【解決手段】 本発明は、終端抵抗に所定の電流を流すとともに終端抵抗に流れる電流の方向を制御し、ドライバ選択信号に従って個々にON/OFF可能に構成されている複数のドライバ回路と、複数のドライバ回路の各々に接続され、制御選択信号に従って、第1の制御信号又は第1の制御信号を遅延させた第2の制御信号のいずれかを選択して複数のドライバ回路の各々へ出力する選択回路と、入力信号に基づいて第1の制御信号及び第2の制御信号を生成して選択回路へ出力し、終端抵抗の電圧波形が所望の電圧波形になるようにドライバ選択信号及び制御選択信号を出力する制御回路と、前記複数のドライバ回路の各々の出力電流に対して定電流制御を行う定電流制御回路とを備える送信回路である。
終端抵抗に並列に接続され、前記終端抵抗に所定の電流を流すとともに前記終端抵抗に流れる電流の方向を制御し、ドライバ選択信号に従って個々にON/OFF可能に構成されている複数のドライバ回路と、
前記複数のドライバ回路の各々に接続され、制御選択信号に従って、第1の制御信号又は前記第1の制御信号を遅延させた第2の制御信号のいずれかを選択して前記複数のドライバ回路の各々へ出力する選択回路と、
入力信号に基づいて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成して前記選択回路へ出力し、前記終端抵抗の電圧波形が所望の電圧波形になるように前記ドライバ選択信号及び前記制御選択信号を出力する制御回路と、
前記複数のドライバ回路の各々の出力電流に対して定電流制御を行う定電流制御回路と、
を備える送信回路。
請求項1に記載の送信回路であって、前記制御回路は、前記複数のドライバ回路のうち、一又は二以上のドライバ回路を第1のドライバ回路として選択してONするとともに、前記第1のドライバ回路以外の一又は二以上のドライバ回路を第2のドライバ回路として選択してONし、前記第1のドライバ回路及び前記第2のドライバ回路以外のドライバ回路をOFFする前記ドライバ選択信号を出力し、
前記第1のドライバ回路へ前記第1の制御信号が出力され、前記第2のドライバ回路へ前記第2の制御信号が出力される前記制御選択信号を出力するように構成されている、送信回路。
請求項1〜3のいずれか1項に記載の送信回路であって、前記制御回路は、前記第1の制御信号を前記第2の制御信号と異なる遅延量で遅延させた第3の制御信号を出力し、
前記選択回路は、前記第1の制御信号、前記第2の制御信号又は前記第3の制御信号のいずれかを制御選択信号に従って選択して前記複数のドライバ回路へ出力する、送信回路。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の送信回路であって、前記複数のドライバ回路は、出力電流が第1の電流値であるドライバ回路と、出力電流が第2の電流値であるドライバ回路とを含む、送信回路。
終端抵抗に並列に接続され、前記終端抵抗に所定の電流を流すとともに前記終端抵抗に流れる電流の方向を制御する複数のドライバ回路を備える送信回路の制御方法であって、
入力信号に基づいて第1の制御信号及び前記第1の制御信号を遅延させた第2の制御信号を生成することと、
前記終端抵抗の電圧波形が所望の電圧波形になるように、前記複数のドライバ回路を個々にON/OFFすることと、
前記複数のドライバ回路の各々に対し、前記第1の制御信号又は前記第2の制御信号のいずれかを選択して出力することと、
前記複数のドライバ回路の各々の出力電流に対して定電流制御を行うことと、
を含む、送信回路の制御方法。
【背景技術】
【0002】
高速シリアル伝送に用いられる送受信技術において、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)やmini−LVDSといった規格が採用されている。LVDSは、米国規格協会(ANSI:American National Standards Institute)によって1994年に標準化された短距離用のデジタル有線伝送技術である。LVDSに従う送受信回路は、1対の伝送路を使用する差動信号システムであり、具体的には、送信装置が2つの異なる電位を有する差動信号を送信し、受信装置は、その2つの信号の電位差を比較することによって信号の論理状態を判断する。これにより、LVDSに従う送受信回路は、差動信号を小振幅・低消費電力で高速に伝送することができる。また、mini−LVDSは、LVDSから派生した規格であり、LVDSよりも電圧振幅を小さくし、消費電力を抑えている。
【0003】
LVDSに従う送受信に用いられる技術として、伝送路の高速化と長距離化のために、伝送路の減衰特性を補償するプリエンファシス又はディエンファシスと呼ばれる信号調整技術が知られている。プリエンファシス及びディエンファシスは、いずれも、ローパス・フィルタとして働く伝送路で減衰する高周波成分を補うためのものであり、送信側で行われる信号調整技術である。プリエンファシス及びディエンファシスは、いずれも相対的に信号の高周波成分の電圧が低周波成分の電圧よりも大きくなるように出力信号の電圧振幅を調整する点で共通するが、その手法は異なる。具体的には、プリエンファシスは、信号の高周波成分の電圧を増幅させて送信し、他方、ディエンファシスは、低周波成分の電圧を減衰させて送信する。
【0004】
下記の特許文献1〜5は、プリエンファシスに関する技術を開示する。具体的には、特許文献1は、差動出力ドライバの出力ノードに接続される2つのプルダウン装置を選択的に切り換えることでプリエンファシスを行う信号ドライバを開示する。
【0005】
また、特許文献2は、プリドライバ段の差動回路で電流減算を行い、出力ドライバ段の差動回路で電流加算を行ってプリエンファシスを行う出力ドライバ回路を開示する。
【0006】
さらに、特許文献3は、平坦な周波数特性を持つ第1のアンプブロックと特定の周波数ピークを持つ第2のアンプブロックとを備え、第1のアンプブロックの複数の差動回路の動作数及び第2のアンプブロックの複数の差動回路の動作数を調整することによって出力信号のゲイン及びエンファシスを調整可能なプリエンファシス回路を開示する。
【0007】
また、特許文献4は、差動回路からなるメインドライバ回路及びプリエンファシスドライバ回路を備え、メイン信号及びメイン信号と同相で遅延した信号であるプリエンファシス信号とで駆動され、メインドライバ回路の出力電流に対し、プリエンファシスドライバ回路の出力電流を加算又は減算してプリエンファシスを行うプリエンファシス回路を開示するが公知である(例えば、特許文献4を参照)。
【0008】
また、特許文献5は、抵抗を介して電源又はグランドを出力端子に選択的に接続又は非接続とする複数のスイッチを備え、その複数のスイッチの制御によって出力端子の電圧を調整してプリエンファシスを行う出力回路を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
プリエンファシスは、信号の高周波成分の電圧を増幅させて送信することから、出力信号の電圧振幅が大きくなり、その分だけ信号遷移に時間を要するため、高速伝送という面ではディエンファシスの方が有利である。さらに、単に出力信号の電圧振幅を増減調整してエンファシスを行う回路は、その電圧の増減に応じて回路の消費電力が変動し、それに起因する電源電圧のリップル等の問題が生ずる虞がある。
【0011】
また、様々な受信機器の特性及び使用形態等に応じて、より広範かつ柔軟なエンファシスの制御が求められる点は、プリエンファシスでもディエンファシスでも同様である。しかしながら、プリエンファシスの場合には、信号の高周波成分の電圧を増幅するため、広範かつ柔軟なエンファシスの調整が比較的容易であるが、ディエンファシスの場合には、信号の低周波成分の電圧を減衰させるため、回路構成によっては、広範かつ柔軟なエンファシスの調整が難しいという側面がある。
【0012】
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、出力信号の電圧振幅のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能であり、かつ消費電力の変動が極めて少ない高速な送信回路を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、出力信号の電圧振幅のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能であり、かつ消費電力の変動が極めて少ない高速な送信回路の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0015】
すなわち、ある観点に従う本発明は、終端抵抗に並列に接続され、前記終端抵抗に所定の電流を流すとともに前記終端抵抗に流れる電流の方向を制御し、ドライバ選択信号に従って個々にON/OFF可能に構成されている複数のドライバ回路と、前記複数のドライバ回路の各々に接続され、制御選択信号に従って、第1の制御信号又は前記第1の制御信号を遅延させた第2の制御信号のいずれかを選択して前記複数のドライバ回路の各々へ出力する選択回路と、入力信号に基づいて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成して前記選択回路へ出力し、前記終端抵抗の電圧波形が所望の電圧波形になるように前記ドライバ選択信号及び前記制御選択信号を出力する制御回路と、前記複数のドライバ回路の各々の出力電流に対して定電流制御を行う定電流制御回路と、を備える送信回路である。
【0016】
第2の制御信号は、第1の制御信号を遅延させた信号である。第1の制御信号と第2の制御信号とが互いに異なる論理となるタイミングは、第1の制御信号に対する第2の制御信号の遅延量によって定まる周波数を境界として、第1の制御信号及び第2の制御信号の周波数が低くなるに従って支配的になっていく。したがって、第1の制御信号と第2の制御信号とが同じ論理となるタイミングは、出力信号の高周波領域に対応し、第1の制御信号と第2の制御信号とが異なる論理となるタイミングは、出力信号の低周波領域に対応する。
【0017】
第1の制御信号と第2の制御信号とが同じ論理となるタイミングでは、第1の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流の方向と第2の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流の方向は同じ方向となる。したがって、このタイミングでは、第1の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流に第2の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流が加算された電流が終端抵抗に流れ、終端抵抗の電圧は、相対的に高い電圧となる。
【0018】
他方、第1の制御信号と第2の制御信号とが異なる論理となるタイミングでは、第1の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流の方向と第2の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流の方向は相反する方向となる。したがって、このタイミングでは、第1の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流から第2の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流が減算された電流が終端抵抗に流れ、終端抵抗の電圧は、相対的に低い電圧となる。
【0019】
すなわち、出力信号の低周波領域に対応する第1の制御信号と第2の制御信号とが異なる論理となるタイミングでは、第1の制御信号と第2の制御信号とが同じ論理となるタイミングよりも終端抵抗の電圧が低下する。それによって、出力信号の低周波領域で出力信号の電圧振幅が減衰するディエンファシス効果が得られることになる。
【0020】
また、出力信号の電圧振幅の大きさは、第1の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流に対して第2の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流が加算されるか減算されるかによって変化する。そのため、第1の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流、及び第2の制御信号に従って動作するドライバ回路の出力電流は、第1の制御信号と第2の制御信号とが同じ論理となるタイミングであっても異なる論理となるタイミングであっても変わらない。したがって、動作しているドライバ回路の数が変更されない限り、送信回路の消費電力は常に一定になるので、消費電力の変動が極めて少ないディエンファシス制御が可能になる。
【0021】
また、第1の制御信号と第2の制御信号とが同じ論理となるタイミングにおける出力信号の電圧振幅の大きさは、第1の制御信号で動作するドライバ回路の数を増減することによって段階的に調整することができる。同様に、第1の制御信号と第2の制御信号とが異なる論理となるタイミングにおける出力信号の電圧振幅の大きさ、すなわちディエンファシス効果の大きさは、第2の制御信号で動作するドライバ回路の数を増減することによって段階的に調整することができる。したがって、出力信号の電圧振幅のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0022】
これにより、出力信号の電圧振幅のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能であり、かつ消費電力の変動が極めて少ない高速な送信回路を提供することができる。
【0023】
前記制御回路は、前記複数のドライバ回路のうち、一又は二以上のドライバ回路を第1のドライバ回路として選択してONするとともに、前記第1のドライバ回路以外の一又は二以上のドライバ回路を第2のドライバ回路として選択してONし、前記第1のドライバ回路及び前記第2のドライバ回路以外のドライバ回路をOFFする前記ドライバ選択信号を出力し、前記第1のドライバ回路へ前記第1の制御信号が出力され、前記第2のドライバ回路へ前記第2の制御信号が出力される前記制御選択信号を出力するように構成されてもよい。
【0024】
前記制御回路は、前記第1の制御信号に対する前記第2の制御信号の遅延量を調整可能に構成されてもよい。
【0025】
それによって、出力信号の電圧振幅のエンファシスのより広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0026】
前記制御回路は、前記第1の制御信号を前記第2の制御信号と異なる遅延量で遅延させた第3の制御信号を出力するように構成される。また、前記選択回路は、前記第1の制御信号、前記第2の制御信号又は前記第3の制御信号のいずれかを制御選択信号に従って選択して前記複数のドライバ回路へ出力するように構成されてもよい。
【0027】
それによって、出力信号の電圧振幅のエンファシスのより広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0028】
前記複数のドライバ回路は、全てのドライバ回路の出力電流の電流値が実質的に同一であってもよい。
【0029】
それによって、出力信号の電圧振幅の大きさ及びエンファシス効果の大きさを均一の変化幅で段階的に調整することができる。
【0030】
前記複数のドライバ回路は、出力電流が第1の電流値であるドライバ回路と、出力電流が第2の電流値であるドライバ回路とを含んでもよい。
【0031】
それによって、出力信号の電圧振幅のエンファシスのより広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0032】
前記複数のドライバ回路の各々は、コンプリメンタリ出力の定電流差動回路であってもよい。前記第1の制御信号は、前記入力信号及び前記入力信号を論理反転させた信号を含み、前記第2の制御信号は、前記入力信号を遅延させた信号及び前記入力信号を論理反転かつ遅延させた信号を含んでもよい。
【0033】
それによって、より高速な送信回路を提供することができる。
【0034】
また、前記送信回路は、前記複数のドライバ回路の各々の出力電流の定電流制御を行う定電流制御回路を備えることで、複数のドライバ回路の各々の出力電流の変動を抑制することができるので、出力電流の変動に起因する出力信号の電圧振幅の変動を低減することができる。
【0035】
前記定電流制御回路は、前記複数のドライバ回路の各々の出力電流を調整可能であってもよい。前記制御回路は、前記終端抵抗の抵抗値に応じて前記複数のドライバ回路の各々の出力電流を調整してもよい。
【0036】
それによって、終端抵抗の抵抗値に応じて複数のドライバ回路の各々の出力電流を調整することができるので、出力信号の電圧振幅を高精度に制御することができる。
【0037】
また、別の観点に従う本発明は、前記送信回路と、前記送信回路から所定の差動信号を受信する受信回路と、を含む送受信システムである。
【0038】
さらに、別の観点に従う本発明は、終端抵抗に並列に接続され、前記終端抵抗に所定の電流を流すとともに前記終端抵抗に流れる電流の方向を制御する複数のドライバ回路を備える送信回路の制御方法である。前記送信回路の制御方法は、入力信号に基づいて第1の制御信号及び前記第1の制御信号を論理反転かつ遅延させた第2の制御信号を生成することと、前記終端抵抗の電圧波形が所望の電圧波形になるように、前記複数のドライバ回路を個々にON/OFFすることと、前記複数のドライバ回路の各々に対し、前記第1の制御信号又は前記第2の制御信号のいずれかを選択して出力することと、前記複数のドライバ回路の各々の出力電流に対して定電流制御を行うこととを含む。
【0039】
本発明によれば、出力信号の電圧振幅のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能であり、かつ消費電力の変動が極めて少ない高速な送信回路の制御方法を提供することができる。
【0040】
前記複数のドライバ回路のうち、一又は二以上のドライバ回路を第1のドライバ回路として選択してONするとともに、前記第1のドライバ回路以外の一又は二以上のドライバ回路を第2のドライバ回路として選択してONし、前記第1のドライバ回路及び前記第2のドライバ回路以外のドライバ回路をOFFし、前記第1のドライバ回路へ前記第1の制御信号を出力し、前記第2のドライバ回路へ前記第2の制御信号を出力してもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、出力信号の電圧振幅のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能であり、かつ消費電力の変動が極めて少ない高速な送信回路を提供することができる。
【0042】
また、本発明によれば、出力信号の電圧振幅のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能であり、かつ消費電力の変動が極めて少ない高速な送信回路の制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0045】
本発明に係る送受信回路の構成について、
図1を参照しながら説明する。
【0046】
図1は、本発明に係る送受信システムの構成を図示したブロック図である。本発明に係る送受信システムの一実施例は、LVDS規格に従う差動信号を送受信する送受信システムであり、送信機100及び受信機200を備える。
【0047】
送信機100は、ドライバユニット10及び送信側終端抵抗RT1を備える。送信側終端抵抗RT1は、例えば100Ωの抵抗である。送信側終端抵抗RT1は、ラダー抵抗等を含む可変抵抗器であってもよい。送信側終端抵抗RT1は、一端が出力端子OUTPに接続され、他端が出力端子OUTNに接続されている。ドライバユニット10の一対の出力信号線は、送信側終端抵抗RT1の両端にそれぞれ接続されている。
【0048】
受信機200は、入力端子IN1及びIN2並びに入力端子IN1と入力端子IN2との間に接続されている受信側終端抵抗RT2を備える。受信側終端抵抗RT2は、例えば100Ωの抵抗である。受信側終端抵抗RT2は、可変抵抗器であってもよい。入力端子IN1及びIN2は、ケーブル等を通じて送信機100の出力端子OUTP及びOUTNにそれぞれ接続される。受信側終端抵抗RT2は、ドライバユニット10の送信側終端抵抗RT1と並列合成抵抗となる終端抵抗RTを構成する。受信機200は、既知のものを用いることができ、その具体的な回路構成についての図示及び説明は省略する。
【0049】
図2は、本発明に係る送信機100の概略構成を図示したブロック図である。
図3は、本発明に係る送信機100の具体的な回路構成を図示した回路図である。
【0050】
本発明に係る「送信回路」としての送信機100は、複数のドライバユニット10、プリバッファ20、バイアス回路30及び制御回路40を備える。ドライバユニット10の数は、当該実施例では48個であるが、特に特定の数に限定されるものではない。
【0051】
「ドライバ回路」としての複数のドライバユニット10は、2本の出力信号線が送信側終端抵抗RT1の両端にそれぞれ接続されている。つまり、複数のドライバユニット10の出力は、送信側終端抵抗RT1と受信側終端抵抗RT2との並列合成抵抗となる終端抵抗RTに並列に接続される。複数のドライバユニット10の各々は、終端抵抗RTに所定の電流を流すとともに終端抵抗RTに流れる電流の方向を制御し、ドライバ選択信号VODSELに従って個々にON/OFF可能に構成されている。複数のドライバユニット10の数は、当該実施例では48個であるが、特に特定の数に限定されるものではない。
【0052】
「選択回路」としてのプリバッファ20は、複数の第1セレクタ21及び複数の第2セレクタ22を含む。複数の第1セレクタ21及び複数の第2セレクタ22の数は、ドライバユニット10の数と同じ数であり、いずれも当該実施例では48個であるが、特に特定の数に限定されるものではない。複数の第1セレクタ21の各々は、「第1の制御信号」としての制御信号INP及び「第2の制御信号」としてのINN_1UIが入力される。複数の第1セレクタ21の各々は、制御選択信号EMPSELに従って、制御信号INP又はINN_1UIを選択的に複数のドライバユニット10の各々へ出力する。複数の第2セレクタ22の各々は、「第1の制御信号」としての制御信号INN及び「第2の制御信号」としてのINP_1UIが入力される。複数の第2セレクタ22の各々は、制御選択信号EMPSELに従って、制御信号INN又はINP_1UIを選択的に出力する。複数の第1セレクタ21及び複数の第2セレクタ22の出力は、複数のドライバユニット10に各々接続されている。
【0053】
「定電流制御回路」としてのバイアス回路30は、複数のドライバユニット10の各々の出力電流の定電流制御を行う回路である。バイアス回路30は、後述するようにカレントミラー回路を構成するため、複数のドライバユニット10の各々の出力電流の変動を抑制することができ、したがって、出力電流の変動に起因する出力信号の電圧振幅の変動を低減することができる。
【0054】
制御回路40は、例えば既知のマイコン制御回路であり、複数のドライバユニット10、プリバッファ20及びバイアス回路30を制御する。より具体的には、制御回路40は、入力信号に基づいて、「第1の制御信号」としての制御信号INP及びINN、並びに「第1の制御信号」を遅延させた「第2の制御信号」としての制御信号INP_1UI及びINN_1UIを生成して出力する。制御信号INPは、入力信号であり、制御信号INNは、入力信号を論理反転させた信号である。つまり、制御信号INP_1UIは、入力信号を遅延させた信号であり、制御信号INN_1UIは、入力信号を論理反転かつ遅延させた信号である。制御信号INP_1UI及びINN_1UIの遅延量は、当該実施例では1UI(Unit Interval)となっているが、特にこれに限定されるものではない。
【0055】
また、制御回路40は、終端抵抗RTの電圧波形が所望の電圧波形になるように、ドライバ選択信号VODSEL及び制御選択信号EMPSELを生成して出力する。すなわち、制御回路40は、終端抵抗RTの電圧波形が所望の電圧波形になるように、複数のドライバユニット10を個々にON/OFFするとともに、前述のように、複数のドライバユニット10の各々に対し、制御信号INP及びINN又は制御信号INP_1UI及びINN_1UIのいずれかを選択して出力する。
【0056】
ドライバユニット10の回路構成について、引き続き
図3を参照しながら詳細に説明する。
【0057】
ドライバユニット10は、例えば、コンプリメンタリ出力の差動回路であり、6つのトランジスタP1〜P3及びN1〜N3、2つのスイッチSW1及びSW2並びにコンパレータ11を含む。トランジスタP1〜P3は、P型MOS電界効果トランジスタである。トランジスタN1〜N3は、N型MOS電界効果トランジスタである。2つのスイッチSW1及びSW2は、いずれもドライバ選択信号VODSELに従って開閉するスイッチである。
【0058】
トランジスタP1は、ソースが電源に接続され、ドレインがノードPTAILに接続され、ゲートがスイッチSW1の一端に接続されている。スイッチSW1の他端には、バイアス回路30が出力する定電流制御信号PBIASが入力される。
【0059】
トランジスタP2は、ソースがノードPTAILに接続され、ドレインがトランジスタN2のドレインに接続されている。トランジスタN2のソースは、ノードNTAILに接続されている。トランジスタP2のドレインとトランジスタN2のドレインとの接続点は、出力端子OUTPに接続されている。トランジスタP2及びN2のゲートは、第1セレクタ21の出力に接続されている。
【0060】
トランジスタP3は、ソースがノードPTAILに接続され、ドレインがトランジスタN3のドレインに接続されている。トランジスタN3のソースは、ノードNTAILに接続されている。トランジスタP3のドレインとトランジスタN3のドレインとの接続点は、出力端子OUTNに接続されている。トランジスタP3及びN3のゲートは、第2セレクタ22の出力に接続されている。
【0061】
トランジスタN1は、ドレインがノードNTAILに接続され、ソースがグランドに接続され、ゲートがスイッチSW2の一端に接続されている。スイッチSW2の他端には、コンパレータ11が出力する基準電位制御信号NBIASが入力される。
【0062】
出力端子OUTPとOUTNとの間には、例えば2つの抵抗R1及びR2が接続されている。より具体的には、抵抗R1の一端が出力端子OUTPに接続され、抵抗R1の他端が抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端が出力端子OUTNに接続されている。抵抗R1及びR2の抵抗値は、いずれも例えば10kΩ等、送信側終端抵抗RT1及び受信側終端抵抗RT2の抵抗値より十分大きい抵抗値であり得る。また、抵抗R1及びR2の抵抗値は、同じ抵抗値であってもよく、異なる抵抗値であってもよい。
【0063】
コンパレータ11の非反転入力は、抵抗R1と抵抗R2との接続点に接続され、コンパレータ11の反転入力には、参照電圧VOCが入力される。コンパレータ11は、抵抗R1と抵抗R2との接続点の電圧と参照電圧VOCとを比較し、その差分に従う基準電位制御信号NBIASを出力する。コンパレータ11は、例えば、OTA(オペレーショナル・トランスコンダクタ・アンプ)であり得る。
【0064】
このような構成のドライバユニット10は、スイッチSW1が閉じている状態では、トランジスタP1のゲートに入力される定電流制御信号PBIASに従って、トランジスタP1のソース−ドレイン間に定電流が流れる。また、スイッチSW2が閉じている状態では、トランジスタN1のゲートに入力される基準電位制御信号CMFBOTAに従って、トランジスタP1のソース−ドレイン間に定電流が流れる。つまり、ドライバユニット10は、スイッチSW1及びSW2が閉じている状態では定電流差動回路として動作し、スイッチSW1及びSW2を開いている状態では電流が流れないため動作しない状態となる。
【0065】
複数のドライバユニット10の出力電流は、定電流制御信号PBIASに従って動作するトランジスタP1、及び基準電位制御信号NBIASに従って動作するトランジスタN1による定電流制御によって所定の電流となるように制御される。複数のドライバユニット10の出力電流の電流値は、例えば同一であってもよい。それによって、出力信号の電圧振幅の大きさ及びエンファシス効果の大きさを均一の変化幅で段階的に調整することができる。また、複数のドライバユニット10は、出力電流が第1の電流値であるドライバユニット10と、出力電流が第2の電流値であるドライバユニット10とを含んでもよい。それによって、出力信号の電圧振幅のエンファシスのより広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0066】
図4は、バイアス回路30の構成の一例を図示した回路図である。
【0067】
バイアス回路30は、例えば、トランジスタQ1、送信側バイアス抵抗RBIAS_TX、受信側バイアス抵抗RBIAS_RX及びコンパレータ31を含む。
【0068】
トランジスタQ1は、例えばP型MOS電界効果トランジスタである。送信側バイアス抵抗RBIAS_TX及び受信側バイアス抵抗RBIAS_RXは、例えば可変抵抗である。トランジスタQ1は、ソースが電源に接続され、ドレインが送信側バイアス抵抗RBIAS_TX及び受信側バイアス抵抗RBIAS_RXの一端に接続されている。送信側バイアス抵抗RBIAS_TX及び受信側バイアス抵抗RBIAS_RXの他端は、グランドに接続されている。コンパレータ31は、非反転入力がトランジスタQ1のドレインに接続されており、反転入力には、参照電圧Vrefが入力される。コンパレータ31の出力端子は、トランジスタQ1のゲートに接続されているとともに、その出力は、定電流制御信号PBIASとなる。定電流制御信号PBIASは、ドライバユニット10のトランジスタP1のゲートに入力される。したがって、バイアス回路30は、ドライバユニット10のトランジスタP1と相俟って、カレントミラー回路を構成する。
【0069】
送信側バイアス抵抗RBIAS_TXは、例えば、送信側終端抵抗RT1のレプリカ抵抗であり、送信側終端抵抗RT1の抵抗値に応じて、その抵抗値が可変設定される。同様に、受信側バイアス抵抗RBIAS_RXは、例えば、受信側終端抵抗RT2のレプリカ抵抗であり、受信側終端抵抗RT2の抵抗値に応じて、その抵抗値が可変設定される。そして、送信側終端抵抗RT1又は受信側終端抵抗RT2のいずれかが変化して終端抵抗RTの抵抗値が変化すると、それに従ってトランジスタQ1のソース−ドレイン間に流れる電流IREFが変化してコンパレータ31の非反転入力の電圧が変化する。コンパレータ31は、非反転入力の電圧と参照電圧Vrefとが同じ電圧になるように、トランジスタQ1のゲート電圧を変化させる。したがって、定電流制御信号PBIASの電圧は、終端抵抗RTの抵抗値の増減調整に応じて変化する。それによって、終端抵抗RTの抵抗値の増減調整に応じて適切な電流値で、複数のドライバユニット10の各々の出力電流を定電流制御することができるので、送信機100の出力信号の電圧振幅を高精度に制御することができる。
【0070】
図5〜
図8は、本発明に係る送信機100の動作状態の一例を図示した回路図である。
図5〜
図8に図示した送信機100は、制御回路40が出力するドライバ選択信号VODSELに従って、一又は二以上のドライバユニット10がメインドライバユニット(第1ドライバ回路)10mとして選択されてONし、メインドライバユニット10m以外の1つ以上のドライバユニット10がエンファシスドライバユニット10e(第2ドライバ回路)として選択されてONし、メインドライバユニット10m及びエンファシスドライバユニット10e以外のドライバユニット10がOFFしている。また、
図5〜
図8に図示した送信機100は、制御回路40が出力する制御選択信号EMPSELに従って、メインドライバユニット10mへ制御信号INP及びINN(第1制御信号)が出力され、エンファシスドライバユニット10eへ制御信号INP_1UI及びINN_1UI(第2制御信号)が出力される。
【0071】
図5は、制御信号INP及びINN_1UIの値が0(電圧がローレベル)、制御信号INN及びINP_1UIの値が1(電圧がハイレベル)であるときの動作状態を図示している。
【0072】
この動作状態では、メインドライバユニット10mは、トランジスタPm2及びNm3がONし、トランジスタPm3及びNm2がOFFしている状態になる。それによって、メインドライバユニット10mの出力電流Imainは、トランジスタPm1からトランジスタPm2を通じて終端抵抗RTへ順方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNm3を通じてトランジスタNm1へ流れる。また、エンファシスドライバユニット10eは、トランジスタPe2及びNe3がONし、トランジスタPe3及びNe2がOFFしている状態になる。それによって、エンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempは、トランジスタPe1からトランジスタPe2を通じて終端抵抗RTへ順方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNe3を通じてトランジスタNe1へ流れる。
【0073】
したがって、
図5に図示した動作状態では、出力電流Imainが終端抵抗RTに流れる方向と出力電流Iempが終端抵抗RTに流れる方向は、ともに順方向で同じ方向となり、終端抵抗RTには、出力電流Imainに出力電流Iempが加算された順方向電流が流れる。そのため、終端抵抗RTの電圧は、出力電流Imainに出力電流Iempを加算した電流値に終端抵抗RTの抵抗値を乗じた値の順方向電圧となる。
【0074】
図6は、制御信号INP及びINP_1UIの値が0、制御信号INN及びINN_1UIの値が1であるときの動作状態を図示したものである。
【0075】
この動作状態では、メインドライバユニット10mは、トランジスタPm2及びNm3がONし、トランジスタPm3及びNm2がOFFしている状態になる。それによって、メインドライバユニット10mの出力電流Imainは、トランジスタPm1からトランジスタPm2を通じて終端抵抗RTへ順方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNm3を通じてトランジスタNm1へ流れる。他方、エンファシスドライバユニット10eは、トランジスタPe3及びNe2がONし、トランジスタPe2及びNe3がOFFしている状態になる。それによって、エンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempは、トランジスタPe1からトランジスタPe3を通じて終端抵抗RTへ逆方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNe2を通じてトランジスタNe1へ流れる。
【0076】
したがって、
図6に図示した動作状態では、出力電流Imainが終端抵抗RTに流れる方向は順方向で、出力電流Iempが終端抵抗RTに流れる方向は逆方向で、相反する方向となり、終端抵抗RTには、出力電流Imainから出力電流Iempが減算された順方向電流が流れる。そのため、終端抵抗RTの電圧は、出力電流Imainから出力電流Iempを減算した電流値(ただし、Imain>Iemp)に終端抵抗RTの抵抗値を乗じた値の順方向電圧となる。
【0077】
図7は、制御信号INN及びINN_1UIの値が0、制御信号INP及びINP_1UIの値が1であるときの動作状態を図示したものである。
【0078】
この動作状態では、メインドライバユニット10mは、トランジスタPm3及びNm2がONし、トランジスタPm2及びNm3がOFFしている状態になる。それによって、メインドライバユニット10mの出力電流Imainは、トランジスタPm1からトランジスタPm3を通じて終端抵抗RTへ逆方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNm2を通じてトランジスタNm1へ流れる。他方、エンファシスドライバユニット10eは、トランジスタPe2及びNe3がONし、トランジスタPe3及びNe2がOFFしている状態になる。それによって、エンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempは、トランジスタPe1からトランジスタPe2を通じて終端抵抗RTへ順方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNe3を通じてトランジスタNe1へ流れる。
【0079】
したがって、
図7に図示した動作状態では、出力電流Imainが終端抵抗RTに流れる方向は逆方向で、出力電流Iempが終端抵抗RTに流れる方向は順方向で、相反する方向となり、終端抵抗RTには、出力電流Imainから出力電流Iempが減算された逆方向電流が流れる。そのため、終端抵抗RTの電圧は、出力電流Imainから出力電流Iempを減算した電流値に終端抵抗RTの抵抗値を乗じた値の逆方向電圧となる。
【0080】
図8は、制御信号INN及びINP_1UIの値が0、制御信号INP及びINN_1UIの値が1であるときの動作状態を図示したものである。
【0081】
この動作状態では、メインドライバユニット10mは、トランジスタPm3及びNm2がONし、トランジスタPm2及びNm3がOFFしている状態になる。それによって、メインドライバユニット10mの出力電流Imainは、トランジスタPm1からトランジスタPm3を通じて終端抵抗RTへ逆方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNm2を通じてトランジスタNm1へ流れる。また、エンファシスドライバユニット10eは、トランジスタPe3及びNe2がONし、トランジスタPe2及びNe3がOFFしている状態になる。それによって、エンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempは、トランジスタPe1からトランジスタPe3を通じて終端抵抗RTへ逆方向に流れ、終端抵抗RTからトランジスタNe2を通じてトランジスタNe1へ流れる。
【0082】
したがって、
図8に図示した動作状態では、出力電流Imainが終端抵抗RTに流れる方向と出力電流Iempが終端抵抗RTに流れる方向は、ともに逆方向で同じ方向となり、終端抵抗RTには、出力電流Imainに出力電流Iempが加算された逆方向電流が流れる。そのため、終端抵抗RTの電圧は、出力電流Imainに出力電流Iempを加算した電流値に終端抵抗RTの抵抗値を乗じた値の逆方向電圧となる。
【0083】
図9は、本発明に係る送信機100の動作を図示したタイミングチャートである。
【0084】
入力信号が1UI毎に遷移するタイミング(1UI Transition)では、制御信号INPと制御信号INN_1UIとが同じ論理となるとともに、制御信号INNと制御信号INP_1UIとが同じ論理となる(タイミングT1〜T2及びタイミングT4以降)。このタイミングでは、前述したように、メインドライバユニット10mの出力電流Imainとエンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempの方向が同じ方向となるため、終端抵抗RTの電圧(出力端子OUTPと出力端子OUTNとの間の電圧)は、相対的に高い電圧となる。
【0085】
他方、入力信号が連続した同じビットパターン(CID:Consecutive Identical Digits)となるタイミング(タイミングT2〜T4)では、2ビット目以降(タイミングT3〜T4)、制御信号INPと制御信号INN_1UIとが異なる論理となるとともに、制御信号INNと制御信号INP_1UIとが異なる論理となる。このタイミングでは、前述したように、メインドライバユニット10mの出力電流Imainとエンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempの方向が相反する方向となるため、終端抵抗RTの電圧は、相対的に低い電圧となる。
【0086】
つまり、入力信号が連続した同じビットパターンのときは、2ビット目以降から終端抵抗RTの電圧が減衰するディエンファシス効果が得られることになる。
【0087】
また、終端抵抗RTの電圧の大きさは、メインドライバユニット10mの出力電流Imainに対してエンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempが加算されるか減算されるかによって変化する。そのため、メインドライバユニット10mの出力電流Imain及びエンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempは、制御信号INPと制御信号INN_1UIとが同じ論理となるタイミングであっても異なる論理となるタイミングであっても変わらないし、制御信号INNと制御信号INP_1UIとが同じ論理となるタイミングであっても異なる論理となるタイミングであっても変わらない。したがって、動作しているドライバユニット10の数が変更されない限り、送信機100の消費電力は常に一定になるので、消費電力の変動が極めて少ないディエンファシス制御が可能になる。
【0088】
図10は、複数のドライバユニット10の選択パターンと終端抵抗RTの電圧との関係を示した制御テーブルである。
【0089】
図10の制御テーブルにおいて、EMPSELは、エンファシスドライバユニット10eの数である。VODSELは、選択されてONしている(動作している)ドライバユニット10の数であり、メインドライバユニット10mの数とエンファシスドライバユニット10eの数とを合算した数である。EMP[%]は、エンファシスの率である。VOD_EMP[mV]は、メインドライバユニット10mの出力電流Imainとエンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempの方向が同じ方向となるタイミング(
図9のタイミングT1〜T2及びタイミングT4以降)における終端抵抗RTの電圧である。VOD[mV]は、メインドライバユニット10mの出力電流Imainとエンファシスドライバユニット10eの出力電流Iempの方向が相反する方向となるタイミング(
図9のタイミングT3〜T4)における終端抵抗RTの電圧である。
【0090】
当該実施例の送信機100は、48個のドライバユニット10に対し、メインドライバユニット10mの数及びエンファシスドライバユニット10eの数を各々自由に選択することができる。当該実施例において、48個のドライバユニット10の出力電流は、全て250μAに設定されている。また、送信側終端抵抗RT1及び受信側終端抵抗RT2は、いずれも100Ωであり、その並列合成抵抗である終端抵抗RTは、50Ωとなる。
【0091】
したがって、終端抵抗RTの電圧VOD_EMP[mV]は、以下の式(1)で算出される。
VOD_EMP=VODSEL×250μA×50Ω ・・・(1)
また、終端抵抗RTの電圧VOD[mV]は、以下の式(2)で算出される。
VOD=(VODSEL−EMPSEL×2)×250μA×50Ω ・・・(2)
EMP[%]は、以下の式(3)で算出される。
EMP=(VOD_EMP−VOD)÷VOD×100 ・・・(3)
尚、EMP[%]は、プリエンファシスの率に換算している。本発明に係る送信機100は、回路の動作としてはディエンファシスであるが、エンファシスの効果の大きさを感覚的に理解する上ではプリエンファシスの率の方が理解しやすいためである。
【0092】
このように、制御信号INPと制御信号INN_1UIとが同じ論理となるタイミング、及び制御信号INNと制御信号INP_1UIとが同じ論理となるタイミングにおける終端抵抗RTの電圧VOD_EMPの大きさは、メインドライバユニット10mの数を増減することによって段階的に調整することができる。同様に、制御信号INPと制御信号INN_1UIとが異なる論理となるタイミング、及び制御信号INNと制御信号INP_1UIとが異なる論理となるタイミングにおける終端抵抗RTの電圧VODの大きさ、すなわちディエンファシス効果の大きさは、エンファシスドライバユニット10eの数を増減することによって段階的に調整することができる。具体的には、当該実施例では、終端抵抗RTの電圧VODの大きさは、12.5mV(250μA×50Ω)ステップで、電圧VOD_EMPの大きさは、その2倍の25mVステップで、増減調整することができる。したがって、終端抵抗RTの電圧のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0093】
このようにして、本発明によれば、終端抵抗RTの電圧のエンファシスの広範かつ柔軟な調整が可能であり、かつ消費電力の変動が極めて少ない高速な送信機100を提供することができる。
【0094】
また、本発明に係る送信機100において、制御回路40は、制御信号INP及びINNに対する制御信号INP_1UI及びINN_1UIの遅延量を調整可能に構成されてもよい。当該実施例では、制御信号INP_1UI及びINN_1UIの遅延量は1UIであるが、例えば、接続される受信機200の仕様等に応じて、2UI又は3UIに設定可能としてもよい。それによって、終端抵抗RTの電圧のエンファシスのより広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0095】
また、本発明に係る送信機100において、制御回路40は、制御信号INP及びINNを論理反転させ、かつ制御信号INP_1UI及びINN_1UIと異なる遅延量で遅延させた第3の制御信号を出力するように構成されてもよい。より具体的には、制御回路40は、例えば、制御信号INP及びINNを論理反転させ、かつ遅延量を2UIとした制御信号INP_2UI及びINN_2UIを出力するように構成されてもよい。そして、プリバッファ20の第1セレクタ21は、例えば、制御信号INP、制御信号INN_1UI又は制御信号INN_2UIのいずれかを選択して複数のドライバユニット10の各々に出力する構成としてもよい。同様に、プリバッファ20の第2セレクタ22は、例えば、制御信号INN、制御信号INP_1UI又は制御信号INP_2UIのいずれかを選択して複数のドライバユニット10の各々に出力する構成としてもよい。それによって、終端抵抗RTの電圧のエンファシスのより広範かつ柔軟な調整が可能になる。
【0096】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0097】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0098】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。