【解決手段】第1面部31と、これに対向する第2面部32と、第1面部31及び第2面部32の間を連通する貫通孔33とを有する金具30への接着剤の塗布方法は、第1面部31側から見て、第1面部31における貫通孔33の第1孔縁部35aと貫通孔33の内周面とを露出させるように、第1孔縁部35aの周囲を覆う第1マスキングプレート11を第1面部31に配置する、第1マスキング工程と、第1マスキングプレート11から反金具30側に延びるように設けられており第1孔縁部35aを内側に臨む第1筒状体15を通して、金具30に対して接着剤を噴霧する、第1噴霧工程とを有する。
前記第2面部側から見て、前記第2面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う第2マスキングプレートを前記第2面部に配置する、第2マスキング工程と、
前記第2マスキングプレートから反金具側に延びるように設けられており前記孔縁部を内側に臨む第2筒状体を通して、前記噴霧された接着剤のうち前記貫通孔を通過した前記接着剤を排気する、第1排気工程をさらに有している、
請求項1に記載の金具への接着剤の塗布方法。
前記金具を、前記第1マスキングプレート、前記第1筒状体、前記第2マスキングプレート、及び前記第2筒状体と共に反転させて、前記第1面部の位置と前記第2面部の位置とを入れ替える反転工程と、
前記第2筒状体を通して、前記金具に対して前記第2面部側から接着剤を塗布する、第2噴霧工程と、
前記第1筒状体を通して、前記第2面部側から噴霧された前記接着剤のうち前記貫通孔を通過した前記接着剤を排気する、第2排気工程と
をさらに有している、
請求項2に記載の金具への接着剤の塗布方法。
前記金具から、前記第1マスキングプレート、前記第1筒状体、前記第2マスキングプレート、及び前記第2筒状体を取り外すと共に、反転させて前記第1面部の位置と前記第2面部の位置とを入れ替える、反転工程と、
前記第2面部側から見て、前記反転された前記金具の前記第2面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う前記第2マスキングプレートを前記第2面部に配置する、第3マスキング工程と、
前記第1面部側から見て、前記反転された前記金具の前記第1面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う前記第1マスキングプレートを前記第1面部に配置する、第4マスキング工程と、
前記第2筒状体を通して、前記金具に対して前記第2面部側から接着剤を塗布する、第2噴霧工程と、
前記第1筒状体を通して、前記第2面部側から噴霧された前記接着剤のうち前記貫通孔を通過した前記接着剤を排気する、第2排気工程と
をさらに有する、
請求項2に記載の金具への接着剤の塗布方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マウントゴムのゴム部材として、軸方向の両端部に組み付けられる貫通孔の孔径より外径が大きいフランジを有するものがあり、この場合、ゴム部材は、金具の貫通孔の内周面に加え、第1面部上の孔縁部と第2面部上の孔縁部とにも接着される。すなわち、このようなゴム部材を金具に組み付ける前に、金具は、貫通孔の内周面に加え、第1面部上の孔縁部と第2面部上の孔縁部とにも予め接着剤が塗布されている必要がある。
【0006】
特許文献1の塗装装置では、管部材の内側に挿入された塗装手段により内周面が塗装されるようになっており、さらに管部材の口元部にマスキング部材が配置されているため、孔縁部を塗装することができない。すなわち、非塗装部へのはみ出しを抑制しつつ、貫通孔の内周面とこの孔縁部とを同時に塗装することはできない。
【0007】
本発明は、貫通孔の内周面に加えて、孔縁部も、はみ出しを抑制しつつ接着剤を塗布できる、金具への接着剤の塗布方法及び塗布装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
第1面部と、これに対向する第2面部と、前記第1面部及び前記第2面部の間を連通する貫通孔とを有する金具への接着剤の塗布方法であって、
前記第1面部側から見て、前記第1面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う第1マスキングプレートを前記第1面部に配置する、第1マスキング工程と、
前記第1マスキングプレートから反金具側に延びるように設けられており前記孔縁部を内側に臨む第1筒状体を通して、前記金具に対して接着剤を噴霧する、第1噴霧工程と
を有する、金具への接着剤の塗布方法を提供する。
【0009】
本発明によれば、第1面部に第1マスキングプレートを配置して、第1面部から反金具側に離れた位置から接着剤を噴霧することにより、接着剤を、はみ出しを防止しつつ貫通孔の内周面と第1面部側の孔縁部とに略均一に同時に塗布できる。しかも、第1筒状体を介して接着剤を噴霧することにより周囲への接着剤の飛散が抑制されるので、環境を清浄に維持しやすく掃除の手間が省ける。
【0010】
好ましくは、前記第2面部側から見て、前記第2面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う第2マスキングプレートを前記第2面部に配置する、第2マスキング工程と、
前記第2マスキングプレートから反金具側に延びるように設けられており前記孔縁部を内側に臨む第2筒状体を通して、前記噴霧された接着剤のうち前記貫通孔を通過した前記接着剤を排気する、第1排気工程をさらに有している。
【0011】
本構成によれば、噴霧された接着剤のうち、貫通孔を通過したものが排気されるので、より一層に環境を清浄に維持しやすい。
【0012】
また、好ましくは、前記金具を、前記第1マスキングプレート、前記第1筒状体、前記第2マスキングプレート、及び前記第2筒状体と共に反転させて、前記第1面部の位置と前記第2面部の位置とを入れ替える反転工程と、
前記第2筒状体を通して、前記金具に対して前記第2面部側から接着剤を塗布する、第2噴霧工程と、
前記第1筒状体を通して、前記第2面部側から噴霧された前記接着剤のうち前記貫通孔を通過した前記接着剤を排気する、第2排気工程と
をさらに有している。
【0013】
本構成によれば、第1噴霧工程の後、第1及び第2マスキングプレートと第1及び第2筒状体とを金具から着脱することを要せず、金具に対して第2面部側から接着剤を噴霧できる。しかも、第1面部側及び第2面部側それぞれから接着剤を塗布しこの反対側から排気するために、接着剤の噴霧手段と排気手段とを、2組設けたり、1組の場合には両側に移動させたりすることを要しないので、塗布装置をコンパクトに構成できる。
【0014】
この場合、前記第1筒状体及び前記第2筒状体はそれぞれ、反金具側の形状が同じであってもよい。
【0015】
本構成によれば、金具を反転させた場合でも、接着剤の噴霧手段及び排気手段と、第1筒状体及び第2筒状体との関係を同じに構成できるので、塗布装置を簡略化できる。
【0016】
また、前記金具から、前記第1マスキングプレート、前記第1筒状体、前記第2マスキングプレート、及び前記第2筒状体を取り外すと共に、反転させて前記第1面部の位置と前記第2面部の位置とを入れ替える、反転工程と、
前記第2面部側から見て、前記反転された前記金具の前記第2面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う前記第2マスキングプレートを前記第2面部に配置する、第3マスキング工程と、
前記第1面部側から見て、前記反転された前記金具の前記第1面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う前記第1マスキングプレートを前記第1面部に配置する、第4マスキング工程と、
前記第2筒状体を通して、前記金具に対して前記第2面部側から接着剤を塗布する、第2噴霧工程と、
前記第1筒状体を通して、前記第2面部側から噴霧された前記接着剤のうち前記貫通孔を通過した前記接着剤を排気する、第2排気工程と
をさらに有していてもよい。
【0017】
本構成によれば、第1及び第2マスキングプレートと第1及び第2筒状体とを取り外した状態で金具を回転させることで、金具を容易に反転させることができる。これにより、塗布装置をコンパクトに構成できる。しかも、第2面部側から接着剤を噴霧する場合の接着剤の噴霧手段及び排気手段は、第1面部側から接着剤を噴霧する場合の接着剤の噴霧手段及び排気手段と、金具に対する位置が同じに構成されるので、塗布装置を簡略化できる。
【0018】
好ましくは、前記金具は、前記貫通孔の軸線に交差する方向に延びる突出部を有しており、
前記反転工程では、前記突出部が、前記金具を反転させるときの回転軸の軸線方向に延びるように配置されている。
【0019】
本構成によれば、金具を反転させたときの、突出部の回動軌跡を最小化できるので、塗布装置をコンパクトに構成できる。
【0020】
また、好ましくは、前記貫通孔は、軸線に垂直な断面形状が、非円形状である。
【0021】
本構成によれば、金具の貫通孔が、非円形状であるため接着剤を均一に塗布しにくい場合において、接着剤を金具から離れた位置から噴霧することにより略均一に塗布しやすく、本発明の効果が好適に発揮される。
【0022】
また、本発明の他の態様は、
第1面部と、これに対向する第2面部と、前記第1面部及び前記第2面部の間を連通する貫通孔とを有する金具への接着剤の塗布装置であって、
前記第1面部側から見て、前記第1面部における前記貫通孔の孔縁部と前記貫通孔の内周面とを露出させるように、前記孔縁部の周囲を覆う、第1マスキングプレートと、
前記第1マスキングプレートから反金具側に延びるように設けられており前記孔縁部を内側に臨む第1筒状体と、
前記第1筒状体を通して、前記金具に対して接着剤を噴霧する、噴霧手段と
を有する、金具への接着剤の塗布装置を提供する。
【0023】
本発明によれば、上記説明した金具への接着剤の塗布方法の効果が、金具への接着剤の塗布装置において実現される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、貫通孔の内周面に加えて、孔縁部も、はみ出しを抑制しつつ接着剤を塗布できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0027】
図1は、一例としてマウントゴム用の金具30を示している。
図1(a)は金具30の正面図を示しており、
図1(b)は
図1(a)のb−b線における断面図を示しており、
図1(c)は金具30の背面図を示している。ここで、図中の上下方向を金具30の上下方向と称し、
図1(a)における左右方向を金具30の左右方向と称し、
図2(b)における左右方向を金具30の前後方向と称して、以下説明する。
【0028】
金具30は、
図1(a)の正面図に示される第1面部31と、
図1(c)の背面図に示される第2面部32と、第1面部31及び第2面部32を連通する貫通孔33とを有している。また、金具30は、下部において下方に延びる左右一対の脚部34を有している。
【0029】
第1面部31は、貫通孔33の周囲に位置する平面状に形成された第1平面部35と、第1平面部35の上側に隣接しており前方に突出した突出部36とを有している。
図1(a)においてクロスハッチングを付して示すように、第1平面部35のうち貫通孔33から所定距離の範囲を第1孔縁部35aと称する。
【0030】
第2面部32は、第1面部31と対向しており、貫通孔33の周囲に位置する平面状に形成された第2平面部37を有している。
図1(c)においてクロスハッチングを付して示すように、第2平面部37のうち貫通孔33から所定距離の範囲を第2孔縁部37aと称する。第2面部32は、貫通孔33の周囲を含みこれより上方に位置する部分は平面上に形成されている。
【0031】
貫通孔33は、中心軸線が前後方向に延びており、中心軸線に垂直な断面形状が非円形状である。ここで、非円形状とは、真円でなければよく、楕円、矩形、多角形等、種々の形状が含まれる。本実施形態では、貫通孔33は、第1面部31から第2面部32まで同じ断面形状で延びている。
【0032】
図1(b)において仮想線で示すように、貫通孔33の内周面に円筒状のゴム部材50が接着剤により接着されるようになっている。ゴム部材50は、軸方向の両端部に、外径が貫通孔33の孔径より大きい一対のフランジ部51を有しており、一対のフランジ部51は、第1孔縁部35a及び第2孔縁部37aそれぞれに接着剤により接着されるようになっている。
【0033】
左右一対の脚部34は、貫通孔33の中心軸線に対して交差する方向に延びている。左右一対の脚部34の下端部には、左右方向に貫通する取付孔34aがそれぞれ形成されている。取付孔34aは、例えばマウントゴムをパワートレイン又は車体に取り付けるのに使用される。
【0034】
次に、この金具30に接着剤を塗布する塗布方法及び塗布装置について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るマウントゴム用の金具30への接着剤の塗布装置1の概略構成を示す斜視図である。
図2に示されるように、塗布装置1では、金具30が、金具支持台2に支持された状態でコンベア3上を図中左から右へ搬送されている。ここで、コンベア3の搬送方向の下流側を向いたときの左右方向を、塗布装置1の左右方向と称して、以下説明する。
【0035】
塗布装置1は、コンベア3により搬送された金具30に対して、接着剤を塗布する塗布ステーション4を備えている。塗布ステーション4には、金具30が、金具支持台2により、一対の脚部34が下方に延びる姿勢で支持されており、第1面部31が右側を向くと共に第2面部32が左側を向いた姿勢で搬送される。なお、塗布ステーション4において、金具支持台2は、例えば不図示のモータ又はシリンダにより水平方向に回動可能に構成されている。
【0036】
塗布ステーション4は、第1マスキング治具10と、第2マスキング治具20と、噴霧手段5と、排気手段6とを有している。
【0037】
第1マスキング治具10及び第2マスキング治具20は、コンベア3を挟んだ左右両側に互いに対向するように配置されている。本実施形態では、第1マスキング治具10は、右側に配置されており、塗布ステーション4に搬送される金具30の第1面部31に対向する。同様に、第2マスキング治具20は、コンベア3の左側に配置されており、塗布ステーション4に搬送される金具30の第2面部32に対向する。
【0038】
第1及び第2マスキング治具10,20は、コンベア3の幅方向内側に突出した突出位置と、コンベア3から幅方向に退避する退避位置とに、例えば不図示のロボットアーム、シリンダ又はボールねじ等を利用した移動手段(以下、単に移動手段と称する)によりコンベア3の幅方向に移動可能に構成されている。第1及び第2マスキング治具10,20は、突出位置において、塗布ステーションに搬送された金具30をコンベア3の幅方向において挟持するように構成されている。
【0039】
後述するように、突出位置に位置するとき、第1マスキング治具10は金具30の第1面部31をマスキングするように構成され、第2マスキング治具20は、金具30の第2面部32をマスキングするように構成されている。なお、不図示の弾性手段を用いて、第1及び第2マスキング治具10,20を、突出位置において金具30に対して弾性的に押し付けるように構成してもよい。
【0040】
さらに、第1及び第2マスキング治具10,20は、突出位置に位置する状態、すなわち金具30を挟持した状態で、金具支持台2の回転にしたがって金具30と共に回動可能に構成されている。すなわち、金具支持台2を回転させて金具30を第1面部31の位置と第2面部32の位置とを反転させた場合、これに伴い、第1及び第2マスキング治具10,20の位置がコンベア3の幅方向において入れ替わる。
【0041】
噴霧手段5は、接着剤を噴霧可能な例えばスプレーとして構成されている。噴霧手段5は、コンベア3の右側であって、第1マスキング治具10に対してコンベア3の反対側に配置されている。噴霧手段5は、不図示の移動手段に支持されており、噴霧位置が自在に変更可能に構成されている。
【0042】
排気手段6は、噴霧手段5により噴霧された接着剤を、排気ダクト7を介して吸引して外部へ排気可能な排気ファンとして構成されている。排気手段6は、排気ダクト7の出口部7bに接続されている。排気ダクト7は、コンベア3の左側に配置されており、入口部7aが第2マスキング治具20の反金具30側の端部に接続若しくは近接して配置されている。また、排気ダクト7は、入口部7aにおいて、不図示の移動手段に支持されており、コンベア3の幅方向に移動可能に構成されている。
【0043】
図3は第1マスキング治具10を反金具30側から見た背面図であり、
図4は
図3のIV-IV線に沿った第1マスキング治具10の縦断面図である。なお、
図4には、第1面部31に第1マスキング治具10が取り付けられたときの、金具30が仮想線により示されている。第1マスキング治具10は、突出位置に位置するときに第1面部31に当接してマスキングする第1マスキングプレート11と、第1マスキングプレート11から反金具30側に延びるように設けられた第1筒状体15とを有している。
【0044】
第1マスキングプレート11には、第1開口部12が貫通形成されている。第1開口部12は、下側に位置する下側開口部12aと、この上側に位置する上側海溝部11bとにより構成されている。第1マスキングプレート11が第1面部31に取り付けられたとき、下側開口部12aは、第1孔縁部35aに対応する大きさに形成されており、上側開口部12bは、突出部36との干渉を回避する大きさに形成されている。
【0045】
また、第1マスキングプレート11の背面側(第1面部31に当接しない側)には、上側開口部12bを反金具30側から覆うカバー体13が取り付けられている。カバー体13は、上側開口部12bに左側から対向する頂壁部13aと、この搬送方向両側の縁部及び上端縁部から第1マスキングプレート11の背面まで延びる側壁部13bと、頂壁部13aの下端縁部から金具30側に延びる下壁部13cとを有している。頂壁部13aの下縁部及び下壁部13cの下部形状は、第1孔縁部35aの上縁部に略一致する形状に形成されている。
【0046】
第1筒状体15は、円筒状部材により構成されており、内側に第1開口部12とカバー体13とを臨む大きさに形成されている。
【0047】
すなわち、第1マスキング治具10が第1面部31に取り付けられたとき、第1マスキング治具10の背面側から見て、第1筒状体15の内側において、第1孔縁部35aの上縁部を除く部分が第1マスキングプレート11によりマスキングされており、第1孔縁部35aの上縁部がカバー体13によりマスキングされて、これにより第1孔縁部35aのみ露出するようになっている。
【0048】
図5は第2マスキング治具20を反金具30側から見た背面図であり、
図6は
図5のVI-VI線に沿った第2マスキング治具20の縦断面図である。なお、
図6には、第2面部32に第2マスキング治具20が取り付けられたときの、金具30が仮想線により示されている。第2マスキング治具20は、突出位置に位置するときに第2面部32に当接してマスキングする第2マスキングプレート21と、第2マスキングプレート21から反金具30側に延びるように設けられた第2筒状体25とを有している。
【0049】
第2マスキングプレート21には、第2開口部22が貫通形成されている。第2開口部22は、第2マスキングプレート21が第2面部32に取り付けられたとき、第2孔縁部37aに対応する大きさに形成されている。第2筒状体25は、円筒状部材により構成されており、内側に第2開口部22を臨む大きさに形成されている。
【0050】
すなわち、第2マスキング治具20が第2面部32に取り付けられたとき、第2マスキング治具20の背面側から見て、第2筒状体25の内側において、第2孔縁部37aが第2マスキングプレート21によりマスキングされて、これにより第2孔縁部37aのみ露出するようになっている。
【0051】
図7は、金具30を、第1マスキング治具10と第2マスキング治具20とにより挟持した状態で、第1筒状体15を通して噴霧手段5により接着剤を噴霧している状態が示されている。上述したように、金具30は、第1面部31において第1孔縁部35aのみが露出するように第1マスキング治具10によりマスキングされているので、噴霧された接着剤が、第1孔縁部35aに付着する(塗布される)と共に、貫通孔33の内周面にも付着する。
【0052】
また、噴霧された接着剤のうち、貫通孔33を通過した接着剤は、排気ダクト7を介して排気手段6(
図1参照)により排気されるようになっている。このとき、第2面部32において、第2孔縁部37aのみが露出するように第2マスキング治具20によりマスキングされているので、貫通孔33を通過した接着剤が、第2面部32において第2孔縁部37a以外に付着することが防止されている。
【0053】
図示は省略するが、同様に、第2筒状体25を通して噴霧手段5により接着剤を噴霧することにより、接着剤が、第2孔縁部37aと貫通孔33の内周面とに付着する(塗布される)と共に、貫通孔33を通過した接着剤が第1面部31において第1孔縁部35a以外に付着することが防止されている。
【0054】
なお、貫通孔33の軸線方向において、第1及び第2マスキング治具10,20の長さは100mm程度に構成されている。また、噴霧手段5は金具30から50mm以上150mm以下の距離、離間して位置している。噴霧手段5による接着剤の噴霧が、第1筒状体15及び第2筒状体25の外側に漏れることなく内側に導入されるように、噴霧手段5の金具30に対する位置及び噴霧の噴霧角度(広がり)が適宜設定されている。
【0055】
次に、
図8を参照して、金具30への接着剤の噴霧工程を説明する。先ず、
図8(a)を参照して、金具30が金具支持台2に載置された状態でコンベア3により、塗布ステーション4に搬送される。このとき、第1面部31が右側に位置しており、第2面部32が左側に位置している。
【0056】
次いで、
図8(b)に示すように、第1及び第2マスキング治具10,20が、コンベア3の幅方向内側に移動して金具30を左右に挟持する。具体的には、第1マスキング治具10が第1面部31に当接してマスキングし(第1マスキング工程)、第2マスキング治具20が第2面部32に当接してマスキングする(第2マスキング工程)。この状態で、第1筒状体15を通して、噴霧手段5により接着剤を噴霧する(第1噴霧工程)ことにより、金具30は第1孔縁部35a及び貫通孔33の内周面に接着剤が付着する(塗布される)。このとき、第2筒状体25を通して、貫通孔33を通過した接着剤が排気手段6及び排気ダクト7により排気される(第1排気工程)。
【0057】
次に、
図8(c)に示すように、噴霧手段5及び排気ダクト7が、それぞれ図示しない移動手段により反金具30側に退避された後、金具支持台2が第1及び第2マスキング治具10,20と共に反転する(反転工程)。これによって、金具30は、第1面部31が左側に位置すると共に、第2面部32が右側に位置する。また、第1マスキング治具10は金具30の第1面部31に当接した状態でコンベア3の左側に位置すると共に、第2マスキング治具20は金具30の第2面部32に当接した状態でコンベア3の右側に位置する。
【0058】
次に、
図8(d)に示すように、噴霧手段5及び排気ダクト7が、それぞれ図示しない移動手段により金具30側に突出する。具体的には、噴霧手段5が第2筒状体25の右端部に位置すると共に、排気ダクト7が第1筒状体15の左端部に接続若しくは近接して位置する。この状態で、第2筒状体25を通して、噴霧手段5により接着剤を噴霧する(第2噴霧工程)ことにより、金具30は第2孔縁部37a及び貫通孔33の内周面に接着剤が付着する(塗布される)。また、第1筒状体15を通して、貫通孔33を通過した接着剤が排気手段6及び排気ダクト7により排気される(第2排気工程)。
【0059】
最後に、
図8(e)に示すように、第1及び第2マスキング治具10,20と、噴霧手段5と、排気ダクト7とが、不図示の移動手段により反金具30側に移動されて、接着剤が塗布された金具30が搬送方向の下流側に搬送される。
【0060】
前記構成からなるマウントゴム用の金具30への接着剤の塗布方法および塗布装置によれば、次のような効果が得られる。
【0061】
(1)第1面部31に第1マスキングプレート11を配置して、第1面部31から反金具30側に離れた位置から接着剤を噴霧することにより、接着剤を、はみ出しを防止しつつ貫通孔33の内周面と第1面部31側の第1孔縁部35aとに略均一に同時に塗布できる。しかも、第1筒状体15を介して接着剤を噴霧することにより周囲への接着剤の飛散が抑制されるので、環境を清浄に維持しやすく掃除の手間が省ける。
【0062】
(2)噴霧された接着剤のうち、貫通孔33を通過したものが排気手段により排気されるので、より一層に環境を清浄に維持しやすい。
【0063】
(3)塗布ステーション4において、金具30と共に、第1及び第2マスキング治具10,20を反転させることができるので、第1及び第2マスキング治具10,20を金具30から着脱することを要せず、金具30に対して第2面部32側から接着剤を噴霧できる。しかも、第1面部31側及び第2面部32側それぞれから接着剤を塗布しこの反対側から排気するために、接着剤の噴霧手段5と排気手段6とを、2組設けたり、1組の場合には両側に移動させたりすることを要しないので、塗布装置1をコンパクトに構成できる。
【0064】
(4)金具30は一対の脚部34を有しているものの、一対の脚部34が下方に延びる姿勢で金具支持台2に支持されており、且つ、脚部34は金具30を反転させるときの回転軸線の軸線方向に延びているので、金具30を反転させたときの、突出部の回動軌跡を最小化できる。これにより、塗布装置をコンパクトに構成できる。
【0065】
(5)金具30の貫通孔33が、非円形状であるため接着剤を均一に塗布しにくいが、本実施形態では、接着剤を金具30から離れた位置から噴霧することにより略均一に塗布しやすい。
【0066】
上記実施形態では、塗布ステーション4において、金具30を反転させることにより、コンベア3の右側に配置された接着剤の噴霧手段5とコンベア3の左側に配置された排気手段6とにより、金具30の第1面部31及び第2面部32の両面から接着剤を塗布できるように構成したが、これに限らない。
図9に示すように、第1塗布ステーション41と第2塗布ステーション42とを設けて、第1塗布ステーション41において第1面部31側から接着剤を噴霧し、第2塗布ステーション42において第2面部32側から接着剤と噴霧するように構成してもよい。
【0067】
具体的に説明すると、
図9(a)に示すように、金具30が金具支持台2に載置された状態でコンベア3により、第1塗布ステーション41に搬送される。このとき、第1面部31が右側に位置しており、第2面部32が左側に位置している。
【0068】
次いで、
図9(b)に示すように、第1及び第2マスキング治具10,20が、コンベア3の幅方向内側に移動して金具30を左右に挟持する。具体的には、第1マスキング治具10が第1面部31に当接してマスキングし(第1マスキング工程)、第2マスキング治具20が第2面部32に当接してマスキングする(第2マスキング工程)。この状態で、第1筒状体15を通して、噴霧手段5により接着剤を噴霧する(第1噴霧工程)ことにより、金具30は第1孔縁部35a及び貫通孔33の内周面に接着剤が付着する(塗布される)。このとき、第2筒状体25を通して、貫通孔33を通過した接着剤が排気手段6及び排気ダクト7により排気される(第1排気工程)。
【0069】
次に、
図9(c)に示すように、第1及び第2マスキング治具10,20が、それぞれ図示しない移動手段により反金具30側に退避された後、金具支持台2が反転する(反転工程)。これによって、金具30は、第1面部31が左側に位置すると共に、第2面部32が右側に位置する。
【0070】
次に、
図9(d)に示すように、金具30が金具支持台2に載置された状態で、コンベア3により第2塗布ステーション42に搬送される。第2塗布ステーション42においては、コンベア3の右側に第2マスキング治具20が配置されており、コンベア3の左側に第1マスキング治具10が配置されている。すなわち、金具30は第1塗布ステーション41において反転されているので、第2塗布ステーション42では、コンベア3の左側において第1マスキング治具10が第1面部31に対向しており、コンベア3の右側において第2マスキング治具20が第2面部32に対向して位置している。
【0071】
また、噴霧手段5はコンベア3の右側に位置しており、排気手段6及び排気ダクト7はコンベア3の左側に位置している。なお、第1塗布ステーション41の噴霧手段5と排気手段6及び排気ダクト7を兼用して、不図示の移動手段により、第2塗布ステーション42で接着剤の塗布を行うときに、第1塗布ステーション41から第2塗布ステーション42へ移動させるように構成してもよい。
【0072】
次に、
図9(e)に示すように、第1及び第2マスキング治具10,20が、コンベア3の幅方向内側に移動して金具30を左右に挟持する。具体的には、第2マスキング治具20が第2面部32に当接してマスキングし(第3マスキング工程)、第1マスキング治具10が第1面部31に当接してマスキングする(第4マスキング工程)。この状態で、第2筒状体25を通して、噴霧手段5により接着剤を噴霧する(第2噴霧工程)ことにより、金具30は第2孔縁部37a及び貫通孔33の内周面に接着剤が付着する(塗布される)。また、第1筒状体15を通して、貫通孔33を通過した接着剤が排気手段6及び排気ダクト7により排気される(第2排気工程)。
【0073】
最後に、
図9(d)に示すように、第1及び第2マスキング治具10,20と、噴霧手段5と、排気ダクト7とが、不図示の移動手段により反金具30側に移動されて、接着剤が塗布された金具30が搬送方向の下流側に搬送される。
【0074】
上記変形例では、第1面部31側から接着剤を塗布する第1塗布ステーション41と、第2面部32側から接着剤を塗布する第2塗布ステーションとを設けている。この結果、第1及び第2マスキング治具10,20を取り外した状態で、容易に金具30を回転させることができる。これにより、塗布装置1をコンパクトに構成できる。しかも、第2面部32側から接着剤を噴霧する場合の接着剤の噴霧手段5及び排気手段6は、第1面部31側から接着剤を噴霧する場合の接着剤の噴霧手段5及び排気手段6と、金具に対する位置が同じに構成されるので、塗布装置1を簡略化できる。
【0075】
また、第1筒状体15及び第2筒状体25の、反金具側の形状を同じにしてもよい。これにより、金具30を反転させた場合でも、接着剤の噴霧手段5及び排気ダクト7の入口部7aと、第1筒状体15及び第2筒状体25との関係を同じに構成できるので、塗布装置1を簡略化できる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。