLが受熱して、低温流体FLが加熱されるように構成されている。第1吸収器溶液供給装置12には、濃溶液Saを導入する第1濃溶液導入管13の一端が接続されている。第1吸収器A1の下部(典型的には底部)には、貯留された第1希溶液Sw1を流出する第1希溶液流出管14の一端が接続されている。
【0034】
第1蒸発器E1は、高温流体FHの熱で冷媒液Vfを蒸発させて第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を発生させる機器であり、第1の蒸発部に相当する。第1蒸発器E1は、高温流体FHの流路を構成する第1蒸発熱源管21を、第1蒸発器E1の缶胴の内部に有している。第1蒸発器E1は、第1蒸発器E1の缶胴の内部に冷媒液Vfを散布するノズルを有していない。このため、第1蒸発熱源管21は、第1蒸発器E1の缶胴内に貯留された冷媒液Vfに浸かるように配設されている(満液式蒸発器)。第1蒸発器E1は、第1蒸発熱源管21周辺の冷媒液Vfが第1蒸発熱源管21内を流れる高温流体FHの熱で蒸発して第1蒸発器冷媒蒸気Ve1が発生するように構成されている。第1蒸発器E1には、内部に冷媒液Vfを供給する第1冷媒液導入管23の一端が接続されている。
【0035】
第1吸収器A1及び第1蒸発器E1は、水平方向に隣り合うようにして第1の吸収蒸発缶胴(以下「第1吸収蒸発缶胴10」という。)に収容されている。第1吸収蒸発缶胴10の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第1吸収蒸発壁19が設けられている。第1吸収蒸発缶胴10内は、第1吸収蒸発壁19を挟んで、一方に第1吸収器A1が、他方に第1蒸発器E1が、それぞれ設けられている。第1吸収蒸発壁19から第1蒸発器E1側の第1吸収蒸発缶胴10が、第1蒸発器E1の缶胴を構成している。第1吸収蒸発壁19は、第1吸収器A1と第1蒸発器E1とが上部で連通するように、第1吸収蒸発缶胴10の天面に接触しないように設けられている。つまり、第1吸収蒸発壁19は、第1吸収蒸発缶胴10の上部を除く両側壁及び底部で、第1吸収蒸発缶胴10に接している。このような構成により、第1吸収蒸発缶胴10内では、第1蒸発器E1から第1吸収器A1へ第1蒸発器冷媒蒸気Ve1が移動できるようになっている。
【0036】
第2吸収器A2は、第2蒸発器E2で発生した第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を濃溶液Saで吸収する機器であり、第2の吸収部に相当する。第2吸収器A2は、低温流体FLの流路を構成する第2吸収伝熱管15と、濃溶液Saを第2吸収伝熱管15の表面に供給する第2吸収器溶液供給装置16とを内部に有している。第2吸収器A2は、第1吸収器A1と同様に構成されており、第2吸収伝熱管15及び第2吸収器溶液供給装置16が、それぞれ第1吸収伝熱管11及び第1吸収器溶液供給装置12に対応する。第2吸収器A2は、第2吸収器溶液供給装置16から濃溶液Saが第2吸収伝熱管15の表面に供給され、濃溶液Saが第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収して第2希溶液Sw2となる際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、第2吸収伝熱管15を流れる低温流体FLが受熱して、低温流体FLが加熱されるように構成されている。第2吸収伝熱管15の一端と第1吸収伝熱管11の一端とは、吸収器低温流体連絡管71で接続されている。第2吸収器溶液供給装置16には、濃溶液Saを導入する第2濃溶液導入管17の一端が接続されている。第2吸収器A2の下部(典型的には底部)には、貯留された第2希溶液Sw2を流出する第2希溶液流出管18の一端が接続されている。
【0037】
第2蒸発器E2は、高温流体FHの熱で冷媒液Vfを蒸発させて第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を発生させる機器であり、第2の蒸発部に相当する。第2蒸発器E2は、高温流体FHの流路を構成する第2蒸発熱源管25を、第2蒸発器E2の缶胴の内部に有している。第2蒸発器E2は、第1蒸発器E1と同様に構成されており、第2蒸発熱源管25が第1蒸発熱源管21に対応する。第2蒸発器E2は、第2蒸発熱源管25周辺の冷媒液Vfが第2蒸発熱源管25内を流れる高温流体FHの熱で蒸発して第2蒸発器冷媒蒸気Ve2が発生するように構成されている。第1蒸発熱源管21の一端と第2蒸発熱源管25の一端とは、蒸発器高温流体連絡管72で接続されている。第2蒸発器E2には、内部に冷媒液Vfを供給する第2冷媒液導入管27の一端が接続されている。
【0038】
第2吸収器A2及び第2蒸発器E2は、水平方向に隣り合うようにして第2の吸収蒸発缶胴(以下「第2吸収蒸発缶胴20」という。)に収容されている。第2吸収蒸発缶胴20の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第2吸収蒸発壁29が設けられている。第2吸収蒸発缶胴20内は、第2吸収蒸発壁29を挟んで、一方に第2吸収器A2が、他方に第2蒸発器E2が、それぞれ設けられている。第2吸収蒸発壁29から第2蒸発器E2側の第2吸収蒸発缶胴20が、第2蒸発器E2の缶胴を構成している。第2吸収蒸発壁29は、第2吸収器A2と第2蒸発器E2とが上部で連通するように、第2吸収蒸発缶胴20の天面に接触しないように設けられている。つまり、第2吸収蒸発壁29は、第2吸収蒸発缶胴20の上部を除く両側壁及び底部で、第2吸収蒸発缶胴20に接している。このような構成により、第2吸収蒸発缶胴20内では、第2蒸発器E2から第2吸収器A2へ第2蒸発器冷媒蒸気Ve2が移動できるようになっている。
【0039】
第1再生器G1は、比較的濃度が低い吸収液Sである希溶液Swを加熱し濃縮して濃度的に再生する機器であり、第1の再生部に相当する。第1再生器G1は、希溶液Swを加熱する高温流体FHを内部に流す第1再生熱源管31と、希溶液Swを第1再生熱源管31の表面に供給する第1再生器溶液供給装置32とを有している。第1再生器G1は、第1再生器溶液供給装置32から供給された希溶液Swが第1再生熱源管31内を流れる高温流体FHに加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した第1濃溶液Sa1が生成されるように構成されている。第1再生器G1は、生成された第1濃溶液Sa1を下部に貯留するように構成されている。希溶液Swから蒸発した冷媒Vは第1再生器冷媒蒸気Vg1として第1凝縮器C1に移動するように構成されている。第1再生器溶液供給装置32には、希溶液Swを導入する第1希溶液導入管33の一端が接続されている。第1再生器G1の下部(典型的には底部)には、貯留された第1濃溶液Sa1を流出する第1濃溶液流出管34の一端が接続されている。第1濃溶液流出管34には、第1濃溶液Sa1を圧送する第1濃溶液ポンプ34pが配設されている。
【0040】
第1凝縮器C1は、第1再生器G1で発生した第1再生器冷媒蒸気Vg1を低温流体FLで冷却凝縮させて第1冷媒液Vf1とする機器であり、第1の凝縮部に相当する。第1凝縮器C1は、低温流体FLが流れる第1凝縮伝熱管41を第1凝縮器C1の缶胴の内部に有している。第1凝縮器C1は、第1再生器G1で発生した第1再生器冷媒蒸気Vg1を導入し、これが凝縮して第1冷媒液Vf1となる際に放出した凝縮熱を、第1凝縮伝熱管41内を流れる低温流体FLが受熱して、低温流体FLが加熱されて温度が上昇するように構成されている。第1凝縮器C1の下部(典型的には底部)には、貯留された第1冷媒液Vf1を流出する第1冷媒液流出管44の一端が接続されている。第1冷媒液流出管44には、第1冷媒液Vf1を圧送する第1冷媒液ポンプ44pが配設されている。
【0041】
第1再生器G1及び第1凝縮器C1は、水平方向に隣り合うようにして第1の再生凝縮缶胴(以下「第1再生凝縮缶胴30」という。)に収容されている。第1再生凝縮缶胴30の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第1再生凝縮壁39が設けられている。第1再生凝縮缶胴30内は、第1再生凝縮壁39を挟んで、一方に第1再生器G1が、他方に第1凝縮器C1が、それぞれ設けられている。第1再生凝縮壁39から第1凝縮器C1側の第1再生凝縮缶胴30が、第1凝縮器C1の缶胴を構成している。第1再生凝縮壁39は、第1再生器G1と第1凝縮器C1とが上部で連通するように、第1再生凝縮缶胴30の天面に接触しないように設けられている。つまり、第1再生凝縮壁39は、第1再生凝縮缶胴30の上部を除く両側壁及び底部で、第1再生凝縮缶胴30に接している。このような構成により、第1再生凝縮缶胴30内では、第1再生器G1から第1凝縮器C1へ第1再生器冷媒蒸気Vg1が移動できるようになっている。
【0042】
第2再生器G2は、希溶液Swを加熱し濃縮して濃度的に再生する機器であり、第2の再生部に相当する。第2再生器G2は、希溶液Swを加熱する高温流体FHを内部に流す第2再生熱源管35と、希溶液Swを第2再生熱源管35の表面に供給する第2再生器溶液供給装置36とを有している。第2再生器G2は、第1再生器G1と同様に構成されており、第2再生熱源管35及び第2再生器溶液供給装置36が、それぞれ第1再生熱源管31及び第1再生器溶液供給装置32に対応する。第2再生器G2は、第2再生器溶液供給装置36から供給された希溶液Swが第2再生熱源管35内を流れる高温流体FHに加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した第2濃溶液Sa2が生成されるように構成されている。第2再生器G2は、生成された第2濃溶液Sa2を下部に貯留するように構成されている。希溶液Swから蒸発した冷媒Vは第2再生器冷媒蒸気Vg2として第2凝縮器C2に移動するように構成されている。第2再生熱源管35の一端と第1再生熱源管31の一端とは、再生器高温流体連絡管73で接続されている。第2再生器溶液供給装置36には、希溶液Swを導入する第2希溶液導入管37の一端が接続されている。第2再生器G2の下部(典型的には底部)には、貯留された第2濃溶液Sa2を流出する第2濃溶液流出管38の一端が接続されている。第2濃溶液流出管38には、第2濃溶液Sa2を圧送する第2濃溶液ポンプ38pが配設されている。
【0043】
第2凝縮器C2は、第2再生器G2で発生した第2再生器冷媒蒸気Vg2を低温流体FLで冷却凝縮させて第2冷媒液Vf2とする機器であり、第2の凝縮部に相当する。第2凝縮器C2は、低温流体FLが流れる第2凝縮伝熱管45を第2凝縮器C2の缶胴の内部に有している。第2凝縮器C2は、第1凝縮器C1と同様に構成されており、第2凝縮伝熱管45が第1凝縮伝熱管41に対応する。第2凝縮器C2は、第2再生器G2で発生した第2再生器冷媒蒸気Vg2を導入し、これが凝縮して第2冷媒液Vf2となる際に放出した凝縮熱を、第2凝縮伝熱管45内を流れる低温流体FLが受熱して、低温流体FLが加熱されて温度が上昇するように構成されている。第2凝縮伝熱管45の一端と第1凝縮伝熱管41の一端とは、凝縮器低温流体連絡管74で接続されている。第2凝縮器C2の下部(典型的には底部)には、貯留された第2冷媒液Vf2を流出する第2冷媒液流出管48の一端が接続されている。第2冷媒液流出管48には、第2冷媒液Vf2を圧送する第2冷媒液ポンプ48pが配設されている。
【0044】
第2再生器G2及び第2凝縮器C2は、水平方向に隣り合うようにして第2の再生凝縮缶胴(以下「第2再生凝縮缶胴40」という。)に収容されている。第2再生凝縮缶胴40の内部には、内部空間を概ね2つに区画する第2再生凝縮壁49が設けられている。第2再生凝縮缶胴40内は、第2再生凝縮壁49を挟んで、一方に第2再生器G2が、他方に第2凝縮器C2が、それぞれ設けられている。第2再生凝縮壁49から第2凝縮器C2側の第2再生凝縮缶胴40が、第2凝縮器C2の缶胴を構成している。第2再生凝縮壁49は、第2再生器G2と第2凝縮器C2とが上部で連通するように、第2再生凝縮缶胴40の天面に接触しないように設けられている。つまり、第2再生凝縮壁49は、第2再生凝縮缶胴40の上部を除く両側壁及び底部で、第2再生凝縮缶胴40に接している。このような構成により、第2再生凝縮缶胴40内では、第2再生器G2から第2凝縮器C2へ第2再生器冷媒蒸気Vg2が移動できるようになっている。
【0045】
本実施の形態では、第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11の、吸収器低温流体連絡管71の一端が接続された端部とは反対側の端部には、低温流体流出管53が接続されている。低温流体流出管53は、加熱された低温流体FLを流す流路を構成する管である。また、第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15の、吸収器低温流体連絡管71の一端が接続された端部とは反対側の端部と、第1凝縮器C1の第1凝縮伝熱管41の、凝縮器低温流体連絡管74の一端が接続された端部とは反対側の端部とが、吸収凝縮低温流体連絡管81で接続されている。また、第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21の、蒸発器高温流体連絡管72の一端が接続された端部とは反対側の端部と、第2再生器G2の第2再生熱源管35の、再生器高温流体連絡管73の一端が接続された端部とは反対側の端部とが、蒸発再生高温流体連絡管75で接続されている。また、第2蒸発器E2の第2蒸発熱源管25の、蒸発器高温流体連絡管72の一端が接続された端部とは反対側の端部には、高温熱源流出管56が接続されている。高温熱源流出管56は、熱源として利用されて温度が低下した高温流体FHを流す流路を構成する管である。また、第1凝縮器C1の第1凝縮伝熱管41の、凝縮器低温流体連絡管74の一端が接続された端部とは反対側の端部には、上述のように、吸収凝縮低温流体連絡管81の一端が接続されている。また、第2凝縮器C2の第2凝縮伝熱管45の、凝縮器低温流体連絡管74の一端が接続された端部とは反対側の端部には、加熱される前の低温流体FLを流す流路を構成する低温流体導入管57が接続されている。
【0046】
また、第1再生器G1の第1再生熱源管31の、再生器高温流体連絡管73の一端が接続された端部とは反対側の端部には、高温熱源導入管52が接続されている。高温熱源導入管52は、温度が低下する前の高温流体FHを導く流路を構成する管である。高温熱源導入管52には、内部を流れる高温流体FHの流量を調節する高温熱源弁52vが設けられている。高温熱源導入管52の他端は、熱交用分岐管82の他端と共に、高温流体流入管55に接続されている。高温流体流入管55は、部分高温流体FHsが分流する前の高温流体FHが流れる流路を構成する管である。部分高温流体FHsは、高温流体FHから分岐したものであって実体は高温流体FHであるが、その用途に鑑みて説明の便宜上別の呼称としたものである。高温流体流入管55を流れる高温流体FHは、一部が分流して熱交用分岐管82に流入し、残りが高温熱源導入管52に流入するように構成されている。熱交用分岐管82には、内部を流れる部分高温流体FHsの流量を調節する熱交用分岐弁82vが設けられている。熱交用分岐管82の他端は、高温熱源流出管56の他端と共に、高温流体流出管59に接続されている。高温流体流出管59は、高温熱源流出管56を流れた高温流体FHに、熱交用分岐管82を流れた部分高温流体FHsが合流した後の高温流体FHが流れる流路を構成する管である。
【0047】
熱交換部80は、本実施の形態では、吸収凝縮低温流体連絡管81及び熱交用分岐管82に配設されており、吸収凝縮低温流体連絡管81を流れる低温流体FLと熱交用分岐管82を流れる部分高温流体FHsとで熱交換を行わせるように構成されている。熱交換部80は、典型的にはシェルアンドチューブ型熱交換器で構成されているが、プレート型熱交換器等の、2つの流体の間で熱交換させる機器であってもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、第1希溶液流出管14の他端と第2希溶液流出管18の他端とが、希溶液合流管61の一端に接続されている。希溶液合流管61の他端には、第1希溶液導入管33の他端と第2希溶液導入管37の他端とが接続されている。このような構成により、第1吸収器A1から流出した第1希溶液Sw1と第2吸収器A2から流出した第2希溶液Sw2とが合流して希溶液Swとして希溶液合流管61を流れた後、第1再生器G1及び第2再生器G2にそれぞれ希溶液Swが並列に流入するように構成されている。このように、本実施の形態では、第1再生器G1及び第2再生器G2のそれぞれが、第1吸収器A1及び第2吸収器A2から希溶液Swを直接導入するように構成されている。ここで、直接導入するとは、吸収ヒートポンプサイクルを構成する主要機器の他の機器を経由せずに導入することである。
【0049】
また、本実施の形態では、第1濃溶液流出管34の他端と第2濃溶液流出管38の他端とが、濃溶液合流管63の一端に接続されている。濃溶液合流管63の他端には、第1濃溶液導入管13の他端と第2濃溶液導入管17の他端とが接続されている。このような構成により、第1再生器G1から流出した第1濃溶液Sa1と第2再生器G2から流出した第2濃溶液Sa2とが合流して濃溶液Saとして濃溶液合流管63を流れた後、第1吸収器A1及び第2吸収器A2にそれぞれ濃溶液Saが並列に流入するように構成されている。このように、本実施の形態では、第1吸収器A1及び第2吸収器A2のそれぞれが、第1再生器G1及び第2再生器G2から濃溶液Saを直接導入するように構成されている。希溶液合流管61及び濃溶液合流管63には、希溶液Swと濃溶液Saとで熱交換を行わせる溶液熱交換器62が設けられている。
【0050】
また、本実施の形態では、第1冷媒液流出管44の他端と第2冷媒液流出管48の他端とが、冷媒液合流管64の一端に接続されている。冷媒液合流管64の他端には、第1冷媒液導入管23の他端と第2冷媒液導入管27の他端とが接続されている。このような構成により、第1凝縮器C1から流出した第1冷媒液Vf1と第2凝縮器C2から流出した第2冷媒液Vf2とが合流して冷媒液Vfとして冷媒液合流管64を流れた後、第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2にそれぞれ冷媒液Vfが並列に流入するように構成されている。このように、本実施の形態では、第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2のそれぞれが、第1凝縮器C1及び第2凝縮器C2から冷媒液Vfを直接導入するように構成されている。
【0051】
図1に示す例では、第1吸収蒸発缶胴10、第2吸収蒸発缶胴20、第1再生凝縮缶胴30、第2再生凝縮缶胴40は、それぞれが水平の状態で、鉛直上下に一列になるように縦積みされており、下から上に向けて、第1再生凝縮缶胴30、第2再生凝縮缶胴40、第1吸収蒸発缶胴10、第2吸収蒸発缶胴20の順に配置されている。実際に、
図1の通りの配置としてもよいが、
図1は模式的系統図であるため、流体の流路の接続関係をそのままとしたうえで、各機器の配置を適宜変更してもよい。各缶胴の間は、上述した配管の取り付けスペースを確保することができていればよい。
【0052】
吸収式熱交換システム1は、定常運転中、第1吸収器A1の内部の圧力及び温度は第1再生器G1の内部の圧力及び温度よりも高くなり、第2吸収器A2の内部の圧力及び温度は第2再生器G2の内部の圧力及び温度よりも高くなり、第1蒸発器E1の内部の圧力及び温度は第1凝縮器C1の内部の圧力及び温度よりも高くなり、第2蒸発器E2の内部の圧力及び温度は第2凝縮器C2の内部の圧力及び温度よりも高くなる。吸収式熱交換システム1は、第1吸収器A1、第1蒸発器E1、第2吸収器A2、第2蒸発器E2、第1再生器G1、第1凝縮器C1、第2再生器G2、第2凝縮器C2が、第2種吸収ヒートポンプの構成となっている。
【0053】
引き続き
図1を参照して、吸収式熱交換システム1の作用を説明する。まず、冷媒側の吸収ヒートポンプサイクルを説明する。第1凝縮器C1では、第1再生器G1で蒸発した第1再生器冷媒蒸気Vg1を受け入れて、第1凝縮伝熱管41を流れる低温流体FLによって第1再生器冷媒蒸気Vg1が冷却されて凝縮し、第1冷媒液Vf1となる。このとき、低温流体FLは、第1再生器冷媒蒸気Vg1が凝縮する際に放出した凝縮熱によって温度が上昇する。凝縮した第1冷媒液Vf1は、第1冷媒液ポンプ44pに圧送されて第1冷媒液流出管44を流れる。第2凝縮器C2では、第2再生器G2で蒸発した第2再生器冷媒蒸気Vg2を受け入れて、第2凝縮伝熱管45を流れる低温流体FLによって第2再生器冷媒蒸気Vg2が冷却されて凝縮し、第2冷媒液Vf2となる。このとき、低温流体FLは、第2再生器冷媒蒸気Vg2が凝縮する際に放出した凝縮熱によって温度が上昇する。本実施の形態では、低温流体FLは、第2凝縮伝熱管45を流れた後に凝縮器低温流体連絡管74を経由して第1凝縮伝熱管41を流れるので、第1凝縮伝熱管41を流れているときの温度が第2凝縮伝熱管45を流れているときの温度よりも高くなり、第1凝縮器C1の内圧は第2凝縮器C2の内圧よりも高くなる。凝縮した第2冷媒液Vf2は、第2冷媒液ポンプ48pに圧送されて第2冷媒液流出管48を流れる。第1冷媒液流出管44を流れる第1冷媒液Vf1及び第2冷媒液流出管48を流れる第2冷媒液Vf2は、それぞれ冷媒液合流管64に流入し、混合されて冷媒液Vfとなる。冷媒液合流管64内の冷媒液Vfは、第1冷媒液導入管23と第2冷媒液導入管27とに分流する。第1冷媒液導入管23を流れる冷媒液は、第1蒸発器E1内に流入する。他方、第2冷媒液導入管27を流れる冷媒液は、第2蒸発器E2内に流入する。
【0054】
第1蒸発器E1に流入した冷媒液Vfは、第1蒸発熱源管21を流れる高温流体FHで加熱されて蒸発し、第1蒸発器冷媒蒸気Ve1となる。このとき、第1蒸発熱源管21内を流れる高温流体FHは、冷媒液Vfに熱を奪われて温度が低下する。第1蒸発器E1で発生した第1蒸発器冷媒蒸気Ve1は、第1蒸発器E1と連通する第1吸収器A1へと移動する。他方、第2蒸発器E2に流入した冷媒液Vfは、第2蒸発熱源管25を流れる高温流体FHで加熱されて蒸発し、第2蒸発器冷媒蒸気Ve2となる。このとき、第2蒸発熱源管25内を流れる高温流体FHは、冷媒液Vfに熱を奪われて温度が低下する。第2蒸発器E2で発生した第2蒸発器冷媒蒸気Ve2は、第2蒸発器E2と連通する第2吸収器A2へと移動する。高温流体FHは、第1蒸発熱源管21を流れた後に蒸発器高温流体連絡管72を経由して第2蒸発熱源管25を流れるので、第1蒸発熱源管21を流れているときの温度が第2蒸発熱源管25を流れているときの温度よりも高くなり、第1蒸発器E1の内圧は第2蒸発器E2の内圧よりも高くなる。
【0055】
次に溶液側の吸収ヒートポンプサイクルを説明する。第1吸収器A1では、濃溶液Saが第1吸収器溶液供給装置12から供給され、この供給された濃溶液Saが第1蒸発器E1から移動してきた第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収する。第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して第1希溶液Sw1となる。第1吸収器A1では、濃溶液Saが第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、第1吸収伝熱管11を流れる低温流体FLが加熱され、低温流体FLの温度が上昇する。第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収して第1濃溶液Sa1から濃度が低下した第1希溶液Sw1は、第1吸収器A1の下部に貯留される。
【0056】
第2吸収器A2では、濃溶液Saが第2吸収器溶液供給装置16から供給され、この供給された濃溶液Saが第2蒸発器E2から移動してきた第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収する。第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して第2希溶液Sw2となる。第2吸収器A2では、濃溶液Saが第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、第2吸収伝熱管15を流れる低温流体FLが加熱され、低温流体FLの温度が上昇する。低温流体FLは、第2吸収伝熱管15を流れた後に吸収器低温流体連絡管71を経由して第1吸収伝熱管11を流れるので、第1吸収器A1から流出して低温流体流出管53を流れているときの温度が、吸収器低温流体連絡管71を流れているときの温度よりも高くなり、低温流体FLをより昇温させることができる。第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収して濃溶液Saから濃度が低下した第2希溶液Sw2は、第2吸収器A2下部に貯留される。
【0057】
第1吸収器A1で生成された第1希溶液Sw1は第1希溶液流出管14に流出し、第2吸収器A2で生成された第2希溶液Sw2は第2希溶液流出管18に流出する。第1希溶液流出管14を流れる第1希溶液Sw1及び第2希溶液流出管18を流れる第2希溶液Sw2は、それぞれ希溶液合流管61に流入し、混合されて希溶液Swとなる。希溶液合流管61を流れる希溶液Swは、溶液熱交換器62において濃溶液Saと熱交換して温度が低下した後、第1希溶液導入管33と第2希溶液導入管37とに分流する。第1希溶液導入管33を流れる希溶液Swは、第1再生器溶液供給装置32から第1再生器G1内に供給される。他方、第2希溶液導入管37を流れる希溶液Swは、第2再生器溶液供給装置36から第2再生器G2内に供給される。
【0058】
第1再生器G1では、第1再生器溶液供給装置32から供給された希溶液Swが、第1再生熱源管31を流れる高温流体FHで加熱され、供給された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して第1濃溶液Sa1となり、第1再生器G1の下部に貯留される。このとき、第1再生熱源管31内を流れる高温流体FHは、希溶液Swに熱を奪われて温度が低下する。希溶液Swから蒸発した冷媒は第1再生器冷媒蒸気Vg1として第1凝縮器C1へと移動する。他方、第2再生器G2では、第2再生器溶液供給装置36から供給された希溶液Swが、第2再生熱源管35を流れる高温流体FHで加熱され、供給された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して第2濃溶液Sa2となり、第2再生器G2の下部に貯留される。このとき、第2再生熱源管35内を流れる高温流体FHは、希溶液Swに熱を奪われて温度が低下する。希溶液Swから蒸発した冷媒は第2再生器冷媒蒸気Vg2として第2凝縮器C2へと移動する。
【0059】
第1再生器G1で生成された第1濃溶液Sa1は第1濃溶液流出管34に流出し、第2再生器G2で生成された第2濃溶液Sa2は第2濃溶液流出管38に流出する。第1濃溶液ポンプ34pに圧送されて第1濃溶液流出管34を流れる第1濃溶液Sa1及び第2濃溶液ポンプ38pに圧送されて第2濃溶液流出管38を流れる第2濃溶液Sa2は、それぞれ濃溶液合流管63に流入し、混合されて濃溶液Saとなる。濃溶液合流管63内の濃溶液Saは、溶液熱交換器62において希溶液Swと熱交換して温度が上昇した後、第1濃溶液導入管13と第2濃溶液導入管17とに分流する。第1濃溶液導入管13を流れる濃溶液Saは、第1吸収器溶液供給装置12から第1吸収器A1内に供給され、以降前述のサイクルを繰り返す。他方、第2濃溶液導入管17を流れる濃溶液Saは、第2吸収器溶液供給装置16から第2吸収器A2内に供給され、以降前述のサイクルを繰り返す。
【0060】
吸収液S及び冷媒Vが上記のような吸収ヒートポンプサイクルを行う過程における、低温流体FL及び高温流体FHの温度の変化を、具体例を挙げて説明する。高温流体流入管55を流れる高温流体FHが95℃であるとすると、分流した高温流体FH及び部分高温流体FHsもそれぞれ95℃である。高温熱源導入管52を流れる95℃の高温流体FHは、第1再生器G1の第1再生熱源管31を流れた際に希溶液Swに熱を奪われて温度が低下し、その後、再生器高温流体連絡管73を介して第2再生器G2に流入し、第2再生器G2の第2再生熱源管35を流れた際に希溶液Swに熱を奪われて、蒸発再生高温流体連絡管75に至ると88℃に温度が低下する。その後、蒸発再生高温流体連絡管75を流れる高温流体FHは、第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21を流れた際に冷媒液Vfに熱を奪われて温度が低下し、その後、蒸発器高温流体連絡管72を介して第2蒸発器E2に流入し、第2蒸発器E2の第2蒸発熱源管25を流れた際に冷媒液Vfに熱を奪われて、高温熱源流出管56に至ると81℃に温度が低下する。なお、高温流体流入管55から分岐して熱交用分岐管82に流入した部分高温流体FHsは、熱交換部80に向かって流れ、熱交換部80に流入する。
【0061】
他方、低温流体導入管57を流れる低温流体FLが32℃であるとすると、低温流体導入管57を流れる低温流体FLは、第2凝縮器C2の第2凝縮伝熱管45を流れた際に、第2再生器冷媒蒸気Vg2が凝縮して冷媒液Vfとなる際に放出した凝縮熱を得て温度が上昇し、その後、凝縮器低温流体連絡管74を介して第1凝縮器C1に流入し、第1凝縮器C1の第1凝縮伝熱管41を流れた際に、第1再生器冷媒蒸気Vg1が凝縮して冷媒液Vfとなる際に放出した凝縮熱を得て、吸収凝縮低温流体連絡管81に至ると53℃に温度が上昇する。吸収凝縮低温流体連絡管81を流れる低温流体FLは、熱交換部80に流入する。熱交換部80では、吸収凝縮低温流体連絡管81を流れる低温流体FLと熱交用分岐管82を流れる部分高温流体FHsとの間で熱交換が行われ、53℃の低温流体FLは92℃に温度が上昇し、95℃の部分高温流体FHsは56℃に温度が低下する。56℃に温度が低下した部分高温流体FHsは、引き続き熱交用分岐管82を流れ、高温熱源流出管56を流れる81℃の高温流体FHに合流し、75℃の高温流体FHとなって高温流体流出管59を流れて吸収式熱交換システム1から排出される。他方、92℃に温度が上昇した低温流体FLは、吸収凝縮低温流体連絡管81から第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15に流入し、第2吸収伝熱管15を流れた際に、濃溶液Saが第2蒸発器冷媒蒸気Ve2を吸収する際に発生した吸収熱を得て温度が上昇し、その後、吸収器低温流体連絡管71を介して第1吸収器A1に流入し、第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11を流れた際に、濃溶液Saが第1蒸発器冷媒蒸気Ve1を吸収する際に発生した吸収熱を得て、低温流体流出管53に至ると111℃に温度が上昇する。このとき、第1蒸発器E1を流れる高温流体FHの温度は、第2蒸発器E2を流れる高温流体FHの温度よりも高いので、第2蒸発器E2及び第2吸収器A2の内圧及び温度は、第1蒸発器E1及び第1吸収器A1の内圧及び温度よりも低くなり、低温流体FLを第2吸収器A2から第1吸収器A1の順に導入すると、各吸収器A2、A1で加熱昇温される低温流体FLの温度を順に高くすることができる。低温流体流出管53を流れる111℃の低温流体FLは、利用場所に供給される。
【0062】
吸収式熱交換システム1では、上述のような温度関係を成り立たせるために、高温熱源導入管52を流れる高温流体FHの流量と熱交用分岐管82を流れる部分高温流体FHsの流量との比、及び部分高温流体FHsの流量に対する低温流体FLの流量の比を決定している。本実施の形態では、高温流体FHと部分高温流体FHsとの流量比を概ね4:1としている。なお、相対的に、部分高温流体FHsの流量を多くすれば熱交換部80から流出する低温流体FLの温度は高くなり、部分高温流体FHsの流量を少なくすれば熱交換部80から流出する低温流体FLの温度は低くなる。また、本実施の形態では、低温流体FLと部分高温流体FHsとの流量比を約1:1としている。ここで、高温流体FH、部分高温流体FHs、低温流体FLのそれぞれの流量比は、あらかじめ決められた値にしたがって採用したサイズの配管やオリフィス等を用いることで固定してもよく、バルブ(高温熱源弁52v及び熱交用分岐弁82vあるいはこれらの代替の三方弁)等を用いて自動又は手動で調節可能に構成してもよく、自動で調節する場合は制御装置(不図示)に設けられた記憶装置(不図示)にあらかじめ設定しておいてもよいし、制御装置に設けられた入力装置(不図示)により随時設定が可能な構成としてもよい。このようにして、吸収式熱交換システム1から流出する低温流体FLの温度(111℃)を、吸収式熱交換システム1に流入する高温流体FHの温度(95℃)よりも高くすることができる。ここで、吸収式熱交換システム1は、高温流体FHと低温流体FLとの間で熱交換を行わせる一つの熱交換器とみることができる。従来の熱交換器では、低温の流体の流量を高温の流体の流量よりも少なくすれば、低温の流体の出口温度を、高温の流体の入口温度に近づけることはできたが、高温の流体の入口温度よりも高くすることができなかった。この点、本実施の形態に係る吸収式熱交換システム1では、上述のように、吸収式熱交換システム1から流出する低温流体FLの温度を、吸収式熱交換システム1に流入する高温流体FHの温度よりも高くすることができて熱流体の長距離輸送に好適となる。
【0063】
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収式熱交換システム1によれば、第2種吸収ヒートポンプの機能を発揮する第1吸収器A1、第2吸収器A2、第1蒸発器E1、第2蒸発器E2、第1再生器G1、第2再生器G2、第1凝縮器C1、第2凝縮器C2における吸収液Sと冷媒Vとの吸収ヒートポンプサイクルを介して間接的に高温流体FHと低温流体FLとの熱交換を行わせると共に、熱交換部80において直接的に部分高温流体FHs(高温流体FH)と低温流体FLとの熱交換を行わせることで、低温流体FLが高温流体FHから熱を奪った上で、吸収式熱交換システム1から流出する低温流体FLの温度を、流入する高温流体FHの温度よりも高くすることができる。また、第1吸収器A1と第2吸収器A2とを備えているので、吸収器が1つの場合に比べて低温流体FLの温度を上昇させることが可能になる。また、吸収式熱交換システム1では、第1凝縮器C1及び第2凝縮器C2を通過した低温流体FLを第1吸収器A1及び第2吸収器A2に導入して低温流体FLの温度を上昇させているため、第2種吸収ヒートポンプでは必要となる冷却水が不要となり、これに伴う付帯設備(冷却水ポンプ、冷却塔等)が不要になる。また、吸収式熱交換システム1では、第2種吸収ヒートポンプのように冷却水に捨てる熱がなく、第1凝縮器C1及び第2凝縮器C2における凝縮熱を低温流体FLの加熱に利用しているため、効率(COP)が第2種吸収ヒートポンプよりも高く(概ね2倍程度)大型の熱交換器と同等にすることができる。
【0064】
次に
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る吸収式熱交換システム2を説明する。
図2は、吸収式熱交換システム2の模式的系統図である。吸収式熱交換システム2は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と比較して、概観すると、熱交換部80に流入する高温流体FHが、第1蒸発器E1、第2蒸発器E2、第1再生器G1、第2再生器G2に対して、流入する前の高温流体FHから分岐された部分高温流体FHs(
図1参照)ではなく、流出した後の高温流体FHである点が異なっている。これに伴い、吸収式熱交換システム2の構成は、主として以下の点で吸収式熱交換システム1(
図1参照)の構成と異なっている。吸収式熱交換システム2では、吸収式熱交換システム1(
図1参照)で設けられていた、熱交用分岐弁82vが配設された熱交用分岐管82が設けられておらず、これに伴って高温熱源弁52vも設けられていない。また、熱交換部80は、熱交用分岐管82に代えて高温流体流出管59に配置されており、吸収凝縮低温流体連絡管81を流れる低温流体FLと高温流体流出管59を流れる高温流体FHとで熱交換を行わせるように構成されている。吸収式熱交換システム2の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様である。なお、高温流体流入管55と高温熱源導入管52とは、両者の接続点に分岐する配管(熱交用分岐管82(
図1参照))が存在しないので、渾然一体に構成されていてもよいが、吸収式熱交換システム1(
図1参照)との対比の便宜上、両者の呼称を存置することとしている。同様に、高温熱源流出管56と高温流体流出管59とは、渾然一体に構成されていてもよいが、両者の呼称を存置することとしている。
【0065】
このように構成された吸収式熱交換システム2では、第1再生器G1、第2再生器G2、第1蒸発器E1、第2蒸発器E2を流れる高温流体FHは、吸収式熱交換システム1(
図1参照)の場合と比べて、部分高温流体FHs(
図1参照)が分岐しない分だけ流量が多くなるが、高温熱源流出管56及び高温流体流出管59を流れて熱交換部80に流入する際には吸収式熱交換システム1(
図1参照)よりも低い温度の82℃となる。他方、低温流体導入管57を流れる32℃の低温流体FLは、第2凝縮器C2及び第1凝縮器C1において温度が58℃に上昇して凝縮低温流体連絡管81に至り、熱交換部80に流入する。熱交換部80では、高温流体流出管59を流れる高温流体FHと吸収凝縮低温流体連絡管81を流れる低温流体FLとの間で熱交換が行われ、82℃の高温流体FHは77℃に温度が低下し、58℃の低温流体FLは79℃に温度が上昇する。熱交換部80を通過する高温流体FHと低温流体FLとは、流量比が約4:1となっている。このように、熱交換部80における高温流体FHと低温流体FLとの流量比が比較的大きいことから、熱交換部80の伝熱性能を向上させて熱交換量当たりの伝熱面積を小さくすることができる。77℃に温度が低下して熱交換部80から流出した高温流体FHは、引き続き高温流体流出管59を流れて吸収式熱交換システム1から排出される。79℃に温度が上昇して熱交換部80から流出した低温流体FLは、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様に第1吸収器A1に流入し、第1吸収器A1及び第2吸収器A2で104℃に温度が上昇した後に、低温流体流出管53を流れて利用場所に供給される。吸収式熱交換システム2では、熱交換部80で昇温される低温流体FLの温度が低くなることから、低温流体流出管53に流出する低温流体FLの温度が吸収式熱交換システム1(
図1参照)よりも低くなり、高温流体FHから低温流体FLに与える熱量も少なくなる。吸収式熱交換システム2は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様、吸収式熱交換システム2から流出する低温流体FLの温度を、流入する高温流体FHの温度よりも高くすることができると共に、吸収器が1つの場合に比べて低温流体FLの温度を上昇させることが可能になる。
【0066】
次に
図3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る吸収式熱交換システム3を説明する。
図3は、吸収式熱交換システム3の模式的系統図である。吸収式熱交換システム3
は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と比較して、概観すると、吸収液S及び冷媒Vの液の流れ方並びに低温流体FLの流れの順序及び蒸発再生高温流体連絡管75よりも下流側における高温流体FHの流れの順序が異なっている。これに伴い、吸収式熱交換システム3の構成は、主として以下の点で吸収式熱交換システム1(
図1参照)の構成と異なっている。吸収式熱交換システム3では、第2吸収器A2から流出した第2希溶液Sw2を流す第2希溶液流出管18の他端が第1吸収器A1の第1吸収器溶液供給装置12に接続されており、第2希溶液Sw2が第1吸収器A1に供給されるように構成されている。また、第1吸収器A1から流出した第1希溶液Sw1を流す第1希溶液流出管14の他端が第2再生器G2の第2再生器溶液供給装置36に接続されており、第1希溶液Sw1が第2再生器G2に供給されるように構成されている。また、第2再生器G2から流出した第2濃溶液Sa2を流す第2濃溶液流出管38の他端が第1再生器G1の第1再生器溶液供給装置32に接続されており、第2濃溶液Sa2が第1再生器G1に供給されるように構成されている。第2濃溶液流出管38には第2濃溶液ポンプ38p(
図1参照)が設けられておらず、第2濃溶液Sa2は重力によって第2再生器G2から第1再生器G1に流れるようになっている。また、第1再生器G1から流出した第1濃溶液Sa1を流す第1濃溶液流出管34の他端が第2吸収器A2の第2吸収器溶液供給装置16に接続されており、第1濃溶液Sa1が第2吸収器A2に供給されるように構成されている。吸収式熱交換システム3では、第1希溶液Sw1は第2希溶液Sw2よりも濃度が低く、第2濃溶液Sa2は第1希溶液Sw1よりも濃度が高く、第1濃溶液Sa1は第2濃溶液Sa2よりも濃度が高く、第2希溶液Sw2は第1濃溶液Sa1よりも濃度が低くなるように構成されている。このような構成により、吸収液Sは、第2吸収器A2、第1吸収器A1、第2再生器G2、第1再生器G1の順に直列に流れ、第1再生器G1から再び第2吸収器A2に戻って濃度を変化させながら循環するようになっている。このとき、吸収液Sを、第2再生器G2へは、第1吸収器A1からは直接、第2吸収器A2からは第1吸収器A1を介して間接的に導入することとなり、第1再生器G1へは、第1吸収器A1からは第2再生器G2を介して間接的に、第2吸収器A2からは第1吸収器A1及び第2再生器G2を介して間接的に導入することとなる。また、吸収液Sを、第2吸収器A2へは、第1再生器G1からは直接、第2再生器G2からは第1再生器G1を介して間接的に導入することとなり、第1吸収器A1へは、第1再生器G1からは第2吸収器A2を介して間接的に、第2再生器G2からは第1再生器G1及び第2吸収器A2を介して間接的に導入することとなる。ここで、間接的に導入するとは、吸収ヒートポンプサイクルを構成する主要機器の他の機器を経由して導入することである。
【0067】
また、吸収式熱交換システム3では、第2凝縮器C2から流出した第2冷媒液Vf2を流す第2冷媒液流出管48の他端が第1凝縮器C1に接続されており、第2冷媒液Vf2が第1凝縮器C1に供給されるように構成されている。第2冷媒液流出管48には第2冷媒液ポンプ48p(
図1参照)が設けられておらず、第2冷媒液Vf2は重力によって第2凝縮器C2から第1凝縮器C1に流れるようになっている。また、第1凝縮器C1から流出した第1冷媒液Vf1を流す第1冷媒液流出管44の他端が第2蒸発器E2に接続されており、第1冷媒液Vf1が第2蒸発器E2に供給されるように構成されている。また、吸収式熱交換システム3では、第2蒸発器E2に貯留された第1冷媒液Vf1の一部を第1蒸発器E1に供給する蒸発器冷媒液導入管28が設けられている。このような構成により、冷媒Vは、第1蒸発器E1から第1吸収器A1へ及び第2蒸発器E2から第2吸収器A2へそれぞれ蒸気(Ve1、Ve2)として流れる分を除き、第2凝縮器C2、第1凝縮器C1、第2蒸発器E2、第1蒸発器E1の順に直列に流れるようになっている。吸収式熱交換システム3では、吸収式熱交換システム1(
図1参照)で設けられていた第1濃溶液導入管13、第2濃溶液導入管17、第1冷媒液導入管23、第2冷媒液導入管27、第1希溶液導入管33、第2希溶液導入管37、希溶液合流管61、濃溶液合流管63、冷媒液合流管64は設けられていない。このため、溶液熱交換器62は、希溶液合流管61(
図1参照)及び濃溶液合流管63(
図1参照)ではなく、第1希溶液流出管14及び第1濃溶液流出管34に設けられている。
【0068】
さらに、吸収式熱交換システム3では、低温流体導入管57が、第2凝縮器C2の第2凝縮伝熱管45ではなく、第1凝縮器C1の第1凝縮伝熱管41の一端に接続されている。第2凝縮器C2の第2凝縮伝熱管45の、凝縮器低温流体連絡管74が接続された端部とは反対側の端部には、吸収凝縮低温流体連絡管81の一端が接続されている。吸収凝縮低温流体連絡管81の他端は、第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15ではなく、第1吸収器A1の第1吸収伝熱管11の一端に接続されている。第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15の、吸収器低温流体連絡管71が接続された端部とは反対側の端部には、低温流体流出管53の一端が接続されている。このような構成により、低温流体導入管57を流れる低温流体FLは、第1凝縮器C1、第2凝縮器C2、第1吸収器A1、第2吸収器A2の順に直列に流れて低温流体流出管53に至るようになっている。また、吸収式熱交換システム3では、一端が第2再生熱源管35に接続された蒸発再生高温流体連絡管75の他端が、第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21ではなく、第2蒸発器E2の第2蒸発熱源管25の一端に接続されている。第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21の、蒸発器高温流体連絡管72が接続された端部とは反対側の端部には、高温熱源流出管56の一端が接続されている。このような構成により、第1再生器G1及び第2再生器G2を直列に流れた後に蒸発再生高温流体連絡管75を流れる高温流体FHは、第2蒸発器E2、第1蒸発器E1の順に直列に流れて高温熱源流出管56に至るようになっている。吸収式熱交換システム3の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様である。
【0069】
このように構成された吸収式熱交換システム3は、第2凝縮器C2を流れる低温流体FLの温度が第1凝縮器C1を流れる低温流体FLの温度よりも高くなることから第2再生器G2及び第2凝縮器C2の内圧が第1再生器G1及び第1凝縮器C1の内圧よりも高くなるので、第2再生器G2と第1再生器G1との間に内圧の差が生じて、第2再生器G2から第1再生器G1に吸収液Sを流すのに好適である。同様に、第2凝縮器C2から第1凝縮器C1に冷媒液Vfを流すのにも適している。第2再生器G2で加熱される吸収液Sの温度は第1再生器G1で加熱される吸収液Sの温度より低くなるので、温度が低い第2再生器G2、次に、温度が高い第1再生器G1と吸収液Sが流れることで、吸収液Sは温度が低い順に2回加熱されることとなり、吸収液Sの濃度を高くして熱出力を増大することができる。また、第2吸収器A2及び第2蒸発器E2の内圧は第1吸収器A1及び第1蒸発器E1の内圧よりも高くなるので、第2吸収器A2と第1吸収器A1との間に内圧の差が生じて、第2吸収器A2から第1吸収器A1に吸収液Sを流すのに好適である。同様に、第2蒸発器E2から第1蒸発器E1に冷媒液Vfを流すのにも適している。第2吸収器A2で冷却される吸収液Sの温度は第1吸収器A1で冷却される吸収液Sの温度より高くなるので、温度が高い第2吸収器A2、次に、温度が低い第1吸収器A1と吸収液Sが流れることで、吸収液Sは温度が高い順に2回冷却されることとなり、吸収液Sの濃度を低くして、熱出力を増大することができる。このように、吸収式熱交換システム3では、吸収液Sが第2吸収器A2から第1吸収器A1に直列に流れると共に第2再生器G2から第1再生器G1に直列に流れるので、吸収液Sの濃度の差を大きくして出力を増大させることができる。
【0070】
次に
図4を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る吸収式熱交換システム4を説明する。
図4は、吸収式熱交換システム4の模式的系統図である。吸収式熱交換システム4は、吸収式熱交換システム2(
図2参照)と比較して、概観すると、吸収液S及び冷媒Vの液の流れ方並びに高温流体FHの流れの順序が異なっている。これに伴い、吸収式熱交換システム4の構成は、主として以下の点で吸収式熱交換システム2(
図2参照)の構成と異なっている。吸収式熱交換システム4では、第1吸収器A1から流出した第1希溶液Sw1を流す第1希溶液流出管14の他端が第1再生器G1の第1再生器溶液供給装置32に接続されており、第1希溶液Sw1が第1再生器G1に供給されるように構成されている。また、第1再生器G1から流出した第1濃溶液Sa1を流す第1濃溶液流出管34の他端が第1吸収器A1の第1吸収器溶液供給装置12に接続されており、第1濃溶液Sa1が第1吸収器A1に供給されるように構成されている。吸収式熱交換システム4では、第1希溶液Sw1及び第1濃溶液Sa1が、第1吸収器A1と第1再生器G1との間を濃度を変えながら循環しており、第1希溶液流出管14及び第1濃溶液流出管34は、第1吸収器A1及び第1再生器G1と協働して第1の吸収液循環流路を構成する。また、吸収式熱交換システム4では、第2吸収器A2から流出した第2希溶液Sw2を流す第2希溶液流出管18の他端が第2再生器G2の第2再生器溶液供給装置36に接続されており、第2希溶液Sw2が第2再生器G2に供給されるように構成されている。また、第2再生器G2から流出した第2濃溶液Sa2を流す第2濃溶液流出管38の他端が第2吸収器A2の第2吸収器溶液供給装置16に接続されており、第2濃溶液Sa2が第2吸収器A2に供給されるように構成されている。吸収式熱交換システム4では、第2希溶液Sw2及び第2濃溶液Sa2が、第2吸収器A2と第2再生器G2との間を濃度を変えながら循環しており、第2希溶液流出管18及び第2濃溶液流出管38は、第2吸収器A2及び第2再生器G2と協働して第2の吸収液循環流路を構成する。また、吸収式熱交換システム4では、溶液熱交換器62(
図2参照)に代えて、第1希溶液流出管14及び第1濃溶液流出管34に第1溶液熱交換器62Aが設けられると共に、第2希溶液流出管18及び第2濃溶液流出管38に第2溶液熱交換器62Bが設けられている。
【0071】
また、吸収式熱交換システム4では、第1凝縮器C1から流出した第1冷媒液Vf1を流す第1冷媒液流出管44の他端が第1蒸発器E1に接続されており、第1冷媒液Vf1が第1蒸発器E1に供給されるように構成されている。また、第2凝縮器C2から流出した第2冷媒液Vf2を流す第2冷媒液流出管48の他端が第2蒸発器E2に接続されており、第2冷媒液Vf2が第2蒸発器E2に供給されるように構成されている。吸収式熱交換システム4では、冷媒Vが、1つ目の系として、第1冷媒液Vf1、第1蒸発器冷媒蒸気Ve1、第1再生器冷媒蒸気Vg1と相を代えながら第1凝縮器C1、第1蒸発器E1、第1吸収器A1、第1再生器G1を循環し、2つ目の系として、第2冷媒液Vf2、第2蒸発器冷媒蒸気Ve2、第2再生器冷媒蒸気Vg2と相を代えながら第2凝縮器C2、第2蒸発器E2、第2吸収器A2、第2再生器G2を循環している。
【0072】
さらに、吸収式熱交換システム4では、高温熱源導入管52の、高温流体流入管55に接続されている端部とは反対側の端部が、第1再生器G1の第1再生熱源管31ではなく、第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21の一端に接続されている。第1蒸発熱源管21の他端には、熱源第1連絡管76の一端が接続されている。熱源第1連絡管76の他端は、第1再生器G1の第1再生熱源管31の一端に接続されている。第1再生熱源管31の他端には、熱源中間連絡管77の一端が接続されている。熱源中間連絡管77の他端は、第2蒸発器E2の第2蒸発熱源管25の一端に接続されている。第2蒸発熱源管25の他端には、熱源第2連絡管78の一端が接続されている。熱源第2連絡管78の他端は、第2再生器G2の第2再生熱源管35の一端に接続されている。第2再生熱源管35の他端には、高温熱源流出管56の一端が接続されており高温熱源流出管56の他端は高温流体流出管59の端部に接続されている。このような構成により、高温熱源導入管52を流れる高温流体FHは、第1蒸発器E1、第1再生器G1、第2蒸発器E2、第2再生器G2の順に直列に流れて高温熱源流出管56に至るようになっている。なお、吸収式熱交換システム4では、吸収式熱交換システム2(
図2参照)で設けられていた蒸発器高温流体連絡管72、再生器高温流体連絡管73、蒸発再生高温流体連絡管75が設けられていない。吸収式熱交換システム4の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム2(
図2参照)と同様である。このように構成された吸収式熱交換システム4は、吸収液Sと冷媒Vとの吸収ヒートポンプサイクルの独立した系路を2つ有することとなって、吸収ヒートポンプサイクルを複数で制御及び管理することができる。また、高温流体FHの温度は、第1蒸発器E1よりも第1再生器G1の方が低いので、第1再生器G1における吸収液Sの濃度の上昇を抑制して吸収液Sが過度に濃縮してしまうことを回避することができる。
【0073】
次に
図5を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る吸収式熱交換システム5を説明する。
図5は、吸収式熱交換システム5の模式的系統図である。吸収式熱交換システム5は、吸収式熱交換システム4(
図4参照)と比較して、概観すると、高温流体FHの流れの順序、及び熱交換部80に流入する高温流体FHの状態が異なっている。これに伴い、吸収式熱交換システム5の構成は、主として以下の点で吸収式熱交換システム4(
図4参照)の構成と異なっている。吸収式熱交換システム5では、熱交用分岐管82が、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様に配置されており、熱交換部80では吸収凝縮低温流体連絡管81を流れる低温流体FLと熱交用分岐管82を流れる部分高温流体FHsとで熱交換が行われるように構成されている。また、高温熱源導入管52の、高温流体流入管55及び熱交用分岐管82に接続されている端部とは反対側の端部が、第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21ではなく、第1再生器G1の第1再生熱源管31の一端に接続されている。第1蒸発熱源管21の、第1熱源連絡管76に接続されている端部とは反対側の端部には、熱源中間連絡管77の一端が接続されている。熱源中間連絡管77の他端は、第2蒸発器E2の第2蒸発熱源管25ではなく、第2再生器G2の第2再生熱源管35の一端に接続されている。第2蒸発熱源管25の、第2熱源連絡管78に接続されている端部とは反対側の端部には、高温熱源流出管56の一端が接続されており、高温熱源流出管56の他端は熱交用分岐管82及び高温流体流出管59の端部に接続されている。このような構成により、高温熱源導入管52を流れる高温流体FHは、第1再生器G1、第1蒸発器E1、第2再生器G2、第2蒸発器E2の順に直列に流れて高温熱源流出管56に至るようになっている。吸収式熱交換システム5の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム4(
図4参照)と同様である。このように構成された吸収式熱交換システム5は、吸収式熱交換システム4と同様に、吸収液Sと冷媒Vとの吸収ヒートポンプサイクルの独立した系路を2つ有することとなって、吸収ヒートポンプサイクルを複数で制御及び管理することができる。また、吸収式熱交換システム5は、高温流体FHの温度が、第1再生器G1に流入するときの方が第1蒸発器E1に流入するときよりも高く、第2再生器G2に流入するときの方が第2蒸発器E2に流入するときよりも高くなり、第1再生器G1及び第2再生器G2のそれぞれにおける吸収液Sの濃度が吸収式熱交換システム4(
図4参照)よりも高くなるので、運転条件によっては、吸収式熱交換システム4(
図4参照)よりも低温流体FLの昇温後の温度を高くして熱出力を増大させることができる。
【0074】
図4及び
図5に示す吸収式熱交換システム4、5においては、吸収器、蒸発器、再生器、凝縮器を各1個備えた既設の第2種吸収ヒートポンプが存在している状況で昇温対象流体の温度をさらに高くしたい場合に、吸収器、蒸発器、再生器、凝縮器を各1個備えた第2種吸収ヒートポンプを新たに設置すると共に高温流体FH及び低温流体FLの各配管を本実施の形態に示すように接続して制御系にわずかな変更を加えることで構成することもできる。
【0075】
次に
図6を参照して、本発明の第6の実施の形態に係る吸収式熱交換システム6を説明する。
図6は、吸収式熱交換システム6の模式的系統図である。吸収式熱交換システム6は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と比較して、概観すると、熱交換部80よりも上流側の低温流体FLの流れ方が異なっている。これに伴い、吸収式熱交換システム6の構成は、主として以下の点で吸収式熱交換システム1(
図1参照)の構成と異なっている。吸収式熱交換システム6では、低温流体導入管57が、途中で第1低温流体導入管57Aと第2低温流体導入管57Bとに分岐し、第1低温流体導入管57Aが第1凝縮器C1の第1凝縮伝熱管41の一端に接続され、第2低温流体導入管57Bが第2凝縮器C2の第2凝縮伝熱管45の一端に接続されている。第1凝縮伝熱管41の他端には第1吸収凝縮低温流体連絡管81Aの一端が接続され、第2凝縮伝熱管45の他端には第2吸収凝縮低温流体連絡管81Bの一端が接続されている。第1吸収凝縮低温流体連絡管81Aの他端と第2吸収凝縮低温流体連絡管81Bの他端とは、共に吸収凝縮低温流体連絡管81の一端に接続されており、吸収凝縮低温流体連絡管81の他端は、熱交換部80を通過した後に第2吸収器A2の第2吸収伝熱管15の端部に接続されている。吸収式熱交換システム6では、吸収式熱交換システム1(
図1参照)で設けられていた凝縮器低温流体連絡管74が設けられていない。このような構成により、低温流体導入管57を流れる低温流体FLは、第1低温流体導入管57Aと第2低温流体導入管57Bとに分流し、第1凝縮器C1及び第2凝縮器C2に並列に流れてそれぞれ第1吸収凝縮低温流体連絡管81Aと第2吸収凝縮低温流体連絡管81Bとに流出した後、再び合流して吸収凝縮低温流体連絡管81に至るようになっている。吸収式熱交換システム6の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様である。このように構成された吸収式熱交換システム6は、低温流体FLが分流して第1凝縮器C1と第2凝縮器C2とを流れる際の流れ抵抗を、吸収式熱交換システム1(
図1参照)よりも小さくすることができ、低温流体FLを流す際に許容される圧力差が小さい場合に好適である。
【0076】
次に
図7を参照して、本発明の第7の実施の形態に係る吸収式熱交換システム7を説明する。
図7は、吸収式熱交換システム7の模式的系統図である。吸収式熱交換システム7は、吸収式熱交換システム4(
図4参照)と比較して、概観すると、高温流体FHの流れ方が異なっている。これに伴い、吸収式熱交換システム7の構成は、主として以下の点で吸収式熱交換システム4(
図4参照)の構成と異なっている。吸収式熱交換システム7では、高温熱源導入管52(
図4参照)が設けられておらず、第1高温熱源導入管52Aの一端と第2高温熱源導入管52Bの一端とが高温流体流入管55に接続されている。第1高温熱源導入管52Aの他端は第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21の一端に接続され、第2高温熱源導入管52Bの他端は第2蒸発器E2の第2蒸発熱源管25の一端に接続されている。第1再生器G1の第1再生熱源管31の、熱源第1連絡管76が接続された端部とは反対側の端部には、第1高温熱源流出管56Aの一端が接続されている。第2再生器G2の第2再生熱源管35の、熱源第2連絡管78が接続された端部とは反対側の端部には、第2高温熱源流出管56Bの一端が接続されている。第1高温熱源流出管56Aの他端と第2高温熱源流出管56Bの他端とは、高温流体流出管59に接続されている。吸収式熱交換システム7では、吸収式熱交換システム4(
図4参照)で設けられていた高温熱源流出管56及び熱源中間連絡管77が設けられていない。このような構成により、高温流体流入管55を流れる高温流体FHは、第1高温熱源導入管52Aと第2高温熱源導入管52Bとに分流し、第1蒸発器E1及び第1再生器G1と、第2蒸発器E2及び第2再生器G2とに並列に流れてそれぞれ第1高温熱源流出管56Aと第2高温熱源流出管56Bとに流出し、その後に合流して高温流体流出管59に至り、熱交換部80に向けて流れるようになっている。吸収式熱交換システム7の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム4(
図4参照)と同様である。このように構成された吸収式熱交換システム7は、高温流体FHが分流して第1蒸発器E1及び第1再生器G1と、第2蒸発器E2及び第2再生器G2とを流れる際の流れ抵抗を、吸収式熱交換システム4(
図4参照)よりも小さくすることができ、高温流体FHを流す際に許容される圧力差が小さい場合に好適である。なお、
図7に示す例では、高温流体流入管55から分流した2つの高温流体FHのうち、一方は第1蒸発器E1から第1再生器G1に流れ、他方は第2蒸発器E2から第2再生器G2に流れることとしたが、一方が第1再生器G1から第1蒸発器E1に流れ、他方が第2再生器G2から第2蒸発器E2に流れることとしてもよい。あるいは、高温流体流入管55を流れる高温流体FHを4つに分流して第1再生器G1、第1蒸発器E1、第2再生器G2、第2蒸発器E2の4箇所に並列に供給することとしてもよく、この場合は各再生器及び各蒸発器を高温流体FHが流れる際の流れ抵抗を最小にすることができる。
【0077】
次に、
図8を参照して、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る吸収式熱交換システム1Aを説明する。
図8は、吸収式熱交換システム1Aの概略構成図である。吸収式熱交換システム1Aは、吸収式熱交換システム1(
図1参照)に対して、流体(吸収液S、冷媒V、低温流体FL、高温流体FH)のフローは同じであるが、各機器の配置をより具体的に現したものである。本変形では、第1吸収蒸発缶胴10内で第1吸収器A1と第1蒸発器E1とを仕切るのが、第1吸収蒸発壁19(
図1参照)に代えて、第1蒸発容器19Aになっている。第1吸収蒸発缶胴10は、内部に収容される第1吸収器A1及び第1蒸発器E1が鉛直上下に配列されている。本変形例では、第1蒸発器E1が第1吸収器A1の上に配置されている。第1蒸発器E1を構成する第1蒸発熱源管21は、上部が開放した第1蒸発容器19Aに収容されている。なお、第1蒸発容器19A内において、第1蒸発熱源管21の上方に第1冷媒液供給装置22を設けて、第1蒸発熱源管21の全体に上方から冷媒液Vfを散布するようにしてもよい。第1冷媒液供給装置22には、第1冷媒液導入管23が接続される。第1蒸発器E1が第1吸収器A1の上方に配置されていることで、第1吸収器A1内の吸収液Sが第1蒸発器E1内に漏洩して第1蒸発器E1内の冷媒液Vfが汚染されることを防ぐことができる。また、吸収式熱交換システム1Aでは、第2吸収蒸発缶胴20内で第2吸収器A2と第2蒸発器E2とを仕切るのが、第2吸収蒸発壁29(
図1参照)に代えて、第2蒸発容器29Aになっている。第2吸収蒸発缶胴20は、第1吸収蒸発缶胴10と同様、内部に収容される第2蒸発器E2が、第2吸収器A2の鉛直上方に配置されている。第2蒸発器E2を構成する第2蒸発熱源管25は、上部が開放した第2蒸発容器29Aに収容されている。第2蒸発容器29A内においても、第1冷媒液供給装置22に対応する第2冷媒液供給装置26を設けてもよい。第1吸収蒸発缶胴10と第2吸収蒸発缶胴20とは、水平方向に異なる位置に配置されている。水平方向に異なる位置とは、平面視における位置が異なっていることであり、本変形例では水平方向に隣接又は密着して配置されている。本変形例では、第1吸収伝熱管11及び第2吸収伝熱管15のそれぞれの最上部の高さが同じになるように構成されており、第1吸収器溶液供給装置12と第2吸収器溶液供給装置16とが同じ高さに配置されている。ここでいう同じ高さは、実質的に等しい高さ(第1吸収器A1及び第2吸収器A2それぞれの熱出力が許容範囲内で異なる程度に濃溶液Saの供給圧が異なる範囲)が含まれる。同様にして、第1蒸発熱源管21及び第2蒸発熱源管25のそれぞれの最上部の高さが同じになるように構成されており、第1冷媒液供給装置22と第2冷媒液供給装置26とが同じ高さに配置されている。
【0078】
また、吸収式熱交換システム1Aでは、第1再生凝縮缶胴30内で第1再生器G1と第1凝縮器C1とを仕切るのが、第1再生凝縮壁39(
図1参照)に代えて、第1凝縮容器39Aになっている。第1再生凝縮缶胴30は、内部に収容される第1再生器G1及び第1凝縮器C1が鉛直上下に配列されている。本変形例では、第1凝縮器C1が第1再生器G1の上に配置されている。第1凝縮器C1を構成する第1凝縮伝熱管41は、上部が開放した第1凝縮容器39Aに収容されている。第1凝縮器C1が第1再生器G1の上部に配置されていることで、第1再生器G1内の吸収液Sが第1凝縮器C1内に漏洩して第1凝縮器C1内の冷媒液Vfが汚染されることを防ぐことができる。また、吸収式熱交換システム1Aでは、第2再生凝縮缶胴40内で第2再生器G2と第2凝縮器C2とを仕切るのが、第2再生凝縮壁49(
図1参照)に代えて、第2凝縮容器49Aになっている。第2再生凝縮缶胴40は、第1再生凝縮缶胴30と同様、内部に収容される第2凝縮器C2が、第2再生器G2の鉛直上方に配置されている。第2凝縮器C2を構成する第2凝縮伝熱管45は、上部が開放した第2凝縮容器49Aに収容されている。第1再生凝縮缶胴30と第2再生凝縮缶胴40とは、水平方向に異なる位置に配置されており、本変形例では水平方向に隣接又は密着して配置されている。本変形例では、第1再生熱源管31及び第2再生熱源管35のそれぞれの最上部の高さが同じになるように構成されており、第1再生器溶液供給装置32と第2再生器溶液供給装置36とが同じ高さに配置されている。ここでいう同じ高さは、実質的に等しい高さ(第1再生器G1及び第2再生器G2それぞれの熱出力が許容範囲内で異なる程度に希溶液Swの供給圧が異なる範囲)が含まれる。同様にして、第1凝縮伝熱管41及び第2凝縮伝熱管45のそれぞれの最上部の高さが同じになるように構成されている。また、水平方向に隣接又は密着して配置された第1再生凝縮缶胴30及び第2再生凝縮缶胴40の上方に、水平方向に隣接又は密着して配置された第1吸収蒸発缶胴10及び第2吸収蒸発缶胴20が配置されている。また、吸収式熱交換システム1Aでは、吸収式熱交換システム1(
図1参照)で設けられていた第1濃溶液流出管34に配設された第1濃溶液ポンプ34p及び第2濃溶液流出管38に配設された第2濃溶液ポンプ38pに代えて、濃溶液合流管63に配設された濃溶液ポンプ63pが設けられている。また、吸収式熱交換システム1(
図1参照)で設けられていた第1冷媒液流出管44に配設された第1冷媒液ポンプ44p及び第2冷媒液流出管48に配設された第2冷媒液ポンプ48pに代えて、冷媒液合流管64に配設された冷媒液ポンプ64pが設けられている。上記以外の吸収式熱交換システム1Aの構成は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様である。このように構成された吸収式熱交換システム1Aは、第1吸収器溶液供給装置12と第2吸収器溶液供給装置16とが同じ高さに配置されていることから、第1吸収器溶液供給装置12と第2吸収器溶液供給装置16とに圧送する濃溶液Saに加える圧力を近づけることができ、濃溶液ポンプ63pの吐出圧を抑制することができる。同様にして、第1冷媒液供給装置22と第2冷媒液供給装置26に冷媒液Vfを圧送する冷媒液ポンプ64pの吐出圧を抑制することができる。また、第1吸収伝熱管11及び第2吸収伝熱管15のそれぞれの最上部の高さが同じことから、低温流体FLを圧送するために加える圧力を抑制することができる。同様にして、第1蒸発熱源管21及び第2蒸発熱源管25のそれぞれの最上部の高さが同じことから、高温流体FHを圧送するために加える圧力を抑制することができる。また、第1吸収蒸発缶胴10及び第2吸収蒸発缶胴20と第1再生凝縮缶胴30及び第2再生凝縮缶胴40との間に第1希溶液流出管14及び第2希溶液流出管18の取り付け高さだけを考慮して、第1吸収蒸発缶胴10及び第2吸収蒸発缶胴20と第1再生凝縮缶胴30及び第2再生凝縮缶胴40とを近接して構成すると、高さを抑制して装置構成をコンパクトにすることができる。
【0079】
次に、
図9を参照して、本発明の第8の実施の形態に係る吸収式熱交換システム8を説明する。
図9は、吸収式熱交換システム8の概略構成図である。吸収式熱交換システム8は、吸収式熱交換システム1A(
図8参照)と比較して、概観すると、高温流体FHの流れ方が異なっている。これに伴い、吸収式熱交換システム8の構成は、主として以下の点で吸収式熱交換システム1A(
図8参照)の構成と異なっている。吸収式熱交換システム8では、吸収式熱交換システム2(
図2参照)と同様に、熱交用分岐弁82v(
図8参照)が配設された熱交用分岐管82(
図8参照)が設けられておらず、これに伴って高温熱源弁52v(
図8参照)も設けられておらず、また、熱交換部80が熱交用分岐管82(
図8参照)に代えて高温流体流出管59に配置されている。また、吸収式熱交換システム8では、高温熱源導入管52の、高温流体流入管55に接続されている端部とは反対側の端部が、第1再生器G1の第1再生熱源管31ではなく、第1蒸発器E1の第1蒸発熱源管21の一端に接続されている。第2蒸発熱源管25の、蒸発器高温流体連絡管72に接続されている端部とは反対側の端部には、高温熱源流出管56ではなく、蒸発再生高温流体連絡管75の一端が接続されている。蒸発再生高温流体連絡管75の他端は、第2再生熱源管35ではなく、第1再生熱源管31の一端に接続されている。第2再生熱源管35の、再生器高温流体連絡管73に接続されている端部とは反対側の端部には、高温熱源流出管56の一端が接続されている。このような構成により、高温熱源導入管52を流れる高温流体FHは、第1蒸発器E1、第2蒸発器E2、第1再生器G1、第2再生器G2の順に直列に流れて高温熱源流出管56に至るようになっている。吸収式熱交換システム8の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム1A(
図8参照)と同様である。このように構成された吸収式熱交換システム8は、吸収式熱交換システム1A(
図8参照)に比べて、第2再生器G2及び第1再生器G1に導入される高温流体FHの温度が第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2で熱を消費した分だけ低くなるので、第2再生器G2及び第1再生器G1における吸収液Sの濃度の上昇を抑制することができ、吸収液Sが過度に濃縮して結晶してしまうことを回避することができる。
【0080】
これまでの各種の実施の形態の説明において、高温流体FH及び低温流体FLの様々な流れの順序を例示したが、これらの流体の流れの順序は、例示したものに限らず、例えば以下に示すように適宜変更することもできる。高温流体FHが、第1再生器G1、第2再生器G2、第1蒸発器E1、第2蒸発器E2の各機器に直列に流れるように構成する場合、最初に第1再生器G1又は第1蒸発器E1に流入するように構成するとよい。ここで、高温流体FHが最初に第1再生器G1に流入する場合、第1再生器G1を流出した高温流体FHのその後の流れ方は、説明の便宜のために符号のみで流れ順に示すと、(1)G2、E1、E2、(2)G2、E2、E1、(3)E1、G2、E2、(4)E1、E2、G2、(5)E2、G2、E1、(6)E2、E1、G2、のいずれかとなる。他方、高温流体FHが最初に第1蒸発器E1に流入する場合、第1蒸発器E1を流出した高温流体FHのその後の流れ方は、符号のみで流れ順に示すと、(7)E2、G1、G2、(8)E2、G2、G1、(9)G1、E2、G2、(10)G2、E2、G1、(11)G1、G2、E2、(12)G2、G1、E2、のいずれかとなる。高温流体FHが上述のいずれかの態様で直列に流れるとき、低温流体FLの流れの順序は、第1再生器G1及び第2再生器G2の順序にかかわらず第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2の順序のみに着目すると、高温流体FHが第1蒸発器E1、第2蒸発器E2の順に流れる場合は低温流体FLが第2吸収器A2、第1吸収器A1の順に流れ、高温流体FHが第2蒸発器E2、第1蒸発器E1の順に流れる場合は低温流体FLが第1吸収器A1、第2吸収器A2の順に流れるように構成するとよい。また、熱交換部80よりも上流側の低温流体FLは、第1凝縮器C1及び第2凝縮器C2をどちらが先であっても直列に流すとよいが、第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2の順序にかかわらず第1再生器G1及び第2再生器G2の順序のみに着目すると、高温流体FHが第1再生器G1、第2再生器G2の順に流れる場合は低温流体FLが第2凝縮器C2、第1凝縮器C1の順に流れ、高温流体FHが第2再生器G2、第1再生器G1の順に流れる場合は低温流体FLが第1凝縮器C1、第2凝縮器C2の順に流れるように構成するのが好ましい。上述したいずれかの態様で構成すると、高温流体FHが最初に第1再生器G1に流入する場合は、高温流体FHから低温流体FLに移動させる熱量を大きくすることができると共に流出する低温流体FLの温度を高くすることができる。他方、高温流体FHが最初に第1蒸発器E1に流入する場合は、高温流体FHから低温流体FLへの移動熱量の増大及び流出する低温流体FLの高温化に加えて、第1再生器G1及び第2再生器G2における吸収液Sの濃度の上昇を抑制することができて吸収液Sが過度に濃縮して結晶してしまうことを回避することができる。
【0081】
次に
図10を参照して、本発明の第9の実施の形態に係る吸収式熱交換システム9を説明する。
図10は、吸収式熱交換システム9の模式的系統図である。吸収式熱交換システム9は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と比較して、吸収式熱交換システム1(
図1参照)の構成に加えて第3吸収器A3、第3蒸発器E3、第3再生器G3、第3凝縮器C3を備えている点が主として異なっている。この主たる相違点に付随して異なる構成も含めて、以下に説明する。第3吸収器A3は、第3の吸収部に相当し、第3吸収伝熱管311と、第3吸収器溶液供給装置312とを備えており、第3濃溶液導入管313及び第3希溶液流出管314が接続されている。第3吸収器A3及びその周囲の構成は、第1吸収器A1と同様に構成されており、第3吸収伝熱管311、第3吸収器溶液供給装置312、第3濃溶液導入管313、第3希溶液流出管314は、それぞれ、第1吸収器A1における第1吸収伝熱管11、第1吸収器溶液供給装置12、第1濃溶液導入管13、第1希溶液流出管14に相当する。第3蒸発器E3は、第3の蒸発部に相当し、第3蒸発熱源管321を備えており、第3冷媒液導入管323が接続されている。第3蒸発器E3及びその周囲の構成は、第1蒸発器E1と同様に構成されており、第3蒸発熱源管321、第3冷媒液導入管323は、それぞれ、第1蒸発器E1における第1蒸発熱源管21、第1冷媒液導入管23に相当する。第3吸収器A3及び第3蒸発器E3は、第3吸収蒸発缶胴310に収容されており、第1吸収蒸発缶胴10に倣って、両者は第3吸収蒸発壁319で区画されている。第3再生器G3は、第3の再生部に相当し、第3再生熱源管331と、第3再生器溶液供給装置332とを備えており、第3希溶液導入管333と第3濃溶液ポンプ334pが配設された第3濃溶液流出管334とが接続されている。第3再生器G3及びその周囲の構成は、第1再生器G1と同様に構成されており、第3再生熱源管331、第3再生器溶液供給装置332、第3希溶液導入管333、第3濃溶液流出管334、第3濃溶液ポンプ334pは、それぞれ、第1再生器G1における第1再生熱源管31、第1再生器溶液供給装置32、第1希溶液導入管33、第1濃溶液流出管34、第1濃溶液ポンプ34pに相当する。第3凝縮器C3は、第3の凝縮部に相当し、第3凝縮伝熱管341を備えており、第3冷媒液ポンプ344pが配設された第3冷媒液流出管344が接続されている。第3凝縮器C3及びその周囲の構成は、第1凝縮器C1と同様に構成されており、第3凝縮伝熱管341、第3冷媒液流出管344、第3冷媒液ポンプ344pは、それぞれ、第1凝縮器C1における第1凝縮伝熱管41、第1冷媒液流出管44、第1冷媒液ポンプ44pに相当する。第3再生器G3及び第3凝縮器C3は、第3再生凝縮缶胴330に収容されており、第1再生凝縮缶胴30に倣って、両者は第3再生凝縮壁339で区画されている。
【0082】
本実施の形態では、一端が第3吸収器A3に接続された第3希溶液流出管314の他端は、第2希溶液流出管18に接続されており、第3吸収器A3から流出した第3希溶液Sw3が第2希溶液Sw2に合流するようになっている。また、一端が第3吸収器溶液供給装置312に接続された第3濃溶液導入管313の他端は、第2濃溶液導入管17に接続されており、第2濃溶液導入管17を流れる濃溶液Saの一部が第3吸収器A3に供給されるようになっている。また、一端が第3蒸発器E3に接続された第3冷媒液導入管323の他端は、第2冷媒液導入管27に接続されており、第2冷媒液導入管27を流れる冷媒液Vfの一部が第3蒸発器E3に供給されるようになっている。また、一端が第3再生器G3に接続された第3濃溶液流出管334の他端は、第1濃溶液流出管34に接続されており、第3再生器G3から流出した第3濃溶液Sa3が第1濃溶液Sa1に合流するようになっている。また、一端が第3再生器溶液供給装置332に接続された第3希溶液導入管333の他端は、第1希溶液導入管33に接続されており、第1希溶液導入管33を流れる希溶液Swの一部が第3再生器G3に供給されるようになっている。また、一端が第3凝縮器C3に接続された第3冷媒液流出管344の他端は、第1冷媒液流出管44に接続されており、第3凝縮器C3から流出した第3冷媒液Vf3が第1冷媒液Vf1に合流するようになっている。
【0083】
第3吸収器A3は、低温流体FLの流れから見て、第1吸収器A1と第2吸収器A2との間に配置されている。吸収式熱交換システム9では、吸収式熱交換システム1(
図1参照)において第1吸収伝熱管11と第2吸収伝熱管15とが吸収器低温流体連絡管71(
図1参照)で接続されていたことに代えて、第1吸収伝熱管11と第3吸収伝熱管311とが第1吸収器低温流体連絡管71Aで接続されると共に第2吸収伝熱管15と第3吸収伝熱管311とが第2吸収器低温流体連絡管71Bで接続されている。また、第3凝縮器C3は、低温流体FLの流れから見て、第1凝縮器C1と第2凝縮器C2との間に配置されている。吸収式熱交換システム9では、吸収式熱交換システム1(
図1参照)において第1凝縮伝熱管41と第2凝縮伝熱管45とが凝縮器低温流体連絡管74(
図1参照)で接続されていたことに代えて、第1凝縮伝熱管41と第3凝縮伝熱管341とが第1凝縮器低温流体連絡管74Aで接続されると共に第2凝縮伝熱管45と第3凝縮伝熱管341とが第2凝縮器低温流体連絡管74Bで接続されている。このような構成により、低温流体導入管57を流れる低温流体FLは、第2凝縮器C2、第3凝縮器C3、第1凝縮器C1、熱交換部80、第2吸収器A2、第3吸収器A3、第1吸収器A1の順に直列に流れて低温流体流出管53に至るようになっている。第3蒸発器E3は、高温流体FHの流れから見て、第1蒸発器E1と第2蒸発器E2との間に配置されている。吸収式熱交換システム9では、吸収式熱交換システム1(
図1参照)において第1蒸発熱源管21と第2蒸発熱源管25とが蒸発器高温流体連絡管72(
図1参照)で接続されていたことに代えて、第1蒸発熱源管21と第3蒸発熱源管321とが第1蒸発器高温流体連絡管72Aで接続されると共に第2蒸発熱源管25と第3蒸発熱源管321とが第2蒸発器高温流体連絡管72Bで接続されている。第3再生器G3は、高温流体FHの流れから見て、第1再生器G1と第2再生器G2との間に配置されている。吸収式熱交換システム9では、吸収式熱交換システム1(
図1参照)において第1再生熱源管31と第2再生熱源管35とが再生器高温流体連絡管73(
図1参照)で接続されていたことに代えて、第1再生熱源管31と第3再生熱源管331とが第1再生器高温流体連絡管73Aで接続されると共に第2再生熱源管35と第3再生熱源管331とが第2再生器高温流体連絡管73Bで接続されている。このような構成により、高温熱源導入管52を流れる高温流体FHは、第1再生器G1、第3再生器G3、第2再生器G2、第1蒸発器E1、第3蒸発器E3、第2蒸発器E2の順に直列に流れて高温熱源流出管56に至るようになっている。吸収式熱交換システム9の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム1(
図1参照)と同様である。
【0084】
上述のように構成された吸収式熱交換システム9では、低温流体FLが、第2凝縮器C2、第3凝縮器C3、第1凝縮器C1と流れて3回加熱され、熱交換部80で加熱された後、さらに第2吸収器A2、第3吸収器A3、第1吸収器A1と流れて3回加熱されるため、低温流体流出管53を流れる低温流体FLの温度を吸収式熱交換システム1(
図1参照)よりも高くすることができる。また、第1蒸発器E1を流れる高温流体FHの温度は、第3蒸発器E3を流れる高温流体FHの温度よりも高く、第3蒸発器E3を流れる高温流体FHの温度は第2蒸発器E2を流れる高温流体FHの温度よりも高いので、各蒸発器及び各吸収器の内圧・温度は、第2蒸発器E2及び第2吸収器A2の内圧・温度が最も低く、次いで第3蒸発器E3及び第3吸収器A3の内圧・温度、第1蒸発器E1及び第1吸収器A1の内圧・温度の順に高くなり、低温流体FLをこの順に導入すると、各吸収器で加熱昇温される低温流体FLの温度を順々に高くすることができる。なお、第3吸収器A3、第3蒸発器E3、第3再生器G3、第3凝縮器C3を追加した構成に準じて、第4の吸収器、第4の蒸発器、第4の再生器、第4の凝縮器をさらに設け、第1吸収器A1及び第1蒸発器E1と第3吸収器A3及び第3蒸発器E3との間に第4の吸収器及び第4の蒸発器を設け、第1再生器G1及び第1凝縮器C1と第3再生器G3及び第3凝縮器C3との間に第4の再生器及び第4の凝縮器を設けることとしてもよく、このように構成すると、低温流体FLは4回加熱されて加熱後の温度を高くすることができる。
【0085】
次に
図11を参照して、本発明の第10の実施の形態に係る吸収式熱交換システム10を説明する。
図11は、吸収式熱交換システム10の模式的系統図である。吸収式熱交換システム10は、吸収式熱交換システム4(
図4参照)と比較して、吸収式熱交換システム4(
図4参照)の構成に加えて第3吸収器A3、第3蒸発器E3、第3再生器G3、第3凝縮器C3を備えている点が主として異なっている。この主たる相違点に付随して異なる構成も含めて以下に説明する。第3吸収器A3及び第3蒸発器E3は、概ね、吸収式熱交換システム9(
図10参照)における第3吸収器A3及び第3蒸発器E3と同様に構成されており、第3吸収蒸発壁319で区画された第3吸収蒸発缶胴310に収容されている点も共通しているが、第3吸収器溶液供給装置312に接続されているのが第3濃溶液導入管313(
図10参照)ではなく第3濃溶液流出管334であり、第3蒸発器E3に接続されているのが第3冷媒液導入管323(
図10参照)ではなく第3冷媒液流出管344である点が異なっている。第3再生器G3及び第3凝縮器C3は、概ね、吸収式熱交換システム9(
図10参照)における第3再生器G3及び第3凝縮器C3と同様に構成されており、第3再生凝縮壁339で区画された第3再生凝縮缶胴330に収容されている点も共通しているが、第3再生器溶液供給装置332に接続されているのが第3希溶液導入管333(
図10参照)ではなく第3希溶液流出管314である点が異なっている。吸収式熱交換システム10では、吸収式熱交換システム9(
図10参照)で設けられていた希溶液合流管61(
図10参照)及び濃溶液合流管63(
図10参照)が設けられていない。吸収式熱交換システム10では、第3希溶液Sw3及び第3濃溶液Sa3が、第3吸収器A3と第3再生器G3との間を濃度を変えながら循環しており、第3希溶液流出管314及び第3濃溶液流出管334は、第3吸収器A3及び第3再生器G3と協働して第3の吸収液循環流路を構成する。また、吸収式熱交換システム10では、第3希溶液流出管314及び第3濃溶液流出管334に第3溶液熱交換器62Cが設けられている。また、冷媒Vが、3つ目の系として、第3冷媒液Vf3、第3蒸発器冷媒蒸気Ve3、第1再生器冷媒蒸気Vg3と相を代えながら第3凝縮器C3、第3蒸発器E3、第3吸収器A3、第3再生器G3を循環している。
【0086】
第3吸収器A3は、低温流体FLの流れから見て、第1吸収器A1と第2吸収器A2との間に配置されている。吸収式熱交換システム10では、吸収式熱交換システム4(
図4参照)において第1吸収伝熱管11と第2吸収伝熱管15とが吸収器低温流体連絡管71(
図4参照)で接続されていたことに代えて、第1吸収伝熱管11と第3吸収伝熱管311とが第1吸収器低温流体連絡管71Aで接続されると共に第2吸収伝熱管15と第3吸収伝熱管311とが第2吸収器低温流体連絡管71Bで接続されている。また、第3凝縮器C3は、低温流体FLの流れから見て、第1凝縮器C1と第2凝縮器C2との間に配置されている。吸収式熱交換システム10では、吸収式熱交換システム4(
図4参照)において第1凝縮伝熱管41と第2凝縮伝熱管45とが凝縮器低温流体連絡管74(
図4参照)で接続されていたことに代えて、第1凝縮伝熱管41と第3凝縮伝熱管341とが第1凝縮器低温流体連絡管74Aで接続されると共に第2凝縮伝熱管45と第3凝縮伝熱管341とが第2凝縮器低温流体連絡管74Bで接続されている。このような構成により、低温流体導入管57を流れる低温流体FLは、第2凝縮器C2、第3凝縮器C3、第1凝縮器C1、熱交換部80、第2吸収器A2、第3吸収器A3、第1吸収器A1の順に直列に流れて低温流体流出管53に至るようになっている。第3蒸発器E3及び第3再生器G3は、高温流体FHの流れから見て、第1蒸発器E1及び第1再生器G1と第2蒸発器E2及び第2再生器G2との間に配置されている。吸収式熱交換システム10では、吸収式熱交換システム4(
図4参照)において第1再生熱源管31と第2蒸発熱源管25とが熱源中間連絡管77で接続されていたことに代えて、第1再生熱源管31と第3蒸発熱源管321とが第1熱源中間連絡管77Aで接続されると共に第2蒸発熱源管25と第3再生熱源管331とが第2熱源中間連絡管77Bで接続されている。第3蒸発熱源管321と第3再生熱源管331とは熱源第3連絡管79で接続されている。このような構成により、高温熱源導入管52を流れる高温流体FHは、第1蒸発器E1、第1再生器G1、第3蒸発器E3、第3再生器G3、第2蒸発器E2、第2再生器G2の順に直列に流れて高温熱源流出管56に至るようになっている。吸収式熱交換システム10の上記以外の構成は、吸収式熱交換システム4(
図4参照)と同様である。
【0087】
このように構成された吸収式熱交換システム10では、吸収式熱交換システム4(
図4参照)と同様に吸収液Sと冷媒Vとの吸収ヒートポンプサイクルの独立した系路を複数(3つ)有することとなって、吸収ヒートポンプサイクルを複数で制御及び管理することができることに加え、低温流体FLが、第2凝縮器C2、第3凝縮器C3、第1凝縮器C1と流れて3回加熱され、熱交換部80で加熱された後、さらに第2吸収器A2、第3吸収器A3、第1吸収器A1と流れて3回加熱されるため、低温流体流出管53を流れる低温流体FLの温度を吸収式熱交換システム4(
図4参照)よりも高くすることができる。また、第1蒸発器E1を流れる高温流体FHの温度は、第3蒸発器E3を流れる高温流体FHの温度よりも高く、第3蒸発器E3を流れる高温流体FHの温度は第2蒸発器E2を流れる高温流体FHの温度よりも高いので、各蒸発器及び各吸収器の内圧・温度は、第2蒸発器E2及び第2吸収器A2の内圧・温度が最も低く、次いで第3蒸発器E3及び第3吸収器A3の内圧・温度、第1蒸発器E1及び第1吸収器A1の内圧・温度の順に高くなり、低温流体FLをこの順に導入すると、各吸収器で加熱昇温される低温流体FLの温度を順々に高くすることができる。なお、第3吸収器A3、第3蒸発器E3、第3再生器G3、第3凝縮器C3を追加した構成に準じて、第4の吸収器、第4の蒸発器、第4の再生器、第4の凝縮器をさらに設け、第2吸収器A2及び第2蒸発器E2と第3再生器G3及び第3凝縮器C3との間に第4の吸収器、第4の蒸発器、第4の再生器、第4の凝縮器を設けることとしてもよく、このように構成すると、低温流体FLは4回加熱されて加熱後の温度を高くすることができる。
【0088】
以上の説明では、低温流体FLが、第1吸収器A1及び第2吸収器A2並びに存在する場合は第3吸収器A3を直列に流れることとしたが、並列に流れることとしてもよい。あるいはこれに代えて、又はこれと共に、低温流体FLが、第1凝縮器C1及び第2凝縮器C2並びに存在する場合は第3凝縮器C3を主として直列に流れることとしたが、並列に流れることとしてもよい。低温流体FLが各吸収器A1、A2、A3及び/又は各凝縮器C1、C2、C3を並列に流れることとすると、各吸収器A1、A2、A3及び/又は各凝縮器C1、C2、C3を流れる際の流れ抵抗を、直列に流れる場合よりも小さくすることができ、低温流体FLを流す際に許容される圧力差が小さい場合に好適である。
【0089】
以上の説明では、吸収式熱交換システム1、2、3、4、5、6、7、9、10において第1蒸発器E1及び第2蒸発器E2並びに存在する場合は第3蒸発器E3が満液式であるとしたが、流下液膜式であってもよい。蒸発器を流下液膜式とする場合は、吸収式熱交換システム1A、8における第1冷媒液供給装置22あるいは第2冷媒液供給装置26のように蒸発器内の上部に冷媒液Vfを供給する冷媒液供給装置を設け、満液式の場合に蒸発器に接続することとしていた冷媒液管の端部を、冷媒液供給装置に接続すればよい。また、蒸発器の下部の冷媒液Vfを冷媒液供給装置に供給する配管及びポンプを設けてもよい。反対に、蒸発器を流下液膜式とした吸収式熱交換システム1A、8において、蒸発器を吸収式熱交換システム1等のような満液式としてもよい。
【0090】
以上の説明では、吸収式熱交換システム1、1A、3、5、6、9において、熱交換部80から流出した部分高温流体FHsが、第1再生器G1、第2再生器G2、第1蒸発器E1、及び第2蒸発器E2から流出した高温流体FHに合流することとしたが、第1再生器G1、第2再生器G2、第1蒸発器E1、及び第2蒸発器E2から流出した高温流体FHに合流せずに、高温流体FHを流出する系統とは別の系統に流入させてもよい。さらには、以上の説明では熱交換部80へ流入する部分高温流体FHsが高温流体FHから分岐することとしたが、高温流体FHとは別の系統から導入することとしてもよい。このようにすると、多種多様の熱を利用することができる。
【0091】
以上の説明では、吸収式熱交換システム1A、8において、第1吸収蒸発缶胴10では第1蒸発器E1を第1吸収器A1の上方に配置し、第2吸収蒸発缶胴20では第2蒸発器E2を第2吸収器A2の上方に配置し、第1再生凝縮缶胴30では第1凝縮器C1を第1再生器G1の上方に配置し、第2再生凝縮缶胴40では第2凝縮器C2を第2再生器G2の上方に配置することとしたが、第1吸収蒸発缶胴10では第1吸収器A1を第1蒸発器E1の上方に配置し、第2吸収蒸発缶胴20では第2吸収器A2を第2蒸発器E2の上方に配置し、第1再生凝縮缶胴30では第1再生器G1を第1凝縮器C1の上方に配置し、第2再生凝縮缶胴40では第2再生器G2を第2凝縮器C2の上方に配置することとしてもよい。
【0092】
以上の説明では、吸収式熱交換システム9、10において、低温流体FLを、第2凝縮器C2、第3凝縮器C3、第1凝縮器C1の順に直列に流すこととしたが、これとは逆に第1凝縮器C1、第3凝縮器C3、第2凝縮器C2の順に直列に流すこととしてもよい。また、吸収式熱交換システム9において、低温流体FLを、第1吸収器A1、第3吸収器A3、第2吸収器A2の順に直列に流すこととしたが、これとは逆に第2吸収器A2、第3吸収器A3、第1吸収器A1の順に直列に流すこととしてもよい。また、吸収式熱交換システム10において、低温流体FLを、第2吸収器A2、第3吸収器A3、第1吸収器A1の順に直列に流すこととしたが、これとは逆に第1吸収器A1、第3吸収器A3、第2吸収器A2の順に直列に流すこととしてもよい。