【解決手段】シグナル線の周囲にグランド線が設けられた同軸ケーブルのコネクタであって、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、電気的に分離されたシグナル領域とグランド領域とを有する金属膜と、前記金属膜におけるシグナル領域上に硬質高弾性金属体で形成され、前記シグナル線に接続された際に前記シグナル線の延長方向に突出した突起形状のシグナル端子と、前記金属膜におけるグランド領域上に硬質高弾性金属体で形成され、前記シグナル端子に対し略平行に形成された端子部と前記グランド線に接続された際に前記グランド線を両側から挟み接続する接続部とを有し、前記シグナル端子に関して対称に配置された1対のグランド端子と、を備えることを特徴とする。
同軸ケーブルのシグナル線を前記シグナル端子に接続し、前記シグナル端子の周囲に設けられたグランド線を前記グランド端子に接続する組立工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の同軸ケーブルコネクタの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、細径の同軸ケーブルに対する需要が高まるにつれて、コネクタも小型化することが求められている。そこで、基板に実装されるコネクタに関しては、基板の製造工程中に、フォトリソグラフィ技術を用いて小型のコネクタを形成する技術も知られている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、ロボットのシグナル伝送系や各種の測定機械装置の場合、同軸ケーブル同士を狭い領域で繋ぐコネクタが必要とされるケースも多い。そこで、同軸ケーブル同士を繋ぐための小型のコネクタが求められていた。
【0007】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、同軸ケーブル同士を連結する小型の同軸ケーブルコネクタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明に係る同軸ケーブルコネクタは、シグナル線の周囲にグランド線が設けられた同軸ケーブルのコネクタであって、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、電気的に分離されたシグナル領域とグランド領域とを有する金属膜と、前記金属膜におけるシグナル領域上に硬質高弾性金属体で形成され、前記シグナル線に接続された際に前記シグナル線の延長方向に突出した突起形状のシグナル端子と、前記金属膜におけるグランド領域上に硬質高弾性金属体で形成され、前記シグナル端子に対し略平行に形成された端子部と前記グランド線に接続された際に前記グランド線を両側から挟み接続する接続部とを有し、前記シグナル端子に関して対称に配置された1対のグランド端子と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る同軸ケーブルコネクタは、シグナル線の周囲にグランド線が設けられた同軸ケーブルのコネクタであって、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、電気的に分離されたシグナル領域とグランド領域とを有する金属膜と、前記金属膜におけるシグナル領域上に硬質高弾性金属体で形成され、前記シグナル線に接続された際に前記シグナル線に向かって嵌合溝が設けられたシグナル端子と、前記金属膜におけるグランド領域上に硬質高弾性金属体で形成され、前記シグナル端子に対し略平行に形成された端子部と前記グランド線に接続された際に前記グランド線を両側から挟み接続する接続部とを有し、前記シグナル端子に関して対称に構成された1対のグランド端子と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る同軸ケーブルコネクタは、前記硬質高弾性金属体は、電鋳されたニッケルであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る同軸ケーブルコネクタは、前記樹脂フィルムは、ポリイミドで形成されていることが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る同軸ケーブルコネクタは、前記金属膜は、銅箔であることが望ましい。
【0013】
また、本発明に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法は、樹脂フィルム上に形成された金属膜をシグナル領域とグランド領域とに電気的に分離するエッチング工程と、前記樹脂フィルム上にドライフィルムレジストを積層し、前記ドライフィルムレジストからシグナル端子およびグランド端子の形状をフォトリソグラフィ技術で除去するフォトリソグラフィ工程と、前記シグナル端子およびグランド端子の形状が除去された前記ドライフィルムレジストの型を用いて硬質高弾性金属体を電鋳する電鋳工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法は、同軸ケーブルのシグナル線を前記シグナル端子に接続し、前記シグナル端子の周囲に設けられたグランド線を前記グランド端子に接続する組立工程をさらに有することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同軸ケーブル同士を連結する小型の同軸ケーブルコネクタおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタおよびその製造方法につき、図面に基づいて説明する。ただし、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタおよびその製造方法が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。添付の図面は模式的なものであり、各要素の寸法や比率などが実際と異なる場合がある。
【0018】
(凸型の同軸ケーブルコネクタの構成例)
図1は、本発明の実施形態に係る凸型の同軸ケーブルコネクタの構成例を示す図である。
図1に示される凸型の同軸ケーブルコネクタ10は、後に
図2を参照しながら説明する凹型の同軸ケーブルコネクタ20と組み合わせて用いられる。
【0019】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る凸型の同軸ケーブルコネクタ10は、直径が1mm以下の同軸ケーブル30の先端に取り付けて利用されることが想定されるものである。同軸ケーブル30は、シグナル線31の周囲にグランド線33が設けられた構成のケーブルであり、より具体的には、中心にシグナル線31を備え、シグナル線31の周囲を低損失の誘電体32で被覆し、さらに誘電体32の周囲を網目状の金属線で包んだグランド線33を備える同心円構造を有している。さらに、通常、グランド線33の周囲は、樹脂製の外部被覆34によって保護がされている。同軸ケーブル30の直径とは、外部被覆34を含めたケーブルの直径を表す。
【0020】
また、同軸ケーブル30は、先端に同軸ケーブルコネクタ10を取り付ける際には、
図1に示されるように、樹脂製の外部被覆34を剥離しグランド線33を外部被覆34の外側に露出させ、さらに誘電体32を剥離してシグナル線31を露出させた状態で用いられる。
【0021】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る凸型の同軸ケーブルコネクタ10は、樹脂フィルム11と、樹脂フィルム11の表面上に形成された金属膜12と、シグナル線31の延長方向に突出した突起形状のシグナル端子13と、シグナル端子13に関して対称に配置された1対のグランド端子14a,14bとを備えている。
【0022】
樹脂フィルム11は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)におけるベースフィルムであり、典型的にはポリイミドで形成されたフィルムである。一方、金属膜12は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)における導電体層であり、典型的には銅箔で形成されている。
【0023】
なお、
図1に示される樹脂フィルム11の領域は、フレキシブルプリント回路基板の表面から金属膜12が除去された領域であり、また
図1に示される金属膜12の領域は、フレキシブルプリント回路基板の表面から金属膜12が除去されていない領域である。後に
図3に基づいて詳細に説明するが、金属膜12の領域は、電気的に分離されたシグナル領域とグランド領域とを有しており、シグナル端子13はシグナル領域上に形成され、グランド端子14a,14bはグランド領域上に形成されている。これにより、シグナル端子13とグランド端子14a,14bとが電気的に離隔されている。
【0024】
シグナル端子13は、シグナル線31に接続された際にシグナル線31の延長方向に突出した突起形状を有している。これは、
図2に示される凹型の同軸ケーブルコネクタ20と接続した際に、シグナル端子13が凹型の同軸ケーブルコネクタ20のシグナル端子23の嵌合溝23bに嵌合するためである。シグナル端子13は、凹型の同軸ケーブルコネクタ20のシグナル端子23の嵌合溝23bにより滑らかに嵌合するために、先端部が面取り加工されていることが好ましい。また、凹型の同軸ケーブルコネクタ20のシグナル端子23とより確実に接触するために、シグナル端子13の側面には、緩やかな凸部または湾曲部を形成することが好ましい。
【0025】
さらに、シグナル端子13におけるシグナル線31が接続される部分には、シグナル端子13とシグナル線31とをより確実に接続するために、溝13aが設けられていることが好ましい。なお、シグナル端子13とシグナル線31とは半田で接続することが好ましいが、
図1では図の見やすさを優先して半田の記載を省略している。また、シグナル端子13とシグナル線31とを半田付けする溝13aの領域では、樹脂フィルム11上の金属膜12を除去せず、残しておくことが好ましい。溝13aの領域に金属膜12を残しておけば、この金属膜12部分をランドとして用いることによって、シグナル端子13とシグナル線31とをより確実に接続することができる。
【0026】
グランド端子14a,14bは、それぞれ、シグナル端子13に対し略平行に形成された端子部14aa,14baと、グランド線33に接続された際にグランド線33を両側から挟み接続する接続部14ab,14bbとを有している。グランド端子14aとグランド端子14bとは、シグナル端子13に関して対称に配置されており、互いに鏡像の形状を有している。
【0027】
グランド端子14a,14bの端子部14aa,14baは、
図2に示される凹型の同軸ケーブルコネクタ20と接続した際に、凹型の同軸ケーブルコネクタ20のグランド端子24a,24bと接触するためのものである。したがって、グランド端子14a,14bの端子部14aa,14baの先端部は、凹型の同軸ケーブルコネクタ20のグランド端子24a,24bにより滑らかに接触するために、先端部が面取り加工されていることが好ましい。
【0028】
グランド端子14a,14bの接続部14ab,14bbは、互いに対向して配置されることによって、同軸ケーブル30のグランド線33および誘電体32を挿入するための溝を形成する。したがって、接続部14abと接続部14bbとの間の間隔は、同軸ケーブル30の直径および誘電体32の直径に整合したものであることが好ましい。したがって、直径1mm以下の同軸ケーブル30の先端に取り付ける場合には、接続部14abと接続部14bbとの間の間隔もこれと同程度にすることが好ましい。
【0029】
接続部14abと接続部14bbとの間の領域では、樹脂フィルム11上の金属膜12を除去せず、残しておくことが好ましい。接続部14abと接続部14bbとの間の領域に金属膜12を残しておけば、この金属膜12部分をランドとして用いることによって、グランド端子14a,14bとグランド線33とをより確実に接続することができる。
【0030】
シグナル端子13およびグランド端子14a,14bは、硬質高弾性金属体で形成されている。シグナル端子13およびグランド端子14a,14bは、適度な高弾力性と高強度を兼ね備えることによって、シグナル端子13とグランド端子14a,14bとが接触する際に、相互に押圧を加えることになり、電気的接続を安定させることが可能になる。適度な高弾力性と高強度を兼ね備える硬質高弾性金属体の例は、例えばニッケル(Ni)であり、後に製造方法の一部として説明するように、電鋳されたニッケルであることが好ましい。
【0031】
(凹型の同軸ケーブルコネクタの構成例)
図2は、本発明の実施形態に係る凹型の同軸ケーブルコネクタの構成例を示す図である。
図2に示される凹型の同軸ケーブルコネクタ20は、
図1を参照しながら説明した凸型の同軸ケーブルコネクタ10と組み合わせて用いられる。凹型の同軸ケーブルコネクタ20は、凸型の同軸ケーブルコネクタ10と共通する構成が多いので、以下の説明では共通構成に関しては適宜省略するものとする。
【0032】
本発明の実施形態に係る凹型の同軸ケーブルコネクタ20は、直径が1mm以下の同軸ケーブル30の先端に取り付けて利用されることが想定されるものである。同軸ケーブル30は、シグナル線31の周囲にグランド線33が設けられた構成のケーブルであり、
図1を参照しながら説明したものと同一種類のものである。
【0033】
図2に示されるように、本発明の実施形態に係る凹型の同軸ケーブルコネクタ20は、樹脂フィルム21と、樹脂フィルム21の表面上に形成された金属膜22と、シグナル線31に向かって嵌合溝23bが設けられたシグナル端子23と、シグナル端子23に関して対称に配置された1対のグランド端子24a,24bとを備えている。また、凹型の同軸ケーブルコネクタ20は、上部を樹脂膜25にて覆われているが、構成を見やすくするために
図2では記載を省略している。
【0034】
図2に示される樹脂フィルム21の領域は、フレキシブルプリント回路基板の表面から金属膜22が除去された領域であり、また
図2に示される金属膜22の領域は、フレキシブルプリント回路基板の表面から金属膜22が除去されていない領域である。
後に
図4に基づいて詳細に説明するが、金属膜22の領域は、電気的に分離されたシグナル領域とグランド領域とを有しており、シグナル端子23はシグナル領域上に形成され、グランド端子24a,24bはグランド領域上に形成されている。これにより、シグナル端子23とグランド端子24a,24bとが電気的に離隔されている。
【0035】
シグナル端子23は、シグナル線31に接続された際にシグナル線31に向かって嵌合溝が設けられた形状を有している。これは、
図1に示される凸型の同軸ケーブルコネクタ10と接続した際に、シグナル端子23の嵌合溝23bに凸型の同軸ケーブルコネクタ10のシグナル端子13が嵌合するためである。
【0036】
シグナル端子23におけるシグナル線31が接続される部分には、シグナル端子23とシグナル線31とをより確実に接続するために、溝23aが設けられていることが好ましい。また、シグナル端子23とシグナル線31とを半田付けする溝23aの領域では、樹脂フィルム121上の金属膜22を除去せず、残しておくことが好ましい。
【0037】
グランド端子24a,24bは、それぞれ、シグナル端子23に対し略平行に形成された端子部24aa,24baと、グランド線33に接続された際にグランド線33を両側から挟み接続する接続部24ab,24bbとを有している。グランド端子24aとグランド端子24bとは、シグナル端子23に関して対称に配置されており、互いに鏡像の形状を有している。グランド端子24a,24bの端子部24aa,24baは、
図1に示される凸型の同軸ケーブルコネクタ10と接続した際に、凸型の同軸ケーブルコネクタ10のグランド端子14a,14bと接触するためのものである。
【0038】
シグナル端子13およびグランド端子24a,24bは、硬質高弾性金属体で形成されている。シグナル端子23およびグランド端子24a,24bは、適度な高弾力性と高強度を兼ね備えることによって、シグナル端子23とグランド端子24a,24bとが接触する際に、相互に押圧を加えることになり、電気的接続を安定させることが可能になる。適度な高弾力性と高強度を兼ね備える硬質高弾性金属体の例は、例えばニッケル(Ni)であり、後に製造方法の一部として説明するように、電鋳されたニッケルであることが好ましい。
尚、凹型の同軸ケーブルコネクタ20にあっては、上部を樹脂膜25によって覆われるため、樹脂膜25と樹脂フィルム21によって、凸型の同軸ケーブルコネクタ10のシグナル端子13グランド端子14a,14bが挿入される密閉空間が形成される。
【0039】
(凸型の同軸ケーブルコネクタの製造方法例)
図3は、本発明の実施形態に係る凸型の同軸ケーブルコネクタの製造方法例を示す図である。以下、
図3を参照しながら凸型の同軸ケーブルコネクタ10の製造方法の例を説明する。
【0040】
図3(a)に示すように、本製造方法例は、樹脂フィルム11の両面に接着剤を用いずに金属膜12を積層した2層型のフレキシブルプリント回路基板を開始部材として用いる。既に説明したように、樹脂フィルム11の素材の典型例はポリイミドであり、金属膜12の素材の典型例は銅箔である。
【0041】
そして、
図3(b)に示すように、樹脂フィルム11および金属膜12にドリルやレーザを用いてビア11aを形成する。ビア11aの側面には金属メッキが施されており、フレキシブルプリント回路基板の表裏の金属膜12が導通される。
【0042】
次に、
図3(c)に示すように、樹脂フィルム11上に形成された表側の金属膜12をエッチングし、所定の回路パターンを形成する。表側の金属膜12は、少なくともシグナル領域12aとグランド領域12bとを有する。シグナル領域12aは、後にシグナル端子13が形成される領域であり、グランド領域12bは、後にグランド端子14a,14bが形成される領域である。
樹脂フィルム11に形成された裏側の金属膜12は図示しないが、ビア11aと電気的に接続されたグランド領域のみが形成される。
【0043】
次に、
図3(d)に示すように、樹脂フィルム11の表側にドライフィルムレジスト16を例えば100〜300μmの厚さで積層し、フォトリソグラフィ技術を用いて、シグナル端子13およびグランド端子14a,14bの形状の型を形成する。
【0044】
そして、
図3(e)に示すように、ドライフィルムレジスト16の型を用いて、硬質高弾性金属体の例であるニッケルの電鋳を行う。ニッケルの電鋳は、ニッケルの電気メッキと同じ化学反応を利用しながら、ニッケルの鋳造を行う工程であり、この場合、ドライフィルムレジスト16が鋳型に相当する役割を担っている。
【0045】
その後、
図3(f)に示すように、ニッケルの電鋳で形成されたシグナル端子13およびグランド端子14a,14bを所定の厚さに研磨加工し、ドライフィルムレジスト16を除去する。そして、
図3(g)に示すように、CO
2レーザあるいはYAGレーザ等を用いて、余分な樹脂フィルム11(先端部分の樹脂フィルム)を除去し、凸型の同軸ケーブルコネクタ10が完成する。
尚、樹脂フィルム11に形成された裏側の金属膜12は、ビア11aを介して、グランド領域12bと電気的に接続されている。
【0046】
凸型の同軸ケーブルコネクタ10は、
図3(h)に示すように、同軸ケーブル30の先端に取り付けられて用いられる。具体的には、同軸ケーブル30のシグナル線31をシグナル端子13に接続し、シグナル端子13の周囲に設けられたグランド線33をグランド端子14a,14bに半田で接続する。半田付けは、例えばクリーム半田を接続部に塗布し加熱する方法を用いることができる。
【0047】
(凹型の同軸ケーブルコネクタの製造方法例)
図4は、本発明の実施形態に係る凹型の同軸ケーブルコネクタの製造方法例を示す図である。以下、
図4を参照しながら凹型の同軸ケーブルコネクタ20の製造方法の例を説明する。凹型の同軸ケーブルコネクタ20の製造方法は、凸型の同軸ケーブルコネクタ10と共通する工程が多いので、以下の説明では共通工程に関しては適宜省略するものとする。
【0048】
図4(a)に示すように、本製造方法例は、樹脂フィルム21の両面に接着剤を用いずに金属膜22を積層した2層型フレキシブルプリント回路基板を開始部材として用いる。そして、
図4(b)に示すように、樹脂フィルム21および金属膜22にドリルやレーザを用いてビア21aを形成する。
【0049】
次に、
図4(c)に示すように、樹脂フィルム21上に形成された金属膜22をエッチングし、所定の回路パターンを形成する。金属膜22は、少なくともシグナル領域22aとグランド領域22bとを有する。シグナル領域22aは、後にシグナル端子23が形成される領域であり、グランド領域22bは、後にグランド端子24a,24bが形成される領域である。
樹脂フィルム21に形成された裏側の金属膜22は図示しないが、ビア21aと電気的に接続されたグランド領域のみが形成される。
【0050】
次に、
図4(d)に示すように、樹脂フィルム21の表側にドライフィルムレジスト26を例えば100〜300μmの厚さで積層し、フォトリソグラフィ技術を用いて、シグナル端子23およびグランド端子24a,24bの形状の型を形成する。
【0051】
そして、
図4(e)に示すように、ドライフィルムレジスト26の型を用いて、硬質高弾性金属体の例であるニッケルの電鋳を行う。その後、
図4(f)に示すように、シグナル端子23およびグランド端子24a,24bを所定の厚さに研磨加工し、ドライフィルムレジスト26を除去する。尚、凹型の同軸ケーブルコネクタ20にあっては、凸型の同軸ケーブルコネクタ10の外周囲の余分な樹脂フィルムの除去を行う。
【0052】
その後、
図4(g)に示すように、シグナル端子23およびグランド端子24a,24bの上に、上面を覆うように樹脂膜25を形成し、凹型の同軸ケーブルコネクタ20が完成する。尚、樹脂フィルム21に形成された裏側の金属膜22は、ビア21aを介して、グランド領域22bと電気的に接続されている。
そして、凹型の同軸ケーブルコネクタ20は、
図4(h)に示すように、同軸ケーブル30の先端に取り付けられて用いられる。
【0053】
(同軸ケーブルコネクタの特性)
図5は、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタの高周波伝送特性を示すグラフである。
図5のグラフに示される高周波伝送特性は、凸部と凹型との同軸ケーブルコネクタを接続した場合の挿入損失を示している。具体的には、2つの同軸ケーブルコネクタを接続した状態のシグナル線とグランド線の対を2端子対回路としたときのSパラメータ(s21)を挿入損失としてグラフ化している。
【0054】
実施例として、
図1、
図2に示す構成の同軸ケーブルコネクタ(実施例)を用いた。
端子幅0.8mm、端子長さ0.5mmの凹凸コネクタに、各々Φ0.5mmの同軸ケーブルを10mm接続し、ケーブル付きの凹凸コネクタを勘合させて、両端のケーブルから高周波信号を印加して挿入損失を、2回測定した。
また、比較例として、既に市販されているコネクタ中で最も小さいΦ10mmの凹凸の同軸コネクタに、各々Φ1.5mmの同軸ケーブルを10mm接続し、ケーブル付きの凹凸を勘合させて、両端のケーブルから高周波信号を印加して挿入損失を、2回測定した。
【0055】
図5に示されるグラフは、横軸に示された周波数(MHz)に関するSパラメータ(s21)を縦軸にdB表示するものである。
実施例および比較例との挿入損失を比較すると分かるように、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタは、既存のものと比較して、高周波伝送特性が良好である。
【0056】
以上説明してきたように、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法によれば、直径が1.0mm以下の同軸ケーブル同士を接続するための同軸ケーブルを製造することができる。そして、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタは、1mm角以下の大きさとなり、既存の同軸ケーブルコネクタと比べて堆積が約1/1000以下に小型化されている。
【0057】
また、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタの耐久性は、挿抜を100回繰り返しても電気抵抗の変化が10%以内に抑えられ、嵌合保持力の変化も30%以下に抑えられている。
【0058】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記の実施形態よって限定されるものではない。例えば、本発明の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタの嵌合保持力は、端子の形状や大きさや材料の選択によって適切に設計変更可能である。