特開2019-119318(P2019-119318A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-119318(P2019-119318A)
(43)【公開日】2019年7月22日
(54)【発明の名称】車載システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20190701BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20190701BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-254669(P2017-254669)
(22)【出願日】2017年12月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】木村 豪
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA36
2H199DA46
3D344AA21
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】曲率半径が小さい区間が存在する場合でも、進行方向を表す地点を容易に把握できるように方向マークを表示する「車載システム」を提供する。
【解決手段】経路上の進行方向が変化する区間に対する相対位置と、配置高さHとの関係を、配置高さHが、進行方向が変化する区間の手前の地点から経路を進むにつれて、0からMaxHまで漸増した後、配置高さHがMaxHから0に漸減するように設定する(a2、a3)。進行方向が変化する区間を走行する際には、路面上の各地点における進行方向を表す方向マーク100を、当該区間に対する当該地点の相対位置と設定されている関係とより定まる配置高さH、当該地点よりも上方の位置に重なるようにヘッドアップディスプレイ1を用いて表示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭乗しているユーザに対して自動車のフロントウインドシールドの前方に虚像による画像を表示するヘッドアップディスプレイと、目的地までの経路を設定する経路設定手段と、前記ヘッドアップディスプレイを用いて、前記自動車前方の前記経路上の路面に所定距離間隔で設定した各案内地点に対して、当該案内地点における前記経路に沿った進行方向を表す方向マークを、当該案内地点に前記ユーザから見て重なる位置に表示する進行方向表示手段とを備えた車載システムであって、
前記進行方向表示手段は、経路上の進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間に対して、当該区間中の地点もしくは当該区間の手前の地点である第1地点から当該区間中の前記第1地点よりも先の地点もしくは当該区間の先の地点である第2地点までの区間である上方表示区間を設定し、設定した上方表示区間中に含まれる各案内地点に対する前記方向マークについては、前記ヘッドアップディスプレイを用いて、当該案内地点に前記ユーザから見て重なる位置に表示する代わりに、当該案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に前記ユーザから見て重なる位置に表示し、
前記案内地点に対して定まる前記配置高さは、当該案内地点の前記上方表示区間に対する相対位置に従って定まり、前記相対位置と配置高さとは、当該相対位置の前記上方表示区間の始点から終点までの変化に対して、配置高さが、0から所定の最大高さまで徐々に増加した後に前記最大高さから0からまで徐々に減少する関係を有することを特徴とする車載システム。
【請求項2】
請求項1記載の車載システムであって、
前記進行方向表示手段は、前記上方表示区間が設定された前記進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間の曲率半径に応じて、前記最大高さを、曲率半径が小さいほど大きくなるように設定することを特徴とする車載システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の車載システムであって、
前記進行方向表示手段は、前記上方表示区間に含まれる各案内地点に対する前記方向マークとして、前記ユーザの視点から観察した、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に配置した、当該案内地点に対して定まる傾き傾斜した、所定の形状を有するオブジェクトを表現した図形を表示し、
前記案内地点に対して定まる前記傾きは、当該案内地点の前記上方表示区間に対する相対位置に従って定まり、前記相対位置と前記傾きとは、当該相対位置の前記上方表示区間の始点から終点までの変化に対して、傾きが、0から所定の最大傾きまで徐々に増加した後に前記最大傾きから0からまで徐々に減少する関係を有することを特徴とする車載システム。
【請求項4】
請求項3記載の車載システムであって、
前記進行方向表示手段は、前記上方表示区間が設定された前記進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間の曲率半径に応じて、前記最大傾きを、曲率半径が小さいほど大きくなるように設定することを特徴とする車載システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の車載システムであって、
前記進行方向表示手段は、前記上方表示区間が設定された前記進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間の曲率半径に応じて、前記上方表示区間の区間長を、曲率半径が小さいほど大きくなるように設定することを特徴とする車載システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の車載システムであって、
前記進行方向表示手段は、
前記上方表示区間に含まれる各案内地点に対する前記方向マークとして、前記ユーザの視点から観察した、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に配置した、所定の形状を有するオブジェクトを表現した図形を表示すると共に、
前記ヘッドアップディスプレイを用いて、前記上方表示区間に含まれる各案内地点について、前記ユーザの視点から観察した、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に配置した前記オブジェクトの当該案内地点上の影を表現した図形である影図形を表示することを特徴とする車載システム。
【請求項7】
請求項1、2、3、4または5記載の車載システムであって、
前記進行方向表示手段は、前記ヘッドアップディスプレイを用いて、前記上方表示区間中に含まれる各案内地点に対する前記方向マークとして、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に前記ユーザから見て重なる位置に表示される、方向を表す図形部分と、当該方向を表す図形部分と、当該案内地点に前記ユーザから見て重なる位置とを連結する図形部分とを有する図形を表示することを特徴とする車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に備えられたヘッドアップディスプレイを用いて経路を案内する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に備えられたヘッドアップディスプレイを用いて経路を案内する技術としては、ヘッドアップディスプレイを用いて、経路上の路面上に一定間隔で設定した各ポイントに対して、当該ポイントにおける経路に沿った進行方向を表す矢印を、ユーザから見て当該ポイントに重る位置に表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
ここで、このように経路上の路面上に一定間隔で設定した各ポイントに重なって視認されるように矢印を表示する場合、経路上の曲がりのきついカーブや経路が右左折する小さな交差点などの曲率半径が小さい経路上の区間やその直前の位置で、その先の経路上の路面にユーザから見て重なる範囲がヘッドアップディスプレイの表示範囲の下方となってしまい、進行方向を表す矢印を表示することができなくなってしまうことがある。
【0004】
そこで、上述した技術では、経路上の路面上に設定した各ポイントにユーザから見て重なる位置の全てがヘッドアップディスプレイの表示範囲外となって一つの矢印も表示できなくなったときに、各矢印の表示位置がヘッドアップディスプレイの表示範囲内となるように、各ポイントに対する矢印の表示位置を、当該ポイントを上方により近方のポイントほどより大きく上方にシフトするようにシフトしたポイントに、ユーザから見て重なる位置に変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-211370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したユーザから見て矢印が重なるポイントの位置を上方にシフトする技術によれば、特定の時点で、突然、ユーザから見た矢印の位置が、より近方のポイントに対する矢印ほどより大きく上方に移動するように変化する。
【0007】
したがって、当該変化の前後における、同じポイントに対する矢印の表示の連続性や、矢印の列によって表される経路の連続性が失われるため、ユーザにとって、変化直後に表示される矢印が、どの路面上のポイントにおける進行方向を表すものであるのかを直感的に把握することが難しい。
【0008】
そこで、本発明は、ヘッドアップディスプレイを用いて、経路上の路面上に所定間隔で設定した各ポイントに対して、当該ポイントにおける経路に沿った進行方向を表す矢印を、経路中に曲率半径が小さい区間が存在する場合でも、当該矢印が進行方向を表す路面上のポイントを容易に把握できる形態で表示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭乗しているユーザに対して自動車のフロントウインドシールドの前方に虚像による画像を表示するヘッドアップディスプレイと、目的地までの経路を設定する経路設定手段と、前記ヘッドアップディスプレイを用いて、前記自動車前方の前記経路上の路面に所定距離間隔で設定した各案内地点に対して、当該案内地点における前記経路に沿った進行方向を表す方向マークを、当該案内地点に前記ユーザから見て重なる位置に表示する進行方向表示手段とを備えた車載システムを提供する。ここで、前記進行方向表示手段は、経路上の進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間に対して、当該区間中の地点もしくは当該区間の手前の地点である第1地点から当該区間中の前記第1地点よりも先の地点もしくは当該区間の先の地点である第2地点までの区間である上方表示区間を設定し、設定した上方表示区間中に含まれる各案内地点に対する前記方向マークについては、前記ヘッドアップディスプレイを用いて、当該案内地点に前記ユーザから見て重なる位置に表示する代わりに、当該案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に前記ユーザから見て重なる位置に表示する。また、前記案内地点に対して定まる前記配置高さは、当該案内地点の前記上方表示区間に対する相対位置に従って定まり、前記相対位置と配置高さとは、当該相対位置の前記上方表示区間の始点から終点までの変化に対して、配置高さが、0から所定の最大高さまで徐々に増加した後に前記最大高さから0からまで徐々に減少する関係を有するものとする。
【0010】
ここで、このような車載システムは、前記進行方向表示手段において、前記上方表示区間が設定された前記進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間の曲率半径に応じて、前記最大高さを、曲率半径が小さいほど大きくなるように設定するように構成してもよい。
【0011】
このような車載システムによれば、各案内地点の進行方向を表す方向マークがユーザによって視認される実空間上の位置は時点間において変化しない。したがって、同じ地点の進行方向を表す方向マークの表示の不連続性は発生しない。
【0012】
また、上方表示区間において、方向マークが視認される実空間上の位置の高さは、経路の進行方向に向かって、路面の高さから徐々に大きくなった後に、路面の高さまで徐々に小さくなるので、各方向マークが視認される位置には連続性があり、各時点間において、方向マークの列によって表される経路に不連続性が発生することもない。
【0013】
そして、路上の進行方向が所定レベル以上大きく変化する区間の周辺に設定される上方表示区間における方向マークの表示位置は、路面上の案内地点に重なる位置に方向マークを表示する場合よりも、より上方の位置となるので、経路上の進行方向が所定レベル以上大きく変化する区間を走行する際に、路面上の案内地点がユーザから見て重なる位置がヘッドアップディスプレイの表示領域の下方となってしまう場合でも、当該案内地点の進行方向を案内する方向マークを表示することができる。
【0014】
また、以上の車載システムは、記進行方向表示手段は、前記上方表示区間に含まれる各案内地点に対する前記方向マークとして、前記ユーザの視点から観察した、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に配置した、当該案内地点に対して定まる傾き傾斜した、所定の形状を有するオブジェクトを表現した図形を表示するように構成してもよい。ここで、前記案内地点に対して定まる前記傾きは、当該案内地点の前記上方表示区間に対する相対位置に従って定まり、前記相対位置と前記傾きとは、当該相対位置の前記上方表示区間の始点から終点までの変化に対して、傾きが、0から所定の最大傾きまで徐々に増加した後に前記最大傾きから0からまで徐々に減少する関係を有するものである。
【0015】
また、この場合には、前記進行方向表示手段において、前記上方表示区間が設定された前記進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間の曲率半径に応じて、前記最大傾きを、曲率半径が小さいほど大きくなるように設定するようにしてもよい。
【0016】
これらのように構成することにより、オブジェクトとして傾きが0のときに上面の形状で方向を表すオブジェクトを用いた場合に、比較的高い位置にあるオブジェクトについても、方向マークが、ユーザの視線方向に対して上面が成す角度が過度に鋭角なオブジェクトを表すものとなって、表示マークからでは当該オブジェクトの上面の形状が視認し難くなることを抑制できる。また、徐々に表すオブジェクトの傾きが変化する方向マークの列によって、徐々に視認される路面上の高さが変化する表示マークの列による進行方向の変化の提示を、違和感ない自然な表現によって行うことができる。
【0017】
また、以上の車載システムは、前記進行方向表示手段において、前記上方表示区間が設定された前記進行方向が少なくとも所定レベル以上大きく変化する区間の曲率半径に応じて、前記上方表示区間の区間長を、曲率半径が小さいほど大きくなるように設定するように構成してもよい。
【0018】
また、以上の車載システムは、前記進行方向表示手段において、前記上方表示区間に含まれる各案内地点に対する前記方向マークとして、前記ユーザの視点から観察した、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に配置した、所定の形状を有するオブジェクトを表現した図形を表示すると共に、前記ヘッドアップディスプレイを用いて、前記上方表示区間に含まれる各案内地点について、前記ユーザの視点から観察した、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に配置した前記オブジェクトの当該案内地点上の影を表現した図形である影図形を表示するように構成してもよい。
【0019】
または、以上の車載システムは、前記進行方向表示手段において、前記ヘッドアップディスプレイを用いて、前記上方表示区間中に含まれる各案内地点に対する前記方向マークとして、前記案内地点に対して定まる配置高さ、当該案内地点よりも上方の位置に前記ユーザから見て重なる位置に表示される、方向を表す図形部分と、当該方向を表す図形部分と、当該案内地点に前記ユーザから見て重なる位置とを連結する図形部分とを有する図形を表示するように構成してもよい。
【0020】
これらのように構成することにより、方向マークが進行方向を表している経路上の地点(案内地点)をより容易に把握できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、ヘッドアップディスプレイを用いて、経路上の路面上に所定間隔で設定した各ポイントに対して、当該ポイントにおける経路に沿った進行方向を表す矢印を、経路中に曲率半径が小さい区間が存在する場合でも、当該矢印が進行方向を表す路面上のポイントを容易に把握できる形態で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイの配置と表示領域を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る方向指示オブジェクトの配置高さと傾きの設定法を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る方向指示オブジェクトの配置高さと傾きの設定法を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る進行方法表示処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る影図形の設定法を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイの表示例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る方向マークの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。
車載システムは自動車に搭載されるシステムであり、図示するようにヘッドアップディスプレイ1と、ナビゲーションシステム2と、入力装置3とを備えているここで、ナビゲーションシステム2は、地図データや衛星測位を行うGNSS受信器などを備え、これらを用いて現在位置を算出する処理や、入力装置3を介して設定された目的地までの経路を探索して設定する処理などを行う。
【0024】
次に、図2aに示すように、ヘッドアップディスプレイ1は、運転席の前方のフロントウインドシールドに下方から画像を投影することにより、図2bに示すように、ロントウインドシールドの前方に、虚像VIを表示することがきる。ここで、以下では、ヘッドアップディスプレイ1が虚像VIを表示可能な、図2cに示す、自動車の運転者であるユーザから見て上下左右方向の領域を「表示領域201」と呼んで説明を行う。
【0025】
さて、この表示領域201は固定的に設定されておりヘッドアップディスプレイ1は、図2bに示す自動車前方の路面の近方の範囲NA内の地点に重なるように虚像VIを表示することはできず、自動車前方の路面の範囲NAより遠方の範囲FA内の地点に重なる虚像VIしか表示することはできない。
【0026】
以下、車載システムにおいて行う方向マークの表示動作について説明する。
まず、本実施形態において、進行方向が変化する経路上の区間の曲率半径rが所定のしきい値Thrより小さい場合に、当該区間についての方向マークの表示の際に用いる、進行方向が変化する経路上の区間の曲率半径rと、方向指示オブジェクトの配置高さH、傾きθとの関係について説明する。なお、次に、進行方向が変化する経路上の区間とは、経路が通る道路のカーブ区間や、経路に従って進行した場合に右左折することとなる交差点等である。
【0027】
ここで、方向指示オブジェクトとは、実空間上に配置する経路上の各地点の進行方向を示す仮想のオブジェクトであり、ナビゲーションシステムは、ユーザから見て方向指示オブジェクトに重なる位置に、方向指示オブジェクトをユーザの視点から見たようすを表す図形を方向マークとして、ヘッドアップディスプレイ1を用いて表示する。
【0028】
なお、本実施形態では、方向指示オブジェクトとして、三角形のオブジェクトを用いる。
また、方向指示オブジェクトの配置高さHとは、方向指示オブジェクトの路面からの高さであり、方向指示オブジェクトの傾きθとは、方向指示オブジェクトの水平面に対する傾斜角である。ただし、方向指示オブジェクトの傾きθは、方向指示オブジェクトの三角形の一方の面が上方を向いているとき(三角形の面法線が鉛直方向であるとき)に0とする。
【0029】
まず、本実施形態では、曲率半径rに対して、曲率半径rの区間周辺の、ユーザから見た経路の上下方向の範囲の上端が最も下方となる地点に自動車が位置しているときに、当該経路の上下方向の範囲の上端となる地点を区間基準点CPとして設定している。また、区間の曲率半径rに対して、経路上の区間基準点CPより手前の道程距離Th1と、経路上の区間基準点CPより先の道程距離Th2を、区間の曲率半径rが小さいほど大きくなるように設定している。
【0030】
すなわち、図3a1に示す曲率半径rに対しては、図3a2に示すように道程距離Th1と道程距離Th2を設定し、図3a1に示す曲率半径rよりも大きな図3b1に示す曲率半径rに対しては、図3b2に示すように道程距離Th1と道程距離Th2を、図3a2に示した程距離Th1と道程距離Th2よりも短くなくように設定している。なお、道程距離は、経路の進行方向を正として測るものとする。
【0031】
そして、区間基準点CPまでの道程距離がTh1となる地点から区間基準点CPまでの道程距離がTh2となる地点との間までの区間を上方配置区間として、上方配置区間内の路面上の各地点の区間基準点Cまでの道程距離Dと、図3cに示す方向指示オブジェクト100の中心MGの路面からの配置高さHと、図3dに示す方向指示オブジェクト100の傾きθの関係を、当該関係が、図3a1に示す曲率半径rに対しては図3a2に複数の地点について例示したような関係となるように、図3b1に示す曲率半径rに対しては図3b2に複数の地点について例示したような関係となるように、曲率半径rに応じて設定している。
【0032】
すなわち、図3a1に示す曲率半径rに対する道程距離Dと配置高さHの関係を図3a3に、図3b1に示す曲率半径rに対する道程距離Dと配置高さHの関係を図3b3に示すように、区間基準点CPまでの道程距離がTh1となる地点から区間基準点CPに進むにつれて、配置高さHが0から最大配置高さMaxHまで漸増し、区間基準点CPから区間基準点CPまでの道程距離がTh2となる地点に進むにつれて配置高さHが最大配置高さMaxHから0に漸減するように設定している。
【0033】
また、図3a3、b3に示すように、区間基準点CPにおける最大配置高さ配置高さMaxHは、曲率半径rが小さいほど大きくなるように設定している。
また、図3a1に示す曲率半径rに対する道程距離Dと傾きθの関係を図3a4に、図3b1に示す曲率半径rに対する道程距離Dと傾きθの関係を図3b4に示すように、区間基準点CPまでの道程距離がTh1となる地点から区間基準点CPに進むにつれて、傾きθが0から最大傾きMaxθまで漸増し、区間基準点CPから区間基準点CPまでの道程距離がTh2となる地点に進むにつれて、傾きθが最大傾きMaxθから0に漸減するように設定している。
【0034】
また、図3a4、b4に示すように、区間基準点CPにおける最大傾きMaxθは、曲率半径rが小さいほど大きくなるように設定している。
なお、方向指示オブジェクト100の傾きθは、図3a1、b1に示すように進行方向が変化する経路上の区間が、右方向に進行方向が変化する区間である場合には、図3dに示すように、上方配置区間内の路面上の各地点から、当該地点の道程距離Dに対して設定されている配置高さH、上方となる位置を結んだ軸Jを、経路の進行方向に見て時計まわりに測った角度とする。一方、進行方向が変化する経路上の区間が進行方向が左方向に変化する区間である場合には、方向指示オブジェクト100の傾きθは、軸Jを経路の進行方向に見て反時計まわりに測った角度とする。
【0035】
また、曲率半径r、道程距離Th1、道程距離Th2、道程距離D、配置高さHの関係は、自動車が曲率半径rの区間周辺において、上述した軸Jの少なくとも所定長以上の部分にユーザから見て重なる位置が、常に表示領域201に含まれるという条件を満たすように設定する。この条件が満たされる限り、道程距離Th1は、区間基準点CPより道程距離Th1手前の地点が、進行方向が変化する経路上の区間の手前の地点となるように設定してもよいし、進行方向が変化する経路上の区間中の地点となるように設定してもよい。また、同様に、道程距離Th2は、区間基準点CPより道程距離Th2先の地点が、進行方向が変化する経路上の区間の先の地点となるように設定してもよいし、進行方向が変化する経路上の区間中の地点となるように設定してもよい。また、この条件が満たされる限り、区間基準点CPは任意の地点としてよい。
【0036】
以上、方向マークの表示の際に用いる、進行方向が変化する経路上の区間の曲率半径と、経路上の位置と、方向指示オブジェクト100の配置高さ、傾斜との関係について説明した。
【0037】
なお、図3では、進行方向が変化する経路上の区間が進行方向が右方向に変化する区間である場合について示したが、進行方向が変化する経路上の区間が進行方向が左方向に変化する区間である場合にも、図4に示すように同様に、区間の曲率半径と、経路上の位置と、方向指示オブジェクト100の配置高さと、方向指示オブジェクト100の傾きとの関係を設定している。
【0038】
なお、図4a2、a3、a4は、図4a1に示すように曲率半径rが比較的小さい場合の、上方配置区間内の複数地点についての方向指示オブジェクト100の配置高さHと傾きθの例示と、道程距離Dと配置高さHの関係と、道程距離Dと傾きθの関係を表している。また、図4b2、b3、b4は、図4b1に示すように曲率半径rが比較的大きい場合の、上方配置区間内の複数地点についての方向指示オブジェクト100の配置高さHと傾きθの例示と、道程距離Dと配置高さHの関係と、道程距離Dと傾きθの関係を表している。
【0039】
ただし、上述のように、方向指示オブジェクト100の傾きθは、進行方向が変化する経路上の区間が進行方向が左方向に変化する区間である場合には、上述した軸Jを経路の進行方向に見て反時計まわりに測った角度としている。
【0040】
さて、次に、ナビゲーションシステム2が行う進行方向表示処理について説明する。
図5に、この進行方向表示処理の手順を示す。
図示するようにナビゲーションシステム2は、進行方向表示処理において、まず、算出している現在位置と地図データから、設定されている経路上にある次に通過予定の旋回区間である次旋回区間を識別し、次旋回区間の曲率半径を地図データに基づいて算定する(ステップ502)。ここで、線旋回区間とは、進行方向が変化する経路上の区間とする。
【0041】
そして、算定した曲率半径が上述したしきい値Thrより小さいかどうかを調べ(ステップ504)、小さくない場合には、経路上の路面上に一定間隔で設定した地点を進行方向案内地点として、ヘッドアップディスプレイ1を用いて、ユーザから見て表示領域201内の位置に重なる進行方向案内地点の各々について、当該進行方向案内地点における経路進行方向を向けて傾き0で当該進行方向案内地点に配置した方向指示オブジェクト100をユーザ視点から見たようすを表す図形を、当該進行方向案内地点に重なる表示領域201内の位置に表示マークとして表示し(ステップ508)、ステップ502からの処理に戻る。
【0042】
一方、ステップ502で算定した曲率半径が上述したしきい値Thrより小さい場合には(ステップ504)、算出している現在位置と地図データから、次旋回区間の区間基準点CPから道程距離Th1手前の地点にユーザから見て重なる位置が表示領域201に進入したかどうかを調べ(ステップ506)、進入していない場合には、ステップ508に進んで、ヘッドアップディスプレイ1を用いて、方向マークを上述のように表示し、ステップ502からの処理に戻る。
【0043】
なお、次旋回区間の区間基準点CPとしては、次旋回区間周辺の、ユーザから見た経路の上下方向の範囲の上端が最も下方となる地点に自動車が位置しているときに、当該経路の上下方向の範囲の上端となる地点を設定する。
【0044】
一方、次旋回区間の区間基準点CPから道程距離Th1手前の地点にユーザから見て重なる位置が表示領域201に進入していれば(ステップ506)、次旋回区間の区間基準点CPから道程距離Th1手前の地点から距離Th2離れた地点までの区間の区間外の、前方の経路上の進行方向案内地点のうちの、ユーザから見て表示領域201内の位置に重なる進行方向案内地点の各々について、当該進行方向案内地点自身を当該進行方向案内地点に対する配置位置に設定すると共に、当該進行方向案内地点に対して傾き=0を設定する(ステップ510)。
【0045】
そして、次に、次旋回区間の区間基準点CPから道程距離Th1手前の地点から道程距離Th2離れた地点までの区間中の進行方向案内地点に対する配置位置と傾きを算定して設定する(ステップ512)。
【0046】
ここで、各進行方向案内地点に対する配置位置としては、進行方向案内地点から区間基準点CPまでの道程距離Dに対して上述のように設定されている配置高さH、進行方向案内地点より上方の位置を設定する。また、進行方向案内地点に対する傾きは、進行方向案内地点から区間基準点CPまでの道程距離Dに対して上述のように設定されている傾きθを設定する。ただし、傾きθは、次旋回区間が進行方向が右方向に変化する区間である場合には、配置位置を結んだ軸Jを経路の進行方向に見て時計まわりに測った角度とし、次旋回区間が進行方向が左方向に変化する区間である場合には、配置位置を結んだ軸Jを経路の進行方向に見て半時計まわりに測った角度とする。
【0047】
そして、ステップ510、512でユーザから見て表示領域201内の位置に重なる配置位置が設定された進行方向案内地点の各々について、当該進行方向案内地点における経路進行方向を向けて当該進行方向案内地点に対して設定された傾きで当該進行方向案内地点に対して設定された配置位置に配置した方向指示オブジェクト100をユーザ視点から見たようすを表す図形を、当該配置地点に重なる表示領域201内の位置に表示マークとして表示すると共に、影図形を表示する(ステップ514)。
【0048】
ここで、影図形とは、方向指示オブジェクト100の路面上の影を表す図形であり、図6に示すように、設定した配置位置APに配置された設定した傾きを有する方向指示オブジェクト100を下方の路面に垂直に投影して得られる形状を有するオブジェクトである影オブジェクト101を、ユーザ視点から見たようすを表す図形を影図形として、進行方向案内地点に重なる表示領域201内の位置に表示する。但し、影図形の、方向マークと重なる部分は表示しない。
【0049】
したがって、たとえば、図3a2、b2、図4a2、b2のように方向指示オブジェクト100が配置されている場合、各方向指示オブジェクト100に対する影オブジェクト101は各図に示すように設定される。
【0050】
図5に戻り、方向マークと影図形を表示したならば(ステップ514)、次旋回区間の区間基準点CPから道程距離Th2先の地点が、ユーザから見て表示領域201内から表示領域201外に逸脱するようになったかどうかを調べ(ステップ516)、逸脱してなければ、ステップ510からの処理に戻り、逸脱していればステップ502からの処理に戻る。
【0051】
以上、ナビゲーションシステム2が行う進行方向表示処理について説明した。
このような行方向表示処理によれば、図7aに示すように交差点を左折する経路が設定されている場合、自動車が交差点に接近するまでの間は、図2cに示すように、経路上の路面上の各地点における進行方向を表す複数の方向マーク300が、実空間上の当該方向マークが進行方向を表す路面上の地点に存在していると視認されるよう表示される。
【0052】
一方、自動車が交差点に接近してから交差点を通過するまでの間は、ヘッドアップディスプレイ1によって図7b1、b2、b3、b4に示すように、各時点において、経路上の路面上の各地点における進行方向を表す複数の方向マーク300が、実空間上の、当該方向マーク300が進行方向を表す地点の上空に存在していると視認されるように表示される。また、方向マーク300と共に、方向マーク300の進行方向を表す地点に存在している影と視認されるように影図形301が表示される。
【0053】
そして、交差点通過後は、図7b5に示すように、方向マーク300の表示は、実空間上の、当該方向マーク300が進行方向を表す路面上の地点に存在しているように視認される形態の表示に復帰する。
【0054】
ここで、各地点の進行方向を表す方向マーク300が存在していると視認される実空間上の位置は各時点において変化しない。したがって、同じ地点の進行方向を表す方向マーク300の表示の不連続性は発生しない。
【0055】
また、自動車が交差点に接近してから交差点を通過するまでの間の各地点の進行方向を表す方向マーク300が存在していると視認される実空間上の位置の高さは、経路の進行方向に向かって、路面の高さから徐々に大きくなった後に、路面の高さまで徐々に小さくなるので、各方向マーク300が存在していると視認される位置には連続性があり、方向マーク300の列によって表される経路に不連続性が発生することもない。
【0056】
よって、本実施形態によれば、不連続性のある方向マーク300の表示が発生することはない。
また、本実施形態では、各方向マーク300に対して、当該方向マーク300が進行方向を表す路面上の地点に存在していると視認されるように影図形201を表示しているので、ユーザは、当該影図形201によって、矢印が進行方向を表す路面上の地点を、よりを容易に把握できるようになる。
【0057】
また、配置位置がより上方となる方向指示オブジェクト100の傾きをより大きくしているので、上方に配置した方向指示オブジェクト100の三角形の面に対する視線方向の角度が過度に鋭角となってしまって、方向マーク300から進行方向が視認し難くなることもない。また、徐々に傾きが変化する方向指示オブジェクト100を表す方向マーク300の列によって、徐々に高さが変化する方向指示オブジェクト100を表す方向マーク300の列による進行方向の変化の提示を、違和感ない自然な表現によって行うことができる。
【0058】
また、図示するように、自動車が交差点に接近してから交差点を通過するまでの間の地点の進路方向を表す方向マーク300の表示領域201内での位置は、路面上の地点に重なる位置に方向マーク300を表示する場合よりも、より上方の位置となる。
【0059】
よって、交差点やその手前の地点において、交差点や交差点周辺の地点がユーザから見て重なる位置が表示領域201の下方となってしまう場合でも、当該地点の進行方向を案内する方向マーク300を表示することができる。
【0060】
なお、図7では、進行方向が変化する経路上の区間が交差点である場合について示したが、進行方向が変化する経路上の区間がカーブ等である場合も同様に、不連続な方向マークの表示が発生することはなく、当該区間や当該区間周辺の地点にユーザから見て重なる位置が表示領域201の下方となってしまう場合でも、当該地点の進行方向を案内する方向マーク300を表示することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態において用いる方向指示オブジェクト100としては、図8a、bに示すように、以上で示した三角形の方向指示オブジェクト100を上面とし、以上で示した影オブジェクト101を底辺とする柱の形状を有するオブジェクトを用いるようにしてもよい。このようにすることにより、ユーザは、方向マークが進行方向を表している経路上の地点をより容易に把握できるようになる。なお、この場合、影図形の表示は行わない。
【0062】
また、以上の実施形態では、進行方向が変化する経路上の区間の曲率半径rに応じて、道程距離Th1、道程距離Th2、傾きθを変化させるようにしたが、これらの一部もしくは全部を、曲率半径rに関わらずに固定的に設定するようにしてもよい。
【0063】
また、以上の実施形態におけるヘッドアップディスプレイ1としては、虚像の表示位置を自動車の前後方向に移動可能なヘッドアップディスプレイ1を用いるようにしてもよい。そして、この場合には、各方向マークの虚像の自動車の前後方向の位置を、できるだけ当該方向マークが表す方向指示オブジェクト100の配置位置に近い位置とするようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0064】
1…ヘッドアップディスプレイ、2…ナビゲーションシステム、3…入力装置、100…方向マーク、101…影図形、201…表示領域、300…方向マーク、301…影図形。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8