特開2019-120250(P2019-120250A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-120250(P2019-120250A)
(43)【公開日】2019年7月22日
(54)【発明の名称】高圧燃料ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/44 20060101AFI20190701BHJP
   F02M 59/02 20060101ALI20190701BHJP
   F02M 59/14 20060101ALI20190701BHJP
【FI】
   F02M59/44 E
   F02M59/44 P
   F02M59/02
   F02M59/14
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-230(P2019-230)
(22)【出願日】2019年1月4日
(31)【優先権主張番号】10 2018 200 083.2
(32)【優先日】2018年1月4日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユリィ ミハイロフ
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴズ クアト
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB02
3G066AD01
3G066BA29
3G066BA40
3G066CA03
3G066CE22
3G066CE27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高圧燃料ポンプにおいて、低圧領域における圧力脈動によって発生する振動や騒音を抑制する。
【解決手段】本発明は、高圧燃料ポンプ(10)に関し、低圧領域(20)を備え、低圧領域(20)は、容積(30)を変化させるために、静止位置から変位可能なシール要素(28)により画定されており、調整可能な調整要素(38)が、シール要素(28)と相互作用して、低圧領域(20)内の容積(30)を必要に応じて調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃料噴射系内の燃料に高圧を加える高圧燃料ポンプ(10)であって、
前記高圧燃料ポンプ(10)の圧力室(14)に燃料を供給するための低圧領域(20)であって、該低圧領域(20)は、可変容積(30)を有し、かつ前記高圧燃料ポンプ(10)の剛体のハウジング(12)と、周囲(32)に対して前記低圧領域(20)をシールする、前記低圧領域(20)内の容積(30)を変化させるために静止位置から変位可能なシール要素(28)とにより画定されている、低圧領域(20)と、
調整可能な調整要素(38)であって、該調整要素(38)は、前記シール要素(28)を変位させるために前記シール要素(28)と相互作用して、前記低圧領域(20)内の前記容積(30)を必要に応じて調整する、調整要素(38)と、
を備える、高圧燃料ポンプ(10)。
【請求項2】
前記調整要素(38)は、該調整要素(38)の作動時に前記低圧領域(20)の前記容積(30)を拡大するように配置されていることを特徴とする、請求項1記載の高圧燃料ポンプ(10)。
【請求項3】
前記シール要素(28)は、プレート状の要素として構成されていて、かつ前記ハウジング(12)に取り付けられており、前記シール要素(28)は、弾性的に変形可能なダイヤフラム(34)として構成されている、または、前記シール要素(28)は、剛体のプレート(56)として構成されており、該プレート(56)は、弾性的な掛止要素(58)を介して前記ハウジング(12)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の高圧燃料ポンプ(10)。
【請求項4】
前記調整要素(38)は、電気的に作動可能なアクチュエータ(40)として、特に電磁アクチュエータ(42)として、またはピエゾアクチュエータ(44)として構成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の高圧燃料ポンプ(10)。
【請求項5】
前記アクチュエータ(40)と前記シール要素(28)との間に、前記アクチュエータ(40)のストロークを拡大するためのレバー要素(46)が配置されていることを特徴とする、請求項4記載の高圧燃料ポンプ(10)。
【請求項6】
前記調整要素(38)は、制御装置(48)と接続されており、該制御装置(48)は、前記高圧燃料ポンプ(10)の運転点(B)に依存して、前記シール要素(28)の変位パラメータ、特に前記調整要素(38)の作動時点および/または前記調整要素(38)の作動周波数および/または前記調整要素(38)のストロークを調整することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の高圧燃料ポンプ(10)。
【請求項7】
前記低圧領域(20)内の圧力を検出する、前記制御装置(48)と通信可能なセンサ(50)が設けられている、かつ/または、前記制御装置(48)は、前記高圧燃料ポンプ(10)の運転点(B)に依存して変位パラメータを算出するように構成されている、かつ/または、前記制御装置(48)に、前記高圧燃料ポンプ(10)の運転点(B)に予め設定された変位パラメータを対応付ける特性マップ(54)が格納されていることを特徴とする、請求項6記載の高圧燃料ポンプ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料噴射系内の燃料に高圧を加える高圧燃料ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧燃料ポンプは、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射系内で、燃料に高圧を加えるために使用され、このとき圧力は、たとえばガソリン内燃機関では150bar〜400barの範囲内にあり、ディーゼル内燃機関では1500bar〜2500barの範囲内にある。その時々の燃料において発生させることができる圧力が高くなるほど、燃焼室における燃料の燃焼中に発生するエミッションがより減少し、このことは特に、エミッションの低減がますます強く所望されるという背景のもとでは好ましいことである。
【0003】
その時々の燃料において高圧を得ることができるように、高圧燃料ポンプは、通常はピストンポンプとして構成されており、この場合、ポンプピストンは、並進移動を行い、その際に燃料を周期的に圧縮および膨張させる。したがって、そのようなピストンポンプの不均一な圧送により、高圧燃料ポンプの低圧領域における体積流量に変動が生じ、これは燃料噴射系全体における圧力変動につながる。このような変動により、高圧燃料ポンプにおいて充填損失が生じるおそれがあり、これにより、燃焼室内で必要な燃料量の正確な調量を保証することができなくなる。さらに、生じる圧力脈動により、ポンプ構成要素およびたとえば高圧燃料ポンプへの供給管路に振動が励起され、このような振動は、望ましくない騒音を引き起こし、または最悪の場合、様々な構成部材の損傷をも引き起こすおそれがある。
【0004】
したがって、通常は高圧燃料ポンプの低圧領域に減衰器が設けられ、この減衰器は、液圧アキュムレータとして作動し、減衰器は、体積流量の変動を補整し、したがって、生じる圧力脈動を低減する。この目的のために、ガス容積を燃料から分離する、たとえば変形可能な要素が使用される。高圧燃料ポンプの低圧領域内の圧力が上昇すると、この要素が変形し、その際、たとえばガス容積は圧縮され、余剰の液体の燃料のためのスペースが形成される。その後の時点で圧力が再び低下すると、ガスは再び膨張し、したがって貯えられた液体の燃料は再び解放される。
【0005】
これまで、変形可能な要素としていわゆるダンパカプセルを使用することが知られている。ダンプカプセルは、たいていは2つの部分ダイヤフラムから構成されており、部分ダイヤフラムにガスが充填されていて、部分ダイヤフラムは縁で溶接されている。これらのダンパカプセルは、中に含まれるガスが圧縮されることにより変形可能であり、そうして圧力脈動を受動的に減衰する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、改善された高圧燃料ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成の組み合わせを有する高圧燃料ポンプによって解決される。
【0008】
本発明の好適な別の形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
内燃機関の燃料噴射系内の燃料に高圧を加える高圧燃料ポンプは、高圧燃料ポンプの圧力室に燃料を供給するための低圧領域を備え、この低圧領域は、可変容積を有し、かつ高圧燃料ポンプの剛体のハウジングと、周囲に対して低圧領域をシールする、低圧領域内の容積を変化させるために静止位置から変位可能なシール要素とにより画定されている。さらに、高圧燃料ポンプは、調整可能な調整要素を備え、この調整要素は、シール要素を変位させるためにシール要素と相互作用して、低圧領域内の容積を必要に応じて調整する。
【0010】
したがって、その教示は、これまでに知られた受動的なダンパカプセルに代わり、容積変化または容積補整を、能動的に作動可能な機構を用いて実現することにある。
【0011】
好適には、調整要素は、調整要素の作動時に低圧領域の容積を拡大するように配置されている。これにより、低圧領域内の圧力脈動を伴う容積の拡大を生じさせる補整が提供される。
【0012】
低圧領域は、単に剛体のハウジングと変位可能なシール要素とにより画定されるのではなく、低圧領域を形成する、たとえば弁要素および供給ポートなどのさらに別の要素が存在する。
【0013】
好適には、シール要素は、プレート状の要素として構成されていて、かつハウジングに取り付けられており、考えられる1つの形態では、シール要素は、弾性的に変形可能なダイヤフラムとして構成されている。代替的に、シール要素は、剛体のプレートとして構成されており、プレートは、弾性的な掛止要素を介してハウジングに取り付けられていてもよい。したがって、高圧燃料ポンプの低圧領域は、変形可能な要素により、または変形可能な要素と結合された剛体の要素により、周囲に対してシールされていてよい。
【0014】
好適には、調整要素は、電気的に作動可能なアクチュエータとして、特に電磁アクチュエータとしてまたはピエゾアクチュエータとして構成されている。したがって、容積変化または容積補整を、好適には電気的に作動可能な機構を用いて実現することができる。この場合、電磁的に動作する弁の使用だけではなくピエゾアクチュエータの使用も考えられる。ピエゾアクチュエータの利点は、極めて短い切換時間にある。つまり、このアクチュエータは、極めて迅速に反応して、ひいては所定の時間内でより多く作動または駆動することができる。
【0015】
たとえばピエゾアクチュエータとして調整要素を相応に設計すると、容積変化または容積補整を極めて短時間で実現することができる。たとえば、ピエゾアクチュエータは、相応の電圧を印加すると、極めて高い力をシール要素に及ぼすことができる。
【0016】
好適には、シール要素は、アクチュエータの調整軸線に沿って変位される。この場合、好適には、アクチュエータは、作動状態で、シール要素の中心領域を押圧し、これによりシール要素を変位するように、配置されている。これにより、アクチュエータは、たとえば周囲側からダイヤフラムまたは剛体のプレートへストロークを及ぼし、これによりダイヤフラムを弾性的に変形するか、または剛体のプレートを移動させ、ひいては液圧容積を変化させることができる。代替的に、アクチュエータが低圧領域側からダイヤフラムまたはプレートを押圧し、これにより液圧容積を的確に変化させることも考えられる。
【0017】
考えられる1つの実施の形態では、調整要素は、シール要素と固く結合されており、たとえば収縮により張力をシール要素に及ぼし、これによりシール要素を変位させることができる。
【0018】
シール要素と調整要素との組み合わせは、高圧燃料ポンプの運転によりポンプストローク時に引き起こされる圧力脈動を補整するだけではなく、高圧燃料ポンプの運転時の吸込み段階の間にピストンチャンバへの十分な充填を保証するためにも使用することができる。これは、通常は、十分に高い前搬送圧によって確保される。調整要素を用いて、吸込み段階中の的確な時点で、圧力室の充填を支援する圧力パルスを形成することも考えられる。
【0019】
好適には、アクチュエータとシール要素との間に、アクチュエータのストロークを拡大するためのレバー要素が配置されている。したがって、アクチュエータのストロークを、アクチュエータによって直接に、またはレバー要素の形態の追加的な機構によってシール要素に及ぼすことができる。
【0020】
好適には、調整要素は、制御装置と接続されており、この制御装置は、高圧燃料ポンプの運転点に依存して、シール要素の変位パラメータ、特に調整要素の作動時点および/または調整要素の作動周波数および/または調整要素のストロークを調整する。
【0021】
高圧燃料ポンプの運転点とは、一方では、たとえば回転数、燃料の温度および燃料の前搬送圧により特定された、内燃機関の負荷点と解することができる。しかも、圧力脈動の形態の、低圧領域内で高圧燃料ポンプの運転により生じる圧力とも解することができる。
【0022】
そのような運転点と、その結果として生じる高圧燃料ポンプ内の圧力脈動とに依存して、調整要素を用いて、所定のストロークひいては高圧燃料ポンプの低圧領域内の所定の容積変化を行うことが可能であり、これにより高圧燃料ポンプ内の圧力脈動が可能な限り小さく保持される。
【0023】
この場合、運転点に応じて、調整要素を、様々な作動時点で、または様々な周波数で、かつ様々なストロークで制御することができる。
【0024】
そのために、調整要素は、好適には制御装置と接続されており、制御装置は、調整要素の作動時点、周波数およびストロークを制御する。たとえば、たとえばECUなどの、内燃機関にいずれにせよ存在する制御機器を制御装置として使用することが可能である。
【0025】
例示的な実施の形態では、低圧領域内の圧力を検出する、制御装置と通信可能なセンサが設けられている。この場合、高圧燃料ポンプ内にまたは高圧燃料ポンプの直前に生じる圧力脈動を、センサを用いて測定して、続いて制御装置に通信することができる。この場合、圧力脈動の、検出された圧力に基づき、制御装置は、調整要素を介してシール要素を変位させるための相応の信号を送信することができる。
【0026】
代替的な実施の形態では、制御装置は、高圧燃料ポンプの運転点に依存して変位パラメータを算出するように構成されている。この場合、制御装置に、たとえば内燃機関の回転数、燃料パラメータまたは前搬送圧などの運転点パラメータが供給されると、制御装置は、シール要素の必要な変位パラメータひいては調整要素のストロークを算出し、相応の信号を調整要素へ送信することができる。
【0027】
別の代替的な実施の形態では、制御装置に、高圧燃料ポンプの運転点に予め設定された変位パラメータを対応付ける特性マップが格納されている。たとえば周波数およびストロークなどの必要な変位パラメータは、運転点に依存して、予め実験を介して得られ、そのマッピングが格納される。したがって、制御装置は、相応の運転点で特性マップから必要な変位パラメータを選び出し、相応の信号を調整要素へ送信する。
【0028】
以下、添付の図面に基づき本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施の形態で、調整可能な調整要素が作用する変位可能なシール要素を有する高圧燃料ポンプの縦断面図を示す。
図2】第2の実施の形態で、調整可能な調整要素が作用する変位可能なシール要素を有する高圧燃料ポンプの縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、中に圧力室14が形成されたハウジング12を有する高圧燃料ポンプ10の第1の実施の形態の縦断面図を示している。ハウジング12内でポンプピストン16がガイドされており、ポンプピストン16は、並進移動により、圧力室14の容積を周期的に拡大および縮小する。その際、圧力室14内に配置された燃料に高圧が加えられる。高圧が加えられた燃料は、次いで高圧ポート18を介して、高圧燃料ポンプ10の下流側に置かれた要素へさらに送られる。
【0031】
燃料は、高圧燃料ポンプ10の低圧領域20から圧力室14に供給される。弁アセンブリ22が、閉弁状態で、圧力室14を低圧領域20から分離する。低圧領域20は、高圧燃料ポンプ10のハウジング12と、弁アセンブリ22と、供給管路26とにより画定されている。供給管路26を介して、外側から燃料が高圧燃料ポンプ10に供給される。さらに、シール要素28が、低圧領域20を画定しており、この場合、シール要素28は、低圧領域20の容積30が変化可能であるように、フレキシブルにまたは変位可能に構成されている。
【0032】
運転中、ポンプピストン16は、圧力室14内で並進的に上下に移動する。これにより、燃料に圧力脈動が生じ、圧力脈動は、低圧領域20内で伝播する。しかし、低圧領域20内におけるそのような圧力脈動の伝播は望ましくない。というのも、これにより高圧燃料ポンプ10の構成部材に、たとえば供給管路26に振動が励起され、この振動は、一方で望ましくない騒音を引き起こし、他方では高圧燃料ポンプ10の破損をも引き起こすおそれがあるからである。
【0033】
この理由から、変位可能なシール要素28を、周囲32に対して低圧領域20を少なくとも部分的にシールするように設けることにより、低圧領域20の容積30が可変に設計されている。
【0034】
図1に示した本実施の形態では、シール要素28は、弾性的に変形可能なダイヤフラム34として構成されていて、したがって、その材料特性に基づき、圧力脈動が生じるときに変形可能である。
【0035】
ダイヤフラム34の外側36に、つまり低圧領域20から離間する側に、調整要素38が設けられており、調整要素38は、この調整要素38が作動することによりシール要素28を変位させ、そうして低圧領域20内の容積30を変化させるように、シール要素28と相互作用する。本実施の形態では、調整要素38は、調整要素38がダイヤフラム34を低圧領域20内へ変形させ、これにより容積30を縮小するように配置されている。
【0036】
調整要素38は、能動的に制御可能であるので、調整要素38を介して容積30の大きさを能動的にかつ特に必要に応じて調整することが可能である。
【0037】
調整要素38は、電気的に作動可能なアクチュエータ40として構成されており、簡単な電気的な制御によって能動的に操作することができる。アクチュエータ40の考えられる1つの形態は、電磁アクチュエータ42であるが、アクチュエータ40をピエゾアクチュエータ44として構成することも考えられる。
【0038】
本実施の形態では、アクチュエータ40とシール要素28との間にレバー要素46が配置されており、このレバー要素46は、アクチュエータ40のストロークを機械式に拡大することができる。
【0039】
調整要素38は、調整要素38を作動させるための信号を送信する制御装置48と接続されている。制御装置48は、信号の相応の送信により、調整要素38の変位パラメータとして、調整要素38の作動時点と、調整要素38の作動周波数と、調整要素38のストロークとに影響を及ぼす。
【0040】
制御装置48は、それを、制御装置48に外側から供給される、高圧燃料ポンプ10の運転点Bに依存して行う。この場合、運転点Bは、低圧領域20内に配置されたセンサ50により検出される、低圧領域20内の圧力を再現することが可能であるが、たとえば回転数、温度または前搬送圧などの別の運転パラメータBを制御装置48に供給することもできる。
【0041】
この場合、運転点Bに依存して、制御装置48は、どの変位パラメータを制御装置48が調整要素38へ伝送するのかを決定することができる。
【0042】
考えられる1つの実施の形態では、制御装置48は、運転点Bに依存して、計算ユニット52を介して変位パラメータを算出するように構成されている。考えられる代替的な実施の形態では、制御装置48に、予め実験を介して得られた特性マップ54が格納されており、この特性マップ54は、特定の運転点Bに予め設定された変位パラメータを対応付ける。次いで、制御装置48は、予め設定された変位パラメータを読み出し、相応の信号を、調整要素38の変位のために調整要素38へ伝送する。
【0043】
図2は、高圧燃料ポンプ10の第2の実施の形態の縦断面図を示しており、第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは、シール要素28の構成だけが相違している。この第2の実施の形態では、シール要素28は、弾性的に変形可能なダイヤフラム34としてではなく剛体のプレート56として構成されており、このプレート56は、弾性的な掛止要素58を介してハウジング12に取り付けられている。したがって、第2の実施の形態によれば、シール要素28の変位は、シール要素28自体の材料の弾性的な変形によってではなく、専ら掛止要素58の変形によって行われ、その際、プレート56は、剛体のプレート56として維持される。
図1
図2
【外国語明細書】