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特開2019-122912シュレッダ及びこれに用いられる開口規制機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-122912(P2019-122912A)
(43)【公開日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】シュレッダ及びこれに用いられる開口規制機構
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/06 20060101AFI20190704BHJP
【FI】
   B02C18/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-5159(P2018-5159)
(22)【出願日】2018年1月16日
(71)【出願人】
【識別番号】501315762
【氏名又は名称】株式会社サカエ
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】早川 将義
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘一
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065CA12
4D065CB02
4D065CC01
4D065DD04
4D065DD08
4D065EB12
4D065ED06
4D065EE04
4D065EE07
4D065EE13
(57)【要約】
【課題】シュレッダの搬入経路への被細断物の投入時及び排出時の案内性を損なうことなく、被細断物の過剰投入に伴う詰まり事故を抑制する。
【解決手段】被細断物Pの厚さ方向に対応する開口幅を規制する開口規制機構5として、搬入経路3の領域内に突出する突出部8の先端位置で許容開口幅Bを規制し、被細断物Pの搬入方向の中心線Lc位置より細断機構4寄りの支点7を中心に揺動する規制部材6と、規制部材6が許容開口幅Bを規制するように規制部材6の一部が当接して位置決めされる位置決め部材10と、位置決め部材10に対して規制部材6を付勢する付勢部材11と、を有し、規制部材6は、突出部8の先端位置が中心線Lc位置よりも投入口2寄りに設けられ、突出部8は先端位置を境に山型状に連なる案内面9を有し、規制部材6が付勢部材11の付勢方向に抗した方向に揺動したときに搬入経路3の領域内から退避可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被細断物が投入される投入口及び当該投入口に投入された被細断物を搬入する搬入経路を有するシュレッダ筐体と、
前記シュレッダ筐体内の前記搬入経路の途中に設けられて被細断物を細断する細断機構と、
前記投入口から前記細断機構に至るまでの前記搬入経路の一部に設けられ、前記搬入経路のうち前記被細断物の厚さ方向に対応する開口幅を規制する開口規制機構と、
を備え、
前記開口規制機構は、
前記搬入経路の前記被細断物の搬入方向に交差する幅方向に沿って延び、前記搬入経路の領域内に突出する突出部の先端位置で前記搬入経路に投入可能な被細断物の最大厚さ寸法に対応した上限開口幅よりも狭い予め決められた許容開口幅を規制し、前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記細断機構寄りに設けられた支点を中心に揺動する規制部材と、
前記規制部材が前記許容開口幅を規制するように前記規制部材の一部が当接して位置決めされる位置決め部材と、
前記位置決め部材に対して前記規制部材の一部が当接するように当該規制部材を付勢する付勢部材と、を有し、
前記規制部材は、前記位置決め部材に位置決めされた条件で前記突出部の先端位置が前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記投入口寄りに設けられ、
前記突出部は前記先端位置を境に山型状に連なる案内面を有し、前記規制部材が前記付勢部材の付勢方向に抗した方向に揺動したときに前記突出部は前記搬入経路の領域内から退避可能であることを特徴とするシュレッダ。
【請求項2】
請求項1に記載のシュレッダにおいて、
前記規制部材が前記付勢部材の付勢方向に抗した方向に揺動したときに、前記細断機構による正転駆動を禁止する禁止手段を備えることを特徴とするシュレッダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシュレッダにおいて、
前記規制部材の支点と前記突出部の先端位置とを結ぶ補助線Lと、前記搬入経路に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をαとすると、
α≦50°の関係を満たすことを特徴とするシュレッダ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のシュレッダにおいて、
前記規制部材の突出部は、平面状又は外側に向かって凸となる曲面状の案内面を有することを特徴とするシュレッダ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のシュレッダにおいて、
前記規制部材は、前記突出部の山型状の案内面のうち前記突出部の先端位置に隣接した部位での接線方向に延びる補助線La,Lbと、前記搬入経路に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をθout,θinとすると、
θout,θin≦60°の関係を満たすことを特徴とするシュレッダ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のシュレッダにおいて、
前記規制部材が揺動して前記突出部が前記搬入経路の領域内から退避したときに、前記規制部材のうち前記突出部以外の外形部分が前記搬入経路の領域内に張り出さないように形成されていることを特徴とするシュレッダ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のシュレッダにおいて、
前記位置決め部材は、前記搬入経路の幅方向両端に設けられ、前記規制部材の幅方向両端に設けられた被位置決め部が当接する位置決め部を有することを特徴とするシュレッダ。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のシュレッダにおいて、
前記付勢部材は、前記規制部材の前記突出部以外の部分に設けられた引っ掛け部に引っ掛けられ、前記規制部材が前記位置決め部材に当接する方向に付勢するものであることを特徴とするシュレッダ。
【請求項9】
請求項8に記載のシュレッダにおいて、
前記付勢部材による付勢力と前記支点中心との間のスパンをs1、搬入された被細断物により前記規制部材の突出部の先端位置を持ち上げる力と前記支点中心との間のスパンをs2とすると、
s2≧2×s1を満たすことを特徴とするシュレッダ。
【請求項10】
投入口から細断機構に至るまでの搬入経路の一部に設けられ、被細断物の厚さ方向に対応する開口幅を規制する開口規制機構であって、
前記搬入経路の前記被細断物の搬入方向に交差する幅方向に沿って延び、前記搬入経路の領域内に突出する突出部の先端位置で前記搬入経路に投入可能な被細断物の最大厚さ寸法に対応した上限開口幅よりも狭い予め決められた許容開口幅を規制し、前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記細断機構寄りに設けられた支点を中心に揺動する規制部材と、
前記規制部材が前記許容開口幅を規制するように前記規制部材の一部が当接して位置決めされる位置決め部材と、
前記位置決め部材に対して前記規制部材の一部が当接するように当該規制部材を付勢する付勢部材と、を有し、
前記規制部材は、前記位置決め部材に位置決めされた条件で前記突出部の先端位置が前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記投入口寄りに設けられ、
前記突出部は前記先端位置を境に山型状に連なる案内面を有し、前記規制部材が前記付勢部材の付勢方向に抗した方向に揺動したときに前記突出部は前記搬入経路の領域内から退避可能であることを特徴とする開口規制機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被細断物を細断するシュレッダに係り、特に、被細断物の過剰投入に伴う詰まり事故を抑制するために、被細断物の搬入経路のうち被細断物の厚さ方向の開口幅を規制する開口規制機構を改良したシュレッダ及びこれに用いられる開口規制機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のシュレッダとしては例えば特許文献1に記載のものが既に提供されている。
特許文献1には、紙葉類を投入口から投入して前記投入口に続く案内路を経て回転するカッターに送り細断する紙葉細断装置において、案内路と投入口とは、案内路を経て投入口へ紙葉類を戻し可能に形成されており、投入口側からカッター側へ紙葉類が通過可能な開口幅である案内路の送り方向開口幅が、カッター側から投入口側へ紙葉類が通過可能な開口幅である案内路の戻り方向開口幅より狭く形成されている態様が開示されている。
本態様では、案内路の途中に開口幅切り換え手段が設けられており、開口幅切り換え手段は、カッター側から投入口側に作用する戻し力を受けて案内路の開口幅を広げる方向に支点の回りに回動可能であるとともに投入口側からカッター側に作用する送り力を受けて支点の回りに回動不能なゲートレバーを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3236584号公報(発明の実施の形態,図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の特許文献1に記載のシュレッダにおいては、投入口から案内路に被細断物としての用紙を投入するときに、案内路の送り方向開口幅より厚い用紙が投入された場合、開口幅切り換え手段のゲートレバーは回動不能であることから、厚い用紙のうち余剰分を一部残して用紙がゲートレバーを通過してカッターに至る。この結果、用紙がカッターに引き込まれ、これに伴って、ゲートレバーでせき止められた余剰分の用紙がゲートレバーを圧縮した状態で通過し、カッターのリード方向(回転軸の周囲の螺旋方向に相当)に引き込まれていくため、用紙が寄れて重なる事態が生じてしまう。このような状況にあっては、カッターに過剰な用紙が供給されることになり、カッターの破損を防止するためにカッターの正転駆動を緊急停止するという手法が多く採用されている。
この後、細断途中の用紙を取り出すために、カッターを逆転駆動する手法が多く採用されている。このとき、カッターを逆転駆動することで細断途中の用紙を投入口側に戻す戻し力が得られ、ゲートレバーが支点の回りに回動して案内路の開口幅が戻り方向開口幅に広がるという挙動を示すものの、ゲートレバーを圧縮した状態で通過した過剰な用紙がゲートレバーよりもカッター側の案内路で詰まってしまい、引き抜くことが困難になるという懸念がある。
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、シュレッダの搬入経路への被細断物の投入時及び排出時の案内性を損なうことなく、被細断物の過剰投入に伴う詰まり事故を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の技術的手段は、被細断物が投入される投入口及び当該投入口に投入された被細断物を搬入する搬入経路を有するシュレッダ筐体と、前記シュレッダ筐体内の前記搬入経路の途中に設けられて被細断物を細断する細断機構と、前記投入口から前記細断機構に至るまでの前記搬入経路の一部に設けられ、前記搬入経路のうち前記被細断物の厚さ方向に対応する開口幅を規制する開口規制機構と、を備え、前記開口規制機構は、前記搬入経路の前記被細断物の搬入方向に交差する幅方向に沿って延び、前記搬入経路の領域内に突出する突出部の先端位置で前記搬入経路に投入可能な被細断物の最大厚さ寸法に対応した上限開口幅よりも狭い予め決められた許容開口幅を規制し、前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記細断機構寄りに設けられた支点を中心に揺動する規制部材と、前記規制部材が前記許容開口幅を規制するように前記規制部材の一部が当接して位置決めされる位置決め部材と、前記位置決め部材に対して前記規制部材の一部が当接するように当該規制部材を付勢する付勢部材と、を有し、前記規制部材は、前記位置決め部材に位置決めされた条件で前記突出部の先端位置が前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記投入口寄りに設けられ、前記突出部は前記先端位置を境に山型状に連なる案内面を有し、前記規制部材が前記付勢部材の付勢方向に抗した方向に揺動したときに前記突出部は前記搬入経路の領域内から退避可能であることを特徴とするシュレッダである。
【0007】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記規制部材が前記付勢部材の付勢方向に抗した方向に揺動したときに、前記細断機構による正転駆動を禁止する禁止手段を備えることを特徴とするシュレッダである。
本発明の第3の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記規制部材の支点と前記突出部の先端位置とを結ぶ補助線Lと、前記搬入経路に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をαとすると、α≦50°の関係を満たすことを特徴とするシュレッダである。
本発明の第4の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記規制部材の突出部は、平面状又は外側に向かって凸となる曲面状の案内面を有することを特徴とするシュレッダである。
本発明の第5の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記規制部材は、前記突出部の山型状の案内面のうち前記突出部の先端位置に隣接した部位での接線方向に延びる補助線La,Lbと、前記搬入経路に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をθout,θinとすると、θout,θin≦60°の関係を満たすことを特徴とするシュレッダである。
本発明の第6の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記規制部材が揺動して前記突出部が前記搬入経路の領域内から退避したときに、前記規制部材のうち前記突出部以外の外形部分が前記搬入経路の領域内に張り出さないように形成されていることを特徴とするシュレッダである。
本発明の第7の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記位置決め部材は、前記搬入経路の幅方向両端に設けられ、前記規制部材の幅方向両端に設けられた被位置決め部が当接する位置決め部を有することを特徴とするシュレッダである。
本発明の第8の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記付勢部材は、前記規制部材の前記突出部以外の部分に設けられた引っ掛け部に引っ掛けられ、前記規制部材が前記位置決め部材に当接する方向に付勢するものであることを特徴とするシュレッダである。
本発明の第9の技術的特徴は、第8の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記付勢部材による付勢力と前記支点中心との間のスパンをs1、搬入された被細断物により前記規制部材の突出部の先端位置を持ち上げる力と前記支点中心との間のスパンをs2とすると、s2≧2×s1を満たすことを特徴とするシュレッダである。
【0008】
本発明の第10の技術的特徴は、投入口から細断機構に至るまでの搬入経路の一部に設けられ、被細断物の厚さ方向に対応する開口幅を規制する開口規制機構であって、前記搬入経路の前記被細断物の搬入方向に交差する幅方向に沿って延び、前記搬入経路の領域内に突出する突出部の先端位置で前記搬入経路に投入可能な被細断物の最大厚さ寸法に対応した上限開口幅よりも狭い予め決められた許容開口幅を規制し、前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記細断機構寄りに設けられた支点を中心に揺動する規制部材と、前記規制部材が前記許容開口幅を規制するように前記規制部材の一部が当接して位置決めされる位置決め部材と、前記位置決め部材に対して前記規制部材の一部が当接するように当該規制部材を付勢する付勢部材と、を有し、前記規制部材は、前記位置決め部材に位置決めされた条件で前記突出部の先端位置が前記被細断物の搬入方向の中心線位置よりも前記投入口寄りに設けられ、前記突出部は前記先端位置を境に山型状に連なる案内面を有し、前記規制部材が前記付勢部材の付勢方向に抗した方向に揺動したときに前記突出部は前記搬入経路の領域内から退避可能であることを特徴とする開口規制機構である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の技術的特徴によれば、シュレッダの搬入経路への被細断物の投入時及び排出時の案内性を損なうことなく、被細断物の過剰投入に伴う詰まり事故を抑制することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、被細断物の過剰投入時に、細断機構による被細断物の引込動作を最小限に抑えることができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、本構成を有しない態様に比べて、規制部材を持ち上げる力が作用したときに、付勢部材による付勢力に抗した方向に規制部材が回転させられるモーメントを確保し易い。
本発明の第4の技術的特徴によれば、規制部材の突出部に過剰な被細断物が衝突したとしても、突出部の先端位置に向けて被細断物を案内し易くすることができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、本構成を有しない態様に比べて、過剰な被細断物が規制部材の突出部の案内面に衝突したとしても、過剰な被細断物を、せき止めることなく突出部の先端位置へ案内することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、規制部材の揺動に伴って突出部が搬入経路の領域内から退避したときに、規制部材の突出部以外の外形部分が搬入経路の領域内に張り出す事態を回避することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、規制部材の揺動を損なうことなく、規制部材を予め決められた位置に位置決めすることができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、規制部材に対して付勢部材を簡単に取付け、規制部材に付勢部材による付勢力を作用させることができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、規制部材の突出部の先端位置を持ち上げる力を付勢部材による付勢力の1/2以下に抑えた状態で規制部材を揺動させることができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、シュレッダの搬入経路に組み込むことで、シュレッダの搬入経路への被細断物の投入時及び排出時の案内性を損なうことなく、被細断物の過剰投入に伴う詰まり事故を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は本発明が適用されたシュレッダの実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)に係るシュレッダの開口規制機構の要部を示す説明図、(c)は開口規制機構の動作を示す説明図である。
図2】実施の形態1に係るシュレッダの全体構成を示す説明図である。
図3】実施の形態1で用いられる開口規制機構を示す説明図である。
図4】(a)は実施の形態1に係る開口規制機構で用いられる位置決め機構の被位置決め部の一例を示す説明図、(b)は同位置決め機構の被位置決め部を位置決めする位置決め部の一例を示す説明図である。
図5図3に係る開口規制機構の要部を示す説明図である。
図6図5に係る開口規制機構の動作を示す説明図である。
図7】実施の形態1に係るシュレッダの細断制御処理過程を示すフローチャートである。
図8】(a)は用紙投入時における実施の形態1に係る開口規制機構の動作を示す説明図、(b)は用紙排出時における同開口規制機構の動作を示す説明図である。
図9】比較の形態1に係る開口規制機構の要部を示す説明図である。
図10】(a)は用紙投入時における比較の形態1に係る開口規制機構の動作を示す説明図、(b)は用紙排出時における同開口規制機構の動作を示す説明図である。
図11】変形の形態1に係る開口規制機構の要部を示す説明図である。
図12】(a)は実施の形態2に係るシュレッダの要部を示す説明図、(b)は(a)に示す騒音低減機構に用いられる静音ロールの支持構造例を示す説明図である。
図13】実施の形態2に係る騒音低減機構を開放した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用されたシュレッダの実施の形態の概要を示す。
同図において、シュレッダは、被細断物Pが投入される投入口2及び当該投入口2に投入された被細断物Pを搬入する搬入経路3を有するシュレッダ筐体1と、シュレッダ筐体1内の搬入経路3の途中に設けられて被細断物Pを細断する細断機構4と、投入口2から細断機構4に至るまでの搬入経路3の一部に設けられ、搬入経路3のうち被細断物Pの厚さ方向に対応する開口幅を規制する開口規制機構5と、を備えている。
本例において、開口規制機構5は、図1(b)(c)に示すように、搬入経路3の被細断物Pの搬入方向に交差する幅方向に沿って延び、搬入経路3の領域内に突出する突出部8の先端位置で搬入経路3に投入可能な被細断物Pの最大厚さ寸法に対応した上限開口幅Aよりも狭い予め決められた許容開口幅Bを規制し、被細断物Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも細断機構4寄りに設けられた支点7を中心に揺動する規制部材6と、規制部材6が許容開口幅Bを規制するように規制部材6の一部が当接して位置決めされる位置決め部材10と、位置決め部材10に対して規制部材6の一部が当接するように当該規制部材6を付勢する付勢部材11と、を有し、規制部材6は、位置決め部材10に位置決めされた条件で突出部8の先端位置が被細断物Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも投入口2寄りに設けられ、突出部8は先端位置を境に山型状に連なる案内面9(具体的には9a,9b)を有し、規制部材6が付勢部材11の付勢方向に抗した方向に揺動したときに突出部8は搬入経路3の領域内から退避可能としたものである。
【0012】
このような技術的手段において、開口規制機構5は、投入口2に過剰な被細断物Pが投入されたときに、上限開口幅Aよりも狭い許容開口幅B以上の過剰分が細断機構4に引き込まれないように開口幅を規制したものである。
ここで、規制部材6の支点7は被細断物Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも細断機構4寄りに設けられている。これは、過剰な被細断物Pが細断機構4に引き込まれ、細断機構4の運転が停止した後に、当該細断機構4をリバース動作(逆転駆動)するときに、被細断物Pが規制部材6に当接した条件で規制部材6を持ち上げ易くすることを考慮したものである。
また、位置決め部材10は規制部材6の一部が当接して規制部材6の付勢部材11による付勢方向への移動を位置決めするものであればよく、搬入経路3を区画する区画部材の一部を利用してもよいし、区画部材とは別部材を利用してもよい。
更に、付勢部材11の取付構造は規制部材6の一部に付勢部材11の引っ掛け部を設けるようにしてもよいし、あるいは、規制部材6の支点7に巻き付けるようにする等適宜選定して差し支えない。
【0013】
また、規制部材6の一部が位置決め部材10に当接している条件では、規制部材6の突出部8の先端位置は規制部材6の中心線Lc位置よりも投入口2寄りに配置されている。これは、規制部材6の支点7から当該規制部材6を上方に持ち上げる力に至るまでのスパンを長く確保し易くしたもので、これにより、規制部材6を支点7を中心に付勢部材11による付勢力に抗した方向に回転させるモーメントを大きく設定し易くしている。
更に、突出部8は先端位置を境に山型状の案内面9(9a,9b)を有しているため、投入口2から投入された被細断物Pは投入口2側の案内面9aに沿って規制部材6の先端位置へと案内され、一方、細断機構4からリバースされる被細断物Pは細断機構4側の案内面9bに沿って規制部材6の先端位置へと案内される。
更にまた、規制部材6が付勢部材11の付勢方向に抗した方向に揺動したときに、突出部8は搬入経路3の領域内から退避可能であることを要する。仮に、規制部材6の突出部8が搬入経路3の領域内に張り出したままの状況では、細断機構4のリバース動作時に、搬入経路3のうち規制部材6よりも細断機構4側で詰まった被細断物P(被細断物Pの厚さが上限開口幅Aに達している場合も多い)が排出動作する際に規制部材6が邪魔になる懸念があるので、これを回避する趣旨である。
【0014】
次に、本実施の形態に係るシュレッダの代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、本実施の形態に係るシュレッダの代表的態様としては、規制部材6が付勢部材11の付勢方向に抗した方向に揺動したときに、細断機構4による正転駆動を禁止する禁止手段を備える態様が挙げられる。本例は、規制部材6が付勢部材11の付勢方向に抗した方向に揺動するとき(許容開口幅B以上の厚さの被細断物Pを投入したとき等)、禁止手段により細断機構4の正転動作が禁止されることから、被細断物Pの細断機構4への引込動作が早期に停止する。このため、ジャムした被細断物Pが搬入経路3にきつく詰まる懸念は少なくなり、細断機構4をリバース動作させることで、被細断物Pを容易に引き抜くことが可能である。
【0015】
また、規制部材6の突出部8の好ましい態様としては、図1(b)に示すように、規制部材6の支点7と突出部8の先端位置とを結ぶ補助線Lと、搬入経路3に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をαとすると、α≦50°の関係を満たす態様が挙げられる。ここで、規制部材6の支点7と突出部8の先端位置とを結ぶ補助線Lと基準線Lとの間の角度αは適宜選定して差し支えないが、本例のように、規制部材6の突出部8の先端位置を持ち上げる際に持ち上げ力による規制部材6のモーメントをある程度確保するには、支点7と持ち上げ力との間のスパンをある程度長くするようにαを50°以下に選定することが好ましい。
【0016】
更に、規制部材6の突出部8の好ましい案内面9(9a,9b)としては、図1(b)に示すように、平面状の案内面9(9a,9b)を有する態様が代表的であるが、これに限定されるものではなく、案内面9(9a,9b)として外側に向かって凸となる曲面状に形成するようにしてもよいし、平面部と曲面部とを組み合わせるようにしても差し支えない。
【0017】
更にまた、規制部材6の突出部8の別の好ましい態様としては、図1(b)に示すように、突出部8の山型状の案内面9(9a,9b)のうち突出部8の先端位置に隣接した部位での接線方向に延びる補助線La,Lbと、搬入経路3に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をθout,θinとすると、θout,θin≦60°の関係を満たす態様が挙げられる。ここで、補助線La,Lbは案内面9(9a,9b)が平面状である態様のほか、曲面状である態様も考慮して選定されている。また、補助線La,Lbと基準線Lとの間の角度θout,θinは適宜選定して差し支えないが、突出部8の先端位置に向けて被細断物Pを案内するという観点からすれば、60°以下が好ましい。仮に、案内面9(9a,9b)が60°を超える角度である態様では、過剰な被細断物Pの一部が案内面9に衝突すると、被細断物Pの一部が案内面9にせき止められる懸念が生ずる。
【0018】
また、規制部材6の好ましい態様としては、規制部材6が揺動して突出部8が搬入経路3の領域内から退避したときに、規制部材6のうち突出部8以外の外形部分が搬入経路3の領域内に張り出さないように形成されている態様が挙げられる。本例は、規制部材6が付勢部材11の付勢力に抗して揺動するときに、規制部材6の突出部8が搬入経路3の領域内から退避することを要するが、規制部材6の揺動に伴って突出部8でない外形部分が搬入経路3の領域内に張り出さない態様である。
【0019】
また、位置決め部材10の代表的態様としては、搬入経路3の幅方向両端に設けられ、規制部材6の幅方向両端に設けられた被位置決め部が当接する位置決め部を有する態様が挙げられる。本例は、位置決め部材10が規制部材6の揺動を邪魔しないように設置されている態様である。
【0020】
更に、付勢部材11の代表的な取付構造としては、規制部材6の突出部8以外の部分に設けられた引っ掛け部に引っ掛けられ、規制部材6が位置決め部材10に当接する方向に付勢するものが挙げられる。本例は、規制部材6の一部に付勢部材11を引っ掛けて当該規制部材6を所定方向に付勢する態様である。
本例において、規制部材6の突出部8の好ましいレイアウトとしては、図1(b)に示すように、付勢部材11による付勢力と支点7中心との間のスパンをs1、搬入された被細断物Pにより規制部材6の突出部8の先端位置を持ち上げる力と支点7中心との間のスパンをs2とすると、s2≧2×s1を満たす態様が挙げられる。本例は、規制部材6の一部に付勢部材11を引っ掛ける態様において、付勢部材11の作用点と規制部材6の突出部8の先端位置との位置関係を工夫し、規制部材6を揺動させる被細断物Pによる持ち上げ力を付勢部材11の付勢力に対して1/2以下に抑える態様である。
【0021】
◎実施の形態1
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
図2は実施の形態1に係るシュレッダの全体構成を示す。
−シュレッダの全体構成−
同図において、シュレッダ20は、略直方体形状のシュレッダ筐体21を有し、このシュレッダ筐体21の頂部21aには断面略V字状の凹所21bを形成すると共に、この凹所21bの底部には被細断物としての一若しくは複数枚の用紙Pが投入される投入口22を開設し、この投入口22に連通して斜め下方に向かって傾斜する搬入経路23を設け、この搬入経路23の途中に細断機構24を配設し、シュレッダ筐体21内の細断機構24の下方には用紙Pの細断屑Paが収容される屑容器27を出し入れ可能に配設したもので
ある。
ここで、搬入経路23は上側及び下側を一対の区画シュート23a,23bで区画したものであり、また、細断機構24は、用紙Pを細断するカッタ機構25と、このカッタ機構25を清掃する清掃機構26とを備えている。
本例では、カッタ機構25は、図2に示すように、カッタ要素として対構成の刃付ドラム31,32が用いられるクロスカット方式を採用したもので、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域に用紙Pを挿通させることで、用紙Pの搬入方向に沿う方向(縦方向)及びこれに略直交する交差方向(横方向)について縦横同時に細断するようにしたものである。尚、カッタ機構25としては、クロスカット方式に限るものではなく、ストレートカッタとクロスカッタとを組み合わせて使用するものでもよいことは勿論である。
また、清掃機構26は、対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域とは異なる領域に設けられ、刃付ドラム31,32の周囲に付着した細断屑Paを掻き取る掻き取り部材としてのスクレーパ41,42を備えている。ここで、スクレーパ41,42としては炭素鋼等の高強度の材料からなる板材が用いられている。
特に、本実施の形態では、搬入経路23のうち用紙Pの厚さ方向に対応する開口幅を規制するために、投入口22と細断機構24との間の搬入経路23の一部には開口規制機構80が設けられている。
尚、図2中、符号50は細断機構24のカッタ機構25を駆動する駆動装置、符号60
はシュレッダ20を操作するための操作パネルである。
【0022】
−開口規制機構の構成−
本実施の形態において、開口規制機構80は、図3及び図5に示すように、搬入経路23の用紙Pの搬入方向に交差する幅方向に沿って延び、搬入経路23に投入可能な用紙Pの最大厚さ寸法に対応した上限開口幅Aよりも狭い予め決められた許容開口幅Bを規制する規制ゲート81と、規制ゲート81が許容開口幅Bを規制するように規制ゲート81を位置決めする位置決め機構100と、位置決め機構100にて位置決めされる規制ゲート81を位置決め位置に向けて付勢する付勢機構110と、を備えている。
【0023】
<規制ゲート>
本実施の形態においては、搬入経路23の上側を区画する区画シュート23aの一部に、用紙Pの搬送方向に交差する幅方向に延びるスリット28が設けられ、当該スリット28に沿って規制ゲート81が設けられている。
本例において、規制ゲート81は、図3乃至図5に示すように、スリット28の長手方向に延びる中空有底状の断面略ホームベース形状のゲート本体82を有し、このゲート本体82の長手方向両端付近の両側壁には延長部83を形成すると共に、ゲート本体82の延長部83を有する両側壁に面した長手方向両端部をエンドキャップ84で塞ぐようにしたものである。ここで、ゲート本体82の長手方向両端付近の両側壁にのみ延長部83を形成してエンドキャップ84を施すようにしたのは、規制ゲート81の軽量化を図りながら曲げ剛性を高める構造にするためである。
そして、規制ゲート81は、搬入経路23の領域内に突出する突出部85を有しており、この突出部85の先端位置で前述した許容開口幅Bを規制すると共に、ゲート本体82の用紙Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも細断機構24寄りに長手方向に沿って延びる支軸86を中心にゲート本体82を揺動可能に支持するものである。
尚、支軸86は搬入経路23の幅方向両側を区画する区画側壁29(シュレッダ筐体21の一部をそのまま利用してもよいし、シュレッダ筐体21の一部に取り付けられた別部材でもよい)に固定されている。
【0024】
また、本実施の形態において、規制ゲート81の突出部85の先端位置は、特に図5に示すように、ゲート本体82のうち用紙Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも投入口22寄りに設けられており、突出部85は先端位置を境に山型状に連なる平面状の案内面87(具体的には87a,87b)を有している。尚、突出部85の先端は鋭利状ではなく小さな曲率半径の湾曲部88として形成されている。
更に、本実施の形態では、規制ゲート81が支軸86を中心に時計回り方向に揺動したときに、突出部85が搬入経路23の領域内から退避可能になるような寸法に選定されている。
本例では、スリット28の短手方向の幅寸法wは、図5に示すように、規制ゲート81の短手方向の幅寸法より僅かに大きく設定されており、図6に示すように、規制ゲート81が支軸86を中心に時計回り方向に揺動したときに、規制ゲート81の支軸86中心と突出部85の先端位置とを結ぶ補助線Lの回転軌跡がスリット28内に収まるように選定されていることが必要である。
尚、本例では、区画シュート23aのスリット28の投入口22側開口縁の裏側は空洞部として形成されており、規制ゲート81が支軸86を中心に時計周り方向に揺動したとしても、規制ゲート81の突出部85以外の外形部分が区画シュート23aと干渉する懸念はない。また、区画シュート23aのスリット28の細断機構24側開口縁には補強用のフランジ23cが形成されているが、本例では、規制ゲート81が支軸86を中心に時計回り方向に揺動したとしても、規制ゲート81の突出部85以外の外形部分が区画シュート23aの補強用のフランジ23cと非干渉になるようになっていればよい。
【0025】
ここで、規制ゲート81の好ましい構成例について説明する。
(1)突出部85の先端位置
図5に示すように、規制ゲート81の支軸86中心と突出部85の先端位置とを結ぶ補助線Lと、搬入経路23に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をαとすると、角度αは適宜選定して差し支えないが、規制ゲート81の突出部85の先端位置を持ち上げる際に持ち上げ力による規制ゲート81のモーメントをある程度確保するには、支軸86中心と持ち上げ力との間のスパンをある程度長くするように角度αを50°以下に選定することが好ましい。
(2)案内面87(87a,87b)の傾斜角度
突出部85の山型状の案内面87(87a,87b)のうち突出部85の先端位置から傾斜方向に延びる補助線La,Lbと、搬入経路23に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をθout,θinとすると、これらの角度θout,θinは適宜選定して差し支えないが、突出部85の先端位置に向けて用紙Pを案内するという観点からすれば、60°以下が好ましい。
(3)規制ゲート81の突出部85以外の外形形状
規制ゲート81が支軸86を中心に時計回り方向に揺動して突出部85が搬入経路23の領域内から退避したときに、規制ゲート81のうち突出部85以外の外形部分が搬入経路23の領域内に張り出さないように形成されていることが好ましい。
例えば突出部85以外の外形部分のうち、規制ゲート81の揺動に伴って支軸86の直下に移動する部位については、当該外形部位と支軸86中心とを結ぶ補助線Lのスパンが、支軸86中心から搬入経路23に沿う方向の基準線Lに直交する垂線方向において搬入経路23の領域内には到達しない範囲に設定されていればよい。
【0026】
<位置決め機構>
また、本実施の形態において、位置決め機構100は、図3及び図4(a)(b)に示すように、規制ゲート81の長手方向両端に設けられたエンドキャップ84の一部、具体的には規制ゲート81の支軸86から離れた側の上縁隅部に夫々外方に突出する被位置決め突起101を一体的に形成する一方、搬入経路23の幅方向両側を区画する区画側壁29には被位置決め突起101が係合するように切り欠かれた位置決め切欠102を形成し、当該位置決め切欠102に規制ゲート81の被位置決め突起101を係合させることにより、規制ゲート81の突出部85の先端位置を許容開口幅Bに対応する位置に位置決めするものである。
特に、本例では、被位置決め突起101は規制ゲート81の支軸86から離れた側の上縁隅部に設けられているため、支軸86中心と被位置決め突起101との間のスパンをある程度長くすることが可能になり、前述したスパンが短い態様に比べて、位置決め機構100による規制ゲート81の位置決め精度を高くすることが可能である。
【0027】
<付勢機構>
更に、本実施の形態では、付勢機構110は、図3乃至図5に示すように、規制ゲート81の長手方向一端付近の両側壁のうち支軸86に近い側壁の延長部83に引っ掛け孔111を開設し、また、搬入経路23の幅方向両側を区画する区画側壁29のうち、規制ゲート81の引っ掛け孔111よりも上方に離れた部位に引っ掛け孔112を形成し、両引っ掛け孔111,112に付勢バネ113の両端を引っ掛けることで、規制ゲート81を支軸86を中心に反時計回り方向(本例では位置決め機構100の被位置決め突起101が位置決め切欠102に係合する方向に相当)に付勢するものである。
尚、本例では、付勢機構110は規制ゲート81の長手方向一端側に設けられた態様であるが、これに限定されるものではなく、規制ゲート81の長手方向両端にそれぞれ付勢機構110を設けるようにしても差し支えない。
【0028】
−制御系−
本実施の形態では、細断機構24のカッタ機構25は、図3に示すように、制御装置120からの制御信号に基づいて駆動装置50としての駆動モータ51を制御し、正転若しくは逆転駆動するようになっている。
本例において、制御装置120はCPU、RAM、ROM及び入出力ポートを含むマイクロコンピュータシステムからなり、図2に示す操作パネル60からの操作信号や各種センサからの検出信号を入出力ポートにて受け取り、CPUによってROM内に予めインストールされている細断制御プログラム(図7参照)を実行し、入出力ポートを介して細断機構24の駆動装置50としての駆動モータ51に所定の制御信号を送出するようになっている。
【0029】
<各種センサ>
本例において、各種センサとしては、図3に示すように、用紙有無センサ121や用紙過多センサ122等が挙げられる。
ここで、用紙有無センサ121は、搬入経路23に用紙Pが投入されたか否かを検出するものであり、機械式のリミットスイッチや光学式センサが用いられる。
また、用紙過多センサ122は搬入経路23に投入された用紙Pが過剰か否かを検出するものであり、本例では例えばマイクロスイッチが用いられる。用紙過多センサ122としてのマイクロスイッチは、図5及び図6に示すように、一般にケース123内に内部機構として微小接点機構とスナップアクション機構とを内蔵し、外部にアクチュエータ124を備え、アクチュエータ124の動きを内部機構に伝達するようにしたものである。本例では、開口規制機構80の規制ゲート81の揺動に伴って揺動する揺動片90がゲート本体82の細断機構24側の側壁から突出して設けられており、この揺動片90が用紙過多センサ122としてのマイクロスイッチのアクチュエータ124に接触して配置されている。そして、搬入経路23に許容開口幅Bよりも過剰な用紙Pが投入されると、詳細は後述するが、規制ゲート81が付勢バネ113の付勢方向に抗する方向に所定量揺動することになり、これに伴って、揺動片90がアクチュエータ124から離れる方向に所定量揺動すると、これに追従してアクチュエータ124が動き、内部機構としての微小接点機構が接触することでマイクロスイッチがオン動作し、用紙Pが過多であることが検出される。
【0030】
−シュレッダの細断制御処理−
次に、本実施の形態に係るシュレッダの細断制御処理を主として図7に示すフローチャートに従って説明する。
<通常細断処理>
先ず、制御装置120は、操作パネル60の図示外のスタートスイッチがオン操作されたことを判断した後、駆動装置50の駆動条件(例えば駆動モータ51の駆動速度条件)を予め決められた所定のものに設定する。
この状態において、図2に示すように、シュレッダ筐体21の投入口22に用紙Pが投入されると、当該用紙Pは搬入経路23に沿って細断機構24のカッタ機構25に向かって移動する。このとき、用紙有無センサ121が用紙Pの存在を検出すると、用紙有無センサ121による検出信号が制御装置120に取り込まれ、これに連動して、駆動モータ51が所定の駆動条件に従ってカッタ機構25の対構成の刃付ドラム31,32を駆動する。
ここで、開口規制機構80の規制ゲート81は、図5に示すように、突出部85の先端位置で許容開口幅Bを規制するため、用紙Pの厚さが許容開口幅B以下である場合には、規制ゲート81を持ち上げることなく規制ゲート81を通過し、カッタ機構25に至る。
このため、本例では、用紙Pは対構成の刃付ドラム31,32の噛み合い領域を通過することで、縦横同時に細断され、細断された細断屑Paは清掃機構26としてのスクレーパ41,42によって刃付ドラム31,32から掻き取られて下方へと落下する。
そして、用紙Pの後端が用紙有無センサ121を通過して予め決められた時間(細断処理が終了したであろうと推測される時間)が経過すると、制御装置120は細断処理が終了したものと判断し、駆動モータ51の駆動を停止し、一連の細断制御処理を終了する。
【0031】
<過剰用紙投入時>
次に、許容開口幅Bよりも厚い過剰な用紙Pが投入口22から搬入経路23に投入されたと仮定すると、図7に示すように、用紙有無センサ121が用紙Pの存在を検出し、用紙有無センサ121による検出信号が制御装置120に取り込まれ、これに連動して、駆動モータ51が所定の駆動条件に従ってカッタ機構25の対構成の刃付ドラム31,32を駆動する。
このとき、図8(a)に示すように、過剰な用紙Pのうち余剰分を一部残して用紙Pが規制ゲート81を通過してカッタ機構25に至る。この結果、用紙Pがカッタ機構25に引き込まれ、これに伴って、規制ゲート81でせき止められた余剰分の用紙Pが規制ゲート81の突出部85の投入口22側の案内面87aに沿って案内され、突出部85の先端位置に引き込まれる。
この状態において、規制ゲート81は余剰分の用紙Pによって上方に持ち上げられることになるが、規制ゲート81の突出部85の先端位置は用紙Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも投入口22寄りに設けられていることから、規制ゲート81の支軸86中心から規制ゲート81を上方に持ち上げる力Fpの作用点である突出部85の先端位置までの補助線Lのスパンを長く確保し易く、規制ゲート81を支軸86を中心に付勢バネ113による付勢力Fsに抗した方向に回転させるモーメントMpを大きく設定し易くなっている。
【0032】
より具体的には、図5及び図6に示すように、規制ゲート81のうち、付勢バネ113による付勢力Fsと支軸86中心との間のスパンをs1、搬入された用紙Pにより規制ゲート81の突出部85の先端位置を持ち上げる力Fpと支軸86中心との間のスパンをs2とすると、本例ではs2≧2×s1を満たすように選定されている。
この場合、付勢バネ113による付勢力Fsの支軸86回りのモーメントMsはFs×s1であり、一方、規制ゲート81を持ち上げる力Fpの支軸86回りのモーメントMpはFp×s2である。
ここで、付勢バネ113による付勢力Fsに抗した方向に規制ゲート81を揺動させる条件としては、Mp>Msであることが必要である。ここで、s2≧2×s1であるから、規制ゲート81の突出部85の先端位置を持ち上げる力Fpとしては、付勢バネ113による付勢力Fsの1/2以下に抑えた状態で規制ゲート81を揺動させることが可能であることが理解される。
このため、本例の場合には、過剰の用紙Pは規制ゲート81を所定方向に揺動させながら規制ゲート81をくぐり抜ける。このとき、図6に示すように、規制ゲート81が所定方向に所定量揺動すると、これに伴って、規制ゲート81の揺動片90が用紙過多センサ122としてのマイクロスイッチのアクチュエータ124から離れる方向に所定量揺動し、マイクロスイッチがオン動作する。すると、制御装置120は、図7に示すように、過剰の用紙Pが搬入されたものと判断し、細断機構24のカッタ機構25の駆動を停止すると共に、カッタ機構25の正転駆動を禁止する。このため、過剰の用紙Pがカッタ機構25に不必要に引き込まれる事態は早期に解消され、カッタ機構25が破損する等のトラブルは回避される。
【0033】
<過剰用紙排出時>
カッタ機構25の駆動が停止された後、カッタ機構25に引き込まれた過剰な用紙Pを取り除くことが必要になる。本例では、図8(b)に示すように、細断機構24のカッタ機構25を逆転駆動(リバース)させることで、カッタ機構25に引き込まれた過剰な用紙Pを搬入経路23から投入口22に向けて排出させる。
このとき、カッタ機構25から排出される過剰な用紙Pは、搬入経路23のうち規制ゲート81の細断機構24側の領域で押し出されることから、搬入経路23の上限開口幅Aに近い厚さに嵩張った状態で規制ゲート81の突出部85の細断機構24側の案内面87bに突き当たる。この状態において、過剰な用紙Pの余剰分は案内面87bに沿って突出部85の先端位置へと案内され、規制ゲート81の突出部85の先端位置をくぐり抜けようとする。
ここで、過剰な用紙Pの余剰分は案内面87bに沿って案内されながら同時に案内面87bに対して垂直な方向に押圧力を作用させ、更に、規制ゲート81の突出部85の先端位置を持ち上げる力を作用させる。この結果、規制ゲート81には、当該規制ゲート81を持ち上げる力によるモーメントに加えて、案内面87bに作用する押圧力によるモーメントが相乗的に働くことになり、付勢バネ113による付勢力Fsの付勢方向に抗した方向に規制ゲート81を揺動させる力として、過剰用紙投入時よりもより少なく抑えた状態で規制ゲート81を揺動させることが可能である。
このため、過剰な用紙Pは規制ゲート81をくぐり抜けて搬入経路23から投入口22に向かって排出される。
【0034】
また、本例では、過剰な用紙Pが上限開口幅Aに近い厚さを以て規制ゲート81を通過するときには、規制ゲート81の揺動に伴って規制ゲート81の突出部85が搬入経路23の領域内から退避することから、過剰な用紙Pは規制ゲート81を容易に通過することが可能である。特に、本例にあっては、規制ゲート81の揺動に伴って突出部85以外の外形部分が搬入経路23の領域内に張り出すこともないので、過剰な用紙Pが規制ゲート81を通過するときに規制ゲート81の外形部分の一部が抵抗として邪魔になるという懸念もない。
そして、搬入経路23から排出された過剰な用紙Pを除去すると、用紙有無センサ121により搬入経路23内に用紙Pが存在しないことが検出され、制御装置120は用紙有無センサ121からの用紙無しの検出信号を受けた後、細断機構24のカッタ機構25の駆動を停止すると共に、カッタ機構25の正転駆動禁止を解除する。
【0035】
◎比較の形態1
次に、本実施の形態に係る開口規制機構80の性能を評価する上で比較の形態1に係る開口規制機構80’について説明する。
図9は比較の形態1に係る開口規制機構80’の要部を示す。
同図において、開口規制機構80’は、搬入経路23の用紙Pの搬入方向に交差する幅方向に沿って延び、搬入経路23に投入可能な用紙Pの最大厚さ寸法に対応した上限開口幅Aよりも狭い予め決められた許容開口幅Bを規制する規制ゲート181と、規制ゲート181が許容開口幅Bを規制するように規制ゲート181を位置決めする位置決め機構(図示せず)と、位置決め機構にて位置決めされる規制ゲート181を位置決め位置に向けて付勢する付勢機構110と、を備えている。
本例において、規制ゲート181は、実施の形態1と略同様に、搬入経路23の領域内に突出する突出部185を有しており、この突出部185の先端位置で許容開口幅Bを規制すると共に、用紙Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも細断機構24寄りに長手方向に沿って延びる支軸186を中心に揺動可能になっているが、実施の形態1と異なり、規制ゲート181の突出部185の先端位置は、用紙Pの搬入方向の中心線Lc位置に対応して設けられており、突出部185は先端位置を境に山型状に連なる平面状の案内面187(具体的には187a,187b)を対称的に形成したものである。
尚、付勢機構110は実施の形態1と略同様な構造(図9中、引っ掛け孔111、付勢バネ113)を有している。
そして、本例では、規制ゲート181のうち、付勢バネ113による付勢力Fsと支軸186中心との間のスパンをs1’、搬入された用紙Pにより規制ゲート181の突出部185の先端位置を持ち上げる力Fpと支軸186中心との間のスパンをs2’とすると、本例ではs2’≒s1’を満たすように選定されている。
【0036】
−シュレッダの細断制御処理−
次に、比較の形態1に係るシュレッダの細断制御処理について説明する。
<通常細断処理>
通常細断処理については、実施の形態1と略同様である。
<過剰用紙投入時>
次に、許容開口幅Bよりも厚い過剰な用紙Pが投入口22から搬入経路23に投入されたと仮定すると、図10(a)に示すように、過剰な用紙Pのうち余剰分を一部残して用紙Pが規制ゲート181を通過して細断機構24に至る。この結果、用紙Pが細断機構24に引き込まれ、これに伴って、規制ゲート181でせき止められた余剰分の用紙Pが規制ゲート181の突出部185の投入口22側の案内面187aに沿って案内され、突出部185の先端位置に引き込まれる。
このとき、規制ゲート181の突出部185の先端位置は支軸186の中心との間のスパンが短く、本例では、s2’≒s1’を満たすように選定されていることから、少なくとも規制ゲート181を付勢バネ113による付勢力Fsに抗した方向に揺動させるには、付勢バネ113による付勢力Fsを超える力Fpで規制ゲート181の突出部185の先端位置を持ち上げることが必要である。しかしながら、規制ゲート181を持ち上げる力Fpとして付勢バネ113による付勢力Fsを超える力を得ることは難しく、本例では、規制ゲート181はほとんど揺動することなく、余剰の用紙Pが規制ゲート181の許容開口幅B部分に圧縮した状態で通過し、搬入経路23の細断機構24側の領域で詰まってしまい、引き抜くことが困難になる懸念がある。
【0037】
<過剰用紙排出時>
過剰用紙投入時に、過剰な用紙Pが細断機構24に引き込まれたまま詰まったと仮定すると、細断機構24による細断処理を続行することが困難になるため、細断機構24を緊急停止した後、詰まった用紙Pを取り除くために、細断機構24を逆転駆動(リバース)させることで用紙Pの排出動作を行う。
このとき、図10(b)に示すように、過剰な用紙Pは規制ゲート181の突出部185の細断機構24側の案内面187bに沿って案内され、突出部185の先端位置に向かう。この状態においては、過剰な用紙Pの余剰分は案内面187bに沿って案内されながら同時に案内面187bに対して垂直な方向に押圧力を作用させ、更に、規制ゲート181の突出部185の先端位置を持ち上げる力を作用させる。この結果、規制ゲート181には、当該規制ゲート181を持ち上げる力によるモーメントに加えて、案内面187bに作用する押圧力によるモーメントが相乗的に働くことになり、付勢バネ113による付勢力Fsの付勢方向に抗した方向に規制ゲート181を揺動させる力としては、付勢バネ113による付勢力Fsよりも少なく抑えた状態で規制ゲート181を揺動させることが可能である。但し、規制ゲート181を揺動させるモーメントMpとしては支軸186からのスパンが短いため、十分なモーメントMpを確保することは容易ではない。
【0038】
◎変形の形態1
図11は変形の形態1に係る開口規制機構80の要部を示す。
同図において、開口規制機構80の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、規制ゲート81、図示外の位置決め機構及び付勢機構110を備えているが、規制ゲート81が実施の形態1とは異なる構成を有している。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、規制ゲート81は、実施の形態1と略同様に、位置決め機構に位置決めされた条件で突出部85の先端位置が用紙Pの搬入方向の中心線Lc位置よりも投入口22寄りに設けられ、突出部85は先端位置を境に山型状に連なる案内面87(87c,87d)を有しているが、実施の形態1と異なり、案内面87(87c,87d)は外側に向かって凸となる曲面状に形成されており、これらの案内面87(87c,87d)のうち突出部85の先端位置に隣接した部位での接線方向に延びる補助線La,Lbと、搬入経路23に沿う方向の基準線Lとの間の鋭角の角度をθout,θinとすると、θout,θin≦60°の関係を満たすようになっている。
本変形の形態によれば、実施の形態1に係る規制ゲート81(平面状の案内面87(87a,87b)を具備)に比べて、θout,θinを小さく選定することが可能になり、その分、規制ゲート81の突出部85に過剰な用紙Pが衝突したとしても、突出部85の先端位置に向けての用紙Pの案内性が良好に保たれる点で好ましい。
【0039】
◎実施の形態2
図12(a)は実施の形態2に係るシュレッダの要部を示す。
同図において、シュレッダ20の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、シュレッダ筐体21の投入口22と細断機構24との間の搬入経路23の途中に開口規制機構80を備えているが、実施の形態1と異なり、更に、搬入経路23のうち開口規制機構80よりも投入口22寄りには騒音低減機構130を備えたものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、騒音低減機構130は、図12(a)(b)及び図13に示すように、細断機構24による細断音や細断機構24による細断時の用紙Pの後端におけるばたつき音などの騒音を低減させるものであり、上側区画シュート23aの一部に開閉カバー141を開閉可能に設けると共に、当該開閉カバー141に静音ロール131を組み込むようにしたものである。
ここで、開閉カバー141は上側区画シュート23aの一部に支持ブラケット142を固着し、当該支持ブラケット142に対し支軸143を中心に開閉可能に取り付けたものである。本例では、開閉カバー141閉鎖時に開閉カバー141がシュレッダ筐体21の凹所21bを構成するようになっている。
【0040】
本例において、開閉カバー141のうち搬入経路23に面した部位には用紙Pの搬入方向に交差する幅方向に沿って延びる長尺矩形状の取付孔144が開設されており、この取付孔144に面した部位には下側区画シュート23bに対向して静音ロール131が設置されている。
本例において、静音ロール131は樹脂や金属等の適宜素材を用いて中空の両端が開口した円筒パイプとして構成され、その軸方向寸法は搬入経路23の幅方向寸法に対応して選定されている。そして、開閉カバー141の長手方向両側壁145には夫々内側に突出する突起体132が設けられており、静音ロール131の両端開口内に突起体132を配置することで静音ロール131が吊り下げ支持されている。尚、突起体132としてはピンに限られず、ねじ等の止め具を用いても差し支えない。
更に、開閉カバー141閉時には、静音ロール131は下側区画シュート23bとの間には隙間gの開口部を確保するようになっている。ここで、隙間gは適宜選定して差し支えないが、例えば坪量が60〜100g程度の1枚の用紙Pが通過可能な寸法を想定し、0.1mm程度(0.08〜0.12mm)が選定されている。尚、隙間gについては1枚の用紙Pに限られず、上限枚数よりも少ない枚数の用紙Pが通過可能な寸法を想定してもよいことは勿論である。
【0041】
−騒音低減機構の動作−
次に、本実施の形態で用いられる騒音低減機構130の動作について説明する。
先ず、隙間gよりも薄い厚さの例えば1枚の用紙Pが投入口22から搬入経路23に搬入されると、用紙Pは静音ロール131と下側区画シュート23bとの間の隙間gの開口部を通過し、細断機構24に至る。
このとき、1枚の用紙Pは下側区画シュート23bに沿って移動し、静音ロール131との間に微小な隙間を残しつつ搬入される。このような搬入過程において、用紙Pの先端が屈曲したり、少し丸まっていたりしたとしても、用紙Pの先端が静音ロール131に接触する可能性はあり得るが、静音ロール131のうち用紙Pに接触する部位は曲面になっていることから、用紙Pの先端は静音ロール131の隙間gの開口部にスムーズに案内され、静音ロール131の隙間gの開口部で詰まる懸念はない。
この状態において、用紙Pが細断機構24にて細断されると、細断機構24による細断音が搬入経路23を伝わって投入口22側に向かうが、本例では、搬入経路23の途中には静音ロール131と下側区画シュート23bとで他の部分よりも狭い隙間gの開口部が形成されており、当該隙間gの開口部の多くは用紙Pで占有されている。このため、静音ロール131と下側区画シュート23bとの隙間gの開口部は用紙Pの存在により微小な隙間を残すに過ぎず、細断機構24による細断音は微小な隙間部分で大きく減衰する。
また、用紙Pのうち搬入方向の下流側に位置する非細断部分の一部は静音ロール131の隙間gの開口部を通過する状態になるため、用紙Pの細断時において用紙Pの後端が搬入経路23内でばたつこうとしても、用紙Pのばたつき量が隙間gの開口部で抑制され、その分、用紙Pの後端のばたつきによる騒音は発生し難い。
【0042】
また、隙間g以上の厚さを有する複数枚の用紙Pである場合には、静音ロール131は開閉カバー141に吊り下げ支持されているため、用紙Pは静音ロール131の隙間gの開口部を通過するときに静音ロール131を退避移動させながら、搬入経路23の下側区画シュート23bに沿って細断機構24に向かって搬入される。
このとき、複数枚の用紙Pは、仮に、1枚の用紙Pの面剛性が弱いものであったとしても、面剛性自体を強くすることが可能である。このため、静音ロール131は自重の正弦成分の付勢力によって用紙Pを押し付けるようになっているが、当該押し付け力として、用紙Pが隙間gの開口部を通過するときに、用紙Pの面剛性によって静音ロール131を退避方向に移動可能な程度に予め設定しておけば、用紙Pは静音ロール131を退避させながら、静音ロール131の隙間gの開口部を通過することが可能である。そしてまた、静音ロール131は用紙Pの搬入動作に追従して自由回転するため、用紙Pの搬入動作が静音ロール131によって損なわれる懸念はない。
この状態において、用紙Pが細断機構24にて細断されると、細断機構24による細断音が搬入経路23を伝わって投入口22側に向かうが、本例では、静音ロール131が面剛性の強い用紙Pの通過に伴って退避方向に移動するため、静音ロール131と下側区画シュート23bとの間の開口幅は、用紙Pの厚さに伴って静音ロール131が初期位置に位置する場合の隙間g寸法より拡がり、用紙Pは退避移動した静音ロール131と下側区画シュート23bとの間の開口部を塞いだ状態で配置される。このため、静音ロール131と下側区画シュート23bとの間の開口部は用紙Pで封止されることから、細断機構24による細断音の多くは搬入経路23の静音ロール131部分にて遮断されることになり、搬入経路23の投入口22から外部に漏出する懸念は小さい。また、細断機構24による用紙Pの細断時において用紙Pの後端が搬入経路23内でばたつこうとしても、用紙Pの動きが静音ロール131によって押さえ込まれるため、用紙Pの後端が搬送経路23内でばたつくことは少なく、ばたつきに伴う騒音は発生し難い。
【0043】
また、本実施の形態では、図13に示すように、騒音低減機構130の静音ロール131は、開閉カバー141の開放に追従して移動するため、仮に、搬入経路23に投入された過剰な用紙Pが開口規制機構80にて詰まったとしても、詰まった用紙Pの除去作業を簡単に行うことが可能である。
尚、騒音低減機構130については、吊り下げ式の静音ロール131に限られるものではなく、騒音を低減する静音部材として、搬入経路23の開口幅として予め決められた厚さ寸法の例えば1枚の用紙Pが通過可能な隙間を確保し、少なくとも用紙Pに接触する部位が用紙Pの搬入方向に沿って曲面を有すると共に、隙間g以上の厚さ寸法の用紙Pが搬入されたときには用紙Pとの接触により当該用紙Pの厚さに応じて退避移動するものであれば、適宜設計変更して差し支えない。
【符号の説明】
【0044】
1…シュレッダ筐体,2…投入口,3…搬入経路,4…細断機構,5…開口規制機構,6…規制部材,7…支点,8…突出部,9(9a,9b)…案内面,10…位置決め部材,11…付勢部材,P…被細断物,A…上限開口幅,B…許容開口幅,L…基準線,Lc…中心線,L,La,Lb…補助線,α,θout,θin…角度,s1,s2…スパン
図1
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