【解決手段】有機膜と、複数のイオン伝導性無機粒子と、を含み、該有機膜が架橋共重合体を含み、該架橋共重合体が、フッ素含有第1反復単位と、フッ素非含有第2反復単位及びフッ素非含有第3反復単位のうち1以上の反復単位と、を含む、複合膜、それを含む負極構造体、リチウム電池及び複合膜製造方法である。
前記フッ素含有第1反復単位の含量の和が、架橋共重合体全体を基準として、1ないし50wt%であり、前記フッ素非含有第2反復単位及び前記フッ素非含有第3反復単位の含量の和が、架橋共重合体全体を基準として、50ないし99wt%であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の複合膜。
前記多官能性非フッ素系モノマーが、ジウレタンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3’−アクリルオキシ−2’,2’−ジメチルプロピル3−アクリルオキシ−2,2−ジメチルプロピオネート、ビスフェノールAジアクリレート、1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリトリトールアリルエーテル及びイソホロンジイソシアネートのうちから選択された1以上であり、
前記ポリチオールが、トリス(2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル)イソシアヌレート、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)及びトリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)のうちから選択された1以上であり、
前記多官能性含フッ素モノマーが、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート、2,2’−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタン−1,7−ジイル)ビス(オキシラン)及びFomblin(登録商標)MT70のうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項8または9に記載の複合膜。
前記有機膜が、複数個の貫通ホールを有し、前記複数のイオン伝導性無機粒子が前記貫通ホールに配置されることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の複合膜。
前記複合膜の表面が、連続的な有機膜内にイオン伝導性無機粒子が不連続的に配置された海島構造を含むか、あるいは、前記複合膜の断面が、有機膜とイオン伝導性無機粒子とが相互に整列された構造を含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の複合膜。
前記複数個のイオン伝導性無機粒子は、ガラス質活性金属イオン伝導体、非晶質活性金属イオン伝導体、セラミックス活性金属イオン伝導体、及びガラス・セラミックス活性金属イオン伝導体のうちから選択された1以上、またはそれらの組み合わせ物であることを特徴とする請求項1に記載の複合膜。
前記重合可能な化合物の含量は、イオン伝導性無機粒子100重量部を基準にして、10ないし1,000重量部であることを特徴とする請求項28に記載の複合膜の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下で説明される本創意的思想(present inventive concept)は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、特定実施例を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかし、それらは、本創意的思想を、特定の実施形態に対して限定するものではなく、本創意的思想の技術範囲に含まれる全ての変換、均等物または代替物を含むものであると理解されなければならない。
【0016】
以下で使用される用語は、ただ、特定実施例について説明するために使用されたものであり、本創意的思想を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。以下であり、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料、またはそれらの組み合わせが存在するということを示すものであり、1、またはその以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されなければならない。以下で使用される「/」は、状況により、「及び」とも解釈され、「または」とも解釈される。
【0017】
図面において、多くの構成要素、層及び領域を明確に表現するために、直径、長さ、厚みは、拡大したり縮小したりして示される。明細書全体を通じて、類似の部分については、同一図面符号を付した。明細書全体において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」または「上部」にあるとするとき、それは、他の部分の真上にある場合だけではなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。明細書全体において、第1、第2などの用語は、多様な構成要素についての説明に使用されるが、該構成要素は、用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。図面において、構成要素の一部が省略される場合があるが、それは、発明の特徴に対する理解の一助とするためのものであり、省略された構成要素を排除する意図ではない。
【0018】
以下、例示的な具現例による複合膜、それを含んだ負極構造体及びリチウム電池、並びに複合膜製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0019】
一具現例による複合膜は、有機膜と、複数のイオン伝導性無機粒子と、を含み、該有機膜が架橋(crosslinked)共重合体を含み、該架橋共重合体が、フッ素含有第1反復単位(repeating unit)と、フッ素非含有(free)第2反復単位及びフッ素非含有第3反復単位のうち1以上の反復単位と、を含む。
【0020】
該架橋共重合体が、架橋反復単位であるフッ素含有第1反復単位を含むことにより、電解質による有機膜の膨潤(swelling)が抑制される。従って、該電解質を含むリチウム電池の長期間充放電後にも、該有機膜を含む該複合膜の亀裂、破断が抑制される。
【0021】
該架橋共重合体が、フッ素非含有第2反復単位とフッ素非含有第3反復単位とのうち一つ以上を含むことにより、該架橋共重合体を含む有機膜が、水分や酸素、二酸化炭素などのガスを遮断する。従って、該有機膜を含む該複合膜を採用したリチウム電池において、長期間充放電後にも、水分及びガスによるリチウム負極の劣化が複合膜によって効果的に抑制される。
【0022】
該複合膜がイオン伝導性無機粒子を含むことにより、リチウムイオンなどのイオンの伝達が可能である。従って、該複合膜の抵抗が非常に低い。
【0023】
該複合膜が優秀なイオン伝導度、優秀なガス及び水分の遮断特性を提供し、電解質による膨潤が抑制され、耐久性が向上するので、該複合膜を含むリチウム電池の充放電特性が向上される。
【0024】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体が含む第1反復単位は、下記化学式1ないし3のいずれかで表示される:
【化1】
【化2】
【化3】
【0025】
前記化学式で、A
1、A
2、A
3及びA
4は、互いに独立して、共有結合、−C(=O)−O−、−C(=O)−、または炭素数1ないし5の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基であり、R
1及びR
2は、互いに独立して、ハロゲンで置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基;−(−R
a−O−)
k−(ここで、kは、2ないし100の数であり、R
aは、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
10アルキレン基である);ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
10シクロアルキレン基;ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
10アリーレン基;またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
10ヘテロアリーレン基であり、但し、フッ素含有反復単位におけるR
1及びR
2は、それぞれ1以上のフッ素原子を含み、X
1及びX
2は、互いに独立して、共有結合、−NH−C(=O)−、−CH
2CH(OH)−、−CF
2CF(OH)−、−O−または−S−であり、a1、a2、及びbは、モル分率であり、0≦a1<1、0≦a2<1、0≦b<1及び0<a1+a2+b<1である。
【0026】
該第1反復単位は、複数の高分子鎖に連結される第1架橋反復単位である。該第1架橋反復単位が1以上のフッ素原子を含むことにより、該架橋共重合体の電解質による膨潤が抑制される。該第1架橋反復単位が含むフッ素原子の含量が増加するほど、該架橋共重合体の電解質による膨潤がさらに効果的に抑制される。
【0027】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体が含む害第2反復単位は、下記化学式4ないし7のいずれかで表示される:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0028】
前記化学式で、A
5、A
6、A
7及びA
8は、互いに独立して、共有結合、−C(=O)−O−、−C(=O)−、または炭素数1ないし5の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基であり、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、互いに独立して、炭素数1ないし10の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基;−(−R
a−O−)
k−(ここで、kは、2ないし100の数であり、R
aは、C
2−C
10アルキレン基である);C
6−C
10シクロアルキレン基;C
6−C
10アリーレン基;またはC
2−C
10ヘテロアリーレン基であり、Y
1は、水素原子、−OH、または−SHであり、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7、X
8及びX9は、互いに独立して、共有結合、−NH−C(=O)−、−CH
2CH(OH)−、−CF
2CF(OH)−、−O−または−S−であり、c、d、e及びfは、モル分率であり、0≦c<1、0≦d<1、0≦e<1、0≦f<1であり、0<c+d+e+f<1である。
【0029】
該第2反復単位は、3以上の高分子鎖に連結される第2架橋反復単位である。該第2架橋反復単位により、該架橋共重合体の水分及びガスの遮断性が向上される。
【0030】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体が含む第3反復単位が、下記化学式8ないし13のいずれかで表示される:
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0031】
前記化学式で、A
9、A
10、A
11、A
12及びA
13は、互いに独立して、共有結合、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、または炭素数1ないし5の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基であり、R
11、R
12、R
13及びR
14は、互いに独立して、共有結合、炭素数1ないし10の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基;−(−R
a−O−)
k−(ここで、kは、2ないし100の数であり、R
aは、C
2−C
10アルキレン基である);C
6−C
10シクロアルキレン基;C
6−C
10アリーレン基;またはC
2−C
10ヘテロアリーレン基であり、CY
1は、1以上の置換基で置換もしくは非置換のC
2−C
20ヘテロ環;1以上の置換基で置換もしくは非置換のC
5−C
20脂肪族炭化水素環;1以上の置換基で置換もしくは非置換のC
6−C
20アリール環;または1以上の置換基で置換もしくは非置換のC
2−C
20ヘテロアリール環であり、X
10、X
11、X
12、X
13及びX
14は、互いに独立して、共有結合、−NH−C(=O)−、−CH
2CH(OH)−、−CF
2CF(OH)−、−O−または−S−であり、g、h、i、j、k及びlは、モル分率であり、0≦g<1、0≦h<1、0≦i<1、0≦j<1、0≦k<1、0≦l<1であり、0<g+h+i+j+k+l<1である。
【0032】
該第3反復単位は、3以上の高分子鎖に連結される第3架橋反復単位である。該第3架橋反復単位により、該架橋共重合体の水分及びガスの遮断性が向上される。
【0033】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体は、第1反復単位、第2反復単位及び第3反復単位を含み、a1、a2、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k及びlは、モル分率であり、0≦a1<1、0≦a2<1、0≦b<1、0≦c<1、0≦d<1、0≦e<1、0≦f<1、0≦g<1、0≦h<1、0≦i<1、0≦j<1、0≦k<1、0≦l<1であり、a1+a2+b+c+d+e+f+g+h+i+j+k+l=1であり、0<a1+a2+b<0.5であり、0.1<c+d+e+f<1であり、0.1<g+h+i+j+k+l<1である。
【0034】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体が含むCY1は、下記化学式14ないし17のいずれかで表示される:
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0035】
前記化学式で、R
15は、互いに独立して、水素原子、炭素数1ないし10の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基であり、R
27は、互いに独立して、水素原子、−C(=O)−、または炭素数1ないし10の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基であり、Y
2、Y
3及びY
4は、互いに独立して、C、N、またはPであり、ただし、Y
2、Y
3及びY
4が、互いに独立して、N、またはPである場合、Y
2、Y
3及びY
4は、R
15、R
27、または他の連結基(linking group)に結合されず、mは、0ないし10であり、nは、0ないし9であり、qは、0ないし4であり、rは、0ないし3である。
【0036】
例示的な1複合膜が含む架橋共重合体において、第1反復単位の含量の和が、該架橋共重合体全体を基準として、1ないし50wt%、1ないし45wt%、1ないし40wt%、または1ないし35wt%であり、第2反復単位及び第3反復単位の含量の和が、該架橋共重合体全体を基準として、50ないし99wt%、55ないし99%、60ないし99wt%、または65ないし99wt%である。
【0037】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体は、例えばi)重合可能な含フッ素化合物(polymerizable fluoro−containing compound)と重合可能な非フッ素系化合物(polymerizable non−fluoro compound)の重合生成物、あるいはii)重合可能な含フッ素化合物と重合可能な非フッ素系化合物と、3個または4個のチオール基を有するポリチオールとの重合生成物を含む。
【0038】
重合可能な化合物全体重量を基準に、重合可能な含フッ素化合物の含量が、例えば、1ないし50wt%、1ないし45wt%、1ないし40wt%、または1ないし35wt%であり、重合可能な非フッ素系化合物、または重合可能な非フッ素系化合物とポリチオールとの和の含量が、例えば、重合可能な化合物全体重量を基準に、50ないし99wt%、55ないし99%、60ないし99wt%、または65ないし99wt%である。重合可能な非フッ素系化合物とポリチオールとの重量比は、1:9ないし9:1、2:8ないし8:2、3:7ないし7:3、または4:6ないし6:4である。
【0039】
重合可能な含フッ素化合物は、1以上のフッ素原子を含む重合性有機モノマーであり、重合可能な作用基を2個以上有している化合物である。ここで、該重合は、共重合及び架橋をいずれも含む。
【0040】
重合可能な非フッ素系化合物は、フッ素原子を含まない重合性有機モノマーであり、重合可能な作用基を2個以上有している化合物である。
【0041】
例示的な1つの重合可能な含フッ素化合物、及び/または重合可能な非フッ素系化合物は、非水溶性フローティング化合物である。重合可能な非水溶性フローティング化合物は、水に浮く特性を有しており、不揮発性及び非水溶性の特性を保有する重合性有機モノマーであり、重合可能な作用基を2個以上有する化合物である。非水溶性フローティング化合物は、疎水性化合物を意味する。
【0042】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体は、例えば、i)多官能性アクリル系モノマー、多官能性ビニル系モノマー及び多官能性イソシアネート系モノマーのうちから選択された1以上の多官能性非フッ素系モノマーと、多官能性含フッ素アクリル系モノマー、多官能性含フッ素ビニル系モノマー、多官能性含フッ素イソシアネート系モノマー、多官能性含フッ素エポキシド系モノマーのうちから選択された1以上の多官能性含フッ素モノマーとの重合生成物、あるいはii)多官能性アクリル系モノマー、多官能性ビニル系モノマー及び多官能性イソシアネート系モノマーのうちから選択された1以上の多官能性非フッ素系モノマーと、3個または4個のチオール基を有するポリチオールと、多官能性含フッ素アクリル系モノマー、多官能性含フッ素ビニル系モノマー、多官能性含フッ素イソシアネート系モノマー、多官能性含フッ素エポキシド系モノマーのうちから選択された1以上の多官能性含フッ素モノマーとの重合生成物を含む。
【0043】
重合可能な化合物全体重量を基準に、多官能性含フッ素モノマーの含量が、例えば、1ないし50wt%、1ないし45wt%、1ないし40wt%、または1ないし35wt%であり、多官能性非フッ素系モノマー及び/またはポリチオールのうちから選択された1以上のモノマーの含量が、例えば、架橋共重合体全体を基準に、50ないし99wt%、55ないし99%、60ないし99wt%、または65ないし99wt%である。多官能性非フッ素系モノマーとポリチオールとの重量比は、1:9ないし9:1、2:8ないし8:2、3:7ないし7:3、または4:6ないし6:4である。
【0044】
本明細書において、「多官能性」は、重合可能な作用基を2個以上有することを意味する。
【0045】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体の重合に使用される前記多官能性非フッ素系モノマーおよび多官能性含フッ素モノマーは、下記化学式18ないし22のいずれかで表示される:
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【0046】
前記化学式で、A
1、A
2、A
3及びA
4は、互いに独立して、共有結合、−C(=O)−O−、−C(=O)−、または炭素数1ないし5の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基であり、B
1、B
2、B
3及びB4は、互いに独立して、共有結合、または炭素数1ないし5の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基であり、R
1及びR
2は、互いに独立して、ハロゲンで置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基;−(−R
a−O−)
k−(ここで、kは、2ないし100の数であり、R
aは、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
10アルキレン基である);ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
10シクロアルキレン基;ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
10アリーレン基;またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
10ヘテロアリーレン基であり、但し、多官能性含フッ素モノマーにおけるR
1及びR
2は、それぞれ1以上のフッ素原子を含み、X
1a及びX
2aは、互いに独立して、−O−または−S−であり、Z
1及びZ
2は、互いに独立して、水素原子、C
1−C
5アルキル基またはC
1−C
5フッ化アルキル基である。
【0047】
該多官能性非フッ素系モノマーは、例えば、ジウレタンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3’−アクリルオキシ−2’,2’−ジメチルプロピル3−アクリルオキシ−2,2−ジメチルプロピオネート、ビスフェノールAジアクリレート、1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(TTT)、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリトリトールアリルエーテル及びイソホロンジイソシアネートのうちから選択された1以上であるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で多官能性非フッ素系モノマーとして使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0048】
該ポリチオールは、例えば、トリス(2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル)イソシアヌレート、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)及びトリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)のうちから選択された1以上であるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野でポリチオールとして使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0049】
該多官能性含フッ素モノマーは、例えば、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)、2,2’−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタン−1,7−ジイル)ビス(オキシラン)及びFomblin(登録商標)MT70のうちから選択された1以上であるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で多官能性含フッ素モノマーとして使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0050】
重合可能な非水溶性フローティング化合物は、水に対する溶解度が0.0001ないし0.025g/lである。重合可能な非水溶性フローティング化合物がペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)である場合、該化合物の水に対する溶解度は、約0.00369g/lであり、重合可能な非水溶性フローティング化合物が、TTTである場合、水に対する溶解度が0.001g/l、トリメチロールプロパントリメタクリレートである場合、水に対する溶解度が約0.0201g/lである。
【0051】
例示的な1複合膜において、該架橋共重合体が、酸素及び水分のうちから選択された1以上を遮断するバリア特性を有するにことにより、該有機膜が、例えば、負極腐食性ガス(anode corrosive gases)を遮断する特性を有する。該負極腐食性ガスは、例えば、水蒸気、二酸化炭素、酸素などである。そのような有機膜は、酸素透過防止膜(oxygen barrier membrane)、水分遮断膜(moisture blocking membrane)または二酸化炭素透過防止膜(carbon dioxide barrier membrane)の機能を遂行する。結果として、該有機膜を含む複合膜が、水分及びガスの遮断特性を有する。
【0052】
例示的な1複合膜において、該有機膜のガス透過度(gas permeability)が、10
−3ないし2,000cm
3・cm/(m
2・日・atm)である。ここで、用語「ガス」は、酸素、二酸化炭素、水分及び湿気をいずれも含む意味で使用される。該ガス透過度は、例えば、酸素透過度または水分透過度を意味する。
【0053】
例示的な1複合膜において、該有機膜は、折ることができる柔軟性膜である。該有機膜が柔軟性を有することにより、該有機膜を含む複合膜が接地セル(folding cell)に適用することが可能である。
【0054】
例示的な1複合膜において、有機膜の引っ張り強度(tensile strength)が10MPa以上、15MPa以上、20MPa以上、25MPa以上、30MPa以上、35MPa以上、40MPa以上または45MPa以上である。該有機膜がそのような増大された引っ張り強度を有することにより、優秀な機械的物性を提供する。また、該有機膜は、伸率(yield strain)が1%以上、1.5%以上、2%以上、2.5%以上である。該有機膜がそのような向上された伸率を有することにより、柔軟性を有しながら、反ったり畳まれたりするので、多様な用途に適用が可能である。
【0055】
例示的な1複合膜において、該有機膜を80℃の電解液に24時間含浸した後の膨潤率が、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下である。該有機膜が、電解液に対してそのような低い膨潤率を有することにより、該有機膜を含む複合膜が電解液と長期間接触しても、該複合膜の膨潤による亀裂などの劣化が抑制される。例えば、該複合膜を含むリチウム電池を長期間充放電しても、複合膜の亀裂などが抑制される。
【0056】
例示的な1複合膜において、該有機膜が複数個の貫通ホール(through hole)を有し、複数のイオン伝導性無機粒子が前記貫通ホールに配置される。
【0057】
図4A及び
図4Bを参照すれば、複合膜10は、複数個の貫通ホール13を有する有機膜12、及び複数個の貫通ホール13に配置される複数のイオン伝導性無機粒子11を含む。イオン伝導性無機粒子11は、有機膜12を貫通する構造を有し、複合膜10の両側に露出されるように配置される。貫通ホール13の大きさは、複合膜10の製造過程において、イオン伝導性無機粒子11の大きさに合うように制御される。有機膜12は、前述のように、該架橋共重合体を含むことにより、酸素及び水分のうちから選択された1以上を遮断する。複合膜10の両側に露出されるように配置された複数のイオン伝導性無機粒子11により、イオン、例えば、リチウムイオンの伝達が可能である。従って、複合膜10は、有機膜12により、酸素及び/または水分などは遮断し、イオン伝導性無機粒子11により、イオン伝導は可能にする選択的透過膜である。イオン伝導性無機粒子11は、複合膜10の表面に露出される。イオン伝導性無機粒子11の露出面積は、例えば、複合膜10の総面積を基準にして、30ないし80%、例えば、40ないし70%である。イオン伝導性無機粒子11がそのような露出面積範囲を有するとき、複合膜10のイオン伝導度がさらに向上される。例示的な1複合膜10において、イオン伝導性無機粒子11の厚みは、イオン伝導性無機粒子11の形状にかかわらず、粒子の上部表面と下部表面との高さ差を指し、イオン伝導性無機粒子11と有機膜12とが同一厚を示す。このように、イオン伝導性無機粒子11と有機膜12とが同一厚を有する場合には、複合膜10を、他の構成要素に対して結合することが容易であり、結着力が向上される。代案として、イオン伝導性無機粒子11と有機膜12は、同じではない厚みを有することも可能である。例えば、有機膜12の厚みが約90mmであり、イオン伝導性無機粒子11の厚みは、約95mmである。
【0058】
図4A及び
図4Bを参照すれば、複合膜10の表面は、例えば、連続的な有機膜12内に、イオン伝導性無機粒子11が不連続的に配置された海島(sea-island)構造を含む。複合膜10の断面は、例えば、有機膜12とイオン伝導性無機粒子11とが相互に整列された構造(alternately aligned structure)を含む。
【0059】
図4A及び
図4Bを参照すれば、例示的な1複合膜10において有機膜12内に埋め込まれたイオン伝導性無機粒子11は、単一層に配置される。イオン伝導性水分粒子11が単一層に配置されることにより、有機膜12の厚みが薄くなる。
【0060】
図4A及び
図4Bを参照すれば、イオン伝導性無機粒子11は、例えば、粒子間境界がない単一粒子状態を有する。イオン伝導性無機粒子11は、結晶粒界(grain boundary)が観察されない。有機膜12は、非多孔性特性を有している緻密な膜である。例示的な1複合膜10において、有機膜12は、架橋共重合体以外に、ホモ重合体、ブロック共重合体及びランダム共重合体のうちから選択された1以上をさらに含む高分子膜である。
【0061】
図4A及び
図4Bを参照すれば、イオン伝導性無機粒子11は、イオン伝導性領域を形成し、高分子膜12は、非イオン伝導性領域を形成することができる。前記イオン伝導性領域と非イオン伝導性領域は、それぞれ膜厚方向(Y軸方向)に接触されるように配置され、二重連続構造(bicontinuous structure)を有する。用語「二重連続構造」は、1個以上のイオン伝導性領域であるイオン伝導性無機粒子と、1個以上の非イオン伝導性領域である高分子膜とが接触され、相互連結された形態を意味する。
【0062】
例示的な1イオン伝導性無機粒子11は、例えば、粒子表面の少なくとも一部に、疎水性コーティング膜(図示せず)が形成されて疎水性化された粒子である。該疎水性コーティング膜は、連続的なコーティング膜状態であるか、あるいは島(island)のような不連続コーティング膜状態である。該イオン伝導性無機粒子の粒子表面の少なくとも一部疎水性コーティング膜が導入されることにより、該イオン伝導性無機粒子の水での浮力調節が可能である。
【0063】
図5は、
図4A及び
図4Bに図示された複合膜の断面を示したものである。
図5を参照し、複合膜20を、リチウム空気電池の酸素透過防止膜として利用する場合、イオン(例:リチウムイオン)が「a」に示されているように、イオン伝導性無機粒子21からなるイオン伝導性領域を通過し、「b」に示されているように、酸素などのガスまたは水分は、有機膜22によって遮断される。有機膜22は、前述の架橋共重合体を含む。
【0064】
例示的な1複合膜は、リチウム空気電池のガス透過防止膜、リチウム電池の負極保護膜などとして使用可能である。
【0065】
イオン伝導性無機粒子は、
図4A、
図4B及び
図5に示された形状だけに限定されるのではない。
【0066】
イオン伝導性無機粒子は、例えば、円形(circular shape)、三角形(triangular shape)、準三角形(quasi-triangular shape)、半円を有する三角形タイプ(triangular shape with semi-circles)、1以上のラウンド角を有する三角形(triangular shape with one or more rounded corners)、角形(square shape)、四角形(rectangular shape)、半円を有する四角形(rectangular shape with semi-circles)、多角形(polygonal shape)などの垂直及び水平の断面積形態を有することができる。該イオン伝導性無機粒子は、例えば、キューブ形、球形、円形、楕円形、ロッド、スティック形、テトラヘドラル形、ピラミッド形、オクタヘドラル形、シリンダ形、多角形ピラ形、多角形ピラ類似型(polygonal pillar-like shape)、円錐形(conical shape)、円柱形(columnar shape)、管形(tubular shape)、螺旋形(helical shape)、漏斗系(funnel shape)、デンドライト形(dendritic shape)、棒形などの多様な形状を有する。
【0067】
該イオン伝導性無機粒子の大きさは、イオン伝導性無機粒子の形状が球形である場合には、平均径を示す。該イオン伝導性無機粒子が異なる形状を有する場合には、長さが長い軸の長さを示す。
【0068】
イオン伝導性無機粒子11,21は、イオン伝導性無機粒子が、有機膜12,22の前面から背面まで貫通するように形成された構造を有しており、該イオン伝導性無機粒子は、複合膜10,20の両表面に露出されている。そのように、両表面に露出された構造を有するならば、リチウムイオンの移動経路が確保され、複合膜の伝導性改善に有利である。従来のリチウム空気電池において、イオン伝導機能及び酸素遮断機能を同時に遂行するために、セラミック膜を使用している。そのようなセラミック膜は、重量が重く、大面積化が困難であり、膜形状に制約がある。また、外部衝撃に容易に壊れる現象のように、機械的強度が弱い。それに反し、前述の複合膜は、従来のセラミック膜と比較し、薄膜化が可能であり、抵抗が低下し、軽量化及び大面積化が可能である。また、該複合膜は、柔軟性を有するので、多様な形態に加工することができ、自由なセルデザインが可能であり、機械的強度にすぐれる。
【0069】
例示的な1複合膜が、水分または湿気、及び酸素、二酸化炭素のようなガスを遮断する特性を有しており、電解液による膨潤が抑制される架橋共重合体を含むので、水分または湿気、及びガスを遮断する能力、並びに電解質に対する含浸が抑制される能力が非常に優秀である。そのような複合膜は、従来のセラミック膜に比べ、低費用で製造することができる。また、そのような複合膜を採用することにより、リチウム電池の大面積化、薄膜化及び軽量化が可能であり、製造工程が簡便である。そのような複合膜を含むリチウム電池の寿命が改善される。
【0070】
該複合膜は、イオン伝導性領域と非イオン伝導性領域とを含み、該イオン伝導性領域と該非イオン伝導性領域とが膜厚方向(Y軸方向)に接触されるように配置され、二重連続構造を有し、前記イオン伝導性領域がイオン伝導性無機粒子を含み、該非イオン伝導性領域が架橋共重合体を含む。該イオン伝導性無機粒子は、結晶粒界がない単一粒子である。該イオン伝導性無機粒子は、複合膜表面に露出されており、イオン伝導性を保有しながら柔軟性にすぐれ、機械的強度にすぐれ、多様な形態に加工が可能である。
【0071】
該イオン伝導性無機粒子は、例えば、リチウムイオン伝導性無機粒子である。
【0072】
該イオン伝導性無機粒子の含量は、例えば、複合膜総重量100重量部を基準にして、10ないし90重量部、または20ないし80重量部である。該イオン伝導性無機粒子がそのような範囲の含量を有することにより、該複合膜が優秀なイオン伝導性及び機械的強度を有する。
【0073】
該イオン伝導性無機粒子は、ガラス質(glassy)活性金属イオン伝導体、非晶質活性金属イオン伝導体、セラミックス活性金属イオン伝導体及びガラス・セラミックス(glass-ceramic)活性金属イオン伝導体のうちから選択された1以上、またはそれらの組み合わせ物である。
【0074】
イオン伝導性無機粒子は、例えば、Li
1+x+yAl
xTi
2−xSi
yP
3−yO
12(0<x<2、0≦y<3)、BaTiO
3、Pb(Zr,Ti)O
3(PZT)、Pb
1−xLa
xZr
1−yTi
yO
3(PLZT)(O≦x<1、O≦y<1)、PB(Mg
3Nb
2/3)O
3−PbTiO
3(PMN−PT)、HfO
2、SrTiO
3、SnO
2、CeO
2、Na
2O、MgO、NiO、CaO、BaO、ZnO、ZrO
2、Y
2O
3、Al
2O
3、TiO
2、SiO
2、SiC、リチウムホスフェート(Li
3PO
4)、リチウムチタンホスフェート(Li
xTi
y(PO
4)
3、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(Li
xAl
yTi
z(PO
4)
3、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、Li
1+x+y(Al,Ga)
x(Ti,Ge)
2−xSi
yP
3−yO
12(O≦x≦1、O≦y≦1)、リチウムランタンチタネート(Li
xLa
yTiO
3、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(Li
xGe
yP
zS
w、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、窒化リチウム系ガラス(Li
xN
y、0<x<4、0<y<2)、SiS
2系ガラス(Li
xSi
yS
z、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、P
2S
5系ガラス(Li
xP
yS
z、0<x<3、0<y<3、0<z<7)、Li
2O、LiF、LiOH、Li
2CO
3、LiAlO
2、Li
2O−Al
2O
3−SiO
2−P
2O
5−TiO
2−GeO
2系セラミックス、ガーネット(garnet)系セラミックス(Li
3+xLa
3M
2O
12(M=Te、NbまたはZr、xは、1ないし10の整数である))のうちから選択された1以上、またはそれらの組み合わせ物である。該ガーネット系セラミックスは、例えば、Li
7La
3Zr
2O
12などである。
【0075】
該イオン伝導性無機粒子として、例えば、LTAP(Li
1.4Ti
1.6Al
0.4P
3O
12)またはLi
2O−Al
2O
3−SiO
2−P
2O
5−TiO
2−GeO
2系セラミックスを使用する。
【0076】
該イオン伝導性無機粒子は、前述のように、粒子間境界がなく、そのようなイオン伝導性無機粒子を含む複合膜は、抵抗が小さいリチウム伝導経路を提供する。従って、リチウムイオンの伝導及び移動が非常に容易になり、リチウムイオン伝導度及びリチウムイオン伝達率が著しく向上する。また、無機粒子だけからなる膜に比べて柔軟性にすぐれ、機械的強度にすぐれる。該イオン伝導性無機粒子が粒子間境界がない単一粒子状態であることは、電子走査顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)を介して確認することができる。
【0077】
該イオン伝導性無機粒子の平均粒径は、例えば、1ないし300μm、1ないし200μm、または1ないし150μmである。該イオン伝導性無機粒子がそのような範囲の平均粒径を有することにより、複合膜の製造時、研磨などを介して、結晶粒界がない単一粒子状態のイオン伝導性無機粒子を含む複合膜の製造が容易である。
【0078】
該イオン伝導性無機粒子は、均一なサイズを有し、複合膜内において、均一サイズを維持する。該イオン伝導性無機粒子のD50は、例えば、110ないし130μmであり、D90は、180ないし200μmであり、D10は、60ないし80μmである。用語D50,D10及びD90は、それぞれ積算分布曲線(cumulative distribution curve)において、50体積%、10体積%及び90体積%をそれぞれ示す粒子サイズ(粒径)を意味する。
【0079】
例示的な1複合膜は、リチウム硫黄二次電池、水系リチウムイオン二次電池などのリチウム二次電池の負極保護膜として使用が可能である。それ以外にも、該複合膜は、正極電解質及び負極電解質を分離し、リチウムイオン電池の性能を向上させ、新規素材の採用可能性を高めるために適用可能である。該複合膜が、リチウム硫黄二次電池または水系リチウムイオン二次電池の保護膜として使用される場合、架橋共重合体を含む有機膜は、非イオン伝導性領域を形成し、イオン伝導性無機粒子がイオン伝導性領域を形成する。
【0080】
該複合膜において、架橋共重合体の含量は、複合膜総重量100重量部を基準にして、10ないし80重量部、例えば、50ないし80重量部である。該架橋共重合体の含量が、そのような範囲であるとき、該複合膜の成膜性低下なしに、リチウムイオン伝導度、柔軟性及びガス遮断性にすぐれる複合膜が得られる。該架橋共重合体の重量平均分子量は、例えば、1万ないし30万である。該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC:gel permeation chromatography)を利用して測定する。該高分子の重量平均分子量がそのような範囲を有することにより、成膜性低下なしに、イオン伝導度、並びに水分及びガスの遮断特性にすぐれる複合膜が製造される。該複合膜は、イオン伝導性無機粒子が高密度に含有されており、複合膜の抵抗が非常に低い。
【0081】
例示的な1複合膜は、重量は、5ないし20mg/cm
2、または11ないし16mg/cm
2の範囲である。そのような重量を有する複合膜を採用し、薄膜化及び軽量化された電池作製が可能である。
【0082】
例示的な1複合膜の厚みは、10ないし200μm、または70ないし100μmの範囲である。そのような厚み範囲を有する複合膜は、イオン伝導度、及び水分とガスとの遮断特性がさらに優秀である。
【0083】
例示的な1複合膜は、多孔性基材をさらに含む。
【0084】
該多孔性基材は、機械的特性及び耐熱性にすぐれ、内部に気孔を有しているものであるならば、いずれも可能である。該多孔性基材は、例えば、耐化学性にすぐれ、疎水性を有するオレフィン系高分子;ガラスファイバまたはポリエチレンなどによってなるシートや不織布などが使用される。該オレフィン系高分子は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはその組み合わせ物であり、該多孔性基材は、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層セパレータなどの混合多層膜である。該多孔性基材は、具体的に、例えば、ポルリエチレン膜、ポルリプロピレン膜、またはその組み合わせ物である。該多孔性基材の気孔径は、例えば、0.01〜10μmであり、厚みは、例えば、5〜35μmである。そのような多孔性基材は、例えば、リチウム塩と有機溶媒とを含む電解液を含む。該リチウム塩の含量は、例えば、0.01ないし5M、または0.2ないし2Mである。そのような含量範囲のリチウム塩を含むことにより、該複合膜が優秀な伝導度を有する。該リチウム塩は、溶媒に溶解し、電池内で、例えば、リチウムイオンの供給源として作用する。該リチウム塩は、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiN(SO
2C2F
5)
2、Li(CF
3SO
2)
2N、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、x及びyは、自然数である)、LiF、LiBr、LiCl、LiOH、LiI及びLiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサラートボレート(LiBOB)からなる群のうちから選択される1以上である。そのようなリチウム塩以外に、他の金属塩を追加して含むことが可能であり、例えば、AlCl
3、MgCl
2、NaCl、KCl、NaBr、KBr、CaCl
2などである。
【0085】
図5を参照すれば、例示的な1複合膜20は、リチウムイオン輸送チャネルとして、架橋共重合体マトリックス有機膜20に埋め込まれたLTAP粒子21を含む膜構造を有する。複合膜20は、有機膜20間に結晶粒界がない埋め込まれた単一LTAP粒子21から派生された選択的なリチウムイオン輸送経路を提供する。架橋共重合体マトリックス有機膜22は、フッ素系第1単量体、含フッ素モノマーであるPFDA、非フッ素系モノマーである4T、及び非フッ素系モノマーであるTTTの反応で得られた架橋共重合体を含む。
【0086】
複合膜20は、不透過性高分子マトリックス有機膜22を含み、フレキシブルであり、LTAP膜の重量に比べ、10倍重量が低減して軽量化される。複合膜20の面積比抵抗は、LTAP厚が増大するにつれて低減し、リチウムイオン輸送チャネルを有する複合膜は、約60℃で29Ωcm
2の抵抗を示す。そのような複合膜は、酸素及び水分に対する遮断特性が非常に優秀であり、電解質による膨潤が抑制される。
【0087】
例示的な1複合膜において、ガス透過度が、10
−3ないし2,000cm
3・cm/(m
2・日・atm)であり、該複合膜において、複数個のイオン伝導性無機粒子の露出面積が、複合膜総面積を基準にして、30ないし80%である。そのような複合膜は、酸素及び水分に対する遮断特性が非常に優秀であり、電解質による膨潤が抑制される。
【0088】
他の側面により、負極、及び前述の複合膜を含む負極構造体が提供される。
【0089】
該負極構造体は、例えば、負極と複合膜との間に電解質をさらに含む。
【0090】
図6を参照すれば、負極構造体は、負極310と複合膜330との間に電解質320が配置された構造を有する。ここで、電解質320は、省略可能である。
【0091】
負極310は、例えば、リチウム金属薄膜であり、該複合膜は、リチウム金属の保護膜の役割を行う。従って、一具現例による複合膜は、柔軟性及び軽量性にすぐれ、酸素遮断性にすぐれ、電解質による膨潤が抑制される。
【0092】
電解質320は、例えば、水系電解質または非水系電解質である。そのような電解質は、後述するリチウム空気電池、リチウム金属電池の製造時、使用される電解質と同一であるか、あるいは異なる。
【0093】
従って、負極構造体が含む複合膜330により、外部ガス及び電解質による負極310の劣化が抑制されるので、負極構造体を含む電気化学デバイスのサイクル特性が向上される。
【0094】
さらに他の側面により、前述の複合膜を含むリチウム電池が提供される。
【0095】
例示的な1リチウム電池は、リチウム空気電池である。該リチウム空気電池は、負極、複合膜、及び酸素を正極活物質にする正極を具備する。
【0096】
該リチウム空気電池は、正極と負極との間に存在する電解質として、水系電解質または非水系電解質を使用する。
【0097】
該電解質として、非水系電解質を使用する場合、例えば、下記反応式1で示される反応メカニズムを有する。
[反応式1]:
4Li+O
2→2Li
2O E
o=2.91V
2Li+O
2→Li
2O
2 E
o=3.10V
【0098】
放電時、負極に由来するリチウムが、正極から導入される酸素と出合い、リチウム酸化物が生成され、酸素が還元される。また、反対に、充電時、リチウム酸化物が還元され、酸素が酸化される。
【0099】
該リチウム空気電池の形状は、特別に限定されるものではなく、例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層型、円筒状、扁平型、コーン形などである。また、電気自動車などに利用する大型電池にも適用される。
【0100】
図7を参照すれば、リチウム空気電池30において、酸素を活物質にする正極37と、基材32上部に形成された負極33との間に、前述の複合膜35が配置される。負極33と複合膜35との間に、電解質34が配置される。負極33、電解質34及び複合膜35は、保護負極を構成する。電解質34は、リチウムイオン伝導性にすぐれ、負極33との組み合わせ時、単位面積当たり抵抗が小さい。例示的な1リチウム空気電池30において、負極33と電解質34との間、または電解質34と複合膜35との間には、リチウムイオン伝導性固体電解質膜(図示せず)、またはセパレータ(図示せず)がさらに含まれる。正極37は、集電体を含み、該集電体上には、空気が正極37に伝達される押さえ部材39が配置される。また、正極37と負極33とを内蔵する絶縁樹脂材質のケース31が介在される。空気は、空気注入口38aから供給され、空気排出口38bに排出される。本明細書において、用語「空気(air)」は、大気空気に制限されるものではなく、酸素を含むガスの組み合わせ、または純粋酸素ガスを含む。複合膜35と正極37との間には、電解質36が配置される。例示的な1リチウム空気電池30において、正極37と電解質36との間、または電解質36と複合膜35との間には、リチウムイオン伝導性固体電解質膜(図示せず)またはセパレータ(図示せず)がさらに含まれる。複合膜35は、負極33のリチウムを、電解質34から保護する保護膜の役割を行うように、負極33の表面上に配置される。複合膜35は、単層膜または多層膜である。
【0101】
電解質34,36は、例えば、高分子固体電解質である。該高分子固体電解質は、リチウム塩がドーピングされたポリ酸化エチレンであり、該リチウム塩は、例えば、LiBF
4、LiPF
6、LiSbF
6、LiAsF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、LiN(SO
2CF
3)
2、LiN(SO
2C
2F
5)
2、LiC(SO
2CF
3)
3、LiN(SO
2F)
2、LiC
4F
9SO
3、LiAlCl
4などである。
【0102】
代案として、電解質34,36は、溶媒及びリチウム塩を含む液体電解質である。該溶媒は、非プロトン性溶媒及び水のうちから選択された1以上を含む。該非プロトン性溶媒は、例えば、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アミン系またはホスフィン系の溶媒である。該カーボネート系溶媒は、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などである。該エステル系溶媒は、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ターブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン、カプロラクトンなどである。該エーテル系溶媒は、例えば、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用され、該ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどである。また、該アミン系溶媒は、例えば、トリエチルアミン、トリフェニルアミンなどである。該ホスフィン系溶媒は、例えば、トリエチルホスフィンなどであるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用される非プロトン性溶媒であるならば、いずれも可能である。また、非プロトン性溶媒は、例えば、R−CN(Rは、炭素数2ないし30の直鎖状、分枝状または環構造の炭化水素基であり、二重結合、芳香環またはエーテル結合を含んでもよい)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン類などである。
【0103】
該非プロトン性溶媒は、単独または1以上混合して使用され、1以上混合して使用される場合の混合比は、電池性能によって適切に調節し、それは、当業者に自明である。
【0104】
代案として、電解質34,36は、イオン性液体を含んでもよい。該イオン性液体は、例えば、直鎖状、分枝状の置換されたアンモニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウムの陽イオンと、PF
6−、BF
4−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(FSO
2)
2N
−、(CN)
2N
−などの陰イオンとから構成された化合物である。
【0105】
例示的な1電解質34,36は、一部またはいずれも正極または負極に含浸される。
【0106】
代案として、電解質34,36は、リチウムイオン伝導性固体電解質膜である。リチウムイオン伝導性固体電解質膜は、例えば、リチウムイオン伝導性ガラス、リチウムイオン伝導性結晶(セラミックスまたはガラス・セラミックス)、またはそれらの混合物を含む無機物質である。化学的安定性を考慮すれば、該リチウムイオン伝導性固体電解質膜は、酸化物を含む。該リチウムイオン伝導性固体電解質膜がリチウムイオン伝導性結晶を多量に含む場合、高いイオン伝導度が得られるので、例えば、該リチウムイオン伝導性結晶の含量は、固体電解質膜全体重量に対して、例えば、50重量%以上、55重量%以上または60重量%以上である。該リチウムイオン伝導性結晶は、例えば、Li
3N、LISICON類、La
0.55Li
0.35TiO
3などのリチウムイオン伝導性を有するペロブスカイト(perovskite)構造を有する結晶、NASICON型構造を有するLiTi
2P
3O
12、またはそれら結晶を析出させるガラス・セラミックスなどである。該リチウムイオン伝導性結晶は、例えば、Li
1+x+y(Al,Ga)
x(Ti,Ge)
2−xSi
yP
3−yO
12(ただし、O≦x≦1、O≦y≦1であり、例えば、0≦x≦0.4、0<y≦0.6であり、または0.1≦x≦0.3、0.1<y≦0.4である)である。該リチウムイオン伝導性結晶が、高イオン伝導度を有するためには、リチウムイオン伝導性結晶は、イオン伝導を妨害する結晶粒界を有してはならない。例えば、ガラス・セラミックスは、イオン伝導を妨害する気孔や結晶粒界をほぼ有していないために、イオン伝導性が高く、併せて、優秀な化学的安定性を有する。該リチウムイオン伝導性ガラス・セラミックスは、例えば、リチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸塩(LAGP)、リチウム−アルミニウム−チタン−リン酸塩(LATP)、リチウム−アルミニウム−チタン−シリコン−リン酸塩(LATSP)などである。例えば、親ガラスが、Li
2O−Al
2O
3−TiO
2−SiO
2−P
2O
5系組成を有して前記親ガラスを熱処理して結晶化させる場合、このときの主結晶相は、Li
1+x+yAl
xTi
2−xSi
yP
3−yO
12(0≦x≦2、0≦y≦3)になり、このとき、x及びyとしては、例えば、0≦x≦0.4、0<y≦0.6、または0.1≦x≦0.3、0.1<y≦0.4である。該イオン伝導を妨害する孔や結晶粒界とは、リチウムイオン伝導性結晶を含む無機物質全体の伝導度を、前記無機物質中のリチウムイオン伝導性結晶それ自体の伝導度に対して、1/10以下の値で低下させる孔や結晶粒界などのイオン伝導性阻害物質を意味する。
【0107】
酸素を正極活物質として使用する正極37は、導電性材料を含む。該導電性材料は、例えば、多孔性である。従って、該導電性材料として多孔性及び導電性を有するものであるならば、制限なしに使用する。
【0108】
該導電性材料は、例えば、多孔性を有する炭素系導電性材料である。そのような炭素系導電性材料は、例えば、カーボンブラック類、グラファイト類、グラフェン類、活性炭類、炭素ファイバ類などである。該導電性材料は、例えば、金属ファイバ、金属メッシュなどの金属性導電性材料である。また、該金属性導電性材料は、例えば、銅、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属性粉末である。また、該導電性材料は、例えば、ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料である。そのような導電性材料は、単独または混合して使用される。
【0109】
例示的な1正極37には、酸素の酸化/還元のための触媒が添加され、そのような触媒は、白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウムのような貴金属系触媒;マンガン酸化物、鉄酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物などの酸化物系触媒;またはコバルトフタロシアニンなどの有機金属系触媒を含むが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、酸素の酸化/還元触媒として使用するものであるならば、いずれも可能である。
【0110】
また、例示的な1触媒は、担体に担持される。該担体は、例えば、酸化物、ゼオライト、粘土系鉱物、カーボンなどである。該酸化物は、例えば、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、二酸化チタンなどの酸化物である。該酸化物は、例えば、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、Tm、Yb、Sb、Bi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo及びWから選択される1以上の金属を含む。該カーボンは、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラック類;天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛などの黒鉛類;活性炭類;炭素ファイバ類などであるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、担体として使用するものであるならば、いずれも可能である。
【0111】
例示的な1正極37は、バインダを追加して含む。該バインダは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含む。該バインダは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン−ブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合剤などの単独、またはそれらの混合物であるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、バインダとして使用するものであるならば、いずれも可能である。
【0112】
正極37は、例えば、酸素酸化/還元触媒、導電性材料及びバインダを混合した後、適する溶媒を添加して正極スラリーを製造した後、集電体表面に塗布して乾燥させるか、あるいは選択的に、電極密度向上のために、集電体に圧縮成形して製造する。また、正極は、選択的に、リチウム酸化物を含む。また、該酸素酸化/還元触媒は、省略可能である。
【0113】
該集電体は、酸素の拡散を迅速にさせるために、網状またはメッシュ状などの多孔体を使用し、ステンレス鋼、ニッケル・アルミニウムなどの多孔性板金を使用するが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、集電体として使用するものであるならば、いずれも可能である。例示的な1集電体は、酸化を防止するために、耐酸化性の金属、または合金被膜に被覆される。
【0114】
リチウム空気電池30の負極33として、リチウムを含む負極はLi金属、Li金属基盤の合金、またはLiを吸蔵、放出することができる物質含有電極が可能であるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、負極に使用するものであり、リチウムを含むか、あるいはリチウムを吸蔵放出することができるものであるならば、いずれも可能である。負極33が、リチウム空気電池30の容量を決定する。負極33は、例えば、リチウム金属薄膜である。リチウム金属基盤の合金としては、例えば、アルミニウム、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、チタン、バナジウムのうちから選択された1以上と、リチウムとの合金である。
【0115】
例示的な1リチウム空気電池30において、正極37と負極33との間に、セパレータ(図示せず)が配置される。該セパレータは、リチウム空気電池の使用範囲に耐えることができる組成であるならば、限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン素材の不織布や、ポリフェニレンスルフィド素材の不織布などの高分子不織布;ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の多孔性フィルムであり、それらを単独または2種以上併用する。
【0116】
リチウム空気電池30が、前述の複合膜35を採用することにより、比容量及び寿命特性が改善される。
【0117】
例示的な1リチウム電池は、リチウム硫黄二次電池またはリチウムイオン二次電池である。該リチウム電池は、例えば、リチウム金属を負極を含むリチウム金属電池である。
【0118】
図8を参照すれば、リチウムイオン電池61は、正極63、負極62及びセパレータ64を含む。正極63、負極62及びセパレータ64がワインディングされたり折り畳まれたりして、電池ケース65に収容される。次に、電池ケース65に、有機電解液が注入され、キャップ(cap)アセンブリ66に密封され、リチウムイオン電池61が完成される。電池ケース65は、
図8に示されているように円筒状であっても、角形、薄膜型などであってもよい。リチウム電池は、例えば、薄膜電池である。
【0119】
正極63と負極62との間に、セパレータ64が配置されて電池構造体が形成され、該電池構造体がバイセル構造に積層された後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がポーチに収容されて密封されれば、ポーチタイプのリチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0120】
例示的な1リチウムイオン電池61において、負極62例えば、リチウム金属負極の少なくとも一面上に、前述の複合膜(図示せず)が配置されて負極を保護する。
【0121】
リチウム硫黄電池において、負極の負極活物質として、リチウムイオンを可逆的に吸蔵/放出することができる物質である炭素物質、リチウムイオンと反応し、リチウム含有化合物を可逆的に形成することができる物質またはリチウム合金を使用する。
【0122】
該炭素物質は、リチウム硫黄二次電池において一般的に使用される炭素系負極活物質であるならば、いかなるものでも可能である。該炭素系負極活物質は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物である。また、リチウムイオンと反応し、可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質は、例えば、酸化スズ(SnO
2)、チタンニトレート、シリコンなどであり得るが、それらに限定されるものではない。該リチウム合金は、例えば、リチウムと、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Al及びSnからなる群のうちから選択される金属との合金である。
【0123】
リチウム硫黄電池において、正極活物質は、例えば、硫黄元素(S
8:elemental sulfur)、硫黄元素含有化合物、またはそれらの混合物であり、該硫黄元素含有化合物は、例えば、Li
2S
n(n≧1)、カソライト(catholyte)に溶解されたLi
2S
n(n≧1)、有機硫黄化合物及び炭素・硫黄ポリマー((C
2S
x)n:x=2.5ないし50、n≧2)のうちから選択された1以上である。
【0124】
該リチウムイオン電池において、正極活物質は、例えば、リチウムの可逆的な吸蔵及び放出が可能な化合物(リチウム化インターカレーション化合物)である。該正極活物質は、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトマングガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物及びリチウムマンガン酸化物からなる群のうちから選択された1以上であるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、正極活物質として使用するものであるならば、いずれも可能である。
【0125】
該正極活物質は、例えば、化学式LiCoO
2のリチウムコバルト酸化物;化学式LiNiO
2のリチウムニッケル酸化物;化学式Li
1+xMn
2−xO
4(ここで、xは、0〜0.33である)、LiMnO
3、LiMn
2O
3またはLiMnO
2などのリチウムマンガン酸化物;化学式Li
2CuO
2のリチウム銅酸化物;化学式LiFe
3O
4のリチウム鉄酸化物;化学式LiV
3O
8のリチウムバナジウム酸化物;化学式Cu
2V
2O
7の銅バナジウム酸化物;化学式V
2O
5のバナジウム酸化物;化学式LiNi
1−xM
xO
2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である)のリチウムニッケル酸化物;化学式LiMn
2−xM
xO
2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である)またはLi
2Mn
3MO
8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式LiMn
2O
4のLi一部が、アルカリ土類金属イオンに置換されたリチウムマンガン酸化物;ジスルフィド化合物;化学式Fe
2(MoO
4)
3の鉄モリブデン酸化物などである。
【0126】
該負極活物質は、例えば、炭素系材料、シリコン、シリコン酸化物、シリコン系合金、シリコン・炭素系材料複合体、スズ、スズ系合金、スズ・炭素複合体、金属酸化物、またはその組み合わせである。該炭素系材料は、例えば、炭素、黒鉛またはカーボンナノチューブを含む。
【0127】
該リチウムイオン電池の負極活物質は、例えば、Si、SiO
x(0<x<2、例えば、0.5ないし1.5である)、Sn、SnO
2、またはシリコン含有金属合金、及びそれらの混合物からなる群のうちから選択される。該シリコン含有金属合金を形成することができる金属は、例えば、Al、Sn、Ag、Fe、Bi、Mg、Zn、in、Ge、Pb及びTiのうち1以上である。
【0128】
該負極活物質は、例えば、リチウムと合金可能な金属/準金属、それらの合金、またはその酸化物を含んでもよい。例えば、リチウムと合金可能な金属/準金属、それらの合金またはその酸化物は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi−Y合金(Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn−Y合金(Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)、MnO
x(0<x≦2)などでもある。元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al,Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせである。
【0129】
リチウムと合金可能な金属/準金属の酸化物は、例えば、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物、SnO
2、SiO
x(0<x<2)などである。
【0130】
例示的な1負極活物質は、例えば、元素周期律表の13族元素、14族元素及び15族元素からなる群のうちから選択された1以上の元素を含む。そのような負極活物質は、例えば、Si、Ge及びSnからなる群のうちから選択された1以上の元素を含む。
【0131】
例示的な1負極活物質は、前述のシリコン、シリコン酸化物、シリコン含有金属合金のうちから選択された一つと、炭素系材料との混合物、または前述のシリコン、シリコン酸化物、シリコン含有金属合金のうちから選択された一つと、炭素系材料との複合体である。
【0132】
該負極活物質の形態は、例えば、単純な粒子状であるか、ナノサイズの形態を有するナノ構造体である。例えば、該負極活物質は、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、ナノベルトなどの多様なナノ構造サイズの形態を有する。
【0133】
正極及び負極に存在するセパレータは、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層セパレータなどの混合多層膜である。
【0134】
該リチウムイオン電池において使用される電解液は、有機溶媒とリチウム塩とを含む。
【0135】
該有機溶媒は、例えば、ベンゼン、フルオロベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセテート、トリフルオロトルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、ジグライム、テトラグライム、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びスルホランからなる群のうちから選択される1以上の溶媒である。
【0136】
該リチウム塩は、例えば、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF
6)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF
4)、リチウムヘキサフルオロアゼネート(LiAsF
6)、リチウムパークロレート(LiClO
4)、リチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiSO
3CF
3)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(SO
2CF
3)
2)、リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(SO
2C
2F
5)
2)からなる群のうちから選択される1以上のリチウム塩である。
【0137】
該電解液において、リチウム塩の濃度は、例えば、0.01ないし5M、または0.1ないし2.0Mである。
【0138】
前述のリチウム硫黄電池、リチウムイオン電池などのリチウム電池は、リチウム負極を保護し、リチウム負極と電解液との副反応が抑制されるだけではなく、リチウムイオン伝導性が改善されることにより、伝導度及び寿命特性が改善される。
【0139】
他の一具現例による複合膜製造方法は、基材上に、イオン伝導性無機粒子を配置する段階と、前記イオン伝導性無機粒子間に、重合可能な化合物、及び溶媒を含む混合物を配置する段階と、前記混合物から溶媒を除去する段階と、前記重合可能な化合物を重合させて複合膜を形成する段階と、を含む。
【0140】
図9を参照すれば、先にイオン伝導性無機粒子11が、基材14上に配置される。基材14は、例えば、非接着性基材14b及び接着層14aを含む接着性基材14である。イオン伝導性無機粒子11が、接着性基材14上に接着及び固定されることにより、それに続く混合物15の追加及び重合の過程において、イオン伝導性無機粒子11の動きを考慮する必要がないので、複合膜の製造が簡単になる。
【0141】
次に、イオン伝導性無機粒子11間に、重合可能な化合物、及び溶媒を含む混合物15が配置される。混合物15を配置する段階は、例えば、スピンコーティングによって遂行されるが、必ずしもそのような方法に限定されるものではなく、当該技術分野において、複数の粒子間に混合物を均一に配置する方法でもって使用するものであるならば、いずれも可能である。例えば、均一に配置された混合物の厚みは、イオン伝導性無機粒子の表面を完全に被覆しない厚みである。
【0142】
混合物15が含む重合可能な化合物は、例えば、下記化学式18ないし22のいずれかで表示される前記多官能性非フッ素系モノマーまたは多官能性含フッ素モノマーを含み、少なくとも1つの多官能性含フッ素モノマーを含む:
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【0143】
前記化学式で、A
1、A
2、A
3及びA
4は、互いに独立して、共有結合、−C(=O)−O−、−C(=O)−、または炭素数1ないし5の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基であり、B
1、B
2、B
3及びB
4は、互いに独立して、共有結合、または炭素数1ないし5の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基であり、R
1及びR
2は、互いに独立して、ハロゲンで置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状あるいは分枝状のアルキレン基;−(−R
a−O−)
k−(ここで、kは、2ないし100の数であり、R
aは、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
10アルキレン基である);ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
10シクロアルキレン基;ハロゲンで置換もしくは非置換のC
6−C
10アリーレン基;またはハロゲンで置換もしくは非置換のC
2−C
10ヘテロアリーレン基であり、但し、多官能性含フッ素モノマーにおけるR
1及びR
2は、それぞれ1以上のフッ素原子を含み、X
1a及びX
2aは、互いに独立して、−O−または−S−であり、Z
1及びZ
2は、互いに独立して、水素原子、C
1−C
5アルキル基またはC
1−C
5フッ化アルキル基である。
【0144】
また、重合可能な化合物は、前述の多官能性非フッ素系モノマーである化学式4ないし13の反復単位を誘導することができる化合物を含む。
【0145】
重合可能な化合物全体重量を基準に、多官能性含フッ素モノマーの含量は、例えば、1ないし50wt%、1ないし45wt%、1ないし40wt%、または1ないし35wt%であり、1以上の多官能性フッ素系モノマーの含量が、例えば、架橋共重合体全体を基準に、50ないし99wt%、55ないし99%、60ないし99wt%、または65ないし99wt%である。
【0146】
重合可能な化合物がそのような多官能性含フッ素モノマーを含むことにより、重合によって生成される架橋共重合体がフッ素を含み、結果として、フッ素含有架橋共重合体の電解質による膨潤が抑制される。
【0147】
次に、混合物15から溶媒を除去する。該溶媒の除去は、例えば、25ないし60℃で実施される。該溶媒が除去されれば、重合可能な化合物の薄膜に、イオン伝導性無機粒子が埋め込まれる。
【0148】
該溶媒を除去した後、熱または光を加えて重合反応を実施する。該重合反応が完結されれば、接着性基材上に架橋共重合体からなる有機膜12と、イオン伝導性無機粒子11とを含む複合膜10が形成される。
【0149】
例示的な1複合膜製造方法において、接着性基材から複合膜を分離する段階をさらに含む。該接着性基材上に形成された複合膜を、例えば、水槽(waterbath)に浸した後、接着性基材を除去して複合膜10を得る。
【0150】
例示的な1複合膜製造方法において、重合可能な化合物及び溶媒を含む混合物に、重合開始剤を添加する。そのような重合開始剤は、光重合開始剤または熱重合開始剤が使用される。
【0151】
該光重合開始剤は、紫外線のような光によってラジカルを形成することができる化合物であるならば、その構成の限定なしに使用される。該光重合開始剤は、例えば、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(HMPP)、ベンゾインエーテル、ジアルキルアセトフェノン、ヒドロキシルアルキルケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタル、アシルホスフィン及びアルファ−アミノケトンからなる群のうちから選択される1以上である。一方、アシルホスフィンの具体例として、常用するlucirin TPO、すなわち、2,4,6−トリメチル−ベンゾイン−トリメチルホスフィンオキシドである。
【0152】
該熱重合開始剤として、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素及びアスコルビン酸からなる開始剤群のうちから選択される1以上を使用することができる。具体的には、該過硫酸塩系開始剤は、例えば、過硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
8)、過硫酸カリウム(K
2S
2O
8)、過硫酸アムモニウム((NH
4)
2S
2O8)などがあり、該アゾ系開始剤の例としては、2,2−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス−(N,N−ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。
【0153】
該重合開始剤は、例えば、重合可能な化合物100重量部を基準にして、0.005ないし10.0重量部で含まれ得る。該重合開始剤がそのような範囲の含量を有する場合、重合可能な化合物の重合反応の反応性にすぐれる。
【0154】
該光は、例えば、紫外線(UV)である。そのように光を利用して重合反応を実施することにより、リチウム金属薄膜の上部に複合膜を形成する場合、リチウム金属薄膜が熱によって変形されることをあらかじめ防止する。例えば、該リチウム金属薄膜と該複合膜との間には、電解質が形成される。
【0155】
光または熱を加え、重合(架橋)反応を実施する時間は、例えば、1分ないし30分である。
【0156】
熱を加える場合、該熱処理は、重合可能な化合物の種類などによって異なり、例えば、60℃ないし200℃、または60°ないし100℃で実施される。
【0157】
重合可能なフローティング化合物の含量は、イオン伝導性無機粒子100重量部を基準にして、10ないし1000重量部、例えば、150ないし900重量部である。重合可能な化合物の含量が、そのような範囲を有することにより、水分及びガスの遮断特性低下なしに、イオン伝導度にすぐれ、電解質による膨潤が抑制される複合膜が得られる。
【0158】
該イオン伝導性無機粒子の大きさは、複合膜のイオン伝導性に非常に重要な因子である。従って、該イオン伝導性無機粒子の大きさを適切に制御し、均一な粒子状態を有するように制御する。そのために、イオン伝導性無機粒子を、シービング(sieving:篩)を介して、所望平均粒径を有するイオン伝導性無機粒子のみを集めて使用する。
【0159】
該イオン伝導性無機粒子の平均粒径は、1ないし300μm、1ないし200μm、または1ないし100μmである。例示的な1イオン伝導性無機粒子の平均粒径は、90ないし200μm、または90ないし100μmである。
【0160】
例示的な1複合膜製造方法において、そのような粒径を有するイオン伝導性無機粒子を得るために、イオン伝導性無機粒子の平均粒径が1ないし300μmの範囲になるように粉砕し、それを分級する段階をさらに含む。
【0161】
粉砕時には、ビードミルなどを利用する。粉砕工程において、ビード(bead)を使用するが、ビードの粒径は、例えば、0.5ないし2mmであり、粉砕機の分当たり回転数は、例えば、1,000ないし2,000rpmである。該ビードの粒径、及び粉砕機の分当たり回転数が前記範囲であるとき、イオン伝導性無機粒子、例えば、LTAPの微粉化を効果的に抑制する。ビードの材質は、非制限的な例として、ジルコニアビードまたはアルミナビードなどである。
【0162】
該接着性基材上に形成された複合膜を洗浄する段階は、例えば、アセトンなどの溶媒を利用してなされる。そして、乾燥する段階は、例えば、常温(25℃)ないし85℃でなされる。
【0163】
該複合膜の厚みは、10ないし200μm、例えば、70ないし100μmである。
【0164】
該複合膜は、リチウムイオン伝導成膜であり、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な負極を保護し、リチウムイオンだけ選択的に透過させ、他の物質が負極と反応することを防ぐ保護膜の役割を行うことができる。また、保護膜は、薄膜化によって抵抗が低下し、イオン伝導度が向上し、電解質による膨潤が抑制される。
【0165】
本明細書において、置換基は、置換されない親基(mother group)において、1以上の水素が、他の原子や作用基で交換されることによって誘導される。取り立てて記載しなければ、ある作用基が「置換された」ものであるとされるとき、それは、そのような作用基が、C
1−C
40アルキル基、C
2−C
40アルケニル基、C
2−C
40アルキニル基、C
3−C
40シクロアルキル基、C
3−C
40シクロアルケニル基、C
7−C
40アリール基のうちから選択された1以上の置換基で置換されたことを意味する。作用基が「選択的に置換される」と記載される場合、そのような作用基が、前述の置換基で置換可能であるということを意味する。
【0166】
本明細書において、「炭素数aないしb」のa及びbは、特定作用基の炭素数を意味する。すなわち、前記作用基は、aからbまでの炭素原子を含む。例えば、「炭素数1ないし4のアルキル基」は、1ないし4の炭素を有するアルキル基、すなわち、CH
3−、CH
3CH
2−、CH
3CH
2CH
2−、(CH
3)
2CH−、CH
3CH
2CH
2CH
2−、CH
3CH
2CH(CH
3)−、および(CH
3)
3C−を意味する。
【0167】
特定の基(ラジカル)に係わる命名法は、文脈により、モノラジカル(mon-radical)またはジラジカル(di-radical)を含む。例えば、置換基が、残り分子に対して、2つの連結地点を要求すれば、そのような置換基は、ジラジカルと理解されなければならない。例えば、2個の連結地点を要求するアルキル基に特定された置換基は、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−などのジラジカルを含む。「アキレン」などの他のラジカル命名法は、明確にそのようなラジカルがジラジカルであるということを示す。
【0168】
本明細書において、「アルキル基」または「アルキレン基」という用語は、分枝されていたり分枝されていなかったりする脂肪族炭化水素基を意味する。一具現例において、該アルキル基は、置換されてもよく、あるいは置換されていなくてもよい。該アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などを含むが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、それらそれぞれは、選択的に、置換されてもよく、あるいは置換されていなくてもよい。C
1−C
6アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、3−ペンチル基、ヘキシル基などであるが、必ずしもそれらに限定されるものではない。
【0169】
本明細書において、「アルケニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合を含む2ないし20の炭素原子を含む炭化水素基であり、エテニル基、1−プロぺニル基、2−プロぺニル基、2−メチル−1−プロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、シクロプロぺニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などを含むが、それらに限定されるものではない。一具現例において、該アルケニル基は、置換されてもよく、あるいは置換されていなくてもよい。一具現例において、該アルケニル基は、2ないし40の炭素原子を有することができる。
【0170】
本明細書において、「アルキニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素・炭素三重結合を含む2ないし20の炭素原子を含む炭化水素基であり、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基などを含むが、それらに限定されるものではない。一具現例において、該アルキニル基は、置換されてもよく、あるいは置換されていなくてもよい。一具現例において、該アルキニル基は、2ないし40の炭素原子を有することができる。
【0171】
本明細書において、「シクロアルキル基」という用語は、完全に飽和された炭素環または炭素環系を意味する。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を意味する。
【0172】
本明細書において、「脂肪族」という用語は、共役(conjugated)パイ電子系を有する環または環系を除いた鎖または鎖系を意味し、炭素環脂肪族(例えば、シクロヘキシル基)を含む。
【0173】
本明細書において、「芳香族」という用語は、共役パイ電子系を有する環または環系を意味し、炭素環芳香族(例えば、フェニル基)及びヘテロ環芳香族基(例えば、ピリジン基)を含む。前記用語は、全体環系が芳香族であるならば、単一環または融合された多環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)を含む。
【0174】
本明細書において、「アリール基」という用語は、環骨格がただ炭素のみを含む芳香族環、芳香族環系(すなわち、2個の隣接する炭素原子を共有する2以上の融化された(fused)環)、または複数の芳香族環が、単一結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)
2−、−Si(R
a)(R
b)−(R
a及びR
bは、互いに独立して、C
1−C
10アルキル基である)、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
10アルキレン基、または−C(=O)−NH−によって互いに連結された環を意味する。該アリール基が環系であるならば、そのような系において、それぞれの環は、芳香族である。例えば、アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、ナフタセニル基などを含むが、それらに限定されるものではない。該アリール基は、置換されてもよく、あるいは置換されていなくてもよい。
【0175】
本明細書において、「アリーレン基」という用語は、2以上の連結地点を要求するアリール基である。四価アリーレン基は、4個の連結地点を要求するアリール基であり、二価アリーレン基は、2個の連結地点を要求するアリール基である。例えば、−C
6H
5−O−C
6H
5−などである。
【0176】
本明細書において、「ヘテロアリール基」という用語は、1つの環、複数の融合された環、または複数の環が、単一結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)
2−、−Si(R
a)(R
b)−(R
a及びR
bは、互いに独立して、C
1−C
10アルキル基である)、ハロゲンで置換もしくは非置換のC
1−C
10アルキレン基、または−C(=O)−NH−によって互いに連結された環を有し、1以上の環原子が炭素ではない、すなわち、ヘテロ原子である芳香族環系を意味する。融合された環系では、1以上のヘテロ原子は、ただ1つの環に存在することができる。例えば、該ヘテロ原子は、酸素、硫黄及び/又は窒素を含むが、必ずしもそれらに限定されるものではない。例えば、ヘテロアリール基は、フラニル基、チエニル基、イミダゾリル基、キナゾリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基、ピリジニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、インドリル基、などでもあるが、それらに限定されるものではない。
【0177】
本明細書において、「ヘテロアリーレン基」という用語は、2以上の連結地点を要求するヘテロアリール基である。四価ヘテロアリーレン基は、4個の連結地点を要求するヘテロアリール基であり、二価ヘテロアリーレン基は、2個の連結地点を要求するヘテロアリール基である。
【0178】
本明細書において、「ハロゲン」は、元素周期律表の17族に属する安定した元素であり、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、特に、フッ素及び/または塩素である。
【0179】
高分子の数平均分子量は、ポリスチレン標準試料に対して、GPC(gel permeation chromatography)によって測定される。
【0180】
以下、実施例及び比較例を介して、本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、該実施例は、本発明を例示するためのものであり、それらだけで本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例】
【0181】
(高分子膜の製造)
実施例1:TTT+4T+PFDA(6:9:7.4)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mg、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(4T)900mg及び1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(TTT)600mg、及び光開始剤である下記化学式で表示されるIrgacure 369(BASF)30mgを混合して撹拌を実施し、高分子膜形成用組成物を得た。
【化28】
【0182】
得られた高分子膜形成用組成物をペトリディッシュ(petri dish)(=3.2cm)に100μm厚にコーティングした。
【0183】
窒素雰囲気下で、低圧水銀ランプ(0.08W/cm
2)を利用し、UVを約15分間照射し、PFDAとTTTと4Tとの重合を実施し、架橋共重合体有機膜を得た。該有機膜の平均厚は、70μmであった。
【0184】
実施例2:TTT+4T+MT70(6:9:4)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mgの代りに、Fomblin(登録商標)MT70(Solvay)400mgを使用したことを除いては、実施例1と同一方法で有機膜を製造した。
【0185】
実施例3:TTT+4T+PFDE(6:9:0.5)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mgの代りに、2,2’−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタン−1,7−ジイル)ビス(オキシラン)50mgを使用したことを除いては、実施例1と同一方法で有機膜を製造した。
【0186】
比較例1:TTT+4T(6:9)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)を添加しないことを除いては、実施例1と同一方法で有機膜を製造した。
【0187】
比較例2:MT70
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mg、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(4T)900mg及び1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(TTT)600mgの代わりに、Fomblin(登録商標)MT70(Solvay)500mgだけを単独で使用したことを除いては、実施例1と同一方法で有機膜を製造した。
【0188】
(複合膜の製造)
実施例4:TTT+4T+PFDA(6:9:7.4)
リチウム−チタン−アルミニウム−リン酸塩(LTAP:Li
1.4Ti
1.6Al
0.4P
3O
12)膜(Ohara glass、Ohara corporation)を粉砕した後、該粉砕物に対して、気孔径が約20μmx25μmである網シーブでシービングを実施し、約22μmサイズ(平均粒径)を有するLTAP粒子を得た。
【0189】
5x5cm
2面積の接着テープ上に、LTAP粒子をスプレッドし、LTAP粒子を固定させた。
【0190】
それと別途に、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mg、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(4T)900mg及び1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(TTT)600mgを、エタノールとクロロホルムとの混合溶媒(1:1混合体積比)6.6mlに溶解して混合物を得た。この混合物に、光開始剤である下記化学式で表示されるIrgacure 369(BASF)30mgを付加して撹拌を実施し、高分子膜形成用組成物を得た。
【化29】
【0191】
上記過程によって得た高分子膜形成用組成物6mlを、LTAP粒子が固定された接着テープ上に、15μm厚にスピンコーティングした。次に、1時間かけて、徐々にエタノールとクロロホルムとを蒸発させた。
【0192】
窒素雰囲気下で、低圧水銀ランプ(0.08W/cm
2)を利用し、UVを約15分間照射し、PFDAとTTTと4Tとの重合を実施し、接着テープ上に形成された複合膜を得た。
【0193】
該複合膜が一面上に配置された接着テープを水槽に浸した後、接着テープ除去し、複合膜を分離した。
【0194】
該複合膜は、複数個の貫通ホールを有する高分子膜、及びそのような貫通ホールに形成されたLTAP粒子を含む構造を有する。該LTAP粒子の含量は、複合膜総重量100重量部を基準にして、43重量部であった。複合膜の平均厚は、70μmであった。
【0195】
実施例5:TTT+4T+MT70(6:9:4)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mgの代わりに、Fomblin(登録商標)MT70(Solvay)400mgを使用したことを除いては、実施例1と同一方法で複合膜を製造した。
【0196】
実施例6:TTT+4T+PFDE(6:9:0.5)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mgの代わりに、2,2’−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタン−1,7−ジイル)ビス(オキシラン)50mgを使用したことを除いては、実施例1と同一方法で複合膜を製造した。
【0197】
比較例3:TTT+4T(6:9)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)を添加しないことを除いては、実施例1と同一方法で複合膜を製造した。
【0198】
比較例4:MT70
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジイルジアクリレート(PFDA)740mg、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(4T)900mg及び1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(TTT)600mgの代わりに、Fomblin(登録商標)MT70(Solvay)500mgだけを単独で使用したことを除いては、実施例1と同一方法で複合膜を製造した。
【0199】
(リチウム空気電池の製造)
実施例7:リチウム空気電池の製造
多重壁カーボンナノチューブ(XinNano社)、イオン性液体である1Mのリチウムビス(トリフルオロスルホニルイミド)(LiTFSI)を含むN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME−TFSI)、及びポリフッ化ビニリデンを5:25:1重量比で混合し、シート状のカソードを製造した。シート状のカソードを切断し、カソードを直径8mmのディスク状に得た。
【0200】
正極電解質として、イオン性液体である1Mのリチウムビス(トリフルオロスルホニルイミド)(LiTFSI)を含むN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEME−TFSI)電解質を使用した。
【0201】
約15mm径のリチウム金属(厚み:500μm)ディスクをアノードとして使用した。
【0202】
負極電解質として、高分子電解質ディスクを使用した。ポリ酸化エチレン2g、シリカゲル0.31g及びLiTFSI 0.26gをアセトニトリル50mlに溶解し、それを7時間混合して高分子溶液を得た。そのような高分子溶液をテフロン(登録商標)ディッシュにキャスティングし、それを乾燥させ、厚み約190μmの高分子電解質フィルムを得た。得られた高分子フィルムをパンチングし、約15mm径の高分子電解質ディスクを得た。
【0203】
銅薄膜、リチウム金属ディスク、高分子電解質ディスク、実施例4で製造された複合膜、正極電解質、カソード、及びガス拡散層35BA(SGL group)を組み立て、リチウム空気電池を製造した。
【0204】
実施例8及び9:リチウム空気電池の製造
実施例4の複合膜の代わりに、実施例5及び6の複合膜をそれぞれ使用したことを除いては、実施例7と同一方法によって実施し、リチウム空気電池を製造した。
【0205】
比較例5及び6:リチウム空気電池の製造
実施例4の複合膜の代わりに、比較例3及び4の複合膜をそれぞれ使用したことを除いては、実施例7と同一方法によって実施し、リチウム空気電池を製造した。
【0206】
評価例1:酸素透過度測定(oxygen permeability)
実施例1ないし3、及び比較例1及び2で製造された有機膜に対して、酸素透過度を下記方法によって評価した。
【0207】
酸素及び水分の透過度は、MOCON Aquatran model 1及びMOCON Oxytran 2/21のinstrument(共に、MOCON社製)を利用し、ASTM(D3985)による連続的フローテスト方法を利用して測定した。
【0208】
試料ディスクは、面積を約1cm
2にし、窒素ガスをフラッシュ(flush)し、過量ガスをパージし、酸素及び水分の透過実験を実施し、その評価結果の一部を下記表1に示した。
【0209】
【表1】
【0210】
表1から分かるように、実施例1ないし3の有機膜の酸素透過度は、1.1cm
3・cm/(m
2・日・atm)以下であり、比較例1のTTT−4T有機膜と類似しており、比較例2のフッ素系有機膜に比べて顕著に低下した。
【0211】
比較例1のフッ素系有機膜は、ガス遮断が実質的に不可能であった。
【0212】
評価例2:機械的強度測定
実施例1及び比較例1で製造された高分子膜に対して、Universal Test Machine(LLOYD LS100)を使用し、引っ張り強度(tensile strength)及び伸率(yield strain)を測定し、その結果の一部を下記表2に示した。
【0213】
【表2】
【0214】
表2から分かるように、実施例1ないし3の高分子膜は、引っ張り強度10MPa以下の高い機械的強度と、伸率1%以上の柔軟性とを同時に提供した。実施例2の高分子膜は、高い柔軟性を有しながら、折り畳まれる。
【0215】
評価例3:膨潤率測定(swelling ratio、%)
実施例1ないし3、並びに比較例1及び2で製造された有機膜に対して、膨潤率(swelling ratio)を下記方法によって評価した。
【0216】
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI)[EMIM][N(Tf)
2]に、1M LiTFSIを溶解させた液体電解質、及びプロピレンカーボネート(PC)溶媒に、1M LITFSIを溶解させた液体電解質に、実施例1ないし3、並びに比較例1及び2で製造された有機膜を、80°で24時間含浸した後で取り出し、表面の液体電解質を拭き取った後、含浸前後の重量変化を測定して膨潤率を測定し、その結果を下記表3に示した。該膨潤率は、下記数式1から計算される。
[数式1]
膨潤率(%)=[(含浸後の有機膜重量−含浸前の有機膜重量)/含浸前の有機膜重量]×100
【0217】
【表3】
【0218】
表3から分かるように、実施例1ないし3の有機膜の膨潤率は、25%以下であり、電解質をほとんど吸収していない。それに反し、比較例1のTTT−4T有機膜は、膨潤率が75%以上であり、過量の電解質を吸収した。
【0219】
評価例4:充放電安定性測定
実施例4ないし6、並びに比較例3及び4で製造された複合膜に対して、充放電安定性を評価した。
【0220】
リチウム金属ディスクを複合膜ディスク両側に配置した、対称セル(Li|電解液|複合膜|電解液|Li)形態のコインセルを使用した。電解液は、0.3M LiTFSIを含む1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI)を使用した。コインセルに対して、0.24mA/cm
2の定電流で5時間充電した後、5時間定電流放電しながら電圧変化を観察した。
【0221】
実施例4及び比較例3の複合膜に対する測定結果を
図1に示した。
【0222】
図1から分かるように、実施例4の複合膜を採用したコインセルは、5時間充電及び5時間放電する間に安定的に作動した。
【0223】
それに反して、比較例3の複合膜を採用したコインセルは、約2.5時間充電後に、コインセルが短絡した。
【0224】
充放電安定性評価が終わったコインセルから複合膜を分離し、その形態を
図2A及び
図2Bにそれぞれ示した。
【0225】
図2Aから分かるように実施例4の複合膜は、最初のディスク形態をほとんどそのまま維持した。
【0226】
それに反し、
図2Bから分かるように、比較例3の複合膜は、亀裂によってディスク形態が破損された。
【0227】
評価例5:リチウム空気電池の充放電特性評価
実施例7で製造されたリチウム空気電池が、温度約60℃、酸素雰囲気下で維持されるチャンバ内に配置された。該リチウム空気電池は、酸素1気圧で、0.24mA/cm
2のCCモード(constant current mode)で放電させ、4.3V CVモード(constant voltage mode)で充電させた。
【0228】
該リチウム空気電池の充電・放電特性を
図3に示した。
【0229】
図3から分かるように、実施例7で製造されたリチウム空気電池は、安定した充放電プロファイルを示したが、比較例5で製造されたリチウム空気電池は、充電時に短絡が発生した。