(54)【発明の名称】[1−(4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル](モルホリン−4−イル)メタノンの結晶の製造方法
【課題】H3受容体拮抗作用を有する、[1−(4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル](モルホリン−4−イル)メタノンの結晶の新規な製造方法の提供。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願明細書において記載する記号、用語等の意義を説明するが、本発明は例示されたものに特に限定されない。
【0016】
本発明において、「n」はノルマル(normal)を、「sec」はセカンダリー(secondary)を、「tert」はターシャリー(tertiary)を、「rac」はラセミ(racemic)を示す。
【0017】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示す。
【0018】
「C
1-6アルキル」とは、炭素原子を1〜6個有する直鎖状又は分岐状のアルキルを示す。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。
【0019】
「エーテル系の溶媒」としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明は例示されたものに特に限定されない。
【0021】
化合物[1]は、以下のスキーム2〜4に示す方法によって得ることができる。
【0022】
製造中間体である化合物[5]は、以下のスキーム2に示す方法によって得ることができる。
スキーム2
【0023】
【化4】
(スキーム2中、R
1は、C
1-6アルキルを示す。)
【0024】
化合物[6]を不活性溶媒中、塩基の存在下、モルホリン[7]と反応させることにより、化合物[5]を得ることができる。原料となる化合物[6]は、市販品として入手可能である。
不活性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
塩基としては、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、モルホリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、テトラメチル尿素等の有機アミン塩基等、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウムが挙げられる。
また、使用する塩基は、不活性溶媒としての役割を兼ねることもできる。
モルホリン[7]の使用量は、原料の化合物[6]に対して1〜10モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは1.5〜6モル当量の範囲であり、より好ましくは1.5〜4モル当量の範囲である。
反応温度は、通常、−20℃から使用する溶媒又は塩基の沸点まで可能であるが、好ましくは80℃〜130℃の範囲であり、より好ましくは110℃〜130℃の範囲である。
化合物[5]は、再結晶による精製品のほか、リスラリー、クロマトグラフィー等の方法による精製品として得ることができ、また、未精製品として得ることもできる。化合物[5]は、反応の後処理後の濃縮残渣として精製することなく、次の工程の原料として使用することもできる。
【0025】
製造中間体である化合物[4]は、以下のスキーム3に示す方法によって得ることができる。
スキーム3
【0026】
【化5】
(スキーム3中、X
1及びX
2は、前述の定義と同じである。)
【0027】
化合物[2]を不活性溶媒中、塩基の存在下、化合物[3]と反応させることにより、化合物[4]を得ることができる。原料となる化合物[2]は、後述の参考例に記載の方法で入手可能である。
不活性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
塩基としては、例えば、炭酸カリウム、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
化合物[3]の使用量は、原料の化合物[2]に対して1〜5モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは1〜2モル当量の範囲であり、より好ましくは1.05〜1.5モル当量の範囲である。
溶媒の使用量は、原料の化合物[2]に対して1〜100質量倍の範囲で使用することができ、好ましくは1〜30質量倍の範囲であり、より好ましくは1〜10質量倍の範囲である。
反応温度は、通常、−80℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは20℃〜80℃の範囲であり、より好ましくは50℃〜70℃の範囲である。
化合物[4]は、クロマトグラフィー等の方法による精製品として得ることができ、また、未精製品として得ることもできる。化合物[4]は、反応の後処理後の濃縮残渣として精製することなく、次の工程の原料として使用することもできる。
【0028】
化合物[1]は、以下のスキーム4に示す方法によって得ることができる。
スキーム4
【0029】
【化6】
(スキーム4中、X
2は、前述の定義と同じである。)
【0030】
スキーム3で得られた化合物[4]を不活性溶媒中、塩基と金属試薬、配位子の存在下、スキーム2で得られた化合物[5]と反応させることにより、化合物[1]を得ることができる。
不活性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水;又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
塩基としては、例えば、炭酸カリウム、酢酸セシウム、炭酸セシウム、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
金属試薬としては、例えば臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(I)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、2−チオフェンカルボン酸銅(I)等の銅塩が挙げられる。
配位子としては、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(DMEDA)、テトラメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン等のジアミン、L−プロリン、トリメチロールエタン、8−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
化合物[5]の使用量は、原料の化合物[4]に対して1〜6モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは1〜4モル当量の範囲であり、より好ましくは1〜2モル当量の範囲である。
金属試薬の使用量は、原料の化合物[4]に対して0.02〜1モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは0.05〜0.5モル当量の範囲であり、より好ましくは0.05〜0.3モル当量の範囲である。
配位子の使用量は、原料の化合物[4]に対して0.1〜4モル当量の範囲で使用することができ、好ましくは0.2〜2モル当量の範囲であり、より好ましくは0.2〜1.2モル当量の範囲である。
溶媒の使用量は、原料の化合物[4]に対して1〜100質量倍の範囲で使用することができ、好ましくは1〜30質量倍の範囲であり、より好ましくは1〜10質量倍の範囲である。
反応温度は、通常、室温から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは100℃〜140℃の範囲であり、より好ましくは120℃〜140℃の範囲である。
化合物[1]は、再結晶による精製品のほか、リスラリー、クロマトグラフィー等の方法による精製品として得ることができ、また、未精製品として得ることもできる。
なお、次に示す化合物[1]又はその医薬上許容される塩の再結晶については、精製したもの又は未精製のものを原料として使用することができる。
【0031】
スキーム4で得られた化合物[1]について、所定の溶媒を用いて結晶化し、化合物[1]又はその医薬上許容される塩の結晶を得ることができる。
【0032】
ここで、化合物[1]又はその医薬上許容される塩の結晶について、以下に説明する。
【0033】
本発明の化合物[1]又はその医薬上許容される塩の結晶(以下、「本発明結晶」ということがある)は、前述のように一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れたものである。
【0034】
本発明結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0035】
所定の溶媒に化合物[1]又はその医薬上許容される塩を加熱溶解させた後、徐冷することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ過、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]又はその医薬上許容される塩の結晶を得ることができる。なお、再結晶は、1度のみならず2度以上繰り返してもよいが、通常は1度のみ再結晶を行う。
【0036】
冷却させる時間は、10秒以上であれば特に制限されないが、通常10分から24時間であり、好ましくは30分から8時間である。
【0037】
また、結晶化に際しては種晶を使用することができる。種晶は、晶析のための溶液が入った容器の壁をスパチュラでこするなど、当業者にとって良く知られた方法で取得しておくことができる。
【0038】
化合物[1]又はその医薬上許容される塩の結晶を高湿度(75%〜93%)に調湿したデシケーター内に入れ、1日〜1週間保管することで、化合物[1]又はその医薬上許容される塩の水和物の結晶を得ることができる。
【0039】
所定の溶媒に化合物[1]を溶解させた後、所定の酸溶液及び所定の溶媒を加えることにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ過、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]の医薬上許容される塩の結晶を得ることができる。
【0040】
化合物[1]フリー体のA形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0041】
化合物[1]フリー体のA形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=5.2度、15.5度、18.0度、及び20.8度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが90℃〜95℃にある。
【0042】
化合物[1]フリー体のA形結晶の粉末X線回折パターンは
図1に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図2に示した通りである。
【0043】
なお、粉末X線結晶回折による特徴的なピークは、測定条件によって変動することがある。そのため、本発明結晶の粉末X線結晶回折のピークについて、誤差が生じたり、明確でなかったりする場合がある。
【0044】
また、同様に、熱重量測定/示差熱分析の特徴的な吸熱ピークも、測定条件によって変動することがある。そのため、本発明結晶の熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについて、誤差が生じたり、明確でなかったりする場合がある。
【0045】
図1及び2から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のA形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のA形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0046】
次に、化合物[1]フリー体のA形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0047】
化合物[1]フリー体のA形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0048】
所定の溶媒に化合物[1]を加熱溶解させた後、徐冷することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]フリー体のA形結晶を得ることができる。
【0049】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0050】
前記所定の溶媒の具体例としては、イソプロピルエーテルが挙げられる。
【0051】
化合物[1]フリー体のA形結晶の結晶化は、通常0℃から使用する溶媒の沸点までで行う。好ましくは、20℃〜30℃である。
【0052】
析出した化合物[1]フリー体のA形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0053】
化合物[1]フリー体のA形結晶の乾燥は、通常20℃〜30℃で行う。
【0054】
化合物[1]フリー体のB形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0055】
化合物[1]フリー体のB形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=6.3度、17.7度、20.6度、及び23.5度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが58℃〜63℃、84℃〜89℃、及び88℃〜93℃にある。
【0056】
化合物[1]フリー体のB形結晶の粉末X線回折パターンは
図3に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図4に示した通りである。
【0057】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0058】
図3及び4から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のB形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のB形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0059】
次に、化合物[1]フリー体のB形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0060】
化合物[1]フリー体のB形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0061】
所定の溶媒に化合物[1]を加熱溶解させた後、冷却、攪拌することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]フリー体のB形結晶を得ることができる。
【0062】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0063】
前記所定の溶媒の具体例としては、水が挙げられる。
【0064】
化合物[1]フリー体のB形結晶の結晶化は、通常0℃〜10℃で行う。好ましくは、0℃〜5℃である。
【0065】
析出した化合物[1]フリー体のB形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0066】
化合物[1]フリー体のB形結晶の乾燥は、通常20℃〜30℃で行う。
【0067】
化合物[1]フリー体のC形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0068】
化合物[1]フリー体のC形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=5.2度、15.5度、17.0度、及び20.6度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが59℃〜64℃、及び86℃〜91℃にある。
【0069】
化合物[1]フリー体のC形結晶の粉末X線回折パターンは
図5に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図6に示した通りである。
【0070】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0071】
図5及び6から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のC形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のC形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0072】
次に、化合物[1]フリー体のC形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0073】
化合物[1]フリー体のC形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0074】
所定の溶媒に化合物[1]を加熱溶解させた後、徐冷することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]フリー体のC形結晶を得ることができる。
【0075】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0076】
前記所定の溶媒の具体例としては、水が挙げられる。
【0077】
化合物[1]フリー体のC形結晶の結晶化は、通常20℃〜30℃で行う。
【0078】
析出した化合物[1]フリー体のC形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0079】
化合物[1]フリー体のC形結晶の乾燥は、通常20℃〜30℃で行う。
【0080】
化合物[1]フリー体のD形結晶について、以下に具体的に説明する。
【0081】
化合物[1]フリー体のD形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=15.7度、17.9度、21.6度、及び23.8度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが86℃〜91℃にある。
【0082】
化合物[1]フリー体のD形結晶の粉末X線回折パターンは
図7に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図8に示した通りである。
【0083】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0084】
図7及び8から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のD形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のD形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0085】
次に、化合物[1]フリー体のD形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0086】
化合物[1]フリー体のD形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0087】
所定の溶媒に化合物[1]を加熱溶解させた後、冷却、攪拌することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]フリー体のD形結晶を得ることができる。
【0088】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0089】
前記所定の溶媒の具体例としては、酢酸エチルが挙げられる。
【0090】
化合物[1]フリー体のD形結晶の結晶化は、通常0℃から使用する溶媒の沸点までで行う。好ましくは、0℃〜10℃であり、さらに好ましくは0〜5℃である。
【0091】
析出した化合物[1]フリー体のD形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0092】
化合物[1]フリー体のD形結晶の乾燥は、通常20℃〜30℃で行う。
【0093】
化合物[1]フリー体のE形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0094】
化合物[1]フリー体のE形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.1度、19.0度、20.8度、及び24.2度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが100℃〜105℃にある。
【0095】
化合物[1]フリー体のE形結晶の粉末X線回折パターンは
図9に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図10に示した通りである。
【0096】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0097】
図9及び10から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のE形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]フリー体のE形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0098】
次に、化合物[1]フリー体のE形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0099】
化合物[1]フリー体のE形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0100】
所定の溶媒に化合物[1]を加熱溶解させた状態から、溶媒留去や冷却、又はさらに所定の溶媒を加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]フリー体のE形結晶を得ることができる。
【0101】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0102】
前記所定の溶媒の具体例としては、tert−ブチルメチルエーテル及びトルエン、これらの混合溶媒が挙げられる。
【0103】
tert−ブチルメチルエーテルとトルエンとの混合溶媒における混合比は適宜に変更することができる。
【0104】
化合物[1]フリー体のE形結晶の結晶化は、通常−20℃〜100℃で行う。好ましくは、0℃〜70℃である。
【0105】
析出した化合物[1]フリー体のE形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0106】
化合物[1]フリー体のE形結晶の乾燥は、通常20℃〜60℃である。
【0107】
化合物[1]塩酸塩のA形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0108】
化合物[1]塩酸塩のA形結晶は、以下の(a)〜(c)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=4.1度、17.3度、20.4度、及び24.5度にピークを有する;
(b)赤外線吸収スペクトル(KBr法)において、特性吸収帯が、1602cm
-1、1251cm
-1、1119cm
-1、及び750cm
-1にある;並びに
(c)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが202℃〜207℃にある。
【0109】
化合物[1]塩酸塩のA形結晶の粉末X線回折パターンは
図11に、赤外吸収スペクトル(KBr法)は
図12に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図13に示した通りである。
【0110】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0111】
また、同様に、赤外線吸収スペクトルの特徴的なピークも、測定条件によって変動することがある。そのため、本発明結晶の赤外線吸収スペクトルのピークについて、誤差が生じたり、明確でなかったりする場合がある。
【0112】
図11〜13から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩のA形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩のA形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0113】
次に、化合物[1]塩酸塩のA形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0114】
化合物[1]塩酸塩のA形結晶は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0115】
所定の溶媒と化合物[1]を攪拌し、加熱溶解させた後、塩酸を加え、徐冷することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]塩酸塩のA形結晶を得ることができる。
【0116】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0117】
前記所定の溶媒の具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0118】
混合溶媒における混合比は適宜に変更することができる。
【0119】
化合物[1]塩酸塩のA形結晶の結晶化は、通常−20℃から使用する溶媒の沸点までで行う。好ましくは、0℃〜70℃である。
【0120】
析出した化合物[1]塩酸塩のA形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0121】
化合物[1]塩酸塩のA形結晶の乾燥は、通常100℃以下で行う。好ましくは、20℃〜50℃である。
【0122】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)について、以下に詳細に説明する。
【0123】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=7.4度、16.5度、19.5度、及び24.8度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが49℃〜54℃及び202℃〜207℃に、また、7%〜8%の重量減少が30℃〜60℃にある。
【0124】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)の粉末X線回折パターンは
図14に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図15に示した通りである。
【0125】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。また、熱重量測定/示差熱分析の重量減少についても、測定条件によって変動することがある。
【0126】
図14及び15から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0127】
次に、化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)の製造方法について詳細に説明する。
【0128】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0129】
化合物[1]塩酸塩のA形結晶を93%に調湿したデシケーター内に入れ、2日間保管することで、化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)を得ることができる。
【0130】
化合物[1]塩酸塩のB形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0131】
化合物[1]塩酸塩のB形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=4.2度、14.2度、17.8度、及び24.6度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが186℃〜191℃、及び204℃〜209℃、発熱ピークが188℃〜193℃にある。
【0132】
化合物[1]塩酸塩のB形結晶の粉末X線回折パターンは
図16に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図17に示した通りである。
【0133】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。また、熱重量測定/示差熱分析の発熱ピークについても、測定条件によって変動することがある。
【0134】
図16及び17から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩のB形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩のB形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0135】
次に、化合物[1]塩酸塩のB形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0136】
化合物[1]塩酸塩のB形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0137】
所定の溶媒に化合物[1]塩酸塩を加熱溶解させた後、冷却、攪拌することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]塩酸塩のB形結晶を得ることができる。
【0138】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]塩酸塩は、非晶質又は結晶である。
【0139】
前記所定の溶媒の具体例としては、水が挙げられる。
【0140】
化合物[1]塩酸塩のB形結晶の結晶化は、通常0℃〜10℃で行う。好ましくは、0℃〜5℃である。
【0141】
析出した化合物[1]塩酸塩のB形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0142】
化合物[1]塩酸塩のB形結晶の乾燥は、通常100℃以下で行う。好ましくは、20℃〜30℃である。
【0143】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)について、以下に詳細に説明する。
【0144】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=4.1度、14.1度、24.5度、及び25.8度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが49℃〜54℃、86℃〜91℃、及び202℃〜207℃に、発熱ピークが180℃〜185℃に、また、7%〜8%の重量減少が30℃〜100℃にある。
【0145】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)の粉末X線回折パターンは
図18に、熱重量測定/示差熱分析カーブは19に示した通りである。
【0146】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピーク、発熱ピーク、及び重量減少については、測定条件によって変動することがある。
【0147】
図18及び19から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0148】
次に、化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)の製造方法について詳細に説明する。
【0149】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0150】
所定の溶媒に化合物[1]塩酸塩を加熱溶解させた後、徐冷することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)を得ることができる。
【0151】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]塩酸塩は、非晶質又は結晶である。
【0152】
前記所定の溶媒の具体例としては、水が挙げられる。
【0153】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)の結晶化は、通常20℃〜30℃で行う。
【0154】
析出した化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0155】
化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)の乾燥は、通常20℃〜30℃で行う。
【0156】
化合物[1]塩酸塩のC形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0157】
化合物[1]塩酸塩のC形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=5.8度、15.6度、22.4度、及び25.6度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが186℃〜191℃及び202℃〜207℃に、発熱ピークが190℃〜195℃にある。
【0158】
化合物[1]塩酸塩のC形結晶の粉末X線回折パターンは
図20に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図21に示した通りである。
【0159】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピーク及び発熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0160】
図20及び21から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩のC形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]塩酸塩のC形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0161】
次に、化合物[1]塩酸塩のC形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0162】
化合物[1]塩酸塩のC形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0163】
所定の溶媒に化合物[1]を溶解させた後、塩化水素の酢酸エチル溶液を加え、攪拌することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]塩酸塩のC形結晶を得ることができる。
【0164】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0165】
前記所定の溶媒の具体例としては、酢酸エチルが挙げられる。
【0166】
化合物[1]塩酸塩のC形結晶の結晶化は、通常0℃から使用する溶媒の沸点までで行う。好ましくは、20℃〜30℃である。
【0167】
析出した化合物[1]塩酸塩のC形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0168】
化合物[1]塩酸塩のC形結晶の乾燥は、通常100℃以下で行う。好ましくは、20℃〜40℃である。
【0169】
化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0170】
化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=14.6度、17.3度、20.5度、及び24.4度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが200℃〜205℃にある。
【0171】
化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶の粉末X線回折パターンは
図22に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図23に示した通りである。
【0172】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0173】
図22及び23から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0174】
次に、化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0175】
化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0176】
所定の溶媒に化合物[1]を溶解させた後、臭化水素のエタノール溶液を加え、攪拌後、所定の溶媒を加え、冷却、攪拌することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶を得ることができる。
【0177】
溶媒に溶解前の、原料の化合物[1]は、非晶質又は結晶である。
【0178】
前記所定の溶媒の具体例としては、エタノール、メタノール、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0179】
エタノールとメタノールとの混合溶媒における混合比は適宜に変更することができる。
【0180】
化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶の結晶化は、通常0℃から使用する溶媒の沸点までで行う。好ましくは、0℃〜10℃である。
【0181】
析出した化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0182】
化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶の乾燥は、通常100℃以下で行う。好ましくは、20℃〜30℃である。
【0183】
化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶について、以下に詳細に説明する。
【0184】
化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=12.6度、17.6度、20.5度、及び25.0度にピークを有する;並びに
(b)熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)において、吸熱ピークが181℃〜186℃、193℃〜198℃、及び199℃〜204℃に、発熱ピークが184℃〜189℃にある。
【0185】
化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶の粉末X線回折パターンは
図24に、熱重量測定/示差熱分析カーブは
図25に示した通りである。
【0186】
なお、前述の通り、粉末X線結晶回折による特徴的なピークや熱重量測定/示差熱分析の吸熱ピーク及び発熱ピークについては、測定条件によって変動することがある。
【0187】
図24及び25から分かるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本願明細書に記載の方法で製造される化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
【0188】
次に、化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶の製造方法について詳細に説明する。
【0189】
化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
【0190】
所定の溶媒に化合物[1]臭化水素酸塩を加熱溶解させた後、冷却、攪拌することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶を得ることができる。
【0191】
溶媒に溶解前の、化合物[1]臭化水素酸塩は、非晶質又は結晶である。
【0192】
前記所定の溶媒の具体例としては、水が挙げられる。
【0193】
化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶の結晶化は、通常0℃〜100℃で行う。好ましくは、0℃〜10℃であり、さらに好ましくは0〜5℃である。
【0194】
析出した化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
【0195】
化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶の乾燥は、通常100℃以下で行う。好ましくは、20℃〜30℃である。
【0196】
化合物[1]又はその医薬上許容される塩は、互変異性を有し、種々の互変異性体が存在する。本発明の化合物は、それらの異性体、及びそれらの異性体を任意の割合で含んだ混合物も含む。
【0197】
本発明において、医薬上許容される塩とは、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸などの無機酸との塩;酢酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、エタンスルホン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、ガラクタル酸、ナフタレン−2−スルホン酸などの有機酸との塩等が挙げられる。
【0198】
化合物[1]又はその医薬上許容される塩は、各種溶媒和物としても存在し得る。また、医薬としての適用性の面から水和物の場合もある。
【実施例】
【0199】
以下に、参考例及び実施例を示し、本発明をさらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらの記載により限定的に解釈されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0200】
下記実施例における収率は、反応条件及び後処理・単離条件により影響を受けているものがあり、最適化された反応条件及び後処理・単離条件を選択することによってさらに高い収率にすることが可能である。
【0201】
本実施例に記載した機器分析データは、以下の測定機器にて測定した。
核磁気共鳴分光分析(NMR):UNITY INOVA300(Varian;
1H 300 MHz)
高速液体クロマトグラフ分析(HPLC):LC-10ATvp、SIL-10ADvp、CTO-10ACvp、SPD-M10Avp、FCV-10ALvp、SCL-10Avp(島津製作所)
【0202】
本明細書中で用いられている各略語を次に示す。
NMR:核磁気共鳴(nuclear magentic resonance)
s : シングレット(singlet)
d : ダブレット(doublet)
t : トリプレット(triplet)
m : マルチプレット(multiplet)
br s : ブロード シングレット(broad singlet)
J : スピン結合定数(coupling constant)
Hz : ヘルツ(Hertz)
【0203】
化合物の命名には、ACD/Name 2012 (Advanced Chemistry Development Inc.)等のソフトを使用している場合がある。
【0204】
粉末X線回折測定にはRINT Ultima III(Rigaku)又はSmartlab(Rigaku)を用いた。
【0205】
赤外線吸収スペクトル(KBr法)は、Spectrum One(Perkin Elmer)にて測定した。
【0206】
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)は、Thermo plus TG8120(Rigaku)又はThermo plus EVO TG8120(Rigaku)にて測定した。
【0207】
本明細書では、室温とは、特に断りが無い限り、20〜30℃を指す。
氷冷下とは、特に断りが無い限り、0〜5℃を指す。
【0208】
化合物[10]及び化合物[2’]は、以下の参考例1〜2に示す方法によって得た。
【0209】
参考例1 化合物[10]の製造
【0210】
【化7】
4−ブロモフェノール[8](140g)に炭酸カリウム(224g)、NMP(350g)、3−クロロプロパン−1−オール[9](84.1g)を加え84℃〜89℃にて5時間攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し、トルエン(561g)と水(701g)を加え分液した。有機層を水にて洗浄し、減圧下濃縮してNMPを含む褐色液体の標題化合物[10](220g)を得た。
【0211】
1H NMR ( 300 MHz, CDCl
3 ) : δ 1.77 ( br s, 1H ), 1.98 - 2.09 ( m, 2H ), 3.85 ( t, J = 6.0 Hz, 2H ), 4.09 ( t, J = 6.1 Hz, 2H ), 6.75 - 6.83 ( m, 2H ), 7.32 - 7.42 ( m, 2H ).
化合物[10]のHPLC保持時間は、約6.3分。HPLC測定は、カラム;CAPCELL PAK C18 UG120 (4.6 mmφ×150 mm, 5 μm)、カラム温度:40 ℃、流速:1 mL / min、検出波長:230 nm ( UV ) 、移動相;A液 10mM 酢酸アンモニウム水溶液、B液 アセトニトリル、グラジエント条件;A液/B液 = 60/40 にて1分間保持した後、5分間かけてA液/B液 = 10/90 にし、A液/B液 = 10/90を12分間保持する条件にて実施した。
【0212】
参考例2 化合物[2’]の製造
【0213】
【化8】
参考例1で得られた化合物[10](219g)にアセトニトリル(838g)、トリエチルアミン(163g)を加えて冷却し、13℃〜20℃にてp−トルエンスルホニルクロリド(TsCl)(184g)を加えた。11℃〜18℃にて約4時間30分攪拌した後、水にて結晶化して白色結晶の標題化合物[2’](286g)を得た。
【0214】
1H NMR ( 300 MHz, CDCl
3 ) : δ 2.05 - 2.16 ( m, 2H ), 2.39 ( s, 3H ), 3.90 ( t, J = 5.8 Hz, 2H ), 4.23 ( t, J = 6.0 Hz, 2H ), 6.58 - 6.69 ( m, 2H ), 7.20 - 7.28 ( m, 2H ), 7.29 - 7.39 ( m, 2H ), 7.70 - 7.80 ( m, 2H ).
化合物[2’]のHPLC保持時間は、約11.0分。HPLC測定は、カラム;CAPCELL PAK C18 UG120 (4.6 mmφ×150 mm, 5 μm)、カラム温度:40 ℃、流速:1 mL / min、検出波長:230 nm ( UV ) 、移動相;A液 10mM 酢酸アンモニウム水溶液、B液 アセトニトリル、グラジエント条件;A液/B液 = 60/40 にて1分間保持した後、5分間かけてA液/B液 = 10/90 にし、A液/B液 = 10/90を12分間保持する条件にて実施した。
【0215】
化合物[1]フリー体のE形結晶は、以下の実施例1〜3に示す方法によって得た。
【0216】
実施例1 化合物[5]の製造
【0217】
【化9】
化合物[6’](140g)にモルホリン[7](174g)、DBU(30.4g)を加え115℃〜123℃にて14時間攪拌した。その間、留去物(15.1g)を抜き取った。反応混合物を78℃まで冷却し、トルエンにて結晶化して淡黄色結晶の標題化合物[5](148g)を得た。
【0218】
1H NMR ( 300 MHz, CDCl
3 ) : δ 3.74 ( br s, 8H ), 7.79 ( s, 2H ), 12.14 ( br s, 1H ).
化合物[5]のHPLC保持時間は、約4.3分。HPLC測定はカラム;CAPCELL PAK C18 UG120 (4.6 mmφ×150 mm, 5 μm)、カラム温度:40 ℃、流速:1 mL / min、検出波長:230 nm ( UV ) 、移動相;A液 10mM 酢酸アンモニウム水溶液、B液 アセトニトリル、グラジエント条件;A液/B液 = 95/5 にて4分間保持した後、11分間かけてA液/B液 = 10/90 にし、A液/B液 = 10/90を5分間保持する条件にて実施した。
【0219】
実施例2 化合物[4’]の製造
【0220】
【化10】
参考例2で得られた化合物[2’](280g)にNMP(840g)、トルエン(271g)を加え、さらに化合物[3](68.1g)を加えてトルエン(9.10g)にて洗い込みした。その懸濁液に炭酸カリウム(201g)を加え55℃〜63℃にて約7時間30分攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し、トルエン(701g)と水(981g)を加え分液した。有機層に1M塩酸(1260g)を加え逆抽出した。水層にトルエン(1400g)と2M水酸化ナトリウム水溶液(700g)を加え分液した。有機層を水にて洗浄し、減圧下濃縮して淡黄色液体の標題化合物[4’](203g)を得た。
【0221】
1H NMR ( 300 MHz, CDCl
3 ) : δ 1.08 ( d, J = 6.1 Hz, 3H ), 1.32 - 1.50 ( m, 1H ), 1.60 - 2.35 ( m, 8H ), 2.88 - 3.03 ( m, 1H ), 3.10 - 3.24 ( m, 1H ), 3.92 - 4.06 ( m, 2H ), 6.74 - 6.83 ( m, 2H ), 7.31 - 7.41 ( m, 2H ).
化合物[4’]のHPLC保持時間は、約16.7分。HPLC測定はカラム;Inertsil ODS-4 (4.6 mmφ×150 mm, 5 μm)、カラム温度:40 ℃、流速:1 mL / min、検出波長:230 nm ( UV )、移動相;A液 0.05mol/L リン酸緩衝液(pH 7.0)、B液 メタノール、グラジエント条件;A液/B液 = 40/60 を15分間かけてA液/B液 = 10/90 にし、A液/B液 = 10/90を7分間保持する条件にて実施した。
【0222】
実施例3 化合物[5]と化合物[4’]との反応による化合物[1]フリー体のE形結晶の製造
【0223】
【化11】
実施例1で得られた化合物[5](127g)に炭酸カリウム(97.0g)、塩化銅(I)(6.33g)、NMP(550g)、DMEDA(22.5g)を加え、さらに実施例2で得られた化合物[4’](195g)を加えてNMP(20.1g)にて洗い込みした。その混合液に水(5.71g)を加え125℃〜130℃にて約8時間30分攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し、トルエン(1520g)と28%アンモニア水(895g)を加え分液した。有機層に28%アンモニア水(380g)を加え分液した。有機層を水にて洗浄し、減圧下濃縮した後、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)にて結晶化して白色結晶の標題の化合物[1]の結晶(218g)を得た。
【0224】
1H NMR ( 300 MHz, CDCl
3 ) : δ 1.09 ( d, J = 6.1 Hz, 3H ), 1.34 - 1.50 ( m, 1H ), 1.61 - 2.37 ( m, 8H ), 2.92 - 3.05 ( m, 1H ), 3.13 - 3.23 ( m, 1H ), 3.70 - 3.82 ( m, 8H ), 4.03 - 4.11 ( m, 2H ), 6.95 - 7.02 ( m, 2H ), 7.53 - 7.60 ( m, 2H ), 7.78 ( d, J = 0.6 Hz, 1H ), 8.14 ( d, J = 0.8 Hz, 1H ).
化合物[1]のHPLC保持時間は、約13.7分。HPLC測定はカラム;Inertsil ODS-4 (4.6 mmφ×150 mm, 5 μm)、カラム温度:40 ℃、流速:1 mL / min、検出波長:230 nm ( UV )、移動相;A液 0.05mol/L リン酸緩衝液(pH 7.0)、B液 メタノール、グラジエント条件;A液/B液 = 70/30 を15分間かけてA液/B液 = 5/95 にし、A液/B液 = 5/95を10分間保持する条件にて実施した。
【0225】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]フリー体のE形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=8.1度、19.0度、20.8度、及び24.2度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、100℃〜105℃に吸熱ピークが認められた。
【0226】
化合物[1]フリー体の結晶(A形〜D形結晶)は、以下の実施例4〜7に示す方法によって得た。
【0227】
実施例4 化合物[1]フリー体のA形結晶の製造
(1)WO2009/063953に記載の方法に従って、(2R)−1−[3−(4−ヨードフェノキシ)プロピル]−2−メチルピロリジン(化合物[15])(3.50g)、化合物[5](2.20g)、rac−trans−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.575g)、ヨウ化銅(I)(0.192g)、及び炭酸セシウム(6.58g)をN,N−ジメチルホルムアミド(6.0mL)中で反応させ、化合物[1]を得た。
(2)上記(1)で得られた化合物[1]に、イソプロピルエーテルを加え、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶(2.28g)を得た。
【0228】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]フリー体のA形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=5.2度、15.5度、18.0度、及び20.8度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、90℃〜95℃に吸熱ピークが認められた。
【0229】
実施例5 化合物[1]フリー体のB形結晶の製造
実施例4で得られた化合物[1](30mg)に、水を加えて加熱溶解した後、氷冷下で攪拌し、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶を得た。
【0230】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]フリー体のB形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=6.3度、17.7度、20.6度、及び23.5度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、58℃〜63℃、84℃〜89℃、及び88℃〜93℃に吸熱ピークが認められた。
【0231】
実施例6 化合物[1]フリー体のC形結晶の製造
実施例4で得られた化合物[1](30mg)に、水を加えて加熱溶解した後、室温下で徐冷し、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶を得た。
【0232】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]フリー体のC形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=5.2度、15.5度、17.0度、及び20.6度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、59℃〜64℃及び86℃〜91℃に吸熱ピークが認められた。
【0233】
実施例7 化合物[1]フリー体のD形結晶の製造
実施例4で得られた化合物[1](30mg)に、酢酸エチルを加えて加熱溶解した後、氷冷下で攪拌し、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶を得た。
【0234】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]フリー体のD形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=15.7度、17.9度、21.6度、及び23.8度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、86℃〜91℃に吸熱ピークが認められた。
【0235】
化合物[1]塩酸塩の結晶(A形〜C形結晶)並びに2水和物結晶(Dihydrate I及びDihydrate II)は、以下の実施例8〜12に示す方法によって得た。
【0236】
実施例8 化合物[1]塩酸塩のA形結晶の製造
実施例3で得られた化合物[1](200g)に、エタノールを加えて攪拌し、加熱溶解した後、塩酸を加え、徐冷して結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶(198g)を得た。
【0237】
上記結晶の粉末X線回折パターン、赤外吸収スペクトル(KBr法)、及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]塩酸塩のA形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=4.1度、17.3度、20.4度、及び24.5度にピークが認められた。
赤外線吸収スペクトル(KBr法)については、1602cm
-1、1251cm
-1、1119cm
-1、及び750cm
-1に特性吸収帯が認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、202℃〜207℃に吸熱ピークが認められた。
【0238】
実施例9 化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)の製造
化合物[1]塩酸塩のA形結晶(30mg)を、93%に調湿したデシケーター内に入れ、2日間保管し、標題の結晶を得た。
【0239】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate I)であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=7.4度、16.5度、19.5度、及び24.8度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、49℃〜54℃及び202℃〜207℃に吸熱ピークが、30℃〜60℃に7%〜8%の重量減少が認められた。
【0240】
実施例10 化合物[1]塩酸塩のB形結晶の製造
化合物[1]塩酸塩のA形結晶(30mg)に、水を加えて加熱溶解した後、氷冷下で攪拌し、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶を得た。
【0241】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]塩酸塩のB形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=4.2度、14.2度、17.8度、及び24.6度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、186℃〜191℃及び204℃〜209℃に吸熱ピーク、188℃〜193℃に発熱ピークが認められた。
【0242】
実施例11 化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)の製造
化合物[1]塩酸塩のA形結晶(30mg)に、水を加えて加熱溶解した後、室温下で徐冷し、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶を得た。
【0243】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]塩酸塩2水和物結晶(Dihydrate II)であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=4.1度、14.1度、24.5度、及び25.8度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、49℃〜54℃、86℃〜91℃、及び202℃〜207℃に吸熱ピーク、180℃〜185℃に発熱ピーク、30℃〜100℃に7%〜8%の重量減少が認められた。
【0244】
実施例12 化合物[1]塩酸塩のC形結晶の製造
化合物[1](0.5g)の酢酸エチル(5mL)溶液に塩化水素の酢酸エチル溶液(4M 0.5mL)を加え、室温にて30分間攪拌し、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶(0.4g)を得た。
【0245】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]塩酸塩のC形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=5.8度、15.6度、22.4度、及び25.6度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、186℃〜191℃及び202℃〜207℃に吸熱ピーク、190℃〜195℃に発熱ピークが認められた。
【0246】
化合物[1]臭化水素酸塩の結晶(A形及びB形結晶)は、以下の実施例13〜14に示す方法によって得た。
【0247】
実施例13 化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶の製造
化合物[1](1.0g)のエタノール(5mL)溶液に臭化水素のエタノール溶液(1.5M 2.0mL)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、エタノール:メタノール=95:5溶液(10mL)を加えて溶液とし、氷浴で冷却しながら3時間攪拌した。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶(1.1g)を得た。
【0248】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=14.6度、17.3度、20.5度、及び24.4度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、200℃〜205℃に吸熱ピークが認められた。
【0249】
実施例14 化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶の製造
実施例13で得られた化合物[1]臭化水素酸塩のA形結晶(30mg)に、水を加えて加熱溶解した後、氷冷下で攪拌し、結晶化を行った。得られた結晶をろ取して乾燥し、標題の結晶を得た。
【0250】
上記結晶の粉末X線回折パターン及び熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)を測定したところ、化合物[1]臭化水素酸塩のB形結晶であった。
粉末X線回折パターンについては、2θ=12.6度、17.6度、20.5度、及び25.0度にピークが認められた。
熱重量測定/示差熱分析(TG/DTA)については、181℃〜186℃、193℃〜198℃、及び199℃〜204℃に吸熱ピーク、184℃〜189℃に発熱ピークが認められた。