【解決手段】糸巻取機1は、ボビンBに糸Yを巻き取ってパッケージPを形成する複数の巻取ユニット2と、複数の巻取ユニット2のうちパッケージPが満巻となった巻取ユニット2から当該パッケージPを排出する玉揚装置43と、複数のボビンBを収容可能である収容部41と、を有し、複数の巻取ユニット2の配列方向に沿って走行可能に設けられた玉揚台車4と、玉揚台車4の収容部41に対してボビンBを供給する供給装置60と、玉揚台車4の収容部41に収容されているボビンBの収容本数と、パッケージPの排出を必要とする巻取ユニット2である作業ユニット2Aの台数とに基づいて、玉揚台車4の作業予定を生成する制御装置5aと、を備える。
前記制御装置は、前記供給装置から前記玉揚台車に対して前記ボビンが供給された後、前記玉揚台車が前記供給位置に停止している状態において、前記収容本数よりも前記作業ユニットの台数が多い場合、前記供給装置から最も離れた位置の前記作業ユニットから前記玉揚台車が作業を開始するように前記作業予定を生成する、請求項2に記載の糸巻取機。
前記制御装置は、前記供給装置から最も離れた位置の前記作業ユニットから前記供給装置に向かって、前記供給装置から離れた位置の前記作業ユニットから順に前記玉揚台車が作業を行うように前記作業予定を生成する、請求項3に記載の糸巻取機。
前記制御装置は、前記収容本数と、前記玉揚台車の現在位置に対して前記供給装置の位置とは前記配列方向において反対側の第1領域に存在する前記作業ユニットの台数と、前記玉揚台車の現在位置と前記供給装置との間の第2領域に存在する前記作業ユニットの台数と、に基づいて、前記玉揚台車の前記作業予定を生成する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の糸巻取機。
前記制御装置は、前記第1領域に存在する前記作業ユニットの台数が前記収容本数よりも多く、且つ、前記第2領域に存在する前記作業ユニットの台数が前記収容本数以上である場合、前記第2領域に存在すると共に前記玉揚台車の現在位置に最も近い位置の前記作業ユニットから前記玉揚台車が作業を行うように前記作業予定を生成する、請求項5に記載の糸巻取機。
前記制御装置は、前記玉揚台車が前記作業ユニットに対する作業位置に停止しているとき、又は、前記供給位置に停止しているときに前記作業予定を生成する、請求項2〜6のいずれか一項に記載の糸巻取機。
複数の前記巻取ユニットのそれぞれは、前記パッケージが満巻となった場合、前記パッケージの排出を要求する要求信号を出力する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の糸巻取機。
前記玉揚台車から排出された前記パッケージを搬送可能であると共に、前記パッケージを搬送する搬送状態と、前記パッケージの搬送を停止する停止状態と、に切り替え可能である搬送装置を備え、
前記制御装置は、前記搬送装置が前記搬送状態のときに、前記収容本数が最大収容本数未満である場合、前記供給装置から前記玉揚台車に対して前記ボビンを供給する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の糸巻取機。
前記供給装置は、前記収容本数が最大収容本数となるように、連続的に稼働して、前記玉揚台車に対して複数本の前記ボビンを供給する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の糸巻取機。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0021】
図1及び
図2に示されるように、紡績機(糸巻取機)1は、複数の紡績ユニット(巻取ユニット)2と、糸継台車3と、玉揚台車4と、第1エンドフレーム5Aと、第2エンドフレーム5Bと、ボビンストッカ(供給装置)60と、搬送装置70と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、一列に配列されている。各紡績ユニット2は、糸Yを生成してパッケージPに巻き取る。
【0022】
第1エンドフレーム5Aには、紡績ユニット2で発生した繊維屑及び糸屑等を回収する回収装置等が収容されている。第1エンドフレーム5Aは、複数の紡績ユニット2の配列方向(
図1及び
図2の左右方向)の一方の端部に配置されている。第2エンドフレーム5Bには、紡績機1に供給される圧縮空気(空気)の空気圧を調整して紡績機1の各部に空気を供給する空気供給部、及び紡績ユニット2の各部に動力を供給するための駆動モータ等が収容されている。第2エンドフレーム5Bは、複数の紡績ユニット2の配列方向の他方の端部に配置されている。第2エンドフレーム5Bには、機台制御装置(制御装置)5aと、表示画面5bと、入力キー5cと、が設けられている。
【0023】
機台制御装置5aは、紡績機1の各部を集中的に管理及び制御する。表示画面5bは、紡績ユニット2の設定内容及び/又は状態に関する情報等を表示することができる。オペレータが入力キー5cを用いて適宜の操作を行うことにより、紡績ユニット2の設定作業を行うことができる。
【0024】
各紡績ユニット2は、糸Yの走行方向において上流側から順に、ドラフト装置6と、空気紡績装置7と、糸監視装置8と、テンションセンサ9と、ユニットコントローラ10と、糸貯留装置11と、ワキシング装置12と、巻取装置13と、を備えている。ユニットコントローラ10は、所定数の紡績ユニット2ごとに設けられており、紡績ユニット2の動作を制御する。
【0025】
ドラフト装置6は、スライバSをドラフトする。空気紡績装置7は、ドラフト装置6でドラフトされた繊維束Fに旋回空気流によって撚りを与えて糸Yを生成する。糸貯留装置11は、空気紡績装置7と巻取装置13との間において糸Yを貯留し、糸Yの弛みを取る。ワキシング装置12は、糸貯留装置11と巻取装置13との間において、糸Yにワックスを付与する。巻取装置13は、糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。
【0026】
糸監視装置8は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yの情報を監視して、監視した情報に基づいて糸欠陥の有無を検出する。糸監視装置8は、糸欠陥を検出した場合、糸欠陥検出信号をユニットコントローラ10に送信する。テンションセンサ9は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yのテンションを測定し、テンション測定信号をユニットコントローラ10に送信する。糸監視装置8及び/又はテンションセンサ9の検出結果に基づきユニットコントローラ10が異常有りと判断した場合、紡績ユニット2において、糸Yが切断される。
【0027】
巻取装置13は、糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置13は、クレードルアーム21と、巻取ドラム22と、トラバースガイド23と、を有している。クレードルアーム21は、ボビンBを回転可能に支持する。クレードルアーム21は、支軸24によって揺動可能に支持されており、ボビンBの表面又はパッケージPの表面を巻取ドラム22の表面に適切な圧力で接触させる。各紡績ユニット2のトラバースガイド23は、複数の紡績ユニット2で共有されるシャフト(図示省略)に設けられている。
【0028】
紡績ユニット2は、パッケージPが満巻になった場合に要求信号を出力する。紡績ユニット2は、規定量の糸YがボビンBに巻き取られた場合に、パッケージPが満巻になったと判断して、要求信号を出力する。なお、紡績ユニット2は、パッケージPが満巻になる所定時間前に要求信号を出力してもよい。
【0029】
糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸Yが切断されたり、何らかの理由で糸Yが切れたりした場合、当該紡績ユニット2で糸継動作を行う。糸継台車3は、走行路R1上を走行する。走行路R1は、複数の紡績ユニット2の配列方向に沿って延在している。
【0030】
糸継台車3は、サクションパイプ31と、糸継装置32と、サクションマウス33と、を備えている。サクションパイプ31は、回動可能に支持されており、空気紡績装置7からの糸Yを捕捉して糸継装置32に案内する。サクションマウス33は、回動可能に支持されており、巻取装置13からの糸Yを捕捉して糸継装置32に案内する。糸継装置32は、案内された糸Y同士の糸継ぎを行う。糸継装置32は、圧縮空気を用いるスプライサ、種糸を用いるピーサー、又は、糸Yを機械的に継ぐノッター等である。
【0031】
玉揚台車4は、ある紡績ユニット2でパッケージPが満巻になった場合、パッケージPを排出し、新しいボビンBを当該紡績ユニット2に対して供給する。玉揚台車4は、ボビンストッカ60から供給されたボビンBを、クレードルアーム21に装着して糸Yの巻取りの準備を行うボビンセット動作と、満巻になったパッケージPをクレードルアーム21から取り外して排出する排出動作と、を行う。玉揚台車4は、一の紡績ユニット2において満巻のパッケージPが満巻きになると、機台制御装置5aからの制御信号により、走行路R2上を一の紡績ユニット2まで走行して停止し、排出動作及びボビンセット動作の両方の動作(玉揚作業)を行う。走行路R2は、複数の紡績ユニット2の配列方向に沿って(走行路R1と平行に)延在している。玉揚台車4は、ボビンストッカ60がボビンBを供給する供給位置SPに走行可能に設けられている。
【0032】
玉揚台車4は、収容部41と、ボビン装着機構42と、クレードル操作アーム(玉揚装置)43と、サクションパイプ44と、を備えている。
【0033】
収容部41は、ボビンストッカ60から供給されたボビンBを収容する。収容部41に収容されるボビンBの本数(以下、「収容本数」と称する)は、適宜設定される。本実施形態では、収容部41は、5本のボビンBを収容可能である。すなわち、収容部41におけるボビンBの最大収容本数は、5本である。
【0034】
ボビン装着機構42は、クレードルアーム21にボビンBを供給する。サクションパイプ44は、空気紡績装置7から送出される糸Yを吸引部にて吸引することで捕捉して、補捉した糸Yを巻取装置13まで案内する。ボビンBと糸Yとを同時に巻取装置13に案内してもよいし、ボビンBを先に供給した後で糸Yを案内してもよい。クレードル操作アーム43は、満巻になったパッケージPを巻取装置13から取り外すためにクレードルアーム21を開く操作、又は新たなボビンBをクレードルアーム21に装着するためにクレードルアーム21を閉じる操作を行う。クレードル操作アーム43によりクレードルアーム21が開かれると、パッケージPがクレードルアーム21から取り外されて、
図3に示されるように、搬送装置70に排出される。紡績ユニット2からのパッケージPの排出方向は、後から前に向かう方向である。玉揚台車4は、パッケージPと接触しながら、パッケージPをクレードルアーム21から搬送装置70まで案内する案内装置を備えていてもよい。
【0035】
玉揚台車4は、玉揚台車4自体の位置を取得して、機台制御装置5aに出力する。具体的には、玉揚台車4は、任意の紡績ユニット2に対して、当該紡績ユニット2の位置を示す位置情報を要求する信号を送信する。紡績ユニット2は、玉揚台車4からの要求に応じて、当該紡績ユニット2の位置情報を玉揚台車4に送信する。玉揚台車4は、位置情報を受け取ると、玉揚台車4自体の現在の基準位置を取得する。玉揚台車4は、複数の紡績ユニット2のそれぞれに設けられた検出体(例えば、マグネット、反射板等)を検出する検出部(例えば、ホール素子、光学センサ)を有している。複数の紡績ユニット2は、配列方向において、一定の間隔をあけて配置されている。そのため、玉揚台車4の検出部によって1つの検出体を検出後、別の検出体が検出された場合、玉揚台車4が一定距離を移動したことになる。玉揚台車4は、基準位置と検出部の検出結果(一定距離×検出数)とに基づいて、玉揚台車4自体の現在位置を取得する。玉揚台車4は、当該現在位置を示す情報を機台制御装置5aに出力する。
【0036】
図1及び
図2に示されるように、ボビンストッカ60は、複数の紡績ユニット2の配列方向の一方の端部(第1エンドフレーム5Aが配置されている端部)に配置されている。ボビンストッカ60は、ボビン保管部61と、ボビン取外部63と、ボビン方向転換機構65と、ボビン搬送機構67と、ボビン送出機構69と、を備えている。本実施形態では、ボビンBは、筒体として構成されている。ボビンBを正面視した場合、ボビンBは、軸方向において一端から他端に向けて広がる末広がり状に形成されている。以下、一端を小径端、他端を大径端ともいう。
【0037】
ボビン保管部61は、ボビンBを取り付け可能な棒状の部材であるペグ61Aを複数有している。ボビン保管部61は、ペグ61Aの長手方向と略直行する平面(垂直面)内を循環駆動される無端チェーン61Bを有している。複数のペグ61Aは、無端チェーン61Bに固定されている。したがって、無端チェーン61Bを一方向に連続的又は間欠的に循環させることにより、ペグ61Aに取り付けられたボビンBを、無端チェーン61Bの長手方向に沿って搬送することができる。
【0038】
ボビン保管部61におけるボビンBの搬送経路の途中には、ボビン取外部63が設けられている。ボビン取外部63は、上記空気供給源から供給される空気によって駆動されるエアシリンダ(図示省略)のロッドの先端部により構成される。ボビンBは、ボビン取外部63によって前方向に押し出されることにより、ペグ61Aから取り外される。
【0039】
ボビン方向転換機構65は、ボビン取外部63から受け渡されるボビンBの方向転換を行う。ボビン方向転換機構65は、ボビンBの大径端を上方に向けると共に、小径端を下方に向けた状態にてボビンBを支持する。ボビン方向転換機構65は、ボビンBの大径端がボビン搬送機構67における搬送方向下流側に向くように、ボビンBをボビン搬送機構67に受け渡す。
【0040】
ボビン搬送機構67は、ボビン方向転換機構65から排出されたボビンBをボビン送出機構69に受け渡す。ボビン搬送機構67は、例えば、図示しない駆動ローラによって駆動されるベルトコンベアである。
【0041】
ボビン送出機構69は、ボビン搬送機構67における搬送方向下流側に配置されている。ボビン送出機構69は、ボビン搬送機構67から受け渡されたボビンBを、玉揚台車4に受け渡す。ボビン送出機構69は、
図1において2点鎖線で示されるように、玉揚台車4がボビン送出機構69の供給位置SPに到達すると、玉揚台車4に対してボビンBを供給する。すなわち、本実施形態では、ボビンストッカ60からのボビンBの供給位置SPは、ボビン送出機構69の配置されている位置である。ボビン送出機構69の動作は、機台制御装置5aにより制御される。機台制御装置5aは、ボビン送出機構69から玉揚台車4に供給するボビンBの本数を設定してボビン送出機構69を制御する。
【0042】
図4に示されるように、ボビン送出機構69は、搬送ベルト69aと、駆動部69bと、を有している。ボビン送出機構69は、駆動部69bによって搬送ベルト69aが駆動されることにより、ボビンBを玉揚台車4に対して供給する。搬送ベルト69aには、複数の支持部69cが設けられている。支持部69cは、搬送ベルト69aの搬送方向において所定の間隔をあけて配置されている。ボビン送出機構69では、2つの支持部69cの間にボビンBが1本収容される。本実施形態では、ボビン送出機構69は、4本のボビンを保持可能である。
【0043】
ボビン送出機構69は、玉揚台車4に対して、複数本のボビンBを連続して供給可能である。具体的には、ボビン送出機構69は、駆動部69bの作動を停止させることなく搬送ベルト69aを駆動する。すなわち、ボビン送出機構69は、搬送ベルト69aを連続的に稼働させる。これにより、本実施形態では、ボビン送出機構69は、複数本(4本)のボビンBを玉揚台車4の収容部41に対して一気に供給できる。ボビン送出機構69は、5本のボビンBを収容可能な収容部41に対して5本のボビンBを連続して供給する場合、上述のように4本のボビンBを供給した後、ボビン搬送機構67から1本のボビンBの供給を受けて、当該ボビンBを収容部41に対して供給する。
【0044】
搬送装置70は、玉揚台車4により紡績ユニット2から排出されたパッケージPを搬送可能である。
図2及び
図3に示されるように、搬送装置70は、紡績ユニット2と玉揚台車4との間に設けられている。搬送装置70は、複数の紡績ユニット2の配列方向に沿って延在している。搬送装置70によるパッケージPの搬送方向は、紡績ユニット2からのパッケージPの排出方向と交差(直交)している。搬送装置70は、図示しない駆動ローラによって無端ベルトが駆動されるベルトコンベアである。
【0045】
搬送装置70の動作は、図略のスイッチにより制御される。具体的には、オペレータがスイッチを操作することにより、搬送状態と停止状態とが切り替えられる。オペレータがスイッチをオンに切り替えると搬送装置70が作動を開始して搬送状態となる。オペレータがスイッチをオフに切り替えると搬送装置70が搬送を停止して停止状態となる。紡績機1は、図略のスイッチの代わりに、入力キー5cの操作により、搬送装置70が搬送状態と停止状態とに切り替えられるようになっていてもよい。
【0046】
紡績機1は、搬送装置70が停止状態であるとき、各紡績ユニット2においてパッケージPの巻取りを行い、パッケージPが満巻になると、玉揚台車4によりパッケージPを搬送装置70に排出する。例えば、停止状態の搬送装置70上のパッケージPの個数が多くなると、オペレータは、入力キー5cを操作して、搬送装置70を搬送状態に切り替える。入力キー5cの近くに立っているオペレータは、搬送装置70により搬送されてくるパッケージPを手作業で回収する。この間も、パッケージPの巻取りを継続可能な紡績ユニット2では、パッケージPの巻取りが行われている。オペレータによるパッケージPの回収が終了すると、オペレータは、入力キー5cを操作し、搬送装置70を停止状態に切り替える。
【0047】
機台制御装置5aは、収容本数を取得する。具体的には、機台制御装置5aは、紡績ユニット2から満巻となったパッケージPの排出を要求する要求信号を受信し、要求信号に基づいて玉揚台車4により玉揚作業が行われると、収容部41のボビンBが1本減ったと判断する。機台制御装置5aは、最大収容本数から減少した(供給した)ボビンBの収容本数を差し引くことにより、収容部41内のボビンBの現在の収容本数を取得する。
【0048】
機台制御装置5aは、収容本数が1本以上且つ最大収容本数未満であるか否かを判断する。本実施形態では、機台制御装置5aは、収容本数が1本以上且つ5本未満であるか否かを判断する。機台制御装置5aは、搬送装置70が搬送状態のときに、ボビンBの収容本数が1本以上且つ最大収容本数未満であると判断した場合には、玉揚台車4をボビン送出機構69まで移動させる。機台制御装置5aは、収容本数が0本のときは、搬送装置70の状態に関わらずに、玉揚台車4をボビン送出機構69まで移動させる。機台制御装置5aは、玉揚台車4がボビン送出機構69の供給位置SPに到達すると、ボビン送出機構69から玉揚台車4に対してボビンBを供給させる。
【0049】
機台制御装置5aは、玉揚台車4の作業予定を生成する。以下の説明では、パッケージPの排出を必要とする紡績ユニット2を作業ユニット2Aと称する。作業予定には、玉揚台車4が玉揚作業を行う作業ユニット2Aを示す情報、玉揚台車4が玉揚作業を行う作業ユニット2Aの順序を示す情報、玉揚台車4の移動方向を示す情報、及び、玉揚台車4の移動距離を示す情報の少なくとも1つの情報等が含まれ得る。機台制御装置5aは、玉揚台車4の収容本数と、作業ユニット2A(
図6参照)の台数とに基づいて、玉揚台車4の作業予定を生成する。機台制御装置5aは、玉揚台車4が作業ユニット2Aに対する作業位置又は供給位置SPに停止しているときに作業予定を生成する。すなわち、機台制御装置5aは、玉揚台車4が走行していないときに作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0050】
機台制御装置5aによる作業予定の生成方法について、
図5を参照しながら、具体的に説明する。本実施形態では、
図5に示されるように、[ケース1]〜[ケース7]を一例に説明する。以下の説明においては、
図1及び
図2に示されるように、玉揚台車4の現在位置に対してボビンストッカ60の位置とは配列方向において反対側(本実施形態では第2エンドフレーム5B側)の領域を第1領域A1、玉揚台車4の現在位置とボビンストッカ60との間の領域(第1エンドフレーム5A側の領域)を第2領域A2と称する。以下の説明においては、機台制御装置5aが作業予定を生成し、作業予定に基づいて玉揚台車4が玉揚作業を実施している途中で、新たな作業ユニット2Aが発生しないことを前提とする。
【0051】
[ケース1]
機台制御装置5aは、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBが供給された後、玉揚台車4が供給位置SPに停止している状態(収容部41内のボビンBの本数が最大収容本数である状態)において、収容本数よりも作業ユニット2Aの台数が多い場合(収容本数<作業ユニット2Aの台数)、ボビンストッカ60から最も離れた位置の作業ユニットから玉揚台車4が作業を開始するように作業予定を生成する。より具体的には、機台制御装置5aは、ボビンストッカ60から最も離れた位置の作業ユニット2Aからボビンストッカ60に向かって、ボビンストッカ60から離れた位置の作業ユニット2Aから順に玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。
【0052】
図5に示されるように、例えば、収容本数が「5」、第1領域A1における作業ユニット2Aの台数(玉揚作業の要求数)が「6」、玉揚台車4が供給位置SPに停止している状態(第2領域A2における作業ユニット2Aの台数が「0」)であるとする。この場合、機台制御装置5aは、収容本数よりも作業ユニット2Aの台数が多い(5<6)ため、ボビンストッカ60から最も離れた位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を開始するように作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0053】
具体的には、機台制御装置5aは、
図6(a)に示されるボビンストッカ60の供給位置SPから、
図6(b)に示されるように、ボビンストッカ60から最も離れた位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。続いて、機台制御装置5aは、ボビンストッカ60から離れた位置の作業ユニット2Aからボビンストッカ60に向かって順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。機台制御装置5aは、玉揚台車4によって5台の作業ユニット2Aに対して玉揚作業を実施させると、玉揚台車4を供給位置SPまで移動させて、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを供給させる。
【0054】
続いて、機台制御装置5aは、
図6(c)に示されるように、残り1台の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。
【0055】
[ケース2]
機台制御装置5aは、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBが供給された後、玉揚台車4が供給位置SPに停止している状態において、収容本数と作業ユニット2Aの台数とが同数である場合(収容本数=作業ユニット2Aの台数)、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。
【0056】
図5に示されるように、例えば、収容本数が「5」、第1領域A1における作業ユニット2Aの台数が「5」、玉揚台車4が供給位置SPに停止している状態であるとする。この場合、機台制御装置5aは、収容本数と作業ユニット2Aの台数が同数(5=5)であるため、玉揚台車4(ボビンストッカ60)に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0057】
具体的には、機台制御装置5aは、
図7(a)に示されるボビンストッカ60の供給位置SPから、
図7(b)に示されるように、玉揚台車4(ボビンストッカ60)に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。続いて、機台制御装置5aは、残り4台の作業ユニット2Aのうち玉揚台車4に近い位置の作業ユニット2Aから順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。
【0058】
[ケース3]
機台制御装置5aは、収容本数と、第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数と、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数と、に基づいて、玉揚台車4の作業予定を生成する。機台制御装置5aは、第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数と同数であり(作業ユニット2Aの台数=収容本数)、且つ、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数以上(作業ユニット2Aの台数≧収容本数)である場合、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。
【0059】
図5に示されるように、例えば、収容本数が「3」、第1領域A1における作業ユニット2Aの台数が「3」、第2領域A2における作業ユニット2Aの台数が「3」であるとする。この場合、機台制御装置5aは、第1領域A1の作業ユニット2Aの台数と収容本数とが同数(3=3)であり、且つ、第2領域A2の作業ユニット2Aの台数が収容本数以上(3≦3)であるため、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0060】
具体的には、機台制御装置5aは、
図8(a)に示される玉揚台車4の現在位置から、
図8(b)に示されるように、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。続いて、機台制御装置5aは、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。機台制御装置5aは、ボビンストッカ60に近づく方向に向かって順に、作業ユニット2Aに対して玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。機台制御装置5aは、玉揚台車4によって3台の作業ユニット2Aに対して玉揚作業を実施させると、玉揚台車4を供給位置SPまで移動させて、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを供給させる。
【0061】
続いて、機台制御装置5aは、
図8(c)に示されるように、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2A(第1領域A1の作業ユニット2A)まで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。その後、機台制御装置5aは、残り2台の作業ユニット2Aに対して、玉揚台車4に近い位置の作業ユニット2Aから順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。
【0062】
[ケース4]
機台制御装置5aは、第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも多く(作業ユニット2Aの台数>収容本数)、且つ、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数以上(作業ユニット2Aの台数≧収容本数)である場合、第2領域A2に存在すると共に玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。
【0063】
図5に示されるように、例えば、収容本数が「2」、第1領域A1における作業ユニット2Aの台数が「3」、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が「2」であるとする。この場合、機台制御装置5aは、第1領域A1の作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも多く(3>2)、且つ、第2領域A2の作業ユニット2Aの台数が収容本数以上(2≧2)であるため、第2領域A2に存在すると共に玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0064】
具体的には、機台制御装置5aは、
図9(a)に示される玉揚台車4の位置から、
図9(b)に示されるように、第2領域A2において玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。続いて、機台制御装置5aは、第2領域A2に存在する残り1台の作業ユニット2Aに対して、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。機台制御装置5aは、玉揚台車4によって2台の作業ユニット2Aに対して玉揚作業を実施させると、玉揚台車4を供給位置SPまで移動させて、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを供給させる。
【0065】
続いて、機台制御装置5aは、
図9(c)に示されるように、玉揚台車4の位置に最も近い位置の作業ユニット2A(第1領域A1の作業ユニット2A)まで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。その後、機台制御装置5aは、残り2台の作業ユニット2Aに対して、玉揚台車4に近い位置の作業ユニット2Aから順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。
【0066】
[ケース5]
図5に示されるように、例えば、収容本数が「2」、第1領域A1における作業ユニット2Aの台数が「3」、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が「3」であるとする。この場合、機台制御装置5aは、第1領域A1の作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも多く(3>2)、且つ、第2領域A2の作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも多い(3>2)ため、第2領域A2に存在すると共に玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0067】
具体的には、機台制御装置5aは、
図10(a)に示される玉揚台車4の位置から、
図10(b)に示されるように、第2領域A2において玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。続いて、機台制御装置5aは、第2領域A2において玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aに対して、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。機台制御装置5aは、玉揚台車4によって2台の作業ユニット2Aに対して玉揚作業を実施させると、玉揚台車4を供給位置SPまで移動させて、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを供給させる。
【0068】
続いて、機台制御装置5aは、
図10(c)に示されるように、玉揚台車4の位置に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。その後、機台制御装置5aは、残り3台の作業ユニット2Aに対して、玉揚台車4に近い位置の作業ユニット2Aから順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。
【0069】
[ケース6]
機台制御装置5aは、第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも少なく(作業ユニット2Aの台数<収容本数)、且つ、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数以上(作業ユニット2Aの台数≧収容本数)である場合、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。
【0070】
図5に示されるように、例えば、収容本数が「3」、第1領域A1における作業ユニット2Aの台数が「2」、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が「3」であるとする。この場合、機台制御装置5aは、第1領域A1の作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも少なく(2<3)、且つ、第2領域A2の作業ユニット2Aの台数が収容本数以上(3≧3)であるため、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0071】
具体的には、機台制御装置5aは、
図11(a)に示される玉揚台車4の位置から、
図11(b)に示されるように、第1領域A1において玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。続いて、機台制御装置5aは、第1領域A1において玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aに対して、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。次に、機台制御装置5aは、第2領域A2において玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。そして、機台制御装置5aは、玉揚台車4を供給位置SPまで移動させて、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを供給させる。
【0072】
続いて、機台制御装置5aは、
図11(c)に示されるように、玉揚台車4(ボビンストッカ60)に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。その後、機台制御装置5aは、玉揚台車4に近い位置の作業ユニット2Aから順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。
【0073】
[ケース7]
機台制御装置5aは、第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも多く(作業ユニット2Aの台数>収容本数)、且つ、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも少ない(作業ユニット2Aの台数<収容本数)場合、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。
【0074】
図5に示されるように、例えば、収容本数が「3」、第1領域A1における作業ユニット2Aの台数が「4」、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が「2」であるとする。この場合、機台制御装置5aは、第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも多く(4>3)、且つ、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも少ない(2<3)場合、玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。機台制御装置5aは、生成した作業予定に基づいて、玉揚台車4の動作を制御する。
【0075】
具体的には、機台制御装置5aは、
図12(a)に示される玉揚台車4の位置から、
図12(b)に示されるように、第1領域A1において玉揚台車4に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。続いて、機台制御装置5aは、第2領域A2に存在する2台の作業ユニット2Aに対して、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。機台制御装置5aは、玉揚台車4によって2台の作業ユニット2Aに対して玉揚作業を実施させると、玉揚台車4を供給位置SPまで移動させて、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを供給させる。
【0076】
続いて、機台制御装置5aは、
図12(c)に示されるように、玉揚台車4(ボビンストッカ60)に最も近い位置の作業ユニット2Aまで玉揚台車4を移動させて、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を実施させる。その後、機台制御装置5aは、玉揚台車4に近い位置の作業ユニット2Aから順に、玉揚台車4に玉揚作業を実施させる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る紡績機1では、玉揚台車4の収容本数と作業ユニット2Aの台数とに基づいて玉揚台車4の作業予定を生成するため、収容本数に応じて玉揚台車4を適切に動作させることができる。これにより、紡績機1では、玉揚台車4を効率的に移動させることが可能となり、稼働効率の向上が図れる。例えば、紡績ユニット2が太番手の糸YをパッケージPに巻き取る場合、及び/又は紡績ユニット2が糸Yを生成する速度(紡績速度)が高速である場合、パッケージPが満巻きになるタイミングも早い。したがって、玉揚台車4を効率的に移動させて玉揚作業を実施することにより、紡績ユニット2が待機している時間も短縮することができる。その結果、紡績機1全体としての稼働効率が向上する。
【0078】
本実施形態に係る紡績機1では、玉揚台車4は、ボビンストッカ60がボビンBを供給する供給位置SPに走行可能に設けられている。ボビンストッカ60は、複数の紡績ユニット2の配列方向の一方の端部に配置されており、供給位置SPに停止している玉揚台車4に対してボビンBを供給する。この構成では、玉揚台車4の位置によっては、ボビンストッカ60まで移動するために時間を要することがある。紡績機1では、玉揚台車4を効率的に移動させることが可能であるため、ボビンストッカ60が上記配列方向の端部に配置されている構成においても、稼働効率の向上が図れる。
【0079】
本実施形態に係る紡績機1では、機台制御装置5aは、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBが供給された後、玉揚台車4が供給位置SPに停止している状態において、収容本数よりも作業ユニット2Aの台数が多い場合、ボビンストッカ60から最も離れた位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を開始するように作業予定を生成する。この構成では、ボビンストッカ60から最も離れた位置の作業ユニット2Aから作業を開始するため、当該作業ユニット2Aにおいて玉揚作業を行った後に玉揚台車4がボビンストッカ60に戻ってボビンBの供給を受けた場合であっても、当該作業ユニット2Aよりもボビンストッカ60から離れた位置に玉揚台車4が移動することがない。そのため、紡績機1では、玉揚台車4の移動が多くなることを回避できる。
【0080】
本実施形態に係る紡績機1では、機台制御装置5aは、ボビンストッカ60から最も離れた位置の作業ユニット2Aからボビンストッカ60に向かって、ボビンストッカ60から離れた位置の作業ユニット2Aから順に玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。この構成では、玉揚台車4は、ボビンストッカ60に近づく方向に移動しながら作業ユニット2Aに対して作業を行う。そのため、紡績機1では、玉揚台車4の移動が多くなることを回避できる。
【0081】
本実施形態に係る紡績機1では、機台制御装置5aは、収容本数と、玉揚台車4の現在位置に対してボビンストッカ60の位置とは配列方向において反対側の第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数と、玉揚台車4の現在の位置とボビンストッカ60との間の第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数と、に基づいて、玉揚台車4の作業予定を生成する。この構成では、玉揚台車4の状況(ボビンBの収容本数及び位置)に応じて、玉揚台車4の移動方向を適切に設定できる。
【0082】
本実施形態に係る紡績機1では、機台制御装置5aは、第1領域A1に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数よりも多く、且つ、第2領域A2に存在する作業ユニット2Aの台数が収容本数以上である場合、第2領域A2に存在すると共に玉揚台車4の現在位置に最も近い位置の作業ユニット2Aから玉揚台車4が作業を行うように作業予定を生成する。この構成では、玉揚台車4は、ボビンストッカ60に近づく方向に移動しながら作業ユニット2Aに対して作業を行う。そのため、紡績機1では、玉揚台車4がボビンストッカ60と作業ユニット2Aとの間で移動する移動距離を短くすることができる。
【0083】
本実施形態に係る紡績機1では、機台制御装置5aは、玉揚台車4が作業ユニット2Aに対する作業位置に停止しているとき、又は、ボビンストッカ60の供給位置SPに停止しているときに作業予定を生成する。この構成では、玉揚台車4の走行中に作業予定に変更が生じることを回避できる。これにより、紡績機1では、玉揚台車4の走行中に移動方向が変更になり、玉揚台車4に無駄な移動が生じることを回避できる。
【0084】
本実施形態に係る紡績機1では、複数の紡績ユニット2のそれぞれは、パッケージPが満巻となった場合、パッケージPの排出を要求する要求信号を出力する。この構成では、作業ユニット2Aの台数を正確に取得することができる。
【0085】
本実施形態に係る紡績機1は、玉揚台車4から排出されたパッケージPを搬送可能であると共に、パッケージPを搬送する搬送状態と、パッケージの搬送を停止する停止状態と、に切り替え可能である搬送装置70を備える。機台制御装置5aは、搬送装置70が搬送状態のときに、収容本数が最大収容本数未満である場合、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを供給する。紡績機1では、搬送装置70が搬送状態のときには、紡績ユニット2から排出されるパッケージPと搬送装置70が搬送しているパッケージPとが干渉する可能性があることから、玉揚台車4は玉揚作業を停止する。本実施形態に係る紡績機1では、搬送装置70が搬送状態のときに、玉揚台車4に対してボビンBを供給する。このように、紡績機1では、玉揚台車4が玉揚作業を行うことができないときに玉揚台車4に対してボビンを供給するため、玉揚作業を行うことができない時間を無駄にすることなく有効に活用することができる。したがって、紡績機1では、稼働効率の向上を図れる。
【0086】
本実施形態に係る紡績機1は、ボビンストッカ60は、収容本数が最大収容本数となるように、連続的に稼働して、玉揚台車4の収容部41に対してボビンBを供給する。この構成では、ボビンストッカ60から玉揚台車4に対してボビンBを迅速に供給することができる。したがって、紡績機1では、ボビンBの供給に要する時間の短縮を図れるため、稼働効率の向上を図れる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0088】
上記実施形態では、糸巻取機が紡績機1であり、巻取ユニットが紡績ユニット2である形態を一例に説明した。しかし、糸巻取機は、自動ワインダであってもよい。
【0089】
上記実施形態では、紡績ユニット2と搬送装置70との間に玉揚台車4が設けられている形態を一例に説明した。しかし、紡績ユニット2と玉揚台車4との間に搬送装置70が設けられていてもよい。
【0090】
上記実施形態では、ボビンストッカ60が、複数の紡績ユニット2の配列方向の一方の端部(第1エンドフレーム5Aが配置されている端部)に配置されている形態を一例に説明した。しかし、ボビンストッカ60は、複数の紡績ユニット2の配列方向の他方の端部(第2エンドフレーム5Bが配置されている端部)に配置されていてもよいし、配列方向の中央部に配置されていてもよい。ボビンストッカ60は、複数設けられていてもよい。この場合、紡績機1が、玉揚台車4を複数備えていてもよい。
【0091】
上記実施形態では、機台制御装置5aが、紡績ユニット2からの要求信号と、玉揚台車4による玉揚作業の実施回数とに基づいて、収容本数を取得する形態を一例に説明した。しかし、収容本数は、玉揚台車4に設けられた図略の検出手段の検出結果に基づいて取得されてもよい。
【0092】
上記実施形態では、機台制御装置5aが、玉揚台車4が作業ユニット2Aに対する作業位置に停止しているとき、又は、ボビンストッカ60の供給位置SPに停止しているときに作業予定を生成する形態を一例に説明した。しかし、機台制御装置5aは、玉揚台車4の走行中に作業予定を生成してもよい。
【0093】
上記実施形態では、機台制御装置5aが、玉揚台車4の作業予定を生成すると共に、玉揚台車4の動作を制御する形態を一例に説明した。しかし、作業予定を生成する装置と、玉揚台車4の動作を制御する装置とは、異なる装置であってもよい。
【0094】
上記実施形態では、搬送装置70がベルトコンベアである形態を一例に説明した。しかし、搬送装置70によるパッケージPの搬送方法はベルトコンベアに限定されず、搬送装置70は他の機構であってもよい。
【0095】
上記実施形態では、搬送装置70の搬送状態と停止状態とが、オペレータによるスイッチの操作によって切り替えられる形態を一例に説明した。しかし、搬送装置70の搬送状態と停止状態との切り替えは、機台制御装置5aによって自動で行われてもよい。例えば、機台制御装置5aは、玉揚台車4によって玉揚作業が所定回数行われた場合に、搬送装置70を作動させて搬送状態に切り替えてもよい。この場合、機台制御装置5aは、搬送装置70の搬送状態が所定時間経過した場合に、搬送装置70を停止させてもよい。
【0096】
上記実施形態では、ボビンストッカ60がボビン方向転換機構65を有する形態を一例に説明した。しかし、ボビンストッカ60には、ボビン方向転換機構65が設けられていなくてもよい。
【0097】
上記実施形態では、駆動部69bによって搬送ベルト69aが駆動させることにより、ボビン送出機構69がボビンBを玉揚台車4に供給する形態を一例に説明した。しかし、ボビン送出機構69によるボビンBの供給方法は当該構成に限定されず、ボビン送出機構69は他の機構を有していてもよい。ボビン送出機構69は、ボビンBの有無を検出するセンサを備えていてもよい。
【0098】
上記実施形態では、玉揚台車4の収容部41に5本のボビンBを収容できる形態を一例に説明した。しかし、収容本数は、適宜設定されればよい。
【0099】
上記実施形態では、紡績機1において、高さ方向の上側から供給された糸Yが下側で巻き取られるように各装置が配置されていた。しかし、紡績機では、下側から供給された糸が上側で巻き取られるように各装置が配置されていてもよい。
【0100】
上記実施形態では、第2エンドフレーム5Bに、表示画面5bと入力キー5cとが設けられている形態を一例に説明した。しかし、第2エンドフレーム5Bには、表示画面及び入力キーに代えて、タッチパネルディスプレイが設けられていてもよい。
【0101】
上記実施形態では、玉揚台車4が走行路R2上を走行する形態を一例に説明した。しかし、玉揚台車4は、レール上を走行する形態であってもよい。糸継台車3も、レール上を走行する形態であってもよい。
【0102】
図1では、紡績機1は、コーン形状のパッケージPを巻き取るように図示されているが、チーズ形状のパッケージPを巻き取ることも可能である。この場合、ボビンストッカ60は、チーズ形状のボビンBを玉揚台車4に対して供給する。
【0103】
紡績ユニット2では、糸貯留装置11が空気紡績装置7から糸Yを引き出す機能を有していたが、デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置7から糸Yが引き出されてもよい。デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置7から糸Yを引き出す場合、糸貯留装置11の代わりに、吸引空気流で糸Yの弛みを吸収するスラックチューブ又は機械的なコンペンセータ等を設けてもよい。
【0104】
糸Yの走行方向において、テンションセンサ9が糸監視装置8の上流側に配置されてもよい。ユニットコントローラ10は、紡績ユニット2ごとに設けられてもよい。紡績ユニット2において、ワキシング装置12、テンションセンサ9及び糸監視装置8は、省略されてもよい。糸Yにワックスを付与しない場合、ワキシング装置12は紡績ユニット2に設け、ワキシング装置12からワックスを取り外してもよい。
【0105】
各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。