【解決手段】鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を鋳物と分離する。まず、鋳型の載置面を基準とした鋳物のハンガ部の位置に基づいて、このハンガ部にハンガーフックが掛かるように鋳物のハンガ部とハンガーフックとの相対位置を調整し、鋳型の載置面が重力方向となす角度が小さくなるように載置面を更に回転させることで、鋳物のハンガ部をハンガーフックに掛けつつ鋳型を載置面から落下させる。
前記載置面が重力方向となす角度が小さくなるように前記テーブルを回転させることで、前記鋳型を前記テーブルから落下させるテーブル回転部を備えることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の鋳型ばらし装置。
【背景技術】
【0002】
鋳造ラインでは、鋳型に鋳込んだ溶融金属が凝固して冷却された後、鋳型ばらしが行われる。この鋳型ばらしでは、溶融金属が凝固した鋳物と、ばらした鋳型である鋳型砂とが分離される。該鋳物は製品とされ、該鋳型砂は回収されて再利用される。鋳型ばらしを行う鋳型ばらし装置としては、回転ドラム式、振動トラフ式及び振動ドラム式を例示することができる。
【0003】
従来技術の一例である特許文献1には、回転ドラム式の冷却装置を用いた鋳型ばらしに関する技術が開示されている。
【0004】
図8は、従来技術の一例である回転ドラム式の冷却装置10を示す図である。
図8に示す冷却装置10は、搬入機構11と、回転ドラム12と、搬出機構13と、換気機構14と、散水機構15と、砂回収機構16とを備える。
【0005】
搬入機構11は、鋳物が形成された鋳型を回転ドラム12へ搬入する。鋳物が形成された鋳型は、
図8における白抜き矢印の方向から搬入機構11へ投入される。
【0006】
回転ドラム12は、鋳物の移動方向と略一致する方向の回転軸を回転中心として、実線の矢印で示すように回転する。回転ドラム12では、鋳物を鋳込んだ鋳型と鋳物とが分離され、鋳型は鋳型砂となり、該鋳物及び該鋳型砂が冷却される。鋳物及び鋳型砂は、回転ドラム12内を搬入機構11側から搬出機構13側へ移動し、鋳物は搬出機構13に排出され、鋳型砂は砂回収機構16に回収される。
【0007】
換気機構14は、換気扇を含み、回転ドラム12内の換気を行う。散水機構15は、回転ドラム12内の鋳物及び鋳型砂に対して散水を行う。砂回収機構16は、回転ドラム12と搬出機構13との間に設けられ、回転ドラム12内の砂を回収する。この砂には鋳型砂が含まれる。
【0008】
図8に示す冷却装置10によれば、回転ドラム12の回転により鋳物を効率的に冷却可能である。また、冷却装置10によれば、回転ドラム12内において、常温の砂と、乾燥した高温の砂と、中子砂とが混ざり、砂回収機構16による回収前に砂を均質化することが可能である。
【0009】
また、回転ドラムを用いることなく鋳型ばらしを行う装置として、従来技術の一例である特許文献2に開示されるように、鋳物にハンガを設け、該ハンガに掛かるフックによって鋳物を吊下げて鋳型ばらしを行うことが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記の
図8に示す冷却装置10では、回転ドラム12内において鋳物が損傷することがある。これは、鋳物が、回転ドラム12内において、他の鋳物又は回転ドラム12の内壁に接触又は衝突するためである。このように損傷した鋳物は、表面に打痕又は割れを生じてしまう、という問題があった。そして、鋳物の表面に打痕又は割れを生じると、生産効率を低下させてしまう、という問題があった。
【0012】
また、
図8に示す冷却装置10においては、鋳物が形成された鋳型の搬入順と鋳物の搬出順とが一致しない。すなわち、先に投入された鋳型内の鋳物が、これより後に投入された鋳型内の鋳物よりも後に排出されることがある。そのため、冷却装置10では、排出された各鋳物を鋳込んだ順番を特定することが難しく、各鋳物の製造条件を特定することが困難である、という問題があった。
【0013】
また、
図8に示す冷却装置10では、回転ドラム12内における鋳物と砂の接触時間が長いため、砂の温度が全体的に上昇してしまう、という問題があった。また、
図8に示す冷却装置10では、後処理工程における人の作業量が多い、という問題もあった。
【0014】
上記の特許文献2に開示される技術によれば、鋳物の打痕及び割れ等を防止することができるが、ハンガの位置によっては鋳物にフックが掛からない場合があり、鋳型ばらしを確実に行い得ない、という問題があった。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、鋳型ばらしを確実に行い得る鋳型ばらし方法及び鋳型ばらし装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし方法であって、テーブル上に前記鋳型を載置すること、前記鋳型の載置面を基準とした前記ハンガ部の位置に基づいて、前記ハンガ部にハンガーフックが掛かるように前記テーブルの角度を調整すること、前記鋳型を前記テーブルから落下させることを含むことを特徴とする鋳型ばらし方法である。
【0017】
または、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし方法であって、テーブル上に前記鋳型を載置すること、前記鋳型の載置面を基準とした前記ハンガ部の位置に基づいて、前記ハンガ部にハンガーフックが掛かるように前記テーブルを昇降させることで前記テーブルの高さを調整すること、前記鋳型を前記テーブルから落下させることを含むことを特徴とする鋳型ばらし方法である。
【0018】
または、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし方法であって、テーブル上に前記鋳型を載置すること、前記鋳型の載置面を基準とした前記ハンガ部の位置に基づいて、前記ハンガ部にハンガーフックが掛かるように前記ハンガーフックの高さを調整すること、前記鋳型を前記テーブルから落下させることを含むことを特徴とする鋳型ばらし方法である。
【0019】
または、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし装置であって、回転可能なテーブルと、前記テーブル上に前記鋳型を搬送する搬送機構と、前記ハンガ部に掛かるハンガーフックと、前記鋳型の載置面を基準とした前記ハンガ部の位置に基づいて、前記ハンガ部に前記ハンガーフックが掛かるように前記テーブルの角度を調整するテーブル角度調整部とを備える鋳型ばらし装置である。
【0020】
または、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし装置であって、回転可能なテーブルと、前記テーブル上に前記鋳型を搬送する搬送機構と、前記ハンガ部に掛かるハンガーフックと、前記鋳型の載置面を基準とした前記ハンガ部の位置に基づいて、前記ハンガ部に前記ハンガーフックが掛かるように前記テーブルを昇降させることで前記テーブルの高さを調整するテーブル昇降部とを備える鋳型ばらし装置である。
【0021】
または、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし装置であって、回転可能なテーブルと、前記テーブル上に前記鋳型を搬送する搬送機構と、前記ハンガ部に掛かるハンガーフックと、前記鋳型の載置面を基準とした前記ハンガ部の位置に基づいて、前記ハンガ部に前記ハンガーフックが掛かるように前記ハンガーフックを移動させることで前記テーブルの高さを調整するハンガーフック位置調整部とを備える鋳型ばらし装置である。
【0022】
上記の鋳型ばらし装置は、前記載置面が重力方向となす角度が小さくなるように前記テーブルを回転させることで、前記鋳型を前記テーブルから落下させるテーブル回転部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、鋳型ばらしを確実に行うことができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0026】
<実施形態1>
図1Aは、本実施形態に係る鋳型ばらし装置に投入される鋳型及び鋳型に形成された鋳物の高さの一例を示す図である。
図1Aに示す鋳型102aは、上鋳型103aと下鋳型104aとを備え、上鋳型103aと下鋳型104aとの間には鋳物101aが形成されている。鋳物101aは、製品となる鋳造物105aと、ハンガ部106aとを有する。なお、
図1Aには、上鋳型103a及び下鋳型104aの最大高さがいずれも130mmであり、鋳型102aの高さが260mmである場合を例示している。また、上鋳型103aと下鋳型104aは、各々の最大高さを有する部分において互いに接することで鋳物101aを閉じこめている。突部107a及び注湯部108aについては後述する。
【0027】
図1Bは、本実施形態に係る鋳型ばらし装置に投入される鋳型及び鋳型に形成された鋳物の高さの別の例を示す図である。
図1Bに示す鋳型102bは、上鋳型103bと下鋳型104bとを備え、上鋳型103bと下鋳型104bとの間には鋳物101bが形成されている。鋳物101bは、製品となる鋳造物105bと、ハンガ部106bとを有する。なお、
図1Bには、上鋳型103b及び下鋳型104bの最大高さがいずれも225mmであり、鋳型102bの高さが450mmである場合を例示している。また、上鋳型103bと下鋳型104bは、各々の最大高さを有する部分において互いに接することで鋳物101bを閉じこめている。突部107b及び注湯部108bについては、後述する突部107a及び注湯部108aの説明を援用する。
【0028】
また、
図2は、
図1Aに示す鋳物101aの鋳型102aにおける位置関係を示す平面図である。
図1A及び
図2に示すように、鋳物101aは、鋳造物105a及びハンガ部106aを含み、鋳造物105a及びハンガ部106aは、これらを連結する部分も含めて一体に形成されている。そして、ハンガ部106aの下方にはハンガーフック31が配置される。なお、鋳造物105aとハンガ部106aとを連結する部分に形成された突部107aは、後述するようにロボットアームが鋳物101aを掴むために設けられた構成である。また、注湯部108aは、注湯の際の湯口となる部分である。
【0029】
なお、
図2においてハンガ部106aはT字型であるが、これに限定されるものではない。ハンガ部106aは、H字型であってもよいし、十字型であってもよい。また、
図2においてハンガ部106aは2つ設けられているが、これは、後の工程において鋳物101aをパレット台車に乗せる際に利用される。
【0030】
また、
図1Bに示す鋳物101b及び鋳型102bの位置関係は、鋳物101a及び鋳型102aの位置関係と同じであるため、
図2を援用し、その説明を省略する。
【0031】
図1Aに示す鋳型102aのハンガ部106aは、鋳型102aの載置面から高さ130mmの位置に存在するのに対し、
図1Bに示す鋳型102bのハンガ部106bは、鋳型102bの載置面から高さ225mmの位置に存在する。そのため、
図1Bに示す鋳物101bを掛ける位置は、載置面を基準として、
図1Aに示す鋳物101aを掛ける位置よりも95mm、すなわち約10cm高い。したがって、
図1Bに示す鋳物101bを掛ける際に、
図1Aに示す鋳物101aを掛けるときと同じ位置にハンガーフック31を配置すると、鋳物101bがハンガーフック31に掛からない場合がある。このように、鋳型における鋳物のハンガ部の高さに違いを生じると、ハンガーフックによる吊下げをし損ねることがある。そこで、本実施形態においては、鋳型を載置した載置面の角度を調整することで、鋳物のハンガ部とハンガーフックとの相対位置を調整する。
【0032】
なお、鋳型の造型方法には、枠抜造型と枠付造型がある。枠付造型で作製される鋳型の高さは、鋳型の造型に使用する枠である金枠の高さに応じて決まる。そのため、枠付造型では同一金枠で作製される鋳型の高さは概ね等しくなる。他方で、枠抜造型では鋳型の造型に金枠を用いないので、作製される鋳型の高さは様々に異なる。このような枠抜造型では鋳型の高さが異なり、ハンガ部の高さも様々に異なる。すなわち、本発明は、このように鋳型の高さが異なる枠抜造型に適用して十分な効果を発揮する。
【0033】
図1A及び
図1Bにおいて、上鋳型の最大高さと下鋳型の最大高さを等しくしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上鋳型の最大高さと下鋳型の最大高さは異なっていてもよい。
【0034】
なお、以下の説明においては、鋳物101aと鋳物101bを総称して鋳物101とし、鋳型102aと鋳型102bを総称して鋳型102とし、上鋳型103aと上鋳型103bを総称して上鋳型103とし、下鋳型104aと下鋳型104bを総称して下鋳型104とし、鋳造物105aと鋳造物105bを総称して鋳造物105とし、ハンガ部106aとハンガ部106bを総称してハンガ部106とする。
【0035】
図3は、本実施形態に係る鋳型ばらし装置を含む鋳造ラインを示す概略図である。
図3に示す鋳造ライン20は、鋳型造型装置21と、注湯装置22と、第1搬送部23と、第2搬送部24と、鋳型ばらし装置30とを備える。
【0036】
鋳型造型装置21は、鋳型砂を成形することで鋳型102を造型する。ここで、鋳型により形成される鋳物101は、製品となる鋳造物と、鋳型ばらしにおいて利用されるハンガ部とを有する形状とする。注湯装置22は、鋳型造型装置21が造型した鋳型102に溶融金属を鋳込むために注湯を行う。
【0037】
第1搬送部23は、注湯装置22により溶湯が鋳込まれて鋳物が形成された鋳型102を鋳型ばらし装置30へ搬送する。第2搬送部24は、鋳型ばらし装置30から搬出された鋳物101を図示しない次の工程の場所へ搬送する。ここで、次の工程の一例は、検査工程である。
【0038】
鋳型ばらし装置30は、第1搬送部23によって搬送された鋳型102と鋳物101とを分離し、鋳型102をばらし、発生した鋳型砂を回収し、鋳物101を排出する。
【0039】
次に、鋳型ばらし装置30について
図4A及び
図4Bを参照して説明する。鋳型ばらし装置30は、
図3の白抜き矢印で示す第1搬送部23の進行方向に隣接してテーブル32を備える。鋳物101が形成された鋳型102は、プッシャー33によりテーブル32上に載置される。テーブル32は、第1搬送部23側が回転軸34を中心として回転自在に支持され、回転軸34の逆が自由端であるため、テーブル32の上面の角度は水平面に対して傾斜可能である。テーブル32の自由端の上方にはレール35が紙面に直交する方向に配設されており、レール35には懸吊装置36が懸架されている。懸吊装置36の下端部37にはハンガーフック31が設けられており、ハンガーフック31は鋳型102に差し込み可能に構成されている。
【0040】
懸吊装置36は、レール35上に複数配置され、ハンガーフック31により鋳物101を吊下げて鋳型砂をふるい落とす作業を終えた後、順次、紙面に直交する方向、例えば紙面の奥へ進行するように構成されている。
【0041】
次に、鋳型ばらし装置30を用いた鋳型ばらしの手順を説明する。
図4Aは、鋳型ばらし装置30における鋳型ばらしの第1の手順を示す図である。
図4Aに示す工程は、
第1搬送部23上の鋳型102をプッシャー33で押し出すことで、鋳型ばらし装置30が備えるハンガーフック31に隣接するテーブル32上に、鋳型102を載置してセットする。
図4Aに示す工程では、後の工程における鋳型102の落下時に、ハンガーフック31に鋳物101が掛かるように、ハンガーフック31と鋳物101との相対位置を調整する。
【0042】
図5は、
図4Aに示す工程の本実施形態における詳細を示す側面図である。
図5に示す鋳型102はテーブル32上に載置され、回転軸34によって回転可能に支持されたテーブル32の角度は、テーブル32の裏面側に設けられたシリンダ38の伸縮によって調整可能である。シリンダ38は、鋳物101のハンガ部106の位置に基づいて白抜き矢印のように伸縮することで鋳型102の載置面を傾斜させ、これにより鋳物101のハンガ部106を固定されたハンガーフック31に掛けることが可能な構成である。なお、鋳型ばらし装置30は、鋳型造型装置21から鋳型102の高さを含む製造データを取り込み、鋳物101のハンガ部106の載置面からの高さを推定することで、鋳物101のハンガ部106の位置を取得する。
【0043】
このように、鋳物101がハンガーフック31に掛かるようにテーブル32の角度を調整して鋳型102をテーブル32から落下させることで、損傷のない鋳物101を得ることができる。なお、鋳型102をテーブル32から落下させる際には、鋳型102の載置面と重力方向とのなす角度が小さくなるように回転軸34を回転中心としてテーブル32を回転させることでテーブル32の自由端から鋳型102を自重により落下させ、鋳型102の落下時にハンガーフック31が鋳物101のハンガ部106に掛かればよい。
【0044】
図4Bは、鋳型ばらし装置30における鋳型ばらしの第2の手順を示す図である。
図4Bに示す工程は、ハンガーフック31に鋳物101を吊下げた状態で、鋳物101に振動装置39による振動を突部又は注湯部に与えて残留した鋳型砂を落とす。
【0045】
以上、本実施形態にて説明した鋳型ばらし装置は、鋳型の載置面を基準としたハンガ部の位置に基づいて、ハンガ部にハンガーフックが掛かるようにテーブルの角度を調整するテーブル角度調整部を備える構成である。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、打痕及び割れ等の損傷を生じることなく鋳物を得ることができる。また、フックを確実に引っ掛けることができ、鋳型ばらしを確実に行うことができる。
【0047】
<実施形態2>
実施形態1では、鋳型の載置面を含むテーブルの角度を調整することによりハンガーフックと鋳物のハンガ部の相対位置を調整する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本実施形態にて説明するように、テーブルを昇降移動させてもよい。
【0048】
本実施形態は、実施形態1とはハンガーフックと鋳物のハンガ部との相対位置の調整が異なるのみであり、その他の構成については、実施形態1と同じであるため、
図1から
図4を参照した説明を援用する。
【0049】
図6は、
図4Aに示す工程の本実施形態における詳細を示す側面図である。
図6に示す鋳型102はテーブル32上に載置されており、昇降可能なテーブル32の高さは、テーブル32の裏面側に設けられたシリンダ38aの伸縮によって調整可能である。シリンダ38aは、鋳物101のハンガ部106の位置に基づいて白抜き矢印の方向に伸縮することでテーブル32を昇降させ、これにより鋳物101のハンガ部106が固定されたハンガーフック31に掛かる構成である。斜線で示す伸縮部38a1が上下動すると、テーブル32が実線で示す位置から点線で示す位置へ移動し、またはテーブル32が点線で示す位置から実線で示す位置へ移動する。鋳物101のハンガ部106の位置は、実施形態1と同様に取得される。
【0050】
このようにして、鋳物101がハンガーフック31に掛かるようにテーブル32の高さを調整して鋳型102をテーブル32から落下させることで、損傷のない鋳物101を得ることができる。なお、鋳型102をテーブル32から落下させる際には、鋳型102の載置面と重力方向とのなす角度が小さくなるように回転軸34を回転中心としてテーブル32を回転させることでテーブル32の自由端から鋳型102を自重により落下させればよい。
【0051】
以上、本実施形態にて説明した鋳型ばらし装置は、鋳型の載置面を基準としたハンガ部の位置に基づいて、ハンガ部にハンガーフックが掛かるようにテーブルを昇降させることでテーブルの高さを調整するテーブル昇降部を備える構成である。
【0052】
なお、本実施形態においては鋳型102の載置面であるテーブル32を昇降することができればよく、テーブル32を昇降する手段は上記したものに限定されない。
【0053】
また、実施形態1,2では、ハンガーフックを固定としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハンガーフックをハンガ部に掛けた後にハンガーフックが上昇して鋳物を吊上げてもよい。
【0054】
以上、本実施形態にて説明したように、鋳型の載置面を傾けずに鋳型の載置面を昇降させてハンガーフックとテーブルとの相対位置を調整することによっても打痕及び割れ等の損傷を生じることなく鋳物を得ることができ、鋳型ばらしを確実に行うことができる。
【0055】
<実施形態3>
実施形態1では、テーブルの角度を調整することによりハンガーフックと鋳物のハンガ部の相対位置を調整する形態について説明し、実施形態2ではテーブルを昇降移動させてハンガーフックと鋳物のハンガ部の相対位置を調整する形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本実施形態にて説明するように、ハンガーフックを可動としてもよい。
【0056】
本実施形態は、実施形態1,2とはハンガーフックと鋳物のハンガ部との相対位置の調整が異なるのみであり、その他の構成については、実施形態1と同じであるため、
図1から
図4を参照した説明を援用する。
【0057】
図7は、
図4Aに示す工程の本実施形態における詳細を示す側面図である。
図7に示す鋳型102はテーブル32上に載置されている。ハンガーフック31aの位置は、ハンガーフック31aに設けられたシリンダ38bの伸縮によって調整可能である。シリンダ38bは、鋳物101のハンガ部106の位置に基づいて伸縮することでハンガーフック31aの位置を調整し、これによりハンガーフック31aが鋳物101のハンガ部106に掛かる構成である。鋳物101のハンガ部106の位置は、実施形態1と同様に取得される。
【0058】
このようにして、鋳物101をハンガーフック31aに掛けて鋳型102をテーブル32から落下させることで、損傷のない鋳物101を得ることができる。なお、鋳型102をテーブル32から落下させる際には、鋳型102の載置面と重力方向とのなす角度が小さくなるように回転軸34を回転中心としてテーブル32を回転させることでテーブル32の自由端から鋳型102を自重により落下させればよい。
【0059】
このようにして、ハンガーフック31aが鋳物101に掛かるようにハンガーフック31aの位置を調整して鋳型102をテーブル32から落下させることで、損傷のない鋳物101を得ることができる。
【0060】
以上、本実施形態にて説明した鋳型ばらし装置は、鋳型の載置面を基準としたハンガ部の位置に基づいて、ハンガ部にハンガーフックが掛かるようにハンガーフックを移動させることでテーブルの高さを調整するハンガーフック位置調整部を備える構成である。
【0061】
なお、本実施形態においてはハンガーフック31の位置調整を行うことができればよく、ハンガーフック31の位置調整を行う手段は上記したものに限定されない。
【0062】
なお、本実施形態では、ハンガ部に掛けるためにハンガーフックを可動としているが、ハンガーフックをハンガ部に掛けた後にハンガーフックが上昇して鋳物を吊上げてもよい。
【0063】
以上、本実施形態にて説明したように、鋳型の載置面を調整することなく、ハンガーフックを可動としてハンガーフックとテーブルとの相対位置を調整することによっても打痕及び割れ等の損傷を生じることなく鋳物を得ることができる。