特開2019-115874(P2019-115874A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-115874ディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-115874(P2019-115874A)
(43)【公開日】2019年7月18日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/41 20060101AFI20190627BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20190627BHJP
   F01N 3/01 20060101ALI20190627BHJP
【FI】
   B03C3/41 B
   B03C3/40 A
   F01N3/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-249961(P2017-249961)
(22)【出願日】2017年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000120249
【氏名又は名称】臼井国際産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】古堅 宗勝
(72)【発明者】
【氏名】市川 順一
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 優
【テーマコード(参考)】
3G190
4D054
【Fターム(参考)】
3G190AA05
3G190AA07
3G190AA12
3G190BA01
3G190BA45
3G190CA21
4D054AA03
4D054BA01
4D054BB03
4D054BC06
4D054BC31
4D054EA25
(57)【要約】
【課題】 全鋸刃先端から発生する電界強度を均一化しより高い印加電圧を確保し、PM捕集率を高めることが可能なディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極の提供。
【解決手段】 排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成する所定長さの管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極又は該主電極に設けられた電極筒に配設され径方向に突出する鋸刃状放電電極によって構成された、電気集塵手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極であって、前記鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを同軸方向中央部の鋸刃より低く形成して構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重油を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成する所定長さの管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極又は該主電極に設けられた電極筒に配設され径方向大径に突出する鋸刃状放電電極によって構成された、電気集塵手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極であって、前記鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを同軸方向中央部の鋸刃より低く形成して構成されていることを特徴とするディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極。
【請求項2】
前記放電電極の両端部の鋸刃の高さが中央部の鋸刃の高さの1/4〜3/4であることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用、発電用、一般産業用エンジン等のディーゼルエンジンにおけるコロナ放電を利用した排気ガスの電気式処理技術に係り、特に重油を燃料として使用する高い温度の排気ガスを排出するディーゼルエンジンの排ガス処理用電気集塵装置の放電電極に関する。
【背景技術】
【0002】
各種船舶や発電機並びに大型建機、さらには各種自動車等の動力源としてディーゼルエンジンが広範囲に採用されているが、このディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれるカーボンを主体とする粒状物質(Particulate Matter:以下、説明の便宜上「PM」と称する)は、周知の通り大気汚染をきたすのみならず、人体に極めて有害な物質であるため、その排気ガスの浄化は極めて重要である。このため、ディーゼルエンジンの燃焼方式の改善や各種排気ガスフィルタの採用、コロナ放電を利用して電気的に処理する方法等、既に数多くの提案がなされ、その一部は実用に供されている。
【0003】
コロナ放電を利用して、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれるPMを電気的に処理する技術としては、例えば特許文献1に記載された装置が本出願人により提案されている。
特許文献1に記載されている、高濃度に硫黄成分を含有する重油等の低質燃料を使用するディーゼルエンジン排ガス処理装置は、図5にその構成例を示すように大きく分けてPM粒子を捕集するために設ける電気集塵部101とサイクロン方式の分別捕集手段102とから構成され、電気集塵部101は管状捕集部101−1の集塵電極を構成する単一径で所定長さの主捕集管101−1、小径捕集管111−1A−1、中径捕集管111−1B−1、及び主捕集管101−1と共通の大径捕集管111−1C−1と、排ガス中に含まれるPMに帯電させる放電電極101−2を備えた小径捕集部111−1A、中径捕集部111−1B、大径捕集部111−1Cよりなる3段の捕集モジュールよりなっている。集塵電極を構成する主捕集管101−1には、上流側の端部に排ガス導入管部101−1aを有し、下流側の端部の軸心付近にPMの低濃度排ガス導出管103を、下流側の端部の内周面付近にPMの高濃度排ガス導出部101−1bをそれぞれ連設している。
【0004】
又、前記排ガスの流れ方向における電気集塵部101の下流側と上流側の間に設けられたサイクロン方式の分別捕集手段102は、分別手段としてのサイクロン捕集部102−1と、該サイクロン捕集部102−1からの還流配管102−2とで構成されている。このサイクロン捕集部102−1は、電気集塵部101の主捕集管101−1の下流側の内周面付近に設けた高濃度排ガス導出部101−1bに連通管105−1及び高濃度排ガス配管105−2を介して接続された1台の接線式サイクロン102−1aで構成され、さらに該接線式サイクロン102−1aと、電気集塵部101の主捕集管101−1の上流側の排ガス導入管部101−1aとの間に、接線式サイクロン102−1a通過後の浄化ガスを排ガス導入管部101−1a内を流れる排ガスに合流させるための還流配管102−2及び連通管105−3を配設している。ブロアー107は前記連通管105−1と接線式サイクロン102−1a間の高濃度排ガス配管105−2に設け、排ガス流に対して運動エネルギーを付与して昇圧・増速させて排ガス導入管部101−1aに確実に圧送・還流させるために設けている。前記低濃度排ガス導出管103には、接線式サイクロン102−1aへの高濃度排ガス流入量及び流入速度と低濃度排ガス放出量の流量調整を行うためのダンパー108を設けている。
【0005】
上記ディーゼルエンジン排ガス処理装置の各捕集モジュール内に設置される各電極の形態としては、例えば前記図6(a)に示す一本の共通の電極棒101−2aに突設するほぼ二等辺三角形を呈する鋸刃状の放電板101−2cで構成された放電電極、図6(b)に示す一本の共通の電極棒101−2aに突設する、鋸刃状の放電板部(山部)101−2eが基板部101−2fと一体に設けられた鋸刃状放電電極板101−2dで構成された放電電極等各種あるが、いずれも鋸刃が全て同一高さに形成されている。
【0006】
しかしながら、前記図6(a)に示す一本の共通の電極棒101−2aに突設するほぼ二等辺三角形を呈する鋸刃状の放電板101−2cで構成された鋸刃状放電電極、図6(b)に示す一本の共通の電極棒101−2aに突設する、鋸刃状の放電板部(山部)101−2eが基板部101−2fと一体に設けられた鋸刃状放電電極板101−2dで構成された鋸刃状放電電極はいずれも鋸刃の高さが全て同一であるため、軸方向両端の鋸刃状放電電極から発生する電界強度が、中央部の鋸刃状放電電極から発生する電界強度よりも約20%程度高く、電圧を印加した時、この両端部の鋸刃状放電電極の電界強度に起因してスパークが発生するという問題があった。即ち、前記従来の鋸刃状放電電極の場合は、鋸刃の高さが全て同一であることがスパーク発生の要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−238086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記した従来のディーゼルエンジン排ガス浄化装置の鋸刃状放電電極の高さに由来する問題点を解決するためになされたもので、鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを中央部より低くすることにより、全鋸刃先端から発生する電界強度を均一化しより高い電圧を印加できるようになり、より高いPM捕集率を得ることが可能なディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、より高いPM捕集率を得ることが可能なディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極を見出すための基礎実験を行った。この基礎実験では、舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理用電気集塵装置の鋸刃状放電電極の鋸刃の高さの相違による電界強度を調べた。以下に、その基礎実験について説明する。
【0010】
<鋸刃状放電電極の電界強度解析>
(1)対向する捕集壁(平面状)と放電電極間に10kVの直流電圧を印加した場合の電界強度の解析:
[鋸刃状放電電極A]
・軸方向全長にわたって同一高さの鋸刃を有する鋸刃状放電電極。
・評価電極形状(図1(A)):SUS製、板厚t=1.5mm、鋸刃の高さh=20mm(一定)、鋸刃E1の数=全体で8個、ピッチP=25mmの鋸刃状放電電極。図中、Eは放電電極である。
[鋸刃状放電電極B]
・両端部の鋸刃の高さを中央部の鋸刃より低くした鋸刃状放電電極。
・評価電極形状(図1(B)):SUS製、板厚t=1.5mm、中央部の鋸刃の高さh=20mm(一定)、両端部の鋸刃の高さh1、h2=5〜15mm、鋸刃の数=全体で8個、ピッチP=25mmの鋸刃状放電電極。図中、Eは放電電極である。
(2)評価実験結果:
[鋸刃状放電電極A]
・両端部の鋸刃の電界;1.08〜1.2KV/mm、中央部の鋸刃の電界;1.0KV/mm(図2(A))。
・両端部の鋸刃に中央部よりも約20%高い電界が発生し、軸方向全長にわたって電界は均一ではなかった。
[鋸刃状放電電極B]
・両端部の鋸刃の電界;0.9KV/mm、中央部の鋸刃の電界;1.0KV/mm(図2(B))。
・両端部の鋸刃の高さを中央部より低くしたことにより、軸方向全長にわたってほぼ均一な電界が得られた。
【0011】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極は、上記基礎実験の結果に基づいて見出されたもので、その要旨は、重油を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成する所定長さの管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極又は該主電極に設けられた電極筒に配設され径方向大径に突出する鋸刃状放電電極によって構成された、電気集塵手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極であって、前記鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを同軸方向中央部の鋸刃より低く形成して構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
又、本発明の前記放電電極の両端部の鋸刃の高さが中央部の鋸刃の高さの1/4〜3/4であることを好ましい態様とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極は、鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを同軸方向中央部の鋸刃より低く形成して構成することにより、軸方向両端部の鋸刃から発生する電界強度と同軸方向中央部の鋸刃より発生する電界強度の均一化がはかられ、より高い電圧を印加できるようになり、PM捕集率をより高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明者等が行った基礎実験に用いた鋸刃状放電電極の形状を示す概略斜視図で、(A)は軸方向全長にわたって同一高さの鋸刃状放電電極、(B)は両端部の鋸刃の高さを中央部の鋸刃より低くした鋸刃状放電電極をそれぞれ示す。
図2図1に示す鋸刃状放電電極を用いた評価実験結果を示す図で、(A)は軸方向全長にわたって同一高さの鋸刃状放電電極の電界、(B)は両端部の鋸刃の高さを中央部の鋸刃より低くした鋸刃状放電電極の電界をそれぞれ示す。
図3】本発明に係るディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極の第1実施例を示す要部概略縦断面図である。
図4図3に示すディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の各管状捕集モジュール内に設置される鋸刃状放電電極の要部を拡大して示す概略縦断面図で、(a)は電極棒(主電極)にほぼ二等辺三角形を呈する鋸刃状放電電極板を直接突設した鋸刃状放電電極、(b)は電極棒(主電極)に鋸刃状の放電板部(山部)が基板部と一体に設けられた鋸刃状放電電極板で構成された鋸刃状放電電極を突設した鋸刃状放電電極をそれぞれ示す。
図5】従来のディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の全体構成の一例を示す概略縦断面図である。
図6】(a)は図5に示すディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の各捕集モジュール内に設置される各電極の形態の一例を示す概略図で、(b)は同じく各捕集モジュール内に設置される各電極の形態の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここに示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、管状捕集モジュールを多段式となしてPMを濃縮し、サイクロンを使用してPMを捕集する方式を例示したもので、ここでは管状捕集モジュールを管状捕集部の上流側より小径捕集部、中径捕集部、大径捕集部の3段式のディーゼルエンジン排ガス処理装置における放電電極を例にとり説明する。
【0016】
重油を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極よりなる捕集モジュールを組合せて構成する管状捕集部を有し、管状捕集部から剥離した粒状物質を分別して捕集するサイクロン又は衝突式慣性力粒子分離器の分別捕集手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理装置の、管状捕集部の下流側の内面付近に設けた粒状物質の高濃度排ガス導出部からの配管にサイクロンで構成したサイクロン捕集手段を設け、高濃度排ガス導出部より排出される高濃度排ガス流をサイクロンへ導入して大径粒子を捕集・処理する方式となすとともに、前記サイクロン又は衝突式慣性力粒子分離式の捕集部で大径粒子を捕集後、除去できなかった細径粒を含有する流れをブロアーにて運動エネルギーを付与して昇圧・増速し、管状捕集部の下流側の中央付近に設けた粒状物質の低濃度排ガス導出管に圧送・混流させる構成となしたものであり、特にエンジンの高負荷時には大量の排気ガスが高速で流れるため、流速を低下させてPMへの帯電を確実化させるように、導入管(排気管)に対して大径化されている捕集管の間にテーパー管(レジューサー)を設けるのが一般的である。
【0017】
図3に示す本発明の第1実施例装置を例にとり具体的に説明すると、ディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置は、大きく分けてPM粒子を捕集するために設ける電気集塵部1とサイクロン方式の分別捕集手段2とから構成され、電気集塵部1は管状捕集部11−1の集塵電極を構成する単一径で所定長さの主捕集管1−1、小径捕集管11−1A−1、中径捕集管11−1B−1、大径捕集管11−1C−1と、排ガス中に含まれるPMに帯電させる放電電極として排気ガスの上流側より下流側に向けて配置した放電電極1−3A、1−3B、1−3Cより構成させて備えた3段の捕集モジュールよりなる。11−1B−2、11−1C−2は電極筒である。集塵電極を構成する主捕集管1−1には、上流側(ディーゼルエンジン側)の端部に排ガス導入管部(排気管)1−1aを有し、下流側の端部の軸心付近にPMの低濃度排ガス導出管3を、下流側の端部の内周面付近にPMの高濃度排ガス導出部1−1bをそれぞれ連設している。放電電極は、集塵電極を構成する単一径で所定長さの主捕集管1−1の軸心付近をほぼ全長にわたって延びる電極棒(主電極)1−2aと、該電極棒1−2aに直接又はステーで導電されて設けられている電極筒11−1B−2、11−1C−2の外周表面に放電電極1−3A、1−3B、1−3Cが周方向に直接または間接に所望の間隔を隔てて径方向大径に突出し、管軸方向に所望の間隔を隔てて複数配置されて構成されている。このように構成された放電電極1−3A、1−3B、1−3Cを設けた電極棒1−2aは、主捕集管1−1の排ガス導入管部1−1a側に設けたシールエアー導入管部1−1cと、低濃度排ガス導出管3の入口部位に設けたシールエアー導入管部1−1cに垂設した支持体4を介してその両端部が支持されている。
【0018】
一方、前記排ガスの流れ方向における電気集塵部1の下流側の高濃度排ガス導出部1−1bとPMの低濃度排ガス導出管3間に設けられたサイクロン方式の分別捕集手段2は、分別手段としてのサイクロン捕集部2−1と、サイクロン捕集部2−1からの排出管2−2とで構成されている。このサイクロン捕集部2−1は、電気集塵部1の主捕集管1−1の下流側の内周面付近に設けた高濃度排ガス導出部1−1bに連通管5−1及び高濃度排ガス配管5−2を介して接続された1台の接線式サイクロン2−1aで構成され、さらに該サイクロン2−1aと、電気集塵部1の主捕集管1−1の下流側の低濃度導出管3との間に、サイクロン2−1a通過後の浄化ガスを低濃度導出管3内を流れる低濃度排ガスに合流させて混流させるための排出管2−2を配設している。又、ブロアー7は前記高濃度排ガス配管5−2の接線式サイクロン2−1a上流もしくは排出管2−2に設ける。このブロアー7は排ガス流に対して運動エネルギーを付与して昇圧・増速させて接線式サイクロン2−1aでの捕集率の向上並びにサイクロン2−1aで除去できなかった細径粒子を含有する排ガス流を排出管2−2を経由して低濃度導出管3内を流れる低濃度排ガスに確実に圧送・混合させるために設けている。なお、図示しないが、高濃度排ガス配管5−2又は排出管2−2に設けたブロアー7に替えて、高気体噴出ノズルを設けて高圧気体(通常は圧縮空気)を噴出させる等により排ガス流に対して運動エネルギーを付与してもよい。さらに、前記低濃度排ガス導出管3には、接線式サイクロン2−1aへの高濃度排ガス流入量及び流入速度と低濃度排ガス放出量の流量調整を行うためのダンパー8を設けている。
【0019】
前記図3に示すディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の各管状捕集モジュール内に設置される放電電極は、図4(a)(b)にその要部を拡大して示すように、鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを同軸方向中央部の鋸刃より低く形成して構成したものである。
即ち、図4(a)に示す鋸刃状放電電極は、前記図6(a)に示す形態の電極と同様の、一本の共通の電極棒(主電極)1−2aの軸方向に突設するほぼ二等辺三角形を呈する鋸刃状放電電極板のうち、電極棒(主電極)1−2aの軸方向両端部の領域に突設する鋸刃状放電電極板を同軸方向中央部領域に突設する鋸刃状放電電極板1−3A−1に比べ鋸刃の高さが低い鋸刃状放電電極板1−3A−2で構成する。この高さの異なる鋸刃状放電電極板のうち、電極棒(主電極)1−2aの軸方向両端部の領域に突設する鋸刃状放電電極板1−3A−2の高さは、特に限定するものではないが、軸方向中央部の鋸刃状放電電極板1−3A−1の高さの1/4〜3/4が好ましい。その理由は、前記した本発明の基礎実験に基づいており、軸方向中央部の鋸刃状放電電極板1−3A−1の高さの1/4未満では所望の電界強度が得られず、他方、3/4を超える高さでは電界強度が軸方向中央部の鋸刃から発生する電界よりも高くなるためである。
【0020】
又、図4(b)に示す鋸刃状放電電極は、前記図6(b)に示す形態の電極と同様の、一本の共通の電極棒101−2aに突設する、鋸刃状の放電板部(山部)が基板部と一体に設けられた鋸刃状放電電極板で構成された鋸刃状放電電極の前記鋸刃状の放電板部(山部)のうち、電極棒(主電極)1−2aの軸方向両端部の領域に突設する鋸刃状放電電極板を同軸方向中央部領域に突設する鋸刃状放電電極板1−3B−1に比べ鋸刃の高さが低い鋸刃状放電電極板1−3B−2で構成する。この鋸刃状の放電板部(山部)が基板部と一体に設けられた鋸刃状放電電極板で構成された鋸刃状放電電極の場合も、前記図4(a)に示す鋸刃状放電電極と同様に、電極棒(主電極)1−2aの軸方向両端部の領域に突設する鋸刃状放電電極板1−3B−2の高さは、同じ理由により軸方向中央部の鋸刃状放電電極板1−3B−1の高さの1/4〜3/4が好ましい。
【0021】
なお、電極棒(主電極)1−2aの軸方向両端部の領域に突設する鋸刃状放電電極板1−3A−2、1−3B−2は、図示のように上流側から下流側に向かって高さの異なる鋸刃状放電電極板で構成したものを示したが、この構成に限定するものではなく、上流側から下流側に向かって同一高さの鋸刃状放電電極板で構成してもよい。
【0022】
前記図4(a)(b)に示すように、鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを同軸方向中央部の鋸刃より低く形成して構成した鋸刃状放電電極の場合は、鋸刃の高さが軸方向中央部よりも低い軸方向両端部の鋸刃状放電電極板1−3A−2、1−3B−2から発生する電界強度が、鋸刃の高さが高い軸方向中央部の鋸刃状放電電極板1−3A−1、1−3B−1から発生する電界強度と同等レベルとなり、全ての鋸刃から発生する電界強度が均一になることにより、軸方向両端部の鋸刃状放電電極板1−3A−2、1−3B−2からのスパークの発生を防止できるのみならず、より高い電圧を印加できることによりPMの捕集率も高くなる。
【0023】
以上説明したように、本発明のディーゼルエンジン排ガス処理用電気集塵装置の放電電極は、鋸刃状放電電極の軸方向両端部の鋸刃の高さを中央部より低くすることにより全鋸刃先端から発生する電界強度を均一化し、より高い電圧を印加できるようになり、より高いPM捕集率を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1 電気集塵部
1−1 主捕集管
1−1a 排ガス導入管部
1−1b PMの高濃度排ガス導出部
1−1c シールエアー導入管部
1−2a 電極棒(主電極)
1−3A、1−3B、1−3C、1−3E、1−3F 放電電極
1−3A−1、1−3B−1 軸方向中央部の鋸刃状放電電極板
1−3A−2、1−3B−2 軸方向両端部の鋸刃状放電電極板
2 分別捕集手段
2−1 サイクロン捕集部
2−1a 接線式サイクロン
2−2 排出管
3 低濃度導出管
4 支持体
5−1 連通管
5−2 高濃度排ガス配管
7 ブロアー
8 ダンパー
11−1 管状捕集部
11−1A−1 小径捕集管
11−1B−1 中径捕集管
11−1C−1 大径捕集管
11−1B−2、11−1C−2 電極筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6