【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る通信システムは、第1の暗号復号処理部を有する第1の通信装置と、前記第1の通信装置に接続され、第2の暗号復号処理部を有する第2の通信装置と、を備える通信システムであって、前記第1の暗号復号処理部は、第1の非線形処理部を含む第1の暗号処理部と、第1の逆非線形処理部を含む第1の復号処理部と、を有し、前記第2の暗号復号処理部は、第2の逆非線形処理部を含む第2の復号処理部と、第2の非線形処理部を含む第2の暗号処理部と、を有し、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に第1データを送信するにあたり、前記第1の暗号復号処理部及び前記第2の暗号復号処理部は、前記第1の暗号復号処理部において、前記第1の非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、前記第2の暗号復号処理部において、前記第2の逆非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化する第1の処理と、前記第1の暗号復号処理部において、前記第1の逆非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、前記第2の暗号復号処理部において、前記第2の非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化する第2の処理と、を選択的に切り替えて実行することを特徴とするものである。
【0009】
第1の態様に係る通信システムによれば、第1の通信装置から第2の通信装置に第1データを送信するにあたり、第1の暗号復号処理部及び第2の暗号復号処理部は、第1の暗号復号処理部において、第1の非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、第2の暗号復号処理部において、第2の逆非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化する第1の処理と、第1の暗号復号処理部において、第1の逆非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、第2の暗号復号処理部において、第2の非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化する第2の処理と、を選択的に切り替えて実行する。DPA攻撃又はCPA攻撃による消費電力特性の解析対象は、主に暗号復号処理部の非線形処理部及び逆非線形処理部である。そのため、第1の通信装置から第2の通信装置への第1データの送信処理において、第1の非線形処理部を用いて暗号化を行い第2の逆非線形処理部を用いて復号化を行う第1の処理と、第1の逆非線形処理部を用いて暗号化を行い第2の非線形処理部を用いて復号化を行う第2の処理とを選択的に切り替えて実行することによって、第1の暗号復号処理部及び第2の暗号復号処理部の消費電力特性を効果的に隠蔽することが可能となる。しかも、RSL回路又はWDDL回路を実装する必要がないため、コストの増大を回避できる。その結果、DPA攻撃やCPA攻撃に対する効果的な対策を、容易にかつ低コストで実装することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る通信システムは、第1の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1データに応答して前記第2の通信装置から前記第1の通信装置に第2データを送信するにあたり、前記第1の暗号復号処理部及び前記第2の暗号復号処理部は、前記第2の暗号復号処理部において、前記第2の非線形処理部を用いて第2データを暗号化することによって第2暗号化データを生成し、前記第1の暗号復号処理部において、前記第1の逆非線形処理部を用いて第2暗号化データを復号化する第3の処理と、前記第2の暗号復号処理部において、前記第2の逆非線形処理部を用いて第2データを暗号化することによって第2暗号化データを生成し、前記第1の暗号復号処理部において、前記第1の非線形処理部を用いて第2暗号化データを復号化する第4の処理と、を選択的に切り替えて実行することを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係る通信システムによれば、第2の通信装置から第1の通信装置に第2データを送信するにあたり、第1の暗号復号処理部及び第2の暗号復号処理部は、第2の暗号復号処理部において、第2の非線形処理部を用いて第2データを暗号化することによって第2暗号化データを生成し、第1の暗号復号処理部において、第1の逆非線形処理部を用いて第2暗号化データを復号化する第3の処理と、第2の暗号復号処理部において、第2の逆非線形処理部を用いて第2データを暗号化することによって第2暗号化データを生成し、第1の暗号復号処理部において、第1の非線形処理部を用いて第2暗号化データを復号化する第4の処理と、を選択的に切り替えて実行する。このように、第1の通信装置から第2の通信装置への第1データの送信処理のみならず、第2の通信装置から第1の通信装置への第2データの送信処理においても、第2の非線形処理部を用いて暗号化を行い第1の逆非線形処理部を用いて復号化を行う第3の処理と、第2の逆非線形処理部を用いて暗号化を行い第1の非線形処理部を用いて復号化を行う第4の処理とを選択的に切り替えて実行することによって、第1の暗号復号処理部及び第2の暗号復号処理部の消費電力特性をさらに効果的に隠蔽することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る通信システムは、第2の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の通信装置は、前記第1の暗号復号処理部による前記第3の処理と前記第4の処理との切り替えを制御する第1の切替制御部をさらに有し、前記第2の通信装置は、前記第2の暗号復号処理部による前記第3の処理と前記第4の処理との切り替えを制御する第2の切替制御部をさらに有することを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係る通信システムによれば、第1の通信装置は、第1の暗号復号処理部による第3の処理と第4の処理との切り替えを制御する第1の切替制御部を有し、第2の通信装置は、第2の暗号復号処理部による第3の処理と第4の処理との切り替えを制御する第2の切替制御部を有する。従って、第1の切替制御部及び第2の切替制御部が、第1の暗号復号処理部における第3の処理及び第4の処理の切り替えと、第2の暗号復号処理部における第3の処理及び第4の処理の切り替えとを同期して実行することによって、第3の処理又は第4の処理による第2の通信装置から第1の通信装置への第2データの送信を、適切に実行することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る通信システムは、第3の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記第3の処理と前記第4の処理とを選択的に切り替えるルールが記述された選択テーブルをそれぞれ保持しており、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記選択テーブルを参照することによって、前記第3の処理又は前記第4の処理を選択することを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係る通信システムによれば、第1の切替制御部及び第2の切替制御部は、共通の選択テーブルを参照することによって、第3の処理又は第4の処理を選択する。従って、第3の処理及び第4の処理の切り替えを指示するための選択情報を第1の通信装置と第2の通信装置との間で送受信する必要がないため、両装置間の通信データ量が増大することを回避できる。また、選択テーブルに任意のルールを記述することによって、第3の処理及び第4の処理を切り替えるタイミング及びパターンを、予め任意に設定することが可能となる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る通信システムは、第3の態様に係る通信システムにおいて特に、第1暗号化データには、前記第3の処理又は前記第4の処理を選択する第1の選択情報が含まれており、前記第2の切替制御部は、第1暗号化データから抽出した前記第1の選択情報に基づいて、前記第3の処理又は前記第4の処理を選択することを特徴とするものである。
【0017】
第5の態様に係る通信システムによれば、第2の切替制御部は、第1暗号化データから抽出した第1の選択情報に基づいて、第3の処理又は前記第4の処理を選択する。従って、第3の処理及び第4の処理を切り替えるタイミング及びパターンを、第1の通信装置によって任意に設定することが可能となる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る通信システムは、第3の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、共通のカウンタをそれぞれ有しており、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記カウンタから出力されたカウンタ値に基づいて、前記第3の処理又は前記第4の処理を選択することを特徴とするものである。
【0019】
第6の態様に係る通信システムによれば、第1の切替制御部及び第2の切替制御部は、共通のカウンタから出力されたカウンタ値に基づいて、第3の処理又は第4の処理を選択する。従って、第3の処理及び第4の処理の切り替えを指示するための選択情報を第1の通信装置と第2の通信装置との間で送受信する必要がないため、両装置間の通信データ量が増大することを回避できる。また、カウンタ値を用いることによって第3の処理及び第4の処理の切り替えを不規則に実行できるため、消費電力特性の隠蔽効果をさらに高めることが可能となる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る通信システムは、第3の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、共通の乱数生成器をそれぞれ有しており、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記乱数生成器から出力された乱数値に基づいて、前記第3の処理又は前記第4の処理を選択することを特徴とするものである。
【0021】
第7の態様に係る通信システムによれば、第1の切替制御部及び第2の切替制御部は、共通の乱数生成器から出力された乱数値に基づいて、第3の処理又は第4の処理を選択する。従って、第3の処理及び第4の処理の切り替えを指示するための選択情報を第1の通信装置と第2の通信装置との間で送受信する必要がないため、両装置間の通信データ量が増大することを回避できる。また、乱数値を用いることによって第3の処理及び第4の処理の切り替えを不規則に実行できるため、消費電力特性の隠蔽効果をさらに高めることが可能となる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る通信システムは、第2〜第7のいずれか一つの態様に係る通信システムにおいて特に、前記第3の処理が選択された場合、前記第2の暗号復号処理部は前記第2の逆非線形処理部をダミー駆動し、前記第4の処理が選択された場合、前記第2の暗号復号処理部は前記第2の非線形処理部をダミー駆動することを特徴とするものである。
【0023】
第8の態様に係る通信システムによれば、第3の処理が選択された場合、第2の暗号復号処理部は第2の逆非線形処理部をダミー駆動し、第4の処理が選択された場合、第2の暗号復号処理部は第2の非線形処理部をダミー駆動する。このように、選択されていない非線形処理部又は逆非線形処理部をダミー駆動することによって、分散の大きい消費電力ノイズを非選択の非線形処理部又は逆非線形処理部によって生成できる。その結果、選択された非線形処理部及び逆非線形処理部の消費電力特性を、この消費電力ノイズによって効果的に隠蔽することが可能となる。
【0024】
本発明の第9の態様に係る通信システムは、第2〜第8のいずれか一つの態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の暗号復号処理部及び前記第2の暗号復号処理部は、前記第2の通信装置から前記第1の通信装置への第2データの送信処理毎に、前記第3の処理及び前記第4の処理の選択を実行することを特徴とするものである。
【0025】
第9の態様に係る通信システムによれば、第1の暗号復号処理部及び第2の暗号復号処理部は、第2の通信装置から第1の通信装置への第2データの送信処理毎に、第3の処理及び第4の処理の選択を実行する。従って、第3の処理及び第4の処理の切り替えを高頻度で実行できるため、消費電力特性の隠蔽効果をさらに高めることが可能となる。
【0026】
本発明の第10の態様に係る通信システムは、第2〜第9のいずれか一つの態様に係る通信システムにおいて特に、前記第3の処理において、前記第1の暗号処理部及び前記第2の復号処理部は、第1の共通鍵及び第2の共通鍵の一方を用いて、第2暗号化データの生成及び復号化を行い、前記第4の処理において、前記第1の復号処理部及び前記第2の暗号処理部は、前記第1の共通鍵及び前記第2の共通鍵の他方を用いて、第2暗号化データの生成及び復号化を行うことを特徴とするものである。
【0027】
第10の態様に係る通信システムによれば、第3の処理において、第1の暗号処理部及び第2の復号処理部は、第1の共通鍵及び第2の共通鍵の一方を用いて第2暗号化データの生成及び復号化を行い、第4の処理において、第1の復号処理部及び第2の暗号処理部は、第1の共通鍵及び第2の共通鍵の他方を用いて第2暗号化データの生成及び復号化を行う。このように、第3の処理と第4の処理とで使用する共通鍵を異ならせることにより、第三者による解析を困難化することが可能となる。
【0028】
本発明の11の態様に係る通信システムは、第2〜第10のいずれか一つの態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の暗号復号処理部及び前記第2の暗号復号処理部は、今回の第2データの送信処理において前記第3の処理が選択された場合には、次回の第1データの送信処理において前記第1の処理を選択し、今回の第2データの送信処理において前記第4の処理が選択された場合には、次回の第1データの送信処理において前記第2の処理を選択することを特徴とするものである。
【0029】
第11の態様に係る通信システムによれば、第1の暗号復号処理部及び第2の暗号復号処理部は、今回の第2データの送信処理において第3の処理が選択された場合には、次回の第1データの送信処理において第1の処理を選択し、今回の第2データの送信処理において第4の処理が選択された場合には、次回の第1データの送信処理において第2の処理を選択する。従って、第2の暗号復号処理部は、今回の第2データの送信処理において第3の処理及び第4の処理のいずれを選択したかによって、次回の第1データの送信処理において第1の処理及び第2の処理のいずれが選択されるかを認識できるため、第1の通信装置から次回に受信する第1暗号化データを、第2の復号処理部又は第2の暗号処理部によって適切に復号化することが可能となる。
【0030】
本発明の第12の態様に係る通信システムは、第1の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の通信装置は、前記第1の暗号復号処理部による前記第1の処理と前記第2の処理との切り替えを制御する第1の切替制御部をさらに有し、前記第2の通信装置は、前記第2の暗号復号処理部による前記第1の処理と前記第2の処理との切り替えを制御する第2の切替制御部をさらに有することを特徴とするものである。
【0031】
第12の態様に係る通信システムによれば、第1の通信装置は、第1の暗号復号処理部による第1の処理と第2の処理との切り替えを制御する第1の切替制御部を有し、第2の通信装置は、第2の暗号復号処理部による第1の処理と第2の処理との切り替えを制御する第2の切替制御部を有する。従って、第1の切替制御部及び第2の切替制御部が、第1の暗号復号処理部における第1の処理及び第2の処理の切り替えと、第2の暗号復号処理部における第1の処理及び第2の処理の切り替えとを同期して実行することによって、第1の処理又は第2の処理による第1の通信装置から第2の通信装置への第1データの送信を、適切に実行することが可能となる。
【0032】
本発明の第13の態様に係る通信システムは、第12の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記第1の処理と前記第2の処理とを選択的に切り替えるルールが記述された選択テーブルをそれぞれ保持しており、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記選択テーブルを参照することによって、前記第1の処理又は前記第2の処理を選択することを特徴とするものである。
【0033】
第13の態様に係る通信システムによれば、第1の切替制御部及び第2の切替制御部は、共通の選択テーブルを参照することによって、第1の処理又は第2の処理を選択する。従って、第1の処理及び第2の処理の切り替えを指示するための選択情報を第1の通信装置と第2の通信装置との間で送受信する必要がないため、両装置間の通信データ量が増大することを回避できる。また、選択テーブルに任意のルールを記述することによって、第1の処理及び第2の処理を切り替えるタイミング及びパターンを、予め任意に設定することが可能となる。
【0034】
本発明の第14の態様に係る通信システムは、第12の態様に係る通信システムにおいて特に、第1暗号化データには、次回の第1データの送信処理に関して前記第1の処理又は前記第2の処理を選択する第2の選択情報が含まれており、前記第2の切替制御部は、今回受信した第1データに応答する処理が完了した後に、前記第2の選択情報に基づいて、前記第1の処理又は前記第2の処理を選択することを特徴とするものである。
【0035】
第14の態様に係る通信システムによれば、第2の暗号復号処理部は、第2の切替制御部は、今回受信した第1データに応答する処理が完了した後に、第2の選択情報に基づいて、第1の処理又は前記第2の処理を選択する。従って、第2の暗号復号処理部は、第1の通信装置から次回に受信する第1暗号化データを、第2の復号処理部又は第2の暗号処理部によって適切に復号化することが可能となる。また、今回の第1データの応答処理のための第3の処理又は第4の処理と、次回の第1データの受信処理のための第1の処理又は第2の処理との組合せを任意に設定できるため、消費電力特性の隠蔽効果をさらに高めることが可能となる。
【0036】
本発明の第15の態様に係る通信システムは、第12の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、共通のカウンタをそれぞれ有しており、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記カウンタから出力されたカウンタ値に基づいて、前記第1の処理又は前記第2の処理を選択することを特徴とするものである。
【0037】
第15の態様に係る通信システムによれば、第1の切替制御部及び第2の切替制御部は、共通のカウンタから出力されたカウンタ値に基づいて、第1の処理又は第2の処理を選択する。従って、第1の処理及び第2の処理の切り替えを指示するための選択情報を第1の通信装置と第2の通信装置との間で送受信する必要がないため、両装置間の通信データ量が増大することを回避できる。また、カウンタ値を用いることによって第1の処理及び第2の処理の切り替えを不規則に実行できるため、消費電力特性の隠蔽効果をさらに高めることが可能となる。
【0038】
本発明の第16の態様に係る通信システムは、第12の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、共通の乱数生成器をそれぞれ有しており、前記第1の切替制御部及び前記第2の切替制御部は、前記乱数生成器から出力された乱数値に基づいて、前記第1の処理又は前記第2の処理を選択することを特徴とするものである。
【0039】
第16の態様に係る通信システムによれば、第1の切替制御部及び第2の切替制御部は、共通の乱数生成器から出力された乱数値に基づいて、第1の処理又は第2の処理を選択する。従って、第1の処理及び第2の処理の切り替えを指示するための選択情報を第1の通信装置と第2の通信装置との間で送受信する必要がないため、両装置間の通信データ量が増大することを回避できる。また、乱数値を用いることによって第1の処理及び第2の処理の切り替えを不規則に実行できるため、消費電力特性の隠蔽効果をさらに高めることが可能となる。
【0040】
本発明の第17の態様に係る通信システムは、第1〜第16のいずれか一つの態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の処理が選択された場合、前記第1の暗号復号処理部は前記第1の逆非線形処理部をダミー駆動し、前記第2の処理が選択された場合、前記第1の暗号復号処理部は前記第1の非線形処理部をダミー駆動することを特徴とするものである。
【0041】
第17の態様に係る通信システムによれば、第1の処理が選択された場合、第1の暗号復号処理部は前記第1の逆非線形処理部をダミー駆動し、第2の処理が選択された場合、第1の暗号復号処理部は第1の非線形処理部をダミー駆動する。このように、選択されていない非線形処理部又は逆非線形処理部をダミー駆動することによって、分散の大きい消費電力ノイズを非選択の非線形処理部又は逆非線形処理部によって生成できる。その結果、選択された非線形処理部及び逆非線形処理部の消費電力特性を、この消費電力ノイズによって効果的に隠蔽することが可能となる。
【0042】
本発明の第18の態様に係る通信システムは、第1〜第17のいずれか一つの態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の暗号復号処理部及び前記第2の暗号復号処理部は、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置への第1データの送信処理毎に、前記第1の処理及び前記第2の処理の選択を実行することを特徴とするものである。
【0043】
第18の態様に係る通信システムによれば、第1の暗号復号処理部及び第2の暗号復号処理部は、第1の通信装置から第2の通信装置への第1データの送信処理毎に、第1の処理及び第2の処理の選択を実行する。従って、第1の処理及び第2の処理の切り替えを高頻度で実行できるため、消費電力特性の隠蔽効果をさらに高めることが可能となる。
【0044】
本発明の第19の態様に係る通信システムは、第1〜第18のいずれか一つの態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の処理において、前記第1の暗号処理部及び前記第2の復号処理部は、第1の共通鍵及び第2の共通鍵の一方を用いて、第1暗号化データの生成及び復号化を行い、前記第2の処理において、前記第1の復号処理部及び前記第2の暗号処理部は、前記第1の共通鍵及び前記第2の共通鍵の他方を用いて、第1暗号化データの生成及び復号化を行うことを特徴とするものである。
【0045】
第19の態様に係る通信システムによれば、第1の処理において、第1の暗号処理部及び第2の復号処理部は、第1の共通鍵及び第2の共通鍵の一方を用いて第1暗号化データの生成及び復号化を行い、第2の処理において、第1の復号処理部及び第2の暗号処理部は、第1の共通鍵及び第2の共通鍵の他方を用いて第1暗号化データの生成及び復号化を行う。このように、第1の処理と第2の処理とで使用する共通鍵を異ならせることにより、第三者による解析を困難化することが可能となる。
【0046】
本発明の第20の態様に係る通信システムは、第10又は第19の態様に係る通信システムにおいて特に、前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置はそれぞれ、同一の共通鍵に基づいて前記第1の共通鍵及び前記第2の共通鍵を生成する鍵生成部をさらに有することを特徴とするものである。
【0047】
第20の態様に係る通信システムによれば、鍵生成部は、同一の共通鍵に基づいて第1の共通鍵及び第2の共通鍵を生成する。従って、第1の共通鍵及び第2の共通鍵の生成及び管理を容易化することが可能となる。
【0048】
本発明の第21の態様に係るデータ通信方法は、第1の非線形処理部を含む第1の暗号処理部と第1の逆非線形処理部を含む第1の復号処理部とを有する第1の通信装置と、第2の逆非線形処理部を含む第2の復号処理部と第2の非線形処理部を含む第2の暗号処理部とを有する第2の通信装置との間の、データ通信方法であって、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に第1データを送信するにあたり、前記第1の非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、前記第2の逆非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化するステップ(A)と、前記第1の逆非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、前記第2の非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化するステップ(B)と、を選択的に切り替えて実行することを特徴とするものである。
【0049】
第21の態様に係るデータ通信方法によれば、第1の通信装置から第2の通信装置に第1データを送信するにあたり、第1の非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、第2の逆非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化するステップ(A)と、第1の逆非線形処理部を用いて第1データを暗号化することによって第1暗号化データを生成し、第2の非線形処理部を用いて第1暗号化データを復号化するステップ(B)と、が選択的に切り替えて実行される。DPA攻撃又はCPA攻撃による消費電力特性の解析対象は、主に非線形処理部及び逆非線形処理部である。そのため、第1の通信装置から第2の通信装置への第1データの送信処理において、第1の非線形処理部を用いて暗号化を行い第2の逆非線形処理部を用いて復号化を行うステップ(A)と、第1の逆非線形処理部を用いて暗号化を行い第2の非線形処理部を用いて復号化を行うステップ(B)とを選択的に切り替えて実行することによって、非線形処理部及び逆非線形処理部の消費電力特性を効果的に隠蔽することが可能となる。しかも、RSL回路又はWDDL回路を実装する必要がないため、コストの増大を回避できる。その結果、DPA攻撃やCPA攻撃に対する効果的な対策を、容易にかつ低コストで実装することが可能となる。