【解決手段】物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、正の屈折力を持つ第4レンズ群、負の屈折力を持つ第5レンズ群から構成され、広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群、及び前記第5レンズ群が固定され、前記第2レンズ群、前記第4レンズ群が光軸上を移動し、開口絞りは前記第3レンズ群に固定され、所定の条件式を満足するズームレンズ。
物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群と、負の屈折力を持つ第2レンズ群と、正の屈折力を持つ第3レンズ群と、正の屈折力を持つ第4レンズ群と、負の屈折力を持つ第5レンズ群とから構成され、
広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群、及び前記第5レンズ群が固定され、前記第2レンズ群、前記第4レンズ群が光軸上を移動し、以下の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とするズームレンズ。
-40.0 ≦ f1/f2 ≦ -8.5 ....................... (1)
-1.1 ≦ f2/f4 ≦ -0.5 ....................... (2)
ただし、
f1は前記第1レンズ群の焦点距離
f2は前記第2レンズ群の焦点距離
f4は前記第4レンズ群の焦点距離
前記第5レンズ群は、物体側から順に負レンズと、正の屈折力を持つ部分群とからなり、以下に示す条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
-1.3 ≦ f5a/f4 ≦ -0.7 .................... (5)
ただし、
f5aは前記第5レンズ群の最も物体側に配置される負レンズの焦点距離
f4は前記第4レンズ群の焦点距離
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
本発明に係るズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群、負の屈折力を持つ第2レンズ群、正の屈折力を持つ第3レンズ群、正の屈折力を持つ第4レンズ群、負の屈折力を持つ第5レンズ群から構成され、
広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群、及び前記第5レンズ群が固定され、前記第2レンズ群、前記第4レンズ群が光軸上を移動し、
所定の条件式を満足する。
【0015】
本発明のズームレンズは、広角端から望遠端への変倍時において、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群、及び前記第5レンズ群が固定され、前記第2レンズ群及び前記第4レンズ群が光軸上を移動する。フォーカス時は、前記第2レンズ群が光軸上を移動する。従って、本発明のズームレンズは、変倍時及びフォーカス時に光軸上を移動するレンズ群が少なく、かつ変倍時及びフォーカス時に光学系の全長が変わらないインナーフォーカスタイプであり、変倍駆動系やフォーカス駆動系を簡易な構成にすることができる利点を有する。インナーフォーカスタイプの本発明のズームレンズが、自動フォーカス(AF)系の駆動力を小さくでき、また変倍時及びフォーカス時の重心移動が少なく安定しており、さらに光学フィルターの配置が容易となる等の一般的利点を持っていることはもちろんである。さらに、前記第3レンズ群は、正の屈折力を持つことから、第3レンズ群は、第2レンズ群により発散した光束を収束させる効果を持ち、第3レンズ群以降のレンズ群による球面収差の補正を容易にし、良好な解像性能を得ることができる。また、第3レンズ群が正の屈折力を持つことは、全長の短縮化そしてズームレンズの小型化にも寄与する。ここで、全長とは、第1レンズ群の物体側第1面から結像面までの光軸上の距離である。
【0016】
さらに、第3レンズ群は少なくとも単レンズ成分を有する。単レンズ成分とは、接合レンズや複合非球面レンズを含む物体側と像側のみ空気層に接しているレンズ成分のことである。前記第3レンズ群の小型化を考慮すると、前記第3レンズ群は1枚の正レンズ、または1枚の正レンズと1枚の負レンズが接合された接合レンズであることが好ましい。
【0017】
なお、開口絞りが配置される位置は特に限定されるものではないが、変倍の際に第3レンズ群と共に固定されることが好ましい。開口絞りを正の屈折力を持つ第3レンズ群と共に配置することにより、球面収差を効果的に補正することができる。開口絞りは、第3レンズ群の物体側、像側およびレンズの間のいずれにも配置することができるが、本発明のズームレンズにおいては球面収差補正効果を考慮すると像側に配置することが望ましい。
【0018】
また、本発明に係るズームレンズは、以下の条件式を少なくとも1つ以上満足することが好ましい。
【0019】
本発明のズームレンズは、以下に示す条件式(1)を満足することが好ましい。
-40.0 ≦ f1/f2 ≦ -8.5 ....................... (1)
ただし、
f1は前記第1レンズ群の焦点距離
f2は前記第2レンズ群の焦点距離
である。
【0020】
条件式(1)は、第2レンズ群の焦点距離と、第1レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。条件式(1)を満足することで、第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離を適切に設定し、球面収差を良好に補正し、広角で大口径比、小型で良好な解像性能を持つ光学系を得ることができる。
条件式(1)の下限を下回ると、第1レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ、全長が長くなると共に、球面収差の補正が困難となり、小型で良好な光学性能を実現することが難しくなる。
条件式(1)の上限を上回ると、第1レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、球面収差が補正過剰になり、良好な性能を持つ光学系を得ることが困難となる。
【0021】
なお、上記条件式(1)の下限値は、-35.0以上であることが好ましく、-30.0以上であることがより好ましい。また、上記条件式(1)の上限値は、-9.0以下であることが好ましく、-9.5以下であることがより好ましい。
【0022】
本発明のズームレンズは、以下に示す条件式(2)を満足することが好ましい。
-1.1 ≦ f2/f4 ≦ -0.5 ....................... (2)
ただし、
f2は前記第2レンズ群の焦点距離
f4は前記第4レンズ群の焦点距離
である。
【0023】
条件式(2)は、第4レンズ群の焦点距離と、第2レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。条件式(2)を満足することで、第2レンズ群と第4レンズ群の焦点距離が適切に設定される。これにより、広角端から望遠端への変倍の際に第2レンズ群により発生する像面湾曲を第4レンズ群で良好に補正することが可能となる。
条件式(2)の下限を下回ると、第2レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ、第2レンズ群で発生する像面湾曲は小さくなるが、広角端から望遠端への変倍時の第2レンズ群の移動量が大きくなり、ズームレンズの小型化が困難となる。
条件式(2)の上限を上回ると、第2レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、第2レンズ群で発生する像面湾曲が大きくなり、変倍により第2レンズ群が光軸上を移動した際に発生する像面湾曲を第4レンズ群で補正することが困難になる。
【0024】
なお、上記条件式(2)の下限値は、-1.05以上であることが好ましく、-1.00以上であることがより好ましい。また、上記条件式(2)の上限値は、-0.51以下であることが好ましく、-0.52以下であることがより好ましい。
【0025】
(第2実施形態)
本発明のズームレンズは、以下に示す条件式(3)を満足することが望ましい。
3.0 ≦ f3/fw ≦ 7.5 ......................... (3)
ただし、
fwは広角端における無限遠合焦時のレンズ全系の焦点距離
f3は前記第3レンズ群の焦点距離
である。
【0026】
条件式(3)は、広角端における無限遠合焦時の全系の焦点距離と第3レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。
条件式(3)を満足することにより、広角端における第3レンズ群の屈折力を球面収差が良好に補正可能な範囲に設定する。さらに、条件式(3)を満足することにより、前記第2レンズ群により発散した光束を収束させることができ、ズームレンズの小型化を実現する。
条件式(3)の下限を下回ると、第3レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、球面収差が補正過剰となり、良好な球面収差補正が困難となる。
条件式(3)の上限を上回ると、第3レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ、球面収差が補正不足となると共に、全長が長くなるために光学系の小型化が困難となる。
【0027】
なお、上記条件式(3)の下限値は、3.3以上であることが好ましく、3.5以上であることがより好ましい。また、上記条件式(3)の上限値は、7.3以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましい。
【0028】
(第3実施形態)
本発明のズームレンズは、前記第2レンズ群が、無限遠から近距離へのフォーカス時に光軸上を移動し、以下に示す条件式(4)を満足することが望ましい。
-1.8 ≦ f2/fw ≦ -0.7 ...................... (4)
ただし、
fwは広角端における無限遠合焦時のレンズ全系の焦点距離
f2は前記第2レンズ群の焦点距離
である。
【0029】
本発明のズームレンズにおいて、無限遠から有限距離(近距離)へのフォーカスは第2レンズ群を移動させることによってフォーカスに伴う収差変動を抑えることができ、無限遠から有限距離(近距離)まで良好な結像性能を得ることができる。
【0030】
条件式(4)は、広角端における無限遠合焦時の全系の焦点距離と第2レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。条件式(4)を満足することにより、コマ収差、像面湾曲等の収差補正を可能にするように広角端における第2レンズ群の焦点距離を設定することができる。
【0031】
条件式(4)の下限を下回ると、広角端において第2レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、コマ収差、像面湾曲などの収差が増大し、フォーカスに伴う収差変動を抑えることが難しくなり、良好な光学性能を得ることが難しくなる。
条件式(4)が上限を上回ると、広角端において第2レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ、フォーカス時や変倍時の移動量が大きくなり、小型化が困難となる。
【0032】
なお、上記条件式(4)の下限値は、-1.7以上であることが好ましく、-1.65以上であることがより好ましい。また、上記条件式(4)の上限値は、-0.8以下であることが好ましく、-0.9以下であることがより好ましい。
【0033】
(第4実施形態)
本発明のズームレンズは、前記第1レンズ群は、1枚の正レンズからなることが望ましい。
第1レンズ群を正レンズ1枚で構成することにより、製造コストの低減に加えて、光学系の軽量・小型化が図れる。また、第1レンズが変倍時に固定されていることは、レンズ物体側からの防塵・防滴に有利である。
【0034】
(第5実施形態)
本発明のズームレンズは、前記第5レンズ群が、物体側から順に負レンズと、正の屈折力を持つ部分群とからなり、以下に示す条件式(5)を満足することが望ましい。
-1.3 ≦ f5a/f4 ≦ -0.7 ...................... (5)
ただし、
f4は前記第4レンズ群の焦点距離
f5aは前記第5レンズ群の最も物体側に配置される負レンズの焦点距離
である。
【0035】
第5レンズ群は、物体側から順に負レンズ、正の屈折力を持つ部分群からなる。この様に第5レンズ群を構成することにより、広角端から望遠端までの非点収差、像面湾曲を良好に補正することができる。
条件式(5)は、第4レンズ群の焦点距離と第5レンズ群の最も物体側に配置される負レンズの焦点距離の比を規定するものである。条件式(5)を満足することで、非点収差、像面湾曲を適切に補正することができる。
条件式(5)の下限を下回ると、第5レンズ群の最も物体側に配置される負レンズの焦点距離が長くなりすぎ、非点収差、像面湾曲が補正不足になり、良好な光学性能を得ることが難しくなる。
条件式(5)の上限を上回ると、第5レンズ群の最も物体側に配置される負レンズの焦点距離が短くなりすぎ、非点収差、像面湾曲が補正過剰になり、良好な光学性能を得ることが難しくなる。
【0036】
なお、上記条件式(5)の下限値は、-1.2以上であることが好ましく、-1.1以上であることがより好ましい。また、上記条件式(5)の上限値は、-0.8以下であることが好ましく、-0.9以下であることがより好ましい。
【0037】
(第6実施形態)
本発明のズームレンズは、前記第5レンズ群は、少なくとも2枚の正レンズを有し、
以下に示す条件式(6)及び(7)を満足することが望ましい。
60.0 ≦ vd5p1 ................................ (6)
38.0 ≧ vd5p2 ................................ (7)
ただし、
vd5p1は前記第5レンズ群に使用される少なくとも1枚の正レンズのアッベ数
vd5p2は前記第5レンズ群に使用される少なくとも1枚の正レンズのアッベ数
である。
【0038】
第5レンズ群は、少なくとも2枚の正レンズを有することで、色収差の発生を抑えることができる。さらに、2枚の正レンズのうち1枚が条件式(6)を満足し、他方が条件式(7)を満足することで、より色収差の発生を抑制することができる。
【0039】
第5レンズ群は、少なくとも2枚の正レンズと少なくとも2枚の負レンズを有することで、色収差を良好に補正することができる。
条件式(6)は、前記第5レンズ群の少なくとも1枚の正レンズのアッベ数を規定するものである。条件式(6)を満足することにより、第5レンズ群において主に可視光域の軸上色収差、倍率色収差を補正することができる。
条件式(7)は、前記第5レンズ群の少なくとも1枚の正レンズのアッベ数を規定するものである。条件式(7)を満足することにより、第5レンズ群において主に近赤外域の軸上色収差、倍率色収差を補正することができる。
【0040】
なお、第5レンズ群が3枚以上の正レンズを有する場合であっても、そのうちの1枚の正レンズが条件式(6)を満たし、他の正レンズのうちの1枚の正レンズが条件式(7)を満たしていれば、これら2枚の正レンズ以外の正レンズのアッベ数は特に限定されるものではない。
【0041】
なお、条件式(6)の下限は、65.0以上であることが好ましく、68.0以上であることがより好ましい。また、上述のとおりアッベ数は大きいほど分散が小さくなる特性であって、条件式の意図と合致することから上限を述べる必要はないと考えるが、上限を定める場合は、例えば120.0以下であればよいが、100.0以下であることが好ましく、95.0以下であることがより好ましく、90.0以下であることが更に好ましい。
【0042】
なお、条件式(7)の上限は、35.0であることが好ましく、32.0であることがより好ましい。また、下限を定める場合は、0より大きければよいが、10以上であることがより好ましく、15以上の何れかであることが更に好ましい。
【0043】
なお、条件式(6)及び条件式(7)は何れか一方を満足していても、それぞれの効果を得ることができる。さらに、2つの式を満足することで、より良好に収差補正が可能となり好ましい。
【0044】
(第7実施形態)
本発明のズームレンズは、第3レンズ群を構成するレンズが、以下に示す条件式(8)及び(9)を満足することが望ましい。
1.7 ≦ nd3_ave ............................... (8)
45.0 ≧ vd3_ave .............................. (9)
ただし、
nd3_aveは前記第3レンズ群に使用されるレンズの屈折率の平均値
vd3_aveは前記第3レンズ群に使用されるレンズのアッベ数の平均値
である。
【0045】
条件式(8)は、第3レンズ群に含まれるレンズの屈折率の平均値を規定するものである。条件式(8)を満足することにより、第3レンズ群において球面収差を補正する効果が得られる。
条件式(9)は、第3レンズ群に含まれるレンズのアッベ数の平均値を規定するものである。条件式(9)を満足することにより、第3レンズ群において主に近赤外域の軸上色収差を補正する効果が得られる。
【0046】
なお、条件式(8)及び条件式(9)は何れか一方を満足していても、それぞれの効果を得ることができる。さらに、2つの式を満足することで、より良好に収差補正が可能となり好ましい。
【0047】
なお、条件式(8)の下限は1.8であることが好ましく、1.85であることがより好ましい。また、上限を定める場合、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることが好ましく、2.2以下であることがより好ましい。
【0048】
また、条件式(9)の上限は、43.0であることが好ましく、40.0であることがより好ましい。また、下限を定める場合は、0より大きいことが好ましく、5.0以上であることが好ましく、10.0以上であることが好ましく、15.0以上であることがより好ましい。
【0049】
第3レンズ群は2枚以下のレンズで構成されることが、レンズの軽量化、鏡筒の簡素化のために好ましい。また、少なくとも1つの正の屈折力を有する単レンズ成分を有することが好ましい。正の単レンズ成分を有することで、負の屈折力を持つ第2レンズ群を通過することで発散光束となった光束を収束させる効果を持ち、光学系を小型化することができる。
第3レンズ群は、1枚の正レンズ、または1枚の正レンズと1枚の負レンズを接合した接合レンズから構成されることが好ましい。この構成を有することによって、第3レンズ群を小さくでき、光学系の小型化を実現できる。
また絞りを第3レンズ群に固定して配置することにより、球面収差を効果的に補正することができる。第3レンズ群が1枚の正レンズで構成される場合は、主に球面収差を補正することができる。第3レンズ群が正レンズ1枚と負レンズ1枚の接合レンで構成される場合は、球面収差と共に軸上色収差も補正することができ、高い光学性能を持つ光学系が得られる。第3レンズ群が接合レンズで構成される場合は、物体側から順に正レンズ、負レンズであることが収差補正上望ましい。
【0050】
(第8実施形態)
本発明のズームレンズは、前記第4レンズ群が、最も物体側にプラスチックレンズを使用することが望ましい。
第4レンズ群の最も物体側に使用するプラスチックレンズは、製造コストを低減することができることに加えて、容易に非球面を採用することができる。非球面の採用により、球面収差を極めて良好に補正し、高い解像性能を維持したまま、光学系を低コスト化、軽量化することができる。
【0051】
(第9実施形態)
本発明のズームレンズは、以下に示す条件式(10)を満足することが望ましい。
0.4 ≦ f4/ft ≦ 0.9 ....................... (10)
ただし、
ftは望遠端における無限遠合焦時のレンズ全系の焦点距離
f4は前記第4レンズ群の焦点距離
である。
【0052】
条件式(10)は、望遠端における無限遠合焦時の全系の焦点距離と第4レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。条件式(10)を満足することより、望遠端における第4レンズ群の焦点距離を適切に設定し、望遠端において球面収差、像面湾曲を適切に補正することができる。
条件式(10)の下限を下回ると、第4レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、球面収差、像面湾曲が補正過剰となり良好な光学系を得ることが困難となる。
条件式(10)の上限を上回ると、第4レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ、球面収差、像面湾曲が補正不足になるため、良好な光学性能を得ることが難しい。また、第4レンズ群の移動量が大きくなり全長が長くなるため、光学系の小型化が困難となる。
【0053】
なお、上記条件式(10)の下限値は、0.5以上であることが好ましく、0.55以上であることがより好ましい。また、上記条件式(10)の上限値は、0.8以下であることが好ましく、0.75以下であることがより好ましい。
【0054】
(第10実施形態)
本発明のズームレンズは、以下に示す条件式(11)を満足することが望ましい。
-50.0 ≦ f5/fw ≦ -4.5 .................. (11)
ただし、
fwは広角端における無限遠合焦時のレンズ全系の焦点距離
f5は前記第5レンズ群の焦点距離
である。
【0055】
条件式(11)は、広角端における無限遠合焦時の全系の焦点距離と第5レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。条件式(11)を満足することにより、広角端における第5レンズ群の焦点距離を像面湾曲及び歪曲収差を補正可能な範囲に設定し、広角端において像面湾曲を良好に補正し、歪曲を適切に補正することができる。
条件式(11)の下限を下回ると、第5レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ、像面湾曲、歪曲が補正不足になると共に、広角端においてバックフォーカスが長くなり光学系の小型化が困難となる。
条件式(11)の上限を上回ると、第5レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、像面湾曲、歪曲が補正過剰となり適切な光学系を得ることが困難となる。
【0056】
なお、上記条件式(11)の下限値は、-45.0以上であることが好ましく、-40.0以上であることがより好ましい。また、上記条件式(11)の上限値は、-4.8以下であることが好ましく、-5.0以下であることがより好ましい。
【0057】
(第11実施形態)
本発明のズームレンズは、以下に示す条件式(12)を満足することが望ましい。
-19.0 ≦ f5/ft ≦ -1.5 ..................... (12)
ただし、
ftは望遠端における無限遠合焦時のレンズ全系の焦点距離
f5は前記第5レンズ群の焦点距離
である。
【0058】
条件式(12)は、望遠端における無限遠合焦時の全系の焦点距離と第5レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。条件式(12)を満足することにより、望遠端における第5レンズ群の焦点距離を広角端における第5レンズ群の焦点距離を像面湾曲及び歪曲収差を補正可能な範囲に設定し、広角端において像面湾曲を良好に補正し、歪曲を適切に補正することができる。
条件式(12)の下限を下回ると、第5レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ、像面湾曲、歪曲が補正不足になると共に、広角端においてバックフォーカスが長くなり光学系の小型化が困難となる。
条件式(12)の上限を上回ると、第5レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、像面湾曲、歪曲が補正過剰となり適切な光学系を得ることが困難となる。
【0059】
なお、上記条件式(12)の下限値は、-17.0以上であることが好ましく、-15.0以上であることがより好ましい。また、上記条件式(12)の上限値は、-1.7以下であることが好ましく、-1.8以下であることがより好ましい。
【0060】
本発明の他の実施の形態(以下、第12実施形態という)について説明する。
本発明の第12実施形態の撮像装置は、上述した第1実施形態のズームレンズと、該ズームレンズの結像位置に配置された固体撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置である。第12実施形態の撮像装置は、第1実施形態のズームレンズによって固体撮像素子の光電変換特性に対応した結像を形成し、鮮明な画像を形成する画像信号を効率的に形成することができる。
【0061】
以下、本発明のズームレンズの第1実施例〜第8実施例を添付図面に基づいて説明する。
各実施例において、f(焦点距離)、Fno(F値)、ω(画角)、像高、レンズ全長、BF(バックフォーカス)を示す。d2は第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を示す。d7は第2レンズ群と第3レンズ群の間隔を示す。d12は第3レンズ群と第4レンズ群の間隔を示す。d17は第4レンズ群と第5レンズ群の間隔を示す。
ただし、実施例8においては、d2は第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を示す。d7は第2レンズ群と第3レンズ群の間隔を示す。d11は第3レンズ群と第4レンズ群の間隔を示す。d16は第4レンズ群と第5レンズ群の間隔を示す。
【0062】
非球面は、次の非球面式で示される。
【数1】
前記非球面式において、kは円錐係数を示す。Aは2次の非球面係数、Bは4次の非球面係数、Cは6次の非球面係数、Dは8次の非球面係数、Eは10次の非球面係数を示す。(E−n)は(×10の−n乗)を示す。
【0063】
以下の各実施例において、第2レンズ群G2がフォーカスレンズである。各実施例において、望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカシングを行う場合は、各レンズ構成図に矢印2cに示すように、第2レンズ群G2を物体側に移動させる。各レンズ構成図において、実線2aとは点線2bは、各々無限遠物体近距離物体にフォーカスしているとき、広角端から望遠端へのズーミングに伴う像面変動を補正するための移動軌跡を示す。
【0064】
各実施例のレンズ構成図において、G1〜G5は第1レンズ群〜第5レンズ群を示す。Sは開口絞りを示す。CGはカバーガラスを示す。IMGは結像を示す。
【0065】
(実施例1)
実施例1のズーム比は、2.82である。
実施例1のレンズデータが、第1表に示される。
【表1】
実施例1の各種データが第2表に示される。
【表2】
実施例1の非球面係数が第3表に示される。
【表3】
【0066】
(実施例2)
実施例2のズーム比は、2.70である。
実施例2のレンズデータが、第4表に示される。
【表4】
実施例2の各種データが第5表に示される。
【表5】
実施例2の非球面係数が第6表に示される。
【表6】
【0067】
(実施例3)
実施例3のズーム比は、2.65である。
実施例3のレンズデータが、第7表に示される。
【表7】
実施例3の各種データが第8表に示される。
【表8】
実施例3の非球面係数が第9表に示される。
【表9】
【0068】
(実施例4)
実施例4のズーム比は、2.69である。
実施例4のレンズデータが、第10表に示される。
【表10】
実施例4の各種データが第11表に示される。
【表11】
実施例4の非球面係数が第12表に示される。
【表12】
【0069】
(実施例5)
実施例5のズーム比は、2.63である。
実施例5のレンズデータが、第13表に示される。
【表13】
実施例5の各種データが第14表に示される。
【表14】
実施例5の非球面係数が第15表に示される。
【表15】
【0070】
(実施例6)
実施例6のズーム比は、2.79である。
実施例6のレンズデータが、第16表に示される。
【表16】
実施例6の各種データが第17表に示される。
【表17】
実施例6の非球面係数が第18表に示される。
【表18】
【0071】
(実施例7)
実施例7のズーム比は、2.79である。
実施例7のレンズデータが、第19表に示される。
【表19】
実施例7の各種データが第20表に示される。
【表20】
実施例7の非球面係数が第21表に示される。
【表21】
【0072】
(実施例8)
実施例8のズーム比は、2.84である。
実施例8のレンズデータが、第22表に示される。
【表22】
実施例8の各種データが第23表に示される。
【表23】
実施例8の非球面係数が第24表に示される。
【表24】
【0073】
実施例1〜実施例4の条件式に関する値を第25表に示す。実施例5〜実施例8の条件式に関する値を第26表に示す。
【表25】
【表26】
【0074】
実施例1〜実施例4の条件式の値を第27表に示す。実施例5〜実施例8の条件式の値を第28表に示す。
【表27】
【表28】