特開2019-122314(P2019-122314A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-122314(P2019-122314A)
(43)【公開日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】生物発生抑制装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 17/00 20060101AFI20190704BHJP
   A01M 1/22 20060101ALI20190704BHJP
【FI】
   A01M17/00 Z
   A01M1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-5824(P2018-5824)
(22)【出願日】2018年1月17日
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】中野 和典
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121DA04
2B121EA25
2B121FA15
2B121FA16
2B121FA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡便に汚泥中の害虫の発生を抑制できる生物発生抑制装置を提供する。
【解決手段】生物発生抑制装置D1は、正電極ECと、有機物と生物とを含む物質内に備えられ、有機物が発生させる電子を吸着することにより正電極との間に起電力を生じさせる負電極EAと、正電極と負電極とに挟まれ有機物が発生させる水素イオンを媒介する絶縁層Fと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電極と、
有機物と生物とを含む物質内に備えられ、前記有機物が発生させる電子を吸着することにより前記正電極との間に起電力を生じさせる負電極と、
前記正電極と前記負電極とに挟まれ前記有機物が発生させる水素イオンを媒介する絶縁層と、
を備える生物発生抑制装置。
【請求項2】
前記正電極及び前記負電極は炭素を含む
請求項1に記載の生物発生抑制装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、前記物質に含まれる水分を重力によって透過させて前記物質を脱水する濾材を兼ねる
請求項1または請求項2に記載の生物発生抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物発生抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チョウバエは、下水汚泥をはじめとする汚水系において大量発生することがあり、不快害虫として知られている。チョウバエ以外にも、汚泥から発生する害虫が知られている。従来は薬物散布によりこれらの害虫の駆除が行われていた。しかし薬物散布による駆除では、一度の散布では完全な駆除が困難であり、何度も薬剤散布が必要になる。また、薬物散布による駆除では、薬物である殺虫剤に含まれる化学物質の環境中への拡散などのリスクが懸念されていた。
【0003】
薬物散布による駆除以外の害虫の駆除の方法として、電気を用いて害虫を殺虫する方法が知られている。例えば、農地、緑地、水田などの害虫が棲息する場所に導電可能な程度に水を張り、水を張った場所の互いに異なる一方の位置に正極を、他方の位置に負極を配置して両電極に高電圧を印加することにより棲息する害虫を電撃により殺虫する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−308880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の殺虫方法では、高圧電流を利用するため大がかりな発電機や高圧電源を必要とし、簡便に害虫の発生を抑制できなかった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡便に汚泥中の害虫の発生を抑制できる生物発生抑制装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、正電極と、有機物と生物とを含む物質内に備えられ、前記有機物が発生させる電子を吸着することにより前記正電極との間に起電力を生じさせる負電極と、前記正電極と前記負電極とに挟まれ前記有機物が発生させる水素イオンを媒介する絶縁層と、を備える生物発生抑制装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の生物発生抑制装置において、前記正電極及び前記負電極は炭素を含む。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の生物発生抑制装置において、前記絶縁層は、前記物質に含まれる水分を重力によって透過させて前記物質を脱水する濾材を兼ねる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便に汚泥中の害虫の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る生物発生抑制装置の概要を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る生物発生抑制装置の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る生物発生抑制装置の層の構成の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る電圧測定開回路の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る閉回路の構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る発電の結果の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る電圧測定開回路における害虫の発生数の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る閉回路において銅スラグを用いた場合の害虫の発生数の一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る閉回路においてガラスを用いた場合の害虫の発生数の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態の変形例に係る水田用生物発生抑制装置の構成の一例を示す図である。
図11】本発明の比較対象の開回路の構成の一例を示す図である。
図12】本発明の比較対象の開回路における害虫の発生数の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
(生物発生抑制装置の構成)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る生物発生抑制装置D1を含む汚泥脱水装置1の概要を示す図である。本実施形態では、汚泥脱水装置1は、一例として下水道における下水汚泥MWの処理施設に設置される。
汚泥脱水装置1は、例えば、ポリエチレン製の筒状容器VC(例えば、ゴミ箱)を利用して構成され、その内部に汚泥堆積部Mと、絶縁体濾材Fと、水収容部Aとが備えられている。
【0013】
汚泥脱水装置1の汚泥堆積部Mの上部投入口から水分を含む下水汚泥MWが投入される。投入された下水汚泥MWは、絶縁体濾材Fの上部に層状に堆積する。絶縁体濾材Fは、下水汚泥MWの水分は通過させるが、下水汚泥MW中の固形物は通過させない程度の網目構造を有する。具体的には、絶縁体濾材Fには、産業廃棄物からリサイクルされたガラスカレットや銅スラグなどが用いられる。絶縁体濾材Fの上部に堆積した下水汚泥MWに含まれる水分は、重力により鉛直下方向に移動する。この水分は、絶縁体濾材Fを通過して水収容部Aに落下する。つまり、絶縁体濾材Fは、下水汚泥MWに含まれる水分を重力によって透過させて下水汚泥MWを脱水する濾材である。
このように汚泥脱水装置1は、下水汚泥MWから水分を取り除き下水汚泥MWを軽量化することにより下水汚泥MWを廃棄しやくする。
【0014】
ここで、下水汚泥MWには害虫の卵が含まれることがある。害虫とは、例えば、チョウバエである。チョウバエの種類には、ホシチョウバエやオオチョウバエが知られている。チョウバエの幼虫は、浄化槽、下水滞留層、畜舎、及び農園などの不完全な側溝の汚泥中に生息している。上述の汚泥脱水装置1による下水汚泥MWの脱水作業には、ある程度の時間を要するため、脱水作業中に下水汚泥MW中の害虫の卵が孵化し、害虫の幼虫や成虫が発生することがある。
本実施形態の生物発生抑制装置D1は、汚泥脱水装置1の一部として構成され、脱水作業中において害虫の卵が孵化することを抑制する。
以下、この生物発生抑制装置D1の構成について説明する。生物発生抑制装置D1は、アノードEAと、カソードECと、電流回路Cとを備える。電流回路Cは、導線CD1と、抵抗Rと、導線CD2とを含んで構成される。
【0015】
次に図2を参照し、生物発生抑制装置D1が汚泥堆積部Mの下水汚泥MW中に微弱な電圧を発生させる仕組みについて説明する。
図2は、本実施形態に係る生物発生抑制装置D1の構成の一例を示す図である。汚泥堆積部Mの下方には絶縁体濾材Fが設けられる。絶縁体濾材Fの下方には水収容部Aが設けられる。汚泥堆積部Mの中にはアノード(負極)EAが、絶縁体濾材Fと接して設けられる。水収容部Aには、絶縁体濾材Fと接してカソード(正極)ECが設置される。水収容部Aは空気層を形成する。なお、カソードECは、水収容部Aに設けられた支持部(不図示)に支持されて絶縁体濾材Fと接してもよい。ここで指示部とは、例えば人口芝生である。
【0016】
生物発生抑制装置D1は、微生物燃料電池の仕組みを利用し汚泥堆積部Mの下水汚泥MW中に微弱な電圧を発生させる。汚泥堆積部Mの中にアノードEAが設置されていることにより、汚泥堆積部Mの下水汚泥MW中に微弱な電圧が発生する。
【0017】
ここで微生物燃料電池の動作原理は次の通りである。
下水汚泥MWには、有機物Oと、この有機物Oを分解する微生物とが含まれている。下水汚泥MWに含まれる微生物は、有機物Oを酸化分解することにより、水素イオン(プロトン)と、電子とを生成する。生成された電子は、汚泥堆積部Mの下水汚泥MW中に設置されているアノードEAに回収される。一方、生成された水素イオンは、重力による水分の移動に伴って絶縁体濾材Fを通過し、絶縁体濾材Fの水収容部A側に設置されているカソードECに到達する。つまり、カソードECとアノードEAとに挟まれた絶縁体濾材Fは、水素イオンを媒介する。
アノードEA及びカソードECは、電流回路Cを介して互いに電気的に接続されている。アノードEAによって回収された電子は、電流回路Cを介してカソードECに供給される。電流回路Cの導線(導線CD1及び導線CD2)を介して供給される電子と、絶縁体濾材Fを通過する水分によって供給される水素イオンと、カソードECの周囲の空気に含まれる酸素とが結合することにより水が生成される。電流回路Cの導線(導線CD1及び導線CD2)をアノードEAからカソードECに向けて電子が移動することにより、電流Iが生じる。つまり、アノードEAは、下水汚泥MWに含まれる微生物が有機物Oを分解することにより有機物Oが発生させる電子を吸着することによりカソードECとの間に起電力を生じさせる。
すなわち、生物発生抑制装置D1は、下水汚泥MWに含まれる有機物Oを燃料とする微生物燃料電池として機能する。
【0018】
図3は、本実施形態に係る生物発生抑制装置D1の層の構成の一例を示す図である。生物発生抑制装置D1に流入する下水汚泥MWに含まれる水分は、絶縁体濾材Fにより濾過され、濾過水FWとして水収容部Aへと染み出す。アノードEAは、堆積物Mとして堆積する汚泥により還元状態が維持される。一方、カソードECは、水収容部Aと接しており酸化状態が維持される。
【0019】
アノードEA及びカソードECは、例えば、炭素棒や白金である。アノードEA及びカソードECは、炭素棒であることがコストの点において好ましい。つまり、アノードEA及びカソードECは、炭素を含むことが好ましい。
絶縁体濾材Fは、ガラスや銅スラグなどの絶縁体である。絶縁体濾材Fがガラスである場合、このガラスはリサイクルガラスであることがコストの点において好ましい。
【0020】
(実験結果)
図4図9を参照して、生物発生抑制装置D1が発生させる電圧が、下水汚泥MW中の害虫の発生を抑制する効果をもつことを示す結果について説明する。
図4は、本実施形態に係る電圧測定開回路C1の構成の一例を示す図である。電圧測定開回路C1では、図1図3において示した生物発生抑制装置D1の電流回路Cから抵抗Rを外し、アノードEAとカソードECとが電圧計Vにより接続されている。電圧計Vは、アノードEAとカソードECとの間の電位差を測定する。第1絶縁体濾材F1は、一例としてガラスである。
電圧計Vの内部抵抗は、電圧計Vに流れる電流が微弱である程度に大きい。
【0021】
図5は、本実施形態に係る閉回路C2の構成の一例を示す図である。閉回路C2では、抵抗Rを外さずに電圧計Vが、抵抗Rと並列に接続されている。第2絶縁体濾材F2は、一例として銅スラグまたはガラスである。
【0022】
図6は、本実施形態に係る発電の結果の一例を示す図である。図6に示すグラフは、電圧計Vの測定値の、生物発生抑制装置D1を設置してから経過した日数に対する関係を示している。なお、下水汚泥MWは、汚泥堆積部Mの下水汚泥MW中の微生物の餌、すなわち燃料が不足しないように、電圧が低下した時期において所定の量が投入されている。
【0023】
第1電圧グラフG1は、電圧測定開回路C1の電圧計Vの計測値を示す。第2電圧グラフG2は、第2絶縁体濾材F2として銅スラグを用いた場合の閉回路C2の電圧計Vの計測値を示す。第3電圧グラフG3は、第2絶縁体濾材F2としてガラスを用いた場合の閉回路C2の電圧計Vの計測値を示す。
【0024】
第1電圧グラフG1では、4回目の下水汚泥MWを投入した後、電圧計Vの計測値は最大の約0.5ボルトとなった。4回目以降の下水汚泥MWの投入においても電圧計Vの計測値は0.3ボルト前後の値となった。
第2電圧グラフG2では、4回目の下水汚泥MWを投入した後、電圧計Vの計測値は最大の約0.5ボルトとなった。4回目以降の下水汚泥MWの投入において電圧計Vの計測値は低下したが、下水汚泥MWの度に電圧計Vの計測値は増加した。
第3電圧グラフG3では、2回目の下水汚泥MWを投入した後、電圧計Vの計測値は最大の約0.1ボルトとなった。4回目以降の下水汚泥MWの投入において電圧計Vの計測値は増加しなかった。
【0025】
図7は、本実施形態に係る電圧測定開回路C1における害虫の発生数の一例を示す図である。第1個数グラフN1は、害虫の発生数の生物発生抑制装置D1を設置してから経過した日数に対する関係を示している。本実施形態における害虫であるチョウバエは、卵、幼虫、蛹を経て成虫となる。卵から成虫になるまでの期間は、ホシチョウバエ、オオチョウバエとも約20日である。
第1個数グラフN1から、100日以上が経過しても害虫は発生していないことがわかる。電圧測定開回路C1において、電圧計Vの内部抵抗は大きいため、微弱な電流しか流れず電力はほとんど消費されないが、生物発生抑制装置D1は、電圧を発生しさえすれば堆積物M中の害虫の発生を抑制することができる。
【0026】
図8は、本実施形態に係る閉回路C2において銅スラグを用いた場合の害虫の発生数の一例を示す図である。第2個数グラフN2は、害虫の発生数の生物発生抑制装置D1を設置してから経過した日数に対する関係を示している。
第2個数グラフN2から、100日以上が経過しても害虫は発生していないことがわかる。
【0027】
図9は、本実施形態に係る閉回路C2においてガラスを用いた場合の害虫の発生数の一例を示す図である。第3個数グラフN3は、害虫の発生数の生物発生抑制装置D1を設置してから経過した日数に対する関係を示している。
第3個数グラフN3から、32日目に害虫が発生し、57日目以降に急激に増加したことがわかる。90日目には約700匹の害虫が発生した。図9に示す第3個数グラフN3と、図6に示す第3電圧グラフG3とから、害虫の発生を抑制するためには電圧の発生が必要であることがわかる。
【0028】
ここで比較のために、図11図12を参照し、配線のない開回路C0を用いた結果を説明する。
図11は、比較対象の開回路C0の構成の一例を示す図である。開回路C0では、図1図3において示した生物発生抑制装置D1の電流回路Cから抵抗Rが外されている。そのため、アノードEAとカソードECとの間に電位差は発生しない。
図12は、比較対象の開回路C0における害虫の発生数の一例を示す図である。比較個数グラフN0は、害虫の発生数の生物発生抑制装置D1を設置してから経過した日数に対する関係を示している。
比較個数グラフN0から、27日目に害虫が発生し、59日目以降に急激に増加したことがわかる。90日目には約300匹の害虫が発生した。比較個数グラフN0から、害虫の発生を抑制するためには電圧の発生が必要であることがわかる。
【0029】
(まとめ)
以上に説明したように、本実施形態に係る生物発生抑制装置D1は、正電極(カソードEC)と、負電極(アノードEA)と、絶縁層(絶縁体濾材F)とを備える。
負電極(アノードEA)は、有機物Oと生物とを含む物質(堆積物M)内に備えられ、有機物Oが発生させる電子を吸着することにより正電極(カソードEC)との間に起電力を生じさせる。
絶縁層(絶縁体濾材F)は、正電極(カソードEC)と負電極(アノードEA)とに挟まれ有機物Oが発生させる水素イオンを媒介する。
【0030】
この構成により、本実施形態に係る生物発生抑制装置D1では、汚泥中に微弱な電圧を発生させることができるため、簡便に汚泥中の害虫の発生を抑制できる。本実施形態に係る生物発生抑制装置D1では、殺虫剤を用いずに微弱な電流により汚泥中の害虫の発生を抑制できる。
【0031】
また、本実施形態の正電極(カソードEC)及び負電極(アノードEA)は炭素を含む。
この構成により、本実施形態に係る生物発生抑制装置D1は、正電極(カソードEC)及び負電極(アノードEA)が炭素を含まない場合に比べて低いコストにおいて汚泥中の害虫の発生を抑制できる。
【0032】
また、本実施形態の絶縁層(絶縁体濾材F)は、物質(下水汚泥MW)に含まれる水分を重力によって透過させて物質(下水汚泥MW)を脱水する濾材を兼ねる。
一般的に、微生物燃料電池は、アノード側からカソード側への電子の移動を阻害しつつ、水素イオン(プロトン)を選択的に移動させるために、アノード側とカソード側との間にプロトン交換膜(PEM:Proton Exchange Membrane)を備える場合がある。
本実施形態の生物発生抑制装置D1は、下水汚泥MWの脱水のための濾材である絶縁体濾材Fが絶縁層を構成しており、重力により落下する水分を水素イオンの移動手段として用いている。したがって、本実施形態の生物発生抑制装置D1は、従来の一般的な微生物燃料電池において必要とされるプロトン交換膜を必要としない。
このため、本実施形態の生物発生抑制装置D1によれば、リサイクルガラスや銅スラグなど、簡易な材料により微生物燃料電池を構成することができる。
また、本実施形態の生物発生抑制装置D1によれば、脱水のための濾材である絶縁体濾材Fが絶縁層を兼ねているため、汚泥脱水装置1と生物発生抑制装置D1とを一つの装置として構成しやすい。このため、本実施形態の生物発生抑制装置D1によれば、汚泥の脱水による廃棄物の軽量化と、脱水中の汚泥からの害虫の発生の抑制とを一つの装置により両立することができる。
【0033】
(変形例)
上記の実施形態においては、一例として、生物発生抑制装置D1が汚泥脱水装置1に含まれ下水道における下水汚泥MWの処理施設に設置される場合について説明したが、生物発生抑制装置D1の設置方法及び設置場所はこれに限らない。生物発生抑制装置D1は、生ゴミなどの入ったゴミ収集容器に設置されてもよい。また、生物発生抑制装置D1は、水田に設置されてもよい。ここでは上記の実施形態の変形例として、水田に設置される水田用生物発生抑制装置D2について説明する。
【0034】
図10は、本変形例に係る水田用生物発生抑制装置D2の構成の一例を示す図である。図10に示す水田用生物発生抑制装置D2と、図2に示す生物発生抑制装置D1とを比較すると、アノードEAが設けられる汚泥堆積部Mが水田用生物発生抑制装置D2の下側にあり、堆積物Mの上方に水層Wが設けられている点、及び絶縁体濾材Fが設けられていない点が異なる。
【0035】
カソードECは水層Wに設けられ、アノードEAの側において発生した水素イオンは水層W中を上方へと移動する。ここで水層Wは、水田に張られた水である。水層Wは、真水ではないが、水層W内に設けられたカソードECと、堆積物M内に設けられたアノードEAとをほとんど絶縁する。なお、堆積物Mと水層Wとの間に絶縁体濾材Faが設けてられてもよい。堆積物Mと水層Wとの間に設けられる絶縁体濾材Faが設けられる場合、絶縁体濾材Faは、例えば、薄膜状の絶縁体である。
水田用生物発生抑制装置D2は、水田において簡便に泥の中の害虫の発生を抑制することができる。
【0036】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
D1…生物発生抑制装置、VC…筒状容器、M…汚泥堆積部、F…絶縁体濾材、A…水収容部、EA…アノード、EC…カソード、C…電流回路、C1…電圧測定開回路、F1…第1絶縁体濾材、C2…閉回路、F2…第2絶縁体濾材、V…電圧計、D2…水田用生物発生抑制装置、W…水層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12