特開2019-124239(P2019-124239A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-124239(P2019-124239A)
(43)【公開日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/00 20060101AFI20190704BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20190704BHJP
【FI】
   F16K51/00 B
   F16K31/06 305K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-3334(P2018-3334)
(22)【出願日】2018年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 孝太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 秀剛
【テーマコード(参考)】
3H066
3H106
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA18
3H066BA38
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB22
3H106DB32
3H106DC04
3H106DD07
3H106EE35
3H106EE48
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、弁室内部に筒状フィルタを設け、このときに従来問題となっていた固定方法による固定を行わず、作業工数が増大することなく、固定力が安定する固定方法により、筒状フィルタを固定できる弁装置を提供することである。
【解決手段】電磁弁100は、筒状フィルタ113及びスペーサ114を固定するスリット入り固定部材115を備える。スリット入り固定部材115は、少なくとも径方向に弾性を有し、リング形状の一部にスリットが形成され、スペーサ114の筒状フィルタ113に対向する上面114aに接触するように配置され、弁本体110の弁室111cの側壁111c2の中段に形成された環状溝111eに収納される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体であって、
流体が流入する入口ポート、
流体が流出する出口ポート、
前記入口ポート及び前記出口ポートに連通し、底面並びに側壁から構成され、弁体を収容する弁室、及び、
前記弁室の内部において前記弁体と接触する弁座
が形成される弁本体と、
前記弁本体の前記弁室の内部であって、前記弁体の周囲に配置され、前記弁室を形成する前記底面により支持される筒状フィルタと、
前記筒状フィルタの前記弁室の前記底面に対向する側に配置される筒形状のスペーサと
を備える弁装置において、
前記弁室の前記側壁の中段には、環状溝が形成され、
前記弁装置は、前記筒状フィルタ及び前記スペーサを固定する固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、少なくとも径方向の弾性を有し、リング形状の一部にスリットが形成され、前記スペーサの前記筒状フィルタに対向する側に配置され、前記環状溝に収納されることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記スペーサの外径と、前記弁室の前記側壁の内径の差が前記筒状フィルタの目開き量より小さいことを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記固定部材は、平面の円形状に形成され、前記スリットの端面が互いに正対するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項4】
前記固定部材は、スパイラル形状に形成され、前記スリットの端面が上下に互い違いになるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項5】
前記弁本体の前記弁室の前記側壁には、前記環状溝から前記底面に対向する外側に向かって拡径されるテーパ部分が形成されることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項6】
前記弁装置は、電磁弁であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を開閉するために使用される電磁弁などの弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流路を開閉する弁装置が、実用に供されている。このような弁装置として、例えば電磁弁が従来から知られている。電磁弁は、例えば弁体と共に移動するプランジャと、このプランジャを磁力で駆動する電磁石とから主に構成されている。このような電磁弁では、外部から電磁弁内部へ異物が侵入するのを防止するために、電磁弁の内部にフィルタを設ける場合がある。このように電磁弁の内部にフィルタを設ける場合には、電磁弁の性能を維持するために、フィルタの設置場所における圧力損失、フィルタの強度、及び、固定方法等に配慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−029308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁弁の内部にフィルタを設ける技術の一例として、特許文献1には、弁室内部の弁体の周囲に、自身で形状を保持する筒状フィルタが設けられ、この筒状フィルタを固定するために、その上部からリング状固定部材が配置される技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、筒状フィルタを固定するリング状固定部材が圧入により固定されており、この圧入部が、弁本体と外装部品を溶接する際に、溶接による高温負荷の熱影響により応力緩和し、圧入部の固定力がなくなり、固定部品が外れる可能性があるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の別の実施形態では、リング状固定部材が溶接により固定されているが、溶接により固定を行う場合には、安定した溶接を行うために、溶接治具の管理、部品の汚れ、傷の管理が必要となり、作業工数が増大するという問題があり、またさらに、溶接の溶け込み量、固定力にばらつきが発生した場合に確認手段がなく、検査が難しいという問題もあった。
【0007】
また、特許文献1のさらに別の実施形態では、スリット入りリング状固定部材を設け、この弾性力により固定されているが、スリット入りリング状固定部材による固定では、圧入による固定の場合と同様に高温環境時の熱影響により、固定部材に弾性力がなくなり、固定部材が外れる可能性があるという問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、弁室内部に筒状フィルタを設け、このときに従来問題となっていた、高温負荷の熱影響により固定力が減少するおそれがある圧入及び弾性力による固定を行わず、さらに、検査工程及びバラツキの管理が難しい溶接による固定も行わずに、作業工数が増大することなく、固定力が安定する固定方法により、筒状フィルタを固定できる弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の弁装置は、弁本体であって、流体が流入する入口ポート、流体が流出する出口ポート、前記入口ポート及び前記出口ポートに連通し、底面並びに側壁から構成され、弁体を収容する弁室、及び、前記弁室の内部において前記弁体と接触する弁座が形成される弁本体と、前記弁本体の前記弁室の内部であって、前記弁体の周囲に配置され、前記弁室を形成する前記底面により支持される筒状フィルタと、前記筒状フィルタの前記弁室の前記底面に対向する側に配置される筒形状のスペーサとを備える弁装置において、前記弁室の前記側壁の中段には、環状溝が形成され、前記弁装置は、前記筒状フィルタ及び前記スペーサを固定する固定部材をさらに備え、前記固定部材は、少なくとも径方向の弾性を有し、リング形状の一部にスリットが形成され、前記スペーサの前記筒状フィルタに対向する側に配置され、前記環状溝に収納されることを特徴とする。
【0010】
また、前記スペーサの外径と、前記弁室の前記側壁の内径の差が前記筒状フィルタの目開き量より小さいものとしてもよい。
【0011】
また、前記固定部材は、平面の円形状に形成され、前記スリットの端面が互いに正対するように形成されるものとしてもよい。
【0012】
また、前記固定部材は、スパイラル形状に形成され、前記スリットの端面が上下に互い違いになるように形成されるものとしてもよい。
【0013】
また、前記弁本体の前記弁室の前記側壁には、前記環状溝から前記底面に対向する外側に向かって拡径されるテーパ部分が形成されるものとしてもよい。
【0014】
また、前記弁装置は、電磁弁であるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弁室内部に筒状フィルタを設け、作業工数が増大することなく、固定力が安定する固定方法により、筒状フィルタを固定できる弁装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る弁装置の一例の電磁弁を示す断面図である。
図2図1に示す電磁弁の弁本体部の要部を拡大して示す断面図である。
図3図2に示すIII部分を拡大して示す断面図である。
図4】筒状フィルタを示す側面図である。
図5】スペーサを示す斜視図である。
図6図6(a)は、スリット入り固定部材を示す斜視図であり、図6(b)は、正面図である。
図7】スリット入り固定部材の別の例を示す斜視図である。
図8】本発明に係る弁装置の別の例の電磁弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
尚、以下の説明における上下の概念は例えば図1における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0019】
図1は、本発明に係る弁装置の一例の電磁弁100を示す断面図であり、図2は、図1に示す電磁弁100の弁本体部110の要部を拡大して示す断面図であり、図3は、図2に示すIII部分を拡大して示す断面図である。
【0020】
図1乃至図3において、電磁弁100は、常閉型の流体制御用の電磁弁である。また、電磁弁100は、弁本体部110と、弁本体部110の上部に配置されるプランジャユニット120と、プランジャユニット120の外周部に配され、後述する吸引子123およびプランジャ122を励磁する電磁コイルアセンブリ130とを備える。
【0021】
弁本体部110は、弁本体111と、弁体112とを備える。
【0022】
弁本体111は、例えばステンレス等の金属材料で形成される。弁本体111には、第1の継手101に接続される入口ポート111aと、第2の継手102に接続される出口ポート111bと、入口ポート111aおよび出口ポート111bに連通し、後述する弁体112及びプランジャ122を移動可能に収容し、底面111c1並びに側壁111c2から構成される弁室111cと、及び、弁室111cの内部にあって弁体112と接触する弁座111dとが主に形成される。
【0023】
弁体112は、例えばステンレス等の金属材料で球状に形成され、弁室111cに収容され、後述するプランジャ122の下端に固定される弁体ホルダ125に保持され、弁座111dを開閉する。
【0024】
プランジャユニット120は、プランジャチューブ121と、プランジャ122と、吸引子123と、コイルスプリング124と、弁体ホルダ125と、弁ばね126とを備える。
【0025】
プランジャチューブ121は、例えば金属等で形成された円筒形状の部材であり、弁本体111の上部に接続される。
【0026】
プランジャ122は、プランジャチューブ121内を上下に摺動可能な可動鉄心である。プランジャ122には、上部の開口部であるプランジャ室122aと、内部の縦方向の貫通孔である均圧孔122bと、内部の横方向の貫通孔である均圧孔122cと、下部に設けられた開口部である下端中空部122dとが主に形成される。プランジャ122に縦方向の均圧孔122bと、横方向の均圧孔122cが形成されることにより、プランジャ室122aと弁室111cとが連通され均圧される。
【0027】
吸引子123は、プランジャチューブ121の上端部に固定される固定鉄心である。コイルスプリング124は、プランジャ122のプランジャ室122aの内部に配置され、プランジャ122と吸引子123とに接続され、弁体112を閉弁する方向に縮装される。
【0028】
弁体ホルダ125は、プランジャ122の下端に固定される、略円筒形状の部材であり、下端部が弁室111cの内側まで延在し、内部に弁体112を保持している。弁体ホルダ125の中段付近には、横方向の通孔125aが形成されている。これにより、弁体ホルダ125の内部と弁室111cとが連通し、弁体112が弁座111dを閉鎖する直前に、弁体112の上方から高圧流体が作用するために、弁体112は、その圧力差により確実に弁座111dを閉弁することができる。
【0029】
弁ばね126は、プランジャ122の下端中空部122dの内部に縮装され、プランジャ122に接続され、弁体112を下方向に付勢する。
【0030】
電磁コイルアセンブリ130は、プランジャチューブ121に同心状に取り付けられる樹脂製のボビン131と、ボビン131に巻回され、プランジャ122と吸引子123とを励磁するコイル132と、コイル132が巻回された後のボビン131を樹脂で覆い、その樹脂で覆われたボビン131とコイル132とを、内側に収容するケーシング133と、ケーシング133を吸引子123に固定するボルト134と、コイル132に接続されるリード線135とを備える。
【0031】
本実施形態の電磁弁100は、常閉型の電磁弁であり、通常状態では、吸引子123に接続されたコイルスプリング124の付勢力により、プランジャ122が下方向に押され、プランジャ122に接続された弁ばね126の付勢力により弁体112が弁本体111の弁座111dに押し付けられ、閉弁状態となる。
【0032】
次に、リード線135からコイル132に通電されると、吸引子123とプランジャ122が励磁される。これにより、吸引子123とプランジャ122との間に吸着力が発生し、この吸着力がコイルスプリング124の付勢力に勝り、プランジャ122とこれに固定された弁体ホルダ125とこれに保持される球状の弁体112が上方に移動する。
【0033】
弁体112が上方に移動することにより弁座111dが開放され、電磁弁100は、開弁状態となる。これにより、流入した流体は、第1の継手101から入口ポート111a、弁室111c、弁座111d、出口ポート111bを通り、第2の継手102に吐出される。
【0034】
電磁弁100を開弁状態から閉弁状態にするには、リード線135からコイル132への通電を遮断し、吸引子123とプランジャ122を消磁させる。これにより、吸引子123とプランジャ122との間の吸着力が消滅し、コイルスプリング124の付勢力により、プランジャ122とこれに固定された弁体ホルダ125とこれに保持される球状の弁体112が下方に移動し、弁座111dを閉弁し、電磁弁100は、閉弁状態となる。
【0035】
本実施形態では、プランジャ122の下端に弁体ホルダ125と、弁ばね126を備える構成としているが、この構成は、弁体112の前後が高差圧となる高圧対応型電磁弁の構成である。つまり、弁閉時に、先ず弁体112が弁座111dに当接し、次に弁体ホルダ125の下面が弁室111cの底面111c1と当接し、両方が当接した状態で閉弁状態を保持できるので、当接時の衝撃は少なく、弁体112及び弁座111dの変形を防止し、弁の長時間の使用に際しても流体の流れを止め、弁閉時に安定した弁の着座が行え、弁漏れを防止できる。また、弁開時には、弁体ホルダ125内での弁体112のおどりによる異音の発生を防止することができる。このような構成とすることにより、弁体112の前後が高差圧となる高圧対応型電磁弁が達成される。しかしながら、本発明は、この構成に限定されるものではなく、弁体ホルダ125や弁ばね126を備えず、弁体112がプランジャ122にかしめ固定されている構成にも適用可能である。
【0036】
図1乃至図3に示すように、本発明の電磁弁100では、弁本体部110は、さらに、筒状フィルタ113と、スペーサ114と、スリット入り固定部材115とを備える。
【0037】
図4は、筒状フィルタ113を示す側面図である。
【0038】
図4において、筒状フィルタ113は、平織金網を円筒形状に形成したものであり、自身で形状を保持できる。図2に示すように、筒状フィルタ113は、弁本体111の弁室111cの側壁111c2の内側であって、弁体112の周囲に配置され、入口ポート111aからの異物の侵入を防止する。なお、筒状フィルタ113は、ここでは円筒形状としたがこれには限定されず、筒形状であれば適用可能である。
【0039】
筒状フィルタ113は、ここでは金属線を編んだものである。金属線の材質としては、ここではステンレスを使用した。筒状フィルタ113は、この金属線の線径や編み方により、目開き量を調節することができる。これにより、取り除くことのできる異物のサイズを制限することができる。本実施形態では、筒状フィルタ113の目開き量として、100μmのものを使用したが、これには限定されない。
【0040】
なお、ここでは、筒状フィルタ113は、金属線を編み込んだ網を使用したが、自身で形状を保持でき、さらに固定方向に対して弾性を有していればよい。例えば、線材を編み込み熱処理をしないで多孔体を形成したもの、粉末や繊維や球体等を焼結し、多孔体を形成したもの、あるいは、発泡により多孔体を形成したものや、芯金に金属線を巻き付けたものでも適用可能であり、多孔体を形成できればこれらに限定されない。また、多孔体の材質は、金属、樹脂、セラミック等、自身で形状を保持できる強度を有し、さらに固定方向に対して弾性を有した材料が適用可能である。
【0041】
また、筒状フィルタ113は、固定方向に対して弾性を有するため、その反力により、さらに強固に固定できる。また、筒状フィルタ113は、無数の毛細管の集合体であるので整流効果がある。このため、この整流効果により弁室111cに入り込む流体の流れが安定するので、乱流による流量低下がある場合と比較して、目的の流量を得るための出口ポート111bを小さくすることができる。これにより、作動に必要な力を小さくすることができ、作動性が向上する。また、筒状フィルタ113は、弁体112と弁座111dとを覆うように設置されるため、弁が着座する際の音を吸音し、静音性が向上する。
【0042】
図5は、スペーサ114を示す斜視図である。
【0043】
図5において、スペーサ114は、例えばステンレス等の金属材料により、概略円柱形状に形成される。スペーサ114は、筒状フィルタ113が弁本体111の弁室111cに配置された後、筒状フィルタ113の上面113aがスペーサ114の下面114bと接触するように弁本体111に挿入される。
【0044】
なお、後述するスリット入り固定部材115にはスリットがあるため、入口ポート111aから流入した流体に含まれる異物がスリットを通過して、弁室111cの内部にある弁体112及び弁座111dまで通過する可能性がある。このため、スペーサ114の外径と、弁室111cの側壁111c2の内径の差が、筒状フィルタ113の目開き量より小さくさせる必要がある。
【0045】
図6(a)は、スリット入り固定部材115を示す斜視図であり、図6(b)は、正面図である。
【0046】
図6(a)及び図6(b)において、スリット入り固定部材115は、例えばステンレス等の金属で形成され、少なくとも径方向の弾性を有しリング形状の一部にスリットが形成されたC型形状に形成される。スリット入り固定部材115は、図3に示すようにスペーサ114の筒状フィルタ113に対向する上面114aに配置され、弁本体111の弁室111cの側壁111c2の中段に形成された環状溝111eに収納される。このようにスリット入り固定部材115をその径方向の弾性力及び筒状フィルタ113の上下方向の弾性力により、環状溝111eの内部で径方向に拡げて固定することにより、筒状フィルタ113及びスペーサ114を上下方向のずれがなく安定した位置に固定することができる。
【0047】
なお、図7(a)及び図7(b)に示すスリット入り固定部材115Aのように、平面の円形状に形成され、スリットの端面115Aaが互いに正対するように形成されるものを使用してもよい。このように平面の円形状に形成されたスリット入り固定部材115Aを使用することにより、加工が容易となり、作業工数を削減することができる。なお、平坦の円形に形成されたスリット入り固定部材115Aは、筒状フィルタ113の弾性力による反力により環状溝111eの上端に接触した状態で固定される。
【0048】
また、図6(a)及び図6(b)に示すスリット入り固定部材115のように、スパイラル形状に形成され、スリットの端面115aが上下に互い違いになるように形成されてもよい。このようにスリット入り固定部材115がスパイラル形状に形成されることにより、環状溝111eの上下方向に対してもスリット入り固定部材115の上下方向の弾性力が作用するため、環状溝111eの上下の壁にスリット入り固定部材115が突っ張りさらに強固に固定される。
【0049】
図8は、本発明に係る弁装置の別の例の電磁弁200を示す断面図である。
【0050】
図8において、電磁弁200は、図1に示す電磁弁100と比較して、弁本体211の弁室211cの側壁211c2に、底面211c1に対向する外方に向かい拡径されるテーパ部分211fが形成される点が異なり、それ以外の点は、図1に示す電磁弁100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し説明を省略する。弁本体211にテーパ部分211fが形成されることにより、製造時において、弁室211cに、筒状フィルタ113、スペーサ114、スリット入り固定部材115を、容易に収容することができ、作業工数を削減することができる。
【0051】
なお、以上の説明では、本発明の弁装置について、常閉型の流体制御用の電磁弁100、200を例にとり説明してきたが、これには限定されず、常閉型以外の電磁弁でも、また流体として気体、液体、その他流体を適用するものしてもよい。さらに、電磁弁以外の例えば流量制御弁、電動弁等、同様の構成を有する他の弁装置に適用するものとしてもよく、その場合にも同様の効果が期待される。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、弁室内部に筒状フィルタを設け、このときに従来問題となった、圧入、溶接、及び、弾性力による固定を行わずに、作業工数を増大することなく、固定力が安定する固定方法により、筒状フィルタを固定できる弁装置を提供できる。
【符号の説明】
【0053】
100、200 弁装置(電磁弁)
101 第1の継手
102 第2の継手
110、210 弁本体部
111、211 弁本体
111a、211a 入口ポート
111b、211b 出口ポート
111c、211c 弁室
111c1、211c1 底面
111c2、211c2 側壁
111d、211d 弁座
111e、211e 環状溝
112 弁体
113 筒状フィルタ
113a 上面
113b 下面
114 スペーサ
114a 上面
114b 下面
115 スリット入り固定部材
115a 端面
120 プランジャユニット
121 プランジャチューブ
122 プランジャ
122a プランジャ室
122b 縦方向の均圧孔
122c 横方向の均圧孔
122d 下端中空部
123 吸引子
124 コイルスプリング
125 弁体ホルダ
125a 通孔
126 弁バネ
130 電磁コイルアセンブリ
131 ボビン
132 コイル
133 ケーシング
134 ボルト
135 リード線
211f テーパ部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8