【解決手段】絶縁性材料から成る相手方ハウジングと、該相手方ハウジングに埋込まれる本体部と、該本体部に接続され、外周面の少なくとも一部が前記相手方ハウジングから露出する接触部とを含む相手方外側導体部と、前記相手方ハウジングに埋込まれる本体部と、該本体部に接続され、少なくとも先端が前記相手方ハウジングのハウジング前端から前方に突出する相手方中心導体部と、を備え、前記相手方外側導体部の本体部は、概略クランク状の側面形状を有する曲部を含む。
前記相手方外側導体部の前記接続部分としてテール部の前端における幅方向両側には幅の狭い本体部に移行する傾斜部が形成され、前記相手方中心導体部の前記接続部分としてテール部の前端における幅方向両側には幅の狭い本体部に移行する傾斜部が形成され、前記傾斜部の周囲を囲むように前記シール部材が一体的形成されている請求項2に記載の相手方コネクタ。
前記相手方外側導体部の本体部及び前記相手方中心導体部の本体部は、板状に形成され、互いに平行に配置され、前記相手方外側導体部の本体部の厚さは前記相手方中心導体部の本体部より薄い請求項1〜3のいずれか1項に記載の相手方コネクタ。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の相手方コネクタと、前記相手方外側導体部に接続される外側導体部、及び、前記相手方中心導体部に接続される中心導体部を備えるコネクタと、から成るコネクタアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本実施の形態におけるコネクタの斜視図、
図2は本実施の形態におけるコネクタの分解図、
図3は本実施の形態におけるコネクタの二面図、
図4は本実施の形態におけるコネクタの断面図、
図5は本実施の形態におけるシェルの四面図、
図6は本実施の形態における中間絶縁体の四面図、
図7は本実施の形態における端子の三面図、
図8は本実施の形態におけるコネクタの一部組立斜視図、
図9は本実施の形態におけるキャップの第1の三面図、
図10は本実施の形態におけるキャップの第2の三面図、
図11は本実施の形態におけるコネクタの一部組立二面図である。なお、
図3において、(a)は側面図、(b)は下面図であり、
図4において、(a)は
図3におけるA−A矢視断面図、(b)は
図3におけるB−B矢視断面図、(c)は
図3におけるC−C矢視断面図であり、
図5において、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図、(d)は(c)におけるD−D矢視断面図であり、
図6において、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図、(d)は(c)におけるE−E矢視断面図であり、
図7において、(a)は前方から観た斜視図、(b)は後方から観た斜視図、(c)は下面図であり、
図8において、(a)は前方から観た斜視図、(b)は後方から観た斜視図であり、
図9において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるF−F矢視断面図、(c)は前方から観た斜視図であり、
図10において、(a)は側面図、(b)は(a)におけるG−G矢視断面図、(c)は前面図であり、
図11において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるH−H矢視断面図である。
【0019】
図において、1は本実施の形態におけるコネクタであって、コネクタアセンブリである一対のコネクタの一方である。前記コネクタ1は、望ましくは、ケーブルコネクタであり、ケーブル91の先端に接続された状態で使用され、コネクタアセンブリである一対のコネクタの他方としての後述される相手方コネクタ101に嵌合される。該相手方コネクタ101は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、車両用ナビゲーション装置、車両用オーディオ装置、車両用センサ、車載カメラ、車両用ライト、車両用制御装置等の電気機器、電子機器等の機器に装着されるコネクタであるが、いかなる種類の機器に装着されるものであってもよい。なお、図示の都合上、ケーブル91は、その先端に近い部分のみが描画され、その他の部分の描画が省略されている。
【0020】
また、前記ケーブル91は、いかなる種類のケーブルであってもよく、同軸ケーブル、ツイストペアケーブル等であってもよいが、ここでは、
図2に示されるように、並列な2本の電線93を有する二軸ケーブルであるものとして説明する。前記ケーブル91は、導電性の第1芯線94aの周囲を絶縁性の内側被覆部材95で被覆した第1電線93aと、導電性の第2芯線94bの周囲を絶縁性の内側被覆部材95で被覆した第2電線93bとを有し、並列に並べられた第1電線93a及び第2電線93bは、絶縁性の外側被覆部材92によって一体的に被覆されている。なお、
図2に示されるように、第1芯線94a及び第2芯線94bの先端から所定の長さ範囲の部分は、内側被覆部材95が除去された状態で、露出しているものとする。また、第1芯線94aと第2芯線94bとを統合的に説明する場合には芯線94として説明し、第1電線93aと第2電線93bとを統合的に説明する場合には電線93として説明する。
【0021】
ここで、前記ケーブル91及びコネクタ1は、電力を供給するためのものであってもよいし、信号を伝達するためのものであってもよい。さらに、前記コネクタ1は、例えば、その外径(後方スリーブ12の外径)が3.0〔mm〕程度の細径のものであるとして説明する。
【0022】
なお、本実施の形態において、コネクタ1及び相手方コネクタ101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記コネクタ1及び相手方コネクタ101の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0023】
前記コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された前方スリーブ11と、導電性の金属板に打抜き、プレス、折曲げ等の加工を施して成形された部材であって前記前方スリーブ11内に収容された外側導体部としてのシェル61と、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された部材であって前記シェル61内に収容された中間絶縁体21と、導電性の金属板に打抜き、プレス、折曲げ等の加工を施して一体的に成形された部材であって前記中間絶縁体21内に収容された中心導体部としての端子51と、望ましくは耐熱性を有する合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された部材であって前記シェル61及び端子51の後側に配設された蓋部材としてのキャップ22と、合成樹脂等のエラストマーによって一体的に形成された部材であって前記シェル61、端子51及びキャップ22の後側を水密にシールするシール部材31と、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された部材であって前記前方スリーブ11の後側に配設された後方スリーブ12とを備える。
【0024】
なお、前記前方スリーブ11、キャップ22、シール部材31及び後方スリーブ12は、オーバーモールド成形(インサート成形)によって他の部材と一体化される部材であって、他の部材から離間した状態で単独で存在するものではないが、説明の都合上、
図2においては、単独で存在するように描画されていることに留意されたい。
【0025】
図5に示されるように、前記シェル61は、円筒形状の外側本体部としての本体部63と、該本体部63の後端63rから後方(X軸負方向)へ延在する外側テール部としてのテール部62とを有する。前記本体部63は、平板状の金属板を円筒状に丸めて作製された中空の部分であり、前後方向(X軸方向)に延在する継目63cを含んでいる。そして、前記本体部63の内部は、円柱状の内部空洞61aとなっていて、該内部空洞61a内に中間絶縁体21及び端子51が収容される。
【0026】
また、前記本体部63には、円周方向に延在するスリット63aが継目63cにかかるように形成されている。前記スリット63aは、前方スリーブ11を構成する絶縁性材料の一部が進入する部分であって、本体部63を構成する金属板を板厚方向に貫通するように形成されているが、本体部63の全周に亘って存在するものではない。前記中間絶縁体21及び端子51は、中間絶縁体21の外側に設けられた小突起21dにより、内部空洞61aにおけるスリット63aの後方に軽圧入状態で収容される。すなわち、軽圧入部としての小突起21dはスリット63aの後方に位置する。そして、本体部63における前端63fとスリット63aとの間の範囲には、半径方向内側に向けて突出する複数のロック突起64が形成されている。該ロック突起64は、コネクタ1と嵌合する相手方コネクタ101が備える後述される相手方シェル161と係合する。
【0027】
該相手方シェル161が前端63fから内部空洞61a内に進入して半径方向内側に向けて突出するロック突起64と係合する際、相手方シェル161によってロック突起64が半径方向外側に向けて押されるので、本体部63における前端63fとスリット63aとの間の範囲は、径が拡大するように変形する。しかし、スリット63aが存在することによって、かかる変形は、スリット63aの後方に伝達されることがない。したがって、小型化により中間絶縁体21のシェル61への固定強度を大きくすることができない場合であっても、内部空洞61a内におけるスリット63aの後方に収容されている中間絶縁体21が、本体部63から分離してしまうことはない。
【0028】
また、本体部63の後端63rには、前方に向けて凹入する切欠部65が形成されている。該切欠部65には、中間絶縁体21の位置決め突起21cが進入して係合する。さらに、本体部63の後端63r近傍には、本体部63を構成する金属板を板厚方向に貫通する開口63bが形成されている。前記本体部63の側壁を貫通するように形成された開口63bには、キャップ22を構成する絶縁性材料の一部が進入する。
【0029】
前記テール部62は、コネクタ1の長手方向(X軸方向)、すなわち、前後方向から観て互いに直交する第1接続板62a及び第2接続板62bをその後端近傍に有する。第2接続板62bは、第1接続板62aに対して直角になるように折曲げて形成されている。そして、
図4(c)に示されるように、ケーブル91の第2電線93bの先端において内側被覆部材95が除去された状態で露出している第2芯線94bは、その円周面における前後方向から観て互いに直交する2箇所で、それぞれ、前記第1接続板62a及び第2接続板62bに当接又は近接し、はんだ付等の接続手段によって接続される。したがって、前後方向に関して、第2芯線94bがテール部62とオーバーラップする範囲が短くても、第2芯線94bの円周面の2箇所で第1接続板62a及び第2接続板62bに接続されるので、第2芯線94bとテール部62とは、相互に確実に接続され、確実に導通する。
【0030】
そして、前記シェル61の外側には、オーバーモールド成形によって、前方スリーブ11が一体的に取付けられる。前述のように、前方スリーブ11を構成する絶縁性材料の一部がシェル61のスリット63a内に進入するので、前方スリーブ11はシェル61に確実に取付けられる。前記前方スリーブ11は、概略円筒形の部材であって、軸方向、すなわち、前後方向に貫通する円柱状の内部空洞11aを有し、前記シェル61は、本体部63における切欠部65の前方の大部分が、前記内部空洞11aに収容された状態となる。また、
図4(a)及び(b)に示されるように、前方スリーブ11は、シェル61の本体部63の前端63fよりも前方に延在する状態となり、内部空洞11aにおけるハウジング前端11fより後方の所定の長さ範囲には、シェル61が存在しない。また、前記内部空洞11aの中心軸はシェル61の内部空洞61aの中心軸と同軸であり、前記内部空洞11aの内径はシェル61の外径とほぼ同一である。
【0031】
図6に示されるように、前記中間絶縁体21は、概略円筒形の部材であって、軸方向、すなわち、前後方向に貫通する円柱状の内部空洞21aを有する。該内部空洞21aにおける前端21fに接する部分には、前方(X軸正方向)に進むにつれて内径が拡大するテーパ部21a1が形成されている。また、内部空洞21aにおける後端21rに接する部分は、断面が矩形の角穴部21a3が形成されている。さらに、内部空洞21aにおけるテーパ部21a1と角穴部21a3との間の部分は、断面が円形で角穴部21a3より内径の小さな丸穴部21a2となっている。そして、前記端子51は内部空洞21a内に収容され、角穴部21a3内には端子51の本体部53が収容され、丸穴部21a2内には端子51の接触腕部54が収容される。なお、前記テーパ部21a1は、端子51が存在せず、コネクタ1と嵌合する相手方コネクタ101が備える後述される相手方端子151の先端がスムーズに挿入されるようにする誘込み部として機能する。
【0032】
また、前記中間絶縁体21における後端21rより前方の所定の長さ範囲には凹部21bが形成されている。該凹部21bは、キャップ22を構成する絶縁性材料の一部が進入する部分であって、中間絶縁体21の外周面よりも凹入するように形成されているが、中間絶縁体21の全周に亘って存在するものではない。さらに、前記後端21rの一部には、後方及び半径方向外側に向けて突出する位置決め突起21cが形成されている。該位置決め突起21cは、中間絶縁体21の外周面よりも半径方向外側に向けて突出し、シェル61の切欠部65に進入して係合する。
【0033】
そして、前記シェル61の内部空洞61aには、後方から中間絶縁体21が圧入される。この際、シェル61の切欠部65に後方から位置決め突起21cが進入して係合し、これにより、前後方向及び円周方向に関して、シェル61に対する中間絶縁体21の位置決めが行われる。
【0034】
図7に示されるように、前記端子51は、断面矩形の角筒状の中心本体部としての本体部53と、該本体部53から前方に向けて延在する一対の接触腕部54と、前記本体部53から後方に向けて延在する中心テール部としてのテール部52とを有する。前記本体部53は、平板状の金属板を角筒状に折曲げて作製された部分であり、角筒の側壁の1つには、外方に突出する係合突起53aが形成されている。また、角筒の互いに対向する一対の側壁の前端には接触腕部54の基端が一体的に接続されている。前記接触腕部54は、カンチレバー状の板ばねとして機能する。そして、互いに対向する接触腕部54同士の間隔は、前方に進むにつれて狭くなるように形成され、先端、すなわち、自由端における接触腕部54同士の間隔は、望ましくは、相手方端子151の接触部154の外径よりも小さな寸法である。コネクタ1と相手方コネクタ101とが嵌合すると、相手方端子151が互いに対向する接触腕部54同士の間に進入して接触腕部54同士を押広げるので、カンチレバー状の板ばねとして機能する接触腕部54は、両側から相手方端子151を挟持し、これにより、接触腕部54と相手方端子151との接触が確実に維持され、確実に導通する。
【0035】
前記テール部52は、本体部53に一体的に接続された連結部52cを有する。該連結部52cは、本体部53の後端とテール部52の前端とを連結する部材であって、前後方向に直交する方向(図に示される例においては、Y軸方向)に延在し、角筒状の本体部53の後端を塞ぐ蓋部材として機能する。図に示される例において、前記連結部52cは、本体部53の角筒において係合突起53aが形成されている側壁の後端からほぼ直角に曲がって、当該側壁と対向する側壁の方向(Y軸負方向)に延在し、さらに、前記対向する側壁を通り越した後、ほぼ直角に曲がって、前後方向に延在するテール部52の前端に一体的に接続されている。このように、角筒状の本体部53の後端が連結部52cによって塞がれているので、キャップ22を構成する絶縁性材料や、シール部材31を構成するエラストマーが後端から角筒の内部に進入し、さらに、一対の接触腕部54同士の間に進入することが確実に防止される。
【0036】
また、前記テール部52は、コネクタ1の長手方向(X軸方向)、すなわち、前後方向から観て互いに直交する第1接続板52a及び第2接続板52bをその後端近傍に有する。第2接続板52bは、第1接続板52aに対して直角になるように折曲げて形成されている。そして、
図4(c)に示されるように、ケーブル91の第1電線93aの先端において内側被覆部材95が除去された状態で露出している第1芯線94aは、その円周面における前後方向から観て互いに直交する2箇所で、それぞれ、前記第1接続板52a及び第2接続板52bに当接又は近接し、はんだ付等の接続手段によって接続される。したがって、前後方向に関して、第1芯線94aがテール部52とオーバーラップする範囲が短くても、第1芯線94aの円周面の2箇所で第1接続板52a及び第2接続板52bに接続されるので、第1芯線94aとテール部52とは、相互に確実に接続され、確実に導通する。
【0037】
そして、前記中間絶縁体21の内部空洞21aには、後方から端子51が圧入される。すると、内部空洞21aにおける後端21rに接する部分に形成された角穴部21a3に角筒状の本体部53が進入し、角穴部21a3の前方に位置する丸穴部21a2に一対の接触腕部54が進入する。この際、丸穴部21a2の内径が本体部53の外径より小さく、かつ、連結部52cにおけるテール部52の前端近傍の部分が位置決め突起21cの後面に当接するので、本体部53は、丸穴部21a2に進入することがなく、前後方向に関して、中間絶縁体21に対する端子51の位置決めが行われる。また、角穴部21a3内に角筒状の本体部53が収容されているので、円周方向に関して、中間絶縁体21に対する端子51の位置決めが行われる。なお、本体部53の係合突起53aが角穴部21a3の内壁に食込むので、端子51が中間絶縁体21に対して前後方向に変位することがない。また、
図4(a)及び(b)に示されるように、接触腕部54は、丸穴部21a2内に止まり、テーパ部21a1内には進入しない。
【0038】
また、シェル61の内部空洞61aに圧入された中間絶縁体21の内部空洞21aに端子51が圧入された状態において、該端子51のテール部52は、
図4(a)に示されるように、シェル61のテール部62と対向して後方に延在する。具体的には、端子51のテール部52は、シェル61の円筒状の本体部63の筒壁とほぼ面一で、円周方向においてシェル61のテール部62の反対側に位置して、後方に延在する。つまり、端子51のテール部52及びシェル61のテール部62は、シェル61の本体部63の円筒壁面と、ほぼ同一の径を有する円筒壁面の一部を構成する。また、前後方向に関して、端子51のテール部52の後端の位置は、シェル61のテール部62の後端の位置と同様であり、端子51の第1接続板52a及び第2接続板52bの位置も、シェル61の第1接続板62a及び第2接続板62bの位置と同様である。そして、
図4(c)に示されるように、端子51の第1接続板52aとシェル61の第1接続板62aとは互いに対面し、端子51の第2接続板52bとシェル61の第2接続板62bとはほぼ面一となっている。
【0039】
このようにして、シェル61の内部空洞61aに中間絶縁体21が圧入され、該中間絶縁体21の内部空洞21aに端子51が圧入された後、前記中間絶縁体21及び端子51の後側には、オーバーモールド成形によって、
図9及び10に示されるようなキャップ22が一体的に成形される。なお、
図9及び10には、便宜上、キャップ22が独立して示されているが、該キャップ22は、中間絶縁体21、端子51及びシェル61をモールド用の金型内に載置した状態で該金型内に合成樹脂等の誘電性の材料を充填するオーバーモールド成形(インサート成形)を行うことによって、前記中間絶縁体21、端子51及びシェル61と一体化されて成形される部材であるから、実際には、
図9及び10に示されるような形状の単体として存在することはない。
【0040】
これにより、中間絶縁体21及び端子51を内部に収容するシェル61の本体部63の後端63r、並びに、前記本体部63の外周面における後端63rの近傍部分におけるシェル61と中間絶縁体21と端子51との間に存在する隙間は、キャップ22を構成する絶縁性材料が進入することによって、塞がれる。また、キャップ22を構成する絶縁性材料が、中間絶縁体21の凹部21bを通ってシェル61の本体部63に形成された開口63bに進入し、凹部21bと開口63bとに充填されるので、キャップ22を形成することによって、シェル61と中間絶縁体21とに確実に取付けられる。さらに、中間絶縁体21の内部空洞21aの角穴部21a3に収容された端子51の本体部53は、連結部52cによって塞がれた後端が、更に後方からキャップ22により塞がれるので、前記角穴部21a3から抜出ることがない。
【0041】
具体的には、キャップ22における円筒部22cは、シェル61の本体部63の後端63r側から本体部63の内部空洞61aに位置する中間絶縁体21の凹部21bに進入し、前記円筒部22cよりも半径方向外側に位置する外側部22hは、シェル61の切欠部65と中間絶縁体21の位置決め突起21cとの間に進入するとともに該位置決め突起21cを覆い、前記円筒部22cの外面から半径方向外側に突出する凸部22bはシェル61の開口63bに進入した状態となる。また、前記円筒部22c内に形成された前方空洞22d内には、中間絶縁体21の後端近傍が進入し、前記前方空洞22dよりも後方の後方空洞22e内には端子51の本体部53の後端近傍が進入し、外周の切欠部22g内にはシェル61のテール部62の前端近傍が進入し、外側部22h内の外側空洞22i内には位置決め突起21cが進入した状態となる。
【0042】
前記中間絶縁体21の凹部21bは、全周に亘っておらず、
図6に示されるように、一部に後側凸部21eが形成されている。そのため、キャップ22の円筒部22cには、
図10に示されるように、前記後側凸部21eに対応する凹部22mが形成され、
図9及び10に示されるように、中間絶縁体21の外周面とシェル61の本体部63の内周面との間に形成される小さな隙間に入込む薄壁部22kが形成される。なお、該薄壁部22kは、前記隙間のばらつきによって、形成されないこともあるが、薄壁部22kが形成されなくても、キャップ22による防水性に影響はない。
【0043】
このように、キャップ22をオーバーモールド成形によって成形することで、小型化のために各部材が小さくなっても、キャップ22、中間絶縁体21、シェル61及び端子51を確実に一体化することができる。なお、
図11には、さらに、前方スリーブ11をオーバーモールド成形によって成形した状態の一部組立体が示されている。また、オーバーモールド成形によってキャップ22が成形される際、図示されない成形用モールド(金型)の壁面に形成されたゲートは、
図11(b)に示されるように、キャップ22の後面の直前に位置し、前記ゲートを通ってキャップ22を構成する絶縁性材料が、矢印43で示されるように、成形用モールド内に充填され、それぞれの部位に進入して一体化する。前記ゲートは、1点のみであってもよいが、多点にすることもできる。例えば、キャップ22のZ軸方向両側に向い合せにゲート43及び43aを設けることができる。これにより、絶縁性材料を成形用モールド内に充填する際に、成形用モールド内の部品に作用する絶縁性材料の圧力が均一化しやすくなり、部品の片寄りに起因するショートモールドの発生が抑制される。なお、成形されたキャップ22の表面には、ゲート跡22jが残る。
【0044】
図8に示されるように、キャップ22の外周面は、シェル61の円筒形状の本体部63の外周面とほぼ面一となる円周面となる。また、キャップ22の後面には、後方に突出する傘状又はキノコ状のアンカー部22aが形成され、前記キャップ22の後面とアンカー部22aとの間は括れ部22fとなっている。なお、シェル61のテール部62は、少なくとも第1接続板62a及び第2接続板62bが前記アンカー部22aよりも後方に位置するように、キャップ22の後面と円周面との境界部分から後方に突出して露出した状態となっている。同様に、端子51のテール部52も、少なくとも第1接続板52a及び第2接続板52bが前記アンカー部22aよりも後方に位置するように、キャップ22の後面と円周面との境界部分から後方に突出して露出した状態となっている。
【0045】
そして、端子51のテール部52及びシェル61のテール部62に、ケーブル91の芯線94が接続される。ここで、端子51のテール部52の第1接続板52a及び第2接続板52b、並びに、シェル61のテール部62の第1接続板62a及び第2接続板62bは、前後方向に関して、キャップ22のアンカー部22aよりも後方において、同じ位置にあり、端子51の第1接続板52aとシェル61の第1接続板62aとは互いに対面し、端子51の第2接続板52bとシェル61の第2接続板62bとはほぼ面一となっている。
【0046】
したがって、内側被覆部材95が除去されて露出した状態で並列に並べられたケーブル91の第1芯線94a及び第2芯線94bを、並列に並べられた端子51の第2接続板52b及びシェル61の第2接続板62bの上に載置するだけで、
図8に示されるように、第1芯線94aが端子51のテール部52の第1接続板52a及び第2接続板52bに当接又は近接し、かつ、第2芯線94bがシェル61のテール部62の第1接続板62a及び第2接続板62bに当接又は近接した状態となる。そして、はんだ付等の接続を行うことによって、第1芯線94aの円周面の2箇所が第1接続板52a及び第2接続板52bに接続され、また、第2芯線94bの円周面の2箇所が第1接続板62a及び第2接続板62bに接続される。このように、比較的単純な作業動作でケーブル91の第1芯線94a及び第2芯線94bを端子51のテール部52及びシェル61のテール部62に接続することができるので、例えば、ロボット等を使用することもでき、コネクタ1の組立作業を簡素化及び合理化することができ、生産コストを低減することができる。また、第1芯線94aの円周面の2箇所が第1接続板52a及び第2接続板52bに接続され、第2芯線94bの円周面の2箇所が第1接続板62a及び第2接続板62bに接続されるので、前後方向に関して、第1芯線94a及び第2芯線94bがテール部52及びテール部62とオーバーラップする長さが短くても、第1芯線94aがテール部52に接続される長さの合計及び第2芯線94bがテール部62に接続される長さの合計が長くなるので、接続が確実になる。
【0047】
このようにして、端子51のテール部52及びシェル61のテール部62にケーブル91の芯線94が接続された後、端子51、シェル61及びキャップ22の後側には、オーバーモールド成形によって、シール部材31が一体的に取付けられる。前記前方スリーブ11、キャップ22及び後方スリーブ12の材料よりも柔軟性の高い材料であるシール部材31を構成するエラストマーは、シェル61と中間絶縁体21と端子51とキャップ22との間に存在する隙間に進入して該隙間を水密に封止する。また、前記エラストマーは、キャップ22の後方において露出している端子51のテール部52及びシェル61のテール部62並びにそれらに接続されているケーブル91の芯線94の周囲も隙間なく覆い、水密に封止する。望ましくは、前記シール部材31は、
図4に示されるように、前後方向に関して、前方が前方スリーブ11の外周面における後端及び該後端の近傍に重なるように形成され、後方が少なくともキャップ22のアンカー部22aまでの範囲における各部材の周囲を覆うように形成される。さらに、電線93の内側被覆部材95の外周面における前端に近接した部分までの範囲における各部材の周囲を隙間なく覆うように形成されるとよい。
【0048】
したがって、キャップ22のアンカー部22aはシール部材31の中に埋没した状態となり、括れ部22fの周囲にシール部材31が進入した状態となるので、キャップ22とシール部材31とは確実に結合される。また、シール部材31を構成するエラストマーは、柔軟性が高く、端子51のテール部52及びシェル61のテール部62並びにそれらに接続されているケーブル91の芯線94の周囲を隙間なく覆うので、端子51のテール部52、シェル61のテール部62及び芯線94の確実な防水を可能とする。
【0049】
なお、シール部材31をオーバーモールド成形によって一体成形した後、再加熱によってシール部材31とシェル61とをより密着させ、防水性をより高めることができる。
【0050】
そして、前方スリーブ11の後側において、シール部材31及びケーブル91の電線93の周囲を覆うように、オーバーモールド成形によって、後方スリーブ12が一体的に取付けられる。該後方スリーブ12は、前方スリーブ11とともに、コネクタ1の最外側層を形成する部材であり、望ましくは、
図4に示されるように、前後方向に関して、前方スリーブ11の外周面における後端に近接した部分から、ケーブル91の外側被覆部材92の外周面における前端に近接した部分までの範囲における各部材の周囲を隙間なく覆うように形成される。
【0051】
なお、後方スリーブ12は、外表面の全周に亘って存在する凹部12bを有していてもよい。該凹部12は、コネクタ1と相手方コネクタ101との嵌合又は嵌合解除の際、すなわち、コネクタ1の挿抜の際に、図示されない治具を引掛けるために使用される。そして、オーバーモールド成形によって後方スリーブ12が成形される際、図示されない成形用モールド(鋳型)の壁面に形成されたゲートは、
図4(a)に示されるように、前記凹部12bの直後に位置し、前記ゲートを通って後方スリーブ12を構成する絶縁性材料が、矢印41で示されるように、成形用モールド内に充填される。
【0052】
そして、前記ゲートは、後方スリーブ12のY軸方向両側に向い合せとなることが望ましい。これにより、矢印41で示されるように絶縁性材料を成形用モールド内に充填する際に、成形用モールド内の部品に作用する絶縁性材料の圧力が均一化しやすくなり、前記部品の片寄りに起因するショートモールドの発生が抑制される。また、前記ゲートの位置は、後方スリーブ12を構成する絶縁性材料とケーブル91の外側被覆部材92との溶着性を高めるためには、該外側被覆部材92に近いことが望ましいが、ゲートの直下に外側被覆部材92が存在することは、絶縁性材料の射出圧力によって外側被覆部材92が変形するので、望ましくない。さらに、前記ゲートの位置は、後方スリーブ12が凹部12bを有する場合、該凹部12bよりも外側被覆部材92寄りであることが望ましい。前記ゲートの位置が薄肉の凹部12bよりも前方スリーブ11寄りであると、絶縁性材料を成形用モールド内に充填するために必要な圧力が高くなり、ケーブル91の変形が発生する可能性がある。これらのことを考慮すると、前記ゲートは、
図4(a)に示されるような位置にあることが望ましい。なお、成形された後方スリーブ12の表面には、ゲート跡12cが残る。
【0053】
また、成形用モールド内に充填された絶縁性材料は、矢印42で示されるように、オーバーフローして成形用モールドから流出するようになっている。オーバーフローによる絶縁性材料の流出も、後方スリーブ12のY軸方向両側に向い合せの位置で行われることが望ましい。絶縁性材料がオーバーフローすることによって、後方スリーブ12を構成する絶縁性材料とケーブル91の外側被覆部材92との溶着性が高くなり、防水性が高くなる。絶縁性材料が流出する位置は、絶縁性材料と外側被覆部材92との溶着性を高めるために、後方スリーブ12の後端12rに近接していることが望ましい。なお、成形された後方スリーブ12の表面には、オーバーフロー跡12dが残る。
【0054】
次に、相手方コネクタ101の構成について説明する。
【0055】
図12は本実施の形態における相手方コネクタの斜視図、
図13は本実施の形態における相手方コネクタの第1の二面図、
図14は本実施の形態における相手方コネクタの第2の二面図、
図15は本実施の形態における相手方コネクタの縦断面図、
図16は本実施の形態における相手方端子の二面図、
図17は本実施の形態における相手方シェルの二面図である。なお、
図12において、(a)は後方から観た斜視図、(b)は前方から観た斜視図であり、
図13において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるI−I矢視断面図であり、
図14において、(a)は側面図、(b)は(a)におけるJ−J矢視断面図であり、
図15において、(a)は
図14におけるK−K矢視断面図、(b)は
図14におけるL−L矢視断面図、(c)及び(d)は(a)及び(b)の一部変形例を示す図であり、
図16において、(a)は前方から観た斜視図、(b)は後方から観た斜視図であり、
図17において、(a)は前方から観た斜視図、(b)は側面図である。
【0056】
前記相手方コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された相手方ハウジング111と、導電性の金属板に打抜き、プレス、折曲げ等の加工を施して成形された部材であって前記相手方ハウジング111内に収容された相手方外側導体部としての相手方シェル161と、導電性の金属板に打抜き、プレス、折曲げ等の加工を施して一体的に成形された部材であって前記相手方ハウジング111内に収容された相手方中心導体部としての相手方端子151と、合成樹脂等のエラストマーやゴム等によって一体的に形成された部材であって前記相手方シェル161及び相手方端子151の後側を水密にシールする相手方シール部材131と、合成樹脂等のエラストマーによって一体的に形成された部材であって相手方ハウジング111の外周面に取付けられるO−リングとしての第1外側シール部材141及び第2外側シール部材142とを備える。
【0057】
なお、前記相手方ハウジング111及び相手方シール部材131は、オーバーモールド成形によって他の部材と一体化される部材である。
【0058】
図17に示されるように、前記相手方シェル161は、前後方向(X軸方向)に延在する平板状の本体部163と、該本体部163の後端から後方(X軸正方向)へ延在する平板状のテール部162と、本体部163の前端に接続された円筒形状の接触部164とを有する。前記テール部162は、本体部163よりも幅広の平板状の部材であり、相手方コネクタ101が装着される図示されない機器が備えるコネクタ、回路基板、電線等の導電ラインに接続される。なお、前記テール部162の前端には、幅の狭い本体部163への移行がスムーズになるような傾斜部162aが、幅方向両側に形成されている。
【0059】
また、前記接触部164は、平板状の金属板を円筒状に丸めて作製された部分であり、前後方向(X軸方向)に延在する継目164cを含んでいる。そして、前記接触部164の内部は、円柱状の内部空洞164aとなっていて、該内部空洞164a内を相手方端子151の接触部154が通過する。また、前記接触部164の外周面には、円周方向の全周に亘って延在する凹部164bが形成されている。該凹部164bは、相手方コネクタ101と嵌合するコネクタ1が備えるシェル61のロック突起64と係合する。さらに、接触部164の後端近傍には、接触部164を構成する金属板を板厚方向に貫通する開口164dが形成されている。該開口164dには、相手方ハウジング111を構成する絶縁性材料の一部が進入する。
【0060】
前記本体部163の途中には、概略クランク状の側面形状を有する曲部163aが形成されている。
図17(b)に示されるように、本体部163における曲部163a以外の部分及びテール部162は、接触部164の円筒形の中心軸から上方向(図に示される例において、Z軸負方向)に偏倚して、前後方向に直線的に延在している。なお、相手方端子151の本体部153は、
図13(b)に示されるように、前記中心軸を挟んで本体部163及びテール部162と反対の方向(図に示される例において、Z軸正方向)に偏倚して、前後方向に直線的に延在している。そして、前記曲部163aは、本体部163における曲部163a以外の部分及びテール部162よりも大きく偏倚している。したがって、前記曲部163aと相手方端子151の本体部153との間隔が大きくなるので、オーバーモールド成形によって相手方ハウジング111が成形される際、図示されない成形用モールド内に充填される絶縁性材料が、前記曲部163aと相手方端子151の本体部153との間隔を通ってスムーズに流れ、成形用モールド内全体に均一に充填される。
【0061】
なお、図示されない成形用モールド(金型)の壁面に形成されたゲートは、
図13に示されるように、相手方シェル161の本体部163の曲部163aと相手方端子151の本体部153との間に位置し、前記ゲートを通って相手方ハウジング111を構成する絶縁性材料が、矢印44で示されるように、成形用モールド内に充填され、それぞれの部位に進入して一体化するようにする。相手方シェル161の本体部163の板厚は、相手方端子151の本体部153より薄く、板厚の薄い方に曲部163aを形成し、絶縁性材料の流れから逃がしている。これにより、オーバーモールド成形の際の絶縁性材料の流れによる相手方シェル161及び相手方端子151の変形を防止することができる。
【0062】
図16に示されるように、前記相手方端子151は、前後方向(X軸方向)に延在する平板状の本体部153と、該本体部153の後端から後方(X軸正方向)へ延在する平板状のテール部152と、本体部153の前端に接続された円柱形状の接触部154とを有する。前記テール部152は、本体部153よりも幅広の平板状の部材であり、相手方コネクタ101が装着される図示されない機器が備えるコネクタ、回路基板、電線等の導電ラインに接続される。そして、前記接触部154は、相手方コネクタ101と嵌合するコネクタ1が備える端子51の互いに対向する接触腕部54同士の間に進入し、両側から挟持される。これにより、相手方端子151の接触部154と端子51の接触腕部54との接触が確実に維持され、確実に導通する。なお、前記テール部152の前端には、幅の狭い本体部153への移行がスムーズになるような傾斜部152aが、幅方向両側に形成されている。
【0063】
また、前記本体部153における前端近傍には、概略ステップ状の側面形状を有する段部153aが形成されている。
図13(b)に示されるように、本体部153における段部153aより前方(X軸負方向)の部分及び接触部154は、相手方シェル161の接触部164の円筒形の中心軸とほぼ一致した状態で前後方向に直線的に延在しているが、本体部153における段部153aより後方(X軸正方向)の部分及びテール部152は、前記中心軸から下方向(図に示される例において、Z軸正方向)に偏倚して、前後方向に直線的に延在している。前述のように、前記本体部153及びテール部152は、前記中心軸を挟んで、相手方シェル161の本体部163及びテール部162と反対の方向に偏倚しているので、相手方シェル161の本体部163及びテール部162と接触することがない。
【0064】
そして、
図13(b)及び14(b)に示されるような位置関係となるように相手方シェル161と相手方端子151とが配置された状態で、相手方シェル161における本体部163とテール部162との接続部分及び相手方端子151における本体部153とテール部152との接続部分の周囲を取囲むように、オーバーモールド成形によって、相手方シール部材131が一体的に取付けられる。前記相手方ハウジング111の材料よりも柔軟性の高い材料である相手方シール部材131を構成するエラストマーは、相手方シェル161と相手方端子151との間及びその周囲を水密に封止する。
【0065】
続いて、相手方シェル161、相手方端子151及び相手方シール部材131の周囲を覆うように、オーバーモールド成形によって、相手方ハウジング111が一体的に取付けられる。該相手方ハウジング111は、
図13〜15に示されるように、相手方シール部材131の周囲を覆い、該相手方シール部材131を構成するエラストマーを内部に閉じ込めた状態とする。この際、相手方シェル161における本体部163とテール部162との接続部分に形成されている傾斜部162a、及び、相手方端子151における本体部153とテール部152との接続部分に形成されている傾斜部152aが前記エラストマーを支持するので、柔軟性の高い材料である前記エラストマーは、相手方ハウジング111をオーバーモールドするときの絶縁性材料の流れに押されたり、構成する絶縁性材料によって周囲から圧迫されたりしても、流れ出ることがなく、相手方シェル161における本体部163とテール部162との接続部分及び相手方端子151における本体部153とテール部152との接続部分の周囲を取囲む状態を維持することができる。
【0066】
なお、必ずしも、相手方端子151のテール部152及び相手方シェル161のテール部162に傾斜部152a及び162aを形成する必要はなく、
図15(c)及び(d)に示されるように、テール部152及び162の前方の辺りにかかるように相手方シール部材131が配置されているのであれば、傾斜部152a及び162aが省略されていても、同様の作用効果を得ることができる。すなわち、相手方シール部材131が相手方端子151における本体部153とテール部152との接続部分及び相手方シェル161における本体部163とテール部162との接続部分の周囲を取囲んでいればよい。
【0067】
また、前記相手方ハウジング111は、
図12〜15に示されるように、前後方向に関して、相手方端子151の本体部153の全体並びに相手方シェル161の接触部164及び本体部163の全体を覆い、相手方端子151の接触部154の先端から所定長さの範囲がハウジング前端111fより前方(X軸負方向)に露出して突出し、相手方シェル161のテール部162及び相手方端子151のテール部152の後端から所定長さの範囲がハウジング後端111rより後方(X軸正方向)に露出して突出するように形成される。なお、相手方シェル161のテール部162と相手方端子151のテール部152との間に介在する板状の介在部111bがハウジング後端111rより後方に形成されることが望ましい。さらに、前記相手方ハウジング111は、ハウジング前端111fに近接する部分において相手方シェル161の接触部164の円筒状の外周面の少なくとも一部が露出するように形成される。なお、前記接触部164に形成された開口164dには、相手方ハウジング111を構成する絶縁性材料の一部が進入するので、接触部164は相手方ハウジング111に確実に取付けられる。
【0068】
また、前後方向に関して、ハウジング前端111fとハウジング後端111rとの中間付近における相手方ハウジング111の外周面には、半径方向外側に突出するフランジ部111aが形成される。該フランジ部111aは、相手方コネクタ101が装着される図示されない機器が備える筐体の外壁に取付けられる部分であり、前記相手方コネクタ101におけるフランジ部111aより前方の部分が前記筐体の外部に露出し、前記相手方コネクタ101におけるフランジ部111aより後方の部分が前記筐体の内部に収容される。さらに、相手方ハウジング111の外周面において、前記フランジ部111aより前方の部分には全周に亘って第1凹溝部111cが形成され、前記フランジ部111aより後方の部分には全周に亘って第2凹溝部111dが形成される。そして、前記第1凹溝部111cには第1外側シール部材141が取付けられ、前記第2凹溝部111dには第2外側シール部材142が取付けられる。なお、第1外側シール部材141及び第2外側シール部材142は、その前後における相手方コネクタ101の外周面から半径方向外側に突出した状態となる。
【0069】
さらに、相手方ハウジング111の外周面において、前記第2凹溝部111dより後方の部分には全周に亘って第3凹溝部111eが形成される。該第3凹溝部111eは、相手方ハウジング111を筐体の外壁に形成された孔に圧入する際に、前記第3凹溝部111eより後方の相手方ハウジング111が孔と擦れて削り屑等が発生した場合に該削り屑等を収容するための溝である。該削り屑等が第3凹溝部111e内に収容されるので、第2外側シール部材142に削り屑等が付着することによる防水性の低下を防止することができる。なお、相手方ハウジング111がコネクタ1と嵌合していないときには、相手方シール部材131及び第2外側シール部材142によって、筐体内への水の進入が防止される。
【0070】
次に、前記構成のコネクタ1と相手方コネクタ101とが嵌合した状態について説明する。
【0071】
図18は本実施の形態におけるコネクタと相手方コネクタとが嵌合した状態を示す二面図である。なお、図において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるM−M矢視断面図である。
【0072】
本実施の形態において、コネクタ1と相手方コネクタ101とは、前方スリーブ11のハウジング前端11fと相手方ハウジング111のハウジング前端111fとが互いに対向して離れている状態から、相対的に接近させられ、相手方ハウジング111のハウジング前端111fが前方スリーブ11のハウジング前端11fに開口する内部空洞11a内に相対的に進入して、
図18に示されるように、互いに嵌合した状態となる。
【0073】
前記コネクタ1と相手方コネクタ101とが嵌合すると、相手方ハウジング111におけるフランジ部111aより前方の部分が前方スリーブ11の内部空洞11a内に進入して収容され、前記前方の部分に露出する相手方シェル161の接触部164がシェル61の内部空洞61a内に進入して収容され、相手方ハウジング111のフランジ部111aが前方スリーブ11のハウジング前端11fに近接又は当接し、相手方ハウジング111のハウジング前端111fが中間絶縁体21の前端21fに近接又は当接し、相手方端子151の接触部154が中間絶縁体21の前端21fに開口する内部空洞21a内に進入して該内部空洞21a内に収容されている端子51の一対の接触腕部54同士の間に進入し、両側から挟持される。
【0074】
また、相手方ハウジング111のハウジング前端111fの近傍と、中間絶縁体21の前端21fの近傍とは、ほぼ同径であり、コネクタ1と相手方コネクタ101との挿抜方向(X軸方向)に並んだ配置となる。同様に、相手方シェル161の接触部164も、中間絶縁体21及び端子51と、前記挿抜方向に並んだ配置となる。さらに、シェル61のスリット63aよりも後方(X軸負方向)にまで進入する相手方コネクタ101の部材は、相手方端子151の接触部154のみであって、相手方ハウジング111や相手方シェル161は、前記スリット63aよりも後方にまで進入しない。さらに、コネクタ1と相手方コネクタ101とが互いに嵌合した状態でこじられたり、ケーブル91が斜めに引張られたりしても、シェル61のスリット63aよりも前方(X軸正方向)の部分が柔軟に変位して対応するので、コネクタ1と相手方コネクタ101との嵌合が解除されはしても、コネクタ1又は相手方コネクタ101が破損することはない。したがって、コネクタ1及び相手方コネクタ101を細径化することができ、コネクタ1と相手方コネクタ101と挿抜性(装着感、挿入力、引張りの抜去力等)及び接触性を維持しつつ、破損しにくいコネクタアセンブリを得ることができる。
【0075】
さらに、前記中間絶縁体21の内部空洞21aにはテーパ部21a1が形成されているので、相手方端子151の先端は、内部空洞21a内にスムーズに進入することができる。また、互いに対向する一対の接触腕部54は、その自由端における接触腕部54同士の間隔が相手方端子151の外径よりも小さな寸法となっているので、相手方端子151が間に進入することによって押広げられると、ばねとして反発力を発生し、両側から相手方端子151を挟持する。これにより、接触腕部54と相手方端子151との接触が確実に維持され、確実に導通する。さらに、シェル61の本体部63に形成された複数のロック突起64が、相手方シェル161の接触部164に形成された凹部164bと係合する。これにより、シェル61の本体部63と相手方シェル161の接触部164との接触が確実に維持され、確実に導通する。さらに、相手方ハウジング111の第1凹溝部111cに取付けられた第1外側シール部材141は、前方スリーブ11の内部空洞11aの内周面に押付けられる。これにより、相手方ハウジング111の外周面と前方スリーブ11の内部空洞11aの内周面との間が水密に封止され、水分の進入が防止される。
【0076】
なお、前記第1外側シール部材141によって封止された箇所を水分が通過して内部に進入してしまった場合であっても、コネクタ1においては、シール部材31によって、端子51のテール部52及びシェル61のテール部62並びにそれらに接続されているケーブル91の芯線94の周囲が覆われているので、端子51のテール部52、シェル61のテール部62及び芯線94への水分の進入は確実に防止される。同様に、相手方コネクタ101においては、相手方シール部材131によって、相手方シェル161と相手方端子151との間及びその周囲が覆われているので、相手方端子151のテール部152及び相手方シェル161のテール部162への水分の進入は確実に防止される。
【0077】
このように、本実施の形態において、相手方コネクタ101は、絶縁性材料から成る相手方ハウジング111と、相手方ハウジング111に埋込まれる本体部163と、本体部163に接続され、外周面の少なくとも一部が相手方ハウジング111から露出する接触部164とを含む相手方外側導体部161と、相手方ハウジング111に埋込まれる本体部153と、本体部153に接続され、少なくとも先端が相手方ハウジング111のハウジング前端111fから前方に突出する相手方中心導体部151と、を備え、相手方外側導体部161の本体部163は、概略クランク状の側面形状を有する曲部163aを含んでいる。
【0078】
これにより、小型でありながら、高い防水性及び挿抜性を備える信頼性の高い相手方コネクタ101を得ることができる。
【0079】
また、絶縁性材料から成る相手方シール部材131を更に備え、相手方外側導体部161は、本体部163から後方に向けて延在するテール部162を含み、相手方中心導体部151は、本体部153から後方に向けて延在するテール部152を含み、相手方シール部材131は、相手方ハウジング111内において、相手方外側導体部161の本体部163とテール部162との接続部分及び相手方中心導体部151の本体部153とテール部152との接続部分の周囲を取囲むように一体的に成形される。相手方外側導体部161の接続部分としてテール部162の前端における幅方向両側には幅の狭い本体部163に移行する傾斜部162aが形成され、相手方中心導体部151の接続部分としてテール部152の前端における幅方向両側には幅の狭い本体部153に移行する傾斜部152aが形成され、傾斜部の周囲を囲むようにシール部材が一体的形成されている。相手方外側導体部161の本体部163及び相手方中心導体部151の本体部153は、板状に形成され、互いに平行に配置され、相手方外側導体部161の本体部163の厚さは相手方中心導体部151の本体部153より薄い。
【0080】
なお、本開示は一例にすぎず、本開示の趣旨を保った適宜変更であって当業者が用意に想到し得るものは本開示の範囲に含まれる。図面で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本開示の解釈を限定するものではない。
【0081】
また、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。