【解決手段】リードフレームの製造方法は、めっき膜形成工程と、レジストパターン形成工程と、エッチング工程と、剥離工程と、洗浄工程とを含む。めっき膜形成工程は、リードフレームの基材である金属基板にめっき膜を形成する。レジストパターン形成工程は、めっき膜上にレジスト膜を形成して金属基板上に所定のレジストパターンを形成する。エッチング工程は、レジストパターンが形成された金属基板をエッチングする。剥離工程は、エッチングされた金属基板からレジストパターンを剥離する。洗浄工程は、レジストパターンが剥離された金属基板を洗浄液中に浸漬させながら洗浄する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するリードフレームの製造方法、リードフレーム、樹脂付きリードフレームおよび半導体装置について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<製造方法の概要>
最初に、
図1を参照しながら、実施形態に係るリードフレーム1における製造方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係るリードフレーム1の製造方法の概要を説明するための図である。
【0011】
実施形態では、まず、リードフレーム1(
図2参照)の基材である金属基板20(
図4の(d)参照)のおもて面および裏面における所定の箇所に対して、めっき膜24(
図4の(d)参照)を形成する(ステップS1)。
【0012】
つづいて、めっき膜24が形成された金属基板20に対してレジスト膜21(
図4の(e)参照)を形成して露光および現像処理を行い、所定のレジストパターン21b(
図4の(f)参照)を形成する(ステップS2)。
【0013】
つづいて、レジストパターン21bが形成された金属基板20に対してエッチングを行い(ステップS3)、金属基板20を所定の形状に加工する。そして、所定の形状に加工された金属基板20から、レジストパターン21bを剥離する(ステップS4)。
【0014】
しかしながら、かかる剥離処理を行った金属基板20では、レジストパターン21bの残渣がめっき膜24の表面に残ってしまう。そして、かかるめっき膜24表面の残渣により、半導体装置3(
図7の(d)参照)を製造する際に、めっき膜24上に接合されるボンディングワイヤ29(
図7の(b)参照)の接合強度が低下する恐れがある。
【0015】
そこで、実施形態では、剥離処理を行った金属基板20に対して、所定の洗浄処理を行う(ステップS5)。これにより、めっき膜24の表面に残った残渣を除去することができる。
【0016】
したがって、実施形態によれば、めっき膜24上に接合されるボンディングワイヤ29の接合強度が低下することを抑制することができることから、半導体装置3の信頼性を良好に維持することができる。
【0017】
<リードフレームおよび樹脂付きリードフレームの概要>
次に、
図2および
図3を参照しながら、実施形態に係るリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2の概要について説明する。
図2は、実施形態に係るリードフレーム1の模式図および拡大図である。
【0018】
なお、実施形態ではLED素子28が搭載された半導体装置3の製造に用いられるリードフレーム1について示す。一方で、その他のタイプの半導体装置の製造に用いられるリードフレーム1に適用するようにしてもよい。
【0019】
リードフレーム1は、平面視で四角枠状の枠体10を有しており、かかる枠体10内に複数の単位リードフレーム12がマトリックス状に並べられた単位リードフレーム形成領域11が複数(実施形態では4つ)設けられる。そして、単位リードフレーム12の外周部には、隣接する単位リードフレーム12同士を接続する接続部13が設けられる。
【0020】
単位リードフレーム12は、接続部13と、複数のパッド14とを有する。パッド14は、LED素子28が搭載される第1パッド14aと、ボンディングワイヤ29が接合される第2パッド14bとを有する。
【0021】
そして、第1パッド14aは隣接する単位リードフレーム12の第1パッド14aと接続部13で接続され、第2パッド14bは隣接する単位リードフレーム12の第2パッド14bと接続部13で接続される。なお、
図2には示していないが、第1パッド14aは隣接する単位リードフレーム12の第2パッド14bと接続部13で接続されてもよい。
【0022】
実施形態に係るリードフレーム1は、銅や銅合金などで構成される金属基板20にエッチング加工が施されて、枠体10や単位リードフレーム形成領域11、単位リードフレーム12などが形成される。かかるエッチング加工には、両面をエッチング加工して開口部を形成するフルエッチング加工と、裏面側をエッチング加工して厚さを薄くするハーフエッチング加工とがある。
【0023】
なお、本願明細書の拡大平面図では、理解を容易にするため、ハーフエッチング加工が施されている部位には何らかのハッチングを施すこととし、同じ厚さでハーフエッチング加工されている部位には同じハッチングを施すこととする。
【0024】
図2に示すように、実施形態にかかるリードフレーム1では、接続部13およびパッド14の周縁部にハーフエッチング加工が施されている。
【0025】
図3は、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2の模式図および拡大図である。
図3に示す樹脂付きリードフレーム2は、たとえば、LED素子28(
図7の(b)参照)が搭載された半導体装置3(
図7の(d)参照)の製造に用いられるリードフレームである。
【0026】
なお、実施形態ではLED素子28が搭載された半導体装置3の製造に用いられる樹脂付きリードフレーム2について示す。一方で、その他のタイプの半導体装置の製造に用いられる樹脂付きリードフレーム2に適用するようにしてもよい。
【0027】
樹脂付きリードフレーム2は、単位リードフレーム12内に形成される空隙に樹脂部15が設けられる点が、上述のリードフレーム1と異なる。すなわち、樹脂付きリードフレーム2は、上述のリードフレーム1と、樹脂部15とを備える。
【0028】
樹脂部15は、単位リードフレーム12内(たとえば、複数のパッド14の間)に形成される空隙に設けられ、たとえば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、セラミック樹脂などの熱硬化性樹脂で構成される。なお、樹脂部15は、たとえば、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂で構成してもよい。樹脂部15は、接続部13やパッド14と一体で成型される。
【0029】
<製造方法の詳細>
つづいて、
図4〜
図7を参照しながら、実施形態に係るリードフレーム1、樹脂付きリードフレーム2および半導体装置3における製造方法の詳細について説明する。
図4は、実施形態に係るリードフレーム1の製造方法の処理の流れを説明するための図であり、各処理を断面視した図である。
【0030】
最初に、
図4の(a)に示すように、金属基板20のおもて面および裏面全面にフォトレジストの機能を有するレジスト膜21を形成した後、所定のパターン22a、23aが形成されたガラスマスク22、23を位置合わせした状態でそれぞれおもて面および裏面にかぶせる。そして、かかるガラスマスク22、23を介して金属基板20の両面を紫外光で露光する。
【0031】
そして、露光処理の後にガラスマスク22、23を外し、金属基板20を現像液に浸漬して現像すると、
図4の(b)に示すように、紫外光の当たった部分、すなわちめっき膜24を形成したい部分のレジスト膜21のみが除去され、所定のレジストパターン21aが形成される。
【0032】
次に、レジストパターン21aが形成された金属基板20をめっき槽に浸漬させることにより、
図4の(c)に示すように、金属基板20における所定の箇所にめっき膜24が形成される。かかるめっき膜24は、たとえば、パラジウムめっきや銀めっきなどである。
【0033】
また、めっき膜24は、少なくともNi/Pd/Au、Ni/Pd/Au/AgまたはAgを含む。なお、実施形態にかかるめっき膜形成処理は、電解めっき処理でもよいし、無電解めっき処理でもよい。
【0034】
次に、
図4の(d)に示すように、めっき膜24が形成された金属基板20からレジストパターン21aを剥離する。そして、
図4の(e)に示すように、めっき膜24が形成された金属基板20に対して、おもて面および裏面全体にふたたびレジスト膜21を形成した後、所定のパターン25a、26aが形成されたガラスマスク25、26を位置合わせした状態でそれぞれおもて面および裏面にかぶせる。そして、かかるガラスマスク25、26を介して金属基板20の両面を紫外光で露光する。
【0035】
なお、
図4の(e)に示すように、露光処理の際、めっき膜24の表面に形成されるレジスト膜21には紫外線が照射されないように、所定のパターン25a、26aが形成される。
【0036】
次に、露光処理の後にガラスマスク25、26を外し、金属基板20を現像液に浸漬して現像すると、
図4の(f)に示すように、紫外光の当たった部分、すなわち金属基板20をエッチングしたい部分のレジスト膜21のみが除去され、所定のレジストパターン21bが形成される。
【0037】
次に、レジストパターン21bが形成された金属基板20のおもて面および裏面に、
図4の(g)に示すように、噴射ノズル27によりエッチング液を吹き付けてエッチング処理を行う。かかるエッチング処理により、金属基板20においてめっき膜24が形成されていない部分が溶解除去されて、金属基板20が所定の形状に加工される。
【0038】
次に、
図4の(h)に示すように、エッチング処理された金属基板20からレジストパターン21bを剥離する。これにより、所定の形状に加工され(たとえば、第1パッド14aや第2パッド14bが形成され)、おもて面および裏面にめっき膜24が形成された金属基板20が得られる。
【0039】
次に、かかる金属基板20に対して脱脂処理を行う。
図5は、実施形態に係る脱脂処理を説明するための図である。かかる脱脂処理が行われる脱脂処理装置40は、たとえば、処理槽41と、平板状の陰極42と、直流電源43とを備える。そして、処理槽41の内部に脱脂液44が充填されるとともに、かかる脱脂液44に浸るように陰極42が設置される。
【0040】
脱脂液44は、たとえば、珪酸ナトリウムを主成分とする脱脂液であり、対象物の表面から有機物を除去することができる。
【0041】
また、脱脂処理が行われる金属基板20は、脱脂液44に浸り、陰極42に向かい合うように設置される。そして、直流電源43の正極側が金属基板20に接続されるとともに、直流電源43の負極側が陰極42に接続されることにより、金属基板20に電界が印加されて、脱脂処理が行われる。
【0042】
かかる脱脂処理によって、金属基板20およびめっき膜24の表面からレジストパターン21bの残渣といった有機物の付着物を除去することができる。実施形態では、かかる脱脂処理を行うことにより、めっき膜24に残るレジストパターン21bの残渣を良好に除去することができる。
【0043】
なお、実施形態では、電界を印加しながら脱脂処理を行った例について示したが、電界を印加せずに脱脂処理を行ってもよい。一方で、電界を印加しながら脱脂処理を行うことにより、めっき膜24に残るレジストパターン21bの残渣をさらに良好に除去することができる。
【0044】
かかる脱脂処理につづいて、実施形態では金属基板20に対して洗浄処理を行う。
図6は、実施形態に係る洗浄処理を説明するための図である。かかる洗浄処理が行われる洗浄処理装置50は、たとえば、処理槽51と、平板状の陰極52と、直流電源53とを備える。そして、処理槽51の内部に洗浄液54が充填されるとともに、かかる洗浄液54に浸るように陰極52が設置される。
【0045】
洗浄液54は、たとえば、グリコリル尿素を主成分とする洗浄液であり、対象物の表面を剥離して、かかる表面に付着する残渣などを除去することができる。
【0046】
また、洗浄処理が行われる金属基板20は、洗浄液54に浸り、陰極52に向かい合うように設置される。そして、直流電源53の正極側が金属基板20に接続されるとともに、直流電源53の負極側が陰極52に接続されることにより、金属基板20に電界が印加されて、洗浄処理が行われる。
【0047】
かかる洗浄処理によって、金属基板20およびめっき膜24の表面を剥離して、かかる表面に付着する残渣などを除去することができる。これにより、実施形態にかかるリードフレーム1が完成する。
【0048】
実施形態では、かかる洗浄処理を行うことにより、めっき膜24に付着するレジストパターン21bの残渣を除去することができる。したがって、実施形態によれば、めっき膜24上に接合されるボンディングワイヤ29の接合強度が低下することを抑制することができることから、リードフレーム1を用いた半導体装置3の信頼性を良好に維持することができる。
【0049】
なお、上述の実施形態では、金属基板20に電界を印加しながら洗浄処理を行った例について示したが、金属基板20に電界を印加せずに洗浄処理を行ってもよい。
【0050】
一方で、金属基板20に電界を印加しながら洗浄処理を行うことにより、めっき膜24に付着するレジストパターン21bの残渣をさらに良好に除去することができる。したがって、実施形態によれば、リードフレーム1を用いた半導体装置3の信頼性をさらに良好に維持することができる。
【0051】
また、実施形態の洗浄処理では、めっき膜24の表面からCuの残渣を除去することができる。これにより、めっき膜24表面に付着するCuの残渣によって、めっき膜24上に接合されるボンディングワイヤ29の接合強度が低下することを抑制することができる。
【0052】
したがって、実施形態によれば、リードフレーム1を用いた半導体装置3の信頼性をさらに良好に維持することができる。なお、めっき膜24の表面に存在するCuは、エッチングされたCuの残渣の他に、金属基板20からめっき膜24内を拡散してめっき膜24の表面に析出した成分も含まれるが、実施形態ではかかる析出したCuも除去することができる。
【0053】
さらに、実施形態の洗浄処理では、めっき膜24が形成されないパッド14の裏面におけるハーフエッチング加工された周縁部やパッド14の側面の表面から、Cu酸化膜を剥離して除去することができる。これにより、リードフレーム1に樹脂部15を一体成型して樹脂付きリードフレーム2を製造する際に、パッド14の裏面におけるハーフエッチング加工された周縁部やパッド14の側面と樹脂部15との密着性を向上させることができる。したがって、実施形態によれば、樹脂付きリードフレーム2の信頼性を向上させることができる。
【0054】
なお、実施形態では、脱脂処理の後に洗浄処理を行った例について示したが、脱脂処理と洗浄処理との間にさらに酸洗浄処理を行ってもよい。かかる酸洗浄処理により、金属基板20の表面に形成されるCu酸化膜をさらに効率よく除去することができることから、リードフレーム1に樹脂部15を一体成型する際に、リードフレーム1と樹脂部15との密着性をさらに向上させることができる。
【0055】
また、実施形態では、脱脂処理と洗浄処理とを連続して行ってもよいし、間隔をあけて行ってもよい。脱脂処理と洗浄処理とを連続して行うことにより、脱脂処理の後に金属基板20やめっき膜24の状態が経時変化することによる影響を低減させることができることから、洗浄処理を安定して実施することができる。
【0056】
次に、洗浄処理されて完成したリードフレーム1を所定の金型にセットして、熱硬化性樹脂でモールド処理することにより、
図7の(a)に示すように、第1パッド14aと第2パッド14bとの間に樹脂部15が設けられた樹脂付きリードフレーム2が完成する。
図7は、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2および半導体装置3の製造方法の処理の流れを説明するための図であり、各処理を断面視した図である。
【0057】
なお、熱硬化性樹脂で樹脂部15を形成する際、かかる樹脂部15には、パッド14の搭載面14c側に第1パッド14aおよび第2パッド14bを囲むように凸部15aが形成される。また、樹脂部15には、第1パッド14aおよび第2パッド14bの裏面の周縁部におけるハーフエッチング加工された部位および側面と直接密着して覆う抱え込み部15bが形成される。なお、所定の金型にリードフレーム1を組み付ける際、かかる金型とリードフレーム1との間には、モールド充填性および離型性の向上を目的として、フィルムが挿間される。
【0058】
次に、
図7の(b)に示すように、第1パッド14aの搭載面14c上にLED素子28を搭載する。そして、LED素子28の各電極と、第1パッド14aの搭載面14c側のめっき膜24、および第2パッド14bの搭載面14c側のめっき膜24との間を、それぞれボンディングワイヤ29により電気的に接続する。
【0059】
次に、ここまで作製した構造体を所定の金型にセットして、透明な熱硬化性樹脂でモールド処理することにより、
図7の(c)に示すように、樹脂付きリードフレーム2の搭載面14c側に透明樹脂部30が形成される。かかる透明樹脂部30は、LED素子28およびボンディングワイヤ29を封止するとともに、LED素子28から出射される光を透過する。
【0060】
次に、隣接する単位リードフレーム12同士の間に仮想的に設けられるダイシングラインDLに沿って回転刃物でダイシングする。これにより、
図7の(d)に示すように、個別の半導体装置3毎に分割されて、半導体装置3が完成する。
【0061】
実施形態では、めっき膜24を形成した後に金属基板20をエッチングして所定の形状に加工することから、パッド14の裏面におけるハーフエッチング加工された周縁部やパッド14の側面から金属基板20の母材である銅や銅合金を露出させることができる。
【0062】
もし仮に、金属基板20を所定の形状に加工してからめっき膜24を形成した場合、パッド14の裏面におけるハーフエッチング加工された周縁部やパッド14の側面にもめっき膜24が形成される。
【0063】
そして、パッド14の裏面におけるハーフエッチング加工された周縁部やパッド14の側面にめっき膜24が形成された金属基板20に対して樹脂部15を一体成型しようとした場合、樹脂部15を構成する熱硬化性樹脂とめっき膜24との密着性が悪いことから、金属基板20と樹脂部15との間の密着性が低下する。したがって、樹脂付きリードフレーム2の信頼性が低下する恐れがある。
【0064】
一方で、実施形態では、パッド14の裏面におけるハーフエッチング加工された周縁部やパッド14の側面から金属基板20の母材である銅や銅合金を露出させることができることから、金属基板20と樹脂部15とを直接密着させることができ、金属基板20と樹脂部15との間の密着性を向上させることができる。したがって、実施形態によれば、樹脂付きリードフレーム2の信頼性を良好に維持することができる。
【0065】
また、実施形態では、
図7の(d)などに示すように、第1パッド14aの搭載面14c側の全面、および第2パッド14bのボンディングワイヤ29が接合される面側の全面にめっき膜24が形成される。これにより、LED素子28から出射される光をかかる両方のめっき膜24で反射させることができることから、半導体装置3の出射効率を向上させることができる。
【0066】
また、半導体装置3では、凸部15aがLED素子28を取り囲むように形成されていることから、凸部15aでLED素子28から出射される光を上方に反射させることができる。したがって、実施形態によれば、発光効率の高い半導体装置3を実現することができる。
【0067】
<製造方法の処理手順>
つづいて、
図8を参照しながら、実施形態に係るリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2の製造方法の処理手順について説明する。
図8は、実施形態に係るリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
まず、金属基板20に対して、所定の位置にめっき膜24を形成するためのレジストパターン21aを形成する第1レジストパターン形成処理が行われる(ステップS11)。かかる第1レジストパターン形成処理は、たとえば、金属基板20のおもて面および裏面にレジスト膜21を形成し、ガラスマスク22、23を用いた露光処理と、露光されたレジスト膜21を現像処理することにより行われる。
【0069】
次に、レジストパターン21aが形成された金属基板20に対して、めっき膜24を形成するめっき膜形成処理が行われる(ステップS12)。かかるめっき膜形成処理は、たとえば、レジストパターン21aが形成された金属基板20をめっき槽に浸漬させることにより行われる。
【0070】
次に、めっき膜24が形成された金属基板20に対して、レジストパターン21aを剥離する第1レジストパターン剥離処理が行われる(ステップS13)。そして、レジストパターン21aが剥離された金属基板20に対して、所定の形状に金属基板20を加工するためのレジストパターン21bを形成する第2レジストパターン形成処理が行われる(ステップS14)。
【0071】
かかる第2レジストパターン形成処理は、たとえば、金属基板20のおもて面および裏面にレジスト膜21を形成し、ガラスマスク25、26を用いた露光処理と、露光されたレジスト膜21を現像処理することにより行われる。
【0072】
次に、レジストパターン21bが形成された金属基板20に対してエッチング処理を行い(ステップS15)、金属基板20を所定の形状に加工する。かかるエッチング処理は、たとえば、噴射ノズル27を用いてエッチング液を金属基板20に吹き付けることにより行われる。そして、所定の形状に加工された金属基板20に対して、レジストパターン21bを剥離する第2レジストパターン剥離処理が行われる(ステップS16)。
【0073】
次に、レジストパターン21bが剥離された金属基板20に対して、脱脂処理が行われる(ステップS17)。かかる脱脂処理は、たとえば、金属基板20を脱脂液44に浸漬させながら、陰極42および直流電源43を用いて金属基板20に電界を印加することにより行われる。
【0074】
次に、脱脂処理された金属基板20に対して、洗浄処理が行われる(ステップS18)。かかる洗浄処理は、たとえば、金属基板20を洗浄液54に浸漬させながら、陰極52および直流電源53を用いて金属基板20に電界を印加することにより行われる。これにより、実施形態にかかるリードフレーム1が完成する。
【0075】
最後に、完成したリードフレーム1を所定の金型にセットして、熱硬化性樹脂でモールド処理を行う(ステップS19)。これにより、第1パッド14aと第2パッド14bとの間に樹脂部15が形成され、樹脂付きリードフレーム2が完成する。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上述の実施形態では、樹脂付きリードフレーム2に適用されるリードフレーム1について示したが、実施形態にかかるリードフレーム1は樹脂付きリードフレーム2に適用される場合に限られない。
【0077】
また、上述の実施形態において、金属基板20やめっき膜24の表面を所定の粗化処理により粗化してもよい。これにより、金属基板20と樹脂部15との密着性や、めっき膜24と透明樹脂部30との密着性をさらに向上させることができる。
【0078】
さらに、上述の実施形態では、金属基板20を銅や銅合金で構成した例について示したが、金属基板20の材質は銅や銅合金に限られず、鉄ニッケル合金など他の材料を用いてもよい。
【0079】
以上のように、実施形態に係るリードフレーム1の製造方法は、めっき膜形成工程(ステップS1、S12)と、レジストパターン形成工程(ステップS2、S14)と、エッチング工程(ステップS3、S15)と、剥離工程(ステップS4、S16)と、洗浄工程(ステップS5、S18)とを含む。めっき膜形成工程(ステップS1、S12)は、リードフレーム1の基材である金属基板20にめっき膜24を形成する。レジストパターン形成工程(ステップS2、S14)は、めっき膜24上にレジスト膜21を形成して、金属基板20上に所定のレジストパターン21bを形成する。エッチング工程(ステップS3、S15)は、レジストパターン21bが形成された金属基板20をエッチングする。剥離工程(ステップS4、S16)は、エッチングされた金属基板20からレジストパターン21bを剥離する。洗浄工程(ステップS5、S18)は、レジストパターン21bが剥離された金属基板20を洗浄液54中に浸漬させながら洗浄する。これにより、半導体装置3の信頼性を良好に維持することができる。
【0080】
また、実施形態に係るリードフレーム1の製造方法において、洗浄工程(ステップS5、S18)は、洗浄液54中に浸漬させながら金属基板20に電界を印加して行われる。これにより、半導体装置3の信頼性をさらに良好に維持することができる。
【0081】
また、実施形態に係るリードフレーム1の製造方法は、剥離工程(ステップS4、S16)と洗浄工程(ステップS5、S18)との間に、金属基板20を脱脂する脱脂工程(ステップS17)をさらに含む。これにより、めっき膜24に残るレジストパターン21bの残渣を良好に除去することができる。
【0082】
また、実施形態に係るリードフレーム1の製造方法において、脱脂工程(ステップS17)は、脱脂液44中に浸漬させながら金属基板20に電界を印加して行われる。これにより、めっき膜24に残るレジストパターン21bの残渣をさらに良好に除去することができる。
【0083】
また、実施形態に係るリードフレーム1は、半導体素子(LED素子28)を搭載可能な搭載面14cを有するパッド(第1パッド14a)を備え、パッド(第1パッド14a)は、裏面における周縁部にハーフエッチング加工された部位を有し、パッド(第1パッド14a)の搭載面14c全面および裏面の周縁部以外の部位にはめっき膜24が形成され、パッド(第1パッド14a)の裏面の周縁部におけるハーフエッチング加工された部位および側面にはめっき膜24が形成されない。これにより、信頼性が良好に維持された樹脂付きリードフレーム2を製造することができる。
【0084】
また、実施形態に係るリードフレーム1は、ボンディングワイヤ29を接合可能である別のパッド(第2パッド14b)をさらに備え、かかる別のパッド(第2パッド14b)は、裏面における周縁部にハーフエッチング加工された部位を有し、別のパッド(第2パッド14b)のボンディングワイヤ29が接合される面全面および裏面の周縁部以外の部位にはめっき膜24が形成され、別のパッド(第2パッド14b)の裏面の周縁部におけるハーフエッチング加工された部位および側面にはめっき膜24が形成されない。これにより、信頼性が良好に維持された樹脂付きリードフレーム2を製造することができる。
【0085】
また、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2は、複数のパッド14を備える上述のリードフレーム1と、複数のパッド14の間に形成される空隙に設けられ、複数のパッド14を環状に囲む凸部15aが設けられる樹脂部15と、を備え、樹脂部15が、パッド14の裏面の周縁部におけるハーフエッチング加工された部位および側面と直接密着して覆う抱え込み部15bを有する。これにより、樹脂付きリードフレーム2の信頼性を良好に維持することができる。
【0086】
また、実施形態に係る半導体装置3は、上述の樹脂付きリードフレーム2と、樹脂付きリードフレーム2のパッド14の搭載面14cに搭載されるLED素子28と、樹脂付きリードフレーム2の搭載面14c側の面に形成され、LED素子28を覆う透明樹脂部30と、を備える。これにより、半導体装置3の信頼性を良好に維持することができる。
【0087】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。