【解決手段】対象におけるがん処置の方法であって、対象に、zesteホモログ2エンハンサー阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とを含む組合せ療法を施すことを含む。
対象におけるがん処置の方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とを含む組合せ療法を施すことを含む方法。
EZH2阻害剤が、5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項6に記載のがん処置の方法。
EZH2阻害剤が、5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンまたは薬学的に許容できるその塩であり、白金系抗新生物剤がシスプラチンである、請求項1から5のいずれか一項に記載のがん処置の方法。
EZH2阻害剤が、5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンまたは薬学的に許容できるその塩であり、白金系抗新生物剤がカルボプラチンである、請求項1から5のいずれか一項に記載のがん処置の方法。
抗腫瘍剤、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、および抗増殖剤から選択される追加の抗がん剤を投与することをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のがん処置の方法。
抗がん剤が、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入用抗生物質(intercalating antibiotic)、成長因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗体、細胞傷害性物質、抗ホルモン、アンドロゲン除去療法、および抗アンドロゲン物質からなる群から選択される抗腫瘍剤である、請求項14に記載のがん処置の方法。
抗がん剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、mAb7、mAb15、AMP−224、AGEN−2034、スパルタリズマブ、YW243.55.S70、BMS−936559、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、およびAGEN−1884からなる群から選択される抗腫瘍剤である、請求項14に記載のがん処置の方法。
第1の容器と、第2の容器と、添付文書とを含み、第1の容器は、少なくとも1用量のEZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩を含み、第2の容器は、少なくとも1用量の白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩を含み、添付文書は、本医薬を使用して対象のがん処置を行うための指示を含む、キット。
抗腫瘍剤、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、および抗増殖剤から選択される追加の抗がん剤をさらに含む、請求項18もしくは19に記載の組合せ、請求項20もしくは21に記載の相乗的な組合せ、請求項22に記載の医薬組成物、または請求項23に記載のキット。
追加の抗がん剤が、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入用抗生物質、成長因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗体、細胞傷害性物質、抗ホルモン、アンドロゲン除去療法、および抗アンドロゲン物質からなる群から選択される抗腫瘍剤である、請求項24に記載の組合せ、相乗的な組合せ、医薬組成物、またはキット。
追加の抗がん剤が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、および抗CTLA−4抗体からなる群から選択される抗腫瘍剤である、請求項24に記載の組合せ、相乗的な組合せ、医薬組成物、またはキット。
追加の抗がん剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、mAb7、mAb15、AMP−224、AGEN−2034、スパルタリズマブ、YW243.55.S70、BMS−936559、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、およびAGEN−1884からなる群から選択される抗腫瘍剤である、請求項24に記載の組合せ、相乗的な組合せ、医薬組成物、またはキット。
EZH2阻害剤が、5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンまたは薬学的に許容できるその塩であり、白金系抗新生物剤がシスプラチンである、請求項18、19、および24から27のいずれか一項に記載の組合せ、請求項20、21、および24から27のいずれか一項に記載の相乗的な組合せ、請求項22および24から27のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項23から27のいずれか一項に記載のキット。
EZH2阻害剤が、5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンまたは薬学的に許容できるその塩であり、白金系抗新生物剤がカルボプラチンである、請求項18、19、および24から27のいずれか一項に記載の組合せ、請求項20、21、および24から27のいずれか一項に記載の相乗的な組合せ、請求項22および24から27のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項23から27のいずれか一項に記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明、および本明細書に含まれる実施例を参照することで、より容易に理解することができる。本明細書で使用する術語は、詳細な実施形態について述べる目的のものに過ぎず、限定する意図はないと理解される。さらに、本明細書において別段詳細に定義しない限り、本明細書で使用する術語には、関連業界で知られているとおりのその伝統的な意味が充てられると理解される。
【0039】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段指摘しない限り、複数の言及を包含する。たとえば、「“a”substituent」は、1つまたは複数の置換基を含む。
【0040】
用語「約」は、数値的に規定されるパラメーター(たとえば、EZH2阻害剤の用量、シスプラチンなどの白金系抗新生物剤の用量、エトポシドなどの化学療法剤の用量など)を修飾するのに使用するとき、パラメーターが、そのパラメーターについて明記された数値を10%程度上回るか下回って変動しうることを意味する。たとえば、約5mg/kgの用量は、用量が、4.5mg/kg〜5.5mg.kgの間で変動しうることを意味すると理解すべきである。
【0041】
用語「異常細胞増殖」と「過剰増殖性疾患」は、本出願では区別なく使用する。
【0042】
本明細書で使用するとき、「異常細胞増殖」とは、別段指摘しない限り、正常な調節機序と無関係である細胞増殖を指す(たとえば、接触阻害の喪失)。異常細胞増殖は、良性である(がん性でない)、または悪性である(がん性である)場合がある。
【0043】
用語「がん」、「がん性」、「悪性」とは、通常は無秩序な細胞増殖を特徴とする、哺乳動物における生理的状態を指すまたは形容する。本明細書で使用するとき、「がん」とは、異常細胞増殖によって引き起こされる、悪性かつ/または浸潤性のいずれかの増殖または腫瘍を指す。本明細書で使用するとき、「がん」とは、それをなす細胞のタイプにちなんで名付けられる固形腫瘍、血液、骨髄、またはリンパ系のがんを指す。固形腫瘍の例としては、限定はしないが、肉腫および癌腫が挙げられる。血液のがんの例としては、限定はしないが、白血病、リンパ腫、および骨髄腫が挙げられる。用語「がん」は、限定はしないが、身体の特定の部位に端を発する原発がん、がんが始まった場所から身体の他の部分に広がってしまった転移がん、寛解後の元の原発がんからの再発、および以前のがんが後のがんとは異なるタイプであるという病歴を有する者における新たな原発がんである、第2の原発がんを包含する。がんの例としては、限定はしないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、および肉腫が挙げられる。そうしたがんのより詳細な例としては、扁平上皮癌、骨髄腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLCBCL)、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、消化管がん、腎がん、卵巣がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、甲状腺がん、黒色腫、軟骨肉腫、神経芽細胞腫、膵臓がん、多形性神経膠芽腫、子宮頚がん、脳腫瘍、胃がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸癌、および頭頚部がんが挙げられる。
【0044】
用語「患者」または「対象」とは、治療が望まれる、または臨床試験、疫学調査に参加している、もしくは対照として使用されている、いずれかの単独対象を指し、ヒト、およびウシ、ウマ、イヌ、ネコなどの哺乳動物獣医学患者が含まれる。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0045】
本明細書で使用する、がんを「処置する(treatまたはtreating)」という用語は、がんを有する、またはがんと診断されている対象に、本発明による組合せ療法を投与して、少なくとも1つのプラスの治療効果、たとえば、がん細胞数の減少、腫瘍サイズの縮小、がん細胞の周囲臓器への浸潤速度の減速、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長速度の減速を実現して、こうした用語が適用される障害もしくは状態またはそうした障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を後退させ、緩和し、その進行を阻止し、または予防することを意味する。本明細書で使用する用語「処置(treatment)」とは、別段指摘しない限り、処置する行為を指し、「処置する」は、直前で定義したとおりである。用語「処置する」は、対象の補助および術前補助治療も包含する。本発明の目的では、有益なまたは所望の臨床結果には、限定はしないが、新生物性もしくはがん性細胞の増殖を減らす(もしくは破壊する)こと、転移もしくは腫瘍性細胞を阻止すること、腫瘍サイズを小型化もしくは縮小すること、がんを寛解させること、がんの結果として生じる症状を軽減すること、がんに罹患している者の生活の質を向上させること、がん処置に必要な他の投薬の用量を減らすこと、がんの進行を遅らせること、がんを治癒させること、がんの1つまたは複数の抵抗性機序を克服すること、および/またはがん患者の生存を長引かせることの1つまたは複数が含まれる。がんにおけるプラスの治療効果は、いくつかの手段によって測定することができる(たとえば、W.A.Weber、J.Nucl.Med.50:1S〜10S(200)を参照されたい)。一部の実施形態では、本発明の組合せによって実現される処置は、部分応答(PR)、著効(CR)、奏効(OR)、無進行生存(PFS)、無病生存(DFS)、および全生存(OS)のいずれかである。「腫瘍無進行期間」とも呼ばれるPFSは、処置中および処置後の、がんが成長しない時間の長さを示し、患者がCRまたはPRを経験する時間、ならびに患者が安定疾患(SD)を経験する時間を含む。DFSとは、処置中および処置後の、患者が無疾患のままである時間の長さを指す。OSとは、無処置または未処置対象または患者と比べた余命の延長を指す。一部の実施形態では、本発明の組合せに対する応答は、固形癌効果判定基準(RECIST)1.1応答判定基準を使用して評価される、PR、CR<PFS、DFS、OR、またはOSのいずれかである。がん患者の処置に有効である本発明の組合せの処置レジメンは、患者の疾患状態、年齢、および体重、ならびに治療の対象における抗がん応答誘発能などの要素に応じて様々となりうる。本発明の態様のいずれかの実施形態が、対象においてことごとくプラスの治療効果の実現に有効となりうるとは限らないが、スチューデントt検定、カイ2検定、マン・ホイットニーのU検定、クラスカル・ワリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タプストラ検定、ウィルコクソン検定などの、当業界で知られているいずれかの統計的検定によって判定される、統計的に有意な数の対象において有効となるはずである。用語「処置」は、たとえば、細胞の、試薬、診断用結合性化合物による、または別の細胞による、in vitroおよびex vivoの処置も包含する。
【0046】
用語「処置レジメン」、「投薬プロトコール」、および「投薬レジメン」は、本発明の組合せにおける各治療剤を投与する用量およびタイミングを指すのに区別なく使用する。
【0047】
「回復させる」とは、本発明の方法またはレジメンの治療剤を投与しない場合と比べた、1つまたは複数の症状の軽快または改善を意味する。「回復させる」は、症状の持続時間を短期化または短縮することも含む。
【0048】
本明細書で使用するとき、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投与量」または「有効量」とは、疾患の生化学的、組織学的、かつ/または行動性の症状、その合併症、および疾患発症の際に現れる中間の病理学的表現型を含む、1つまたは複数の有益ないし所望の結果をもたらす十分な量である。治療的な使用について、「治療有効量」とは、処置対象である障害の症状の1つまたは複数をある程度解消する、投与される化合物量を指す。がん処置に関して、治療有効量は、(1)腫瘍の大きさを縮小する、(2)腫瘍転移を抑制する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、(3)腫瘍成長もしくは腫瘍浸潤性をある程度抑制する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、(4)がんと関連する1つもしくは複数の徴候もしくは症状をある程度解消する(もしくは除去することが好ましい)、(5)がん処置に必要な他の投薬の用量を減らす、ならびに/または(6)別の投薬の効果を高める、および/もしくは患者の疾患の進行を遅らせる効果を有する量を指す。有効投与量は、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、予防的または治療的処置を直接または間接的に実現するのに十分な量である。臨床的な状況で理解されているとおり、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と合わせて実現される場合もあり、そうでない場合もある。
【0049】
がんと診断された、またはがんを有する疑いのある対象に適用される「腫瘍」とは、悪性または悪性の可能性のある、いずれかの大きさの新生物または組織腫瘤を指し、原発腫瘍および続発性新生物を包含する。固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体領域を含んでいない、組織の異常な成長または腫瘤である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute、Dictionary of Cancer Terms)。
【0050】
「腫瘍量」とも呼ばれる「腫瘍負荷」とは、身体全域に分布した腫瘍材料の総量をいう。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含めた、身体全域にわたる、がん細胞の合計数または腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍負荷は、たとえば、キャリパスを使用する、または一方、体内では、画像技術、たとえば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、もしくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを使用するなどの、当業界で知られている様々な方法によって明らかにすることができる。
【0051】
用語「腫瘍サイズ」とは、腫瘍の長さおよび幅として測定することのできる腫瘍全体の大きさを指す。腫瘍サイズは、たとえば、対象から取り出した後で、腫瘍の寸法を、たとえばキャリパスを使用して測定する、または一方、体内では、画像技術、たとえば、骨スキャン、超音波、CRもしくはMRIスキャンを使用するなどの、当業界で知られている様々な方法によって明らかにすることができる。
【0052】
用語「相加的」は、2種の化合物、成分、または標的化剤を組み合わせた結果が、各化合物、成分、または標的化剤個々の合計を超えないことを意味するのに使用される。
【0053】
用語「相乗作用」または「相乗的」は、2種の化合物、成分、または標的化剤を組み合わせた結果が、各化合物、成分、または標的化剤個々の合計を超えることを意味するのに使用される。処置対象である疾患、状態、または障害のこの改善は、「相乗的」な効果である。「相乗的な量」とは、相乗的な効果をもたらす、2種の化合物、成分、または標的化剤の組合せの量であり、「相乗的」は、本明細書で定義している。
【0054】
1種または2種の成分間の相乗的な相互作用、効果の最適な範囲、および効果のための各成分の絶対用量範囲の決定は、処置を必要とする患者に、成分を、異なる用量範囲、および/または用量比にわたり投与することにより、断定的に測定することができる。しかし、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の観察によって、ヒトおよび他の種における効果を予測することができ、in vitroモデルまたはin vivoモデルは、本明細書において述べるとき、相乗的な効果を測定するために存在する。そのような研究の結果を使用して、たとえば、薬動学的および/または薬力学的方法の適用によって、有効な用量および血漿濃度比範囲ならびにヒトおよび他の種において必要となる絶対用量および血漿濃度も予測することができる。
【0055】
本明細書で使用する「非標準臨床投薬レジメン」とは、物質、薬剤、化合物、または組成物を投与するための、臨床現場において通常その物質、薬剤、化合物、または組成物に使用される量、用量、またはスケジュールとは異なるレジメンを指す。「非標準臨床投薬レジメン」は、「非標準臨床用量」または「非標準投薬スケジュール」を包含する。
【0056】
本明細書で使用する「低用量レジメン」とは、レジメンにおける物質、薬剤、化合物、または組成物の1種または複数が、臨床現場において通常その薬剤に使用されるより、たとえば、その薬剤が単独療法として投与されるときより少ない量または用量で投与される投薬レジメンを指す。
【0057】
zesteホモログ2エンハンサー
本発明の諸実施形態は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0058】
本明細書で使用するとき、用語「zesteホモログ2エンハンサー(EZH2)阻害剤」と「EZH2阻害剤」は、区別なく使用され、EZH2の野生型および/または変異体の阻害剤を意味すると解釈すべきである。EZH2の阻害剤は、当業者に知られている方法によって明らかにすることができ、たとえば、Kung,P.P.ら、J Med Chem、2016、59、8306〜8325で開示されているものなどのEZH2酵素アッセイによって、生物活性を求めることができる。
【0059】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の例としては、2015年12月23日にWO2015/193765として公開された国際特許出願PCT/IB2015/054272で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。その中で開示されている、本発明のためのEZH2阻害剤として有用な、詳細なEZH2阻害剤の例として、限定はしないが、
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(S)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
またはこれらの薬学的に許容できる塩からなる群から選択されるEZH2阻害剤が挙げられる。
【0060】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2014年6月26日にWO2014/097041として公開された国際特許出願PCT/IB2013/060682で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。その中で開示されている、本発明のためのEZH2阻害剤として有用な、詳細なEZH2阻害剤の例として、限定はしないが、
5−ブロモ−8−クロロ−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−7−(1,4−ジメチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−7−(3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール−4−イル)−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
またはこれらの薬学的に許容できる塩からなる群から選択されるEZH2モジュレーターが挙げられる。
【0061】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2014年4月3日にWO2014/049488として公開された国際特許出願PCT/IB2013/058580で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。その中で開示されている、本発明のためのEZH2阻害剤として有用な、詳細なEZH2阻害剤の例として、限定はしないが、
5−[2−(ジメチルアミノ)ピリミジン−5−イル]−N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ベンズアミド;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−5−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−5−イル]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ベンズアミド;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3−(1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−メチル−5−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−5−イル]ベンズアミド;
5−(6−アミノピリジン−3−イル)−N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ベンズアミド;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3−(1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−メチル−5−(2−モルホリン−4−イルピリミジン−5−イル)ベンズアミド;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3−(1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−メチル−5−{2−[(1S,4S)−2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−イル]ピリミジン−5−イル}ベンズアミド;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3−(1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−メチル−5−{2−[3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]ピリミジン−5−イル}ベンズアミド;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3−(1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)−5−[2−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)ピリミジン−5−イル]−2−メチルベンズアミド;および
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−5−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ベンズアミド;
またはこれらの薬学的に許容できる塩からなる群から選択されるEZH2阻害剤が挙げられる。
【0062】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2011年11月10日にWO2011/140324として公開された国際特許出願PCT/US2011/035336で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0063】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2011年11月10日にWO2011/140325として公開された国際特許出願PCT/US2011/035340で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0064】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2012年1月12日にWO2012/005805として公開された国際特許出願PCT/US2011/035344で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0065】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2013年4月4日にWO2013/049770として公開された国際特許出願PCT/US2012/058188で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0066】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2013年11月21日にWO2013/173441として公開された国際特許出願PCT/US2013/041115で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0067】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2012年3月15日にWO2012/034132として公開された国際特許出願PCT/US2011/051258で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0068】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2012年9月7日にWO2012/118812として公開された国際特許出願PCT/US2012/026953で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0069】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2012年10月18日にWO2012/142504として公開された国際特許出願PCT/US2012/033648で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。その中で開示されている、本発明のためのEZH2阻害剤として有用な、詳細なEZH2阻害剤の例として、
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−5−[エチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ]−4−メチル−4’−(モルホリン−4−イルメチル)ビフェニル−3−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩が挙げられる。
【0070】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2012年10月18日にWO2012/142513として公開された国際特許出願PCT/US2012/033662で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0071】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2012年5月24日にWO2012/068589として公開された国際特許出願PCT/US2011/061740で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0072】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2013年8月15日にWO2013/120104として公開された国際特許出願PCT/US2013/025639で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0073】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2014年8月14日にWO2014/124418として公開された国際特許出願PCT/US2014/015706で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0074】
本発明において有用である詳細なEZH2阻害剤の他の例としては、2014年8月24日にWO2014/062720として公開された国際特許出願PCT/US2013/065112で開示されているものが挙げられ、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0075】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0076】
【化1】
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2015年12月23日にWO2015/193765として公開された国際特許出願PCT/IB2015/054272で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0077】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0078】
【化2】
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2015年12月23日にWO2015/193765として公開された国際特許出願PCT/IB2015/054272で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0079】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0080】
【化3】
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(S)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2015年12月23日にWO2015/193765として公開された国際特許出願PCT/IB2015/054272で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0081】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0082】
【化4】
5−ブロモ−8−クロロ−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−7−(1,4−ジメチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2014年6月26日にWO2014/097041として公開された国際特許出願PCT/IB2013/060682で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0083】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0084】
【化5】
5,8−ジクロロ−7−(3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール−4−イル)−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2014年6月26日にWO2014/097041として公開された国際特許出願PCT/IB2013/060682で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0085】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
タゼメトスタット(tazemetostat)、EPZ−5687、またはEPZ−6438としても知られる
【0086】
【化6】
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−5−[エチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ]−4−メチル−4’−(モルホリン−4−イルメチル)ビフェニル−3−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2012年10月18日にWO2012/142504として公開された国際特許出願PCT/US2012/033648で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0087】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
CPI−1205としても知られる
【0088】
【化7】
N−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−1−[(1R)−1−[1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペリジン−4−イル]エチル]−1H−インドール−3−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2013年8月15日にWO2013/120104として公開された国際特許出願PCT/US2013/025639で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0089】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
GSK−503としても知られる
【0090】
【化8】
N−(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イルメチル)−1−イソプロピル−3−メチル−6−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−1H−インドール−4−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2011年11月10日にWO2011/140324として公開された国際特許出願PCT/US2011/035336で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0091】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
GSK−126としても知られる
【0092】
【化9】
N−[(6−メチル−2−オキソ−4−プロピル−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−6−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−4−イル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−インダゾール−4−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2011年11月10日にWO2011/140325として公開された国際特許出願PCT/US2011/035340で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0093】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0094】
【化10】
1−イソプロピル−N−(6−メチル−2−オキソ−4−プロピル−1,2−ジヒドロピリジン−3−イルメチル)−6−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−1H−インダゾール−4−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2011年11月10日にWO2011/140325として公開された国際特許出願PCT/US2011/035340で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0095】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0096】
【化11】
3−クロロ−4−[2−シアノ−3−(ピリダジン−4−イル)フェノキシ]−N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2012年5月24日にWO2012/068589として公開された国際特許出願PCT/US2011/061740で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0097】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0098】
【化12】
5−クロロ−N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3−[エチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ]−2−メチルベンズアミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2012年10月18日にWO2012/142513として公開された国際特許出願PCT/US2012/033662で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0099】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0100】
【化13】
1−[(1R)−1−[1−(エチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]エチル]−N−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−1H−インドール−3−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2013年8月15日にWO2013/120104として公開された国際特許出願PCT/US2013/025639で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0101】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0102】
【化14】
N−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−1−(1−メトキシプロパン−2−イル)−2−メチル−1H−インドール−3−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2013年8月15日にWO2013/120104として公開された国際特許出願PCT/US2013/025639で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0103】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0104】
【化15】
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3−(エチル[trans−4−[(2−メトキシエチル)(メチル)アミノ]シクロヘキシル]アミノ)−2−メチル−5−[3−(モルホリン−4−イル)プロパ−1−イン−1−イル]ベンズアミド
または、場合により酒石酸塩としての、薬学的に許容できるその塩であり、この化合物は、2014年4月24日にWO2014/062720として公開された国際特許出願PCT/US2013/065112で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0105】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0106】
【化16】
1−[(1R)−1−[1−(2,2−ジフルオロエチル)ピペリジン−4−イル]エチル]−N−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−1H−インドール−3−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2014年8月14日にWO2014/124418として公開された国際特許出願PCT/US2014/015706で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0107】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0108】
【化17】
5−[シクロペンチル(メチル)アミノ]−N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−4−メチル−4’−[(モルホリン−4−イル)メチル][1,1’−ビフェニル]−3−カルボキサミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2012年10月18日にWO2012/142504として公開された国際特許出願PCT/US2012/033648で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0109】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0110】
【化18】
5−ブロモ−3−[シクロペンチル(メチル)アミノ]−N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチルベンズアミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2012年10月18日にWO2012/142513として公開された国際特許出願PCT/US2012/033662で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0111】
一実施形態では、本発明に有用なEZH2阻害剤は、
【0112】
【化19】
5−ブロモ−N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−3−[メチル(オキサン−4−イル)アミノ]ベンズアミド
または薬学的に許容できるその塩であり、これは、2012年10月18日にWO2012/142513として公開された国際特許出願PCT/US2012/033662で開示されており、この文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0113】
本発明に有用な好ましいEZH2阻害剤は、
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(S)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5−ブロモ−8−クロロ−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−7−(1,4−ジメチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−7−(3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール−4−イル)−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−5−[エチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ]−4−メチル−4’−(モルホリン−4−イルメチル)ビフェニル−3−カルボキサミド;
N−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−5−[エチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ]−4−メチル−4’−(モルホリン−4−イルメチル)ビフェニル−3−カルボキサミド;
N−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−2−メチル−1−[(1R)−1−[1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペリジン−4−イル]エチル]−1H−インドール−3−カルボキサミド;
N−(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イルメチル)−1−イソプロピル−3−メチル−6−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−1H−インドール−4−カルボキサミド;
N−[(6−メチル−2−オキソ−4−プロピル−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−6−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−4−イル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−インダゾール−4−カルボキサミド;
またはこれらの薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。
【0114】
本発明に有用なより好ましいEZH2阻害剤は、
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(S)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;および
5−ブロモ−8−クロロ−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−7−(1,4−ジメチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン;
またはこれらの薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。
【0115】
別段指摘しない限り、本明細書におけるEZH2阻害剤への言及はすべて、薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、水和物、および錯体、ならびにその塩の溶媒和物、水和物、および錯体への言及を、その多形体、立体異性体、および同位体標識された形態を含めて包含する。
【0116】
化学療法剤
本発明の諸実施形態は、化学療法剤または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0117】
一実施形態では、化学療法剤は、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩である。
【0118】
本発明の一実施形態では、化学療法剤は、シスプラチンである。
【0119】
本発明の一実施形態では、化学療法剤は、カルボプラチンである。
【0120】
本発明の一実施形態では、化学療法剤は、エトポシドである。
【0121】
本発明の一実施形態では、化学療法剤は、シスプラチンおよびエトポシドである。
【0122】
本発明の一実施形態では、化学療法剤は、カルボプラチンおよびエトポシドである。
【0123】
治療方法および使用
本発明の方法および組合せ療法は、がん処置に有用である。一部の実施形態では、提供される方法によって、次の効果、すなわち、(1)がん細胞増殖の阻害、(2)がん細胞浸潤性の抑制、(3)がん細胞のアポトーシスの誘発、(4)がん細胞転移の阻害、(5)血管新生の阻害、または(6)がん処置に関連した1つまたは複数の抵抗性機序の克服の1つまたは複数が実現される。
【0124】
一実施形態では、本発明は、対象におけるがん処置の方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とを含む組合せ療法を投与することを含む方法に関する。
【0125】
一実施形態では、本発明は、対象におけるがん処置の方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とからなる組合せ療法を投与することを含む方法に関する。
【0126】
一実施形態では、本発明は、対象におけるがん処置の方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とから本質的になる組合せ療法を投与することを含む方法に関する。
【0127】
別の態様では、本発明は、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩と組み合わせて使用される、対象におけるがん処置において使用するための、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0128】
別の態様では、本発明は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と組み合わせて使用される、対象におけるがん処置において使用するための、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0129】
別の態様では、本発明は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の組合せに関する。
【0130】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の組合せに関する。
【0131】
別の態様では、本発明は、対象におけるがん処置において使用するための、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の組合せに関する。
【0132】
別の態様では、本発明は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の相乗的な組合せに関する。
【0133】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の相乗的な組合せに関する。
【0134】
別の態様では、本発明は、対象におけるがん処置において使用するための、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の相乗的な組合せに関する。
【0135】
別の態様では、本発明は、対象におけるがん処置のための医薬の製造における、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩、および白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の使用に関する。
【0136】
別の態様では、本発明は、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用される、対象におけるがん処置において使用するための、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0137】
別の態様では、本発明は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用される、対象におけるがん処置において使用するための、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0138】
別の態様では、本発明は、対象におけるがん処置において使用するための、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0139】
本発明の一実施形態では、対象は、哺乳動物である。
【0140】
本発明の一実施形態では、対象は、ヒトである。
【0141】
一部の実施形態では、本発明の方法および組合せは、限定はしないが、
循環器系、たとえば、心臓(肉腫[血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫]、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、および奇形腫)、縦隔および胸膜、および他の胸腔内臓器、血管の腫瘍、および腫瘍と関連する血管組織、
呼吸路、たとえば、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、気管、気管支、および肺、たとえば、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(気管支)癌、気管支の腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫、
胃腸系、たとえば、食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃部、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、
泌尿生殖路、たとえば、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および/または尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)、
肝臓、たとえば、ヘパトーマ(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵内分泌腫瘍(たとえば、クロム親和性細胞腫、インスリノーマ、血管作用性小腸ペプチド腫瘍、島細胞腫瘍、およびグルカゴノーマ)、
骨、たとえば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍 脊索腫、オステオクロンフローマ(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫、および巨細胞腫瘍、
神経系、たとえば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋がん(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳腫瘍(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)、
生殖系、たとえば、婦人科、子宮(子宮内膜癌)、頚部(子宮頚癌、前腫瘍子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌]、顆粒莢膜細胞腫(granulosa−thecal cell tumor)、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)、および女性生殖器と関連する他の部位、胎盤、陰茎、前立腺、精巣、および男性生殖器と関連する他の部位、
血液系、たとえば、血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]、
口腔、たとえば、唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋、および他の口腔部分、耳下腺および他の唾液腺部分、扁桃、中咽頭、鼻咽頭、梨状陥凹、下咽頭、ならびに唇、口腔、および咽頭における他の部位、
皮膚、たとえば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母斑、脂肪腫、アンジオーマ、皮膚線維腫、およびケロイド、
副腎:神経芽細胞腫、ならびに
結合および軟部組織、後腹膜および腹膜、眼、眼内黒色腫、および付属器を含めた他の組織、乳房、頭または/および頚部、肛門部、甲状腺、副甲状腺、副腎、および他の内分泌腺および関連構造、リンパ節の続発性および未分類の悪性新生物、呼吸器および消化器系の続発性悪性新生物、および他の部位の続発性悪性新生物
のがんを始めとするがん処置に有用となりうる。
【0142】
さらにより詳細には、本発明に関連して本明細書で使用するとき、「がん」の例として、肺がん(NSCLCおよびSCLC)、乳がん(トリプルネガティブ乳がん、ホルモン陽性乳がん、およびHER2陽性乳がんを含める)、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肛門部のがん、前立腺がん(ホルモン感受性前立腺がんおよび去勢抵抗性前立腺がんとしても知られるホルモン不応性前立腺がんを含める)、肝細胞癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、黒色腫、または前述のがんの1つまたは複数の組合せが挙げられる。
【0143】
本発明の一実施形態では、がんは、固形腫瘍である。
【0144】
一実施形態では、がんは、前立腺がんである。
【0145】
一実施形態では、がんは、ホルモン感受性前立腺がんである。
【0146】
一実施形態では、がんは、ホルモン不応性前立腺がんまたはアンドロゲン非依存性前立腺がんとしても知られる去勢抵抗性前立腺がんである。
【0147】
一実施形態では、がんは、非転移性去勢抵抗性前立腺がんである。
【0148】
一実施形態では、がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がんである。
【0149】
一実施形態では、がんは、乳がんである。
【0150】
一実施形態では、がんは、トリプルネガティブ乳がんである。
【0151】
一実施形態では、がんは、エストロゲン陽性および/またはプロゲステロン陽性乳がんを含めたホルモン陽性乳がんである。
【0152】
一実施形態では、がんは、HER2陽性乳がんである。
【0153】
一実施形態では、がんは、肝細胞癌である。
【0154】
一実施形態では、がんは、小細胞肺がんである。
【0155】
一実施形態では、がんは、治療抵抗性小細胞肺がんである。
【0156】
一実施形態では、がんは、再発小細胞肺がんである。
【0157】
一実施形態では、がんは、治療抵抗性小細胞肺がんであり、対象は、処置未経験である。
【0158】
一実施形態では、がんは、再発小細胞肺がんであり、対象は、処置未経験である。
【0159】
一実施形態では、がんは、限局期疾患として分類される小細胞肺がんである。
【0160】
一実施形態では、がんは、進展期疾患として分類される小細胞肺がんである。
【0161】
一実施形態では、がんは、進展期疾患の小細胞肺がんであり、対象は、処置未経験である。
【0162】
一実施形態では、がんは、進展期疾患の治療抵抗性小細胞肺がんであり、対象は、処置未経験である。
【0163】
一実施形態では、がんは、進展期疾患の再発小細胞肺がんであり、対象は、処置未経験である。
【0164】
一実施形態では、がんは、腫瘍抑制因子TP53の機能の喪失を特徴とする小細胞肺がんである。
【0165】
一実施形態では、がんは、腫瘍抑制因子RB1の機能の喪失を特徴とする小細胞肺がんである。
【0166】
一実施形態では、がんは、腫瘍抑制因子TP53の機能の喪失および腫瘍抑制因子RB1の機能の喪失を特徴とする小細胞肺がんである。
【0167】
一実施形態では、がんは、限局期疾患として分類される小細胞肺がんであり、小細胞肺がんは、腫瘍抑制因子TP53の機能の喪失を特徴とする。
【0168】
一実施形態では、がんは、限局期疾患として分類される小細胞肺がんであり、小細胞肺がんは、腫瘍抑制因子RB1の機能の喪失を特徴とする。
【0169】
一実施形態では、がんは、限局期疾患として分類される小細胞肺がんであり、小細胞肺がんは、腫瘍抑制因子TP53の機能の喪失および腫瘍抑制因子RB1の機能の喪失を特徴とする。
【0170】
一実施形態では、がんは、進展期疾患として分類される小細胞肺がんであり、小細胞肺がんは、腫瘍抑制因子TP53の機能の喪失を特徴とする。
【0171】
一実施形態では、がんは、進展期疾患として分類される小細胞肺がんであり、小細胞肺がんは、腫瘍抑制因子RB1の機能の喪失を特徴とする。
【0172】
一実施形態では、がんは、進展期疾患として分類される小細胞肺がんであり、小細胞肺がんは、腫瘍抑制因子TP53の機能の喪失および腫瘍抑制因子RB1の機能の喪失を特徴とする。
【0173】
一実施形態では、がんは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0174】
一実施形態では、がんは、濾胞性リンパ腫である。
【0175】
一実施形態では、がんは、黒色腫である。
【0176】
一実施形態では、がんは、局所的に進行している。
【0177】
一実施形態では、がんは、非転移性である。
【0178】
一実施形態では、がんは、転移性である。
【0179】
一実施形態では、がんは、治療抵抗性である。
【0180】
一実施形態では、がんは、再発したものである。
【0181】
一実施形態では、がんは、標準的処置に対して耐性がない(intolerable)。
【0182】
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞増殖を阻害する方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とを細胞増殖の阻害に有効な量で含む組合せ療法を投与することを含む方法を提供する。
【0183】
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞浸潤性を抑制する方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とを細胞浸潤性の抑制に有効な量で含む組合せ療法を投与することを含む方法を提供する。
【0184】
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞転移を阻害する方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とを細胞転移の阻害に有効な量で含む組合せ療法を投与することを含む方法を提供する。
【0185】
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩とをアポトーシスの誘発に有効な量で含む組合せ療法を投与することを含む方法を提供する。
【0186】
別の態様では、本発明は、対象においてアポトーシスを誘発する方法であって、対象に、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩または薬学的に許容できるその塩とを含む組合せ療法を投与することを含む方法を提供する。
【0187】
「接触させる」とは、本発明において使用する化合物または薬学的に許容できる塩と細胞(たとえば、EZH2を発現するもの)とを、化合物がその効果を示しうる(たとえば、EZH2の活性に影響を及ぼしうる)ような形で、直接または間接的に一緒にすることを指す。接触は、in vitro(すなわち、たとえば、限定はせず、試験管もしくは培地中などの人工的な環境中)またはin vivo(すなわち、限定はせず、マウス、ラット、ウサギなどの生体内)で実現することができる。
【0188】
一部の実施形態では、細胞は、がん細胞株などの細胞株である。他の実施形態では、細胞は、組織または腫瘍中にあり、組織または腫瘍は、ヒトを始めとする対象中にあってもよい。
【0189】
剤形および投薬レジメン
本発明の方法および組合せ療法の各治療剤は、単独で、または治療剤と1種もしくは複数の薬学的に許容できる担体、賦形剤、もしくは希釈剤を薬務に従って含む、(本明細書では医薬組成物とも呼ぶ)医薬として投与される場合がある。
【0190】
本明細書で使用するとき、用語「組合せ療法」とは、本発明の組合せ療法の各治療剤を、単独で、または医薬として、順次、併行して、または同時に投与することを指す。
【0191】
本明細書で使用するとき、用語「順次」とは、本発明の組合せ療法の各治療剤を、単独で、または医薬として、一方を他方の後に投与することを指し、各治療剤は、いずれの順序で投与されてもよい。順次投与は、組合せ療法における治療剤が異なる剤形をしている、たとえば、一方の薬剤が錠剤であり、もう一方の薬剤が滅菌液であるとき、および/または異なる投薬スケジュールに従って投与される、たとえば、一方の薬剤が毎日投与され、第2の薬剤が毎週などのより低頻度で投与されるとき、特に有用である。
【0192】
本明細書で使用するとき、用語「併行」とは、本発明の組合せ療法における各治療剤を、単独で、または別個の医薬として投与することを指し、第2の治療剤は、第1の治療剤の直後に投与されるが、治療剤は、いずれの順序で投与されてもよい。好ましい実施形態では、治療剤は、併行して投与される。
【0193】
本明細書で使用するとき、用語「同時」とは、本発明の組合せ療法の各治療剤を、同じ医薬として投与することを指す。
【0194】
本発明の一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩が、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩を投与する前に投与される。
【0195】
本発明の一実施形態では、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩が、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩を投与する前に投与される。
【0196】
本発明の一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩は、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩と併行して投与される。
【0197】
本発明の一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩は、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩と同時に投与される。
【0198】
当業者が理解するところとなるように、組合せ療法は、対象に、その異なる処置段階において有用に投与することができる。
【0199】
本発明の一実施形態では、組合せ療法は、以前に処置を受けていない、すなわち、処置未経験である対象に投与される。
【0200】
本発明の一実施形態では、組合せ療法は、生物療法または化学療法剤による前の治療後に応答の持続が実現されなかった、すなわち、処置を経験している対象に投与される。
【0201】
組合せ療法は、腫瘍を取り除く手術の前もしくは後に投与される場合、および/または放射線療法の前、最中、もしくは後に使用される場合、および/または化学療法の前、最中、もしくは後に使用される場合がある。
【0202】
本発明の化合物の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にするいかなる方法によって行ってもよい。そうした方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内、または注入を含める)、局所、および直腸投与が含まれる。
【0203】
投薬レジメンは、所望される最適な応答が得られるように調整してよい。たとえば、本発明の組合せ療法の治療剤は、単一のボーラスとして投与しても、経時的に投与される数回に分けられた用量として投与してもよく、または治療状況の緊急性による必要に応じて用量を比例的に増減してもよい。治療剤を投薬単位剤形に製剤化することは、投与しやすく、投与量が均一になるため、特に有利となりうる。本明細書で使用する投薬単位剤形とは、処置を受ける哺乳動物対象のための単位式投与量として適した、物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同で所望の治療効果を生じるように算出された、予め決められた量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位剤形についての明細は、(a)化学療法剤特有の特徴、および実現しようとする特定の治療または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにこのような活性化合物を調合する分野に固有の制約によって必然的に決まり、これらに直接左右される場合がある。
【0204】
したがって、当業者には、用量および投薬レジメンは、本明細書で提供する開示をもとに、治療学分野でよく知られている方法に従って調整されるものと理解される。すなわち、最大耐用量(maximum tolerable dose)は、容易に打ち立てることができ、検出可能な治療利益を対象にもたらす有効量も明らかにすることができ、各薬剤を投与して検出可能な治療利益を対象にもたらす時間的要件も明らかにすることができる。したがって、本明細書ではある特定の用量および投与レジメンを例示するが、そうした例は、本発明を実施する際に対象に提供することのできる用量および投与レジメンを一切限定しない。
【0205】
投与量の値は、緩和しようとする状態の種類および重症度によって様々となる場合があり、1回または複数回の用量を含む場合があることを留意されたい。さらに、特定のいずれかの対象について、詳細な投薬レジメンは、障害または状態の重症度、投与の速度、化合物の性質、処方医の裁量などの要素を考慮しながら、個々の必要、および組成物の投与を管理または監督する者の専門的な判断に従って、時間と共に調整すべきであると理解される。本明細書で述べる投与量範囲は、例示的なものにすぎず、請求項に係る組成物の範囲または実用を限定するものでない。たとえば、用量は、毒作用および/または臨床検査値などの臨床効果を含みうる.薬動学的または薬力学的パラメーターに基づき調整してよい。したがって、本発明は、当業者によって決定される患者内の用量漸増を包含する。化学療法剤の投与についての適切な投与量およびレジメンの決定は、関連業界でよく知られており、本明細書で開示する教示を得れば当業者によって遂行されると理解される。
【0206】
一部の実施形態では、組合せ療法における治療剤の少なくとも1種は、その治療剤が同じがんの処置に単剤療法として使用される際に通常用いられるのと同じ投薬レジメン(用量、頻度、および治療継続期間)を使用して投与される。他の実施形態では、対象に、組合せ療法における治療剤の少なくとも1種が、同じ治療剤を単剤療法として使用する場合より少ない合計量で、たとえば、より低用量の治療剤、頻度を減らした投薬、および/またはより短い投薬期間で与えられる。
【0207】
EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩の有効投与量は、単一または分割用量として、体重1kgあたり1日約0.001〜約100mg、好ましくは、約1〜約35mg/kg/日の範囲にある。これは、70kgのヒトでは、約0.01〜約7g/日、好ましくは、約0.02〜約2.5g/日の量となる。ある場合では、前述の範囲の下限を下回る投与量レベルで十分すぎることもあり、他の場合では、最初にいくつかの少ない用量に分けて1日を通して投与するという条件で、さらに多い用量が、有害な副作用を引き起こすことなく用いられることもある。
【0208】
一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩は、1日約10mg〜約7000mg、好ましくは、1日約20mg〜約2500mg、より好ましくは、1日約50mg〜約1000mgの1日投与量で投与される。一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩は、1日約500mgの1日投与量で投与される。
【0209】
好ましい実施形態では、EZH2阻害剤は、5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンまたは薬学的に許容できるその塩であり、1日約50mg〜約2000mg、1日約50mg、1日約100mg、1日約150mg、1日約200mg、1日約250mg、1日約300mg、1日約350mg、1日約400mg、1日約450mg、1日約500mg、1日約550mg、1日約600mg、1日約650mg、1日約700mg、1日約750mg、1日約800mg、1日約850mg、1日約900mg、1日約950mg、1日約1000mg、1日約1100mg、1日約1200mg、1日約1300mg、1日約1400mg、または1日約1500mgの1日投与量で投与される。この用量は、場合により、少ない用量にさらに分けてもよく、たとえば、1日150mgの投与量なら、75mgの用量として1日2回投与してもよい。
【0210】
一実施形態では、化学療法剤は、エトポシドであり、エトポシドは、承認されたラベルに従って、たとえば、1〜5日目に1日1回50〜100mg/m
2、または1、3、および5日目に1日1回5〜100mg/m2
2の用量で静脈内投与される。一例では、エトポシドは、各21日サイクルの1、2、および3日目に、80〜120mg/m
2の用量で、1、2、3、4、5、または6サイクルにかけて投与される場合がある。一実施形態では、化学療法剤(たとえば、エトポシド)は、白金系抗新生物剤(たとえば、シスプラチンまたはカルボプラチン)と組み合わせて使用される。
【0211】
一実施形態では、白金系抗新生物剤は、シスプラチンであり、シスプラチンは、承認されたラベルに従って静脈内投与される。一例では、シスプラチンは、各21日サイクルの1日目に、60〜80mg/m2
2の用量で、1、2、3、4、5、または6サイクルにかけて投与される場合がある。
【0212】
一実施形態では、白金系抗新生物剤は、カルボプラチンであり、カルボプラチンは、承認されたラベルに従って静脈内投与される。一例では、カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に、1、2、3、4、5、または6サイクルにかけて、5〜6mg/mL/分の初期目標AUCが実現されるように投与される場合がある。一例では、カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に、400mg/m
2の用量で、1、2、3、4、5、または6サイクルにかけて投与される場合がある。
【0213】
必要に応じて、投与もしくは投薬レジメンを繰り返すか、または投与もしくは投薬レジメンを調整して、所望の処置を実現することができる。本明細書で使用する「継続的な投薬スケジュール」とは、投与の中断がない、たとえば、処置なしの日がない、投与または投薬レジメンである。処置サイクル間に投与の中断を挟まずに21または28日処置サイクルを繰り返すものが、継続的な投薬スケジュールの一例である。一実施形態では、本発明の組合せの化合物は、継続的な投薬スケジュールで投与することができる。
【0214】
本発明の一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩は、がん処置において合計して有効となる量で投与される。
【0215】
本発明の一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩は、全体として相乗的である量で投与される。
【0216】
本発明の一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩は、標準的でない投薬レジメンで投与される。
【0217】
本発明の一実施形態では、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩は、低用量レジメンで投与される。
【0218】
医薬組成物および投与経路
「医薬組成物」とは、活性成分としての1種または複数の本明細書に記載の治療剤または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグと、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または賦形剤の混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。
【0219】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容できる担体」とは、生物に影響のある刺激を引き起こさず、活性化合物または治療剤の生物活性および特性を排除しない担体または希釈剤を指す。
【0220】
一実施形態では、本発明は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0221】
薬学的に許容できる担体は、従来のいずれかの医薬担体または賦形剤を含むものでよい。担体および/または賦形剤の選択は、特定の投与方式、賦形剤が溶解性および安定性に及ぼす影響、剤形の性質などの要素に応じて決まるところが大きい。
【0222】
適切な医薬担体としては、不活性希釈剤または充填剤、水および種々の有機溶媒(たとえば、水和物や溶媒和物)が挙げられる。医薬組成物は、所望であれば、着香剤、結合剤、賦形剤などの追加の成分を含有してもよい。たとえば、経口投与については、クエン酸などの種々の賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸、ある特定の複合シリケートなどの種々の崩壊剤、およびスクロース、ゼラチン、アカシアなどの結合剤と共に用いることができる。賦形剤の例としては、限定はせず、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々のタイプの糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、およびポリエチレングリコールが挙げられる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクなどの滑沢剤が、多くの場合、打錠の用途に有用である。同様のタイプの固体組成物を、軟および硬充填ゼラチンカプセルにも用いることもできる。したがって、材料の非限定的な例としては、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。経口投与に水性懸濁液剤またはエリキシル剤が所望されるとき、その中の活性化合物は、種々の甘味剤または香味剤、着色物質または色素、および、所望であれば、乳化剤または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組合せなどの希釈剤と一緒に組み合わせられる場合がある。
【0223】
医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持効性製剤、溶液剤、懸濁液剤として経口投与に、滅菌溶液剤、懸濁液剤、もしくは乳濁液剤として非経口注射に、軟膏剤もしくはクリーム剤として局所投与に、または坐剤として直腸投与に適する形態にすることができる。
【0224】
典型的な非経口投与形態としては、活性化合物の滅菌水溶液、たとえば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の溶液または懸濁液が挙げられる。このような剤形は、所望であれば、適切に緩衝処理される場合もある。
【0225】
医薬組成物は、正確な量を1回で投与するのに適する単位剤形にすることができる。
【0226】
本発明の組合せ療法の治療剤を送達するのに適する医薬組成物、およびその調製方法は、当業者に容易に明らかとなる。そのような組成物およびその調製方法は、たとえば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見ることができ、この開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【0227】
本発明の組合せ療法の治療剤は、経口投与することができる。経口投与は、治療剤が消化管に入るように嚥下するものでもよいし、または治療剤が口から直接血流に入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0228】
経口投与に適する製剤には、固体製剤、たとえば、錠剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填型を含める)、チュアブル剤(chew)、多重粒子およびナノ粒子剤、ゲル剤、固溶体剤、リポソーム剤、フィルム剤(粘膜付着性を含める)、腔坐剤、スプレー剤、ならびに液体製剤が含まれる。
【0229】
液体製剤には、懸濁液剤、溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセルの中に充填剤として使用される場合もあり、通常、担体、たとえば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤とを含む。液体製剤は、たとえばサシェ剤から、固体の復元によって調製される場合もある。
【0230】
本発明の組合せ療法の治療剤は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986(2001)に記載のものなどの急速溶解急速崩壊型剤形にして使用してもよく、この文献の開示を全体として参照により本明細書に援用する。
【0231】
錠剤剤形では、治療剤は、剤形の1wt%〜80wt%、より典型的には、剤形の5wt%〜60wt%を占める場合がある。活性薬剤に加えて、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、剤形の1wt%〜25wt%、好ましくは、5wt%〜20wt%を占める場合がある。
【0232】
結合剤は一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を付与するのに使用される。適切な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、リン酸水素カルシウム二水和物などの希釈剤を含有する場合もある。
【0233】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの流動促進剤も場合により含んでよい。存在するとき、界面活性剤は通常、錠剤の0.2wt%〜5wt%、流動促進剤は通常、錠剤の0.2wt%〜1wt%の量になる。
【0234】
錠剤は、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムのラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25wt%〜10wt%、好ましくは、0.5wt%〜3wt%の量で存在する。
【0235】
他の常套的な成分として、酸化防止剤、着色剤、香味剤、保存剤、および矯味剤が挙げられる。
【0236】
典型的な錠剤は、約80wt%までの活性薬剤、約10wt%〜約90wt%の結合剤、約0wt%〜約85wt%の希釈剤、約2wt%〜約10wt%の崩壊剤、および約0.25wt%〜約10wt%の滑沢剤を含有する場合がある。
【0237】
錠剤ブレンドは、直接またはローラーによって圧縮して錠剤にすることができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの割当て分を、湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝固、または押出しにかけた後で打錠してもよい。最終製剤は、1または複数の層を含む場合があり、コーティングされていてもされていなくてもよく、またはカプセル化されていてもよい。
【0238】
錠剤の製剤は、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980(ISBN 0−8247−6918−X)で詳細に論じられており、この文献の開示を全体として参照により本明細書に援用する。
【0239】
経口投与用の固体製剤は、即時および/または調節放出がなされるように製剤化してもよい。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
【0240】
適切な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液や、浸透圧粒子および被覆粒子などの適切な他の放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)において見ることができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。これらの参考文献の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0241】
非経口投与
本発明の組合せ療法の治療剤は、血流中、筋肉、または内臓に直接投与してもよい。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適する装置には、(微細針を含めた)有針注射器、無針注射器、および注入技術が含まれる。
【0242】
非経口製剤は、通常は、塩、炭水化物、緩衝剤(好ましくはpH3〜9とする)などの賦形剤を含有しうる水溶液であるが、一部の用途のために、非水性滅菌溶液として、または滅菌無パイロジェン水などの適切なビヒクルと合わせて使用される乾燥形態としてより適切に製剤化される場合もある。
【0243】
たとえば凍結乾燥による、滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準の製薬技術を使用して容易に実現することができる。
【0244】
非経口溶液の調製において使用する治療剤の溶解性は、溶解性改善剤を混ぜるなどの適切な製剤化技術の使用によって、増大させることができる可能性がある。
【0245】
非経口投与用の製剤は、即時および/または調節放出となるように製剤化してもよい。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。したがって、本発明の組合せ療法の治療剤は、潜在的に、活性化合物の調節放出をもたらす埋込みデポー剤として投与される固体、半固体、または揺変性液体として製剤化される場合もある。そのような製剤の例としては、薬物でコーティングされたステントやPGLAマイクロスフェアが挙げられる。
【0246】
本発明の組合せ療法の治療剤は、潜在的に、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、真皮的または経皮的に投与される場合もある。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤、散粉剤、ドレッシング剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ剤、ウェーハ剤、埋込み剤、スポンジ剤、繊維剤、絆創膏剤、およびマイクロエマルション剤が挙げられる。リポソーム剤を使用してもよい。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤を混ぜてもよく、たとえば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。他の局所投与手段には、電気穿孔法、イオン導入法、音波泳動法、超音波導入法、および微細針または無針(たとえば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。こうした参考文献の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0247】
局所投与用の製剤は、即時および/または調節放出となるように製剤化してもよい。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
【0248】
本発明の組合せ療法の治療剤は、潜在的に、通常、乾燥粉末吸入器から、ドライパウダー(単独、またはたとえばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合型成分粒子として)の形で、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーから、エアゾールスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用し、または使用せずに、鼻腔内に、または吸入によって投与される場合もある。鼻腔内の使用について、粉末は、生体接着剤、たとえば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでもよい。
【0249】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、たとえば、エタノール、エタノール水溶液、または活性物を分散させ、可溶化し、もしくは放出を遅らせるのに適する代替の薬剤、溶媒としての噴射剤、および任意選択の界面活性剤、たとえば、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する場合がある。
【0250】
化合物は、ドライパウダーまたは懸濁液製剤中に使用する前に、吸入による送達に適する大きさ(通常は5ミクロン未満)に微粒子化される場合がある。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を生成するための超臨界流体処理、高圧均質化、噴霧乾燥などの適切ないずれかの微粉砕法によって実現することができる。
【0251】
吸入器または注入器に入れて使用するカプセル(たとえば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスター、およびカートリッジは、治療剤と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤と、l−ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能改良剤とからなる粉末混合物を含有するように製剤化される場合がある。ラクトースは、無水、または一水和物の形である場合があり、後者が好ましい。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。
【0252】
電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザーへの使用に適する溶液製剤は、1作動あたり1μg〜20mgの治療剤を含有する場合があり、作動体積は、1μL〜100μLの間で様々となりうる。典型的な製剤は、治療剤、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代わりに使用することのできる代替の溶媒としては、グリコールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0253】
吸入/鼻腔内投与が企図されるこうした製剤に、メントールやレボメントールなどの適切なフレーバー剤、またはサッカリンやサッカリンナトリウムなどの甘味剤が加えられる場合もある。
【0254】
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、たとえばポリ(DL−乳酸−coグリコール酸(PGLA)を使用して、即時および/または調節放出となるように製剤化してもよい。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
【0255】
ドライパウダー吸入器およびエアゾールの場合では、投与量単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明に従う単位は、通常、所望の量の治療剤を含有する計量された量または「一吹き」が投与されるように整えられている。全日用量は、単一用量で、またはより普通には、1日を通して分割用量として投与される場合がある。
【0256】
本発明の組合せ療法の治療剤は、潜在的に、たとえば坐剤、膣坐剤、または浣腸の形で、直腸または経膣投与される場合がある。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、適宜種々の代替品を使用してよい。
【0257】
直腸/経膣投与用の製剤は、即時および/または調節放出となるように製剤化してもよい。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
【0258】
本発明の組合せ療法の治療剤は、潜在的に、通常はpH調製された等張性滅菌食塩水中の微粒子化懸濁液または溶液の液滴の形で、眼または耳に直接投与される場合もある。眼および耳への投与に適する他の製剤としては、軟膏剤、生分解性(たとえば、被吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(たとえば、シリコーン)埋込み剤、ウェーハ剤、レンズ剤、ならびに微粒子系またはベシクル系、たとえば、ニオソーム剤やリポソーム剤を挙げることができる。架橋ポリアクリル酸などのポリマー、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばゲランガムを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に混ぜてもよい。このような製剤は、イオン導入法によって送達してもよい。
【0259】
一実施形態では、本発明の組合せ療法に有用な医薬組成物は、単一治療剤、たとえば、(a)EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩、(b)白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩、および(c)化学療法剤または薬学的に許容できるその塩から選択される1種のみの単一薬剤を含む。
【0260】
一実施形態では、本発明の組合せ療法に有用な医薬組成物は、2種または3種の治療剤、たとえば、(a)EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩、(b)白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩、および(c)化学療法剤または薬学的に許容できるその塩から選択される2種または3種の薬剤を含む。
【0261】
一実施形態では、本発明の組合せ療法に有用な医薬組成物は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と、化学療法剤または薬学的に許容できるその塩の両方を含む。
【0262】
一実施形態では、本発明の組合せ療法に有用な医薬組成物は、EZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩と白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩の両方を含む。
【0263】
キット
本発明の組合せ療法の治療剤は、組成物の共投与に適するキットの形で好都合に組み合わせることができる。
【0264】
一態様では、本発明は、第1の容器と、第2の容器と、添付文書とを含み、第1の容器は、少なくとも1用量のEZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩を含み、第2の容器は、少なくとも1用量の白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩を含み、添付文書は、本医薬を使用して対象のがん処置を行うための指示を含む、キットに関する。
【0265】
一態様では、本発明は、第1の容器と、第2の容器と、第3の容器と、添付文書とを含み、第1の容器は、少なくとも1用量のEZH2阻害剤または薬学的に許容できるその塩を含み、第2の容器は、少なくとも1用量の白金系抗新生物剤または薬学的に許容できるその塩を含み、第3の容器は、少なくとも1用量の化学療法剤または薬学的に許容できるその塩を含み、添付文書は、本医薬を使用して対象のがん処置を行うための指示を含む、キットに関する。一実施形態では、本発明のキットは、活性薬剤または薬学的に許容できるその塩と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物の形態の活性薬剤を1種または複数含む場合がある。キットは、容器、分割ボトル、分割されたホイルパケットなどの、前記組成物を別々に保持する手段を収容する場合がある。そのようなキットの一例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用される、馴染みあるブリスターパックである。
【0266】
キットは、たとえば経口と非経口という異なる剤形を投与する、別個の組成物を異なる投与間隔で投与する、または別個の組成物の用量を互いに対して漸増するのに特に適する場合がある。服薬遵守を助けるために、キットは通常、投与に関する指示を含み、メモリーエイドを添えて提供される場合がある。キットは、希釈剤、フィルター、静注バッグおよびライン、針および注射器などの、医薬の投与において有用となりうる他の材料をさらに含む場合もある。
【0267】
さらなる治療剤
別の態様では、本発明の方法および組合せ療法は、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤などの、さらなる抗がん剤を、前記がんの処置において合計して有効となる量で投与することをさらに含む場合がある。一部のそうした実施形態では、抗腫瘍剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入用抗生物質(intercalating antibiotic)、成長因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗体、細胞傷害性物質、抗ホルモン、アンドロゲン除去療法、および抗アンドロゲン物質からなる群から選択される。一部の実施形態では、抗腫瘍剤は、抗体、たとえば、抗PD−1抗体[たとえば、MDX−1106(ニボルマブ)、MK−3475(ペンブロリズマブ)、CT−011(ピディリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ(cemiplimab))、BGB−A317(チスレリズマブ(tislelizumab)またはBGB−A317)、mAb7(RN888またはPF−06801591)、mAb15、AMP−224(B7−DCIg)、AGEN−2034w(AGEN−2034としても知られる)、スパルタリズマブ(spartalizumab)]、抗PD−L1抗体[たとえば、YW243.55.S70、MDX−1105(BMS−936559)、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)]、および抗CTLA−4抗体[たとえば、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN−1884]から選択される。
【0268】
ニボルマブは、たとえば、2006年11月16日に公開されたPCT公開第WO2006/121168号(2006年5月2日出願の国際特許出願第PCT/JP2006/309606号)で開示されている。ペンブロリズマブは、たとえば、2009年9月17日に公開されたPCT公開第WO2009114335号(2009年3月3日出願の国際特許出願第PCT/US2009/035825号)で開示されている。ピディリズマブは、たとえば、2009年8月20日に公開されたPCT公開第WO2009/101611号(2009年2月11日出願の国際特許出願第PCT/IL2009/000153号)で開示されている。セミプリマブは、たとえば、2011年6月3日に公開されたPCT公開第WO2011066389号(2010年11月24日出願の国際特許出願第PCT/US2010/058007号)で開示されている。BGB−A317は、たとえば、2015年3月19日に公開されたPCT公開第WO2015035606号(2013年9月13日出願の国際特許出願第PCT/CN2013/083467号)で開示されている。mAb7(RN888またはPF−06801591)は、たとえば、2016年6月16日に公開されたPCT公開第WO2016/092419号(2015年12月2日出願の国際特許出願第PCT/IB2015/059268号)で開示されている。mAb15は、たとえば、2016年6月16日に公開されたPCT公開第WO2016/092419号(2015年12月2日出願の国際特許出願第PCT/IB2015/059268号)で開示されている。AMP−224(B7−DCIg)は、たとえば、2010年3月11日に公開されたPCT公開第WO2010/027827号(2009年8月25日出願の国際特許出願第PCT/US2009/054969号)、および2011年6月3日に公開されたPCT公開第WO2011066342号(2010年11月24日出願の国際特許出願第PCT/US2010/057940号)で開示されている。AGEN−2034w(AGEN−2034としても知られる)は、たとえば、2017年3月9日に公開されたPCT公開第WO2017040790号(国際特許出願第PCT/US2016/049913号)で開示されている。スパルタリズマブは、たとえば、2015年7月30日に公開されたPCT公開第WO2015/112900号(2015年1月23日出願の国際特許出願第PCT/US2015/012754号)で開示されている。
【0269】
YW243.55.S70は、たとえば、2010年7月8日に公開されたPCT公開第WO2010077634号(2009年12月8日出願の国際特許出願第PCT/US2009/067104号)で開示されている。MDX−1105(BMS−936559)は、たとえば、2018年6月14日に公開されたPCT公開第WO2018106529号(2017年12月1日出願の国際特許出願第PCT/US2017/064207号)、および2007年1月11日に公開されたPCT公開第WO2007005874号(2006年6月30日出願の国際特許出願第PCT/US2006/026046号)で開示されている。MPDL3280A(アテゾリズマブ)は、たとえば、2018年6月14日に公開されたPCT公開第WO2018106529号(2017年12月1日出願の国際特許出願第PCT/US2017/064207号)で開示されている。MEDI4736(デュルバルマブ)は、たとえば、2011年6月3日に公開されたPCT公開第WO2011066389号(2010年11月24日出願の国際特許出願第PCT/US2010/058007号)、および2018年6月14日に公開されたPCT公開第WO2018106529号(2017年12月1日出願の国際特許出願第PCT/US2017/064207号)で開示されている。MSB0010718C(アベルマブ)は、たとえば、2013年6月6日に公開されたPCT公開第WO13079174号(2012年11月21日出願の国際特許出願第PCT/EP2012/004822号)で開示されている。イピリムマブは、たとえば、抗体10D1として、2001年3月1日に公開されたPCT公開第WO01/14424号(2000年8月24日出願の国際特許出願第PCT/US00/23356号)、また2015年10月8日に公開された米国特許出願公開第20150283234号(2015年4月20日出願の米国特許出願第14/437,029号)で開示されている。トレメリムマブは、抗体11.2.1として、2004年1月27日に譲渡された米国特許第6,682,736号(1999年12月23日出願の米国特許出願第09/472,087号)で開示されている。AGEN−1884は、たとえば、実施例1として、2016年12月8日に公開されたPCT公開第WO2016196237号(2016年5月27日出願の国際特許出願第PCT/US2016/034508号)で開示されている。
【0270】
本発明の方法および組合せ療法の一実施形態では、レジメンは、さらなる活性薬剤を含み、さらなる活性薬剤は、エトポシドである。
【0271】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下で示す例示的な詳細な実施形態を含めて、本明細書に含まれる教示から明白となる。
【実施例】
【0272】
化合物1は、2015年12月23日にWO2015/193765として公開された国際特許出願PCT/IB2015/054272で開示されている、5,8−ジクロロ−2−[(4−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)メチル]−7−[(R)−メトキシ(オキセタン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンとした。
【0273】
化合物2は、2014年6月26日にWO2014/097041として公開された特許出願PCT/IB2013/060682で開示されている、5,8−ジクロロ−7−(3,5−ジメチル−1,2−オキサゾール−4−イル)−2−[(4,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オンとした。
【0274】
別段指定しない限り、化合物1および化合物2は、必要に応じてさらに希釈するために、DMSO保存液として調製した。
【0275】
本明細書では、次の略語を使用する。
ANCOVA− 共分散分析
BID− 1日2回
BW− 体重
BWL− 体重減少
CR− 完全寛解
DMSO− ジメチルスルホキシド
IP− 腹腔内
Nまたはn− 対象の数
NOD/SCID− 非肥満性糖尿病/重症複合免疫不全症
NS− 重要でない
NSG− NOD scidガンマ
PCR− ポリメラーゼ連鎖反応
PO− 経口
QD− 1日1回
qRT− 定量的実時間
RT− 逆転写
SD− 標準偏差
SEM− 平均値の標準誤差
TGI− 腫瘍成長阻害
WT− 野生型
【0276】
実施例1〜9についての方法およびプロトコール
細胞培養: SCLC細胞株DMS114は、アメリカ培養細胞系統保存機関から入手し(American Type Culture Collection、ATCC CRL−2066)、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco/Life Technologies Cat.10082−147)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを加えたWaymouth’s Medium MB752/1(Gibco/Life Technologies Cat.11220−035)で培養した。COR−L88(92031917)細胞は、ECACCから購入した。H841(CRL−5845)、H446(HTB−171)、NCI−H889(CRL−5817)、DMS79(CRL2049)、およびH69(HTB−119)は、アメリカ培養細胞系統保存機関から購入し、推奨される培地(H841:5%FBSで補充したHITES培地、H446:COR−L88、NCI−H889:DMS79、およびH69:RPMI−1640培地+10%FBS)で培養した。RPMI1640は、Invitrogen(カタログ番号11875−093、ロット番号1694256)から購入した。HITES培地は、次の成分:0.005mg/mlのインスリンおよび0.01mg/mlのトランスフェリン、30nMの亜セレン酸ナトリウム(ITS−X(Invitrogen、カタログ番号51500−056、ロット番号1582940)、10nMのヒドロコルチゾン(Sigma、カタログ番号H0888−1G、ロット番号061M1142V)、10nMのベータ−エストラジオール(Sigma、カタログ番号E2257−1mg、ロット番号107K8630)、最終濃度を4.5mMとするための追加の2mMのL−グルタミン(Invitrogen、カタログ番号25030−081、ロット番号1552995)、5%ウシ胎児血清(Invitrogen、カタログ番号10099−141、ロット番号1565565)の混合物で補充したDMEM:F12培地(Invitrogen、カタログ番号11320−033、ロット番号1677218)を基本培地として、アメリカ培養細胞系統保存機関の指示に従って調製した。細胞はすべて、加湿したインキュベーターにおいて、37℃、5%二酸化炭素(CO2)で保守した。
【0277】
In Cellウェスタンブロットプロトコール: 黒色の96ウェル透明平底プレート(Falcon、BD−353219)に、ウェルあたり1500細胞で細胞を播いた。翌日、化合物を、3倍の希釈で、最終濃度範囲を3μM〜0.1nMとして、ウェルに加え、いくつかの細胞は、対照:「DMSOのみ(1次および2次抗体)」および「DMSOのみ(2次抗体のみ)」用に空のままとした。72時間後、培地を除去し、換気フード内で、リン酸緩衝溶液(PBS、Gibco Life Technologies、Cat.10010−023)中の3.7%のホルムアルデヒドを加えて20分間固定させた。次いで、ホルムアルデヒドを除去し、150μlの氷冷メタノール(MeOH)を加えて、細胞を透過処理した。プレートを包み、終夜凍結させた。翌日、MeOHを除去し、Odysseyブロッキング緩衝液(150μl)を加え、プレートを2時間回転震とう機(VWR)に載せておいた。ブロッキング緩衝液を除去し、50μlのOdysseyブロッキング緩衝液(LiCor #927−40000)中に予め1:800希釈しておいたH3K27Me3抗体(Cell Signaling 9733)を加えた。次いで、低温室においてプレートを回転震とう機(VWR)に載せ、4℃で終夜インキュベートした。翌日、一次抗体を除去し、細胞を1×PBS+0.1%Tween20(PBST)で合計5回、5分間ずつ洗浄した。二次抗体(Cell Signaling 5151抗ウサギ)をOdyssey緩衝液(50μl)中に1:800希釈し、次いで、標準化するためにOdyssey緩衝液(5mM)中に1:10,000希釈されたDRAQ5試薬(Cell Signalling #4084)と共に各ウェルに加えた。2時間後、二次抗体を除去し、プレートを再びPBST中で5分間ずつ5回洗浄し、次いで、Odyssey LiCoR機器(焦点距離3mm、二次用の)800nmと(DRAQ5用の)700nmフィルターの両方を一緒に使用)において、蛍光シグナルを検出した。GraphPad Prismバージョン7.02を用い4パラメーター適合を使用してIC50値を算出し、すべての生物学的反復試験の算術平均を算出した。
【0278】
DMS114 SCLC細胞についての細胞増殖阻害アッセイ:12ウェル透明平底ポリスチレン組織培養プレート(Falcon、Cat.353225)において、DMS114 SCLC細胞を、上述の完全細胞培養培地(1mL/ウェル)に、10,000細胞/ウェルの密度で播いた。プレートを37℃、5%CO2で終夜16時間インキュベートした。次いで、細胞を、3μMの高濃度で始まる10段階の3倍連続希釈の化合物1で3日間処理した。3日後、個々の各用量処理からの細胞を、トリプシン−EDTA(0.25%)(Gibco/Life Technologies Cat.25200−056)で分離させ、新鮮な培地に再懸濁し、Vi−Cell細胞カウンターおよび細胞生存率分析装置(Beckman Coulter、cat.383556)を使用してカウントした。次いで、96−well Ultra Low Attachment(ULA)プレート(Corning Inc、Cat.7007)において、個々の各用量処理からの細胞を、上述の完全細胞培養培地(100μL/ウェル)に、500細胞/ウェルの密度で播き直した。細胞を37℃、5%CO2で再び終夜16時間インキュベートした。翌日、3μMの高濃度で始まる10段階の3倍連続希釈の化合物1を使用して、化合物1を、上で設定したとおりの各々の用量で加えた。次いで、上述の投与スケジュールに従って3日毎に新鮮な増殖培地および薬物を補給しながら、プレートを37℃、5%CO2でさらに14〜18日間インキュベートした。細胞が合計17〜21日間化合物で処理された。インキュベート期間の終わりに、19μLのAlamarBlue(ThermoFisher Cat.DAL102)を各ウェルに加え、プレートを37℃で16時間インキュベートした。次いで、Infinite M200 Proマイクロプレートリーダー(Tecan Cat.396235)において、540nm〜570nmの蛍光励起波長(ピーク励起は570nm)および580nm〜610nmでの発光(ピーク発光は585nm)を使用して、プレートを読み取った。GraphPad Prismバージョン7.02において非線形回帰用量反応曲線適合を使用して、IC50値を算出した。
【0279】
H841、H446、およびH69 SCLC細胞についての細胞増殖阻害アッセイ:各細胞株について3通りの12ウェルプレートにおいて、H841、H446、およびH69細胞を、上述のその推奨される完全培地(1mL/ウェル)に、ウェルあたり100,000細胞の密度で播いた。プレートを37℃、5%CO2で終夜インキュベートした。化合物1保存液をDMSO中に50mMで調製し、いくつかの使い切りの分割量に分配し、−20℃で保管した。化合物プレートを調製するために、化合物1をDMSO中に希釈して3mMとし、次いで、DMSOへの3倍連続希釈を行った(合計10用量)。細胞を播いてから24時間後、1μlの薬物希釈物を、DMSO対照と共に、1mlの培地中に細胞を含んでいる12ウェルプレートの適切なウェルに加えた(1000倍希釈)。各ウェルにおけるすべての希釈後の薬物の最終濃度は、3、1、0.333、0.111、0.037、0.012、0.004、0.001、0.0005、0.0002μMとなった。3つの反復試験の対照ウェルに、DMSOを加えた。プレートを手で震とうして、薬物を適正に混合した。次いで、細胞をインキュベーターにおいて37℃で保守した。3または4日後、細胞増殖速度に応じて、細胞1:2または1:3分割した。浮遊細胞については、1mlのピペットを使用して細胞を十分に混合し、次いで、500μl(1:2分割)または667μl(1:3分割)の細胞を除去した。付着細胞については、細胞をトリプシン処理し、1:2または1:3分割した。各ウェルに同体積の新鮮な培地を加えて、体積を1mlとした。細胞が半付着であった場合、懸濁液中の浮遊細胞を、トリプシン処理した付着細胞と共に収集した。先に述べたとおり、各ウェルに新鮮な薬物を加えた。細胞を分割し、培地/薬物補給を、21日目まで3〜4日毎に同様に繰り返した。21日目に、細胞形態を顕微鏡で観察し、化合物処理後の形態変化を記録した。浮遊細胞については、次いで細胞をピペット操作によって繰り返し混合し、3通りのウェルから吸引し、15mLの管に移した。付着細胞については、上清を除去し、各ウェルに500μlのトリプシンを加えた。細胞が底部から分離した後、各ウェルに1mlの完全培地を加えた。細胞をばらして単一細胞懸濁液とし、15mLの管に移し、1000rpmで5分間遠心分離した。上清を除去し、細胞を3通りのウェルから、ペレットの大きさに基づき1000〜3000μlの培地に再懸濁した。細胞+培地ウェルから50〜100μlの体積を黒色の96ウェル平底CTGプレート(Corning、Cat.CLS3904)に移し、等体積のCTG試薬(Promegaより、Cat.G7571、ロット番号0000089186)を加えた。細胞懸濁液の体積は、シグナルがCTGアッセイの線形範囲内(細胞が多すぎずも少なすぎずもない)に確実に収まるように調整した。次いで、細胞を暗所において5分間震とうした。製造者の指示に従って、細胞生存率を測定した。
【0280】
EZH2阻害剤を標準治療化学療法剤(化学療法において標準治療として単独でまたは組み合わせて使用することのできる、シスプラチンおよびエトポシド)と組み合わせることの相乗的な抗増殖効果を評価するために、上述の細胞株のそれぞれを、培養フラスコにおいて、定められた用量の化合物1で9日間事前処理した後、96ウェルプレートにおいて、シスプラチンまたはエトポシドで4日間補助処理した。CellTiter−Glo細胞増殖アッセイを、本明細書に記載の方法に従って使用して、細胞増殖に対する効果を評価し、Chalice Bioinfomaticsソフトウェア(Horizon Discovery、バージョン1.6)を使用して結果を分析し、相乗作用スコアを算出した。データを無処理DMSO/DMSOサンプルに対して正規化し、無処理サンプルに対する%として表す。データを、Loewe相加性組合せモデルを使用して分析し、超過属性を使用して、Loeweモデルによって予測された各用量についての相加的効果を上回る、観察データの大きさを評価した。
【0281】
SLFN11ウェスタンブロッティングプロトコール:SCLC細胞株をDMSO中500nMの化合物1で7日間処理し、次いで、ウェスタンブロッティングを使用して、SLFN11タンパク質レベルの変化を評価した。薬物処置後、細胞をトリプシン処理し(付着細胞)、室温にて2000rpmで遠心分離することにより回収し、PBSで洗浄した後、遠心分離によって細胞ペレットを集めた。細胞ペレットを適切な体積のRIPA緩衝液(Sigma、カタログ番号R0278、5〜10×105細胞あたり100ul)に再懸濁し、氷上で10〜15分間インキュベートし、12,000g、4℃で10分間遠心分離し、次いで上清を集めた。15ugの全タンパク質可溶化液を、1×NuPAGE(商標)MOPS SDS泳動緩衝液(NP0001)中4〜12%のNuPAGE(商標)Bis−Trisタンパク質ゲル(NP0336Box)上で泳動させた。ゲルを氷上にて80Vで20分間、次いで150Vで60分間泳動にかけた。タンパク質を転写するために、iBlot2ドライブロッティングシステム(カタログ番号:IB21001)を、iBlot2 Regularニトロセルロース転写スタック(カタログ番号:IB23001)と共に、製造者の指示に従って使用した。iBlot2 Regularニトロセルロース転写スタックを組み立て、iBlot2ドライブロッティングシステムに組み入れた。鋳型法P3を製造者の指示に従って使用して、20Vの定電圧で7分間転写を実施した。転写が完了した後、ニトロセルロース膜を、室温にて5%無脂肪乳中で震とうしながら1時間ブロックした。一次抗体溶液を、SLFN11抗体(E−4)(カタログ番号:sc374339)を用い、5%無脂肪乳ブロッキング緩衝液中に、1:100の希釈度で調製した。膜を4℃で震とうしながら終夜インキュベートした。翌日、震とう機上で、膜を、1×Tris緩衝食塩水、社内で調製した0.1%Tween−20(TBS−T)で10分間ずつ3回洗浄した。5%無脂肪乳ブロッキング緩衝液中1:2,000の希釈度の二次抗マウスIgG HRP結合Ab(カタログ番号:CST7076S)中にて、膜を1時間インキュベートし、次いで、震とう機上において、1×TBSTで3回10分間洗浄した。ECLシステム(Thermo−34078および−34096)を使用してシグナルを検出し、ImageQuant LAS400撮像装置において画像処理した。
【0282】
COMETアッセイ:T75フラスコにおいて、懸濁液または付着SCLC細胞株を50000細胞/mLの密度で播種し、DMSO中に0.3μMの最終濃度の化合物1またはDMSO対照(0.01%)を含有する完全細胞培養培地において、37℃、5%CO2で7日間培養した。新鮮な増殖培地および薬物を3〜4日毎に補給した。7日間処理した後、細胞を、異なる用量のシスプラチン(Sigma−Alderich カタログ番号P4394)と組み合わせた0.3μMの化合物1またはDMSO対照で3日間処理した。細胞を遠心分離によって回収し、細胞ペレットを、氷冷1×PBS(無Ca
++およびMg
++)中の単一細胞懸濁液に1×10
5細胞/mLで再懸濁し、使用に向けて室温で保管した。LMアガロース(Trevigen 4250−050−02)を、ビーカー1杯の沸騰水中で5分間融解させ、次いで、アガロースボトルを37℃のインキュベーターに入れて冷却した。(37℃の)LMアガロースと1:10(v/v)の比で合わせた1×10
5/mLの細胞を、CometSlide(商標)(TREVIGEN 4250−050−03)上に直ちにピペットで移して(50μl)、サンプル範囲が確実に完全に覆われるようにした。スライドを暗所に4℃で10〜20分間平置きし、冷Lysis Solution(Trevigen 4250−050−01)に浸し、4℃で終夜インキュベートした。Lysis Solution中でインキュベートした後、スライドの水気を切り、暗所において、新たに調製したAlkaline Unwinding Solution(20mMのNaOH、1mMのEDTA pH>13)に、4℃で1時間浸しておいた。TREVIGEN CometAssay ESシステム(Trevigen 4250−050−ES)において、新たに調製したアルカリ性電気泳動溶液(20mMのNaOH、1mMのEDTA pH>13)を用い、スライドを21Vで30分間電気泳動にかけた。電気泳動後、スライドの余分な電気泳動溶液を切り、H2Oに2回、5分間ずつ静かに浸した後、70%エタノールに5分間浸した。スライドを暗所において終夜風乾し、室温で保管した。乾燥したスライドを、暗所において、100μlの希釈SYBR Gold(Invitrogen カタログ番号S11494 TE緩衝液中1:10000)で数分間染色した。染色されたスライドを、Nikon蛍光顕微鏡法(496nm/522nmでの最大励起/発光)によって画像化した。
【0283】
γ−H2AX染色:滅菌SLIP−RITEカバーガラス(ThermoScience 22×22
#1.5 カタログ番号152222)を6ウェルプレートの上に載せた。6×10
4個の細胞を各カバーガラス上に播種し、DMSO中0.3μMの化合物1またはDMSO対照(0.01%)を含有する2mlの完全培地において、3〜4日毎に新たな増殖培地および薬物を補給しながら、37℃、5%CO2で7日間培養した。7日間処理した後、細胞を、異なる用量のシスプラチン(Sigma−Alderich カタログ番号P4394)と組み合わせたDMSO中0.3μMの化合物1またはDMSO対照で終夜(16時間)処理した。組合せ処理の終わりに、細胞を1×リン酸緩衝溶液(PBS)(無Ca
++およびMg
++)で3回洗浄し、1mlの4%パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences カタログ番号15710)中に固定し、4℃で終夜保管した。固定した後、細胞を1×PBS中で3回洗浄し、0.25%のTriton X−100(Sigma、カタログ番号T8787)を含有する1mlのPBS中にて室温で10分間インキュベートすることにより透過処理した。透過処理後、細胞を1×PBSで3回洗浄し、10%ロバ血清(Sigma−Aldrich カタログ番号D9663、PBS中に1:10希釈)と共に室温で1時間インキュベートして、抗体の非特異的結合をブロックした。ブロックした後、細胞をマウス抗−ホスホ−ヒストンH2A.X(Ser139)抗体(Millipore カタログ番号05−636、1%BSA中に1:1000希釈)と共に4℃で終夜インキュベートした。翌日、細胞を1×PBS中で3回洗浄し、Alexa Fluor(商標)488ロバ抗マウスIgG抗体(Invitrogen カタログ番号A21202、1%BSA中に1:2000希釈)と共に室温で1時間インキュベートした。次いで、封入する前に、細胞を1×PBSで3回洗浄した。細胞が着いたカバーガラスを置き、DAPI添加Fluoromount−G(商標)(Invitrogen カタログ番号004959−52)によって、COLORFROST PLUS顕微鏡スライド(ThermoSciences カタログ番号9991004)上に封入した。封入がなされたスライドを、Nikon A1R共焦点顕微鏡法で画像化した。
【0284】
EZH2−WT DMS114 SCLC in vivo異種移植研究:
(i)化合物製剤:化合物1を、経口経管栄養投与用に、湿式粉砕ナノ懸濁液(2.5%w/vのポリビニルピロリドン(PVP)、0.5%w/vのマクロゴール15ヒドロキシステアレート(Kolliphor HS15)水溶液中で24時間の粉砕、1μm未満の粒度分布(PSD、約650nmの中位径(d50))として製剤化した。
【0285】
(ii)細胞移植、化合物投与、および組織収集:非肥満糖尿病バックグラウンドの中に重度の複合免疫不全(SCID)突然変異を有する雌の免疫不全マウス(NOD SCID、6〜8週齢、Charles River LaboratoriesからのNOD.CB17−Prkdcscid/NCrCrl)に、7.5×10
6個のDMS114細胞(1:1マトリゲル(Trevigen、Cultrex BME Path Clear(登録商標)、ロット番号30625F14)中、合計体積200μl)の右側腹部への皮下(SC)移植を施した。腫瘍体積および体重を週2回測定した。移植後20日目に、64匹のマウスを、幾何平均(geomean)で約160mm
3の腫瘍サイズを基準として、用量に対応する6つの群に無作為化した(表1)。化合物を、それぞれ、経口経管栄養(化合物1、(7/17時間空けて)1日2回)または腹腔内注射(シスプラチン)によって10ml/kgで投与した。シスプラチン投与スケジュールは、週1回を3週間(Q7D×3)とし、無作為化および化合物1による処置開始から7日後に始動した。
【0286】
【表1】
【0287】
55日目に、試験群1、2、3、および4を終了した(表1)。薬力学的(PD)分析のために、最終の投与後4時間の時点で、(瞬間凍結された)腫瘍サンプルを集めた。両方のシスプラチン処置群(5および6)は、無作為化後81日目まで、試験を継続して、腫瘍退縮および再成長をモニターした。最終の投与後3時間の時点で、群5および6からの腫瘍サンプルを、入手可能な腫瘍サイズに応じて集めた。
【0288】
これらの動物で実施したすべての手順は、規制および確立された指針に従っており、Pfizer’s Institutional Animal Care and Use Committeeによる審査および承認を受けている。
【0289】
(iii)データ解釈:各実験について、それぞれ、Microsoft ExcelおよびGraphPad Prismバージョン7.02において、計算を実施し、グラフを作成した。腫瘍体積は、0.5×長さ×幅
2として算出した。腫瘍増殖阻害(TGI)は、式:%TGI=[1−(Vtx−Vt0/Vcx−Vc0)]×100によって求めており、Vc、Vtは、対照および処置群の幾何平均である。X=試験におけるX日目であり、0=投与初日である。
【0290】
ELISAアッセイ:
(i)ヒストン抽出:EpiQuickヒストン抽出キット(Epigentek OP0006)を使用して、ヒストン抽出を行った。凍結した腫瘍サンプルをカットし、ドライアイス上で冷えた乳鉢および乳棒を使用して均質化した。均質化された混合物を、1.5mLの管の、フッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)を含有する1×プレ溶解緩衝液(200mg/mL)中へと移した。サンプルを静かに混合し、氷上で15分間インキュベートし、4℃で5分間、3,000rpmで遠心沈殿した。組織ペレットを、ヒストン抽出キットからの3体積(組織100mgあたりおよそ200μL)の溶解緩衝液に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートし、4℃で5分間、12,000rpmで遠心沈殿した。DTT溶液をバランス緩衝液に1:500の比で加えることにより、バランス−DTT緩衝液を調製した。(酸可溶性タンパク質を含有する)上清を、新たな1.5mL管に移し、各サンプルに、ヒストン抽出キットからの0.3体積のバランス−ジチオトレイトール(DTT)緩衝液を直ちに加えた。腫瘍可溶化液は、Bioruptor Plus(Diagenode #B01020001)を使用して、高い強度で4サイクル(30秒のオンと30秒のオフ)にわたって短く音波処理した。抽出物を等分し、−20℃(短期間)または−80℃(長期間)で保管した。Coomassie Plus(Bradford)アッセイキット(Thermo #23236)を使用して、タンパク質濃度を定量化した。
【0291】
(ii)H3K27Me3およびMe2 ELISAアッセイ:ヒストン抽出物を、100μLのコーティング緩衝液(0.05%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するリン酸緩衝溶液(PBS))中に希釈して、最終濃度を400ng(または800ng)とした。96ウェルアッセイマイクロプレート(Corning Costar)において、ウェルあたり400ng(または800ng)の各サンプルを2通りに加え、しっかりとシールし、4℃で終夜インキュベートした。翌日、各プレートのウェルを、300μlの洗浄緩衝液(PBS、0.05%のTween20)で3回洗浄し、次いで、室温において300μLのブロッキング緩衝液(PBS、0.05%のTween20、2%のBSA)で2時間ブロックした。洗浄緩衝液(PBS、0.05%のTween20)でもう一巡洗浄した後、100μLの検出抗体(ブロッキング緩衝液中に1:2000希釈したCell Signaling #9733 H3K27Me3、ブロッキング緩衝液中に1:2000希釈したCell Signaling #9728 H3K27Me2、ブロッキング緩衝液中に1:5000希釈したABCAM ab1791トータルヒストンH3)を各々のプレートの各ウェルに加え、室温で1.5時間インキュベートした。洗浄緩衝液(PBS、0.05%のTween20)でもう一巡洗浄した後、1:2000(H3K27Me3およびMe2)または1:10,000(トータルH3)希釈した二次抗体(抗Rb−IgG−HRP、Cell Signaling 7074)100μLを各ウェルに加え、プレートを室温で1.5時間インキュベートした。洗浄緩衝液(PBS、0.05%のTween20)でもう一巡洗浄した後、各ウェルに100μLのTMB基質(Thermo Scientific、N301)を加え、プレートを10分間インキュベートし、各ウェルに100μLの停止溶液(新たに調製またはThermo Scientific N600から購入した0.16Mの硫酸)を加え、静かに震とうし、450nmで吸光度を読み取ることにより、検出を行った。GraphPad Prismバージョン7.02を使用して、データを分析した。一元配置分散分析(Tukeyの多重比較検定)を使用して、p値を求めた。
【0292】
(実施例1)
DMS114 SCLC細胞における化合物1の抗増殖効果
野生型EZH2を含んでいるDMS114 SCLC細胞において、化合物1のEZH2に対する活性を評価した。細胞H3K27Me3レベルの相対量を測定することにより、EZH2阻害活性を明らかにした。DMS114細胞を、示した濃度の化合物1で3日間処理し、上述のインセルウェスタンアッセイを使用して、H3K27Me3レベルを測定した。結果を表2および
図1に示す。
図1は、5つの独立した生物学的反復実験を代表するものである。3μM〜0.1nMの範囲の濃度で3日間処理後、化合物1は、用量依存的なH3K27Me3阻害を示し、平均細胞IC50は、9.48nMであった。
【0293】
EZH2−WT DMS114 SCLC細胞の細胞増殖の阻害における化合物1の活性も、DMS114 SCLC細胞のための上述の細胞増殖アッセイを使用して評価した。3μM〜0.1nMの10段階用量曲線(1:3希釈)を使用して、DMS114細胞を、異なる濃度の化合物1で17〜21日間処理し、次いで、細胞生存率について評価した。結果を表2および
図2に示す。
図2は、6つの独立した生物学的反復実験を代表するものである。結果から、化合物1が、DMS114細胞において用量依存的な強い細胞増殖阻害を示したことが示唆され、平均IC50は、18.8nMであった。
【0294】
【表2】
【0295】
(実施例2)
化合物1とSCLC標準治療剤シスプラチンまたはエトポシドの組合せについての抗増殖相乗作用の評価
SCLC DMS114細胞株の増殖の阻害において化合物1で認められた強い効果を考慮して、現行の標準治療化学療法剤と組み合わせた化合物1を調査した。実験は、DMS114 SCLC細胞についての細胞増殖阻害アッセイを上述の方法に従って使用して行っており、結果を
図3および4に示す。
図3は、単独で投与した、およびシスプラチンと組み合わせて投与した化合物1についてのIC50曲線を示す。
図4は、単独で投与した、およびエトポシドと組み合わせて投与した化合物1についてのIC50曲線を示す。これらの実験は、化合物1での事前の処理によって、DMS114細胞におけるシスプラチンまたはエトポシドの両方またはいずれかの抗増殖効果が強力に増したことを示している。
図3および4には、Loewe相加性(ADD)モデルを上述のとおりに使用して、組合せデータをさらに分析した結果も示す。この分析では、両方の化合物についてIC50を上回る用量で実現された増殖阻害のレベルが、両方の化合物の効果が相加的であった場合に予測されるであろうレベルより強力であったことが示された。
【0296】
(実施例3)
単剤化合物1は、DMS114 SCLC異種移植モデルにおける腫瘍成長をin vivoで阻害する。
DMS114 SCLC異種移植モデルにおいて、上述のin vivo異種移植研究プロトコールを使用して、化合物1の抗腫瘍有効性をin vivoで試験した。試験アームの規定、投与形態、および投与経路は、表1に要約されている。結果を
図5に示す。化合物1は、用量依存的な有効性反応を示し、最大腫瘍成長阻害(TGI)は、300mg/kgを1日2回(BID)で、69%〜79%であった。腫瘍細胞移植後20日目に、腫瘍サイズを基準として、マウスを処置群に無作為化した。各群における無作為化時の腫瘍サイズの幾何平均は、約160mm
3であった。
図5に示す結果から、100mg/kgBIDおよび300mg/kgBIDで投与された化合物1が、両方とも、ビヒクルが投与された対照群に対して、有意な抗腫瘍利益を示したことを認めることができる。用量依存的な有効性が示され、最高の300mg/kgBID用量についてのTGI利益は、30mg/kgBIDおよび100mg/kgBID処置に対して有意であった(55日目、両側t検定)。化合物1単独療法アームでは、完全な腫瘍退縮は、認められなかった。化合物1は、体重減少が限られ、十分に忍容された。
【0297】
(実施例4)
単剤化合物1は、DMS114 SCLC異種移植モデルにおいて、in vivoでH3K27Me3およびMe2の用量依存的なバイオマーカー阻害を示す。
DMS114 SCLC異種移植モデルにおける化合物1のEZH2に対するin vivo活性を、上記実施例3に記載の研究からの、55日目に回収した腫瘍組織サンプルを使用して、ELISAによって、細胞H3K27Me3およびMe2レベルの相対量を測定することにより明らかにした。結果を
図6に示す。化合物1は、腫瘍サンプルにおいてH3K27Me3およびMe2の用量依存的な阻害を示し、最大阻害は、H3K27Me3およびMe2について、300mg/kgBIDで、それぞれ、96%および82%であった。
【0298】
(実施例5)
化合物1は、DMS114 SCLC異種移植モデルにおいて、シスプラチンと、組合せによる抗腫瘍活性利益を示す。
EZH2−WT DMS114 SCLC異種移植モデルにおいて、上述のin vivo異種移植研究プロトコールを使用して、シスプラチンと組み合わせた化合物1の抗腫瘍有効性をin vivoで試験した。試験アームの規定、投与形態、および投与経路は、表1に要約されている。結果を
図7に示す。55日目に、シスプラチンおよび化合物1単独処置群では、シスプラチン投与後に断続的な腫瘍の縮小が認められたとはいえ、すべての腫瘍が進行し、処置開始時より大きくなっていた。対照的に、組合せ群では、12のうち6の腫瘍が、出発腫瘍負荷に比べて退縮していた。55日目までに、組合せ処置では、TGIが95%となり、シスプラチン(TGIは51%、シスプラチンに対してP=0.019)または化合物1(TGIは50%、100mg/kgの化合物1に対してP=0.016)での単剤療法より有意に効果的であった。シスプラチン処置は、マウスの体重減少を引き起こしたため、単剤および組合せアームの両方において3回目の投与後に中止した(
図7)。化合物1単剤処置は、十分に忍容されたが(
図7)、化合物1+シスプラチンの組合せは、体重減少を示し、シスプラチン単剤療法処置群より有意に顕著であった(27日目以降のすべての測定についてP<0.05、両側t検定)。
【0299】
反応の耐久性に対するEZH2阻害の効果を評価するために、シスプラチン単剤療法群および組合せ療法群は、55日目の後も研究を継続した。これら処置アームの両方において、最後のシスプラチン処置は、42日目に施された。組合せアームでは、単剤療法化合物1の投与のみを維持療法としてさらに3週間(シスプラチン投与なしで).継続した。結果を
図7に示す。維持用量の化合物1によって、組合せアームにおける腫瘍退縮は、シスプラチン中断後さらに34日間持続したが、さらなる処置を受けていない、シスプラチン単剤療法アームにおけるすべての腫瘍は、進行していた。組合せアームにおいて、シスプラチン処置が中止された後、体重は、化合物1による維持投与の間に完全に回復し、化合物1維持用量の結果として生じる毒性は、最小限に抑えられることが示唆された(
図7)。
【0300】
さらに、
図8および9に示すデータから、シスプラチンと化合物1の組合せによって、ビヒクル、または化合物1もしくはシスプラチン単剤療法のいずれかに対して有意な生存利益がもたらされたことを認めることができる。生存の表示については、最大腫瘍負荷を500mm
3に設定した。100mg/kgBID化合物1群およびシスプラチン単剤療法群は、ログランク検定(Mantel−Cox)においてビヒクル対照群に対してP<0.05の有意性レベルに達しなかった。生存期間中央値は、組合せにおいて、ビヒクルの34日、100mg/kgBID化合物1の39日、およびシスプラチン群の37.5日に対して、74.5日に増加した。
【0301】
要約すると、化合物1は、DMS114 SCLC異種移植モデルにおいて、in vivoで、腫瘍成長の用量依存的な阻害を示した。用量依存的な阻害は、H3K27Me3およびMe2バイオマーカーの強力な阻害とも相互に関連した。観察された体重変化が最小限であったことを根拠に、マウスにおいて、化合物1の投与は忍容されたことが結論付けられた。化合物1を第一選択標準治療シスプラチンと組み合わせて投与することで、シスプラチン単剤療法と比べて、抗腫瘍有効性と抗腫瘍反応の耐久性の両方が有意に向上し、有意な生存利益がもたらされた。さらに、本明細書に記載の非臨床研究によって、化合物1が、H3K27Me3およびMe2阻害によって測定されるとおり、EZH2触媒活性をin vivoで阻害し、このDMS114 SCLC異種移植モデルにおいて、単剤としても、シスプラチンと組み合わせても、腫瘍成長の強い阻害を誘発することが実証される。
【0302】
(実施例6)
追加のSCLC細胞株における化合物1の抗増殖効果
DMS114細胞において化合物1で認められた強い活性(上記実施例1を参照されたい)に基づき、化合物1の抗増殖活性を、追加の3種のSCLC細胞株、すなわち、H841、H446、およびH69においても、上述の細胞増殖アッセイを使用して試験した。3μM〜0.1nMの10段階用量曲線(DMSO中に1:3希釈)を使用して、各細胞株を、異なる濃度の化合物1で21日間処理し、次いで、細胞生存率について評価した。結果を、
図10(H841)、
図11(H446)、および
図12(H69)に示す。21日間の処理後、化合物1は、用量依存的な強い細胞増殖阻害を示し、平均IC50は、H841細胞株で73.15nM、H446細胞株で108.6nM、H69細胞株で224.1nMであった。
【0303】
(実施例7)
H841、H446、およびH69細胞株における、化合物1とSCLC標準治療剤シスプラチンまたはエトポシドの組合せについての抗増殖相乗作用の評価
SCLC H841、H446、およびH69細胞株の増殖の阻害において化合物1で認められた強い効果を考慮して、化合物1の、現行の標準治療化学療法剤シスプラチンまたはエトポシドとの組合せを調査した。実験は、H841、H446、またはH69 SCLC細胞についての細胞増殖阻害アッセイを、上述の方法に従って使用して行っており、結果を、
図13および14(H841細胞株)、
図15および16(H446細胞株)、ならびに
図17および18(H69細胞株)に示す。
図13、15、および17は、単独で投与した、およびシスプラチンと組み合わせて投与した化合物1についてのIC50曲線を示す。
図14、16、および18は、単独で投与した、およびエトポシドと組み合わせて投与した化合物1についてのIC50曲線を示す。DMS114でのように、これらの実験も、化合物1での事前の処理によって、H841、H446、およびH69細胞株におけるシスプラチンまたはエトポシドの両方またはいずれかの抗増殖効果が強力に増したことを示している。
【0304】
図13〜18には、Loewe相加性(ADD)モデルを上述のとおりに使用して、組合せデータをさらに分析した結果も示す。この分析では、両方の化合物についてIC50を上回る用量で実現された増殖阻害のレベルが、両方の化合物の効果が相加的であった場合に予測されるであろうレベルに比べて、少なくとも同程度またはより強力であったことが示された。
【0305】
(実施例8)
化合物1は、SCLC細胞株におけるSLFN11の発現を誘導する。
化学療法剤を用いて認められたEZH2i相乗作用を担う潜在的な機序を理解するために、本発明者らは、DNA傷害剤にとっての感作物質であるSLFN11発現に対する、化合物1処理の効果を評価した。いくつかのSCLC細胞株を500nMの化合物1で7日間処理し、ウェスタンブロッティングを上述の方法に従って使用して、SLFN11タンパク質レベルの変化を評価した。結果を
図19に示す。こうした結果は、化合物1で処理すると、いくつかの細胞株において、SLFN11発現の強い誘導が認められたことを示している。
【0306】
(実施例9)
化合物1とSCLC標準治療剤シスプラチンの組合せは、SCLC細胞株においてDNA損傷の増加を誘発する。
DNA損傷マーカーであるγ−H2AXの染色またはCOMETアッセイを用いたDNA損傷の評価のいずれかを、上述の方法に従って使用して、化学療法剤シスプラチンと組み合わせた化合物1の、DNA損傷に対する効果を評価した。SCLC細胞株H841またはH69を化合物1で7日間事前処理した後、シスプラチンで16時間(γ−H2AX)または3日間(COMETアッセイ)補助処理した。 結果を
図20〜22に示す。
図20において、H841細胞株からの結果は、組合せで処理した細胞において、いずれかの単剤療法で処理した細胞に比べて、γ−H2AXフォーカス形成の激しい増加が認められたことを示唆している。
図21において、H841細胞株からの結果は、組合せで処理した細胞において、いずれかの単剤療法で処理した細胞に比べて、DNA損傷(COMETアッセイ)の激しい増加が認められたことを示唆している。H69細胞株COMETアッセイでも、同様の結果が得られた(
図22を参照されたい)。
【0307】
本明細書で引用したすべての刊行物および特許/特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。前述の発明について、図表および例を介して多少詳しく述べてきたが、本発明の教示に照らして、添付の請求項の真意および範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および改変がこれに対してなされてもよいことは、当業者に容易に明らかとなる。