(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-122950(P2019-122950A)
(43)【公開日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】粒子状物質用マルチパンコーティングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B01J 2/00 20060101AFI20190704BHJP
B01J 2/12 20060101ALI20190704BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20190704BHJP
【FI】
B01J2/00 B
B01J2/12
A61J3/06 H
A61J3/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-95851(P2018-95851)
(22)【出願日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】15/874,546
(32)【優先日】2018年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】デッカー ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C047
4G004
【Fターム(参考)】
4C047LL10
4G004BA00
4G004HA00
(57)【要約】
【課題】様々なサイズのコーティングパンを収容可能とすると共に、コーティング処理後のクリーニングを簡素化する。
【解決手段】選択されたコーティングパンが、ホイール付きカートによって運ばれるトロリー上で支持される。カートがコーティングマシンに隣接配置された後、トロリー及びコーティングパンはマシン内に延出し、コーティングパンは回転可能な駆動軸及びキャスターによって支持され持ち上げられる。トロリーは次にマシンから取外され、ドアは閉じられ、その結果、コーティング工程が開始可能となる。コーティングが完了すると、ドアは開かれ、トロリーはマシン内のコーティングパンの下に延出し、キャスターの取外しのために上昇させられる。トロリー及びコーティングパンはマシンから引き出される。トロリーはコーティング溶液のスプレー中にはマシンの外側にあることから、スプレー後のトロリーのクリーニングは不要である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブレットコーティングハウジング内にその内側で回転させるためタブレットコーティングパンを設置する方法であって、
カートアセンブリのトロリー上にコーティングパンを配置すること、
前記ハウジングに隣接して前記カートアセンブリを配置すること、
前記カートアセンブリに沿って、かつ、前記ハウジング内の開口部を通過させて、前記コーティングパンが前記ハウジング内側に設置されるまで前記トロリーを移動させること、
前記ハウジングの回転可能な駆動部に前記コーティングパンを結合させること、
前記ハウジング内側のローラ上で前記コーティングパンを支持すること、
前記コーティングパンの回転前に前記ハウジングから前記トロリーを取外すこと、
を有する方法。
【請求項2】
前記コーティングパンは、複数の異なるコーティングパンから選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コーティングパンが前記トロリー上にある間に、前記コーティングパンを昇降させて前記ローラ上に置くことをさらに有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングパンは、雌雄接続によって、前記回転可能な駆動部に結合される請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングパンが前記ハウジングの内側に設置された後に、前記ハウジング内に前記ローラを設置することをさらに有する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記カートアセンブリを前記ハウジングに対して位置決めすることをさらに有する請求項1記載の方法。
【請求項7】
開口部、ローラ及び動力駆動軸を有するハウジングと、
前記ハウジング開口部から離れた位置と前記ハウジング開口部に隣接する位置との間を移動するように適合されたカートと、
前記カート上にあり、前記カートに沿った後退位置と延出位置との間で可動なトロリーと、
前記トロリー上に取外し自在に取付けられた第1タブレットコーティングパンと、
を有するタブレットコーティングアセンブリであって、
前記カートが前記ハウジング開口部に隣接している場合は、前記コーティングパンを上に載せた前記トロリーは、前記ハウジング内側にて前記ローラ上に前記コーティングパンを取付けると共に、前記駆動軸に結合されるように、前記延出位置まで可動であり、その結果、前記トロリーが前記後退位置に移動した後は、前記コーティングパンは前記ハウジング内側で回転可能である、タブレットコーティングアセンブリ。
【請求項8】
前記ローラは、前記コーティングパンが前記ハウジング内に移動させられた後に、前記ハウジング内に取外し自在に取付けられている請求項7記載のタブレットコーティングアセンブリ。
【請求項9】
前記コーティングパンは、前記トロリー上の上昇位置と下降位置との間で可動である請求項7記載のタブレットコーティングアセンブリ。
【請求項10】
前記トロリーは、前記コーティングパンを昇降するためのジャッキを含んでいる請求項7記載のタブレットコーティングアセンブリ。
【請求項11】
前記コーティングパン及び前記駆動軸は、雌雄接続によって結合されている請求項7記載のタブレットコーティングアセンブリ。
【請求項12】
前記コーティングパンは、一端にプレートを有しており、それによって、前記駆動軸に前記コーティングパンをセルフセンタリングする請求項7記載のタブレットコーティングアセンブリ。
【請求項13】
前記第1タブレットコーティングパンと交換可能な第2タブレットコーティングパンをさらに有する請求項7記載のタブレットコーティングアセンブリ。
【請求項14】
前記ハウジングに対して前記カートの隣接位置を位置決めするため、前記カート上及び前記ハウジング上に嵌合部材をさらに有する請求項7記載のタブレットコーティングアセンブリ。
【請求項15】
コーティング対象の粒子状物質を入れるための第1円筒形コーティングパンと、
前記粒子状物質のコーティング中に、前記コーティングパンを収納し、回転させるためのハウジングと、
前記粒子状物質のコーティング前後に前記コーティングパンを回転できないように支持し、前記粒子状物質のコーティングの前後に前記ハウジングに対して前記コーティングパンを接近及び後退させるためのトロリーと、を有し、
前記トロリーは、移動によって前記ハウジングに出入りするためのホイールを備える粒子状物質用コーティングアセンブリ。
【請求項16】
ホイール付きのカートをさらに有し、前記カートは、該カートに沿った後退及び延出運動のために前記トロリーがその上に支持されている請求項15記載のコーティングアセンブリ。
【請求項17】
前記トロリーは、前記コーティングパンを昇降させるための手段を含んでいる請求項15記載のコーティングアセンブリ。
【請求項18】
前記ハウジングは、前記コーティングパンを支持するための取外し可能なキャスターと、前記コーティングパンをその縦軸のまわりで回転させるために前記コーティングパンに駆動接続可能な駆動軸と、を含んでいる請求項15記載のコーティングアセンブリ。
【請求項19】
前記コーティングパンは、一端にテーパー部材を含み、それによって、回転のために前記コーティングパンを自動的に調心させる請求項15記載のコーティングアセンブリ。
【請求項20】
前記トロリー上の前記第1円筒形コーティングパンと交換可能な第2円筒形コーティングパンをさらに有する請求項15記載のコーティングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤、種子及びその他の粒子状物質をコーティングする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤、種子及びその他の粒子状物質をスプレーコーティングするプロセス及び装置はよく知られている。あるタイプのスプレーシステムでは、粒子状物質はコーティングパンの中に入れられ、コーティングパンが回転するにつれて、転動している粒子状物質上に溶液がスプレーされる。コーティング対象の粒子状物質又は粒子状物質の体積に応じて、サイズの異なる交換可能なコーティングパンを利用するシステムもいくつかある。コーティングパンのサイズは多岐にわたっており、例えば、直径は32インチ〜66インチ、長さは28インチ〜100インチである。空のコーティングパンは、重量が100〜750ポンドにもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−179184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイズと重量が大きいことから、マシン内でコーティングパンを交換するのは困難である。したがって、多くのタブレットコーティングマシンは、設置後に、定期的に取外せるようには設計されてない専用のコーティングパンを有する大型のコーティングパンを使用している。かかるマシンにおいては、コーティングパンを取外せない、あるいは取外さないようになっていることから、クリーニングが困難である。
【0005】
交換可能なコーティングパンを収容しているコーティングシステムにおいても、コーティングパンがマシン又はハウジングの内側にある場合、これらマシンのクリーニングは依然として困難である。
【0006】
スプレー溶液又はコーティング対象物質にオペレータが曝されるのを制限すべく、コーティング材及び/又はその他のデブリをコーティングパンから洗い流し、かつ、ハウジング内側に収容できるようにするため、多くの場合、コーティング作業後、コーティングパンは、マシンハウジング内でクリーニングすることが望ましく、また求められている。
【0007】
コーティング対象が何であるかによっては、オペレータへの曝露が重大な問題となることもある。例えば、ホルモンのような強力な化合物をコーティングするためにマシンが使用される場合、オペレータへの曝露は大きな問題であり、汚れたコーティングパンの取外しは許容されないこともあり、したがって、コーティングパンはハウジングの内側でクリーニングしなければならない。もし、コーティングパンがハウジング内でカート又はトロリーによって支持されている場合は、このような構造物もまたハウジングの内側でクリーニングしなければならず、コーティングパン単独のクリーニングの場合よりさらに困難である。もし、汚れたコーティングパンがハウジングから取外された場合は、錠剤及び/又はコーティング溶液によってもたらされる危険に応じて、コーティングパンに曝露された部屋又はエリアも汚れていると考えられ、したがって、その部屋又はエリアのクリーニングが必要になる。
【0008】
したがって、本発明の第1の目的は、サイズの異なるコーティングパンを収容でき、かつクリーニングを簡素化できるマルチパン製品コーティングアセンブリを提供することにある。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、マシンへの出し入れを迅速かつ簡単に行うことができるコーティングパンを有する粒子状物質コーティングマシンを提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる目的は、スプレー容器外側の製品充填位置と、スプレー容器内側のコーティング位置との間で、サイズの異なるコーティングパンを移動させるためのトロリーを利用するタブレットコータを提供することにある。
【0011】
本発明のさらにもう1つの目的は、マシン内側にコーティングパンを配置すると共に、コーティングパンがコーティング工程のためにマシン内側に留まっている間に、空のトロリーをマシンから取外すためのトロリーを利用する粒子状物質コーティングマシンを提供することにある。
【0012】
本発明のまたもう1つの目的は、タブレットコーティングハウジング内で回転させるために、タブレットコーティングパンを、タブレットコーティングハウジングに設置又は引き出す方法を提供することにある。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、コーティング工程の前後に、トロリー上にコーティングパンを一時的に支持するマルチパン製造タブレットコータを提供することにある。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、スプレーコーティングマシンハウジング内へ設置するためにコーティングパンを昇降することができるトロリーカートを提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、コーティングマシン内部に選択的に設置できるポータブルコーティングパンであって、コーティングパンとマシンとの間に簡単な駆動接続部を有するポータブルコーティングパンを提供することにある。
【0016】
本発明のさらにもう1つの目的は、ハウジング内部へコーティングパンを精密に配置するためにマシンハウジングに対して位置決めを行う移動式カート上に支持された交換可能なコーティングパンを利用するタブレットコーティングアセンブリを提供することにある。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、製造が経済的で、使用法が簡単で、クリーニングが容易な粒子状物質用のマルチパンコーティングマシンを提供することにある。
【0018】
これら及びその他の目的は、発明についての以下の説明から明瞭になろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
サイズの異なるコーティングパンを収容できるコーティングアセンブリが、錠剤のような粒子状物質用に提供される。コーティングパンはトロリー上に位置決めされており、トロリーの方はホイール付きカートによって支持されている。カート及びトロリーは、コーティングパンをマシンハウジング又はコーティングチャンバー内に移動させるために使用され、そこでは、コーティングパンはトロリーから取外され、トロリーはコーティング工程の開始前にハウジングから引き出される。コーティング工程の終了後に、トロリーはハウジング内に戻されてコーティングパンを受け取り、次いでハウジングから引き出される。コーティングされた製品は通常はコーティングパンの取外し又は交換の前にコーティングパンから取り出される。
【0020】
トロリーは、マシンハウジングの開口部を介して出し入れできるように、カート上に転動自在に支持されている。トロリーはまた、ハウジング内に設置するために、コーティングパンを昇降させることができる。
【0021】
コーティングパンは、ハウジング内では、コーティング工程中に回転させるため、ローラ上に支持されている。コーティングパンの端の継手は、マシンの回転可能な駆動部に繋がっている。
【発明の効果】
【0022】
スプレーコーティング完了後のマシン内側のスプレーチャンバー及びコーティングパンのクリーニングが簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】マシンハウジングから離れた位置にあるカート、トロリー及びコーティングパンを示した透視図であり、明瞭化のためにハウジングドアは省略してある。
【
図2】マシンハウジングに隣接しているカート、トロリー及びコーティングパンを示した透視図である。
【
図3】ハウジング内に設置されたトロリー及びコーティングパンを示した透視図である。
【
図4】
図3に類似する図で、コーティングパンを回転自在に支持するためにハウジングに追加された支持ローラを示した図である。
【
図5】
図4に類似する図である。ただし、トロリーはハウジングから引き出されている。
【
図6】マシンハウジングから離間しているカート及びトロリーと、マシンハウジング内部に位置決めされたコーティングパンを示した透視図である。
【
図7】カート、トロリー及びコーティングパンの分解図である。
【
図8A】マシンハウジングのフックに接続されたカートのラッチの1つを示した、
図7のA−A線に沿って切取った拡大図である。
【
図8B】カートにトロリーを固定するためのピンアセンブリを示した、
図7のB−B線に沿って切取った拡大図である。
【
図9A】下降位置におけるトロリーの側面図である。
【
図9D】下降位置におけるトロリーの端面図である。
【
図10A】上昇位置におけるトロリーの側面図である。
【
図10B】上昇位置におけるトロリーの端面図である。
【
図10C】上昇位置においてトロリーを備えた
図10Bの反対端からの端面図である。
【
図11A】支持ローラが内側に取付けられた状態のマシンハウジングの図である。
【
図11B】ローラを含めたハウジングの端面図である。
【
図13A】コーティングマシンの回転可能な駆動部に結合されたコーティングパンを示した透視図である。
【
図13B】回転可能な駆動部が取外された状態の駆動カプラを示したコーティングパンの透視図である。
【
図13C】コーティングパン及び回転可能な駆動部の側面図である。
【
図13D】駆動カプラの反対側からのコーティングパンの端面図である。
【
図14】駆動カプラ及び回転可能な駆動部を示した、
図13Dの14−14線に沿って切取った断面図である。
【
図15】トロリーのコーティングパン保持ピンを示した
図3の15−15線に沿って切取った拡大透視図である。
【
図16A】ハウジングドアが開いた状態のコーティングマシンハウジング内部に位置決めされたコーティングパンを示した端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のマルチパンコーティングアセンブリは、図面においては一般的に参照符号10によって表示される。アセンブリ10には4つの主要コンポーネント、すなわち、スプレーマシン又はブース12、カート14、トロリー16、及びコーティングパン18が含まれる。コーティングパン18はトロリー16によって支持され、トロリー16はカート14によって支持されている。コーティングパン18内に入れられた錠剤又はその他の粒子状物質をコーティングするため、開口部20を介してマシンハウジング22内にコーティングパン18を設置すべく、カート14及びトロリー16はスプレーマシン12に隣接して配置することができる。スプレーマシン12はスプレー装置システム(図示せず)を含んでおり、これは、コーティングパン18がハウジング22内に設置され、コーティングパンが回転するにつれてコーティングパン内の粒子状物質上にコーティング溶液をスプレーするときは、コーティングパン18内部に延出される。
【0025】
詳細には、カート14はホイール24を含み、それにより、カート14を移動させてマシンハウジング22に近づけたり離したりすることができる。カート14の前端は、ハウジング22の前面のボス28と嵌合する延出部26を含み、それによって、ハウジング22に対してカート14を適切に配置するための位置決めシステムを提供する。カート14はまた、前端に、ハウジング22前面のフック32と保持係合するように適合された少なくとも1つのラッチ30を含み、それによって、コーティングパン18がハウジング22に出入りしている間、カート14をマシン12にロックする。
【0026】
カート14は、トロリー16を支持するためにクレードル34を含む。
図8Bに見られるように、クレードルは、トロリー16の底部において、ローラ又はホイール38を回転自在に支持する一対のトラック36を含む。クレードル34はまた、一対のレール40を含み、その各々が、内側に向かって延びるリップ又はフランジ41を有する。クレードル34のレールリップ41を受け、それによって、カートクレードル34に沿ってトロリー16の転動運動を案内するために、トロリー16は、それぞれがノッチ44を有する一対の下向きに延びる脚部42を含む。したがって、トロリー16は、
図1、2及び5に示したような、カート14上の後退位置と、
図3及び4に示したような、ハウジング22内側の延出位置との間を移動する。カート14はまた、旋回可能なハンドル48を介して延出及び後退可能な一対のピン46を後端に隣接して有する。トロリー16がクレードル34上の後退位置にある場合は、ハンドル48を動かすことによって、トロリー16の対向面の調心穴(図示せず)内にピン46を延出させ、それによって、カート14上の適切な位置にトロリーをロックすることができる。カートクレードル34はまた、各トラック36の後端にブロック50を含み、それによって、トラック36に沿ったトロリー16の後方移動を制限する。
【0027】
トロリー16の詳細は、
図9A〜9D及び
図10A〜10Cに示されている。トロリー16は、ホイール38が上に取付けられたベース又はフレーム52を含んでいる。ベッド54がフレーム52上に取付けられており、ベッド54は、下降位置(
図9A)と上昇位置(
図10A)との間で可動である。ベッド54の上下運動はジャッキによって制御される。例えば、ジャッキは、ハンドル又はホイール58によって反対方向に回すことができるネジ軸56とすることもでき、それによって、フレーム52に対して前後にベッド54をスライドさせ、その結果、ベッド54の各隅のウェッジ60がフレーム52上でベッド54を昇降させる。あるいはまた、ジャッキは、電動機を備えた線形アクチュエータ、又は、油圧もしくは空圧シリンダ、又は、コーティングチャンバー内へ位置決めするためにコーティングパンを昇降できるその他の装置としても良い。
【0028】
ベッド54は、様々なサイズのコーティングパン18を支持するように適合されている。選択されたコーティングパン18は、通常はトロリー16のベッド54上の下降位置にある。カート14が、延出部26とボス28との整合によってハウジング22に対して位置決めされ、ラッチ30及びフック32によってハウジングに対してロックされた後、コーティングパン18の1つを上に載せたトロリー16を移動させて、ハウジング開口部20からハウジング22内に入れることができる。ハウジング22は、カートのトラック36と調心しているトラック62を含み、それにより、トロリーのホイール38がカート14からハウジング22内に円滑に転動できる。トロリー16及びコーティングパン18がハウジング22のコーティングチャンバー内に配置された後、ホイール58を回してベッド54及びコーティングパン18を上昇させることができ、それによって、以下で説明するように、コーティングパンをマシン12の回転可能な駆動部64に結合させることができる。コーティングパン18を上昇させた後に、コーティングパン18の端のリング68と調心した状態で、一対の支持ローラ66をトラック62上に設置する。駆動部64及びローラ66によってコーティングパン18が支持された状態で、ホイール58を反対方向へ回転させることによってベッド54を下降することができる。次いで、トロリー16をコーティングマシン12のハウジング22から取外すことができる。トラック36は、トロリー16が、カート14上、及びトロリーがハウジング22を出入りする際に、センタリングするのを助ける。ガイドレール40も、もし誰かが片側からコーティングパン18を押した場合でも、トロリー16がカート14から転落するのを防止する。コーティングパンは、ハウジング22内に設置された後は片側から押されることは殆どないので、ハウジング22の内側では(レール40に類似した)保持レールは不要である。
【0029】
図11B及び12に見られるように、支持ブロック70が各トラック62の上面に設けられ、各ブロック70の上面は、キャスターホイール66のベース72をスライド自在に受けるためのスロットを有する。したがって、コーティングパン18がコーティングチャンバー内に入って、上昇させられた後には、ローラ又は車輪66をコーティングチャンバー内で迅速かつ簡単に着脱することができる。キャスターホイール66及び支持ベース72はハンドノブ又はボルト71を使用して固定されている。
【0030】
図13A、13B、13C及び14に見られるように、コーティングパン18の後端は、コーティングマシン12の駆動プレート76内のポケット内側に取り付けられた三角形プレート74を含んでいる。プレート74及び76は好ましくはテーパー嵌合面を有し、それによって、マシン12のコーティングチャンバー内でのコーティングパン18の調心において自動セルフセンタリングを行う。駆動プレート76は、モータ(図示せず)に作動可能に接続された駆動軸78の端部にある。モータと駆動軸78との間に減速装置80を設けることもできる。ロックピン又はノブ82を設け、被駆動プレート74と駆動プレート76との間の接続部を固定することもできる。雄及び雌の継手プレート74、76の代わりに、他の便利な方式で回転させるべく、コーティングパン18をコーティングマシン12の駆動モータに接続することができる。
【0031】
使用時には、トロリー16及びコーティングパン18が上に取付けられた状態のカート14は、コーティングマシン12まで移動させられ、延出部26及びボス28を介して位置決めされ、ラッチ30及びフック32によってマシン12にラッチされる。次いで、コーティングパン18を上に載せたトロリー16はマシン12の開口部20を通過する。トロリー16のベッド54は、ハウジング22に入る前又は後に、上昇させられ、それによって、パンプレート74はマシン駆動プレート76と調心され、その結果、ノブ(図示せず)によるプレート内への挿入用のピンを含むロック機構82によって、プレート74、76を相互にロックすることができる。キャスターローラ66は、ブロック70上に取付けられている。ベッド54は下降させられ、その結果、コーティングパンは対向する両端を駆動プレート76及びローラ66によって支持され、それによって、ハウジング22からトロリーを取外すことが可能になる。カート14を切り離して、ハウジング22から遠ざけることができ、それによって、マシン12のドア84によって開口部20を閉じることができる。これで、マシン12はコーティング工程を開始する準備を完了する。コーティングパンが回転するにつれてコーティングパンの転動している内容物に溶液をスプレーするため、スプレー溶液の容器に接続された1つ以上のスプレーノズル(図示せず)がコーティングパン18の中まで延びる。コーティング工程が完了すると、コーティングパン18及びマシン12の内側をクリーニングすることができる。ドア84を開けることができ、カート14をハウジング22に対して位置決めして固定することができ、さらに、トロリー16をハウジング内のコーティングパン18下方に移動させることができる。ロックピン82はプレート74、76との係合を解除され、その結果、トロリーベッド54を上昇させ、コーティングパンを持ち上げてローラ66から外すことができ、ローラは、次にブロック70から取外され、それによって、トロリー16及びコーティングパン18をハウジング22から引き出して取外すことができる。コーティングされた物質は、通常、コーティングパンを取外す又は交換する前にコーティングパンから除去される。
【0032】
したがって、スプレー(噴霧器)を作動させる前にマシン12からトロリー16を取外すことによって、スプレーコーティング完了後のマシン内側のスプレーチャンバー及びコーティングパン18のクリーニングが、トロリー16のクリーニングが必要ないことから、はるかに簡素化されることになる。
【0033】
本発明を好ましい実施態様によってここに図示し説明してきたが、本発明の精神及び範囲に含まれる多くの変更、置換及び追加を行えることも理解されよう。上述から、本発明がその詳述した目的の少なくとも全てを達成していることは明らかとなろう。
【符号の説明】
【0034】
5 ベッド
10 アセンブリ
12 コーティングマシン
14 カート
16 トロリー
18 コーティングパン
20 開口部
22 ハウジング
24 ホイール
26 延出部
28 ボス
30 ラッチ
32 フック
34 クレードル
36 トラック
38 ホイール
40 ガイドレール
41 フランジ
42 脚部
44 ノッチ
46 ピン
48 ハンドル
50 ブロック
52 フレーム
54 ベッド
56 ネジ軸
58 ホイール
60 ウェッジ
62 トラック
64 駆動部
66 ローラ
68 リング
70 支持ブロック
71 ボルト
72 ベース
74 プレート
76 プレート
78 駆動軸
80 減速装置
82 ロック機構
82 ノブ
84 ドア