【解決手段】建設車両に搭載される障害物検知装置であって、投射光と反射光との時間差から距離を測定するTOF方式の距離画像センサと、距離画像センサの測定データに基づいて障害物の有無を判定する制御装置と、を備え、測定データに関し、車両端部からの車両進行方向成分をxデータ、車幅方向成分をyデータ、地面からの高さ方向成分をzデータとしたとき、制御装置は、zデータが閾値T1よりも大きい測定データのみを選別して障害物の有無を判定する高さ選別ステップを行う。
前記制御装置は、前記高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから分布の傾きを算出し、この傾きに基いて障害物の有無を判定する第1の判定ステップを行うことを特徴とする請求項1に記載の建設車両の障害物検知装置。
前記制御装置は、前記反射強度選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから分布の傾きを算出し、この傾きに基いて障害物の有無を判定する第1の判定ステップを行うことを特徴とする請求項2に記載の建設車両の障害物検知装置。
前記傾きは、横軸が前記xデータ、縦軸が前記zデータの散布図での最小二乗法により算出される傾きmであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の建設車両の障害物検知装置。
前記傾きmが閾値T2よりも大きい場合または0よりも小さい場合またはゼロ除算である場合に障害物があると判定することを特徴とする請求項5に記載の建設車両の障害物検知装置。
前記傾きは、横軸が前記zデータ、縦軸が前記xデータの散布図での最小二乗法により算出される傾きaであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の建設車両の障害物検知装置。
前記傾きaから求められる傾き1/aが閾値T4よりも大きい場合または0よりも小さい場合に障害物があると判定することを特徴とする請求項7に記載の建設車両の障害物検知装置。
前記制御装置は、前記高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから決定係数を算出し、前記第1の判定ステップで障害物が無いと判定されたとき、決定係数が閾値T3よりも小さい場合に障害物があると判定する第2の判定ステップを行うことを特徴とする請求項3に記載の建設車両の障害物検知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2の技術は、タグを作業者に装着させる必要があることから、作業者が多人数の場合にコストが嵩みやすいという問題があり、作業者がタグを装着し忘れるという事態も起き得る。
【0006】
また、超音波等で障害物の検知を行う場合、地面の凹凸や坂道等も障害物と認識するおそれがあり、この場合、衝突のおそれがないにもかかわらず頻繁に警報が鳴ったり車両が停止するという問題が生じる。
【0007】
また、施工現場が霧や雨だったり、水蒸気や砂埃等が浮遊していると、これらも障害物と認識するおそれがあり、何ら障害のおそれがないにもかかわらず頻繁に警報が鳴ったり車両が停止するという問題が生じる。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、障害物の検知精度に優れる建設車両の障害物検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、建設車両に搭載される障害物検知装置であって、投射光と反射光との時間差から距離を測定するTOF方式の距離画像センサと、前記距離画像センサの測定データに基づいて障害物の有無を判定する制御装置と、を備え、前記測定データに関し、車両端部からの車両進行方向成分をxデータ、車幅方向成分をyデータ、地面からの高さ方向成分をzデータとしたとき、前記制御装置は、zデータが閾値T1よりも大きい測定データのみを選別して障害物の有無を判定する高さ選別ステップを行うことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、TOF方式の距離画像センサを用いることにより、障害物の検知精度を高めることができる。作業員にタグを装着させる必要もない。そして、高さ選別ステップを行うことにより、地面の凹凸を無視でき、無駄な障害物検知を低減できる。
【0011】
また、本発明は、建設車両に搭載される障害物検知装置であって、投射光と反射光との時間差から距離を測定するTOF方式の距離画像センサと、前記距離画像センサの測定データと、前記反射光の反射強度とに基づいて障害物の有無を判定する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記反射光の反射強度が閾値T6よりも大きい測定データのみを選別して障害物の有無を判定する反射強度選別ステップを行うことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、TOF方式の距離画像センサを用いることにより、障害物の検知精度を高めることができる。作業員にタグを装着させる必要もない。また、水蒸気や砂埃からの反射光の反射強度は、固形物からの反射光の反射強度に比して低いという特性がある。したがって、距離画像センサの測定データと、反射光の反射強度とに基づいて障害物の有無を判定する制御装置を備えることにより、空中に浮遊する水蒸気や砂埃等の微粒物を障害物と誤判定することを低減できる。そして、地面の凹凸を無視でき、無駄な障害物検知を低減できる。
【0013】
また、本発明は、前記制御装置は、前記高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから分布の傾きを算出し、この傾きに基いて障害物の有無を判定する第1の判定ステップを行うことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、登り坂を障害物と判定するおそれを低減できる。
【0015】
また、本発明は、前記制御装置は、前記反射強度選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから分布の傾きを算出し、この傾きに基いて障害物の有無を判定する第1の判定ステップを行うことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、登り坂を障害物と判定するおそれを低減できる。
【0017】
また、本発明は、前記傾きは、横軸が前記xデータ、縦軸が前記zデータの散布図での最小二乗法により算出される傾きmであることを特徴とする。
また、本発明は、前記傾きmが閾値T2よりも大きい場合または0よりも小さい場合またはゼロ除算である場合に障害物があると判定することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、登り坂を障害物と判定するおそれを一層低減できる。
【0019】
また、本発明は、前記傾きは、横軸が前記zデータ、縦軸が前記xデータの散布図での最小二乗法により算出される傾きaであることを特徴とする。
また、本発明は、前記傾きaから求められる傾き1/aが閾値T4よりも大きい場合または0よりも小さい場合に障害物があると判定することを特徴とする。
また、本発明は、前記傾きaが閾値T5よりも小さい場合に障害物があると判定することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、登り坂を障害物と判定するおそれを一層低減できる。
【0021】
また、本発明は、前記制御装置は、前記高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから決定係数を算出し、前記第1の判定ステップで障害物が無いと判定されたとき、決定係数が閾値T3よりも小さい場合に障害物があると判定する第2の判定ステップを行うことを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、障害物の検知精度が一層向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、障害物の検知精度に優れた障害物検知装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】タイヤローラに装着した障害物検知装置の検知範囲を示す説明図であり、(a),(b)はそれぞれ平面図、側面図である。
【
図2】(a)は検知対象を作業員とした場合の検知範囲の側面図、(b)は算出したxデータおよびzデータのグラフである。
【
図3】(a)は検知対象を高さのある箱とした場合の検知範囲の側面図、(b)は算出したxデータおよびzデータのグラフである。
【
図4】(a)は検知対象を高さの低い箱とした場合の検知範囲の側面図、(b)は算出したxデータおよびzデータのグラフである。
【
図5】(a)は検知対象を比較的勾配のある坂とした場合の検知範囲の側面図、(b)は算出したxデータおよびzデータのグラフである。
【
図6】(a)は検知対象を比較的勾配の緩い坂とした場合の検知範囲の側面図、(b)は算出したxデータおよびzデータのグラフである。
【
図7】本発明に係る障害物の判定フローの一例を示すフロー図である。
【
図9】
図2(b)の散布図を、横軸をzデータ、縦軸をxデータに換えた散布図である。
【
図10】
図3(b)の散布図を、横軸をzデータ、縦軸をxデータに換えた散布図である。
【
図11】
図4(b)の散布図を、横軸をzデータ、縦軸をxデータに換えた散布図である。
【
図12】
図5(b)の散布図を、横軸をzデータ、縦軸をxデータに換えた散布図である。
【
図13】
図6(b)の散布図を、横軸をzデータ、縦軸をxデータに換えた散布図である。
【
図14】第2実施形態に係る障害物の判定フローの一例を示すフロー図である。
【
図15】第3実施形態に係る障害物の判定フローの一例を示すフロー図である。
【
図16】(a)は、障害物が存在しない場合の検知範囲を示す側面図、(b)はx−zに関するグラフおよびx−反射強度に関するグラフである。
【
図17】(a)は、障害物が存在する場合の検知範囲を示す側面図、(b)はx−zに関するグラフおよびx−反射強度に関するグラフである。
【
図18】(a)は、微粒物が存在する場合の検知範囲を示す側面図、(b)はx−zに関するグラフおよびx−反射強度に関するグラフである。
【
図19】障害物検知装置の実験例を示す斜視図である。
【
図20】
図5の実験例で測定したx−反射強度に関するグラフであり、(a)は反射強度の補正前のデータ、(b)は反射強度の補正後のデータに関する。
【
図21】
図5の実験例で測定したx−zに関するグラフであり、(a)は反射強度の補正前のデータ、(b)は反射強度の補正後のデータに関する。
【
図22】
図5の実験例で測定したy−zに関するグラフであり、(a)は反射強度の補正前のデータ、(b)は反射強度の補正後のデータに関する。
【
図23】
図5の実験例で測定したy−xに関するグラフであり、(a)は反射強度の補正前のデータ、(b)は反射強度の補正後のデータに関する。
【
図24】第4実施形態に係る障害物の判定フローの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1において、本発明の障害物検知装置1は、低速走行しながら作業を行う転圧ローラ等の建設車両に搭載される。
図1は、タイヤ11でアスファルト路面等の転圧を行うタイヤローラ10に障害物検知装置1を搭載した場合を示している。障害物検知装置1は、投射光と反射光との時間差から距離を測定するTOF(Time Of Flight)方式の距離画像センサ(3D距離センサ)2と、距離画像センサ2の測定データに基づいて障害物Gの有無を判定する制御装置3と、を備えている。
【0026】
「距離画像センサ2」
距離画像センサ2は、赤外線等の投射光を発光する発光部と、投射光が物体に当たった際の反射光を受光する受光部とを備えている。発光部から赤外線を送ってから反射光を受光部で受信するまでの時間を計測することで対象までの距離が測定される。距離画像センサ2からの投射角度は、例えば横方向角度が95°、縦方向角度(
図1(b)に示す符号θ1)が32°であり、投射断面が横長矩形状を呈している。画像分解能は、例えば横方向に64ピクセル、縦方向に16ピクセルの計1024ピクセルである。距離画像センサ2は、タイヤローラ10の後部の車幅方向中央部に、投射光が後進方向斜め下に投射されるように取り付けられている。
【0027】
障害物Gの検知範囲に関して、投射光の投射範囲をそのまま検知範囲に設定すると、つまり車幅方向の寸法Wをタイヤローラ10の車幅寸法よりも広く設定すると、衝突のおそれがないにもかかわらず障害物Gがあると認識されて、車両が無駄に停止することになる。そのため、車幅方向に関する検知範囲(
図1に斜線にて示す)4の寸法Wは、タイヤローラ10の車幅寸法と略同じに設定することが好ましい。距離画像センサ2は、障害物Gまでの距離を測定できるため、各ピクセル毎の測定データから、具体的には後述するyデータから、車幅寸法に設定した検知範囲4に障害物Gが存在するか否かを制御装置3で判定できる。このように距離画像センサ2を用いることにより、検知範囲4の寸法Wを車両前後方向にわたって一定に確保できる。つまり、検知範囲4を、
図1(a)に示すように平面視で、1辺を寸法Wとした略矩形状の範囲に容易に設定することができる。検知範囲4の車両前後方向の寸法L2は、常用される走行速度に応じて適宜に設定され、本実施形態では例えば3メートル程度に設定される。
【0028】
また、距離画像センサ2の投射光が後進方向斜め下に投射されるので、平面視したときの投射光の横方向角度θ2は、95°よりも一層大きな範囲となる。したがって、タイヤローラ10の後部両端と検知範囲4との間に形成される非検知範囲5,5について、その車両前後方向の距離L3を小さく抑えることができる。つまり、車両後部の両脇に形成される非検知の死角を小さくできる。
【0029】
「制御装置3」
図1において、制御装置3は、例えば距離画像センサ2の近傍や運転席周りに搭載されている。制御装置3は、距離画像センサ2で測定された各ピクセルの測定データから、それぞれ、車両の後端からの後進方向成分をxデータ、車幅中央からの車幅方向成分をyデータ、地面からの高さ方向成分をzデータを算出する。そして、制御装置3は、障害物Gの判定を行うにあたり、以下に示す3つのステップを行う。
【0030】
「高さ選別ステップ」
制御装置3は、zデータが閾値T1よりも大きい測定データのみを選別して障害物Gの有無を判定する高さ選別ステップを行う。この高さ選別ステップは、主に地面の若干の凹凸等を障害物Gと認識させない目的で行う。閾値T1は、5〜30cmの範囲、好ましくは10〜20cmの範囲で設定する。閾値T1を5〜30cmの範囲に設定すれば、概ね想定し得る地面の凹凸を無視でき、無駄な障害物検知を低減できる。また、作業員等が検知範囲4内でうずくまるなど姿勢が低くなった場合、その高さが30cm以下になることはほとんどあり得ないので、このときは障害物Gのおそれがあるとみなせる。
【0031】
「第1の判定ステップ」
制御装置3は、高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから分布の直線の傾きを算出し、この傾きに基いて障害物Gの有無を判定する。本実施形態では、最小二乗法により傾きmを算出する。そして、制御装置3は、傾きmが閾値T2よりも大きい場合または0よりも小さい場合またはゼロ除算である場合に障害物Gが有ると判定する。最小二乗法による傾きmは、式(1)により求めた。
【0033】
建設車両では法面等の坂で作業する場合やトレーラ等に積み込む場合もあり、平坦面から登り坂にさしかかる際、制御装置3が坂の表面を誤って障害物Gと判定するおそれがある。第1の判定ステップは、登り坂を障害物Gと認識させない目的で行う。一般に、転圧ローラや他の建設車両の限界登坂角度はおおよそ30°程度、特殊なもので35°程度である。最小二乗法による30°の坂の傾きmは約0.6であり、35°の坂の傾きmは約0.7である。最小二乗法による坂の傾きmの値は、坂の角度が大きくなるほど大きい。したがって、閾値T2を0.6〜0.7の範囲に設定すれば、概ね想定し得る登り坂について無駄な障害物検知を回避できる。そして、上下方向に起立する人物や物体に関する傾きmは概ね0.6〜0.7よりも大きいので、これらについて障害物Gと認識できる。なお、閾値T2は適宜に変更が可能である。
【0034】
また、上下方向に起立する人物の傾きmに関しては、例えば上半身側が車両に近かったり、手に持っている作業機材等が車両に近かったりした場合、傾きmがマイナス、つまり0よりも小さくなる。物体についても、下部よりも上部の方が車両に近い場合、傾きmは0よりも小さくなる。したがって、傾きmが0よりも小さい場合も、障害物Gがあると認識させる。測定結果が完全な垂直になった場合、式(1)では、傾きm=0/0、つまりゼロ除算となるため、この場合も障害物Gがあると認識させる。
【0035】
図2〜
図6は、本発明者が行った試験結果を示しており、それぞれ(a)は検知対象を示す側面図、(b)は算出したxデータおよびzデータのグラフを示している。それぞれ、前記した高さ選別ステップの閾値T1は10cmとしてあり、10cmよりも低いzデータの測定ポイント(黒丸にて示す)は障害物Gの判定の考慮にはいれない。
【0036】
図2は、検知対象を起立した作業員とした場合である。
図2(a)は、縦方向16ピクセルのうちの7ピクセルが、地面から10cm以上の測定点p1〜p7で作業員を検知した場合を示している。この測定点p1〜p7の最小二乗法による傾きmは、
図2(b)に示すように、−7.8485であった。つまり、傾きmは0よりも小さいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は作業員を障害物Gと判定する。
【0037】
図3は、検知対象を高さのある方形体状の箱とした場合である。この場合の測定点p1〜p7の最小二乗法による傾きmは、
図3(b)に示すように、6.9676であった。つまり、傾きmは、0.6〜0.7の範囲の閾値T2よりも大きいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は箱を障害物Gと判定する。
【0038】
図5は、検知対象を勾配18.6°の坂とした場合である。16ピクセル全てによる測定点p1〜p16の最小二乗法による傾きmは、
図5(b)に示すように、0.3362であった。つまり、傾きmは、0.6〜0.7の範囲の閾値T2よりも小さく、0よりも大きいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は勾配18.6°の坂を障害物と判定しない。
【0039】
図6は、検知対象を勾配4.2°の坂とした場合である。16ピクセル全てによる測定点p1〜p16の最小二乗法による傾きmは、
図6(b)に示すように、0.0735であった。つまり、傾きmは、0.6〜0.7の範囲の閾値T2よりも小さく、0よりも大きいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は勾配4.2°の坂を障害物と判定しない。
【0040】
図4は、検知対象を高さの低い方形体状の箱とした場合を示している。
図4(a)は、6ピクセルが測定点p1〜p6で箱の上面を検知し、3ピクセルが測定点p7〜p9で箱の側面を検知した場合を示している。これら測定点p1〜p9の最小二乗法による傾きmは、
図4(b)に示すように、0.2706であった。つまり、傾きmは、0.6〜0.7の範囲の閾値T2よりも小さく、0よりも大きいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は箱を障害物Gと判定しないことになってしまう。これは、箱の側面の測定点p7〜p9に加えて、箱の水平状の上面の測定点p1〜p6も演算されるため、傾きmが全体として低く均されてしまうからである。この問題に対し、制御装置3は第2の判定ステップを行う。
【0041】
「第2の判定ステップ」
制御装置3は、高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから決定係数R
2を算出し、第1の判定ステップで障害物Gが無いと判定されたとき、決定係数R
2が閾値T3よりも小さい場合に障害物Gがあると判定する。決定係数R
2は、回帰分析の精度を示す指標であり、数値が高いほど相関関係が高い。決定係数R
2は、式(2)により求めることができる。
【0043】
通常、坂道はほぼ同じ勾配で続くことが多いため、測定点の相関関係が高い。
図5の坂では、測定点p1〜p16の決定係数R
2は0.9677であり、
図6の坂では、測定点p1〜p16の決定係数R
2は0.8312であった。試験の結果、各坂道の決定係数R
2は、概ね0.6〜1.0の範囲であった。したがって、閾値T3を0.6〜1.0、好ましくは0.7〜1.0の範囲に設定すれば、制御装置3は、この閾値T3よりも大きい決定係数R
2の検知対象を坂道と認識し、障害物Gと判定しない。
【0044】
一方、
図4に示す箱の場合、測定点p1〜p9の決定係数R
2は0.4159であり、測定点p1〜p9の相関関係が低いことが判った。したがって、閾値T3を0.6〜1.0の範囲に設定した場合、制御装置3は、この閾値T3よりも小さい決定係数R
2の箱を障害物Gと判定する。
【0045】
障害物の判定フローの一例を
図7に示す。制御装置3は、距離画像センサ2で測定された各ピクセルの測定データからそれぞれxデータ、yデータ、zデータを算出し(ステップS1)、検知範囲4の寸法Wに対して、yデータが、−W/2〜W/2の範囲にあるか否かを判定する(ステップS2)。Yesの場合、検知範囲4内に障害物Gが存在するおそれがあるとしてステップS3に進み、Noの場合、ステップS1に戻る。
【0046】
ステップS3において、制御装置3は、高さ選別ステップとして、zデータが閾値T1よりも大きいか否かの判定を行い、Yesの場合、ステップS4に進み、Noの場合、ステップS1に戻る。
【0047】
制御装置3は、xデータおよびzデータから最小二乗法で傾きmを算出するとともに、決定係数R
2を算出し(ステップS4)、傾きmが閾値T2よりも大きいか否か、または0よりも小さいか否か、または0/0つまりゼロ除算であるか否かの判定を行う(ステップS5)。Yesの場合、障害物Gがあると判定してステップS7に進み、Noの場合、ステップS6に進む。ステップS6で、制御装置3は、決定係数R
2が閾値T3よりも小さいか否かの判定を行い、Yesの場合、障害物Gがあると判定してステップS7に進み、Noの場合、ステップS1に戻る。
【0048】
ステップS7で、制御装置3は、xデータおよびzデータのうちで車両に最も近いxデータ(Min)を算出し、これを車両から障害物Gまでの距離と認識する。ステップS8で、制御装置3は、xデータ(Min)が所定の閾値T4よりも小さいか否かの判定を行い、Yesの場合、図示しないブレーキ手段に対してブレーキ信号を送信して車両を停止させ(ステップS9)、Noの場合、ステップS7に戻る。ステップS9では、ブレーキの代わりに、または併用して、音や光で警報を出すようにしてもよい。
【0049】
なお、ブレーキ信号を出力するタイミングは、車両の走行速度に応じて変化させることが好ましい。この場合、制御装置3は、
図8に示すように、走行速度に応じて予め設定したブレーキ開始距離S(すなわち閾値T4)と、xデータ(Min)とを比較し、xデータ(Min)が所定の閾値T4よりも小さくなったとき、ブレーキ信号を出力する。ブレーキ開始距離Sは、例えば車両の実測の限界制動距離Tよりも若干余裕を持った距離に設定される。
図8では、ブレーキ開始距離Sは、時速2kmで約0.5m、時速4kmで約1m、時速6kmで約1.6m、時速8kmで約2.4mに設定されている。なお、車両の走行速度を検出する車速センサとしては、タイヤの回転数を検出するロータリエンコーダ等の近接センサが挙げられる。
【0050】
以上のように、制御装置3は、zデータが閾値T1よりも大きい測定データのみを選別して障害物Gの有無を判定する高さ選別ステップを行う構成とすれば、地面の凹凸を無視でき、無駄な障害物検知を低減できる。
【0051】
制御装置3は、高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから分布の傾きmを算出し、この傾きmに基いて障害物Gの有無を判定する第1の判定ステップを行う構成とすれば、登り坂を障害物Gと判定するおそれを低減できる。特に、傾きmを最小二乗法により算出し、当該傾きmが閾値T2よりも大きい場合または0よりも小さい場合またはゼロ除算である場合に障害物Gがあると判定する構成とすれば、障害物Gの検知精度が一層向上する。
【0052】
制御装置3は、高さ選別ステップで選別した測定データのxデータおよびzデータから決定係数R
2を算出し、第1の判定ステップで障害物Gが無いと判定されたとき、決定係数R
2が閾値T3よりも小さい場合に障害物Gがあると判定する第2の判定ステップを行う構成とすれば、障害物Gの検知精度が一層向上する。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。説明した形態では、距離画像センサ2を車両後部に取り付けたが、距離画像センサ2を車両前部に取り付けて車両の前進方向を検知するようにしてもよい。
【0054】
「第2実施形態」
前記した実施形態は、第1の判定ステップとして、
図2(b)等に示したように、横軸がxデータ、縦軸がzデータの散布図を用い、式(1)の最小二乗法により傾きmを算出した。これに対し、第2実施形態では、第1の判定ステップとして、横軸がzデータ、縦軸がxデータの散布図で、式(3)の最小二乗法により傾きaを算出する。
【0056】
制御装置3は、傾きaを分母とする傾き1/aを求める。式(3)の最小二乗法による30°の坂の傾き1/aは約0.6であり、35°の坂の傾き1/aは約0.7である。したがって、閾値T4を0.6〜0.7の範囲に設定すれば、概ね想定し得る登り坂について無駄な障害物検知を回避できる。そして、上下方向に起立する人物や物体に関する傾き1/aは概ね0.6〜0.7よりも大きいので、これらについて障害物Gと認識できる。上半身側が車両に近かったり、手に持っている作業機材等が車両に近かったりした場合、傾き1/aがマイナス、つまり0よりも小さくなる。物体についても、下部よりも上部の方が車両に近い場合、傾き1/aは0よりも小さくなる。したがって、傾き1/aが0よりも小さい場合も、障害物Gがあると認識させる。つまり、第1の判定ステップで、制御装置3は、傾き1/aが閾値T4よりも大きい場合または0よりも小さい場合に障害物Gが有ると判定する。
【0057】
図9〜
図13は、それぞれ
図2(b)〜
図6(b)の散布図の横軸、縦軸を入れ替えた散布図であり、横軸がzデータ、縦軸がxデータとなっている。既述したように、閾値T1よりも低いzデータの測定ポイント(黒丸にて示す)は障害物Gの判定の考慮にはいれない。
【0058】
図9は、検知対象を起立した作業員とした場合である。測定点p1〜p7の最小二乗法による傾きaは−0.0286であり、傾き1/aは−34.9である。つまり、傾き1/aは0よりも小さいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は作業員を障害物Gと判定する。
【0059】
図10は、検知対象を高さのある方形体状の箱とした場合である。測定点p1〜p7の最小二乗法による傾きaは0.0831であり、傾き1/aは12.0である。つまり、傾き1/aは、0.6〜0.7の範囲の閾値T4よりも大きいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は箱を障害物Gと判定する。
【0060】
図12は、検知対象を勾配18.6°の坂とした場合である。測定点p1〜p16の最小二乗法による傾きaは2.8784であり、傾き1/aは0.34である。つまり、傾き1/aは、0.6〜0.7の範囲の閾値T4よりも小さく、0よりも大きいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は勾配18.6°の坂を障害物と判定しない。
【0061】
図13は、検知対象を勾配4.2°の坂とした場合である。測定点p1〜p16の最小二乗法による傾きaは11.303であり、傾き1/aは0.088である。つまり、傾き1/aは、0.6〜0.7の範囲の閾値T4よりも小さく、0よりも大きいので、第1の判定ステップにより、制御装置3は勾配4.2°の坂を障害物と判定しない。
【0062】
図11は、検知対象を高さの低い方形体状の箱とした場合である。
図4(b)では、測定点p1〜p9の最小二乗法による傾きmは0.2706であり、0.6〜0.7の範囲の閾値T2よりも小さく、0よりも大きい値であった。したがって、第1の判定ステップでは制御装置3は箱を障害物Gと判定しないため、次の第2の判定ステップで決定係数R
2との比較判定を要していた。
【0063】
これに対して、第2実施形態によれば、
図11において、測定点p1〜p7の最小二乗法による傾きaは1.5372であり、傾き1/aは0.65である。仮に閾値T4を30°の坂の値である0.6に設定した場合、傾き1/aは閾値T4よりも大きい値となり、第1の判定ステップにより、制御装置3は箱を障害物Gと判定することとなる。したがって、この場合、決定係数R
2と比較する第2の判定ステップが不要となる。
【0064】
本発明者は、
図11の例の他にも比較的小さな箱やその他扁平状の物体等で多数の試験を行った。その結果、横軸をxデータ、縦軸をzデータとした散布図での最小二乗法で算出した傾きmを利用した第1の判定ステップよりも、この第2実施形態のように、横軸をzデータ、縦軸をxデータとした散布図での最小二乗法で算出した傾き1/aを利用した第1の判定ステップの方が、坂と障害物Gの区別の精度が向上することが判明した。
【0065】
第2実施形態における障害物の判定フローの一例を
図14に示す。ステップS1〜S3,S7〜S9は
図7と同一であるので説明は省略する。制御装置3は、ステップS11でxデータおよびzデータから最小二乗法で傾きaを算出し、ステップS12で傾き1/aが閾値T4よりも大きいか否か、または0よりも小さいか否かの判定を行う。Yesの場合、障害物Gがあると判定してステップS7に進み、Noの場合、ステップS1に戻る。
【0066】
なお、第2実施形態においても、決定係数R
2と閾値T3との比較を行う第2の判定ステップを設けても良い。この場合、
図14において、ステップS12でNoとなったときに
図7と同様のステップS6を実行させればよい。
【0067】
「第3実施形態」
第2実施形態では、第1の判定ステップとして、横軸がzデータ、縦軸がxデータの散布図で、式(3)の最小二乗法により傾きaを算出し、この傾きaを分母とする傾き1/aと閾値T4とを比較していた。これに対し、第3実施形態は、横軸がzデータ、縦軸がxデータの散布図で、式(3)の最小二乗法により傾きaを算出するところまでは第2実施形態と同じであるが、傾きaを分数化することなくそのまま閾値T5と比較するところが第2実施形態と異なっている。第3実施形態では、傾きaが閾値T5よりも小さい場合に障害物Gがあると判定する。
【0068】
坂道の勾配をθとしたとき、閾値T5を「tan(90−θ)」で求める。θが30°で閾値T5は約1.73であり、θが35°で閾値T5は約1.43である。したがって、閾値T5を1.4〜1.7の範囲にすることで、坂と障害物Gとの区別の精度を向上させることができる。以下、閾値T5を、30°の坂の値である1.7に設定した場合について、
図9〜
図13の散布図を検証する。
【0069】
図9での傾きaは−0.0286であるから、閾値T5よりも小さい。これにより、制御装置3は作業員を障害物Gと判定する。
図10での傾きaは0.0831であるから、閾値T5よりも小さい。これにより、制御装置3は箱を障害物Gと判定する。
図12での傾きaは2.8784であるから、閾値T5よりも大きい。これにより、制御装置3は勾配18.6°の坂を障害物と判定しない。
図13での傾きaは11.303であるから、閾値T5よりも大きい。これにより、制御装置3は勾配4.2°の坂を障害物と判定しない。
図11での傾きaは1.5372であるから、閾値T5よりも小さい。これにより、制御装置3は箱を障害物Gと判定する。したがって、第2実施形態と同様、決定係数R
2と比較する第2の判定ステップが不要となる。その他の物体でも検証した結果、この第3実施形態でも、坂と障害物Gの区別の精度が向上することが判明した。
【0070】
第3実施形態における障害物の判定フローの一例を
図15に示す。ステップS1〜S3,S11,S7〜S9は
図14と同一であるので説明は省略する。制御装置3は、ステップS13で傾きaが閾値T5よりも小さいか否かの判定を行う。Yesの場合、障害物Gがあると判定してステップS7に進み、Noの場合、ステップS1に戻る。
【0071】
なお、第3実施形態においても、決定係数R
2と閾値T3との比較を行う第2の判定ステップを設けても良い。この場合、
図15において、ステップS13でNoとなったときに
図7と同様のステップS6を実行させればよい。
【0072】
「第4実施形態」
制御装置3は、
図7、
図14、
図15の各ステップS3で、zデータが閾値T1よりも大きい測定データのみを選別する「高さ選別ステップ」を行っていた。第4実施形態の制御装置3は、この「高さ選別ステップ」に代わりに、反射光の反射強度が閾値T6よりも大きい測定データのみを選別して障害物の有無を判定する「反射強度選別ステップ」を行う。つまり、制御装置3は、距離画像センサ2で測定された座標に関する測定データと、反射光の反射強度とに基づいて障害物Gの有無を判定する。
【0073】
距離画像センサ2で検知可能な物体としては、走行の障害となる人や物の他に、水蒸気や砂埃が挙げられる。転圧ローラでのアスファルト路面の転圧施工では、タイヤ等の転圧輪にアスファルト合材が付着するのを防止するために、転圧輪にアスファルト付着防止剤や水等を散布しながら転圧することが多い。これらの液剤は、高温のアスファルト路面やタイヤ表面に触れることで水蒸気を発生させることがある。また、土質の地盤の締固め施工においては、地盤から砂埃が舞い上がることがある。これら水蒸気や砂埃まで障害物と判定することは作業効率の点から好ましくない。
【0074】
この問題に対し、本発明者は反射光の反射強度に着目し、反射強度の補正機能を付加することで障害物Gの判定精度を向上させることとした。反射光の反射強度は、物体の距離、形状、材質、色調等によって異なり、水蒸気や砂埃に対しては、人や固形物体に比して反射強度が低くなる。本発明者は、特に地面からの反射光に着目して以下のように解析した。
【0075】
図16(a)に示すように、距離画像センサ2の測定範囲内に障害物が存在しない場合、測定される座標データは全て地面に関するものとなる。この場合、
図16(b)に示すように、x−zの関係を示すグラフS1は、全てのxデータにわたって、zデータ、すなわち高さ方向成分が0となり、障害物が存在しないことが判る。一方、反射光の反射強度は、測定点と距離画像センサ2との距離が大きくなるほど低くなる傾向にある。したがって、x−反射強度の関係を示すグラフP1は、xデータが大きくなるほど、つまり車両から離れるにしたがい、地面からの反射光の反射強度は低くなる。
【0076】
図17(a)に示すように、距離画像センサ2の測定範囲内に障害物Gが存在する場合、
図17(b)に示すように、x−zの関係を示すグラフS2は、障害物Gの測定点に応じてzデータが変化する。これにより障害物Gが存在することが判る。x−反射強度の関係を示すグラフP2は、障害物Gの色調にもよるが、障害物Gからの反射光の反射強度については、概ね本来の地面からの反射強度よりも高い値を示す。
【0077】
図18(a)に示すように、距離画像センサ2の測定範囲内に水蒸気や砂埃等の微粒物Fが浮遊している場合、
図18(b)に示すように、x−zの関係は、概ねランダムに散らばったプロットS3として表される。このプロットS3の分布状態によっては、水蒸気や砂埃等も障害物と判定されるおそれがある。一方、x−反射強度の関係については、水蒸気や砂埃からの反射光の反射強度は低いため、グラフP3は、
図16(b)のグラフP1と同程度か、グラフP1よりも反射強度が低い傾向になることが判った。したがって、
図16(b)のグラフP1の反射強度、すなわち地面からの反射光の反射強度を閾値T6とし、物体からの反射光の反射強度が閾値T6以下の場合、制御装置3が、その物体は浮遊する微粒物Fであるとみなして障害物Gと判定しないようにすれば、障害物Gの判定精度を向上させることができる。
【0078】
閾値T6としては、シミュレーション等で予め求めた一定値からなる固定値パターンと、実際の施工運転中で得られる地面からの反射光の反射強度をリアルタイムで演算し、その演算結果に基づいて求める変動値パターンとが挙げられる。後者の変動値パターンの場合、実際に転圧する路面の材質や色調に基づいて閾値T6がリアルタイムで変動して決定されるので、閾値T6の精度が高くなり、水蒸気や砂埃等を障害物Gから除外するキャンセル機能の精度を一層高めることができるため、結果として障害物Gの検知精度を高めることができる。また、固定値パターンと変動値パターンとをオペレータが手動で切り換えるように構成してもよいし、固定値パターンと変動値パターンとを制御装置3に自動で判断させて切り換えるようにしてもよい。
【0079】
本発明者は、実験例として
図19に示すように、加湿器21から噴き出す水蒸気6、机7、人物8、地面9に対して距離画像センサ2で測定を行った。
図20〜
図23はその測定データを示す。
図20はx−反射強度に関するグラフであり、
図20(a)は、反射強度について何ら補正していない状態を示しており、点線で囲った部分が地面9の測定データを示している。この地面9の測定データを閾値T6とし、閾値T6よりも高い反射強度の測定データのみを表したグラフが
図20(b)である。閾値T6は、測定データの最小二乗法などで求めた値に標準偏差σを加味した値とし、標準偏差σは1.5σ〜3σに設定することが好ましい。
【0080】
図21、
図22、
図23はそれぞれx−z、y−z、y−xに関するグラフである。これらの図で、各(a)は反射強度について補正していない場合のグラフであり、各(b)は反射強度について閾値T6で補正した場合のグラフを示す。補正前の
図21(a)、
図22(a)、
図23(a)では、いずれも水蒸気6、机7、人物8、地面9の測定データが表示されているのに対し、閾値T6による補正後の
図21(b)、
図22(b)、
図23(b)では、机7と人物8の測定データのみが表示され、水蒸気6と地面9の測定データはキャンセルされていることが判る。勿論、建設車両で検知対象とすべき障害物は、机7や人物8等、ある程度高さのある物体であることから、閾値T6による補正で地面9の測定データがキャンセルされても何ら問題はない。
【0081】
第4実施形態の障害物の判定フローの一例を
図24に示す。ステップS1,S2は
図7、
図14、
図15と同一であるので説明は省略する。制御装置3は、ステップS31で、各ピクセルの測定データの反射強度が閾値T6よりも高いか否かの判定を行い、Yesの場合、
図7のステップS4又は
図14、
図15のステップS11に進み、Noの場合、ステップS1に戻る。
【0082】
以上のように、距離画像センサ2で測定された座標に関する測定データと、反射光の反射強度とに基づいて障害物Gの有無を判定する構成とすれば、空中に浮遊する水蒸気や砂埃等の微粒物Fを障害物Gと誤判定することが低減される。これにより、無駄な障害物検知を抑制できる。
【0083】
また、制御装置3は、反射強度が閾値T6以下の場合に障害物Gと判定しない構成にすれば、閾値T6を適切な値に設定することで、微粒物Fを障害物Gと誤判定することを簡単な構成で低減できる。
【0084】
微粒物Fからの反射光の反射強度は、地面からの反射光の反射強度とほぼ同じかそれ以下が殆どなので、閾値T6を地面からの反射光の反射強度に基づく値とすることで、微粒物Fを障害物Gと誤判定することを一層低減できる。
地面の凹凸等も反射強度の補正により誤判定を阻止できるので、「高さ選別ステップ」を要することがない。