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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-124240(P2019-124240A)
(43)【公開日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20190704BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20190704BHJP
【FI】
   F16K27/02
   F16K31/06 305K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-3340(P2018-3340)
(22)【出願日】2018年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 孝太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍介
(72)【発明者】
【氏名】濱田 正吾
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 秀剛
【テーマコード(参考)】
3H051
3H106
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB01
3H051BB02
3H051CC11
3H051DD02
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB22
3H106DB32
3H106DC04
3H106DC17
3H106DD07
3H106EE35
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、弁本体の弁室内部の弁体との接触部に別部材である弁体受けを設け、このときに弁体受けを正確な位置に安定して固定でき、これによりプランジャのリフト量が安定するために、作動特性と流量特性が安定し、さらに、弁体受けをろう付けにより固定し、このときにろう回りが安定し、弁本体と弁体受けとの気密性能が改善される弁装置を提供することである。
【解決手段】電磁弁100は、弁本体111と、弁室111cの内部に配置され、弁本体111とは別部品であり、出口ポート111bに連通する弁ポート114a、及び、弁体112との接触部である弁座114cが形成される弁体受け114とを備える。弁体受け114は、弁本体111にろう付けにより固定され、第2の継手102に当接するように配置され、弁本体111の隅またはかどに相対する弁体受け114のかどまたは隅が当接しないように形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体であって、
第1の継手に接続される入口ポート、
第2の継手に接続される出口ポート、及び、
前記入口ポート及び前記出口ポートに連通し、弁体を収容し、側壁を有する弁室
が形成される弁本体と、
前記弁室の内部に配置され、前記弁本体とは別部品であり、前記出口ポートに連通する弁ポート、及び、前記弁体との接触部である弁座が形成される弁体受けとを備え、
前記弁体受けは、前記弁本体にろう付けにより固定され、前記第2の継手に当接するように配置され、前記弁本体の隅またはかどに相対する前記弁体受けのかどまたは隅が当接しないように形成されることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記弁体受けには、前記弁本体に固定するための圧入部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記弁体受けには、前記圧入部の挿入方向の前方に前記圧入部より小径の圧入ガイド部が設けられることを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記弁体受けには、前記圧入部の挿入方向の前後に連通する隙間部が設けられることを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項5】
前記隙間部は、スパイラル溝であることを特徴とする請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
前記弁体受けには、同軸の小径部と大径部が形成されることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の弁装置。
【請求項7】
前記弁体受けの前記小径部が圧入ガイド部となり、前記大径部が圧入部となることを特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項8】
前記弁体受けの前記小径部内に、圧入ガイド部及び圧入部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項9】
前記弁本体の底面、又は、前記弁本体の底面に正対する前記弁体受けの接触面に、前記弁本体の底面の出口ポート側から外径側にかけて連通溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項10】
前記弁本体における、前記第2の継手が固定される開口の直径と、前記弁体受けの小径部が固定される開口の直径が同径であることを特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項11】
前記弁本体の出口ポートの内径には大径部と小径部が形成され、その境界が段差となっており、前記大径部に前記第2の継手が固定され、前記大径部で前記弁体受けと前記第2の継手が当接することを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項12】
前記弁体受けの前記弁ポートには、テーパ部分が形成され、
前記テーパ部分は、前記第2の継手と前記弁体受けが当接する部分の径が、前記第2の継手の内径と同径となり、対向する方向に向けて縮径されて、前記弁ポートの直線部分に連通する形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項13】
前記弁装置は電磁弁であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を開閉するために使用される電磁弁などの弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流路を開閉する弁装置が、実用に供されている。このような弁装置として、例えば電磁弁が従来から知られている。電磁弁は、例えば弁体と共に移動するプランジャと、このプランジャを磁力で駆動する電磁石とから主に構成されている。このような電磁弁では、弁体との衝撃的な接触の繰り返しによる磨耗を防止するため、または、弁体との接触による衝突音を低減するため、あるいは、弁体との接触部の加工精度を高めるため等により、弁本体の弁室内部の弁体との接触部に別部材を設ける場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−301962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弁室内部の弁体との接触部に別部材を設ける技術の一例として、特許文献1では、弁室内部に別部材である弁体受けを設けることにより、弁体受けと弁体ホルダが当接し、当接時の衝撃が少なくなる技術が開示されている。特許文献1では、弁座を変形させることなく反復使用に耐えることができ、弁の長期間の使用に際しても確実な閉弁作用を維持することができるとされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1において、弁体受けを固定する方法が難しいという問題がある。例えば弁体受け及び継手と、弁本体との間にろう材を浸透させる必要があるため、クリアランスが必要となり、径方向や軸方向に固定位置がずれる可能性があるという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、弁本体の弁室内部の弁体との接触部に別部材である弁体受けを設け、このときに弁体受けを正確な位置に安定して固定でき、これによりプランジャのリフト量が安定するために、作動特性と流量特性が安定し、さらに、弁体受けをろう付けにより固定し、このときにろう回りが安定し、弁本体と弁体受けとの気密性能が改善される弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の弁装置は、弁本体であって、第1の継手に接続される入口ポート、第2の継手に接続される出口ポート、及び、前記入口ポート及び前記出口ポートに連通し、弁体を収容し、側壁を有する弁室が形成される弁本体と、前記弁室の内部に配置され、前記弁本体とは別部品であり、前記出口ポートに連通する弁ポート、及び、前記弁体との接触部である弁座が形成される弁体受けとを備え、前記弁体受けは、前記弁本体にろう付けにより固定され、前記第2の継手に当接するように配置され、前記弁本体の隅またはかどに相対する前記弁体受けのかどまたは隅が当接しないように形成されることを特徴とする。
【0008】
また、前記弁体受けには、前記弁本体に固定するための圧入部が設けられるものとしてもよい。
【0009】
また、前記弁体受けには、前記圧入部の挿入方向の前方に前記圧入部より小径の圧入ガイド部が設けられるものとしてもよい。
【0010】
また、前記弁体受けには、前記圧入部の挿入方向の前後に連通する隙間部が設けられるものとしてもよい。
【0011】
また、前記隙間部は、スパイラル溝であるものとしてもよい。
【0012】
また、前記弁体受けには、同軸の小径部と大径部が形成されるものとしてもよい。
【0013】
また、前記弁体受けの前記小径部が圧入ガイド部となり、前記大径部が圧入部となるものとしてもよい。
【0014】
また、前記弁体受けの前記小径部内に、圧入ガイド部及び圧入部が形成されるものとしてもよい。
【0015】
また、前記弁本体の底面、又は、前記弁本体の底面に正対する前記弁体受けの接触面に、前記弁本体の底面の出口ポート側から外径側にかけて連通溝が形成されるものとしてもよい。
【0016】
また、前記弁本体における、前記第2の継手が固定される開口の直径と、前記弁体受けの小径部が固定される開口の直径が同径であるものとしてもよい。
【0017】
また、前記弁本体の出口ポートの内径には大径部と小径部が形成され、その境界が段差となっており、前記大径部に前記第2の継手が固定され、前記大径部で前記弁体受けと前記第2の継手が当接するものとしてもよい。
【0018】
また、前記弁体受けの前記弁ポートには、テーパ部分が形成され、前記テーパ部分は、前記第2の継手と前記弁体受けが当接する部分の径が、前記第2の継手の内径と同径となり、対向する方向に向けて縮径されて、前記弁ポートの直線部分に連通する形状に形成されるものとしてもよい。
【0019】
また、前記弁装置は電磁弁であるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、弁本体の弁室内部の弁体との接触部に別部材である弁体受けを設け、このときに弁体受けを正確な位置に安定して固定でき、これによりプランジャのリフト量が安定するために、作動特性と流量特性が安定し、さらに、弁体受けをろう付けにより固定し、このときにろう回りが安定し、弁本体と弁体受けとの気密性能が改善される弁装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る弁装置の第1の実施形態である電磁弁を示す断面図である。
図2図1に示す電磁弁の弁本体部の要部を拡大して示す断面図である。
図3図1に示す電磁弁の弁本体の要部を示す断面図である。
図4】本発明に係る弁装置の第2の実施形態である電磁弁の要部を示す断面図である。
図5】本発明に係る弁装置の第3の実施形態である電磁弁の要部を示す断面図である。
図6図6(a)は、本発明に係る弁装置の第4の実施形態である電磁弁の弁体受けを示す正面図であり、図6(b)は、図6(a)に示すVIB−VIB線に沿った断面図であり、図6(c)は、図6(a)に示すVIC−VIC線に沿った断面図である。
図7図7(a)は、図6(a)乃至図6(c)に示す弁体受けとは別の変形例を示す正面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す弁体受けの側面図であり、図7(c)は、図7(b)に示すVIIC−VIIC線に沿った断面図であり、図7(d)は、図7(a)に示すVIID−VIID線に沿った断面図であり、図7(e)は、図7(d)に示す弁体受けとはさらに別の変形例を示す断面図である。
図8】本発明に係る弁装置の第5の実施形態である電磁弁の要部を示す正面図である。
図9】本発明に係る弁装置の第6の実施形態である電磁弁の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
尚、以下の説明における上下の概念は例えば図1における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0024】
まず、本発明に係る弁装置の第1の実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る弁装置の第1の実施形態である電磁弁100を示す断面図であり、図2は、図1に示す電磁弁100の弁本体部110の要部を拡大して示す断面図であり、図3は、図1に示す電磁弁100の弁本体111の要部を示す断面図である。
【0026】
図1乃至図3において、電磁弁100は、常閉型の流体制御用の電磁弁である。また、電磁弁100は、弁本体部110と、弁本体部110の上部に配置されるプランジャユニット120と、プランジャユニット120の外周部に配され、後述する吸引子123およびプランジャ122を励磁する電磁コイルアセンブリ130とを備える。
【0027】
弁本体部110は、弁本体111と、弁体112とを備える。
【0028】
弁本体111は、例えばステンレス等の金属材料で形成される。弁本体111には、第1の継手101に接続される入口ポート111aと、第2の継手102に接続される出口ポート111bと、入口ポート111aおよび出口ポート111bに連通し、後述する弁体112及びプランジャ122を移動可能に収容し、側壁111c1から構成される弁室111cとが主に形成される。
【0029】
弁体112は、例えばステンレス等の金属材料で球状に形成され、弁室111cに収容され、後述するプランジャ122の下端に固定される弁体ホルダ125に保持され、後述する弁ポート114aを開閉する。
【0030】
プランジャユニット120は、プランジャチューブ121と、プランジャ122と、吸引子123と、コイルスプリング124と、弁体ホルダ125と、弁ばね126とを備える。
【0031】
プランジャチューブ121は、例えば金属等で形成された円筒形状の部材であり、弁本体111の上部に接続される。
【0032】
プランジャ122は、プランジャチューブ121内を上下に摺動可能な可動鉄心である。プランジャ122には、上部の開口部であるプランジャ室122aと、内部の縦方向の貫通孔である均圧孔122bと、内部の横方向の貫通孔である均圧孔122cと、下部に設けられた開口部である下端中空部122dとが主に形成される。プランジャ122に縦方向の均圧孔122bと、横方向の均圧孔122cが形成されることにより、プランジャ室122aと弁室111cとが連通され均圧される。
【0033】
吸引子123は、プランジャチューブ121の上端部に固定される固定鉄心である。コイルスプリング124は、プランジャ122のプランジャ室122aの内部に配置され、プランジャ122と吸引子123とに接続され、弁体112を閉弁する方向に縮装される。
【0034】
弁体ホルダ125は、プランジャ122の下端に固定される、略円筒形状の部材であり、下端部が弁室111cの内側まで延在し、内部に弁体112を保持している。弁体ホルダ125の中段付近には、横方向の通孔125aが形成されている。これにより、弁体ホルダ125の内部と弁室111cとが連通し、弁体112が後述する弁座114cに接触する直前に、弁体112の上方から高圧流体が作用するために、弁体112は、その圧力差により確実に弁座114cを閉弁することができる。
【0035】
弁ばね126は、プランジャ122の下端中空部122dの内部に縮装され、プランジャ122に接続され、弁体112を下方向に付勢する。
【0036】
電磁コイルアセンブリ130は、プランジャチューブ121に同心状に取り付けられる樹脂製のボビン131と、ボビン131に巻回され、プランジャ122と吸引子123とを励磁するコイル132と、コイル132が巻回された後のボビン131を樹脂で覆い、その樹脂で覆われたボビン131とコイル132とを、内側に収容するケーシング133と、ケーシング133を吸引子123に固定するボルト134と、コイル132に接続されるリード線135とを備える。
【0037】
本実施形態の電磁弁100は、常閉型の電磁弁であり、通常状態では、吸引子123に接続されたコイルスプリング124の付勢力により、プランジャ122が下方向に押され、プランジャ122に接続された弁ばね126の付勢力により弁体112が弁本体111の弁座114cに押し付けられ、閉弁状態となる。
【0038】
次に、リード線135からコイル132に通電されると、吸引子123とプランジャ122が励磁される。これにより、吸引子123とプランジャ122との間に吸着力が発生し、この吸着力がコイルスプリング124の付勢力に勝り、プランジャ122とこれに固定された弁体ホルダ125とこれに保持される球状の弁体112が上方に移動する。
【0039】
弁体112が上方に移動することにより弁座114cが開放され、電磁弁100は、開弁状態となる。これにより、流入した流体は、第1の継手101から入口ポート111a、弁室111c、弁座114c、弁ポート114aを通り、第2の継手102に吐出される。
【0040】
電磁弁100を開弁状態から閉弁状態にするには、リード線135からコイル132への通電を遮断し、吸引子123とプランジャ122を消磁させる。これにより、吸引子123とプランジャ122との間の吸着力が消滅し、コイルスプリング124の付勢力により、プランジャ122とこれに固定された弁体ホルダ125とこれに保持される球状の弁体112が下方に移動し、弁座114cと接触し、電磁弁100は、閉弁状態となる。
【0041】
本実施形態では、プランジャ122の下端に弁体ホルダ125と、弁ばね126を備える構成としているが、この構成は、弁座114cを変形させることなく反復使用に耐えることができる構成である。つまり、弁閉時に、先ず弁体112が弁座114cに当接し、次に弁体ホルダ125の下面が弁室111c下面の後述する弁体受け114と当接し、両方が当接した状態で閉弁状態を保持できるので、当接時の衝撃は少なく、弁体112及び弁座114cの変形を防止し、弁の長時間の使用に際しても流体の流れを止め、弁閉時に安定した弁の着座が行え、弁漏れを防止できる。また、弁開時には、弁体ホルダ125内での弁体112のおどりによる異音の発生を防止することができる。このような構成とすることにより、弁座114cを変形させることなく反復使用に耐えることができる。しかしながら、本発明は、この構成に限定されるものではなく、弁体ホルダ125や弁ばね126を備えず、弁体112がプランジャ122にかしめ固定されている構成にも適用可能である。
【0042】
図1乃至図3において、電磁弁100の弁本体部110は、さらに、弁体受け114を備える。
【0043】
弁体受け114は、弁室111cの内部に配置され、弁本体111とは別部品であり、弁体受け114には、出口ポート111bに連通する弁ポート114aと、弁体112との接触部である弁座114cが形成される。弁体受け114は、ここでは、例えばステンレス等の金属で形成される。
【0044】
このように、弁本体111とは別部品である弁体受け114を設けることにより、硬度の高い材料を使用することができるため、弁体112との衝撃的な接触の繰り返しによる磨耗を防止することができる。また、弁体受け114を別部品とすることにより、微細な加工精度が必要とされる弁ポート114aの加工が容易となり、加工精度を高めることができる。また、弁体受け114の材質を適宜選択できるため、弁体112との接触による衝突音を低減できる材質も使用可能となる。
【0045】
本発明において、弁体受け114は、第2の継手102と共に弁本体111にろう付けにより固定される。ろう付けは、治工具を使用して、弁本体111を上下逆に配置して、図2に示す出口ポート111b側を上にして実施される。このときに、弁体受け114及び第2の継手102が弁室111c側から固定され、ろう材を第2の継手102と出口ポート111bとの隙間に浸透させる。ここでは、弁体受け114にフランジ部114bが設けられているため、弁本体111に弁体受け114を固定することが容易となる。
【0046】
本発明では、ろう付け時に、図1及び図2に示すように、弁体受け114が第2の継手102に当接するように配置されているため、ろう材が確実に弁体受け114の周囲まで流れ込むため、弁体受け114を確実に弁本体111に固定することができる。また、ここでは、弁本体111における、第2の継手102が固定される穴径と、弁体受け114が固定される穴径が同径であるため、弁体受け114と第2の継手の当接は確実なものとなる。なお、ここでは同径としたが、略同径であれば同等の効果を得ることができる。
【0047】
また、図2に示すように、弁本体111の隅に当接する弁体受け114のかどのエッジにアンダーカット114dが形成されるため、弁本体111及び弁体受け114にばり等の加工のばらつきがあった場合でも斜めに傾くことなく固定することができる。また出口ポート111bから浸透させたろう材がアンダーカット114dを通過できるので、確実に弁体受け114のフランジ部114bの外周にろう材を回り込ませることができる。なお、ここでは弁体受け114にアンダーカット114dが形成されるものとしたが、これには限定されず、弁本体111の隅またはかどに相対する弁体受け114のかどまたは隅が当接しない形状が形成されればよい。また、弁体受け114のフランジ部114b(大径部)が弁本体111の底面に当接しているため、弁閉時に弁体受け114にかかる荷重を弁本体111の底面で受けることができ、ろう材にかかる荷重を低減させることができる。
【0048】
弁体受け114には、図2に示すように、更に、弁体受け114と出口ポート111bとの接触面に圧入部114eが設けられる。これにより、ろう付け時の仮固定を安定させることができ、弁体受け114を弁本体111の正確な位置に安定して固定できる。
【0049】
また、弁体受け114には、図2に示すように、圧入部114eの挿入方向の前方に圧入部114eより小径の圧入ガイド部114fが設けられる。これにより、圧入時に弁体受け114が斜めになりかじることを防止することができる。なお、本実施形態において、フランジ部114bが大径部を構成し、圧入部114e及び圧入ガイド部114fが小径部を構成する。
【0050】
また、弁本体111には、図2及び図3に示すように、圧入部114eに対応する位置にスパイラル溝111dが形成される。スパイラル溝111dが形成されることにより、圧入部114eの奥までろう材を回り込ませることができ、弁本体111と弁体受け114との気密性能が向上する。なお、ここでは、スパイラル溝111dが設けられるものとしたが、これには限定されず、圧入部114eに対応する位置に挿入方向の前後に連通する、ろう周りを安定させるための隙間部が設けられれば同様の効果を得ることができる。
【0051】
以上のように、本発明に係る弁装置の第1の実施形態によれば、弁本体の弁室の内部の弁体との接触部に別部材である弁体受けを設け、このときに弁体受けを正確な位置に安定して固定でき、これによりプランジャのリフト量が安定するために、作動特性と流量特性が安定し、さらに、弁体受けをろう付けにより固定し、このときにろう回りが安定し、弁本体と弁体受けとの気密性能が改善される弁装置を提供できる。
【0052】
次に、本発明に係る弁装置の第2の実施形態について説明する。
【0053】
図4は、本発明に係る弁装置の第2の実施形態である電磁弁200の要部を示す断面図である。
【0054】
図4において、電磁弁200は、図1乃至図3に示す電磁弁100と比較して、弁体受け114の代わりに、弁体受け214が設けられることが異なり、それ以外の構成は電磁弁100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し説明を省略する。
【0055】
弁体受け214には、弁ポート214aと、弁座214cが形成されるが、弁体受け114と異なり、フランジ部、圧入部、圧入ガイド部等が形成されていない。このような弁体受け214は、弁本体211にろう付けにより固定されるが、圧入による仮固定を行う場合もある。弁体受け214は、このような形状としても、ろう付けを行うことは可能であり、弁体受け214の加工は容易となる。また、後述する図6(a)乃至図7(e)に示す連通溝414g、414Ag、414Bgのように、弁体受け214の弁本体111の底面に接触する面、あるいは、弁本体111の底面のいずれかの面に、径方向に拡がる連通溝が形成されるものとしてもよい。
【0056】
以上のように、本発明に係る弁装置の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのと共に、弁体受けの製造工数を削減できるという効果を奏する。
【0057】
次に、本発明に係る弁装置の第3の実施形態について説明する。
【0058】
図5は、本発明に係る弁装置の第3の実施形態である電磁弁300の要部を示す断面図である。
【0059】
図5において、電磁弁300は、図1乃至図3に示す電磁弁100と比較して、弁体受け114の代わりに、弁体受け314が設けられることが異なり、それ以外の構成は電磁弁100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、弁体受け314において、フランジ部314bの外周に、圧入部314e、スパイラル溝314gが、そして、小径部に圧入ガイド部314fが形成される。このため、加工の難しい弁本体311にスパイラル溝を形成する必要がなくなり、溝の加工が容易となる。
【0061】
以上のように、本発明に係る弁装置の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのと共に、弁本体の製造工数を削減できるという効果を奏する。
【0062】
次に、本発明に係る弁装置の第4の実施形態について説明する。
【0063】
図6(a)は、本発明に係る弁装置の第4の実施形態である電磁弁400の弁体受け414を示す正面図であり、図6(b)は、図6(a)に示すVIB−VIB線に沿った断面図であり、図6(c)は、図6(a)に示すVIC−VIC線に沿った断面図である。
【0064】
図6(a)乃至図6(c)に示す弁体受け414を有する電磁弁400は、図1乃至図3に示す電磁弁100と比較して、弁体受け414以外の構成要素が電磁弁100と同じであるため、同様の構成要素には、同様の符号を付しその説明は省略する。
【0065】
図6(a)乃至図6(c)に示すように、弁体受け414のフランジ部414bの出口ポート111bの方向に接触する接触面には、弁本体111との接触面の一部が削られた連通溝414gが設けられる。連通溝414gは、ここでは、4カ所の半円形状に形成され、この部分をろう材が通過できるため、弁体受け414のフランジ部414bの外周までろう材を確実に回り込ませることができる。なお、ここでは、弁体受け414に連通溝414gを形成したが、弁本体111のうち上述の接触面に正対する正対面に連通溝を形成するものとしても、同様の効果を得ることができる。また、連通溝414gの形状は、図6(a)乃至図6(c)に示す形状には限定されない。
【0066】
図7(a)は、図6(a)乃至図6(c)に示す弁体受けとは別の変形例414Aを示す正面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す弁体受け414Aの側面図であり、図7(c)は、図7(b)に示すVIIC−VIIC線に沿った断面図であり、図7(d)は、図7(a)に示すVIID−VIID線に沿った断面図であり、図7(e)は、図7(d)に示す弁体受けとはさらに別の変形例414Bを示す断面図である。
【0067】
図7(a)乃至図7(d)に示すように、弁体受け414Aに、フランジ部414bの出口ポート111bの方向に接触する接触面の一辺を直線状に削った連通溝414Agが設けられるものとしてもよく、図7(e)に示すように、弁体受け414Bに、三カ所の連通溝414Bgが設けられるものとしてもよい。このように、弁体受け414のフランジ部414b及び弁本体111の接触面または正対面のいずれかの面に、ろう周りを安定させるための連通溝414gが設けられればよく、形状は限定されない。なお、図6(a)乃至図7(e)に示す第7の実施形態において、図6(a)及び図7(b)に示す上下方向、つまり出口ポート111bに抜ける方向に圧入部の隙間部が形成されるものとしてもよい。
【0068】
以上のように、本発明に係る弁装置の第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのと共に、弁体受けのフランジ部の外周までろう材を確実に回り込ませることができるという効果を奏する。
【0069】
次に、本発明に係る弁装置の第5の実施形態について説明する。
【0070】
図8は、本発明に係る弁装置の第5の実施形態である電磁弁500の要部を示す断面図である。
【0071】
図8において、電磁弁500は、図1乃至図3に示す電磁弁100と比較して、弁本体111の代わりに、弁本体511が設けられることが異なり、それ以外の構成は電磁弁100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し説明を省略する。
【0072】
図8に示すように、ここでは、弁本体511の出口ポート511bには、大径部と小径部が形成され、大径部において、第2の継手102と弁体受け114が当接する様に固定される。弁本体511の出口ポート511bの小径部には、弁体受け114が固定されるため、圧入部114e付近にスパイラル溝511dが形成される。このときに、出口ポート511bに段差511eを設けることにより、スパイラル溝511dを段差511eの弁室511c側の縮径された部分のみに形成すればよいため、スパイラル溝511dの加工が容易となる。
【0073】
以上のように、本発明に係る弁装置の第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのと共に、弁本体の加工しやすさが向上し製造工数を削減できるという効果を奏する。
【0074】
次に、本発明に係る弁装置の第6の実施形態について説明する。
【0075】
図9は、本発明に係る弁装置の第6の実施形態である電磁弁600の要部を示す断面図である。
【0076】
図9において、電磁弁600は、図1乃至図3に示す電磁弁100と比較して、弁体受け114の代わりに、弁体受け614が設けられることが異なり、それ以外の構成は電磁弁100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し説明を省略する。
【0077】
図9に示すように、ここでは、弁体受け614の弁ポート614aには、テーパ部分614a1が形成される。テーパ部分614a1は、第2の継手102と弁体受け614が当接する部分の径が、第2の継手102の内径と略同径となり、対向する方向に向けて縮径されて、弁ポート614aの円柱形状に延びる小径の直線部分614a2の部分に連通する形状に形成される。このように弁ポート614aにテーパ部分614a1を設けることにより、弁体受け614と第2の継手102との隙間からろう材が浸透したときに、フィレットが形成されにくくなり、弁体受け614のろう付けが不要な箇所にろう材が流れて溜まるのを防ぐことができる。
【0078】
以上のように、本発明に係る弁装置の第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのと共に、弁体受けのろう付けが不要な箇所にろう材が流れて溜まるのを防ぐことができる。
【0079】
なお、以上の説明では、本発明の弁装置について、常閉型の流体制御用の電磁弁100等を例にとり説明してきたが、これには限定されず、常閉型以外の電磁弁でも、また流体として気体、液体、その他流体を適用するものしてもよい。さらに、電磁弁以外の例えば流量制御弁、電動弁等、同様の構成を有する他の弁装置に適用するものとしてもよく、その場合にも同様の効果が期待される。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、弁本体の弁室内部の弁体との接触部に別部材である弁体受けを設け、このときに弁体受けを正確な位置に安定して固定でき、これによりプランジャのリフト量が安定するために、作動特性と流量特性が安定し、さらに、弁体受けをろう付けにより固定し、このときにろう回りが安定し、気密性能が改善される弁装置を提供できる。
【符号の説明】
【0081】
100、200、300、400、500、600 弁装置(電磁弁)
101 第1の継手
102 第2の継手
110、210、310、510、610 弁本体部
111、211、311、511、611 弁本体
111a、211a、311a、511a、611a 入口ポート
111b、211b、311b、511b、611b 出口ポート
111c、211c、311c、511c、611c 弁室
111c1、211c1、311c1、511c1、611c1 側壁
111d、314g、511d、611d スパイラル溝
112 弁体
114、214、314、414、414A、414B、614 弁体受け
114a、214a、314a、414a、614a 弁ポート
114b、314b、414b、614b フランジ部
114c、214c、314c、414c、614c 弁座
114d、214d、314d、414d、614d アンダーカット
114e、314e、414e、614e 圧入部
114f、314f、414f、614f 圧入ガイド部
120 プランジャユニット
121 プランジャチューブ
122 プランジャ
122a プランジャ室
122b 縦方向の均圧孔
122c 横方向の均圧孔
122d 下端中空部
123 吸引子
124 コイルスプリング
125 弁体ホルダ
125a 通孔
126 弁バネ
130 電磁コイルアセンブリ
131 ボビン
132 コイル
133 ケーシング
134 ボルト
135 リード線
414g、414Ag、414Bg 連通溝
511e 段差
614a1 テーパ部分
614a2 直線部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9