【解決手段】エンジン用吸気ダクト1は、第一中心線Aに沿って延びる吸引部10と第二中心線Bに沿って延びるメインダクト部20とを有する。メインダクト部20は、合流部50と、送出口21と、合流部50から送出口21と反対側へ延びる延出部40を有する。延出部40の端面には反射壁41が設けられている。吸引部10は、第一中心線Aがメインダクト部20の下流側に向かうように、メインダクト部20と合流する。
前記延出部は、前記直線部における直線状の前記第二中心線の延長線に直交して前記吸引部の延出方向に対応する幅寸法が、前記直線部の前記第二中心線に直交して前記吸引部の延出方向に対応する幅寸法よりも大きい、請求項2に記載のエンジン用吸気ダクト。
前記第二中心線と交差する方向に延びて、向かい合う前記メインダクト部の内壁どうしを接続する補強部が、前記合流部と前記延出部の少なくとも一方に設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載のエンジン用吸気ダクト。
前記延出部の内壁が合流する前記吸引部の第一側壁の合流側端部に、前記吸引部の内部に向かって突出する突起が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のエンジン用吸気ダクト。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るエンジン用吸気ダクトの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
<第一実施形態>
まず、第一実施形態に係るエンジン用吸気ダクトについて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、第一実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1は、内燃機関であるエンジンへ空気を供給するために車両用エアクリーナ(図示略)に接続されるダクトである。エンジンには、エンジン用吸気ダクト1に取り込まれた外気が車両用エアクリーナを介して送り込まれる。エンジン用吸気ダクト1は、吸引口11から空気が取り入れられ、送出口21から空気が送り出される。
【0012】
このようなエンジン用吸気ダクト1は、例えば熱可塑性樹脂によるインジェクション成形やブロー成型で形成することができる。エンジン用吸気ダクト1の板厚はおよそ2.5mm程度とすることができる。エンジン用吸気ダクト1は、吸引部10と、メインダクト部20とを有する。
【0013】
吸引部10は、吸引口11を有し、メインダクト部20につながっている。吸引部10は、湾曲した第一中心線Aに沿って延びている。第一中心線Aは、吸引部10の内壁の中心線である。吸引部10の断面積が最小となる断面に現れる吸引部10の内側の領域の中心点を、吸引部10の延びる方向に連続的に結んで得られる線が第一中心線Aである。第一中心線Aがメインダクト部20の下流側に向かうように、吸引部10はメインダクト部20に合流している。そして本実施形態は、第一中心線Aの下流側(メインダクト部20との接合側)が、メインダクト部20の直線部90に向けて湾曲している。
【0014】
吸引部10は、エンジン用吸気ダクト1に空気を取り込む部位である。吸引部10はメインダクト部20に接続されている。以降の説明では、曲線状の第一中心線Aのうち吸引口11が設けられる側を上流、メインダクト部20との接続側を下流と定義する。なお、第一中心線Aが直線となるように吸引部10を構成してもよい。また、吸引部10の断面形状は小判(楕円)形状であるが、多角形状や円形状としてもよい。
【0015】
メインダクト部20は、吸引部10で取り込んだ空気を車両用エアクリーナに向けて送り出す部位である。図示の例では、メインダクト部20は角筒状であるが、円筒状としても楕円筒状としてもよい。メインダクト部20は、第二中心線Bに沿って延びている。第二中心線Bは、メインダクト部20の内壁の中心線である。メインダクト部20の断面積が最小となる断面に現れるメインダクト部20の内側の領域の中心点を、メインダクト部20の延びる方向に連続的に結んで得られる線が第二中心線Bである。
【0016】
メインダクト部20は、送出口21と、導出部30と、延出部40と、合流部50と、直線部90を有している。第二中心線Bに沿って延出部40と合流部50と直線部90とがこの順に並んでいる。延出部40は、直線部90における第二中心線Bの延長線に沿って延出している。合流部50は延出部40と直線部90の間に設けられている。
【0017】
導出部30は、第二中心線における一方の端部に設けられている。導出部30の第二中心線における一方の端部に送出口21が設けられている。送出口21は、エンジン用吸気ダクト1の空気流通方向の最も下流側の端部に設けられている。導出部30は、直線部90と送出口21とを接続する部位である。導出部30は、第二中心線Bが直線となる形状に形成してもよいし、第二中心線Bが曲線状となる形状に形成してもよい。
【0018】
メインダクト部20の第二中心線Bの他方側には、合流部50から送出口21と反対側へ延びる延出部40が設けられている。延出部40の第二中心線Bの端面に反射壁41が設けられている。反射壁41は、第二中心線Bと交差するように設けられている。反射壁41は、送出口21側へ音を反射するように設けられている。反射壁41は、メインダクト部20の第二中心線Bの他方側の開口を塞ぐように設けられている。反射壁41は、エンジン用吸気ダクト1内の車両用エアクリーナ側からの音を反射させてエンジン用吸気ダクト1内の音を下げるように機能する。
【0019】
合流部50は、直線部90と延出部40の間に設けられている。吸引部10は、合流部50と接続されている。メインダクト部20のうち、合流部50よりも第二中心線Bの他方側が延出部40とされ、一方側が直線部90とされている。
【0020】
直線部90は、合流部50から送出口21に向かって延びる部位である。直線部90は、その第二中心線Bが直線状となる形状に形成されている。直線部90は、車両用エアクリーナからエンジン用吸気ダクト1内に進入したエンジン騒音を延出部40に向けて進ませるように、その音の流れを整える部位である。
【0021】
本実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1は、車両用エアクリーナからの音を反射させる反射壁41が設けられている。このため、車両用エアクリーナから送出口21を介してエンジン用吸気ダクト1内へ進入し、メインダクト部20内を伝播するエンジン騒音は、この反射壁41で反射した後に、再びメインダクト部20内を送出口21側へ進む。すると、車両用エアクリーナからの音とこの反射音とが相互作用して、吸引口11側へ伝播する騒音が低減される。
【0022】
延出部40の長さ、すなわち吸引部10の接続位置から反射壁41までの距離を適切に設定することにより、車両用エアクリーナ側からの騒音のうち、特に車外騒音規制で低減が必要な周波数である800〜1,000Hzの騒音を効果的に低減できる。該距離は50〜75mmの範囲で設定されることが好ましい。
【0023】
図2は、
図1に支援したエンジン用吸気ダクト1の断面図である。
図2に示すように、直線部90における直線状の第二中心線Bのなす方向を、ダクト方向Cと呼ぶ。吸引部10は、メインダクト部20との接続側において、このダクト方向Cについて、第一中心線Aの下流側の点が上流側の点よりも常に送出口21に近い側に位置するように、曲がった形状とされている。例えば、第一中心線Aのある点A1と、点A1よりも第一中心線の上流側に位置する点A2を定義する。点A1からダクト方向Cに延びる仮想線D(直線部90における直線状の第二中心線の延長線)に向かって引いた垂線と仮想線Dとの交点を点D1と呼ぶ。点A2からダクト方向Cに延びる仮想線Dに向かって引いた垂線と仮想線Dとの交点を点D2と呼ぶ。すると、ダクト方向Cについて、点D1は点D2よりも反射壁41から遠い側に位置している。吸引部10は、第一中心線Aについてメインダクト部20との接続側において、常にこの関係が成立する曲がった形状とされている。これにより、吸引部10はメインダクト部20に滑らかに接続している。
【0024】
ここで、本発明者は、エンジン用吸気ダクトを設計するに際して、ヘルムホルツレゾネータなど様々な種類の騒音減衰機構を検討した。
【0025】
本発明者は先に特許文献2の吸気ダクトを提案している。この吸気ダクトは、車両用シートの表面から調温空気を送出させるシート空調システムに用いられる。しかしながら本発明者は当初、このようなタイプの吸気ダクトはエンジン用吸気ダクトには適していないと考えていた。このため、エンジン用吸気ダクト1を検討するに際しては、特許文献2とは別の構造の吸気ダクトを検討していた。検討の初期段階においては、特許文献2の吸気ダクトは圧力損失が大きく、エンジン用吸気ダクトには適していないと考えられていたからである。
【0026】
図3および
図4は、800Hzと1,000Hz対応のヘルムホルツレゾネータ付き吸気ダクトと特許文献2の吸気ダクトについて、騒音および圧力損失を比較したものである。
【0027】
図3は、吸引試験時の騒音測定の結果を示すグラフである。
図3の横軸は周波数[Hz]を、縦軸は音圧レベル[dB(A)]を示している。破線はヘルムホルツレゾネータ付き吸気ダクトの比較例1を、一点鎖線は特許文献2の吸気ダクトの比較例2を示している。
図4は、圧力損失を示すグラフである。
図4では、比較例1の圧力損失を100としたときの比較例2の圧力損失を示している。
【0028】
図3に示したように、500〜2,000Hzの周波数帯においては、比較例2は比較例1よりも音圧レベルが低くなっている。このため、騒音低減という観点だけであれば、特許文献2の構造を採用することも考えられる。
【0029】
しかし、
図4に示したように、比較例2は比較例1よりも21%以上も圧力損失が大きくなっている。吸気ダクトの圧力損失はダイレクトにエンジンの吸気効率に影響を及ぼす。このため、例えば吸気ダクトの圧力損失が20%も大きくなってしまうと、条件にもよるが、エンジンの出力は1.5PSも悪化してしまうと見積もられている。
【0030】
このように、特許文献2に提案した吸気ダクトは、500〜2,000Hzの周波数帯の騒音の低減は期待できるがエンジン出力を大幅に低下させてしまうというデメリットがある。そのため、特許文献2に提案した吸気ダクトは、吸気流量の少ないシート空調システムとしては採用できるものの、吸気流量の大きいエンジン用吸気ダクトとしての採用は難しいというのが本発明者の当初の考えであった。
【0031】
しかしながら、他の方式による吸気ダクトを様々に検討しても、静粛性と低圧力損失と小型化という3つの特性を同時に満たすことが難しいことが分かった。
【0032】
例えば、ヘルムホルツレゾネータ付き吸気ダクトやサイドブランチ付き吸気ダクトは、共鳴現象を利用して吸気ダクト内の気柱共鳴を乱すことでエンジン騒音を低減しようとするものである。エンジン騒音には、エンジン内の燃焼により発生した音が吸気ダクトで気柱共鳴を起こして吸気ダクトの吸引口から放出されるものがある。そこで、任意の周波数にチューニングされたレゾネータやサイドブランチを吸気ダクトに取り付けることで特定の周波数を下げることが出来る。
しかしながら、ヘルムホルツレゾネータやサイドブランチを用いた騒音の低減は、低減できる周波数帯が限られている。そのため、広い周波数帯の騒音を低減するためには、複数のヘルムホルツレゾネータやサイドブランチを設ける必要があり、吸気ダクトが大型化してしまう。
このように、ヘルムホルツレゾネータ付き吸気ダクトやサイドブランチ付き吸気ダクトでは、圧力損失は小さいものの、小型でかつ広い周波数帯の騒音を低減することは難しい。
【0033】
そこで本発明者は再び特許文献2の吸気ダクトをエンジン用吸気ダクトとして採用することを検討した。特許文献2の構造では、吸引部がメインダクト部に対して直角に取り付けられているために、この屈曲した部で圧力損失が高くなっているものと考えた。
【0034】
吸引部がメインダクト部に対して直角に取り付けられていると、吸引部の内壁に沿って流れてきた空気はメインダクト部の内部に送り出されるが、流れの一部は反射壁に向かった後に向きが反転して吸引部側に向かい、渦流が生じてしまう。このような渦流が生じると圧力損失が生じてしまう。また、この渦流により2,000〜8,000Hzの周波数を持つ風切り音が生じてしまう。これは
図3の比較例2からも確認できる。また、吸い込んだ空気の流れが渦を生じさせて延出部内に入り込むと、延出部の壁面を振動(共振)させて新たな騒音を生んでしまう。これは
図3の比較例2からも250〜350Hzあたりに確認できる。
【0035】
そこで本発明者は、圧力損失を低減するために、特許文献2の構成において、吸引部をメインダクト部に滑らかに接続する形状とすることを考えた。
【0036】
図5は、圧力損失を示すグラフである。
図5は、比較例1の圧力損失を100としたときの比較例2の圧力損失と、第一実施形態の圧力損失を示している。
図6は、吸引試験時の騒音測定の結果を示すグラフである。
図6の横軸は周波数[Hz]を、縦軸は音圧レベル[dB(A)]を示している。破線はヘルムホルツレゾネータ付き吸気ダクトの比較例1を、一点鎖線は特許文献2の比較例2を、実線は第一実施形態を示している。
【0037】
図5に示すように、第一実施形態のエンジン用吸気ダクト1によれば、比較例2に比べて圧力損失を20%近く低減でき、比較例1と同程度の圧力損失とすることができた。吸引部10をメインダクト部20に滑らかに接続する形状とすることにより、吸引部10の内壁に沿って流れてきた空気がその方向を維持したままメインダクト部20の内部に送り込まれ、反射壁41に向かう流れが抑制されるものと考えられる。これにより、渦流が生じにくくなり、圧力損失が低下するものと考えられる。
【0038】
しかも、これは本発明者も予期していなかったが、
図6に示すように、第一実施形態によれば、600〜2,000Hzを含む400〜8,000Hzの広い周波数帯において、比較例1や比較例2よりも音圧レベルを低減できることを見出した。
【0039】
圧力損失は、空気の流れやすさと相関する。上述したように、吸引部10をメインダクト部20に滑らかに接続する形状とすることにより、吸引口11から送出口21まで空気をよりきれいに流すことができ、圧力損失を低減できる。
【0040】
しかしながら、特許文献2や本実施形態では、吸引部10をメインダクト部20と直交するように流路を形成し、エンジンからの音が吸引口11へ伝搬することを妨げるとともに、エンジンからの音を反射壁で反射させてエンジンからの音と打ち消し合うことで騒音を低減するという思想の下で設計されている。このため、吸引部10をメインダクト部20に滑らかに接続する形状とする場合には、車両用エアクリーナからの音の一部が反射壁41に向かわずに吸引口11へ向かってしまう。すると、反射壁41からの反射音による騒音の抑制効果が低減しまうことが懸念された。さらに、車両用エアクリーナからの音の一部が直接吸引口11から外部へ向かい、騒音が増大してしまうことも懸念された。
【0041】
したがって、本発明者は、圧力損失を低減するために吸引部10をメインダクト部20に滑らかに接続する形状とした場合には騒音低減効果が低下してしまうと予想していた。しかしながら、その詳細なメカニズムは現在研究中であるが、その結果は予想とは異なっていた。
図6に示すように、第一実施形態によれば、400〜8,000Hzの広い周波数帯において、比較例1や比較例2よりもむしろ騒音を低減できることが確認された。
【0042】
このように、本実施形態のエンジン用吸気ダクト1は、小型でありながら、圧力損失の低減と、広い周波数帯の騒音の低減という課題を解決できる。
【0043】
なお、
図2に示すように、延出部40は、直線部90における第二中心線Bの延長線(仮想線D)に直交して、吸引部10のメインダクト部20からの延出方向に対応する幅寸法S1が、直線部90における第二中心線Bに直交して吸引部10のメインダクト部20からの延出方向に対応する幅寸法S2よりも大きくされている。そして、延出部40における第二中心線Bは、直線部90における第二中心線Bに対して、吸引部10の延出方向側へずれている。このような構成にすることにより、車両用エアクリーナからのエンジン騒音が吸引口11から漏れ出ることを低減でき、圧力損失を低減しつつ広い周波数帯の騒音を低減することができる。
【0044】
<第二実施形態>
次に、他の実施形態について説明する。
なお、上記第一実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図7は、本発明の第二実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1Aの断面図である。
図7に示すように、第二実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1Aは、延出部40の内壁が合流する吸引部10の内壁の合流側端部に、剥離促進用の突起60が設けられている。この突起60は、吸引部10の内部に向かって突出している。この突起60は、第一中心線Aに交差する方向へ延びる三角柱である。なお、突起60の断面形状としては、単なる三角形状に限らず、吸引部10を構成する側壁のうち延出部40の側壁が合流する第一側壁12をダクト内にへこませた三角形状等であってもよい。
【0046】
図8は、吸引試験時の騒音測定の結果を示すグラフである。
図8の横軸は周波数[Hz]を、縦軸は音圧レベル[dB(A)]を示している。破線は比較例1を、実線は第一実施形態を、二点鎖線は第二実施形態を示している。
図8に示すように、第二実施形態のエンジン用吸気ダクト1Aによれば、400〜800Hzの周波数帯において、第一実施形態よりも有利な音圧レベルとなった。
【0047】
図9は、圧力損失を示すグラフである。
図9は、比較例1の圧力損失を100としたときの、比較例2の圧力損失と、第一実施形態の圧力損失と、第二実施形態の圧力損失を示している。第二実施形態のエンジン用吸気ダクト1Aによれば、比較例1や第一実施形態よりも低い圧力損失となることが確認された。
【0048】
このように、第二実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1Aによれば、突起60によって圧力損失を低減させることができる。吸引部10からメインダクト部20へ向かう流れの一部が生じさせる渦流は、吸引部10の内壁に沿って流れる空気が、吸引部10から延出部40に連続する内壁に沿って流れ続けようとする現象により生じるものと考えられる。しかし、突起60によってこの内壁に沿って流れる空気が剥離して、内壁に沿って流れ続けようとする現象を抑制することができる。これにより、吸引部10の内壁からの空気の剥離を促進し、渦流の発生を抑制できる。これにより、圧力損失を低減し、広い周波数帯の騒音を低減できる。
【0049】
<第三実施形態>
図10は、本発明の第三実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1Bの断面図である。
図10に示すように、第三実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1Bは、略柱状の補強部70を有している。補強部70は、第二中心線Bと交差する方向に延びて、向かい合うメインダクト部20の内壁どうしを接続する。補強部70は、対向した広い平面を有する内壁同士を接続する。本実施形態では、補強部70は、第二中心線Bと交差するとともに吸引部10がメインダクト部20から延出する方向と交差する方向に対向する内壁を接続している。補強部70は、合流部50と延出部40の少なくとも一方に設けられている。補強部70は、第一中心線Aおよびその仮想延長線よりも、ダクト方向Cについて、反射壁41に近い位置に設けられていることが好ましい。さらに補強部70は、合流部50であって、第一側壁12の直線部90に向かう仮想延長線Eよりも、ダクト方向Cについて、反射壁41に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0050】
補強部70を設けることで、吸引部10から延出部40への空気の流れ込みを抑えることができる。また、補強部70によりメインダクト部20の側壁の振動を抑えることができ、側壁の振動に起因する騒音の発生を抑制できる。なお、メインダクト部20の内圧が変動すると、メインダクト部20の側壁のうち、第二中心線付近の部位が大きく変位しやすい。このため、このような変位を抑制するために、補強部70の少なくとも一部を延出部40における第二中心線Bまたはその延長線B’を通る位置に設けることが好ましい。
【0051】
<第四実施形態>
図11は、本発明の第四実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1Cの断面図である。
図11に示すように、第四実施形態に係るエンジン用吸気ダクト1Cは、整流フィン80を有している。整流フィン80は、吸引部10に設けられており、第一中心線Aに沿って延びるように複数設けられて並列に配置されている。整流フィン80は、第一中心線Aと交差する方向に延びて、吸引部10の向かい合う側壁どうしを接続している。整流フィン80によって吸引部10中の空気の流れを調整して、直線部90へ円滑に誘導できる。これにより、吸引部10から延出部40への流れを抑制し、圧力損失を低減しつつ広い周波数帯の騒音を低減できる。