【解決手段】レーザ光を走査する走査光学系と、前記走査光学系により走査されたレーザ光が略垂直に入射するビームシェイパーと、自由曲面を有する2つの反射光学素子と1つのアナモルフィックレンズを備え、前記ビームシェイパーから出射されたレーザ光をディスプレイパネルに照明する照明光学系と、前記照明光学系により照明されたレーザ光を用いて画像を表示する前記ディスプレイパネルと、自由曲面を有する3つの反射光学素子を備え、前記ディスプレイパネルから出射された画像光を観察者の眼に集光させる接眼光学系と、を備える、画像表示装置が提供される。
前記第1の制御部は、前記走査されたレーザ光が前記ビームシェイパーに入射する位置を制御することで、光軸に対して略垂直な方向に動く前記眼に前記画像光を集光させる、
請求項2または3に記載の画像表示装置。
前記ビームシェイパーは、回折光学素子(DOE:Diffractive Optics Element)、ホログラフィック光学素子(HOE:Holographic Optical Element)、または、拡散板である、
請求項5または6に記載の画像表示装置。
前記走査光学系は、前記レーザ光を出射する光源部と、前記光源部から出射されたレーザ光を走査するMEMSスキャナと、前記MEMSスキャナにより走査されたレーザ光を反射し前記ビームシェイパーへ入射させる放物面鏡と、を備える、
請求項1から10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
前記光源部は、前記レーザ光を拡散板に集光させるコンデンサレンズと、前記コンデンサレンズにより集光されたレーザ光を散乱させる前記拡散板と、前記拡散板によって散乱したレーザ光を略平行光にし、前記MEMSスキャナへ出射するコリメートレンズと、前記拡散板を回転させるモータと、を備える、
請求項11に記載の画像表示装置。
前記接眼光学系は、前記ディスプレイパネルから出射された画像光を反射する前段の自由曲面ミラーと、前記前段の自由曲面ミラーによって反射された画像光をさらに反射する後段の自由曲面ミラーと、前記後段の自由曲面ミラーによって反射された画像光をさらに反射することで画像光を前記眼に集光させるコンバイナと、を備える、
請求項1から12のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1で記載された技術は、ヘッドアップディスプレイ装置から出射される画像光を観察者の眼に集光させることができなかった。より具体的には、特許文献1に係るヘッドアップディスプレイ装置は、アイボックス全体に画像を表示するため、画像光を観察者の眼に集光させることができなかった。ヘッドアップディスプレイ装置が、画像光を観察者の眼に集光させることが可能であれば、例えば、両眼にそれぞれ集光される画像光を互いに異なるものにすることで、観察者に立体的な画像を視認させること等ができるため有用である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より適切に画像光を観察者の眼に集光させることが可能な、新規かつ改良された画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、レーザ光を走査する走査光学系と、前記走査光学系により走査されたレーザ光が略垂直に入射するビームシェイパーと、自由曲面を有する2つの反射光学素子と1つのアナモルフィックレンズを備え、前記ビームシェイパーから出射されたレーザ光をディスプレイパネルに照明する照明光学系と、前記照明光学系により照明されたレーザ光を用いて画像を表示する前記ディスプレイパネルと、自由曲面を有する3つの反射光学素子を備え、前記ディスプレイパネルから出射された画像光を観察者の眼に集光させる接眼光学系と、を備える、画像表示装置が提供される。
【0007】
前記眼の位置情報に基づいて、前記走査されたレーザ光が前記ビームシェイパーに入射する位置を制御する第1の制御部をさらに備えてもよい。
【0008】
前記走査光学系は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナを備えており、前記第1の制御部は、前記MEMSスキャナを制御することで前記走査された光が前記ビームシェイパーに入射する位置を制御してもよい。
【0009】
前記第1の制御部は、前記走査されたレーザ光が前記ビームシェイパーに入射する位置を制御することで、光軸に対して略垂直な方向に動く前記眼に前記画像光を集光させてもよい。
【0010】
前記眼の位置情報に基づいて、前記ビームシェイパーの位置を制御する第2の制御部をさらに備えてもよい。
【0011】
前記第2の制御部は、前記ビームシェイパーの位置を、光軸に対して前後に制御してもよい。
【0012】
前記ビームシェイパーは、回折光学素子(DOE:Diffractive Optics Element)、ホログラフィック光学素子(HOE:Holographic Optical Element)、または、拡散板であってもよい。
【0013】
前記第2の制御部は、前記ビームシェイパーの位置を制御することで、光軸に対して前後に方向に動く前記眼に前記画像光を集光させてもよい。
【0014】
F
前記眼の位置情報に基づいて、前記画像の内容を制御する第3の制御部をさらに備えてもよい。
【0015】
前記第3の制御部は、前記画像の内容を両眼について互いに異なるものとしてもよい。
【0016】
前記走査光学系は、前記レーザ光を出射する光源部と、前記光源部から出射されたレーザ光を走査するMEMSスキャナと、前記MEMSスキャナにより走査されたレーザ光を反射し前記ビームシェイパーへ入射させる放物面鏡と、を備えてもよい。
【0017】
前記光源部は、前記レーザ光を拡散板に集光させるコンデンサレンズと、前記コンデンサレンズにより集光されたレーザ光を散乱させる前記拡散板と、前記拡散板によって散乱したレーザ光を略平行光にし、前記MEMSスキャナへ出射するコリメートレンズと、前記拡散板を回転させるモータと、を備えてもよい。
【0018】
前記接眼光学系は、前記ディスプレイパネルから出射された画像光を反射する前段の自由曲面ミラーと、前記前段の自由曲面ミラーによって反射された画像光をさらに反射する後段の自由曲面ミラーと、前記後段の自由曲面ミラーによって反射された画像光をさらに反射することで画像光を前記眼に集光させるコンバイナと、を備えてもよい。
【0019】
前記前段の自由曲面ミラーから前記後段の自由曲面ミラーに至るまでの光路中で画像光がクロスしてもよい。
【0020】
前記後段の自由曲面ミラーから前記コンバイナに至るまでの光路中で画像光における各像高の光線がクロスしてもよい。
【0021】
前記画像表示装置は、ヘッドアップディスプレイ装置であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、より適切に画像光を観察者の眼に集光させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
<1.第1の実施例>
まず、本発明に係る第1の実施例について説明する。
【0026】
(1.1.概要)
第1の実施例に係る画像表示装置100は、例えば、車両に備えられたヘッドアップディスプレイ装置であり、自車両前方の実景に虚像を重ねて表示することで、実景に情報などを付加した拡張現実を生成する装置である。なお、本開示がヘッドアップディスプレイ装置に適用されることはあくまで一例であり、本開示は適宜別の装置に適用されてもよい。
【0027】
そして、画像表示装置100は、レーザ光を走査する走査光学系110と、走査光学系110により走査されたレーザ光が略垂直に入射するビームシェイパー120と、ビームシェイパー120から出射されたレーザ光をディスプレイパネル140に照明する照明光学系130と、照明光学系130により照明されたレーザ光を用いて画像を表示するディスプレイパネル140と、ディスプレイパネル140から出射された画像光を観察者の眼に集光させる接眼光学系150と、を備える。
【0028】
ここで、
図1および
図2を参照して、画像表示装置100の構成の概要について説明する。
図1は、画像表示装置100の構成(走査光学系110およびビームシェイパー120を除く)と、ウインドシールドガラス10および虚像11との位置関係について説明する図である。また、
図2は、画像表示装置100の構成(走査光学系110およびビームシェイパー120を除く)について説明する図である。
【0029】
ビームシェイパー120から出射されたレーザ光は、照明光学系130へ入射した後に、照明光学系130に備えられる、アナモルフィックレンズ131、第1の自由曲面ミラー132、第2の自由曲面ミラー133の順に伝搬される。
【0030】
その後、当該レーザ光が第2の自由曲面ミラー133からディスプレイパネル140に入射すると、ディスプレイパネル140は当該レーザ光を用いて画像を表示する。そして、ディスプレイパネル140から出射された画像光は、接眼光学系150へ入射した後に、接眼光学系150に備えられる、第3の自由曲面ミラー151、第4の自由曲面ミラー152、コンバイナ153の順に伝搬される。コンバイナ153によって反射された画像光は、観察者の眼に集光される。これによって、観察者は、
図1に示すように、ウインドシールドガラス10を通して、前方の実景に重畳的に表示された虚像11を視認することができる。
【0031】
また、画像表示装置100は、所定の光学素子を制御することによって観察者の眼に画像光を集光させ続けることができる。換言すると、観察者の眼の位置が変化する場合、画像表示装置100は、眼の位置情報に基づいて、所定の光学素子の動きまたは位置を制御することによって、観察者の眼の位置に画像光を集光させ続けることができる。なお、眼の位置情報は、所定のセンシングデータの解析等によって生成される観察者の眼の位置を示す情報であり、生成方法は特に限定されない。また、眼の位置情報の生成は、外部装置によって実現されてもよいし、画像表示装置100によって実現されてもよい。また、画像光が集光されるのは、観察者の両眼であることを想定しているが、片眼だけに画像光が集光されてもよい。
【0032】
画像光が観察者の両眼に集光される場合、画像表示装置100は、両眼に対してそれぞれ異なる画像光を集光させることができるため、観察者に3D画像を視認させることができる。より具体的には、画像表示装置100は、互いに視差を有する、左眼画像の画像光と右眼画像の画像光をそれぞれの眼に集光させることで、観察者に3D画像を視認させることができる。また、ディスプレイパネル140にSLM(Spatial Light Modulator)等のホログラム表示デバイスが用いられることによって、画像表示装置100は、ホログラム像を表示することもできる。この場合、画像表示装置100は、両眼に対してそれぞれ異なるホログラム像を表示させることで、観察者に3Dのホログラム像を視認させることができる。
【0033】
さらに、画像表示装置100は、観察者の眼の位置に基づいて画像の内容を制御することができる。例えば、所定の視点からの3D画像が表示されている状態から観察者の眼の位置が変化した場合、画像表示装置100は、画像の内容を、変化後の視点からの3D画像に変更してもよい。
【0034】
(1.2.各構成の詳細)
上記では、本発明に係る第1の実施例の概要について説明した。続いて、画像表示装置100の各構成の詳細について説明する。
【0035】
(1.2.1.走査光学系110)
まず、
図3および
図4を参照して、走査光学系110の各構成の詳細について説明する。走査光学系110は、
図3に示すように、光源部111と、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナ112と、放物面鏡113と、を備える。また、走査光学系110は、照明光学系130と接眼光学系150が配置された場合に発生するデッドスペースに配置可能である。これによって、画像表示装置100の小型化が可能になる。
【0036】
(光源部111)
光源部111は、赤色光、緑色光および青色光のレーザ光を合波することで白色光を生成する構成である。より具体的には、光源部111は、
図4に示すように、R光源部111−1aと、G光源部111−1bと、B光源部111−1cと、コリメートレンズ111−2a〜コリメートレンズ111−2cと、ダイクロイックミラー111−3aおよびダイクロイックミラー111−3bと、を備える。
【0037】
R光源部111−1a、G光源部111−1b、B光源部111−1cのそれぞれは、特定帯域にピーク強度を有するレーザ光を出射する構成であり、R光源部111−1aは赤色光を出射し、G光源部111−1bは緑色光を出射し、B光源部111−1cは青色光を出射する。
【0038】
光源部111に用いられるレーザ光源は、特に限定されるものではない。例えば、レーザ光源として半導体レーザ光源が用いられてもよい。より具体的には、R光源部111−1aとして、GaInP半導体を利用したGaInP量子井戸構造レーザダイオードが用いられ、G光源部111−1bおよびB光源部111−1cとして、GaInN半導体を利用したGaInN量子井戸構造レーザダイオードが用いられてもよい。レーザ光源として半導体レーザ光源が用いられることで、光源部111の小型化が可能になる。
【0039】
そして、R光源部111−1a、G光源部111−1bおよびB光源部111−1cから出射されたレーザ光は、それぞれ、対応するコリメートレンズ111−2a〜コリメートレンズ111−2cを透過することによって略平行なレーザ光になる。その後、R光源部111−1aからの赤色光は、ダイクロイックミラー111−3aおよびダイクロイックミラー111−3bを透過する。G光源部111−1bから出射された緑色光は、赤色光より長い波長の光を透過し緑色光を反射する特性を有するダイクロイックミラー111−3aによって光路を切り替えられることで赤色光と合波され、ダイクロイックミラー111−3bを透過する。B光源部111−1cから出射された青色光は、緑色光より長い波長の光を透過し青色光を反射する特性を有するダイクロイックミラー111−3bによって光路を切り替えられることで赤色光および緑色光と合波される。光源部111は、以上によって生成された白色光をMEMSスキャナ112へ出射する。
【0040】
なお、光源部111の構成は上記に限定されない。例えば、光源部111は、R光源、G光源およびB光源の全てを備える半導体レーザ光源を代りに用いてもよい。また、光源部111は、赤色光、緑色光または青色光以外の波長帯域のレーザ光を出射してもよい。
【0041】
(MEMSスキャナ112、放物面鏡113)
MEMSスキャナ112は、光源部111から入射したレーザ光を走査する光学素子である。より具体的には、MEMSスキャナ112は、放物面鏡113の焦点位置に配置され、MEMSスキャナ112によって走査されたレーザ光は、放物面鏡113によって反射されて、ビームシェイパー120へ入射する。このとき、放物面鏡113の焦点位置から出射されたレーザ光が放物面鏡113上の各点で反射する場合、各反射光の進行方向は放物面鏡113の光軸に対して略平行になるという特徴を有する。互いに略平行となった反射光は、ビームシェイパー120の面に対して略垂直に入射する。
【0042】
また、本実施例においては、観察者の眼の位置情報に基づいて、レーザ光がビームシェイパー120に入射する位置を制御する第1の制御部(図示なし。または、MEMSスキャナ112が第1の制御部であってもよい)が備えられる。より具体的には、第1の制御部は、MEMSスキャナ112を制御することによって、放物面鏡113に反射されたレーザ光がビームシェイパー120に入射する位置を制御する。なお、ビームシェイパー120において、レーザ光の入射位置が変更された場合であっても、レーザ光の入射角度は変わらない(換言すると、レーザ光の入射角度は、ビームシェイパー120の面に対して略垂直のままである)。
【0043】
ここで、本発明に係るビームシェイパー120は、画像表示装置100の光学系において、観察者の眼の位置と共役関係になっている。そのため、観察者の眼の位置が、光軸に対して略垂直な方向に動く場合、第1の制御部は、観察者の眼の位置の変化に対応するビームシェイパー120上の位置にレーザ光を入射させるようにMEMSスキャナ112を制御することで、観察者の眼に画像光を集光させ続けることができる。
【0044】
また、MEMSスキャナ112は、互いに異なる右眼画像と左眼画像を生成することができる。例えば、MEMSスキャナ112は、高速で駆動することによって、タイムシーケンシャルに、互いに異なる右眼画像と左眼画像とを高速で切り替えることができ、これによって、観察者に3D画像を視認させることができる。
【0045】
そして、本実施例においては、観察者の眼の位置情報に基づいて、画像の内容を制御する第3の制御部(図示なし。または、MEMSスキャナ112が第3の制御部であってもよい)が備えられる。例えば、所定の視点からの3D画像が表示されている状態から観察者の眼の位置が変化した場合、第3の制御部は、画像の内容を、変化後の視点からの3D画像に変更してもよい。これによって、観察者の眼の位置が変化しても、観察者は適切な画像を視認し続けることができる。
【0046】
なお、本実施例では、レーザ光を走査する機能を有していれば、MEMSスキャナ112以外の光学素子が用いられてもよい。また、レーザ光をビームシェイパー120に対して略垂直に入射させることができれば、放物面鏡113以外の光学素子が用いられてもよい。
【0047】
(1.2.2.ビームシェイパー120)
ビームシェイパー120は、DOE(Diffractive Optics Element)等の回折光学素子、HOE(Holographic
Optical Element)等のホログラフィック光学素子または拡散板等が用いられることで、放物面鏡113によって反射されたレーザ光の進行方向を回折現象等により変更し、レーザ光を照明光学系130へ伝搬する光学素子である。また、ビームシェイパー120は、レーザ光のビーム形状を変更可能である。上記のとおり、放物面鏡113によって反射されたレーザ光が、ビームシェイパー120の面に対して略垂直に入射することで、ビームシェイパー120は、常に、入射したレーザ光の光束径を所定の大きさ(例えば、照明光学系130における照明光のコーンアングルに応じた大きさ)まで広げ、レーザ光の形状を所定の略矩形形状へ変更することができる。
【0048】
また、本実施例においては、観察者の眼の位置情報に基づいて、ビームシェイパー120の位置を制御する第2の制御部(図示なし)が備えられる。より具体的には、第2の制御部は、ビームシェイパー120の位置を光軸に対して前後(換言すると、ビームシェイパーの面に対して略垂直な方向)に制御する。
【0049】
上記のとおり、本発明に係るビームシェイパー120は、画像表示装置100の光学系において、観察者の眼の位置と共役関係になっているため、観察者の眼の位置が、光軸に対して前後に動く場合、第2の制御部は、観察者の眼の位置の変化に対応する位置にビームシェイパー120の位置を変更することで、観察者の眼に画像光を集光させ続けることができる。なお、ビームシェイパー120の位置の変更方法は特に限定されない。
【0050】
(1.2.3.照明光学系130)
照明光学系130は、上記のとおり、アナモルフィックレンズ131と、第1の自由曲面ミラー132と、第2の自由曲面ミラー133と、を備える。
【0051】
(アナモルフィックレンズ131)
アナモルフィックレンズ131は、例えばシリンドリカルレンズ(レンチキュラーレンズ)であり、その光学特性(例えば焦点距離)が、光軸に直交し且つ互いに直交する二方向で異なる曲率を有している光学素子である。これによって、アナモルフィックレンズ131は、ビームシェイパー120から入射したレーザ光を、短軸方向に沿って広げることができる。ビームシェイパー120およびアナモルフィックレンズ131等によってディスプレイパネル140の略全面への効率的な照明が可能となる。
【0052】
なお、アナモルフィックレンズ131が有するアナモルフィック面の定義式については後述する。
【0053】
(第1の自由曲面ミラー132、第2の自由曲面ミラー133)
第1の自由曲面ミラー132は、アナモルフィックレンズ131から入射したレーザ光を反射する光学素子である。また、第2の自由曲面ミラー133は、第1の自由曲面ミラー132から入射したレーザ光を反射することでレーザ光をディスプレイパネル140に向けて出射する光学素子である。
【0054】
自由曲面を有するこれらの光学素子が用いられることによって、光の反射が適切に制御されつつ、かつ、画像表示装置100の小型化が実現される。第1の自由曲面ミラー132および第2の自由曲面ミラー133が有する自由曲面の定義式については後述する。
【0055】
(1.2.4.ディスプレイパネル140)
ディスプレイパネル140は、第2の自由曲面ミラー133から入射したレーザ光によって中間像を形成する。ディスプレイパネル140に結像した光は、ディスプレイパネル140の出射側から接眼光学系150の第3の自由曲面ミラー151へ出射される。
【0056】
また、
図1および
図2に示すように、ディスプレイパネル140は、第3の自由曲面ミラー151から第4の自由曲面ミラー152に至る光路と、第4の自由曲面ミラー152からコンバイナ153に至る光路との間に配置される。この構成によって、接眼光学系150の小型化および光学性能の高い光学構成が可能となる。
【0057】
(1.2.5.接眼光学系150)
接眼光学系150は、上記のとおり、第3の自由曲面ミラー151と、第4の自由曲面ミラー152と、コンバイナ153と、を備える。
【0058】
(第3の自由曲面ミラー151、第4の自由曲面ミラー152)
第3の自由曲面ミラー151は、ディスプレイパネル140から出射された中間像を構成する画像光を反射する光学素子(前段の自由曲面ミラー)である。また、第4の自由曲面ミラー152は、第3の自由曲面ミラー151から入射した画像光を反射することで画像光をコンバイナ153に向けて出射する光学素子(後段の自由曲面ミラー)である。
【0059】
ここで、第3の自由曲面ミラー151から第4の自由曲面ミラー152に至るまでの光路中で画像光がクロスするように各光学素子が配置される。より具体的には、
図5に示すように、第3の自由曲面ミラー151のある点で反射された画像光は、第3の自由曲面ミラー151の別の点で反射された画像光と位置20でクロスして第4の自由曲面ミラー152へ入射する。
【0060】
これによって、画像表示装置100の光学系、特に、第3の自由曲面ミラー151および第4の自由曲面ミラー152の小型化が可能となる。なお、第3の自由曲面ミラー151から第4の自由曲面ミラー152に至るまでの光路中において画像光がクロスする態様は特に限定されない。
【0061】
さらに、第4の自由曲面ミラー152からコンバイナ153に至るまでの光路中で各像高の光線がクロスするように各光学素子が配置される。より具体的には、
図5に示すように、第4の自由曲面ミラー152から出射した各像高の光線は、位置30でクロスしてコンバイナ153へ入射する。
【0062】
これによって、コンバイナ153へ入射する光線の広がり角度がより大きくなり、コンバイナ153によって反射された画像光が観察者の眼に集光され易くなるため、画像表示装置100の光学性能が向上する。また、本開示が広FOV(Field Of View)の光学系に適用された場合においても、当該光学系の小型化が可能となる。なお、第4の自由曲面ミラー152からコンバイナ153に至るまでの光路中で各像高の光線がクロスする態様は特に限定されない。第3の自由曲面ミラー151および第4の自由曲面ミラー152が有する自由曲面の定義式については後述する。
【0063】
(コンバイナ153)
コンバイナ153は、第4の自由曲面ミラー152から入射した画像光が投影されると共に、その投影光を観察者の眼へ一部反射することで虚像を観察者に視認させる光学素子である。より具体的には、コンバイナ153は、無色の樹脂性透明板の視認側表面に、ハーフミラーとしての役割を果たす蒸着膜を形成して構成されている。なお、本実施例においては、コンバイナ153の反射面は凹形状である例を示しているが、これに限定されず、コンバイナ153の反射面は凸面形状でもよい。また、コンバイナ153の代りに、ウインドシールドガラス10が用いられてもよい。
【0064】
以上では、画像表示装置100の各構成の詳細について説明した。上記のとおり、画像表示装置100は、反射光学系であるため、波長の違いによる色収差の発生を防ぐことができる。これによって、画像表示装置100は、色滲みのない、高画質の画像を表示することができる。
【0065】
ここで、
図6および
図7に、上記で説明してきた画像表示装置100の全光学素子の配置構成例を示す(
図7は、画像表示装置100の各光学素子を通過する光束において、各光学素子の中心位置を伝搬する光のみが示された図である)。なお、画像表示装置100の各光学素子の配置構成例は、
図6および
図7に限定されない。
【0066】
(1.3.自由曲面の定義式)
続いて、照明光学系130が備える第1の自由曲面ミラー132と第2の自由曲面ミラー133、および、接眼光学系150が備える第3の自由曲面ミラー151、第4の自由曲面ミラー152とコンバイナ153のそれぞれが有する自由曲面の定義式について説明する。各光学素子が有する自由曲面は、その面の頂点を原点とする直交座標系(x,y,z)を定義したとき、下記の式(1)、式(2)、式(3)により定義される。なお、各光学素子についての、式(1)の各係数を以下の表1に示す。
【0069】
【数3】
x:面のx座標
y:面のy座標
z:z軸に略平行な面のサグ量
c:頂点曲率(=1/曲率半径)
k:コーニック定数
C
j:単項式x
my
nの係数(自由曲面係数)
【0071】
(1.4.アナモルフィック面の定義式)
上記では、各光学素子の自由曲面の定義式について説明した。続いて、アナモルフィックレンズ131が有するアナモルフィック面の定義式について説明する。アナモルフィック面は、その頂点を原点とする直交座標系(x,y,z)を定義したとき、下記の式(4)により定義される。なお、式(4)の各係数を以下の表2に示す。
【0072】
【数4】
x:面のx座標
y:面のy座標
z:z軸に略平行な面のサグ量
CUX:xの曲率
CUY:yの曲率
KX:xのコーニック係数
KY:yのコーニック係数
AR:回転対称の4次係数
BR:回転対称の6次係数
CR:回転対称の8次係数
DR:回転対称の10次係数
AP:非回転対称の4次係数
BP:非回転対称の6次係数
CP:非回転対称の8次係数
DP:非回転対称の10次係数
【0074】
(1.5.各光学素子の位置座標)
上記では、アナモルフィックレンズ131が有するアナモルフィック面の定義式について説明した。続いて、画像表示装置100の各光学素子の位置座標の例について説明する。より具体的には、アイボックスの中心点を原点とする直交座標系(x,y,z)(
図6および
図7を参照)が定義されたときの各光学素子の位置座標の例を以下の表3〜表5に示す。なお、表3〜表5の各位置座標は、各光学素子の中心位置を示している。また、各光学素子における偏芯も併せて記載されている。偏芯におけるα、β、γは、それぞれx軸、y軸、z軸を回転軸としたときの傾き角を指し、傾き角αと傾き角βの正はそれぞれx軸、y軸の正方向に対して反時計回りに回転させたときの角度を示し、傾き角γの正はz軸の正方向に対して時計回りに回転させたときの角度を示す。
【0078】
なお、上記で説明してきた各光学素子のうち、ディスプレイパネル140より前段に配置された各光学素子はOff-Axis光学系(いわゆる「軸はずしの光学系」)であり、ディスプレイパネル140および接眼光学系150の各光学素子はOn-Axis光学系である。これによって、上記の定義式、位置座標および偏芯を満たしつつ、光学性能の高い光学系を実現することが可能となる。なお、これはあくまで一例であり、各光学素子がOff-Axis光学系またはOn-Axis光学系のいずれであるかについては、種々の条件(上記の定義式、位置座標、偏芯、または、求められる光学性能等)に応じて適宜変更されてもよい。
【0079】
<2.第2の実施例>
上記では、本発明に係る第1の実施例について説明した。続いて、
図8および
図9を参照して、本発明に係る第2の実施例について説明する。
図8に示すように、第2の実施例においては、上記の光源部111の代りに、半導体レーザ光源がアレイ状に配置された光源部114が用いられる。なお、その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0080】
続いて、
図9を参照して、第2の実施例に係る光源部114の構成例について説明する。
図9に示すように、光源部114は、レーザ光源部114−1a〜レーザ光源部114−1dと、コリメートレンズ114−2a〜コリメートレンズ114−2dと、放物面鏡114−3と、コリメートレンズ114−4と、を備える。
【0081】
レーザ光源部114−1a〜レーザ光源部114−1dは、アレイ状に配置され、所定のレーザ光を出射する光学素子である。
図9には、レーザ光源部114−1a〜レーザ光源部114−1dという4個のレーザ光源部(
図8には、縦4列、横4列に配置された計16個のレーザ光源部)しか示されていないが、レーザ光源部の数は特に限定されず、放物面鏡114−3の大きさ、または、必要な光量等に基づいて適宜変更され得る。また、各レーザ光源部が出射するレーザ光の波長は特に限定されない(換言すると、レーザ光の波長に関係なく合波可能である)。
【0082】
レーザ光源部114−1a〜レーザ光源部114−1dから出射されたレーザ光は、それぞれ、対応するコリメートレンズ114−2a〜コリメートレンズ114−2dを透過することによって略平行なレーザ光になる。これらの略平行なレーザ光は、放物面鏡114−3に反射することによって、放物面鏡114−3の焦点位置に配置されているコリメートレンズ114−4に集光することで合波される。
【0083】
<3.第3の実施例>
上記では、本発明に係る第2の実施例について説明した。続いて、
図10を参照して、本発明に係る第3の実施例について説明する。
【0084】
本実施例は、レーザ光によるスペックルノイズの影響を軽減可能な例である。スペックルノイズとは、反射面や透過面に微小な凹凸がある場合に、レーザ光が互いに干渉して輝点が発生する現象であり、スペックルノイズが発生すると、画像がちらつき易くなるため好ましくない。また、レーザ光は狭帯域であるため、発光波長が一定であり干渉しやすく、スペックルノイズが発生しやすい。
【0085】
そこで、
図10示すように、第3の実施例においては、上記の光源部111の代りに、コンデンサレンズ115−4、拡散板115−5、モータ115−6およびコリメートレンズ115−7を備える光源部115が用いられる。なお、その他の構成は第1の実施例に係る光源部111(
図4参照)と同様であるため説明を省略する。
【0086】
光源部111と同様に、ダイクロイックミラー115−3aおよびダイクロイックミラー115−3bによって各色光が合波されることで生成された白色光は、コンデンサレンズ115−4に入射する。
【0087】
コンデンサレンズ115−4は、入射してきたレーザ光を、拡散板115−5に集光させる。その後、拡散板115−5にて散乱したレーザ光は、コリメートレンズ115−7を透過することで略平行なレーザ光になる(換言すると、コリメートレンズ115−7によってビーム化される)。コリメートレンズ115−7によってビーム化されることによって、後段のMEMSスキャナ112による走査が可能となる。
【0088】
ここで、拡散板115−5においては、レーザ光が当たる位置によって、拡散板115−5から出射するレーザ光のスペックルの状態が変化する。さらに、モータ115−6が拡散板115−5を回転させることによって、拡散板115−5から出射するレーザ光のスペックルの状態が回転と共に変化する。
【0089】
これによって、スペックルノイズが平均化され、低減される。より具体的には、ある瞬間の出射光においてはスペックルノイズが発生しているが、モータ115−6が高速(所定の速度以上)で拡散板115−5を回転させることで、スペックルノイズを平均化し、肉眼では認識できない程度までスペックルノイズを低減させることができる。これによって、画像のちらつきが低減可能となる。
【0090】
なお、上記の構成はあくまで一例であり、上記の光学素子は、同様の機能を有する別の光学素子に適宜変更され得る。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、上記実施例では、本開示がヘッドアップディスプレイ装置に適用されていたが、本開示は、ヘッドマウントディスプレイ装置等に適用されてもよい。