【解決手段】被解凍物が収容される処理槽2と、処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段3と、処理槽2内と連通して設けられ、貯留水が加熱されることで処理槽2内へ蒸気を供給可能な蒸気発生タンク4とを備える。処理槽2内と蒸気発生タンク4内を同等圧力に減圧した状態で、蒸気発生タンク4内の貯留水を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気により処理槽2内の被解凍物の解凍を図る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、給蒸手段は、ボイラから処理槽内への給蒸路に給蒸弁を備え、給蒸弁を開けることで、ボイラからの蒸気を処理槽内へ供給する。この場合、給蒸弁の前後(言い換えればボイラと処理槽)で圧力が異なることになる。そのため、次のような問題点があった。
【0005】
すなわち、処理槽内を減圧後、給蒸弁を開けて処理槽内へ蒸気を吹き込む際、圧力配管としての給蒸路から減圧下の処理槽内に蒸気が放出される。そのため、吹き込み口付近では、吹き込まれた蒸気が過熱蒸気(過加熱蒸気)となり、解凍温度を大きく上回る温度領域が発生するおそれがある。このような事態は、一時的であるにしても、槽内温度の上昇や温度ムラ発生の要因となるおそれがあり、その解消が望まれる。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、処理槽内で蒸気が過熱されるのを防止して、所望温度でムラなく被解凍物を加熱できる真空解凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被解凍物が収容される処理槽と、前記処理槽内の気体を外部へ吸引排出して前記処理槽内を減圧する減圧手段と、前記処理槽内と連通して設けられ、貯留水が加熱されることで前記処理槽内へ蒸気を供給可能な蒸気発生タンクとを備えることを特徴とする真空解凍装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、蒸気発生タンク内が処理槽内と連通して設けられる。この場合、減圧手段により処理槽内を減圧すると、蒸気発生タンク内も同等圧力に減圧される。蒸気発生タンクでは処理槽内の圧力に応じた飽和蒸気が発生するため、その蒸気を処理槽内へ供給しても、処理槽内で過熱が生じるおそれがなく、所望温度でムラなく被解凍物を加熱することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記蒸気発生タンクは、貯留水中に蒸気が吹き込まれることで蒸気を発生させることを特徴とする請求項1に記載の真空解凍装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、蒸気発生タンクの貯留水中に蒸気を吹き込んで加熱することができる。処理槽内の減圧に伴い蒸気発生タンク内も所定に減圧された状態で、蒸気発生タンク内の貯留水に蒸気を吹き込むと、吹き込まれた蒸気は貯留水に熱を伝えて飽和蒸気になると共に、貯留水は蒸気発生タンクの圧力(処理槽内の減圧)に応じた温度で減圧沸騰し飽和蒸気を発生する。これにより、蒸気の過熱を防止して、所望温度でムラなく被解凍物を加熱することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記蒸気発生タンクは、貯留水がヒータで加熱されることで蒸気を発生させることを特徴とする請求項1に記載の真空解凍装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、蒸気発生タンク内の貯留水をヒータで加熱することができる。処理槽内の減圧に伴い蒸気発生タンク内も所定に減圧された状態で、蒸気発生タンク内の貯留水を加熱すると、圧力に応じた目標温度で減圧沸騰した飽和蒸気を処理槽内へ供給することができる。これにより、蒸気の過熱を防止して、所望温度でムラなく被解凍物を加熱することができる。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記処理槽内の圧力または前記蒸気発生タンク内の圧力に基づき、前記減圧手段による減圧と、前記蒸気発生タンクでの蒸気発生とを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空解凍装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、処理槽および蒸気発生タンク内の圧力ひいては温度を所望に調整して、所望温度でムラなく被解凍物を加熱することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の真空解凍装置によれば、処理槽内で蒸気が過熱されるのを防止して、所望温度でムラなく被解凍物を加熱することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の真空解凍装置1を示す概略図である。
【0018】
本実施例の真空解凍装置1は、被解凍物が収容される処理槽2と、この処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段3と、処理槽2内と連通して設けられる蒸気発生タンク4と、減圧された処理槽2内へ外気を導入して処理槽2内を復圧する復圧手段5と、制御手段(図示省略)とを備える。
【0019】
処理槽2は、被解凍物が収容される中空容器であり、扉で開閉可能とされる。たとえば、処理槽2は、略矩形の中空ボックス状に形成され、正面が扉で開閉可能とされる。処理槽2には、逆止弁からなる加圧解除弁6が設けられており、万一、処理槽2内が加圧される場合には、加圧解除弁6が自力で開いて、処理槽2内の圧力が大気圧に開放される。なお、処理槽2の底部には、所望により蒸気トラップなどを設けてもよい。
【0020】
減圧手段3は、処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して、処理槽2内を減圧する。本実施例では、減圧手段3として、処理槽2内からの排気路7に、蒸気エゼクタ8、蒸気凝縮用の熱交換器9、逆止弁10、および水封式の真空ポンプ11を備える。
【0021】
蒸気エゼクタ8は、吸引口8aが処理槽2に接続されて設けられ、入口8bから出口8cへ向けて、エゼクタ給蒸路12からの蒸気がノズルで噴出可能とされる。入口8bから出口8cへ向けて蒸気を噴出させることで、処理槽2内の気体も吸引口8aを介して出口8cへ吸引排出される。エゼクタ給蒸路12に設けたエゼクタ給蒸弁13の開閉を操作することで、蒸気エゼクタ8の作動の有無を切り替えることができる。
【0022】
熱交換器9は、排気路7内の流体と冷却水とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器である。熱交換器9は、熱交給水路14を介して冷却水が供給され、熱交排水路15を介して冷却水が排出される。熱交給水路14には、熱交給水弁16と逆止弁17とが設けられている。熱交給水弁16を開けることで、熱交換器9に冷却水を通すことができる。熱交換器9に通水することで、熱交換器9において、排気路7内の蒸気を冷却水により冷却して凝縮させることができる。なお、熱交給水弁16は、熱交給水路14に設けられたが、場合により、熱交排水路15に設けられてもよい。
【0023】
真空ポンプ11は、水封式であり、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。真空ポンプ11への封水給水路18には、封水給水弁19が設けられており、この封水給水弁19を開けることで、真空ポンプ11に封水を供給することができる。封水給水弁19の開閉は、真空ポンプ11の発停と連動する。封水給水弁19を開けた状態で真空ポンプ11を作動させると、真空ポンプ11は、熱交換器9の側から流体を吸引して排出する。
【0024】
蒸気発生タンク4は、水を貯留する中空容器である。蒸気発生タンク4は、その形状を特に問わないが、本実施例では略円筒状に形成されている。この際、略円筒状の蒸気発生タンク4は、軸線を上下方向へ沿って配置され、上下の開口部は閉塞されている。
【0025】
蒸気発生タンク4は、連通路20を介して、処理槽2と連通して設けられる。本実施例では、連通路20には弁は設けられず、蒸気発生タンク4内は処理槽2内と常時連通する。連通路20は、好ましくは、一端部が蒸気発生タンク4の上部に接続され、他端部が処理槽2の下方側部に接続される。
【0026】
蒸気発生タンク4は、設定水位まで水が貯留され、その貯留水が加熱されることで、処理槽2内へ蒸気を供給可能とされる。そのために、蒸気発生タンク4には、タンク給水手段21、タンク排水手段22およびタンク給蒸手段23が設けられる。
【0027】
タンク給水手段21は、タンク給水路24を介して、蒸気発生タンク4に水を供給する。蒸気発生タンク4へのタンク給水路24には、タンク給水弁25が設けられる。タンク給水弁25を開けることで、蒸気発生タンク4に給水することができる。
【0028】
タンク排水手段22は、タンク排水路26を介して、蒸気発生タンク4から水を排出する。蒸気発生タンク4からのタンク排水路26には、タンク排水弁27と逆止弁28とが順に設けられる。タンク排水弁27を開けることで、蒸気発生タンク4から排水することができる。
【0029】
本実施例では、タンク給水路24とタンク排水路26とは、蒸気発生タンク4の下部に接続される。タンク給水弁25よりも下流側(蒸気発生タンク4側)のタンク給水路24と、タンク排水弁27よりも上流側(蒸気発生タンク4側)のタンク排水路26とは、共通管路29とされている。
【0030】
タンク給蒸手段23は、タンク給蒸路30を介して、蒸気発生タンク4内の貯留水中に蒸気(ボイラやリボイラからの蒸気)を吹き込んで、貯留水を加熱する。蒸気発生タンク4へのタンク給蒸路30には、給蒸遮断弁31とタンク給蒸弁32とが順に設けられている。給蒸遮断弁31は、開閉をオンオフで切り替えられる弁(たとえば電磁弁)であり、タンク給蒸弁32は、好ましくは、開度を調整可能な弁(たとえば比例制御弁)である。給蒸遮断弁31は、タンク給蒸弁32を開ける際、連動して開けられる。給蒸遮断弁31およびタンク給蒸弁32を開けることで、蒸気発生タンク4内の貯留水中に蒸気を供給することができる。その際、タンク給蒸弁32の開度を調整することで、蒸気発生タンク4内への蒸気供給量を調整することができる。なお、図示例では、蒸気発生タンク4内の上部には、蒸気の乾き度を向上するためのバッフル板33が設けられている。
【0031】
復圧手段5は、減圧された処理槽2内へ外気を導入して、処理槽2内を復圧する。本実施例では、復圧手段5として、処理槽2内への給気路34に、エアフィルタ35と真空解除弁36とを備える。処理槽2内が減圧された状態で、真空解除弁36を開けると、外気がエアフィルタ35を介して処理槽2内へ導入され、処理槽2内を復圧することができる。真空解除弁36は、好ましくは、開度調整可能な弁(たとえば比例制御弁)から構成される。
【0032】
蒸気発生タンク4には、圧力センサ37が設けられる。本実施例では、圧力センサ37は、蒸気発生タンク4の上部に設けられて、気相部の圧力を検出する。但し、処理槽2と蒸気発生タンク4とは、連通路20で連通されているので、圧力センサ37は、蒸気発生タンク4ではなく処理槽2に設けられてもよい。あるいは、処理槽2または蒸気発生タンク4内の圧力を検出可能であれば、その他の箇所(たとえば連通路20)に設けられてもよい。
【0033】
蒸気発生タンク4には、タンク内の水位を検出する水位センサ38が設けられる。水位センサ38としては、本実施例では電極式水位検出器が用いられるが、これに限らず、たとえば静電容量式水位検出器などを用いることもできる。
【0034】
制御手段は、前記各センサ37,38の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段3,5,21,22,23を制御する制御器(図示省略)である。具体的には、真空ポンプ11、エゼクタ給蒸弁13、熱交給水弁16、封水給水弁19、タンク給水弁25、タンク排水弁27、給蒸遮断弁31、タンク給蒸弁32、真空解除弁36の他、圧力センサ37および水位センサ38などは、制御器に接続されている。そして、制御器は、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽2内の被解凍物の解凍を図る。典型的には、空気排除工程の後、解凍処理工程を含んで運転することで、処理槽2内の被解凍物の解凍を図る。以下、具体的な運転例について説明する。
【0035】
運転開始に先立ち、予め、処理槽2内には被解凍物が収容され、処理槽2の扉は気密に閉じられる。その際、真空解除弁36が開けられているが、その他の弁は閉じられており、真空ポンプ11は停止している。スタートボタンが押されるなど、運転開始が指示されると、制御器は、空気排除工程の後、解凍処理工程を実行する。
【0036】
また、遅くとも解凍処理工程の開始までに、蒸気発生タンク4には、タンク給水手段21により設定水位まで水が貯留される。以後、解凍処理工程の終了まで、水位センサ38の検出信号に基づきタンク給水手段21とタンク排水手段22とを制御することで、蒸気発生タンク4内の貯留水は設定水位(設定範囲)に維持される。
【0037】
なお、後述する第一設定圧力や第三設定圧力は、ある圧力範囲としてもよいし、ある所定圧力としてもよい。圧力範囲とする場合、その上限圧力と下限圧力との範囲に収めるように、処理槽2内の減圧や処理槽2内への給蒸が制御される。
【0038】
空気排除工程では、真空解除弁36を閉じた状態で、減圧手段3により処理槽2内を第一設定圧力(たとえば8hPa)まで減圧する。但し、第一設定圧力まで減圧することに代えて、第一設定時間だけ減圧してもよい。いずれにしても、空気排除工程では、封水給水弁19を開けると共に真空ポンプ11を作動させて、処理槽2内を減圧する。また、減圧中、設定タイミング(典型的には所定圧力以下)になると、エゼクタ給蒸弁13を開けて蒸気エゼクタ8を作動させると共に、熱交給水弁16を開けて熱交換器9に冷却水を通す。処理槽2内を所定まで減圧すると、減圧手段3を停止して、次工程へ移行する。
【0039】
解凍処理工程では、タンク給蒸手段23により蒸気発生タンク4内の貯留水を加熱し、これにより発生させた蒸気を処理槽2内へ供給して、処理槽2内の被解凍物の解凍を図る。本実施例では、蒸気発生タンク4から処理槽2内への蒸気供給は、第二設定圧力(たとえば飽和温度が18〜20℃相当の圧力)まで行われ、第二設定圧力にて第二設定時間保持する。すなわち、空気排除工程にて第一設定圧力まで減圧後、解凍処理工程において第二設定圧力まで蒸気で復圧して、第二設定圧力にて第二設定時間保持する。
【0040】
具体的には、第二設定圧力に維持するように、圧力センサ37の検出圧力に基づきタンク給蒸弁32の開度を調整する。この間、減圧手段3を停止させたままでよいが、場合により、減圧手段3を作動させつつタンク給蒸弁32の開度を調整してもよい。あるいは、第二設定圧力の上限圧力までの蒸気供給と、蒸気供給を停止(タンク給蒸弁32を閉鎖)した状態での下限圧力までの蒸気凝縮(待機)とを繰り返してもよい。その他、第二設定圧力での保持中、減圧手段3を作動させて、処理槽2内を一時的に減圧してもよい。
【0041】
本処理として第二設定圧力で第二設定時間保持した後、所望により、シメ処理として、第二設定圧力よりも低い第三設定圧力(たとえば飽和温度が8℃相当の圧力)まで減圧して、第三設定時間保持してもよい。さらに、その後、低温保持処理として、処理槽2内の圧力および温度を、所定時間、所定の圧力および温度に保持してもよい。その際、その圧力および温度は、時間経過と共に徐々に高くなるように調整してもよい。シメ処理および低温保持処理は、制御目標温度が異なるが、前記本処理と同様の制御で実施することができる。
【0042】
一連の解凍処理工程を終了すると、減圧手段3を停止すると共に、蒸気発生タンク4での蒸気発生を停止した状態で、復圧手段5により処理槽2内を大気圧まで復圧する。これにより、処理槽2の扉をあけて、処理槽2内から被解凍物を取り出すことができる。
【0043】
本実施例の真空解凍装置1によれば、蒸気発生タンク4内が処理槽2内と常時連通して設けられるので、空気排除工程において処理槽2内を減圧すると、蒸気発生タンク4内も同等圧力に減圧される。これに伴い、解凍処理工程において、蒸気発生タンク4では処理槽2内の圧力に応じた飽和蒸気が発生するため、その蒸気を処理槽2内へ供給しても、処理槽2内で過熱が生じるおそれがなく、所望温度でムラなく被解凍物を加熱することができる。すなわち、処理槽2内および蒸気発生タンク4内が同じ圧力下にある状態(言い換えれば蒸気発生タンク4内を処理槽2と同じく目標温度相当の真空度にした状態)で、タンク給蒸手段23により蒸気発生タンク4内の貯留水に蒸気を吹き込むと、吹き込まれた蒸気は貯留水に熱を伝えて飽和蒸気になると共に、貯留水は蒸気発生タンク4の圧力(処理槽2内の減圧)に応じた温度で減圧沸騰し飽和蒸気を発生する。これにより、蒸気の過熱を防止して、所望温度でムラなく被解凍物を加熱することができる。
【0044】
ところで、仮に、蒸気発生タンク4を設けずに、処理槽2内の底部に水を溜めてその貯留水を加熱して、被解凍物の解凍を図るとすれば、次のような不都合がある。すなわち、まず、被解凍物が収容される処理槽2内に水を溜めてその貯留水を減圧沸騰させるとすれば、突沸が生じた場合、貯留水の飛沫が被解凍物に付着するおそれがある。また、解凍処理工程では、被解凍物から油分やドリップなどが溶出する場合があるが、これらの溶出物により貯留水が汚れ、ヒータおよび貯水部への汚れの堆積や細菌汚染のリスクがある。さらに、仮に処理槽2内の底部に貯水部やヒータを設けた場合、処理槽2内の洗浄が困難となり、処理槽2内を衛生的に保つことが難しくなる。
【0045】
これに対し、前記実施例の真空解凍装置1によれば、処理槽2とは別に蒸気発生タンク4を設けると共に、好ましくは蒸気発生タンク4の上部にバッフル板33を設けることで、貯留水の飛沫の流出を防止することができる。また、処理槽2とは別に蒸気発生タンク4を設けることで、被解凍物の油分やドリップ等によって、貯留水や蒸気発生部が汚れるおそれもない。しかも、運転中の流体の流れは、蒸気発生タンク4から処理槽2内への一方通行となるので、貯留水や蒸気発生部の汚染は確実に防止される。さらに、蒸気発生タンク4は水位制御され貯水量は大きくないため、1バッチ毎に貯留水を入れ替えて、衛生的な運転を容易に実施することもできる。
【0046】
本発明の真空解凍装置1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)被解凍物が収容される処理槽2と、(b)処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段3と、(c)処理槽2内と連通して設けられ、貯留水が加熱されることで処理槽2内へ蒸気を供給可能な蒸気発生タンク4とを備えるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0047】
たとえば、前記実施例では、蒸気発生タンク4内の貯留水は、タンク給蒸手段23により蒸気が直接に吹き込まれることで加熱されたが、蒸気ヒータにより間接的に加熱されてもよい。蒸気ヒータを用いる場合、蒸気発生タンク4の貯留水中に蒸気管(たとえばコイル)を設置し、その蒸気管内へタンク給蒸手段23により蒸気を供給することで、貯留水を加熱する。この場合も、解凍処理工程では、圧力センサ37の検出圧力に基づき、タンク給蒸弁32の開度(または開閉)を制御すればよい。蒸気ヒータへ供給された蒸気の凝縮水は、蒸気トラップを介して外部へ排出される。
【0048】
あるいは、タンク給蒸手段23の設置を省略する代わりに、電気ヒータを用いてもよい。電気ヒータを用いる場合、解凍処理工程では、圧力センサ37の検出圧力に基づき、電気ヒータの容量(または発停)を制御すればよい。蒸気ヒータまたは電気ヒータを用いる場合、蒸気発生タンク4内に蒸気が直接に吹き込まれないので、水位変動を抑えると共に、蒸気発生タンク4内の水質(ひいては処理槽2内への蒸気の質)を所望に維持しやすい。