特開2019-121439(P2019-121439A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-121439(P2019-121439A)
(43)【公開日】2019年7月22日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6473 20110101AFI20190701BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20190701BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20190701BHJP
【FI】
   H01R13/6473
   H01R13/648
   H01R12/71
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-253496(P2017-253496)
(22)【出願日】2017年12月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 克佳
(72)【発明者】
【氏名】大澤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】浅井 清
【テーマコード(参考)】
5E021
5E123
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA11
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC08
5E021FC23
5E021FC40
5E021LA09
5E021LA15
5E123AB01
5E123AB16
5E123AB60
5E123AB62
5E123AB64
5E123AB67
5E123BA01
5E123BA07
5E123BB12
5E123CB22
5E123CB25
5E123CB27
5E123CB31
5E123CD01
5E123CD04
5E123DA05
5E123DB08
5E123DB25
5E123EA03
5E123EB04
5E123EB12
5E223AB01
5E223AB16
5E223AB60
5E223AB62
5E223AB64
5E223AB67
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB25
5E223CB27
5E223CB31
5E223CD01
5E223CD04
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB25
5E223EA03
5E223EB04
5E223EB12
(57)【要約】
【課題】製品寸法を抑えつつインピーダンスの制御を容易化できるコネクタを提供し、併せて、ハウジングの破壊を有効に抑制できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング11にそれぞれ対応する相手側端子との接触面を有する複数の端子を互いに離間させて装着したコネクタであって、複数の端子12〜16が、グランド端子15、16と、グランド端子15、16を間に挟んで接触面方向に離間するよう並列配置された複数の信号端子12、13、14とを含み、グランド端子15、16は、複数の信号端子12、13、14同士の離間方向に対し交差する板面15a、16aを有する導体板によって構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングにそれぞれ対応する複数の相手側端子との接触面を有する複数の端子を互いに離間させて装着したコネクタであって、
前記複数の端子が、グランド端子と、該グランド端子を間に挟んで前記接触面の方向に離間するよう並列配置された複数の信号端子とを含み、
前記グランド端子は、前記複数の信号端子同士の離間方向に対し交差する板面を有する導体板によって構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記複数の信号端子が、前記複数の相手側端子との凹凸嵌合面形状に対応する曲げ形状をなし、
前記グランド端子が、前記複数の相手側端子との凹凸嵌合深さの全域に及ぶ板面を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記グランド端子が、前記複数の信号端子の前記接触面に対し直交する板面を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタハウジングが、前記複数の端子を一体に保持する絶縁部材と、前記絶縁部材の外周側で前記複数の端子の離間方向に延びるシェル状導体と、を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記シェル状導体が、前記絶縁部材の外周側で全周にわたって連続する囲繞形状を有していることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、擬似同軸構造のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、良好な信号伝送特性が要求される高周波信号等の信号伝送用に、平板状でありながら伝送特性を高める、いわゆる擬似同軸構造を有するコネクタが使用されている。
【0003】
この種のコネクタとしては、雌雄のコネクタハウジングにそれぞれ並列に装着された複数の接続端子(グランド端子および信号端子)を備え、複数のうち中央のグランド端子を接地電位に接続することで、嵌合状態において複数のうち両側の信号端子を接地電位のグランドで囲んだコプレーナ構造にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなコネクタでは、信号端子のインピーダンスを安定させ得るという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6167997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来のコネクタにあっては、複数の信号端子およびグランド端子がすべて導体の板材を曲げた同一形状部品で構成され、それらが並列配置される構成となっていたため、複数の端子(実装基板側の配線パターン)の幅や配設ピッチを拡げるようなコネクタの設計自由度が制限されていた。そのため、信号端子のインピーダンスの制御が難しいことに加えて、製品寸法が大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、従来のコネクタでは、コネクタハウジングの絶縁樹脂部に対して、同一形状の複数の信号端子およびグランド端子を並列に挿入する構成であったため、絶縁樹脂部に対する全端子の挿入に伴う応力がすべて同一方向に作用することになり、絶縁樹脂部に割れ等の破損が生じることが懸念されていた。
【0008】
さらに、従来のコネクタでは、雌雄のコネクタハウジングの外周側にそれぞれシェル状の固定端子が設けられているものの、両固定端子のいずれもコネクタハウジングの全周に及ぶ囲繞形状ではないため、前述のような絶縁樹脂部の割れ等の破損を有効に防止することができないという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は、製品寸法を大きくすることなくインピーダンスの制御を容易にすることができるコネクタを提供することを目的とし、併せて、ハウジングの破壊を有効に抑制することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコネクタは、上記目的達成のため、コネクタハウジングにそれぞれ対応する複数の相手側端子との接触面を有する複数の端子を互いに離間させて装着したコネクタであって、前記複数の端子が、グランド端子と、該グランド端子を間に挟んで前記接触面の方向に離間するよう並列配置された複数の信号端子とを含み、前記グランド端子は、前記複数の信号端子同士の離間方向に対し交差する板面を有する導体板によって構成されているものである。
【0011】
この構成により、複数の信号端子の間でグランド端子が占める離間方向の寸法が、板幅でなく板厚かそれに近い寸法程度に狭めることができ、信号端子の幅や間隔をインピーダンス制御に好適な程度に広くすることができ、伝送特性に優れたコネクタにできる。
【0012】
本発明に係るコネクタは、前記複数の信号端子が、前記複数の相手側端子との凹凸嵌合面形状に対応する曲げ形状をなし、前記グランド端子が、前記複数の相手側端子との凹凸嵌合深さの全域に及ぶ板面を有する構成とすることができる。
【0013】
この構成により、隣り合う複数の信号端子の間の接触面が、複数の相手側端子との凹凸嵌合形状に対応して曲がっていても、その凹凸深さの全域にわたってグランド端子の板面による遮蔽機能を担保できる。
【0014】
本発明に係るコネクタは、前記グランド端子が、前記複数の信号端子の前記接触面に対し直交する板面を有している構成とすることもできる。この場合、隣り合う信号端子がグランド端子の板面に対し対称に配置されることとなる。
【0015】
本発明に係るコネクタは、前記コネクタハウジングが、前記複数の端子を一体に保持する絶縁部材と、前記絶縁部材の外周側で前記複数の端子の離間方向に延びるシェル状導体とを有している。この場合、擬似同軸構造による伝送特性の向上が期待できるとともに、絶縁部材の割れ等を有効に抑制可能となる。
【0016】
本発明に係るコネクタは、前記シェル状導体が、前記絶縁部材の外周側で全周にわたって連続する囲繞形状を有している。この場合、擬似同軸構造による伝送特性の向上と絶縁部材の割れ等の抑制機能がより高まることとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、製品寸法を大きくすることなくインピーダンスの制御を容易にすることができるコネクタを提供することができ、併せて、ハウジングの破壊を有効に抑制することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタを雌雄コネクタセットの一方側であるレセプタクルとして構成した一例の概略構成を示すその平面図である。
図2】(a)は本発明の第1実施形態に係るコネクタをグランド端子のリード側斜上方から見た斜視図であり、(b)は同コネクタを信号端子のリード側斜上方から見た斜視図である。
図3】(a)は図1のIIIA−IIIA矢視断面図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係るコネクタを信号端子のリード側から見た正面図である。
図4】(a)は図1のIVA−IVA矢視断面図であり、(b)は図1のIVB−IVB矢視断面図であり、(c)は図1のIVA矢視およびIVB矢視方向に見た本発明の第1実施形態に係るコネクタの右側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るコネクタの下面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るコネクタを含む雌雄コネクタセットの雌雄嵌合状態を図4(b)に対応する断面位置で示す嵌合部横断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るコネクの複数の信号端子の並列状態を上面視したその配置説明図である。
図8】(a)は本発明の第1実施形態に係るコネクの複数の信号端子を図2(a)に対応する矢視方向から見た斜視図であり、(b)は同コネクタを図2(b)に対応する矢視方向から見た斜視図である。
図9】(a)は本発明の第1実施形態に係るコネクタを含む雌雄コネクタセットの他方側であるプラグの嵌合部位をその複数の信号端子のリード側から見た斜視図であり、(b)は同コネクタを含む雌雄コネクタセットの他方側であるプラグの嵌合部位をその複数のグランド端子のリード側から見た斜視図である。
図10】本発明の第1実施形態に係るコネクタを含む雌雄コネクタセットのプラグの内面側を示す下面図である。
図11】(a)は図10のXIA−XIA矢視断面図であり、(b)は図10のXIB−XIB矢視断面図であり、(c)は図10のXIC−XIC矢視断面図である。
図12】本発明の第1実施形態に係るコネクタを含む雌雄コネクタセットの基板側のランドパターンの配置説明図であり、(a)はそのプラグ側基板のランドパターンの配置説明図、(b)はそのレセプタクル側基板のランドパターンの配置説明図である。
図13】本発明の第2実施形態に係るコネクタを雌雄コネクタセットの一方側であるレセプタクルとして構成した一例の概略構成を示すその平面図である。
図14】(a)は本発明の第2実施形態に係るコネクタをグランド端子のリード側斜上方から見た斜視図であり、(b)は同コネクタを信号端子のリード側斜上方から見た斜視図である。
図15】(a)は図13のXVA−XVA矢視断面図であり、(b)は本発明の第2実施形態に係るコネクタを信号端子のリード側から見た正面図である。
図16】(a)は図13のXVIA−XVIA矢視断面図であり、(b)は図13のXVIA矢視方向に見た本発明の第2実施形態に係るコネクタの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1ないし図12は、本発明の第1実施形態に係るコネクタを含む雌雄コネクタセットの構成を示している。
【0021】
まず、その構成について説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のコネクタは、雌雄のコネクタセットのうち雌側であるレセプタクル10として構成されており、雄側である後述のプラグ50(図9参照)と凹凸嵌合しつつ対応する雌雄の信号端子の接触面同士を所定の接触圧で導通接触させるようになっている。
【0023】
図1ないし図6に示すように、レセプタクル10は、コネクタハウジング11に信号端子12、13、14およびグランド端子15、16(以下、複数の端子12〜16ともいう)を、同一平面的にかつ互いに所定間隔に離間させて装着したものある。
【0024】
図2(a)および図2(b)に示すように、コネクタハウジング11は、平板状のインシュレータ(絶縁性部材)で、例えば熱可塑性樹脂により射出成形されている。このコネクタハウジング11は、複数の信号端子挿入孔11a、11b、11cと、グランド端子挿入孔11d、11eと、中央の嵌合部挿入孔11fとを有している。
【0025】
図7および図8に示すように、複数の端子12〜16のうち接触端子である信号端子12〜14は、それぞれ導体板、例えば銅合金製の板材を略帯状の同一形状に打ち抜き加工するとともに、板厚方向に曲げ加工して、両図および図4(b)に示すような湾曲形状に成形したものである。
【0026】
そして、複数の信号端子12〜14のそれぞれの板面によって、後述する信号端子52、53、54(対応する相手側端子)との凹凸嵌合面である接触面12a、12b、13a、13b、14a、14bが形成されるとともに、実装基板側に接続可能な接続端部12c、13c、14cが形成されている。
【0027】
図1ないし図4に示すように、複数の信号端子12〜14は、複数、例えば一対のグランド端子15、16を間に挟んで、図1中の左右方向に互いに隣り合っている。
【0028】
これら一対のグランド端子15、16は、それぞれ導体板、例えば銅合金製の板材を図4(a)に示すような略同一の端子形状に打ち抜き加工したものであり、それぞれの長手方向を図1中の上下に向けて、それぞれの板面が平行になるように並列配置されている。
【0029】
また、複数の信号端子12、13、14は、複数の信号端子挿入孔11a、11b、11cに挿入、例えば圧入された嵌合部12d、13d、14dを有しており、それぞれの接触面12a、12b、13a、13b、14a、14bを、コネクタハウジング11の中央の嵌合部挿入孔11fの両内側面から所定の内突高さで露出させている。そして、コネクタハウジング11の嵌合部挿入孔11fおよびそこに露出する複数の信号端子12、13、14によって、レセプタクル10側の凹状嵌合部分10rが構成されている。
【0030】
一方、複数のグランド端子15、16は、コネクタハウジング11のグランド端子挿入孔11d、11eに挿入、例えば圧入された嵌合状態で、レセプタクル10側の凹状嵌合部分10r内を3区画に区分するように横断するとともに、複数の信号端子12〜14の接触面12a、12b、13a、13b、14a、14bの面方向に相互に離間している。
【0031】
また、複数のグランド端子15、16は、複数の信号端子12〜14同士の離間方向(図1の左右方向)である接触面12a、12b、13a、13b、14a、14bの面方向に対し交差、例えば直交する板面15a、16aと、実装基板側への接続端部15c、16cとを有している。
【0032】
また、前述のように、複数の信号端子12〜14は、雌雄のコネクタハウジング11等の凹凸嵌合面形状、すなわちレセプタクル10側の凹状嵌合部分10rに対応する曲げ形状をなしているが、複数のグランド端子15、16の板面15a、16aは、そのレセプタクル10側の凹状嵌合部分10rの凹凸嵌合深さの全域に及んでいる。
【0033】
図9ないし図11に示すように、プラグ50は、コネクタハウジング51に複数の端子である信号端子52、53、54の接触面52a、52b、53a、53b、54a、54bを互いに所定間隔に離間させるように装着したものであり、例えばインサート成形樹脂部55(絶縁部材)を有するようにインサート成形されている。
【0034】
このプラグ50は、レセプタクル10の凹状嵌合部分10rに対応する凸状嵌合部分50pを有しており、凸状嵌合部分50pは、インサート成形樹脂部55の中央部に整列配置された複数の突出部55a、55b、55cの両側面から所定の外突高さで、複数の信号端子52〜54の接触面52a、52b、53a、53b、54a、54bを露出させている。プラグ50は、さらに、凸状嵌合部分50pの周囲にレセプタクル10の凹状嵌合部分10rの開口周辺部分を収納する凹部57とそれを取り囲む周壁部58とを有している。
【0035】
また、コネクタハウジング51は、複数の端子52、53、54を一体に保持するインサート成形樹脂部55(絶縁部材)に加えて、インサート成形樹脂部55の外周側で少なくとも複数の信号端子52〜54の離間方向に延びるシェル状導体56を、周壁部58の一部として一体に有している。
【0036】
本実施形態の雌雄のコネクタセットにおいては、シェル状導体17は、コネクタハウジング11の外周側で周方向に連続する略長方形の環状をなしており、シェル状導体56は、略インサート成形樹脂部55の外周側で周壁部58の内周に沿って延びている。
【0037】
具体的には、レセプタクル10のシェル状導体17は、複数の端子12ないし16が挿入されるコネクタハウジング11に対して、例えばインサート成形により一体に装着されている。そして、このシェル状導体17は、板状の絶縁部材であるコネクタハウジング11の外周側で全周にわたって略方形枠状に連続し、コネクタハウジング11の上面外周および側面上部を取り囲む囲繞形状をなしている。
【0038】
また、プラグ50のシェル状導体56は、両側辺に複数の突出部を有する帯状体を周壁部58の内周に沿う形状に略長方形に曲げ加工されて、コネクタハウジング51の一部としてインサート成形され、インサート成形樹脂部55と一体化されている。
【0039】
すなわち、本実施形態においては、雌雄のコネクタハウジング11、51の少なくとも一方、例えばその双方が、複数の端子12ないし16を一体に保持する絶縁部材としてのコネクタハウジング11と、複数の端子52ないし54を一体に保持する絶縁部材としてのインサート成形樹脂部55と、コネクタハウジング11の外周側で少なくとも複数の端子の離間方向に延びる例えば銅合金からなるシェル状導体17と、インサート成形樹脂部55の外周側で少なくとも複数の信号端子52〜54の離間方向に延びる例えば銅合金からなるシェル状導体56とを有している。
【0040】
図12(a)は、本実施形態のレセプタクル10を含む雌雄のコネクタセットのうちプラグ50を実装する第1の基板61側の複数組のランド61a、61b、61cの配置パターンを示しており、図12(b)は、本実施形態のレセプタクル10を実装する第2の基板62側の複数組のランド62a、62b、62cの配置パターンを示している。
【0041】
図12中に詳細を図示しないが、第1の基板61の複数組のランド61a(図12(a)中3つのランド61a)には、対応するそれぞれの帯状の信号配線が接続されており、第2の基板62の複数組のランド62a(図12(b)中3つのランド62a)には、対応するそれぞれの帯状の信号配線が接続されている。
【0042】
そして、第1の基板61の複数組のランド61aには、レセプタクル10の複数の信号端子12〜14が接続され、第2の基板62の複数組のランド62aには、プラグ50の複数の信号端子52〜54が接続される。
【0043】
また、レセプタクル10のシェル状導体17には、第1の基板61側の複数組のうちグランド側のランド61bに接続する長手方向両端側の接続部17bと、複数組のうちグランド側のランド61cにグランド端子15、16と共に接続するリード側の接続部17cとが設けられている。そして、プラグ50のシェル状導体56には、第2の基板62側の複数組のうちグランド側のランド62b、62cに接続する接続部56b、56cが設けられている。
【0044】
次に、作用について説明する。
【0045】
上述のように構成された本実施形態の雌雄のコネクタセットにおいては、レセプタクル10の複数の端子12〜16が、複数の信号端子12〜14およびグランド端子15、16を含み、グランド端子15、16が、複数の信号端子12〜14同士の離間方向に対し直交する板面15a、16aを有する導体板によって構成されている。
【0046】
したがって、複数の信号端子12〜14の間でグランド端子15、16が占める離間方向(図1の左右方向)の寸法が、その板材の幅でなく板厚かそれに近い寸法程度に狭めることができる。
【0047】
よって、複数の信号端子12〜14の隣り合う方向(離間方向)におけるグランド端子15、16の幅が板厚程度に縮小されることで、第1の基板61の複数組のランド61aおよび第2の基板62の複数組のランド62aに接続する信号配線パターンを、信号線幅が広くかつその間隔も広いものにできることとなる。
【0048】
その結果、製品寸法を大きくすることなく、複数の信号端子12〜14およびグランド端子15、16のすべてを同一形状の導体部品で構成する場合に比べると、複数の端子12〜16および実装基板側の配線パターンの幅やその配設ピッチを拡げるようなコネクタの設計自由度が高まることになる。そのため、信号端子のインピーダンスの制御が容易化されることに加えて、製品寸法が大きくなってしまうという問題が解消されることとなる。
【0049】
また、本実施形態では、複数の信号端子12〜14および52〜54が、雌雄のコネクタハウジング11、51の凹凸嵌合面形状である凹状嵌合部分10rに対応する曲げ形状をなし、グランド端子15、16が、凹状嵌合部分10rの凹凸嵌合深さの全域に及ぶ板面15a、16aを有している。
【0050】
したがって、隣り合う複数の信号端子12〜14および52〜54の間の接触面12a、12b等および接触面52a〜54aが、雌雄のコネクタハウジング11、51の凹凸嵌合形状に対応して曲がっていても、その凹凸深さの全域にわたってグランド端子15、16の板面15a、16aによる遮蔽機能を担保できる。
【0051】
さらに、本実施形態では、複数の信号端子12〜14および52〜54のうち隣り合う各一対がそれぞれグランド端子の板面15a、16aに対し対称に配置されることとなるので、インピーダンス制御により好適な端子配置となる。
【0052】
加えて、本実施形態では、雌雄のコネクタハウジング11、51の少なくとも一方、例えばレセプタクル10は、複数の端子12〜16を嵌合状態で一体に保持する絶縁部材としてのコネクタハウジング11が、その外周側で複数の端子12〜16の離間方向に延びるシェル状導体17を有している。
【0053】
したがって、レセプタクル10において、擬似同軸構造による伝送特性の向上が期待できるとともに、コネクタハウジング11の割れ等を有効に抑制できることとなる。
【0054】
また、本実施形態では、シェル状導体17が、コネクタハウジング11の外周側で全周にわたって連続する囲繞形状を有しているので、コネクタハウジング11に対する複数の信号端子12〜14の離間方向における嵌合幅および離間間隔に対して、グランド端子15、16の嵌合幅が小さく、かつ、離間間隔が大きくなる。しかも、複数の信号端子12〜14の挿入(例えば圧入)による応力の作用方向とグランド端子15、16の挿入(例えば圧入)による応力の作用方向とが直交することで、隣り合う各一対の信号端子12、13間や13、14間において、グランド端子15、16の挿入部により応力が緩和されることになり、割れ等による破壊が有効に抑制されることとなる。
【0055】
このように、本実施形態においては、レセプタクル10およびプラグ50を含む雌雄のコネクタセットにおいて、その製品寸法を大きくすることなくインピーダンスの制御を容易にすることができ、併せて、そのコネクタハウジング11、51の破壊を有効に抑制することで、擬似同軸構造による伝送特性の向上に加えて、絶縁部材であるコネクタハウジング11等の割れ等の抑制機能をより高めることができるものである。
【0056】
(第2実施形態)
図13ないし図16は、本発明の第2実施形態に係るコネクタを含む雌雄コネクタセットの構成を示している。
【0057】
なお、本実施形態は、前述の第1実施形態と略同様の構成を有するもので、そのレセプタクル10およびプラグ50に対し、シェル状導体17およびシェル状導体56の形状が相違している。
【0058】
すなわち、前述の第1実施形態では、レセプタクル10において、コネクタハウジング11の外周側で少なくとも端子離間方向に延びるシェル状導体17を有していたが、その隅部の曲げ加工上の加工硬化等を考慮した切欠き17iが形成されていた。
【0059】
しかし、本実施形態では、シェル状導体17の材料や加工方法を変更することで、そのような切欠きをなくすものとしている。
【0060】
このようにすると、前述の第1実施形態と同様の効果が得られるのに加えて、グランド接続されるシェル状導体17、56の静電遮蔽性等をより高めることができる。
【0061】
なお、上述の各実施形態においては、レセプタクル10のグランド端子15、16が複数の信号端子12〜14とプラグ50の複数の信号端子52〜54との嵌合深さ領域の全域に及び、かつ、それらの凹凸嵌合面に対して直交する配置および形状としたが、凹凸嵌合面に対して傾斜していてもよい。
【0062】
また、コネクタハウジング11やインサート成形樹脂部55の樹脂材料が特に制限されないこと、グランド端子15、16や複数の信号端子12〜14および52〜54の数や素材が特に制限されないこと、シェル状導体17、56の形状や素材が特に制限されないことは、勿論である。
【0063】
もっとも、シェル状導体17の形状は、レセプタクル10の凹状嵌合部分10rとプラグ50の凸状嵌合部分50pとの導通接触部分の深さ程度以上の高さに及ぶものであり、シェル状導体56の高さも同程度以上であるのがよい。そして、例えばプラグ50が実装されるシールド板付の基板や接続部品等と相俟って、所要の擬似同軸構造のシールドを構成することができる。したがって、プラグ50側は、同軸ケーブルの接続端末部にシールド板を装着した程度で、外周部58を有するソケット形状を有していなくてもよい。
【0064】
以上説明したように、本発明に係るコネクタは、製品寸法を大きくすることなくインピーダンスの制御を容易にすることができるコネクタを提供し、併せて、ハウジングの破壊を有効に抑制することができるコネクタを提供することができるものであり、高周波信号等の信号伝送に好適な程度に伝送特性を高め得るいわゆる擬似同軸構造のコネクタ全般に有用である。
【符号の説明】
【0065】
10 レセプタクル(コネクタ)
10r 凹状嵌合部分
11、51 コネクタハウジング
11a、11b、11c 信号端子挿入孔
11d、11e グランド端子挿入孔
11f 嵌合部挿入孔
12、13、14 信号端子(複数の端子、接触端子)
12a、12b、13a、13b、14a、14b 接触面
12c、13c、14c 接続端部
12d、13d、14d 嵌合部
15、16 グランド端子(複数の端子)
15a、16a 板面
15c、16c 接続端部
17、56 シェル状導体
17b、17c 接続部
50 プラグ
50p 凸状嵌合部分
52、53、54 信号端子
52a、52b、53a、53b、54a、54b 接触面
55 インサート成形樹脂部
55a、55b、55c 突出部
56b、56c 接続部
57 凹部
58 周壁部
61 第1の基板
61a、61b、61c、62a、62b、62c ランド
62 第2の基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図16