【解決手段】本体11は、電線Wの端末に結線した圧着端子3を収容溝11dに配列できる。収容溝11dは、接続部収容室1Raと架橋部収容室1Rbを有する。後壁11rに開口した導入開口112から圧着端子3を導入すると、インナーハウジング1は、圧着端子3の中間部を架橋部収容室1Rbの内部に保持すると共に、圧着端子3の基端部を導入開口112の周縁で保持しているので、電線W付きの圧着端子3を脱落することなく、インナーハウジング1の内部に確実に保持できる。これにより、インナーハウジング1への圧着端子3の組立作業性を向上できる。
アウターハウジングの内部に組み込む、又はカバーハウジングで覆われ、電線の端末に結線したコンタクトを内部に配列できる平板状のインナーハウジングを備える電気コネクタであって、
前記コンタクトは、
一端部に形成し、前記電線の端末を結線した結線部と、
他端部に形成し、相手側コンタクトと接続自在な接続部と、
前記結線部と前記接続部を架橋する架橋部と、を有し、
前記インナーハウジングは、
隔壁で区画し、前記コンタクトを収容自在な複数の収容溝と、
前記収容溝が延びる方向と略直交する方向に配置した後壁と、を有し、
前記架橋部は、前記結線部と前記接続部の間に位置決め筒部を有し、
前記収容溝は、
前記接続部を収容する接続部収容室と、
前記位置決め筒部を収容し、前記位置決め筒部を外周方向から保持する架橋部収容室と、
前記接続部収容室と前記架橋部収容室の間に配置され、前記接続部と前記位置決め筒部とを繋ぐ繋ぎ部を前記収容溝の開口側から導入可能に開門すると共に、前記コンタクトの軸方向の移動を規制するゲート部と、を有し、
前記後壁は、前記収容溝に連通し、前記接続部を先頭に前記コンタクトを前記収容溝に導入自在に開口した導入開口を有し、
前記コンタクトを前記導入開口から導入し、このコンタクトを前記収容溝の底面に当接した状態では、前記位置決め筒部が前記架橋部収容室に保持されると共に、前記結線部を介して、前記電線の端末を脱落困難に前記導入開口の周縁で保持している、電気コネクタ。
前記収容溝は、前記接続部の先端縁をスライド自在に案内し、当該収容溝の底面から前記接続部収容室に向かって上り傾斜した傾斜面を有している、請求項1記載の電気コネクタ。
前記インナーハウジングは、前記インナーハウジング収容室の後面及び前記電線の周囲を防水可能に封鎖する防水パッキンを後壁に備えている、請求項4記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9は、従来技術による電気コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図10は、従来技術による電気コネクタの構成を示す図であり、
図10(A)は、従来技術による電気コネクタの斜視図、
図10(B)は、従来技術による電気コネクタを拡大した縦断面図である。
【0007】
なお、本願の
図9は、特許文献1の
図1に相当している。又、本願の
図10(A)と
図10(B)は、特許文献1の
図2と
図5に相当している。
【0008】
図9又は
図10を参照すると、従来技術による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、一組の平板状のインナーハウジング91・91とカバーハウジング92を備えている。
図9を参照すると、インナーハウジング91には、電線W1付きの圧着端子7を組み込むことができる。又、インナーハウジング91には、電線W2付きの圧接端子8を組み込むことができる。
【0009】
図9を参照すると、圧着端子7は、圧着部71を一端部に備えている。又、圧着端子7は、箱状の接続部72を他端部に備えている。圧着部71は、コンダクタバレル7aとインシュレーションバレル7bを有している。コンダクタバレル7aは、電線W1の芯線1Wcを圧着している。インシュレーションバレル7bは、電線W1の外部被覆1Wbを圧着している。接続部72は、図示しない相手側コンタクトと電気的に接続できる。
【0010】
図9を参照すると、圧接端子8は、U字状に開口した圧接部81を一端部に備えている。又、圧接端子8は、二股状に形成した接続部82を他端部に備えている。圧接部81は、一対一組の圧接刃8a・8aを内壁に形成している。圧接部81の開口側から電線W2を圧接部81の内部に押し込むと、圧接刃81aが電線W2の外部被覆2Wbを突き破って内部の芯線2Wcと電気的に接続できる。接続部82は、図示しない相手側コンタクトと電気的に接続できる。
【0011】
図9又は
図10(B)を参照すると、インナーハウジング91は、複数の収容溝91dを幅方向に一列に連設している。これらの収容溝91dは、隔壁91wで区画されている。圧着端子7は、電線W1を結線した状態で、収容溝91dの開口側から収容溝91dに収容できる。同様に、圧接端子8は、電線W2を結線した状態で、収容溝91dの開口側から収容溝91dに収容できる。
【0012】
図9又は
図10(B)を参照すると、インナーハウジング91は、収容溝91dの前部に前壁911を形成している。圧着端子7又は圧接端子8を収容溝91dに収容すると、それらの先端縁を前壁911の内側に当接又は近接できる。又、前壁911には、収容溝91dに連通し、図示しない相手側コンタクトを導入可能な端子挿入口を開口している。
【0013】
図9又は
図10を参照して、一組のインナーハウジング91・91を積層することで、下段の収容溝91dの開口は、上段のインナーハウジング91の底壁91bで覆うことができる。又、一組のインナーハウジング91・91を積層した状態で、上段のインナーハウジング91をカバーハウジング92で覆うことで、上段の収容溝91dの開口は、カバーハウジング92に設けた天板92wの底面で覆うことができる。
【0014】
図9又は
図10(B)を参照すると、カバーハウジング92は、一対のカバーロック92r・92rを両側部に設けている。一対のカバーロック92r・92rは、一組のインナーハウジング91・91を積層した状態で、これらのインナーハウジング91・91を抱持できる。カバーハウジング92は、ロックアーム921を天板92wに形成している。
【0015】
又、
図9又は
図10を参照すると、カバーハウジング92は、片持ち状のロックアーム921を天板92wに形成している。ロックアーム921は、図示しない相手側コネクタのラッチに係止できる。一方、ロックアーム921を操作することで、図示しない相手側コネクタのラッチとの係合を解除できる。
【0016】
図9又は
図10(B)を参照すると、インナーハウジング91は、台形状のランス91rを隔壁91wの壁面から突出している。ランス91rは、傾斜面91sと水平面91hを形成している。一対のランス91r・91rは、収容溝91dの内部で対向配置されている。
【0017】
一方、
図9を参照すると、圧着端子7は、相反する向きに開口した一対の矩形の係止孔7h・7hを接続部72の両側面に有している。圧着端子7を収容溝91dに挿入すると、ランス91rを係止孔7hに係合できる。そして、カバーハウジング92に対して、圧着端子7の軸方向の位置を保証できる。つまり、インナーハウジング91は、圧着端子7の端子位置決め保証部材(TPA:Terminal Position Assurance Member)ということもできる。
【0018】
又、
図9を参照して、特許文献1による電気コネクタは、ランス91rを係止孔7hに係合させることで、インナーハウジング91から圧着端子7が脱落することを防止できる、としている。
【0019】
同様に、
図9を参照すると、圧接端子8は、相反する向きに開口した一対の矩形の係止孔8h・8hを接続部82の両側面に有している。圧接端子8を収容溝91dに挿入すると、ランス91rを係止孔8hに係合できる。そして、カバーハウジング92に対して、圧接端子8の軸方向の位置を保証できる。つまり、インナーハウジング91は、圧接端子8のTPAということもできる。
【0020】
又、
図9を参照して、特許文献1による電気コネクタは、ランス91rを係止孔8hに係合させることで、インナーハウジング91から圧接端子8が脱落することを防止できる、としている。
【0021】
特許文献1による電気コネクタは、圧着端子7又は圧接端子8をインナーハウジング91の内部に併存でき、電気コネクタの組立作業性を向上できる、としている。
【0022】
しかし、
図9又は
図10(B)を参照すると、圧着端子7又は圧接端子8は、それらの前部がインナーハウジング91の内部に係合しているのみであり、圧着端子7又は圧接端子8の後部の電線に不用意な負荷が生じると、圧着端子7又は圧接端子8がインナーハウジング91から脱落する心配がある。この場合、圧着端子7又は圧接端子8をインナーハウジング91に組み込み直すので、電気コネクタの組立作業性が低下するという問題がある。
【0023】
電線の端末を結線した電線付きのコンタクトをインナーハウジングの内部に確実に保持することで、電気コネクタの組立作業性を向上できる、電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0024】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電線の端末を結線した電線付きのコンタクトをインナーハウジングの内部に確実に保持する電気コネクタであって、組立作業性を向上できる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者らは、電線の端末を結線した結線部と、相手側コンタクトと接続自在な接続部と、結線部と接続部を架橋する架橋部でコンタクトを構成し、コンタクトを収容する収容溝には、架橋部に設けた位置決め筒部を保持する架橋部収容室を設け、インナーハウジングの後壁には、コンタクトを収容溝に導入自在な導入開口を開口し、導入開口の周縁で電線の端末を脱落困難に保持することで、電気コネクタの組立作業性を向上できると考え、これに基づいて、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0026】
(1) アウターハウジングの内部に組み込む、又はカバーハウジングで覆われ、電線の端末に結線したコンタクトを内部に配列できる平板状のインナーハウジングを備える電気コネクタであって、前記コンタクトは、一端部に形成し、前記電線の端末を結線した結線部と、他端部に形成し、相手側コンタクトと接続自在な接続部と、前記結線部と前記接続部を架橋する架橋部と、を有し、前記インナーハウジングは、隔壁で区画し、前記コンタクトを収容自在な複数の収容溝と、前記収容溝が延びる方向と略直交する方向に配置した後壁と、を有し、前記架橋部は、前記結線部と前記接続部の間に位置決め筒部を有し、前記収容溝は、前記接続部を収容する接続部収容室と、前記位置決め筒部を収容し、前記位置決め筒部を外周方向から保持する架橋部収容室と、前記接続部収容室と前記架橋部収容室の間に配置され、前記接続部と前記位置決め筒部とを繋ぐ繋ぎ部を前記収容溝の開口側から導入可能に開門すると共に、前記コンタクトの軸方向の移動を規制するゲート部と、を有し、前記後壁は、前記収容溝に連通し、前記接続部を先頭に前記コンタクトを前記収容溝に導入自在に開口した導入開口を有し、前記コンタクトを前記導入開口から導入し、このコンタクトを前記収容溝の底面に当接した状態では、前記位置決め筒部が前記架橋部収容室に保持されると共に、前記結線部を介して、前記電線の端末を脱落困難に前記導入開口の周縁で保持している、電気コネクタ。
【0027】
(2) 前記収容溝は、前記接続部の先端縁をスライド自在に案内し、当該収容溝の底面から前記接続部収容室に向かって上り傾斜した傾斜面を有している、(1)記載の電気コネクタ。
【0028】
(3) 複数の前記収容溝の開口面は、平板状のカバー部材で封鎖している、(1)又は(2)記載の電気コネクタ。
【0029】
(4) 前記インナーハウジングは、ランスを更に有し、前記アウターハウジングは、前記インナーハウジングをその前壁側から導入自在に後面に開口したインナーハウジング収容室と、両側面に開口すると共に前記インナーハウジング収容室に連通し、前記ランスに係合自在な一対の係止孔と、上面に形成し、相手側コネクタに係止自在な第1のロックアームと、を有している、(1)から(3)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0030】
(5) 前記インナーハウジングは、前記インナーハウジング収容室の後面及び前記電線の周囲を防水可能に封鎖する防水パッキンを後壁に備えている、(4)記載の電気コネクタ。
【0031】
(6) 前記カバーハウジングは、複数の前記収容溝の開口面を覆う矩形板と、前記矩形板の一方の面に形成し、相手側コネクタに係止自在な第2のロックアームと、を備えている、(1)から(3)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【発明の効果】
【0032】
本発明による電気コネクタは、コンタクトの中間部を収容溝の内部に保持すると共に、コンタクトの基端部をインナーハウジングの後壁に開口した導入開口の周縁で保持しているので、電線付きのコンタクトを脱落することなく、インナーハウジングの内部に確実に保持できる。これにより、電気コネクタの組立作業性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明に適用するコンタクトを圧着端子として、以下説明するが、本発明に適用するコンタクトは、圧接端子や超音波溶接された端子でもよい。
【0035】
[第1実施形態]
(電気コネクタの構成)
(第1実施例によるインナーハウジングの構成)
最初に、本発明の第1実施形態による電気コネクタに備わる第1実施例によるインナーハウジングの構成を説明する。
【0036】
図1は、本発明の第1実施形態による電気コネクタに備わる第1実施例によるインナーハウジングの構成を示す斜視分解組立図である。
【0037】
図2は、第1実施例によるインナーハウジングの構成を示す図であり、
図2(A)は、インナーハウジングの斜視図、
図2(B)は、インナーハウジングからカバー部材を取り外した状態で示すインナーハウジングの斜視図である。
【0038】
図3は、第1実施例によるインナーハウジングの構成を示す図であり、
図3(A)は、インナーハウジングの平面図、
図3(B)は、インナーハウジングの正面図、
図3(C)は、インナーハウジングの背面図、
図3(D)は、インナーハウジングの平面図、
図3(A)のB−B矢視断面図である。
【0039】
図4は、
図3(B)のA−A矢視断面図であり、
図4(A)は、コンタクトを収容溝に導入する前の状態図、
図4(B)は、コンタクトを収容溝の後部に導入した状態図、
図4(C)は、コンタクトが収容溝に設けた傾斜面をスラドした状態図、
図4(D)は、コンタクトの接続部が収容溝に設けた傾斜面を乗り越えた状態図、
図4(E)は、コンタクトが収容溝の底面に当接した状態図である。
【0040】
(全体構成)
図1から
図4を参照すると、本発明の第1実施形態による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は(
図6参照)、第1実施例によるインナーハウジング1、アウターハウジング2、及び、複数のコンタクトとなる圧着端子3を備えている。
【0041】
図6を参照すると、アウターハウジング2は、平板状のインナーハウジング1を内部に組み込むことができる。
図1から
図4を参照すると、インナーハウジング1は、電線Wの端末に結線した圧着端子3を内部に配列できる。
【0042】
図1又は
図3(A)及び
図4(A)を参照すると、圧着端子3は、結線部となる圧着部31を一端部に備えている。又、圧着端子3は、筒状の接続部32を他端部に備えている。更に、圧着端子3は、架橋部33を中間部に備えている。架橋部33は、圧着部31と接続部32を架橋している。
【0043】
図1又は
図3(A)及び
図4(A)を参照すると、圧着部31は、コンダクタバレル3aとインシュレーションバレル3bを有している。コンダクタバレル3aは、電線Wの芯線Wcを圧着している。インシュレーションバレル3bは、電線Wの外部被覆Wbを圧着している。
【0044】
図1又は
図3(A)及び
図4(A)を参照すると、接続部32は、基端部を閉塞した円筒状の接続端子32aと円筒状の金属スリーブ32bで構成している。接続端子32aは、その基端部が架橋部33に連続している。又、接続端子32aは、その先端部側をオープンエントリで構成している。金属スリーブ32bは、接続端子32aの周囲を覆って保護していると共に、基端部を接続端子32aに結合している。
【0045】
図1を参照して、図示しない相手側コンタクトを金属スリーブ32bの先端開口に挿入すると、接続端子32aは、相手側コンタクトと電気的に接続できる。つまり、接続部32は、図示しない相手側コンタクトと電気的に接続できる。
【0046】
図1又は
図3(A)及び
図4(A)を参照すると、架橋部33は、コンダクタバレル3aと接続部32の間に位置決め筒部3cを配置している。位置決め筒部3cは、後述する架橋部収容室1Rbに配置されることで、位置決め筒部3cが対向する隔壁11w・11wで挟持できる。又、接続端子32aと位置決め筒部3cとは、繋ぎ部331で繋がれている(
図3(A)又は
図4参照)。位置決め筒部3cは、その外径を繋ぎ部331の外径より太く形成している。これにより、繋ぎ部331の首部の強度を向上できる。
【0047】
図1から
図4を参照すると、インナーハウジング1は、本体11と平板状のカバー部材12で構成している。本体11は、複数の収容溝11dを幅方向に一列に連設している。これらの収容溝11dは、隔壁11wで区画されている。
【0048】
又、
図1から
図4を参照すると、インナーハウジング1の本体11は、前壁11fと後壁11rを形成している。前壁11fと後壁11rは、収容溝11dが延びる方向と略直交する方向に配置している。
【0049】
図1から
図3を参照すると、前壁11fには、複数の導入開口111を開口している。導入開口111は、収容溝11dに連通している。導入開口111には、図示しない相手側コンタクトを導入できる。
図4(E)に示すように、接続部32の端面を前壁11fの背面に近接又は当接した状態で、図示しない相手側コンタクトを導入開口111に導入すると、接続部32は、図示しない相手側コンタクトと電気的に接続できる。
【0050】
図3(A)又は
図4(A)を参照すると、後壁11rには、複数の前円後方形状の導入開口112を開口している。導入開口112は、収容溝11dに連通している。
図4を参照すると、導入開口112には、接続部32を先頭に圧着端子3を導入できる。接続部32を先頭に圧着端子3を導入開口112に導入すると、圧着端子3を収容溝11dに収容できる。
【0051】
図1から
図4を参照すると、収容溝11dは、接続部収容室1Raと架橋部収容室1Rbを有している。接続部収容室1Raは、収容溝11dの前部に形成している。接続部収容室1Raには、接続部32を収容できる。架橋部収容室1Rbは、収容溝11dの中間部に形成している。架橋部収容室1Rbには、架橋部33を収容できる。架橋部33を架橋部収容室1Rbに収容すると、位置決め筒部3cを外周方向から挟持できる(
図4(E)参照)。
【0052】
又、
図1から
図4を参照すると、収容溝11dは、ゲート部11gを有している。ゲート部11gは、接続部収容室1Raと架橋部収容室1Rbの間に配置されている。接続部収容室1Raと架橋部収容室1Rbは、収容溝11dの底面から三角台状に隆起したゲート部11gで区画されている。圧着端子3を収容溝11dに収容した状態では、接続部収容室1Raには、接続部32を収容できる。又、圧着端子3を収容溝11dに収容した状態では、架橋部収容室1Rbは、位置決め筒部3cを収容できる。
【0053】
図3(D)又は
図4を参照すると、ゲート部11gの中央部には、U字状に窪んだU溝11uを形成している(
図3(D)参照)。U溝11uには、位置決め筒部3cと接続部32の繋ぎ部331を収容溝11dの開口側から導入できる。このように、ゲート部11gは、繋ぎ部331を導入可能に開門している。そして、圧着端子3を収容溝11dに収容した状態では、圧着端子3の軸方向の移動を規制できる。
【0054】
図3(A)又は
図4(E)を参照して、位置決め筒部3cを架橋部収容室1Rbに配置することで、位置決め筒部3cが対向する隔壁11w・11wで挟持されると共に、圧着端子3の軸方向の移動を規制できる。つまり、インナーハウジング1は、TPAということもできる。
【0055】
図2(B)又は
図4(E)を参照して、圧着端子3を導入開口112から導入し、圧着端子3を収容溝11dの底面に当接した状態では、位置決め筒部3cが架橋部収容室1Rbに保持されると共に、インシュレーションバレル3bを介して、電線Wの端末を脱落困難に導入開口112の周縁で保持している。
【0056】
第1実施例によるインナーハウジング1は、圧着端子3の中間部を収容溝11dの内部に保持すると共に、圧着端子3の基端部をインナーハウジング1の後壁11rに開口した導入開口112の周縁で保持しているので、電線W付きの圧着端子3を脱落することなく、インナーハウジング1の内部に確実に保持できる。
【0057】
引き続き、第1実施例によるインナーハウジング1の構成を説明する。
図1から
図4を参照すると、本体11は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形して、所望の形状を有するインナーハウジング1の本体を得ることができる。
【0058】
図1又は
図2(A)を参照すると、カバー部材12は、複数の収容溝11dの開口面を封鎖できる。カバー部材12は、一対の方形の突起12t・12tを前後に突出している。一方、本体11は、これらの突起12t・12tに嵌合できる矩形穴を前壁11f及び後壁11rに開口している。これらの突起12t・12tを前壁11f及び後壁11rの矩形穴に嵌合することで、カバー部材12を前壁11f及び後壁11rの間に固定できる(
図2(A)参照)。
【0059】
図2(A)に示した状態では、本体11の上面及び下面は、前壁11fと同じ高さの平坦面を形成でき、後述するアウターハウジング2(
図5参照)の後部からにインナーハウジング1を容易に挿入できる。
【0060】
図1から
図3を参照すると、本体11は、一対のランス113・113を両側面から突出している。一対のランス113・113は、相反する向きに向かっている。一対のランス113・113は、アウターハウジング2の両側面に開口した一対の係止孔21h・21hに係合できる(
図5参照)。
【0061】
図4を参照すると、収容溝11dは、収容溝11dの底面から接続部収容室1Raに向かって上り傾斜した傾斜面11sを形成している。傾斜面11sは、接続部32の先端縁をスライド自在に案内できる。
【0062】
(第1実施例によるインナーハウジングの作用)
次に、第1実施例によるインナーハウジング1の動作を説明しながら、インナーハウジング1の作用及び効果を説明する。
【0063】
図1(A)を参照して、圧着端子3のステップS1の状態は、
図4(A)に相当し、圧着端子3のステップS2の状態は、
図4(B)に相当している。又、圧着端子3のステップS3の状態は、
図4(C)に相当し、圧着端子3のステップS4の状態は、
図4(D)に相当している。更に、圧着端子3のステップS5の状態は、
図4(E)に相当している。
【0064】
図4(A)を参照して、接続部32を先頭に圧着端子3を導入開口112に挿入すると、接続部32が収容溝11dの底面にスライドしながら、接続部32を収容溝11dの内部に導入できる(
図4(B)参照)。
図4(B)に示した状態から、圧着端子3を更に挿入すると、接続部32の先端縁が傾斜面11sをスライドすることで、接続部32がゲート部11gを乗り越えるべく、圧着端子3が傾斜配置される(
図4(C)参照)。
【0065】
図4(C)に示した状態から、圧着端子3を更に挿入すると、接続部32がゲート部11gを乗り越える(
図4(D)参照)。
図4(D)に示した状態で、手動又は図示しない治具を用いて、圧着端子3を収容溝11dの底面に向って押し込むことで、収容溝11dの内部に圧着端子3を収容できる(
図4(E)。
【0066】
図4を参照して、これらの一連の工程では、複数の圧着端子3を一括して組み立てでき、ワイヤーハーネスの製造工程を簡略化でき、作業速度を速くできる。
【0067】
第1実施例によるインナーハウジング1は、圧着端子3の中間部を収容溝11dの内部に保持すると共に、圧着端子3の基端部をインナーハウジング1の後壁に開口した導入開口112の周縁で保持しているので、電線W付きの圧着端子3を脱落することなく、インナーハウジング1の内部に確実に保持できる。
【0068】
(第2実施例によるインナーハウジングの構成)
次に、本発明の第1実施形態による電気コネクタに備わる第2実施例によるインナーハウジングの構成を説明する。
【0069】
図5は、第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、第1実施例によるインナーハウジングに換えて、第2実施例によるインナーハウジングを構成に含んでいる。
【0070】
図6は、第2実施例によるインナーハウジングを構成に含む第1実施形態による電気コネクタの斜視図である。
【0071】
図5又は
図6を参照すると、第1実施形態による電気コネクタ10は、第1実施例によるインナーハウジング1に換えて、第2実施例によるインナーハウジング4を構成に含んでいる。電気コネクタ10は、インナーハウジング4、アウターハウジング2、及び、複数のコンタクトとなる圧着端子3を備えている。
図5を参照すると、インナーハウジング4は、電線Wの端末に結線した圧着端子3を内部に配列できる。
【0072】
図1から
図4に示したインナーハウジング1は、16極の圧着端子3を収容しているのに対し、
図5又は
図6に示したインナーハウジング4は、8極の圧着端子3を収容している。
図5又は
図6に示したアウターハウジング2は、8極用のインナーハウジング4を収容可能に構成しているが、アウターハウジング2の横幅を変えることで、16極用のインナーハウジング1を収容可能に構成できる。
【0073】
図5を参照すると、インナーハウジング4は、複数の収容溝41dを幅方向に一列に連設している。これらの収容溝41dは、隔壁41wで区画されている。又、インナーハウジング4は、前壁41fと後壁41rを形成している。前壁41fと後壁41rは、収容溝41dが延びる方向と略直交する方向に配置している。
【0074】
図5を参照すると、前壁41fには、複数の導入開口411を開口している。導入開口411は、収容溝41dに連通している。導入開口411には、図示しない相手側コンタクトを導入できる。図示しない相手側コンタクトを導入開口411に導入すると、接続部32は、図示しない相手側コンタクトと電気的に接続できる。
【0075】
図5を参照すると、後壁41rには、複数の前円後方形状の導入開口412を開口している。導入開口412は、収容溝41dに連通している。
図4を類照すると、導入開口412には、接続部32を先頭に圧着端子3を導入できる。接続部32を先頭に圧着端子3を導入開口412に導入すると、圧着端子3を収容溝41dに収容できる。
【0076】
図5を参照すると、収容溝41dは、接続部収容室4Raと架橋部収容室4Rbを有している。接続部収容室4Raは、収容溝41dの前部に形成している。接続部収容室4Raには、接続部32を収容できる。架橋部収容室4Rbは、収容溝41dの中間部に形成している。架橋部収容室4Rbには、架橋部33を収容できる。架橋部33を架橋部収容室4Rbに収容すると、位置決め筒部3cを外周方向から挟持できる。
【0077】
図5を参照すると、収容溝41dは、ゲート部41gを有している。ゲート部41gは、接続部収容室4Raと架橋部収容室4Rbの間に配置されている。接続部収容室4Raと架橋部収容室4Rbは、収容溝41dの底面から隆起したゲート部11gで区画されている。圧着端子3を収容溝41dに収容した状態では、接続部収容室4Raには、接続部32を収容できる。又、圧着端子3を収容溝41dに収容した状態では、架橋部収容室4Rbは、位置決め筒部3cを収容できる。
【0078】
図5を参照すると、ゲート部41gの中央部には、U字状に窪んだU溝(図示せず)を形成している。このU溝には、位置決め筒部3cと接続部32の繋ぎ部331を収容溝41dの開口側から導入できる。このように、ゲート部41gは、繋ぎ部331を導入可能に開門している。そして、圧着端子3を収容溝41dに収容した状態では、圧着端子3の軸方向の移動を規制できる。
【0079】
図5を参照して、位置決め筒部3cを架橋部収容室4Rbに配置することで、位置決め筒部3cが対向する隔壁41w・41wで挟持されると共に、圧着端子3の軸方向の移動を規制できる。
【0080】
図5を参照して、圧着端子3を導入開口412から導入し、圧着端子3を収容溝41dの底面に当接した状態では、位置決め筒部3cが架橋部収容室4Rbに保持されると共に、インシュレーションバレル3bを介して、電線Wの端末を脱落困難に導入開口412の周縁で保持している。
【0081】
(第2実施例によるインナーハウジングの作用)
次に、第2実施例によるインナーハウジング4の作用及び効果を説明する。
【0082】
第2実施例によるインナーハウジング4は、圧着端子3の中間部を収容溝41dの内部に保持すると共に、圧着端子3の基端部をインナーハウジング4の後壁41rに開口した導入開口412の周縁で保持しているので、電線W付きの圧着端子3を脱落することなく、インナーハウジング4の内部に確実に保持できる。
【0083】
又、第2実施例によるインナーハウジング4は、複数の圧着端子3を一括して組み立てでき、ワイヤーハーネスの製造工程を簡略化でき、作業速度を速くできる。
【0084】
図5を参照すると、インナーハウジング4は、一対のランス413・413を両側面から突出している。一対のランス413・413は、相反する向きに向かっている。一対のランス413・413は、アウターハウジング2の両側面に開口した一対の係止孔21h・21hに係合できる(
図5参照)。
【0085】
(アウターハウジングの構成)
次に、第1実施形態によるアウターハウジング2の構成を説明する。
図5又は
図6を参照すると、アウターハウジング2は、インナーハウジング収容室20r、一対の係止孔21h・21h、及び、片持ち状の第1のロックアーム21を有している。
【0086】
図5を参照すると、インナーハウジング収容室20rは、アウターハウジング2の後面に開口している。インナーハウジング収容室20rには、インナーハウジング4をその前壁41f側から導入でき、インナーハウジング4をアウターハウジング2の内部に組み込むことで、インナーハウジング4の前壁41fをアウターハウジング2の前面に露出できる。
【0087】
図5を参照すると、一対の係止孔21h・21hは、アウターハウジング2の両側面に開口している。一対の係止孔21h・21hは、インナーハウジング収容室20rに連通している。インナーハウジング4をアウターハウジング2の内部に組み込むと、一対のランス413・413を一対の係止孔21h・21hに係合できる(
図6参照)。図示しない工具などを用いて、一対のランス413・413を押圧することで、ランス413と係止孔21hの係合を解除できる。
【0088】
図5又は
図6を参照すると、第1のロックアーム21は、アウターハウジング2の上面に形成している。第1のロックアーム21は、図示しない相手側コネクタのラッチに係止できる。一方、第1のロックアーム21を操作することで、図示しない相手側コネクタのラッチとの係合を解除できる。
【0089】
(第2実施例によるインナーハウジングの変形例)
次に、第2実施例によるインナーハウジングの変形例を説明する。
図7は、第2実施例によるインナーハウジングの変形例を示す斜視図である。
【0090】
図7を参照すると、変形例によるインナーハウジング5は、防水パッキン5pを後壁51rに取り付けている。防水パッキン5pを後壁51rにインサート成形することで、電線Wの周囲を封鎖できる。又、インナーハウジング5をアウターハウジング2に組み込むと、インナーハウジング収容室20rの後面を防水可能に封鎖できる。これにより、コネクタ10を防水仕様にできる。なお、インナーハウジング5のその他の構成は、インナーハウジング4と同じであるので、説明を省略する。
【0091】
[第2実施形態]
(電気コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
【0092】
図8は、本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、
図8(A)は、第2実施形態による電気コネクタの斜視図、
図8(B)は、第2実施形態による電気コネクタの斜視分解組立図である。
【0093】
図8を参照すると、本発明の第2実施形態による電気コネクタ20は、インナーハウジング1の本体11、カバーハウジング6、及び、複数のコンタクトとなる圧着端子3を備えている。
【0094】
図8を参照すると、カバーハウジング6は、本体11の上面を覆うことができる。本体11は、電線Wの端末に結線した圧着端子3を内部に配列できる。カバーハウジング6は、矩形板61と第2のロックアーム62を備えている。
【0095】
図8を参照すると、矩形板61は、複数の収容溝11dの開口面を封鎖できる。矩形板61は、一対の方形の突起61t・61tを前後に突出している。一方、本体11は、これらの突起61t・61tに嵌合できる矩形穴を前壁11f及び後壁11rに開口している。これらの突起61t・61tを前壁11f及び後壁11rの矩形穴に嵌合することで、矩形板61を前壁11f及び後壁11rの間に固定できる(
図8(A)参照)。
【0096】
図8を参照すると、第2のロックアーム62は、矩形板61の上面に形成している。第2のロックアーム62は、図示しない相手側コネクタのラッチに係止できる。一方、第2のロックアーム62を操作することで、図示しない相手側コネクタのラッチとの係合を解除できる。
【0097】
(電気コネクタの作用)
図8と
図6を対比すると、第2実施形態による電気コネクタ20は、第1実施形態による電気コネクタ10と同様な効果を奏するが、電気コネクタ20は、電気コネクタ10と比べて、その厚さを薄型化できるというメリットがある。
【0098】
本発明による電気コネクタは、ワイヤーハーネスの製造に好適な構成を開示したが、本発明による電気コネクタは、単ケーブルに適用することもできる。