【解決手段】流量調整弁32を制御するマイコン8は、開度が0の範囲内にある原点位置よりも開側及び閉側に移動可能な弁体50と、弁体50の開度の移動状態に応じて開側及び閉側を判定する移動量判定部83と、移動量判定部83による判定結果が開側である場合と、閉側である場合とで、異なる周波数のパルスを連続出力する信号出力部86と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。本発明の実施形態は、燃料の流量を調整する流量調整弁、及び、空気の流量を調整するダンパ等の流量制御装置が備える開閉機構の開閉を、開度の移動状態と、原点検出状態とにより判定するものである。また、本発明の実施形態は、流量調整弁及びダンパ等の流量制御装置が、開状態の場合と、閉状態の場合とで、それぞれ異なる周波数のパルス(信号)を連続出力するものである。そして、本発明の実施形態は、開閉の判定を、開度と、原点位置の検出とに基づいて行い、移動状態と検出状態とが相違している場合には、開閉機構に異常が発生していると判定して、流量制御装置が、連続出力していたパルスを停止させるというものである。
【0017】
次に、
図1を参照して本発明の実施形態によるボイラ装置1の全体の構成について説明をする。
図1は、本実施形態に係るボイラ装置1の構成を模式的に示す図である。
本実施形態によるボイラ装置1は、ボイラ2と、燃料ライン3と、送風ライン4と、ボイラ制御装置9とを主要な構成として備える。
なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、ラインに配置される弁やセンサ等の各構成については、その一部を省略して記載している。
【0018】
ボイラ2は、燃料ライン3から供給された燃料ガスをバーナ(図示せず)で燃焼させ、その内部に供給された給水を加熱することで、蒸気を発生させる蒸気ボイラである。ボイラ2は、図示しない負荷装置に接続され、発生した蒸気を負荷装置に対して供給する。
【0019】
燃料ライン3は、燃料の供給源(図示せず)と、ボイラ2とを接続する燃料の供給ラインである。燃料ライン3は、バーナの燃焼に必要な燃料を、ボイラ2に供給する。本実施形態では、都市ガス(LGN)やプロパンガス(LPG)等が燃料として、燃料の供給源から燃料ライン3に供給される。
燃料ライン3には、上流側から順に、遮断弁30、31、流量調整弁32等が配置される。
【0020】
遮断弁30、31は、ボイラ制御装置9に電気的に接続されており、ボイラ制御装置9からの信号に基づいて燃料ライン3を開放又は閉止する電磁弁である。遮断弁30、31を開放することで、燃料ライン3に供給源から燃料が供給される。また、遮断弁30、31を閉止することで、供給源から燃料ライン3への燃料の供給が停止する。そして、遮断弁30、31は、閉止することで供給源への燃料の逆流を防止する機能も有する。
【0021】
流量調整弁(流量調整装置)32は、マイコン8(制御装置)と共に、燃料ライン3を流れる燃料の流量を調整する流量制御装置として機能する。流量調整弁32は、マイコン8を介してボイラ制御装置9に電気的に接続されている。そして、ボイラ制御装置9からの指示信号をマイコン8が受け付けて、指示信号に従って流量調整弁32が開閉動作を行う。
【0022】
ここで、流量調整弁32の構造について説明する。
図2Aは、流量調整弁32の構造のうち、ガスの流量を調整する部分を説明するための図である。
図2Bは、流量調整弁32の構造のうち、弁体50(開閉機構)を移動させるための仕組みを説明するための図である。
【0023】
図2Aに示す弁体50は、上下に動作が可能になっている。弁体50は、上側に移動した場合には、燃料の流路を塞いで閉止する。これにより、燃料の供給が停止される。また、弁体50は、下側に移動した場合には、燃料の流路を開放するので、燃料が供給される。
この弁体50の上下の移動は、弁体50に接続されたシャフト51が上下に動くことにより行われる。シャフト51は、例えば、図示しないステッピングモータ(回転体)の回転運動を、直線運動に変換するためのものである。
図2Bに示すように、シャフト51の先端には、マグネット52が設けられている。また、流量調整弁32には、ホールIC53が設けられている。ホールIC53は、電圧レギュレータ、ホール素子、増幅回路、シュミットトリガ回路、出力トランジスタ等がパッケージ化された電子回路である。ホールIC53は、マグネット52による磁力のON−OFFの切り替わり位置を、原点位置として認識する。即ち、原点検出部材は、シャフト51、マグネット52及びホールIC53を含んで構成される。
【0024】
マイコン8は、流量調整弁32を制御するための制御回路である。
ここで、マイコン8の機能について、
図3に基づき説明する。
図3に示すマイコン8の制御部80は、指示信号受付部81と、移動制御部82と、移動量判定部83(第1判定部)と、原点検出部84と、検出判定部85(第2判定部)と、信号出力部86と、信号停止部87とを備える。
指示信号受付部81は、ボイラ制御装置9が送出した指示信号を受信する。
移動制御部82は、指示信号受付部81が受信した指示信号に従って、弁体50を開方向又は閉方向に移動させる。
移動量判定部83は、弁体50の開度の移動状態に応じて弁体50が開側に位置するか、閉側に位置するかを判定する。
【0025】
原点検出部84は、原点位置を検出する。具体的には、原点検出部84は、ホールIC53が認識した原点位置を検出する。
検出判定部85は、原点位置の検出状態に応じて弁体50が開側に位置するか、閉側に位置するかを判定する。
信号出力部86は、移動量判定部83による判定と、検出判定部85による判定との結果が一致している場合に、パルスを連続出力する。また、信号出力部86は、弁体50が開側に位置すると判定した場合と、閉側に位置すると判定した場合とでは、異なる周波数のパルスを出力する。
信号停止部87は、移動量判定部83による判定と、検出判定部85による判定との結果が不一致である場合に、連続出力していたパルスを、出力しないように停止する。
【0026】
図1に示す送風ライン4には、送風機40、ダンパ42等が配置される。
送風機40は、バーナの燃焼に必要な空気を供給する。送風機40から供給される空気は、送風ライン4を通じて、ボイラ2の燃焼室(図示せず)に供給される。
ダンパ42は、風量を調整可能な装置である。ダンパ42は、マイコン8−2を介してボイラ制御装置9に電気的に接続されている。マイコン8−2は、ボイラ制御装置9からの指示信号に従って、ダンパ42の位置を調節し、風量を調節する。
【0027】
図4A及び
図4Bに示すように、ダンパ42は、板部材65(開閉機構)の開閉を行うための回転体(図示せず)と一体に回転する回転部材60(原点検出部材)に、切欠部61を有する。そして、切欠部61を検出するためのフォトセンサ(図示せず)が、閉位置の切欠部61を検出可能な位置に設けられている。ダンパ42は、
図4Bの位置から右側に90度回転可能になっている。また、切欠部61をフォトセンサが検出可能な位置に、原点位置P0を有する。回転部材60は、原点位置P0から開方向及び閉方向に移動可能であり、原点位置P0より閉方向の場合には、原点検出信号はH(Hi)を示し、原点位置P0より開方向の場合には、原点検出信号はL(Low)を示す。
【0028】
図1に示すマイコン8−2は、ダンパ42を制御するための制御回路である。
マイコン8−2は、下記の機能部を除き、上述したマイコン8と同様の機能を有する。
移動制御部82は、指示信号受付部81が受信した指示信号に従って、板部材65を開方向又は閉方向に移動させる。
移動量判定部83は、板部材65の開度の移動状態に応じて板部材65が開側に位置するか、閉側に位置するかを判定する。
原点検出部84は、切欠部61を認識するフォトセンサからの検出により、原点位置P0を検出する。
【0029】
ここで、流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構における開度と原点信号との関係について、
図5Aに基づき説明する。
流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構は、開度が0の範囲内の位置に原点位置P0を有する。そして、流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構は、原点位置P0よりも開側及び閉側に移動が可能である。そこで、マイコン8及びマイコン8−2は、開閉機構の開度の移動状態に応じて開閉機構が開状態であるか、閉状態であるかを判定できる。
なお、開閉機構は、例えば、弁の閉切り位置を原点(開度零)とし、弁を開き燃料等の流通がない最大の開度を、例えば、閉切点(開度零以上)としてもよい。この場合には、原点より閉方向への移動は不可である。しかし、原点から閉切点までの範囲を、開度が0の範囲内とすることで、このような構成の開閉機構も、当然に本発明に含まれる。
他方、流量調整弁32及びダンパ42は、構造こそ異なるものの、原点位置P0を検出する機構を備える。そこで、マイコン8及びマイコン8−2は、原点検出信号による原点検出状態によって、開閉機構が開状態であるか、閉状態であるかを判定できる。なお、開閉機構が閉切点を有するものの場合には、マイコン8及びマイコン8−2は、原点検出信号に代わって、閉切点を検出する閉切点検出信号によって開閉状態を判定してもよい。
【0030】
図1に示すボイラ制御装置9は、ボイラ2や、マイコン8、マイコン8−2、各種弁等に対して電気的に接続される。ボイラ制御装置9は、ボイラ2の燃焼状態及び各種弁の開度等を制御する。一例として、ボイラ制御装置9は、流量調整弁32に対する開閉の指示信号を、マイコン8に対して送出する。また、他の例として、ボイラ制御装置9は、ダンパ42に対する開閉の指示信号を、マイコン8−2に対して送出する。ボイラ制御装置9は、ボイラ装置1の各種制御を行うコンピュータである。本実施形態のボイラ制御装置9は、制御部90と、報知部91と、操作受付部92とを備える。
【0031】
制御部90は、各種センサやスイッチ等に電気的に接続されており、燃焼制御及び弁異常の報知等の各種の制御を実行する。なお、後述の報知部91及び操作受付部92は、制御部90と一体的な構成として配置されていてもよいし、別体として制御部90から離れた場所に配置してもよい。
本実施形態の制御部90は、マイコン8及びマイコン8−2に対して指示信号を送出する指示信号出力部としての機能を有する。また、制御部90は、マイコン8から受信した流量調整弁32の開閉状態を示すパルスに基づいて、流量調整弁32の状態を判断する。さらに、制御部90は、マイコン8−2から受信したダンパ42の開閉状態を示すパルスに基づいて、ダンパ42の状態を判断する。
【0032】
報知部91は、ボイラ装置1に関する動作状況として、例えば、異常を報知するためのものである。本実施形態の報知部91は、ランプやブザー等によって構成される。報知部91は、制御部90からの信号に基づいて、ランプの点灯及びブザーの発音等を行う。
【0033】
操作受付部92は、ボイラ装置1の各種の操作を受け付ける。本実施形態の操作受付部92は、ボイラ装置の運転を開始するための運転スイッチ等が操作されることによって、操作信号を受け付ける。
【0034】
ここで、ボイラ制御装置9と、マイコン8との間の関係について、
図5Bに基づき説明する。
ボイラ制御装置9は、流量調整弁32の開閉機構の開放及び閉止を行うため、マイコン8に対して指示信号を送出する。
マイコン8は、受信した指示信号に対する制御をした後、ボイラ制御装置9に対してパルスを出力する。
なお、ボイラ制御装置9と、マイコン8−2との間の関係も、流量調整弁32に代わってダンパ42であること以外、同様である。
【0035】
マイコン8、8−2が出力するパルスは、
図6A及び
図6Bの2種類がある。
図6Aは、開を示すパルスの一例である。開を示すパルスは、例えば、周波数が50Hzのパルスである。
図6Bは、閉を示すパルスの一例である。閉を示すパルスは、例えば、周波数が6.25Hzのパルスである。
このように、開を示すパルスと、閉を示すパルスとでは、周波数が異なるので、ボイラ制御装置9は、周波数によって、開閉のどちらであるかを把握できる。また、周波数が50Hzのパルスは、パルス幅が20msecである一方、閉を示すパルスである周波数が6.25Hzのパルスは、パルス幅が160msecである。よって、ボイラ制御装置9は、パルス幅によっても、開閉のどちらを示すかを把握できる。
【0036】
なお、
図6Cは、
図6A及び
図6Bとの比較のために記載したものであり、パルスが出力されない場合を示す。
また、マイコン8と、マイコン8−2とで、開を示すパルス及び閉を示すパルスの周波数を異なるものにしてもよい。そのようにすることで、パルスの周波数によって、ボイラ制御装置9は、対象の流量制御装置と、その開閉とを判別できる。
【0037】
次に、本実施形態のボイラ装置1での動作時の処理について説明する。
図7は、本実施形態の流量調整弁32のマイコン8におけるメイン処理を示すフローチャートである。
図8は、本実施形態の流量調整弁32のマイコン8における受信信号処理を示すフローチャートである。
例えば、ボイラ装置1の電源が投入されたことで、マイコン8の制御部80は、
図7のメイン処理を開始する。
図7のステップS(以下、単に「S」という。)10において、マイコン8の制御部80は、原点確認処理を行う。制御部80は、流量調整弁32を、原点検出ができる位置に移動させ、原点位置を確認する。
【0038】
S11において、制御部80は、原点確認結果が正常であるか否かを判断する。例えば、原点位置が確認できた場合には、制御部80は、正常であると判断する一方、原点位置が確認できなかった場合には、原点確認結果が正常ではないと判断する。正常である場合(S11:YES)には、制御部80は、処理をS12に移す。他方、正常ではない場合(S11:NO)には、制御部80は、本処理を終了する。つまり、原点確認結果が異常である場合には、制御部80は、ボイラ制御装置9に対してパルスを出力しない。
【0039】
S12において、制御部80(指示信号受付部81)は、ボイラ制御装置9から指示信号を受信したか否かを判断する。指示信号を受信した場合(S12:YES)には、制御部80は、処理をS13に移す。他方、指示信号を受信していない場合(S12:NO)には、制御部80は、指示信号を受信するまで、本処理に留まる。
S13において、制御部80は、
図8に示す受信信号処理を行い、その後、本処理を終了する。
【0040】
ここで、受信信号処理について、
図8に基づき説明する。
図8のS110において、制御部80は、受信した指示信号が流量調整弁32の“開放”の指示であるか否かを判断する。開放の指示である場合(S110:YES)には、制御部80は、処理をS111に移す。他方、開放の指示ではない場合(S110:NO)には、制御部80は、処理をS113に移す。
【0041】
S111において、制御部80(移動制御部82)は、流量調整弁32を開放するように開閉機構を開放側に移動制御する。
S112において、制御部80(信号出力部86)は、開を示すパルスを出力する。その後、制御部80は、処理をS115に移す。
他方、S113において、制御部80(移動制御部82)は、流量調整弁32を閉止するように開閉機構を閉止側に移動制御する。
S114において、制御部80(信号出力部86)は、閉を示すパルスを出力する。
【0042】
S115において、制御部80は、チェック処理を行う。具体的には、制御部80(移動量判定部83)は、開度の移動状態に応じて、開側か、閉側かを判定する。また、制御部80(検出判定部85)は、原点位置の検出状態に応じて開側か、閉側かを判定する。なお、このチェック処理は、移動制御部82による移動に係る時間を考慮した上で行うことが望ましい。
S116において、制御部80は、開度の移動状態によって判定した判定結果と、原点位置の検出状態によって判定した判定結果とが一致しているか否かを判断する。また、制御部80は、判定結果が一致している場合に、その判定結果が、指示信号から得られる指示と一致しているか否かを判断する。いずれも一致している場合(S116:YES)には、制御部80は、処理をS117に移す。他方、1つでも不一致の場合(S116:NO)には、制御部80は、処理をS119に移す。
S117において、制御部80(指示信号受付部81)は、指示信号を受信したか否かを判断する。指示信号を受信した場合(S117:YES)には、制御部80は、処理をS110に移す。他方、指示信号を受信していない場合(S117:NO)には、制御部80は、処理をS118に移す。
【0043】
S118において、制御部80(信号出力部86)は、所定のパルスを継続して出力する。つまり、開度の移動状態によって判定した判定結果と、原点位置の検出状態によって判定した判定結果とが一致しており、開側への移動である場合には、制御部80は、例えば、周波数が50Hzのパルスである開を示すパルスを継続して出力する。他方、開度の移動状態によって判定した判定結果と、原点位置の検出状態によって判定した判定結果とが一致しており、閉側への移動である場合には、制御部80は、例えば、周波数が6.25Hzのパルスである閉を示すパルスを継続して出力する。
その後、制御部80は、処理をS117に移し、指示信号を受信するまで、パルスを連続出力し続ける。
他方、S119において、制御部80(信号停止部87)は、連続して出力していたパルスを停止させる。その後、制御部80は、処理を
図7のS13の処理後に移す。
【0044】
次に、ボイラ制御装置9による処理について説明する。
図9は、本実施形態のボイラ制御装置9の弁指示処理を示すフローチャートである。
図10は、本実施形態のボイラ制御装置9のチェック処理を示すフローチャートである。
例えば、ボイラ装置1の電源が投入されたことで、ボイラ制御装置9の制御部90は、
図9に示す弁指示処理を開始する。
図9のS21において、制御部90は、マイコン8に対して閉止指示を出力する。
S22において、制御部90は、
図10に示すチェック処理を行う。
図10については、後述する。
なお、ボイラ装置1の制御部90がS20からS22までの処理を行う間に、マイコン8は、
図7のS10に示す原点確認処理を行っている。原点確認処理の後、制御部90は、運転開始指示を受け付ける。
【0045】
S23において、制御部90(報知部91)は、アラームが出力されているか否かを判断する。ここで、マイコン8での原点確認処理において、原点位置が確認できず、そのためにパルスを受信しない場合には、アラームが出力される。また、制御部90がマイコン8に対して指示を出力しても、マイコン8からパルスを受信せず、又は、指示とは異なるパルスを受信した場合にも、アラームが出力される。アラームが出力されている場合(S23:YES)には、制御部90は、処理をS27に移す。他方、アラームが出力されていない場合(S23:NO)には、制御部90は、処理をS24に移す。
S24において、制御部90は、開放指示を受けているか、又は、閉止指示を受けているかを判断する。ここで、操作受付部92による閉止指示を受け付けない限りにおいて、ボイラ2は燃焼処理を行っており、開放指示を受けている。開放指示を受けていると判断した場合(S24:開放)には、制御部90は、処理をS25に移す。他方、閉止指示を受けていると判断した場合(S24:閉止)には、制御部90は、処理をS27に移す。
【0046】
S25において、制御部90は、マイコン8に対して開放指示を出力する。
S26において、制御部90は、
図10に示すチェック処理を行う。
図10については、後述する。その後、制御部90は、処理をS23に移す。
S27において、制御部90は、マイコン8に対して閉止指示を出力する。
S28において、制御部90は、
図10に示すチェック処理を行う。その後、制御部90は、本処理を終了する。
【0047】
次に、チェック処理について、
図10に基づき説明する。
図10のS210において、制御部90は、開放指示の出力後にこのチェック処理になったか、つまり、開放指示の出力後であるか否かを判断する。開放指示の出力後である場合(S210:YES)には、制御部90は、処理をS211に移す。他方、開放指示の出力後ではない場合(S210:NO)には、制御部90は、処理をS215に移す。開放指示の出力後ではない場合とは、閉止指示の出力後にこのチェック処理になった場合が該当する。
S211において、制御部90は、パルスを受信しているか否かを判断する。パルスを受信している場合(S211:YES)は、制御部90は、処理をS212に移す。他方、パルスを受信していない場合(S211:NO)には、制御部90は、処理をS213に移す。
【0048】
S212において、制御部90は、開を示すパルスであるか否かを判断する。開を示すパルスである場合(S212:YES)には、制御部90は、処理を
図9のS26の処理後に移す。開を示すパルスではない場合(S212:NO)には、制御部90は、処理をS213に移す。
S213において、制御部90は、判定時間を経過したか否かを判断する。判定時間とは、マイコン8での処理を考慮した時間であり、マイコン8からパルスが到着するまでの時間以上の長さを有する。判定時間を経過した場合(S213:YES)には、制御部90は、処理をS214に移す。他方、判定時間を経過していない場合(S213:NO)には、制御部90は、処理をS211に移す。
S214において、制御部90は、報知部91に対して信号を送出することで、アラームを出力させる。その後、制御部90は、処理を
図9のS26の処理後に移す。
【0049】
他方、S215において、制御部90は、パルスを受信しているか否かを判断する。パルスを受信している場合(S215:YES)は、制御部90は、処理をS216に移す。他方、パルスを受信していない場合(S215:NO)には、制御部90は、処理をS217に移す。
S216において、制御部90は、受信したパルスが閉を示すものであるか否かを判断する。閉を示すパルスである場合(S216:YES)には、制御部90は、処理を
図9のS22又はS28の処理後に移す。他方、閉を示すパルスではない場合(S216:NO)には、制御部90は、処理をS217に移す。
【0050】
S217において、制御部90は、判定時間を経過したか否かを判断する。判定時間は、上述のS213と同様である。判定時間を経過した場合(S217:YES)には、制御部90は、処理をS218に移す。他方、判定時間を経過していない場合(S217:NO)には、制御部90は、処理をS215に移す。
S218において、制御部90は、報知部91に対して信号を送出することで、アラームを出力させる。その後、制御部90は、処理を
図9のS22又はS28の処理後に移す。
【0051】
なお、上述では、流量調整弁32のマイコン8と、ボイラ制御装置9との処理を説明したが、ダンパ42のマイコン8−2と、ボイラ制御装置9との処理も同様に行うことができる。
【0052】
以上説明した本実施形態のボイラ装置1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態のボイラ装置1の流量調整弁32は、開閉機構の開度が0の範囲内にある原点位置よりも開側及び閉側に移動可能であり、開度の移動状態に応じて開側及び閉側を判定し、判定結果が開側である場合と、閉側である場合とで、異なる周波数のパルスを連続出力する。
これにより、流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構の開度が原点位置よりも開側か閉側かにより、周波数の異なるパルスを出力するので、ボイラ装置1では、連続的に受信するパルスの周波数によって、流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構の開度が原点位置よりも開側か閉側かを判定できる。また、パルスを連続出力することで、送信側と受信側の同期を取る必要がなく、異常の判定を確実かつ容易に行うことができる。
【0053】
また、ボイラ装置1の流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構は、原点位置を検出した検出状態に応じて、開側及び閉側を判定する。そして、ボイラ装置1の流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構は、開度の移動状態による判定と、原点位置の検出状態による判定とが不一致である場合に、連続出力しているパルスを停止させる。
これにより、流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構が、開度の移動状態による判定と、原点位置の検出状態による判定とが異なる場合に、流量調整弁32及びダンパ42が異常な状態、つまり故障しているとして、連続出力する周波数の異なるパルスを停止する。よって、ボイラ制御装置9では、連続的に受信するパルスが停止することで、流量調整弁32やダンパ42自身の異常(故障)を検知できる。また、連続的にパルスを受信していれば、開度の移動状態による判定と、原点位置の検出状態による判定とが一致している場合であるので、開閉機構が正常に動作していることを確認でき、安全性を向上することができる。
【0054】
また、ダンパ42の板部材65の開閉を行う回転体と一体で回転する切欠部61を有する回転部材60を備え、回転部材60の切欠部61により原点位置を検出する。
これにより、簡単な構造で、原点位置の検出ができる。
【0055】
また、流量調整弁32の弁体50の開閉を行う回転体の回転運動を直線運動に変換するシャフト51の先端に、マグネット52を備え、マグネット52の磁力をホールIC53が検知して、磁力のON−OFFの切り替わり位置を原点位置として検出する。
これにより、簡単な構造で、原点位置の検出ができる。
【0056】
また、流量調整弁32及びダンパ42は、ボイラ制御装置9からの指示信号を受け付けて、流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構を開側又は閉側に移動させるので、流量調整弁32及びダンパ42の開閉機構の開側又は閉側への動作を、ボイラ装置1からの制御によって行うことができる。
【0057】
本実施形態のボイラ装置1は、流量調整弁32及びダンパ42から受信していたパルスを受信しなくなった後、一定時間が経過した場合に、異常を報知する。
これにより、パルスを受信しない場合として、一時的な切替等を除くことができ、流量調整弁32やダンパ42の異常時にのみ異常を報知できる。よって、流量調整弁32やダンパ42の異常(故障)を、報知によって知ることができる。
【0058】
以上、本発明のボイラ装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、パルスの周波数は、開の場合と、閉の場合とで、異なるものであればよく、その値は任意である。
また、周波数は、開の場合に、その開度の度合いに応じたものにしてもよい。そのようにすることで、ボイラ制御装置9では、流量調整弁32やダンパ42がどの程度の開度であるかを、周波数によって把握できる。
【0059】
また、上記実施形態では、流量調整弁32と、ダンパ42とを例に説明したが、他の流量制御装置であっても、同様の処理を行うことができる。
【0060】
また、上記実施形態では、報知部91は、ランプとブザーによって構成されているが、表示ディスプレイ等で構成される表示部に異常の内容を表示させたり、スピーカの音声による案内を出力させたりすることによって、異常を報知する構成に変更することもできる。