【解決手段】ポリウレタンフォームからなる第1層10と、ポリエチレンフォームからなる第2層12と、ポリウレタンフォームからなる第3層14とがこの順に積層され、第3層14側に複数の凸部16と複数の凹部18とからなる凹凸構造が形成され、第2層12における凹凸構造の凹部18以外の部分が一体に形成され、第3層14が凹凸構造の各凸部16にそれぞれ形成されている、クッション材1。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、鋭意検討の結果、特許文献1のような従来のウレタンフォームを使用したクッション材では、引裂きに対する強度が十分ではないため、大きな力を掛けたときに壊れるおそれがあり、耐久性に問題があることを見出した。そこで、本発明は、引裂強度に優れ、長期的に性能及び形状を維持できる耐久性に優れたクッション材及びマットレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ポリウレタンフォームからなる第1層と、ポリエチレンフォームからなる第2層と、ポリウレタンフォームからなる第3層とがこの順に積層されているクッション材。
[2]前記第3層側の表面から前記第1層にわたる窪みにより凹凸構造が形成されている、[1]に記載のクッション材。
[3]前記第2層における前記凹凸構造の凹部以外の部分が一体に形成され、前記第3層が前記凹凸構造の各凸部にそれぞれ形成されている、[2]に記載のクッション材。
[4]前記ポリエチレンフォームの引裂強度が前記ポリウレタンフォームの引裂強度よりも強い、[1]乃至[3]のいずれかに記載のクッション材。
[5]前記ポリエチレンフォームの引裂強度が12〜20N/cmであり、前記ポリウレタンフォームの引裂強度が3〜11N/cmである、[4]に記載のクッション材。
[6][1]乃至[5]のいずれかに記載のクッション材を使用したマットレス。
【発明の効果】
【0006】
本発明のクッション材及びマットレスは壊れ難く、長期的に性能及び形状を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書におけるフォームの各物性は、以下の測定法により測定される値を意味する。
ポリウレタンフォームの「密度」及び「引裂強度」は、JIS K 6401に従って測定される値である。
ポリエチレンフォームの「密度」及び「引裂強度」は、JIS K 6767:1999に従って測定される値である。
「ポリエチレンフォームの25%圧縮硬さ」は、JIS K 6400−2:2012 D法に従って測定される値である。
【0009】
本発明のクッション材は、衝撃を和らげることを目的として、ベッド用のマットレス、ソフト遊具、及び工業用緩衝材等、様々な用途に使用することができる。以下、本発明のクッション材の一例として、マットレスを示して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0010】
本実施形態のクッション材1は、
図1に示すように、第1層10と、第2層12と、第3層14とがこの順に積層された積層体である。
クッション材1の平面視形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定でき、典型的には矩形である。クッション材1の平面視でのサイズは、特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
【0011】
この例のクッション材1には、第3層14側の表面から第1層10にわたる窪みにより凹凸構造が形成されている。この凹凸構造は、複数の滑らかな山形状の複数の凸部16と、滑らかな谷形状の複数の凹部18とが、例えばマットレス長手方向や短手方向に交互に連なって形成されている。この例では、複数の凸部16は平面視で千鳥状に配置されている。同様に、複数の凹部18も千鳥状に配置されている。クッション材1を厚さ方向に切断した断面においては、第3層14側の表面の縁形状は略サインカーブ又は滑らかな波状になっている。クッション材1のこの凹凸構造は、公知のプロファイル加工により形成できる。
【0012】
クッション材1に凹凸構造が形成されていることで、例えばクッション材1上に寝た際に凹凸構造の各凸部によって体が点で支えられ、体の形状に即した体圧分散が可能となることから、寝姿勢を維持することが容易になる。また、クッション材1に凹凸構造が形成されることで通気性も向上する。
なお、クッション材1における凹凸構造としては、前記した構造以外にも、クッション材に採用される公知の凹凸構造を特に制限なく採用できる。
【0013】
第1層10及び第3層14はポリウレタンフォームからなり、第2層12はポリエチレンフォームからなる。第2層12が引裂強度に優れるポリエチレンフォームからなることで、クッション材1は長期的に性能及び形状を維持できる優れた耐久性を有してる。
【0014】
この例のクッション材1においては、第3層14が凸部16の頂点から第1層10に向かうにつれて広がり、第3層14の第1層10側に第2層12が滑らかに繋がって、第2層12が第1層10に向かうにつれて広がることで凸部16が形成されている。このように、第3層14は、凹凸構造の各凸部16の先端部分にそれぞれ形成されている。また、この例では、第2層12における凹凸構造の凹部18以外の部分が一体に形成されている。本発明のクッション材においては、この例のように、第2層における凹凸構造の凹部以外の部分が一体に形成され、第3層が凹凸構造の各凸部にそれぞれ形成されていることが好ましい。これにより、優れた通気性及び耐圧分散性を得つつ、優れた耐久性も得ることができる。
【0015】
平面視におけるクッション材1の面積に対する第2層12が占める面積の割合は、30〜60%が好ましく、40〜50%がより好ましい。第2層12が占める面積の割合が前記範囲の下限値以上であれば、表層部における耐久性が特に向上する。また、クッション材1の上に乗った際、ポリエチレンフォームに基づく充分な反発力が得られやすいため、寝返り時の負担がより軽減される効果も奏する。第2層12が占める面積の割合が前記範囲の上限値以下であれば、優れた通気性が得られる。
【0016】
第2層12を形成するポリエチレンフォームの発泡倍率は、15〜40倍が好ましく、30〜40倍がより好ましい。ポリエチレンフォームの発泡倍率が前記範囲の下限値以上であれば、優れたクッション性が得られ、ポリエチレンフォームの発泡倍率が前記範囲の上限値以下であれば、優れた耐久性が得られる。
【0017】
第2層12を形成するポリエチレンフォームの密度は、25〜65kg/m
3が好ましく、25〜30kg/m
3がより好ましい。ポリエチレンフォームの密度が前記範囲の下限値以上であれば、優れた耐久性が得られ、ポリエチレンフォームの密度が前記範囲の上限値以下であれば、優れたクッション性が得られる。
【0018】
第2層12を形成するポリエチレンフォームの引裂強度は、第1層10及び第3層14を形成するポリウレタンフォームの引裂強度より強い。第2層12を形成するポリエチレンフォームの引裂強度は、12〜20N/cmが好ましく、12〜15N/cmがより好ましい。ポリエチレンフォームの引裂強度が前記範囲の下限値以上であれば、壊れ難く、優れた耐久性が得られる。
【0019】
第2層12を形成するポリエチレンフォームの25%圧縮硬さは、40〜140kPaが好ましく、40〜50kPaがより好ましい。ポリエチレンフォームの25%圧縮硬さが前記範囲の下限値以上であれば、クッション材1の上に乗った際に体が過度に沈み込み難く、寝姿勢を維持しやすい。ポリエチレンフォームの25%圧縮硬さが前記範囲の上限値以下であれば、優れたクッション性が得られる。
【0020】
第2層12を形成するポリエチレンフォームの独立気泡率は、90%以上が好ましい。ポリエチレンフォームの独立気泡率が前記値以上であれば、優れた耐久性が得られやすい。ポリエチレンフォームの独立気泡率の上限値は、理論上は100%である。
【0021】
第2層12の厚みt2は、5〜20mmが好ましく、10〜15mmがより好ましい。厚みt2が前記範囲の下限値以上であれば、優れた耐久性が得られると共に、充分な反発力が得られ、寝返り時の負担がより軽減される。厚みt2が前記範囲の上限値以下であれば、優れた通気性が得られる。
【0022】
第1層10及び第3層14を形成するポリウレタンフォームは、同一のポリウレタンフォームであることが好ましい。
第1層10及び第3層14を形成するポリウレタンフォームの発泡倍率は、20〜65倍が好ましく、30〜50倍がより好ましい。ポリウレタンフォームの発泡倍率が前記範囲の下限値以上であれば、優れた通気性及びクッション性が得られ、上限値以下であれば、優れた耐久性が得られる。
【0023】
第1層10及び第3層14を形成するポリウレタンフォームの密度は、15〜50kg/m
3が好ましく、20〜30kg/m
3がより好ましい。ポリウレタンフォームの密度前記範囲の下限値以上であれば、優れた耐久性が得られ、上限値以下であれば、優れた通気性及びクッション性が得られる。
【0024】
第1層10及び第3層14を形成するポリウレタンフォームの引裂強度は、3〜11N/cmが好ましく、6〜10N/cmがより好ましい。ポリウレタンフォームの引裂強度が前記範囲の下限値以上であれば、優れた耐久性が得られる。
【0025】
ポリウレタンフォームはポリエチレンフォームに比べて通気量が高いため、第1層10及び第3層14に使用することで、クッション材全体として充分な通気量を確保することが容易になる。
【0026】
第1層10の厚みt1は、20〜60mmが好ましく、30〜40mmがより好ましい。厚みt1が前記範囲の下限値以上であれば、優れたクッション性と耐久性が得られ、上限値以下であれば、優れた通気性が得られる。
【0027】
第3層14の厚みt3は、5〜30mmが好ましく、5〜10mmがより好ましい。厚みt3が前記範囲の下限値以上であれば、優れた体圧分散が得られ、上限値以下であれば、優れた通気性が得られる。
【0028】
クッション材1における厚みt1と厚みt3の合計に対する厚みt2の比(t2/(t1+t3))は、10%〜30%が好ましく、15%〜20%がより好ましい。t2/(t1+t3)が前記範囲の下限値以上であれば、優れた耐久性が得られ、上限値以下であれば、優れた通気性及びクッション性が得られる。
【0029】
クッション材1の製造方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が挙げられる。
図2(A)に示すように、ポリウレタンフォームからなる下層22、ポリエチレンフォームからなる中間層24、及びポリウレタンフォームからなる上層26をこの順に積層して積層体20を形成する。
【0030】
各層を積層する方法としては、例えば、接着剤により各層同士を接着する方法が挙げられる。接着剤としては、例えば、ホットメルト形接着剤やウレタン樹脂系接着剤等が挙げられ、各層同士の接着強度が高く、洗濯への耐性に優れたクッション材が得られやすい点から、ウレタン樹脂系接着剤が好ましい。
【0031】
次いで、積層体20に対してプロファイル加工を行うことにより、クッション材1が得られる。例えば、外周面に複数の突起部が形成された一対のローラーにより積層体20を挟み込んで厚み方向に圧縮しつつ、圧縮された状態の積層体20の厚み方向の中央部を厚み方向に垂直な方向に刃物で切断する。これにより、
図2(B)に示すように、積層体20が厚み方向に2つに分断された部分がそれぞれクッション材1となる。
【0032】
以上説明したように、本発明のクッション材においては、ポリウレタンフォームからなる第1層と、ポリエチレンフォームからなる第2層と、ポリウレタンフォームからなる第3層とがこの順に積層されている。第2層がポリエチレンフォームからなることで、本発明のクッション材は引裂強度に優れ、長期的に性能及び形状を維持できる効果を奏する。
【0033】
なお、本発明のクッション材は、前記したクッション材1には限定されない。例えば、
図3に例示したクッション材1Aであってもよい。
図3における
図1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
クッション材1Aは、第3層14側に凹凸構造が形成されていない以外はクッション材1と同じである。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[フォーム]
クッション材の各層を形成するポリウレタンフォーム及びポリエチレンフォームとして、以下のフォームを用いた。
ポリウレタンフォームA:製品名「エアタッチ:品番400CR−20」(倉敷紡績(株)製、密度:29kg/m
3)。
ポリエチレンフォームB:製品名「サンペルカ:品番L−2500」(三和化工(株)製、密度:30kg/m
3、25%圧縮硬さ:50kPa)。
【0035】
[実施例1]
第1層及び第3層を形成するポリウレタンフォームとしてポリウレタンフォームAを用い、第2層を形成するポリエチレンフォームとしてポリエチレンフォームBを用いて、
図3に例示したクッション材1Aと同様の構成のクッション材を作製した。クッション材は縦550mm×横1200mmの矩形状とし、第1層の厚みを30mm、第2層の厚みを5mm、第3層の厚みを30mmとした。
【0036】
[比較例1]
第2層を形成するポリエチレンフォームBをポリウレタンフォームAに変更した以外は、実施例1と同様のクッション材を作製した。
【0037】
[耐久性(引裂強度、引裂き性)]
各例のクッション材の耐久性は、以下の試験方法により評価した。
引裂強度は、A&D製テンシロン万能試験機(機種RTG−1310)を用いて測定した。詳細を以下に示す。
試験片 JIS K−6767
厚み 5mm
測定結果 N数5回の平均値
ロードセル 10kg
試験速度 500.0mm/min
初期試料長 チャック間距離 60mm
伸び原点 初荷重点 0.3%RO
破断点計測 0.5N
弾性率解析 加重 ピッチ 5N
【0038】
引裂き性は、クッション材(複層)を手で引裂き、以下の評価基準で評価を行った。
(引裂き性の評価基準)
◎:引裂きは困難である。
○:引裂くことは可能であるが、困難である。
△:引裂くことができる。
各例の試験結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示すように、第2層がポリエチレンフォームBからなる実施例1のクッション材は、引裂きに強く、耐久性に優れていた。
一方、第1層〜第3層が全てポリウレタンフォームである比較例1のクッション材は、実施例1に比べて引裂きに弱く、耐久性が劣っていた。