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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-120197(P2019-120197A)
(43)【公開日】2019年7月22日
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20190701BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20190701BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/24 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-685(P2018-685)
(22)【出願日】2018年1月5日
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石松 貴洋
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA18
3G091AB05
3G091AB15
3G091BA01
3G091BA14
3G091CA17
3G091CA27
3G091HA46
(57)【要約】
【課題】排気中に還元剤を良好に拡散させる。
【解決手段】混合装置の接続部は、上流管と下流管を接続し、内燃機関からの排気が流下する。また、混合装置の注入部は、還元剤を注入するために接続部に設けられた孔部を有する。接続部は、湾曲経路に沿って延び、排気の流路として、上流領域と下流領域とを有する。上流領域は、上流管の端部をなす上流側開口に対面し、下流領域は、下流管の端部をなす下流側開口に対面する。そして、注入部の孔部は、接続部における、下流領域を覆う部分、又は、排気の流路における下流領域よりも下流側の領域を覆う部分に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流管から流下する内燃機関からの排気を、前記排気を浄化するための還元剤と混合した後、浄化装置が設けられた下流管に向けて流下させる混合装置であって、
前記混合装置は、
前記上流管と前記下流管とを接続する部位であって、前記上流管に繋がる上流壁面と、前記下流管に繋がり、前記上流壁面に対面する下流壁面と、前記上流壁面と前記下流壁面との間に位置する前記排気の流路と、を有する部位である接続部と、
前記還元剤を注入するために前記接続部に設けられた孔部を有する注入部と、
を備え、
前記接続部は、前記排気の流路として、
前記上流管の下流側の端部をなす上流側開口に対面する領域である上流領域と、
前記下流管の上流側の端部をなす下流側開口に対面する領域である下流領域と、
を有し、
前記上流側開口の中心を通過し、前記上流側開口が向かう向きに延びる線を、上流側中心線とし、
前記下流側開口の中心を通過し、前記下流側開口が向かう向きに延びる線を、下流側中心線とし、
前記上流側中心線と前記下流側中心線との両方に交差し、前記上流側中心線の側方に向かって広がる平面を、交差面とし、
前記接続部は、前記交差面上の湾曲経路に沿って延びるように構成され、
前記孔部は、前記接続部における、前記下流領域を覆う部分、又は、前記排気の流路における前記下流領域よりも下流側の領域を覆う部分に位置する
混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載された混合装置において、
前記接続部は、前記上流領域から前記下流領域にわたってU字状又はV字状に湾曲する
混合装置。
【請求項3】
請求項2に記載された混合装置において、
前記接続部は、前記上流壁面と前記下流壁面とに繋がっており、前記湾曲における内周側に位置する内周側側面と、前記湾曲における外周側に位置する外周側側面とを有する側壁を有し、
前記内周側側面のうち、最も前記外周側へ位置する部分を、ピーク部とし、
前記上流側開口の中心と前記下流側開口の中心とを結ぶ直線の向きを、並び方向とし、
前記並び方向へ広がり、且つ、前記上流側中心線を通る平面を基準面とし、
前記接続部は、前記ピーク部が、前記基準面上、又は、前記基準面よりも前記外周側に位置するよう構成されている
混合装置
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれ1項に記載された混合装置において、
前記接続部は、前記排気の流路として、前記下流領域の下流側に隣接する突出領域をさらに有し、
前記孔部は、前記接続部における前記突出領域を覆う部分に設けられる
混合装置
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載された混合装置において、
前記接続部は、前記上流領域から、前記上流側中心線に直交又は略直交する方向に延びる
混合装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載された混合装置において、
前記接続部は、前記下流領域から、前記下流側中心線に直交又は略直交する方向に延びる
混合装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載された混合装置において、
前記上流側中心線と前記下流側中心線とは、同一又は略同一方向に延びる
混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の内燃機関からの排気を浄化装置にて浄化するため、排気と還元剤とを混合させる混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿素SCRシステムにより排気を浄化するため、排気管の内部に還元剤を注入する技術が知られている。例えば、特許文献1の排気システムでは、排気管内部に排気の流下方向と交差するように還流板が配置され、還流板に沿って還元剤が噴射される。これにより、還流板の下流側に生じた渦により還元剤の液滴が小さくなり、還元剤の蒸発が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5791569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、還元剤の蒸発が促進されるものの、排気中に還元剤を良好に拡散させることはできなかった。
排気中に還元剤を良好に拡散させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、上流管から流下する内燃機関からの排気を、排気を浄化するための還元剤と混合した後、浄化装置が設けられた下流管に向けて流下させる混合装置である。混合装置は、接続部と、注入部と、を備える。接続部は、上流管と下流管とを接続する部位であり、上流壁面と、下流壁面と、排気の流路とを有する部位である。上流壁面は、上流管に繋がる。また、下流壁面は、下流管に繋がり、上流壁面に対面する。また、排気の流路は、上流壁面と下流壁面との間に位置する。また、注入部は、還元剤を注入するために接続部に設けられた孔部を有する。また、接続部は、排気の流路として、上流領域と、下流領域と、を有する。上流領域は、上流管の下流側の端部をなす上流側開口に対面する領域である。また、下流領域は、下流管の上流側の端部をなす下流側開口に対面する領域である。
【0006】
ここで、上流側開口の中心を通過し、上流側開口が向かう向きに延びる線を、上流側中心線とする。また、下流側開口の中心を通過し、下流側開口が向かう向きに延びる線を、下流側中心線とする。上流管及び下流管は、上流側中心線と下流側中心線とが、同一又は略同一方向に延び、且つ、上流側開口及び下流側開口を通過する排気が、同一又は略同一方向に流下するよう構成されている。また、上流側中心線と下流側中心線との両方に交差し、上流側中心線の側方に向かって広がる平面を、交差面とする。接続部は、交差面上の湾曲経路に沿って延びるように構成される。そして、孔部は、接続部における、下流領域を覆う部分、又は、排気の流路における下流領域よりも下流側の領域を覆う部分に位置する。
【0007】
このような構成によれば、上流管から接続部に流入した排気は、上流領域から流出する際に流下方向が大幅に変化し、排気の流れに偏りが生じる。そして、接続部は湾曲している。このため、上流領域から流出した排気は、接続部の湾曲に沿って流れることで、偏りを有した状態で旋回する向きに流れ、下流領域に流入する。その後、下流領域に流入した排気が下流側開口に向かう際に、再び排気の流下方向が大幅に変化し、排気の流れにさらに偏りが生じる。この時、排気の旋回流が維持されており、排気は、流下方向と交差する向きに旋回しながら下流管を流下する。
【0008】
つまり、注入部の孔部から注入された還元剤と接続部を流下する排気とを混合させる際、排気の流れに偏りを与えつつ、排気の旋回流を生じさせることが可能となる。そして、排気は、旋回しながら浄化装置に向かって流下する。
【0009】
さらに、孔部は、接続部において下流領域を覆う部分、又は、接続部において下流領域よりも下流側の領域を覆う部分に位置するため、接続部を流下する排気の旋回流に向けて還元剤が注入される。このため、流れに偏りが生じ、且つ、旋回流となった排気に対し還元剤が注入される。
【0010】
したがって、排気中に還元剤を良好に拡散させることができる。
本開示の一態様では、接続部は、上流領域から下流領域にわたってU字状又はV字状に湾曲してもよい。
【0011】
このような構成によれば、排気の流れが一方に偏り、排気の旋回を促すことができる。したがって、より一層、排気中に還元剤を良好に拡散させることができる。
本開示の一態様では、接続部は、側壁を有しても良い。側壁は、上流壁面と下流壁面とに繋がっており、湾曲における内周側に位置する内周側側面と、湾曲における外周側に位置する外周側側面とを有する。ここで、内周側側面のうち、最も外周側へ位置する部分をピーク部とする。また、上流側開口の中心と下流側開口の中心とを結ぶ直線の向きを、並び方向とする。また、並び方向へ広がり、且つ、上流側中心線を通る平面を基準面とする。接続部は、ピーク部が、基準面上、又は、基準面よりも外周側に位置するよう構成されていても良い。
【0012】
このような構成によれば、接続部に十分な曲率を持たせることができ、接続部において排気をより急激に旋回させることができる。これにより、より一層、排気中に還元剤を拡散させることができる。
【0013】
本開示の一態様は、接続部は、排気の流路として、下流領域の下流側に隣接する突出領域をさらに有してもよい。そして、孔部は、接続部における突出領域を覆う部分に設けられてもよい。
【0014】
このような構成によれば、注入部から注入された還元剤は、突出領域を覆う接続部の内壁に衝突し、これにより、還元剤の微細化が促進される。また、旋回流となった排気が突出領域に流入し、微細化された還元剤が旋回流となった排気に巻き込まれる。これにより、より一層、排気中に還元剤を拡散させることができる。
【0015】
本開示の一態様では、接続部は、上流領域から、上流側中心線に直交又は略直交する方向に延びても良い。
このような構成によれば、排気が上流領域から流出する際に、排気の流下方向を急激に変化させることができ、これにより、より良好に排気の流れに偏りが生じる。このため、より一層、排気中に還元剤を拡散させることができる。
【0016】
本開示の一態様では、接続部は、下流領域から、下流側中心線に直交又は略直交する方向に延びても良い。
このような構成によれば、下流領域にて排気が下流側出口に流入する際に、排気の流下方向を急激に変化させることができ、これにより、より良好に排気の流れに偏りが生じる。このため、より一層、排気中に還元剤を拡散させることができる。
【0017】
本開示の一態様では、上流側中心線と下流側中心線とは、同一又は略同一方向に延びても良い。
このような構成によれば、上流側開口及び下流側開口を通過する排気を、同一又は略同一方向に流下させることができる。このため、上流管から流下する排気と、下流管へ流下する排気とを、同様の方向へ流下させることができる。したがって、上流管から流下する排気と下流管へ流下する排気とが異なる方向に流下する場合に比べ、圧損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の混合装置、上流管、及び、下流管の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の混合装置、上流管、及び、下流管の側面図である。
図3図3は、第1実施形態の混合装置を上流側から見た正面図である。
図4図4は、第2実施形態の混合装置、上流管、及び、下流管の斜視図である。
図5図5は、第2実施形態の混合装置を上流側から見た正面図である。
図6図6は、第3実施形態の混合装置、上流管、及び、下流管の斜視図である。
図7図7は、第3実施形態の混合装置、上流管、及び、下流管の側面図である。
図8図8は、第4実施形態の混合装置、上流管、及び、下流管の斜視図である。
図9図9は、第4実施形態の混合装置を上流側から見た正面図である。
図10図10は、他の実施形態の混合装置、上流管、及び、下流管の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0020】
[第1実施形態]
[構成の説明]
図1,2,3の第1実施形態の混合装置1は、SCR触媒(Selective Catalytic Reduction)41を備える浄化装置40により、車両の内燃機関(一例として、ディーゼルエンジン)の排気中のNOxを還元する尿素SCRシステムの一部を構成する。混合装置1は、上流管3から流下する排気と、SCR触媒41により排気を浄化させるための還元剤(例えば、尿素水)とを混合する。そして、混合装置1は、還元剤と混合された排気を、浄化装置40が設けられた下流管4に向けて流下させる。上流管3、混合装置1、及び、下流管4は、車両の排気流路の一部を構成する。以後、排気の流下方向の上流側を単に上流側と記載し、該流下方向の下流側を単に下流側と記載する。
【0021】
第1実施形態では、上流管3における下流側の端部を含む終端区間31は、直線状に延び、円筒状となっている。そして、図3のように、上流管3の下流側の端部の開口である上流側開口30は、円形となっている。
【0022】
また、下流管4における上流側の端部を含む区間である始端区間42は、直線状に延び、円筒状となっている。そして、始端区間42の上流側の端部の開口である下流側開口43は、円形となっている。また、始端区間42の下流側の端部が、浄化装置40に接続されている。浄化装置40は、テーパ部40a及び本体部40bを有する。本体部40bは、SCR触媒41が配置され、始端区間42よりも径が大きい。また、テーパ部40aは、テーパ状であり、本体部40bと始端区間42とを接続する。
【0023】
なお、上流管3の終端区間31、及び/又は、下流管4の始端区間42は、例えば、曲がっていても良いし、断面が円形以外の管状の部材であっても良い。また、上流側開口30及び/又は下流側開口43は、円形に限らず、例えば、楕円形状であっても良いし、多角形状であっても良い。
【0024】
ここで、上流側開口30の中心を通過し、上流側開口30が向かう向きに延びる線を、上流側中心線30aとする。また、下流側開口43の中心を通過し、下流側開口43が向かう向きに延びる線を、下流側中心線43aとする。また、上流側開口30を含む平面により隔てられる2つの空間の一方を上流空間とし、他方を下流空間とする。上流空間は、上流側開口30の上流側に位置し、下流空間は、上流側開口30の下流側に位置する。
【0025】
本実施形態では、上流管3及び下流管4は、上流側開口30と下流側開口43とが対面せず、且つ、下流側開口43が下流空間に位置する状態で配置される。また、下流管4は、下流空間に位置する状態で配置される。さらに、上流管3及び下流管4は、上流側中心線30aの向きと下流側中心線43aの向きとが、同一又は略同一となるように配置される。また、上流側開口30及び下流側開口43を通過する排気は、同一又は略同一方向に流下する。
【0026】
混合装置1は、接続部10と、注入部2とを備える。
接続部10は、上流管3の上流側開口30と、下流管4の下流側開口43とを接続する継手状の部位である。図1,2,3のように、接続部10は、上流壁面10a、下流壁面10b、及び、側壁10c等から構成されている。上流壁面10aは、上流管3に繋がり、下流壁面10bは、下流管4に繋がる。また、側壁10cは、上流壁面10aと下流壁面10bとに繋がっている。換言すれば、接続部10は、上流壁面10a、下流壁面10b、及び、側壁10cに囲まれた排気の流路を構成する。また、接続部10は、排気の流路の一部として、上流領域12と、下流領域13と、突出領域15とを有する。
【0027】
上流領域12は、上流側開口30に対面する領域である。また、下流領域13は、下流側開口43に対面する領域である。上流領域12及び下流領域13は、円柱状の領域となっている。また、接続部10の排気の流路は、上流領域12と下流領域13とを繋ぐ部分を有する。接続部10の排気の流路における上流側開口30に沿った方向に延びる幅は、上流側開口30の径以上となっている。
【0028】
上流側中心線30aと下流側中心線43aとの両方に交差する平面であって、上流側中心線30aの側方に向かって広がる平面を、交差面11とする。本実施形態では、一例として、交差面11は、上流側中心線30aに直交又は略直交する。接続部10は、交差面11上の湾曲経路に沿って延びる。一例として、接続部10は、上流領域12から下流領域13にわたってU字状に湾曲している。より詳しくは、接続部10の排気の流路は、交差面11上の経路であって、その始端から終端にわたってU字状に延びる経路に沿って延びる。なお、接続部10は、上流領域12から下流領域13にわたってV字状に湾曲していていも良い。また、接続部10は、上流領域12の側面から第1側面方向16に延びる。また、接続部10は、下流領域13の側面から第2側面方向17に延びる。
【0029】
なお、上流領域12の側面とは、円柱状の領域である上流領域12のうち、上流側中心線30aに沿って延びる円柱の側面部分である。また、下流領域13の側面とは、円柱状の領域である下流領域13のうち、下流側中心線43aに沿って延びる円柱の側面部分である。
【0030】
また、第1側面方向16とは、上流側中心線30aから上流側中心線30aの側方に向かう方向である。第1実施形態では、一例として、第1側面方向16は、上流側中心線30aに直交又は略直交する方向となっている。換言すれば、第1側面方向16は、円形の上流側開口30の接線と同一又は略同一方向となる。しかし、第1側面方向16は、上流側又は下流側に傾いていても良い。
【0031】
また、第2側面方向17とは、下流側中心線43aから下流側中心線43aの側方に向かう方向である。第1実施形態では、一例として、第2側面方向17は、下流側中心線43aに直交又は略直交する方向となっている。換言すれば、第2側面方向17は、円形の下流側開口43の接線と同一又は略同一方向となる。しかし、第2側面方向17は、上流側又は下流側に傾いていても良い。
【0032】
また、突出領域15は、下流領域13の下流側に隣接する。より詳しくは、突出領域15は、上流壁面10a、下流壁面10b、及び、側壁10cに囲まれる領域であり、下流領域13から、第2側面方向17の反対方向に突出する領域である。
【0033】
上流壁面10aと下流壁面10bとは、平板状の部位であり、U字状に延びる。上流壁面10aは、接続部10の排気の流路を上流管3が位置する側から覆い、下流壁面10bは、接続部10の排気の流路を下流管4が位置する側から覆う。つまり、上流壁面10aと下流壁面10bとは、対面した状態で配置される。また、上流壁面10aと下流壁面10bとは、平行又は略平行に配置される。このため、上流壁面10aと下流壁面10bとは、上流側中心線30a及び下流側中心線43aに対し、直交又は略直交する向きに延びる。
【0034】
そして、上流壁面10aの一端には、上流側開口30に接続される入口が設けられる。また、上流壁面10aの他端には、後述する注入部2を構成する孔部20が設けられる。また、下流壁面10bは、下流側開口43に接続される出口が設けられる。また、下流壁面10bは、出口からさらに下流側に延びる。
【0035】
また、側壁10cは、上流壁面10aの縁部と下流壁面10bの縁部とを繋ぐ板状の部位である。側壁10cは、角を有した状態で、上流壁面10a及び下流壁面10bと繋がっている。つまり、接続部10は、上流管3及び下流管4の側方から見ると(以後、側面視)、上流管3及び下流管4に対し屈曲するように延びる。換言すれば、接続部10における排気の流路は、上流領域12と下流領域13とで屈曲している。
【0036】
また、上流壁面10a、下流壁面10b、及び、側壁10cにおける排気の流路に当接する部分を、内壁とする。
一方、注入部2は、還元剤を排気の流路に注入するためのインジェクタ(図示無し)が取り付けられる部位である。注入部2は、接続部10における突出領域15を覆う部分に設けられる。より詳しくは、注入部2は、上流壁面10aの突出領域15を覆う部分に設けられる。なお、注入部2は、下流壁面10b又は側壁10cの突出領域15を覆う部分に設けられてもよい。
【0037】
注入部2は、接続部10の排気の流路と外部とを繋ぐよう、接続部10に設けられた孔部20を有する。孔部20は、還元剤を外部から接続部10の排気の流路に注入するために用いられる。注入部2は、孔部20の縁部に沿って配置され、上流壁面10aから突出する円筒状の部位である。そして、インジェクタは、孔部20を介して接続部10の排気の流路に向けて還元剤を噴射する。これにより、還元剤が接続部10の排気の流路に注入される。
【0038】
注入部2の孔部20は、上流壁面10aの突出領域15を覆う部分に設けられる。また、孔部20の中心を通過し、孔部20の向きに延びる線を孔部の中心線としたとき、該中心線は、下流側中心線43aの向きと同一又は略同一の方向を向いている。しかし、孔部20は、例えば、下流壁面10b又は側壁10cの突出領域15を覆う部分に設けられても良い。
【0039】
ここで、上流側開口30の中心と下流側開口43の中心とを結ぶ直線の向きを、並び方向とする。また、並び方向に広がり、且つ、上流側中心線30aを含む平面を、基準面30bとする。
【0040】
また、側壁10cのうち、接続部10の湾曲の内周側に位置する部分を内周側側面10c−2とし、外周側に位置する部分を外周側側面10c−1とする。また、内周側側面10c−2のうち、最も、外周側に位置する部分を、ピーク部14とする。より詳しくは、接続部10における内周側側面10c−2に沿って排気の流下方向に延びる経路を、内周側経路とする。内周側経路において、最も外周側に位置する部分が、ピーク部14に含まれる。換言すれば、内周側経路において、内周側経路の両端を結ぶ直線から最も離れた位置が、ピーク部14に含まれる。
【0041】
第1実施形態では、接続部10は、ピーク部14が、基準面30b上に位置するよう構成されている。なお、接続部10は、ピーク部14が、基準面30bよりも外周側に位置するよう構成されていても良い。また、例えば、接続部10は、内周側側面10c−2の中間部分が、全て、基準面30b上、又は、基準面30bよりも外周側に位置するよう構成されていても良い。なお、中間部分とは、内周側側面10c−2における、接続部10の排気の流路の上流領域12と下流領域13とを繋ぐ部分を覆う部分である。
【0042】
[効果]
(1)第1実施形態の混合装置1によれば、上流管3から接続部10に流入した排気は、上流領域12から流出する際に流下方向が大幅に変化し、排気の流れに偏りが生じる。そして、接続部10は湾曲している。このため、上流領域12に流入した排気は、接続部10の湾曲に沿って流れることで、偏りを有した状態で旋回する向きに流れ、下流領域13に流入する。その後、下流領域13に流入した排気が下流側開口43に向かう際に、再び排気の流下方向が大幅に変化し、排気の流れにさらに偏りが生じる。この時、排気の旋回流が維持されており、排気は、流下方向と交差する向きに旋回しながら下流管4を流下する。
【0043】
つまり、注入部2の孔部20から注入された還元剤と接続部10を流下する排気とを混合させる際、排気の流れに偏りを与えつつ、排気の旋回流を生じさせることが可能となる。そして、排気は、旋回しながら浄化装置40に向かって流下する。これにより、排気中に還元剤を良好に拡散させることができる。
【0044】
また、上流側開口30及び下流側開口43を通過する排気は、同一又は略同一方向に流下する。このため、上流管3から流下する排気と、下流管4へ流下する排気とが、同様の方向へ流れる。したがって、上流管3から流下する排気と下流管4へ流下する排気とが、異なる方向へ流れるのに比べ、圧損を下げつつ、排気中に還元剤を良好に拡散させることができる。
【0045】
また、孔部20は、上流壁面10aにおける突出領域15を覆う部分に位置し、接続部10を流下する排気の旋回流に向けて還元剤が注入される。このため、流れに偏りが生じ、且つ、旋回流となった排気に対し還元剤が注入される。したがって、排気中に還元剤を良好に拡散させることができる。
【0046】
(2)また、接続部10は、上流領域12から下流領域13にわたってU字状に湾曲している。このため、排気の流れが一方に偏り、旋回を大きくすることができる。したがって、排気中に還元剤を良好に拡散させることができる。
【0047】
(3)また、接続部10は、ピーク部14が、基準面30bよりも外周側に位置するよう構成されている。このため、接続部10に十分な曲率を持たせることができ、排気をより急激に旋回させることができる。これにより、より一層、排気中に還元剤を拡散させることができる。
【0048】
(4)また、孔部20は、上流壁面10aにおける突出領域15を覆う部分に設けられる。このため、注入部2から注入された還元剤は、接続部10の内壁に衝突し、これにより、還元剤の微細化が促進される。また、旋回流となった排気は、還元剤の注入方向の側方から突出領域15に流入し、微細化された還元剤が旋回流となった排気に巻き込まれる。これにより、より一層、排気中に還元剤を拡散させることができる。
【0049】
(5)また、接続部10は、上流領域12から、上流側中心線30aに直交又は略直交する方向に延びると共に、下流領域13から、下流側中心線43aに直交又は略直交する方向に延びる。これにより、排気が上流領域から流出する際と、下流領域にて排気が下流側出口に流入する際とに、排気の流下方向を急激に変化させることができる。このため、より良好に排気の流れに偏りが生じ、その結果、より一層、排気中に還元剤を拡散させることができる。
【0050】
[第2実施形態]
図4,5における第2実施形態の混合装置1は、第1実施形態と同様の構成を有している。しかし、第2実施形態の混合装置1は、接続部10の構成と注入部2の位置とにおいて第1実施形態と相違する。
【0051】
すなわち、第2実施形態では、接続部10は、上流領域12と、下流領域13とを有し、突出領域15を有さない。このため、第2実施形態の接続部10の上流壁面10a及び下流壁面10bは、第1実施形態と同様にU字状に延びるものの、長さが第1実施形態よりも短くなっている。また、下流壁面10bの他端に、下流側開口43に接続される出口が設けられる。
【0052】
また、第2実施形態では、注入部2は、接続部10における下流領域13を覆う部分に設けられる。より詳しくは、注入部2の孔部20は、接続部10の上流壁面10aにおける下流領域13を覆う部分に設けられる。孔部20は、下流側開口43に対面し、孔部20の中心を通過し、孔部20の向きに延びる線を孔部の中心線としたとき、該中心線は、下流側中心線43aの向きと同一又は略同一の方向を向いている。しかし、孔部20は、例えば、接続部10の側壁10cにおける下流領域13を覆う部分に設けられても良い。
【0053】
[効果]
第2実施形態の混合装置1においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、接続部10は、第1実施形態と同様にU字状に延びるものの、長さが第1実施形態よりも短くなっているため、インジェクタの配置に伴うレイアウトの最適化ができる。
【0054】
[第3実施形態]
図6,7における第3実施形態の混合装置1は、第2実施形態と同様の構成を有している。しかし、第3実施形態の混合装置1は、上流側中心線30a及び下流側中心線43aに対する接続部10の向きが、第2実施形態と相違する。
【0055】
すなわち、第3実施形態においても、接続部10は、上流領域12から第1側面方向16に延びると共に、下流領域13から第2側面方向17に延びる。しかし、第2実施形態では、第1側面方向16は、上流側中心線30aに直交又は略直交する方向となっているが、第3実施形態では、第1側面方向16は、上流側中心線30aに直交する線に対し、X°下流側に傾いた方向となっている。換言すれば、接続部10は、上流側中心線30aに対しX°下流側に傾いた交差面11上の湾曲経路に沿って延びる。また、第2実施形態では、第2側面方向17は、下流側中心線43aに直交又は略直交する方向となっているが、第3実施形態では、第2側面方向17は、下流側中心線43aに直交する線に対し、Y°上流側に傾いた方向となっている。
【0056】
なお、X°及びY°は、予め定められた角度であり、X°とY°は、同一又は略同一の角度であっても良い。また、第1側面方向16及び第2側面方向17のうちの一方のみが、第2実施形態と異なる方向となっていても良い。
【0057】
このため、第3実施形態では、接続部10の上流壁面10a及び下流壁面10bは、上流側中心線30aに直交する線に対しX°下流側に傾いた状態となる。また、上流壁面10a及び下流壁面10bは、下流側中心線43aに直交する線に対し、Y°上流側に傾いた状態となる。
【0058】
また、第3実施形態の接続部10は、傾きを形成するため、入口接続部10eと出口接続部10fとを有する。入口接続部10eは、上流壁面10aの一端から突出する円筒状の部位である。入口接続部10eの一端をなす開口が、上流側開口30に接続される。また、出口接続部10fは、下流壁面10bの他端から突出する円筒状の部位である。出口接続部10fの一端をなす開口が、下流側開口43に接続される。
【0059】
[効果]
第3実施形態の混合装置1においても、第1,第2実施形態と同様の効果が得られる。
また、接続部10が傾いているため、排気が接続部10を流下する際の圧損を抑制できる。
【0060】
[第4実施形態]
図8,9における第4実施形態の混合装置1は、第2実施形態と同様の構成を有している。しかし、第4実施形態の混合装置1は、接続部10の形状が、第2実施形態と相違する。
【0061】
第4実施形態では、接続部10は、上流領域12から下流領域13にわたってV字状に湾曲している。より詳しくは、接続部10の外周側側面10c−1は、V字状に湾曲した部分を含み、内周側側面10c−2の上述した中間部分は、直線状に延びる。また、接続部10の排気の流路は、上流側開口30に沿った幅が、上流側開口30の径よりも狭い部分を有する。
【0062】
また、接続部10の内周側側面10c−2の中間部分は、基準面30bに沿って延びる。また、接続部10のピーク部14は、基準面30b上に位置する。なお、ピーク部14は、基準面30bよりも外周側に位置しても良い。
【0063】
このため、第4実施形態の接続部10の上流壁面10a及び下流壁面10bは、V字状に湾曲している。また、上流壁面10a及び下流壁面10bの縁部における、内周側側面10c−2の中間部分に接する部分は、直線状である。また、上流壁面10a及び下流壁面10bの縁部における、接続部10の外周側側面10c−1に接する部分は、V字状に湾曲している。
【0064】
[効果]
第4実施形態の混合装置1においても、第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。
また、接続部10の排気の流路には、上流側開口30に沿った幅が、上流側開口30の径よりも狭い部分が設けられている。このため、接続部10を流下する排気の流速を早めることができ、より一層、排気中に還元剤を良好に拡散させることができる。
【0065】
[他の実施形態]
(1)第1〜第4実施形態において、接続部10は、側面視すると、上流領域12と下流領域13とにおいて屈曲している。しかし、接続部10は、側面視した際、上流領域12と下流領域13との双方又は一方にて湾曲していていも良い。具体的には、例えば、図10のように、接続部10は、側面視した際、上流領域12と下流領域13との双方で湾曲していていも良い。このような場合であっても、同様の効果が得られる。
【0066】
(2)第1〜第4実施形態では、混合装置1、上流管3、及び、下流管4は、上流側中心線30aの向きと下流側中心線43aの向きとが、同一又は略同一となるよう構成されている。しかし、混合装置1、上流管3、及び、下流管4は、上流側中心線30aの向きと下流側中心線43aの向きとが異なるよう構成されていても良い。また、上流管3の終端区間31は、上流側中心線30aの向きに延びていても良いし、これとは異なる向きに延びていても良い。また、下流管4の始端区間42は、下流側中心線43aの向きに延びていても良いし、これとは異なる向きに延びていても良い。
【0067】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…混合装置、2…注入部、3…上流管、4…下流管、10…接続部、10a…上流壁面、10b…下流壁面、10c…側壁、10c−1…外周側側面、10c−2…内周側側面、11…交差面、12…上流領域、13…下流領域、14…ピーク部、15…突出領域、20…孔部、30…上流側開口、30a…上流側中心線、30b…基準面、40…浄化装置、43…下流側開口、43a…下流側中心線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10