(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-125840(P2019-125840A)
(43)【公開日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】映像信号受信装置および映像信号送受信システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/073 20060101AFI20190704BHJP
【FI】
H04N5/073 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-3293(P2018-3293)
(22)【出願日】2018年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】藤木 礼
(72)【発明者】
【氏名】岩間 大介
【テーマコード(参考)】
5C020
【Fターム(参考)】
5C020AA11
5C020BA20
5C020BB20
5C020CA20
(57)【要約】
【課題】高精度のタイミングでフレーム信号を生成することができ安価な構成とすることができる映像信号受信装置を提供する。
【解決手段】映像信号受信装置11Aは、クロック受信部110、フレーム信号生成部120Aおよびフレーム信号送信部130を備える。クロック受信部110は、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21から送出されたカメラ映像信号クロックを受信して、そのクロックをフレーム信号生成部120Aへ出力する。フレーム信号生成部120Aは、クロック受信部110が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成して、そのフレーム信号をフレーム信号送信部130へ出力する。そして、フレーム信号送信部130は、フレーム信号生成部120Aから出力されたフレーム信号を入力して、そのフレーム信号を各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置へ送出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する映像信号送信装置と信号線により接続され、前記映像信号送信装置それぞれから送出された映像信号を受信する装置であって、
前記映像信号送信装置から送出されたクロックを受信するクロック受信部と、
前記クロック受信部が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成して出力するフレーム信号生成部と、
前記フレーム信号生成部から出力されたフレーム信号を前記映像信号送信装置へ送出するフレーム信号送信部と、
を備える映像信号受信装置。
【請求項2】
クロックを生成する内部オシレータと、前記クロック受信部によるクロック受信が正常であるか否かを検出する検出部と、を更に備え、
前記フレーム信号生成部は、前記クロック受信部によるクロック受信が正常であると前記検出部が検出した場合に、前記クロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力し、前記クロック受信部によるクロック受信が異常であると前記検出部が検出した場合に、前記内部オシレータが生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する、
請求項1に記載の映像信号受信装置。
【請求項3】
前記フレーム信号生成部は、
前記クロック受信部が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成する第1生成部と、
前記内部オシレータが生成したクロックに基づいてフレーム信号を生成する第2生成部と、
前記クロック受信部によるクロック受信が正常であると前記検出部が検出した場合に、前記第1生成部により生成されたフレーム信号を選択して出力し、前記クロック受信部によるクロック受信が異常であると前記検出部が検出した場合に、前記第2生成部により生成されたフレーム信号を選択して出力する信号選択部と、
を含む請求項2に記載の映像信号受信装置。
【請求項4】
前記フレーム信号生成部は、
前記クロック受信部によるクロック受信が正常であると前記検出部が検出した場合に、前記クロック受信部が受信したクロックを選択して出力し、前記クロック受信部によるクロック受信が異常であると前記検出部が検出した場合に、前記内部オシレータが生成したクロックを選択して出力するクロック選択部と、
前記クロック選択部から出力されたクロックに基づいてフレーム信号を生成して出力する生成部と、
を含む請求項2に記載の映像信号受信装置。
【請求項5】
前記フレーム信号生成部は、
起動時に前記クロック受信部によるクロック受信が異常であるとの前記検出部による検出結果に基づいて、前記内部オシレータが生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力し、
その後に前記クロック受信部によるクロック受信が異常から正常に転じたことを前記検出部が検出すると、前記クロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する、
請求項2〜4の何れか1項に記載の映像信号受信装置。
【請求項6】
前記フレーム信号生成部は、
前記クロック受信部によるクロック受信が正常から異常に転じたことを前記検出部が検出すると、前記内部オシレータが生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力し、
前記クロック受信部によるクロック受信が異常から正常に転じたことを前記検出部が検出すると、前記クロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する、
請求項2〜5の何れか1項に記載の映像信号受信装置。
【請求項7】
複数の前記クロック受信部と、前記複数のクロック受信部それぞれによるクロック受信が正常であるか否かを検出する検出部と、を備え、
前記フレーム信号生成部は、前記複数のクロック受信部のうちの何れかのクロック受信部によるクロック受信が正常であると前記検出部が検出した場合に、クロック受信が正常であると検出された前記クロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する、
請求項2〜6の何れか1項に記載の映像信号受信装置。
【請求項8】
カメラによる撮像により取得された映像信号がない場合に該映像信号に替えてダミーの映像信号を送出する映像信号送信装置。
【請求項9】
カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する映像信号送信装置と、
前記映像信号送信装置から送出された映像信号を受信するとともに、フレーム信号を送出する請求項1〜7の何れか1項に記載の映像信号受信装置と、
を備え、
前記映像信号送信装置は、前記映像信号受信装置から送出されたフレーム信号を受信して、そのフレーム信号を対応するカメラへ出力する、
映像信号送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号受信装置および映像信号送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のカメラを用いて同時に取得した複数の映像を解析する技術の開発が行われている。例えば、事故などが発生する可能性を事前に検知してこれを回避する先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance System、ADAS)では、自動運転を実現するために、自動車に搭載された多数のカメラにより取得された映像情報をリアルタイム処理し、深層学習技術を適当することにより、カメラ映像情報から車両、歩行者および車間距離などの周辺環境情報を抽出する。深層学習技術を用いてパターンマッチング処理を行うGPU(Graphic Processor Unit)が開発されており、このGPUを用いることで例えば12チャネルのカメラ映像信号を処理できるプラットフォームを構築することができるとされている(非特許文献1参照)。
【0003】
このようなシステムでは、多数のカメラは実質的に同時に映像を取得することが重要である。例えば、ドイツのアウトバーンを速度250km/hで合法的に走行している自動車に搭載されている複数のカメラが同期せずにフレームレート30fps(Frame Per Second)で周辺環境の情報を取得したと仮定すると、これら複数のカメラの間では最大16.7msの撮像時刻がずれることになり、各カメラが撮影した空間的位置は最大1.2mほど互いに異なることになる。このような映像の取得時刻の差異に対処した上で周辺環境情報を抽出する為には、本来の周辺環境情報抽出処理とは別の追加処理が必要になる。
【0004】
したがって、各カメラは実質的に同時に映像を取得することが重要である。例えば、自動車が速度250km/hで走行している場合に、各カメラが150μs以下の時差で映像を取得すれば、各カメラが撮影した空間的位置の差異は10mmとなり、前述の追加処理は不要であるとされている。
【0005】
通常、カメラモジュールの内部には、レンズ系およびイメージセンサ(例えばCMOSイメージセンサ)に加えて、このイメージセンサにクロックを供給してイメージセンサを駆動するオシレータが配置されている。しかし、オシレータの発振特性には個体偏差がある。複数のカメラモジュールそれぞれにおいて内蔵オシレータから出力されるクロックを基準として撮像タイミングを生成する場合、これら複数のカメラモジュールの撮像動作は非同期とならざるをえない。
【0006】
外部オシレータから共通のクロックを複数のカメラモジュールに供給すれば、複数のカメラモジュールの撮像タイミングを実質的に同じにすることができる(非特許文献2参照)。しかし、自動車内に搭載される場合には、外部オシレータとカメラモジュールとの間で長さ10mを超えるクロック供給線が必要となる場合がある。そのクロック供給線の重量は自動車の燃費の悪化の要因となる。また、長距離のクロック供給線はアンテナとして作用して不要電磁波を放射する要因となる。したがって、外部オシレータから共通のクロックを複数のカメラモジュールに供給するのは好ましくない。
【0007】
共通クロックに替えて共通の撮像開始タイミング指示信号を外部から複数のカメラモジュールに供給することによっても、複数のカメラモジュールの撮像タイミングを実質的に同じにすることができる(非特許文献3参照)。一般に、カメラモジュールは、撮像開始タイミング指示信号を受けて撮像を開始する機能を有している。カメラモジュールは、撮像開始後には内蔵オシレータから出力されるクロックに基づいて動作するので、1フレーム撮像終了時刻に差異が生じる。しかし、その差異が大きくなって問題となるより前に再び共通の撮像開始タイミング指示信号を複数のカメラモジュールに供給することを周期的に繰り返すことにより、複数のカメラモジュールの間の動作タイミングの差異を或る一定時間差以下にすることができる。
【0008】
このように複数のカメラモジュールに対して共通に且つ周期的に供給される撮像開始タイミング指示信号として、各フレームの撮像開始タイミングを表すフレーム信号がある。フレームレートが30fpsである場合、フレーム信号は約33ms間隔で供給される。カメラモジュールに内蔵されるオシレータの発振周波数の偏差は一般に100ppmである。この場合、或るフレーム信号のタイミングから次のフレーム信号のタイミングまでの1フレームの期間(33ms)に複数のカメラモジュールの間で生じる動作タイミングの差異は最大で3.3μsとなるが、この差異は前述の許容値(150μs)より小さい。
【0009】
共通のフレーム信号を複数のカメラモジュールに供給する為の信号線は、前述のクロック供給線の場合と同様に10mを超える場合がある。中央演算プロセッサがフレーム信号を生成することができるが、一般に、中央演算プロセッサおよびイメージセンサは、長距離の信号線を介して映像信号およびフレーム信号を送受信する能力を有していない。
【0010】
そこで、専用のインターフェースとして、長距離の信号線を介して信号を送受信する能力を有する映像信号送信装置および映像信号受信装置が用いられる(非特許文献4,5参照)。映像信号送信装置および映像信号受信装置それぞれは半導体集積回路として構成される。映像信号送信装置は、イメージセンサ等とともにカメラモジュールを構成している。映像信号受信装置は、中央演算プロセッサとともに映像信号受信モジュールを構成している。
【0011】
映像信号送信装置は、イメージセンサにより取得された映像信号を映像信号受信装置へ送出する。そして、映像信号受信装置は、映像信号送信装置から送出された映像信号を受信し、その映像信号を中央演算プロセッサへ与える。また、映像信号受信装置は、中央演算プロセッサにより生成されたフレーム信号等の制御信号を映像信号送信装置へ送出する。そして、映像信号送信装置は、映像信号受信装置から送出された制御信号を受信して、そのフレーム信号をイメージセンサへ与える。映像信号送信装置および映像信号受信装置それぞれにおいて、制御信号を送受信する端子として汎用の端子を用いることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】“NVIDIA、自動運転・自動認識の最前線を紹介する「ディープラーニングセミナー」 ヘテロジニアスラーニングによる歩行者検出精度向上などを発表”、[online]、2015年8月26日、Impress Corporation、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:https://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/717652.html〉
【非特許文献2】“イメージセンシングプロダクツ / Image SensingProducts”、[online]、ソニー、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:https://www.sony.co.jp/Products/ISP/interview/vol01.html〉
【非特許文献3】“カメラ接続のためのボード設定方法(外部トリガ編)−AIPToolを使って外部トリガ同期撮像をしよう!−”、[online]、AVAL DATA CORPORATION、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:http://www.avaldata.co.jp/solution_imaging/cameralink_tips/aiptool_ex_trg.html〉
【非特許文献4】“New MotorVuTM 360reference design enables four-channel HD surround view and recording”、[online]、Ambarella、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:https://www.ambarella.com/news/48/122/Ambarella-Unveils-HD-360-View-Automotive-Camera-Solution〉
【非特許文献5】“B5 Video Serializer/De-SerializerCompanion Chips”、[online]、Ambarella、[平成29年12月25日検索]、インターネット〈URL:https://www.ambarella.com/uploads/docs/MotorVu-360-product-brief.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、中央演算プロセッサにより生成されたフレーム信号が映像信号受信装置および映像信号送信装置を経てイメージセンサへ送られる構成は、次のような問題点を有している。すなわち、様々な処理を行わなければならない中央演算プロセッサにおいて、時間的に高精度のタイミングでフレーム信号を生成して汎用の端子から送出する処理を行うことは容易ではない。また、中央演算プロセッサにおいて、そのようなフレーム信号の生成および送出の処理が可能であっても、処理能力には限度があることから、フレーム信号送出処理が他の重要な処理に悪影響を及ぼす場合がある。
【0014】
このような問題を解消するために、中央演算プロセッサにおいてフレーム信号を生成することに替えて、映像信号受信装置においてフレーム信号を生成することが考えられる。映像信号受信装置においてフレーム信号を生成すれば、中央演算プロセッサの処理量が軽減される。
【0015】
ところが、映像信号受信装置において生成されたフレーム信号が映像信号送信装置を経てイメージセンサへ送られる構成は、次のような問題点を有している。すなわち、映像信号受信装置においてフレーム信号を生成するための基準となるクロックを供給するオシレータが必要である。映像信号受信装置の外部にオシレータが設けられる場合には、一般に、そのオシレータは、正確な周期でクロックを出力することができるものの、高価な構成となる。逆に、映像信号受信装置の内部にオシレータが設けられる場合には、一般に、安価な構成とすることができるものの、そのオシレータのクロック周期は±10%以上ばらつくので製造品質として許容できない場合がある。
【0016】
本発明は、上記のような本発明者の検討の結果に基づいて、上記問題点を解消する為になされたものであり、高精度のタイミングでフレーム信号を生成することができ安価な構成とすることができる映像信号受信装置、ならびに、このような映像信号受信装置および映像信号送信装置を備える映像信号送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の映像信号受信装置は、カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する映像信号送信装置と信号線により接続され、映像信号送信装置から送出された映像信号を受信する装置であって、映像信号送信装置から送出されたクロックを受信するクロック受信部と、クロック受信部が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成して出力するフレーム信号生成部と、フレーム信号生成部から出力されたフレーム信号を映像信号送信装置へ送出するフレーム信号送信部と、を備える。
【0018】
本発明の映像信号受信装置は、クロックを生成する内部オシレータと、クロック受信部によるクロック受信が正常であるか否かを検出する検出部と、を更に備えるのが好適である。この場合、フレーム信号生成部は、クロック受信部によるクロック受信が正常であると検出部が検出した場合に、クロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力し、クロック受信部によるクロック受信が異常であると検出部が検出した場合に、内部オシレータが生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力するのが好適である。
【0019】
本発明の映像信号受信装置において、フレーム信号生成部は、(1) クロック受信部が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成する第1生成部と、(2) 内部オシレータが生成したクロックに基づいてフレーム信号を生成する第2生成部と、(3)クロック受信部によるクロック受信が正常であると検出部が検出した場合に、第1生成部により生成されたフレーム信号を選択して出力し、クロック受信部によるクロック受信が異常であると検出部が検出した場合に、第2生成部により生成されたフレーム信号を選択して出力する信号選択部と、を含むのが好適である。
【0020】
本発明の映像信号受信装置において、フレーム信号生成部は、(1) クロック受信部によるクロック受信が正常であると検出部が検出した場合に、クロック受信部が受信したクロックを選択して出力し、クロック受信部によるクロック受信が異常であると検出部が検出した場合に、内部オシレータが生成したクロックを選択して出力するクロック選択部と、(2) クロック選択部から出力されたクロックに基づいてフレーム信号を生成して出力する生成部と、を含むのも好適である。
【0021】
本発明の映像信号受信装置において、フレーム信号生成部は、起動時にクロック受信部によるクロック受信が異常であるとの検出部による検出結果に基づいて、内部オシレータが生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力し、その後にクロック受信部によるクロック受信が異常から正常に転じたことを検出部が検出すると、クロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力するのが好適である。
【0022】
本発明の映像信号受信装置において、フレーム信号生成部は、クロック受信部によるクロック受信が正常から異常に転じたことを検出部が検出すると、内部オシレータが生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力し、クロック受信部によるクロック受信が異常から正常に転じたことを検出部が検出すると、クロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力するのが好適である。
【0023】
本発明の映像信号受信装置は、複数のクロック受信部と、複数のクロック受信部それぞれによるクロック受信が正常であるか否かを検出する検出部と、を備え、フレーム信号生成部は、複数のクロック受信部のうちの何れかのクロック受信部によるクロック受信が正常であると検出部が検出した場合に、クロック受信が正常であると検出されたクロック受信部が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力するのが好適である。
【0024】
本発明の映像信号送信装置は、カメラによる撮像により取得された映像信号がない場合に該映像信号に替えてダミーの映像信号を送出してもよい。なお、映像信号送信装置は、カメラによる撮像により取得された映像信号がない場合にダミーの映像信号を送出しなくてもよい。
【0025】
本発明の映像信号送受信システムは、カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する映像信号送信装置と、映像信号送信装置から送出された映像信号を受信するとともにフレーム信号を送出する上記の本発明の映像信号受信装置と、を備え、映像信号送信装置は、映像信号受信装置から送出されたフレーム信号を受信して、そのフレーム信号を対応するカメラへ出力する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の映像信号受信装置は、高精度のタイミングでフレーム信号を生成することができ、安価な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、映像信号送受信システム1の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、映像信号受信装置11の第1構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、映像信号受信装置11の第2構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、映像信号受信装置11の第3構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、起動時における映像信号受信装置11B,11Cの動作例を説明するタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、異常状態発生時および正常状態復帰時における映像信号受信装置11B,11Cの動作例を説明するタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、映像信号送受信システム1の変形例の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、映像信号受信装置11の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
図1は、映像信号送受信システム1の構成を示す図である。映像信号送受信システム1は、映像信号受信装置11および複数の映像信号送信装置21を備える。カメラモジュール20
1〜20
4それぞれは、映像信号送信装置21およびカメラ22を含む。この図では4個のカメラモジュールが示されているが、カメラモジュールの個数は任意である。例えば、映像信号送受信システム1が自動車に搭載される場合、映像信号受信装置11および映像信号送信装置21は、長距離(例えば長さ10m以上)の信号線により接続されており、そのような長距離の信号の送受信が可能である。
【0030】
カメラ22は、レンズ系およびイメージセンサ(例えばCMOSイメージセンサ)を含み、また、このイメージセンサにクロックを供給してイメージセンサを駆動するオシレータを含む。各カメラモジュール20
nにおいて、映像信号送信装置21は、映像信号受信装置11から送出されたフレーム信号を受信して、そのフレーム信号をカメラ22に与える。カメラ22は、映像信号送信装置21からフレーム信号が供給されると撮像を行い、その撮像により取得された映像信号を映像信号送信装置21へ出力する。映像信号送信装置21は、カメラ22による撮像により取得された映像信号をカメラ22から受け取り、その映像信号を映像信号受信装置11へ送出する。
【0031】
カメラモジュール20
1〜20
4のうちのカメラモジュール20
1において、映像信号送信装置21は、カメラ映像信号クロックを映像信号受信装置11へ送出する。また、カメラモジュール20
1において、映像信号送信装置21は、カメラ22による撮像により取得された映像信号がない場合に、該映像信号に替えてダミーの映像信号を映像信号受信装置11へ送出してもよい。なお、映像信号送信装置21は、カメラ22による撮像により取得された映像信号がない場合にダミーの映像信号を送出しなくてもよい。
【0032】
映像信号受信装置11は、各カメラモジュール20
nへフレーム信号を送出し、各カメラモジュール20
nから送出された映像信号を受信する。映像信号受信装置11は、その受信した映像信号を中央演算プロセッサ12へ出力する。中央演算プロセッサ12は、映像信号受信装置11から受け取った映像信号に基づいて所要の処理を行う。
【0033】
映像信号受信装置11は、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21から送出されたカメラ映像信号クロックを受信する。映像信号受信装置11は、このカメラ映像信号クロックに基づいてフレーム信号を生成して、そのフレーム信号を各カメラモジュール20
nへ送出する。また、映像信号受信装置11は、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21からダミーの映像信号が送出された場合は、そのダミー信号を受信する。なお、本実施形態では、カメラ映像信号クロックのみに基づいてフレーム信号を生成する場合について説明したが、内部オシレータクロックに基づいてフレーム信号を生成する回路を同時に内部に持つ構成でもよい。
【0034】
図2は、映像信号受信装置11の第1構成例を示す図である。この図には、フレーム信号の生成に関わる構成が示されている。第1構成例の映像信号受信装置11Aは、クロック受信部110、フレーム信号生成部120Aおよびフレーム信号送信部130を備える。
【0035】
クロック受信部110は、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21から送出されたカメラ映像信号クロックを受信して、そのクロックをフレーム信号生成部120Aへ出力する。フレーム信号生成部120Aは、クロック受信部110が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成して、そのフレーム信号をフレーム信号送信部130へ出力する。そして、フレーム信号送信部130は、フレーム信号生成部120Aから出力されたフレーム信号を入力して、そのフレーム信号を各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置へ送出する。
【0036】
以上のような構成を有する映像信号受信装置11Aは、カメラ映像信号クロックに基づいて高精度のタイミングでフレーム信号を生成することができる。また、映像信号受信装置11Aは、外部オシレータを用いる必要がないので、安価な構成とすることができる。
【0037】
ただし、電力投入して起動した直後では、映像信号受信装置11から各カメラモジュール20
nへフレーム信号が供給されないことから、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21からカメラ映像信号クロックが送出されず、したがって、映像信号受信装置11はフレーム信号を生成することができない場合がある。このままでは、各カメラモジュール20
n内のカメラ22は撮影動作を開始することができない場合がある。
【0038】
そこで、カメラモジュール20
1内の映像信号受信装置11は、カメラ22による撮像により取得された映像信号がない場合に、該映像信号に替えてダミーの映像信号およびクロックを送出するのが好適である。このダミーの映像信号およびクロックを受信した映像信号受信装置11は、このクロックに基づいてフレーム信号を生成して、そのフレーム信号を各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置21へ送出することができる。その後は、カメラモジュール20
1の映像信号送信装置21からカメラ映像信号クロックが送出されるので、映像信号受信装置11は、クロック受信部110が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成し送出することができる。
【0039】
また、映像信号受信装置11は、次に説明する第2構成例(
図3)または第3構成例(
図4)とするのが好適である。これらの構成とすることで、映像信号受信装置11は、起動時、異常状態発生時および正常状態回復時それぞれにおいて好適な動作(
図5,
図6)をすることができる。
【0040】
図3は、映像信号受信装置11の第2構成例を示す図である。この図にも、フレーム信号の生成に関わる構成が示されている。第2構成例の映像信号受信装置11Bは、クロック受信部110、フレーム信号生成部120B、フレーム信号送信部130、内部オシレータ140および検出部150を備える。
【0041】
図2に示された第1構成例の映像信号受信装置11Aと比べると、
図3に示される第2構成例の映像信号受信装置11Bは、フレーム信号生成部120Aに替えてフレーム信号生成部120Bを備える点で相違し、また、内部オシレータ140および検出部150を更に備える点で相違する。
【0042】
フレーム信号生成部120Bは、クロック受信部110が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成して出力する。また、フレーム信号生成部120Bは、内部オシレータ140が生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力することもできる。
【0043】
検出部150は、クロック受信部110によるクロック受信が正常であるか否かを検出する。クロック受信部110によるクロック受信が正常であると検出部150が検出した場合、フレーム信号生成部120Bは、クロック受信部110が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する。一方、クロック受信部110によるクロック受信が異常であると検出部150が検出した場合、フレーム信号生成部120Bは、内部オシレータ140が生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する。
【0044】
フレーム信号生成部120Bは、第1生成部121、第2生成部122および信号選択部123を含む。第1生成部121は、クロック受信部110が受信したクロックに基づいてフレーム信号を生成する。第2生成部122は、内部オシレータ140が生成したクロックに基づいてフレーム信号を生成する。クロック受信部110によるクロック受信が正常であると検出部150が検出した場合に、信号選択部123は、第1生成部121により生成されたフレーム信号を選択して、そのフレーム信号をフレーム信号送信部130へ出力する。一方、クロック受信部110によるクロック受信が異常であると検出部150が検出した場合に、信号選択部123は、第2生成部122により生成されたフレーム信号を選択して、そのフレーム信号をフレーム信号送信部130へ出力する。
【0045】
図4は、映像信号受信装置11の第3構成例を示す図である。この図にも、フレーム信号の生成に関わる構成が示されている。第3構成例の映像信号受信装置11Cは、クロック受信部110、フレーム信号生成部120C、フレーム信号送信部130、内部オシレータ140および検出部150を備える。
【0046】
図3に示された第2構成例の映像信号受信装置11Bと比べると、
図4に示される第3構成例の映像信号受信装置11Cは、フレーム信号生成部120Bに替えてフレーム信号生成部120Cを備える点で相違する。フレーム信号生成部120Cは、フレーム信号生成部120Bと同様の入出力動作を行うが、内部の構成の点で相違する。
【0047】
フレーム信号生成部120Cは、クロック選択部124および生成部125を含む。クロック受信部110によるクロック受信が正常であると検出部150が検出した場合に、クロック選択部124は、クロック受信部110が受信したクロックを選択して生成部125へ出力する。一方、クロック受信部110によるクロック受信が異常であると検出部150が検出した場合に、クロック選択部124は、内部オシレータ140が生成したクロックを選択して生成部125へ出力する。生成部125は、クロック選択部124から出力されたクロックに基づいてフレーム信号を生成して、そのフレーム信号をフレーム信号送信部130へ出力する。
【0048】
図5は、起動時における映像信号受信装置11B,11Cの動作例を説明するタイミングチャートである。この図には、上から順に、(a) フレーム信号生成の制御の態様、(b) 電力供給状態、(c) 内部オシレータ140から出力されるクロックの波形、(d) 内部オシレータ140から出力されるクロックに基づいて作成されるフレーム信号の波形、(e) クロック受信部110が受信するクロックの波形、および、(f) クロック受信部110が受信するクロックに基づいて作成されるフレーム信号の波形、が示されている。
【0049】
この動作例では、起動後の一定期間においては、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21からカメラ映像信号クロックが送出されないので、検出部150は、クロック受信部110によるクロック受信が異常であると検出する。そして、フレーム信号生成部120B,120Cは、その検出部150による検出結果に基づいて、内部オシレータ140が生成したクロックに基づいてフレーム信号を出力する。
【0050】
このようにすることで、内部オシレータ140のクロック周期の精度が悪く、フレーム信号の周期の精度も悪いものの、映像信号受信装置11からフレーム信号が各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置21へ送られる。そして、フレーム信号を受信した各カメラモジュール20
nにおいてカメラ22による撮像動作が開始される。撮像動作が開始されると、映像信号受信装置11は、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21から送出されたカメラ映像信号クロックを受信することができるようになる。このクロックの周期の精度は高い。
【0051】
その後に、検出部150は、クロック受信部110によるクロック受信が異常から正常に転じたことを検出する。そして、フレーム信号生成部120B,120Cは、その検出部150による検出結果に基づいて、クロック受信部110が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する。これ以降に生成されるフレーム信号の周期の精度は高い。
【0052】
このように、起動後の一定期間においては、周期の精度が悪いとしてもフレーム信号を映像信号受信装置11から各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置21へ送ることができる。最終的には、クロック受信部110が入力した周期の精度の高いクロックに基づいて生成したフレーム信号を、映像信号受信装置11から各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置21へ送ることができる。
【0053】
図6は、異常状態発生時および正常状態復帰時における映像信号受信装置11B,11Cの動作例を説明するタイミングチャートである。この図には、上から順に、(a) フレーム信号生成の制御の態様、(b) ノイズ発生タイミング、(c) 内部オシレータ140から出力されるクロックの波形、(d) 内部オシレータ140から出力されるクロックに基づいて作成されるフレーム信号の波形、(e) クロック受信部110が受信するクロックの波形、および、(f) クロック受信部110が受信するクロックに基づいて作成されるフレーム信号の波形、が示されている。
【0054】
この動作例は、負荷の大きいノイズにさらされる工業製品および車載製品などに映像信号送受信システム1が用いられる場合の例である。クロック受信部110によるクロック受信が正常状態であったとしても、或る瞬間に発生したノイズに因り、クロック受信部110によるクロック受信が異常状態に転じる。そして、それ以降は、映像信号受信装置11から各カメラモジュール20
nへフレーム信号が供給されなくなって、各カメラモジュール20
n内のカメラ22は撮影動作を継続できない場合がある。
【0055】
この動作例では、異常状態発生時においても、また、その後の正常状態復帰時においても、映像信号受信装置11から各カメラモジュール20
nへフレーム信号を供給することができる。
【0056】
ノイズに因りクロック受信部110によるクロック受信が正常状態から異常状態に転じると、検出部150は、その旨を検出する。そして、フレーム信号生成部120B,120Cは、その検出部150による検出結果に基づいて、内部オシレータ140が生成したクロックに基づいて生成したフレーム信号を出力する。このようにすることで、フレーム信号の周期の精度が悪いものの、映像信号受信装置11からフレーム信号が各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置21へ送られる。そして、フレーム信号を受信した各カメラモジュール20
nにおいてカメラ22による撮像動作が再開される。撮像動作が再開されると、映像信号受信装置11は、カメラモジュール20
1内の映像信号送信装置21から送出されたカメラ映像信号クロックを受信することができるようになる。
【0057】
その後に、検出部150は、クロック受信部110によるクロック受信が異常から正常に転じたことを検出する。そして、フレーム信号生成部120B,120Cは、その検出部150による検出結果に基づいて、クロック受信部110が受信したクロックに基づいて生成したフレーム信号を再び出力する。これ以降に生成されるフレーム信号の周期の精度は高い。
【0058】
このように、クロック受信部110によるクロック受信が異常状態である期間においては、周期の精度が悪いとしてもフレーム信号を映像信号受信装置11から各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置21へ送ることができる。正常状態に復帰すると、クロック受信部110が入力した周期の精度の高いクロックに基づいて生成したフレーム信号を、映像信号受信装置11から各カメラモジュール20
nの映像信号送信装置21へ送ることができる。したがって、異常状態発生時および正常状態復帰時の何れにおいても、カメラ22は撮像動作を継続することができる。
【0059】
次に変形例について説明する。
図7は、映像信号送受信システム1の変形例の構成を示す図である。この図に示される変形例の映像信号送受信システム1Aは、映像信号受信装置11Dと、1または複数の映像信号受信装置11Eと、複数の映像信号送信装置21とを備える。映像信号受信装置11Dおよび各映像信号受信装置11Eは、それぞれ、1つの映像信号送信装置21と信号線により接続されている。映像信号受信装置11Dは、映像信号送信装置21
1から送出された映像信号クロックをクロック受信部110により受信し、その受信したクロックに基づいてフレーム信号生成部120Aによりフレーム信号を生成し、そのフレーム信号をフレーム信号送信部130により映像信号送信装置21
1へ送出する。映像信号受信装置11Eは、映像信号受信装置11Dのフレーム信号生成部120Aにより生成されたフレーム信号を入力し、そのフレーム信号をフレーム信号送信部130により対応する映像信号送信装置21へ送出する。このような構成とした場合、何れかの箇所で故障が生じた場合に、その影響が及ぶ範囲の拡大を抑制することができる。
【0060】
図8は、映像信号受信装置11の変形例の構成を示す図である。この図に示される変形例の映像信号受信装置11Fでは、クロック受信部111は、或る映像信号送信装置21から送出された映像信号クロックを受信する。クロック受信部112は、他の映像信号送信装置21から送出された映像信号クロックを受信する。検出部160は、クロック受信部111,112それぞれによるクロック受信が正常であるか否かを検出する。選択部170は、クロック受信部111,112のうちの何れかのクロック受信部によるクロック受信が正常であると検出部160が検出した場合に、そのクロック受信が正常であると検出されたクロック受信部が受信したクロックを選択してフレーム信号生成部120Aへ出力する。フレーム信号生成部120Aは、選択部170から出力されたクロックに基づいてフレーム信号を生成し出力する。
【符号の説明】
【0061】
1,1A…映像信号送受信システム、11,11A〜11F…映像信号受信装置、20
1〜20
4…カメラモジュール、21…映像信号送信装置、22…カメラ、110,111,112…クロック受信部、120A〜120C…フレーム信号生成部、121…第1生成部、122…第2生成部、123…信号選択部、124…クロック選択部、125…生成部、130…フレーム信号送信部、140…内部オシレータ、150…検出部、160…検出部。