【課題】同期整流トランジスタのドレイン電圧に高い正電圧が発生する仕様であっても、同期整流コントローラの有するドレイン端子の耐圧に関する問題を解決できる絶縁同期整流型DC/DCコンバータを提供する。
【解決手段】二次側に配置される同期整流トランジスタと、前記同期整流トランジスタの駆動を制御する同期整流コントローラと、を備えた絶縁同期整流型DC/DCコンバータであって、前記同期整流コントローラの有するドレイン端子と、前記同期整流トランジスタのドレインとの間に接続されるトランジスタを有する。
前記トランジスタのゲートと、前記同期整流トランジスタのドレインとの間に、前記ツェナーダイオードおよび前記抵抗による接続構成と並行に接続されるコンデンサをさらに有する、請求項3に記載の絶縁同期整流型DC/DCコンバータ。
【背景技術】
【0002】
AC/DCコンバータをはじめとする様々な電源回路に、フライバック型のDC/DCコンバータが利用される。
図8は、同期整流型のフライバックコンバータ200Sの回路図である。
【0003】
図8のフライバックコンバータ200Sは、その入力端子P1に入力電圧Vinを受け、所定の目標電圧に安定化された直流の出力電圧Voutを生成し、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される負荷(不図示)に供給する。トランスT1の一次巻線W1には、スイッチングトランジスタM1が接続され、二次巻線W2には、同期整流トランジスタM2が接続される。出力コンデンサC1は、出力端子P2に接続される。
【0004】
フィードバック回路206は、出力電圧Voutとその目標電圧の誤差に応じた電流でフォトカプラ204の発光素子を駆動する。フォトカプラ204の受光素子には、誤差に応じたフィードバック電流Ifbが流れる。一次側コントローラ202のFB(フィードバック)ピンには、フィードバック電流Ifbに応じたフィードバック信号Vfbが発生し、一次側コントローラ202は、フィードバック信号Vfbに応じたデューティ比(あるいは周波数)を有するパルス信号を発生し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。
【0005】
同期整流型のフライバックコンバータでは、同期整流トランジスタM2の損失は、Ron×Iout
2となる。Ronは同期整流トランジスタM2のオン抵抗であり、Ron=5 mΩ、Iout=10Aとすると、損失は0.5Wとなりダイオード整流型に比べて大きく低減する。従って理論上、同期整流型では、放熱板やヒートシンクが不要、あるいは簡略化できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8に示す同期整流コントローラ300Sは、スイッチングトランジスタM1がターンオフすると、同期整流トランジスタM2をターンオンし、二次巻線W2の電流が実質的にゼロになる (2次側ゼロカレント)と、同期整流トランジスタM2をターンオフする。このために、同期整流コントローラ300Sは、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧VDS2を監視し、ドレイン電圧VDS2に基づいて、スイッチングトランジスタM1のターンオフ、および2次側ゼロカレントを検出する。
【0008】
ドレイン電圧VDS2には、スイッチングトランジスタM1のオンオフに応じて正電圧と負電圧とにわたるパルス電圧が発生する。出力電圧Voutが高く設定されるほど、一次巻線W1と二次巻線W2との巻数比が調整されることで、上記パルス電圧における正電圧が高くなる。ドレイン電圧VDS2は同期整流コントローラ300Sの有するドレイン端子Tdに入力されるが、正電圧が高くなるとドレイン端子Tdの耐圧を超える問題があった。例えば、正電圧が150Vに対してドレイン端子Tdの耐圧が120Vとなる場合があった。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明は、同期整流トランジスタのドレイン電圧に高い正電圧が発生する仕様であっても、同期整流コントローラの有するドレイン端子の耐圧に関する問題を解決できる絶縁同期整流型DC/DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、二次側に配置される同期整流トランジスタと、前記同期整流トランジスタの駆動を制御する同期整流コントローラと、を備えた絶縁同期整流型DC/DCコンバータであって、前記同期整流コントローラの有するドレイン端子と、前記同期整流トランジスタのドレインとの間に接続されるトランジスタを有する(第1の構成)。
【0011】
また、上記第1の構成において、前記トランジスタのゲートには、電源による所定の電源電圧が印加されることとしてもよい(第2の構成)。
【0012】
また、上記第1の構成において、前記トランジスタのゲートと、前記同期整流トランジスタのドレインとの間に直列接続されるツェナーダイオードおよび抵抗と、
電源と、
前記電源と前記トランジスタのゲートとの間に接続されるダイオードと、をさらに有することとしてもよい(第3の構成)。
【0013】
また、上記第3の構成において、前記トランジスタのゲートと、前記同期整流トランジスタのドレインとの間に、前記ツェナーダイオードおよび前記抵抗による接続構成と並行に接続されるコンデンサをさらに有することとしてもよい(第4の構成)。
【0014】
また、上記第3または第4の構成において、前記電源は、絶縁同期整流型DC/DCコンバータの出力端子と接地端との間に直列に接続される抵抗および第2ツェナーダイオードと、
前記抵抗と前記第2ツェナーダイオードとの接続ノードに接続されるゲート、および前記出力端子と接続されるドレインを有するFETと、
前記FETのソースと接地端との間に接続される第2コンデンサと、を有し、
前記第2コンデンサと前記FETとの接続ノードに前記ダイオードが接続されることとしてもよい(第5の構成)。
【0015】
また、上記第5の構成において、前記同期整流コントローラは、前記第2コンデンサと前記FETとの接続ノードに接続されるLDOレギュレータを有し、
前記電源は、前記FETのゲートと接地端との間に接続されるバイポーラトランジスタを有し、
前記バイポーラトランジスタのベースに制御信号が印加可能であることとしてもよい(第6の構成)。
【0016】
また、前記トランジスタは、FETであり、前記トランジスタのソースは、前記ドレイン端子に接続され、前記トランジスタのドレインは、前記同期整流トランジスタのドレインに接続されることとしてもよい(第7の構成)。
【0017】
また、上記いずれかの構成の絶縁同期整流型DC/DCコンバータは、フライバックコンバータであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の絶縁同期整流型DC/DCコンバータによると、同期整流トランジスタのドレイン電圧に高い正電圧が発生する仕様であっても、同期整流コントローラの有するドレイン端子の耐圧に関する問題を解決できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る絶縁型のDC/DCコンバータ200Aの回路図である。DC/DCコンバータ200Aは、フライバックコンバータ(絶縁同期整流型DC/DCコンバータ)であり、その入力端子P1に入力電圧Vinを受け、所定の目標電圧に安定化された直流の出力電圧Voutを生成し、出力端子P2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0022】
トランスT1は、一次巻線W1と二次巻線W2を有する。一次巻線 W1の一端は入力端子P1と接続され、直流の入力電圧Vinを受ける。スイッチングトランジスタM1のドレインは、一次巻線W1の他端と接続される。スイッチングトランジスタM1のソースは接地される。
【0023】
同期整流トランジスタM2およびトランスT1の二次巻線W2は、出力端子P2と接地端子P3の間に直列に設けられる。出力コンデンサC1は、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される。
【0024】
フィードバック回路206は、出力電圧Voutとその目標電圧の誤差に応じた電流でフォトカプラ204の発光素子を駆動する。フォトカプラ204の受光素子には、誤差に応じたフィードバック電流Ifbが流れる。一次側コントローラ202のFB(フィードバック)ピンには、フィードバック電流Ifbに応じたフィードバック信号Vfbが発生し、一次側コントローラ202は、フィードバック信号Vfbに応じたデューティ比(あるいは周波数)を有するパルス信号を発生し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。
【0025】
同期整流コントローラ300Aは、同期整流トランジスタM2を制御する。ダイオードD2は、同期整流トランジスタM2のボディダイオードである。同期整流コントローラ300Aは、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧VDS2に基づいて制御パルスを生成し、制御パルスに応じたゲートパルスを同期整流トランジスタM2のゲートに供給する。
【0026】
同期整流コントローラ300Aは、一つのパッケージに収容されており、少なくともドレイン端子Td、ソース端子Ts、ゲート端子Tg、および電源端子Tvccを有する。ソース端子Tsは、同期整流コントローラ300Aのグランド端子である。
【0027】
同期整流コントローラ300Aは、ドレイン端子Tdに生じる電圧VS1に基づき、同期整流トランジスタM2を駆動する。ドレイン端子Tdは、後述するように、FET305を介して同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。上記電圧VS1は、FET305のソース電圧となる。
【0028】
より具体的に、同期整流コントローラ300Aは、ドライバ302、およびパルス発生器301を備える。パルス発生器301は、ドレイン端子Tdの電圧VS1に基づき、パルス信号S11を生成する。パルス発生器301は、ドレイン端子Tdの電圧VS1に基づき、スイッチングトランジスタM1のターンオフと、二次巻線W2の電流Isが実質的にゼロとなるゼロカレントと、を検出し、スイッチングトランジスタM1のターンオフをトリガとしてパルス信号S11をオンレベルに遷移させ、ゼロカレントをトリガとしてパルス信号S11をオフレベルに遷移させる。
【0029】
図2は、パルス発生器301の一構成例を示す回路図である。
図2に示すように、パルス発生器301は、第1コンパレータ301Aと、第2コンパレータ301Bと、フリップフロップ301Cと、を含む。第1コンパレータ301Aは、ドレイン端子Tdの電圧VS1と所定の第1閾値電圧VthAとを比較し、比較結果としてオン信号Sonをフリップフロップ301Cのセット端子に出力する。第2コンパレータ301Bは、ドレイン端子Tdの電圧VS1と所定の第2閾値電圧VthBとを比較し、比較結果としてオフ信号Soffをフリップフロップ301Cのリセット端子に出力する。フリップフロップ301CのQ出力端子から出力されるパルス信号S11は、ドライバ302に入力される。ドライバ302は、パルス信号S11に基づいてゲート駆動信号S12をゲート端子Tgから同期整流トランジスタM2のゲートに出力する。
【0030】
スイッチングトランジスタM1がターンオフされたとき、ドレイン電圧VDS2とともに電圧VS1は負電圧となり、第1コンパレータ301Aにより、電圧VS1が負の第1閾値電圧VthA(例えば−150mA)より低くなったことが検出され、オン信号Sonがアサートされる。これにより、フリップフロップ301Cがセットされ、パルス信号S11はHighとなり、ゲート駆動信号S12がオンレベルとなり、同期整流トランジスタM2はターンオンされる。
【0031】
同期整流トランジスタM2のオン期間の間、同期整流トランジスタM2のソースからドレインに向かって電流Isが流れ、ドレイン電圧VDS2は負電圧とな り、その絶対値は電流Isの電流量に比例する。電流Isが減少してドレイン電圧VDS2が正方向へ向かって高くなり、コンパレータ301Bにより、電圧VS1が負の第2閾値電圧VthA(例えば−10mA)より高くなったことが検出されると、オフ信号Soffがアサートされる。これにより、フリップフロップ301Cがリセットされ、パルス信号S11はLowとなり、ゲート駆動信号S12がオフレベルとなり、同期整流トランジスタM2はターンオフされる。
【0032】
ここで、ドレイン端子Tdは、nチャネル型MOSFETで構成されるFET305を介して同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。FET305のソースは、ドレイン端子Tdに接続される。FET305のドレインは、同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。FET305のゲートには、電源306による所定のゲート電圧Vg1が印加される。
【0033】
ドレイン電圧VDS2には、スイッチングトランジスタM1のオンオフに応じて正電圧と負電圧にわたるパルス電圧が発生する。ドレイン電圧VDS2に正電圧が生じた場合、FET305により、FET305のソースすなわちドレイン端子Tdに生じる電圧VS1は、ゲート電圧Vg1からFET305の閾値電圧Vthだけ低い電圧にクランプされる。
【0034】
例えば、正電圧が150V、ゲート電圧Vg1が12V、閾値電圧Vthが3Vの場合、電圧VS1は12V−3V=9Vにクランプされる。このとき、ドレイン端子Tdの耐圧は例えば120Vであるので、9Vが印加されても問題はない。さらに、FET305の耐圧を例えば200Vとすれば、FET305のドレイン・ソース間電圧は150V−9V=141Vで、200V以下となるので、問題はない。
【0035】
また、ドレイン電圧VDS2に負電圧が発生した場合、FET305はオンとなるので、電圧VS1はドレイン電圧VDS2の負電圧と同じになる。
【0036】
このように、本実施形態であれば、出力電圧Voutが高めに設定されることでドレイン電圧VDS2に生じる正電圧が高くなっても、FET305による電圧のクランプにより、ドレイン端子Tdには耐圧に耐えられる電圧VS1を印加することができる。
【0037】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係るDC/DCコンバータ200Bの回路図である。DC/DCコンバータ200Bの先述した第1実施形態(
図1)との相違点は、ドレイン端子Tdに接続されるFET307に関する構成である。
【0038】
nチャネル型MOSFETであるFET307のソースは、ドレイン端子Tdに接続される。FET307のドレインは、同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。FET307のゲートは、抵抗R1の一端とともに、コンデンサC2の一端に接続される。抵抗R1の他端は、ツェナーダイオードZ1のアノードに接続される。ツェナーダイオードZ1のカソードは、同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。コンデンサC2の他端は、同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。すなわち、FET307のゲートと同期整流トランジスタM2のドレインとの間に、抵抗R1とツェナーダイオードZ1が直列に接続され、FET307のゲートと同期整流トランジスタM2のドレインとの間に、抵抗R1とツェナーダイオードZ1による接続構成と並列にコンデンサC2が接続される。
【0039】
また、FET307のゲートには、ダイオードD1のカソードが接続される。ダイオードD1のアノードには、電源308の出力電圧V308が印加される。電源308は、具体的には、抵抗R2、ツェナーダイオードZ2、FET308A、およびコンデンサC3を有する。抵抗R2の一端は、出力端子P2に接続される。抵抗R2の他端は、ツェナーダイオードZ2のカソードに接続される。ツェナーダイオードZ2のアノードは、接地される。nチャネル型MOSFETであるFET308Aのドレインは、出力端子P2に接続される。FET308Aのソースは、コンデンサC3の一端に接続される。コンデンサC3の他端は、接地される。FET308Aのゲートは、抵抗R2とツェナーダイオードZ2との接続ノードに接続される。
【0040】
例えば、出力電圧Voutが24V、ツェナーダイオードZ2のツェナー電圧を15Vとすると、抵抗R2とツェナーダイオードZ2との接続ノードは15Vにクランプされる。従って、FET308Aのゲートには15Vが印加され、FET308Aのドレインには24Vが印加され、FET308Aのソースは、15VからFET308Aの閾値電圧だけ低下した電圧にクランプされる。閾値電圧が例えば2Vであると、FET308Aのソースは13Vとなる。この場合、FET308AのソースとコンデンサC3との接続ノードに出力電圧V308が13Vとして生じる。
【0041】
ここで、
図4に示すタイミングチャートを用いてDC/DCコンバータ200Bの動作について説明する。
図4には、上段から順に、ドレイン電圧VDS2、パルス駆動信号S12、電流Is、FET307のゲート電圧Vg2、FET307のソース電圧Vs2、およびFET307のドレイン・ソース間電圧Vdsを示す。なお、
図4に示される電圧値の具体例に基づき以下説明するが、ここでの電圧値は一例に過ぎない。
【0042】
タイミングt0より前では、スイッチングトランジスタM1がオンであり、ゲート駆動信号S12はオフレベルであり、同期整流トランジスタM2はオフであり、電流Isは流れない。このとき、ドレイン電圧VDS2には正電圧である150Vが発生する。ツェナーダイオードZ1のツェナー電圧が例えば47Vであるとすると、ツェナーダイオードZ1の降伏により、ゲート電圧Vg2は、150V−47V=103Vとなる。そして、FET307により、ソース電圧Vs2は、ゲート電圧Vg2からFET307の閾値電圧Vthだけ低下した電圧にクランプされる。閾値電圧Vthを例えば3Vとした場合、ソース電圧Vs2は、103V−3V=100Vにクランプされる。従って、ドレイン端子Tdの耐圧120Vに耐えられる電圧がドレイン端子Tdに印加される。また、このとき、ドレイン・ソース間電圧Vdsは、150V−100V=50Vとなり、FET307の耐圧が例えば60Vであっても、耐えることができる。すなわち、第1実施形態のように、耐圧が例えば200Vの高い耐圧のFETをクランプ用に使用する必要が無くなり、コストを低下させることが可能になる。
【0043】
また、タイミングt0でスイッチングトランジスタM1がターンオフされると、ドレイン電圧VDS2は負電圧となる。このとき、ダイオードD1がオンとなり、ゲート電圧Vg2は、出力電圧V308からダイオードD1のVf(順方向電圧)だけ低下した電圧となり、Vfを1Vとすれば、13V−1V=12Vとなる。FET307はオンとされ、ソース電圧Vs2は、ドレイン電圧VDS2と同じ電圧となり、負電圧となる。すると、パルス発生器301によりパルス信号S11はHighとされ、ゲート駆動信号S12はオンレベルとなる。よって、同期整流トランジスタM2はターンオンされ、電流Isが流れ始める。
【0044】
電流Isが徐々に減少することで負電圧のドレイン電圧VDS2およびソース電圧Vs2は上昇し、タイミングt1でゼロカレントに達すると、パルス発生器301によりパルス信号S11はLowとされ、ゲート駆動信号S12はオフレベルとなり、同期整流トランジスタM2はターンオフされる。その後、スイッチングトランジスタM1がターンオンされると、ドレイン電圧VDS2は、再び正電圧である150Vとなる。
【0045】
なお、コンデンサC2は、ドレイン電圧VDS2のAC成分を通過させるための構成である。これにより、例えば、ドレイン電圧VDS2が負電圧から正電圧に変化したときに、ゲート電圧Vg2が出力電圧V308からダイオードD1のVfだけ低下した電圧のまま残り、FET307のドレイン・ソース間に大きな電圧が印加されることを抑制できる。
【0046】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係るDC/DCコンバータ200Cの回路図である。DC/DCコンバータ200Cの先述した第2実施形態(
図3)との相違点は、同期整流コントローラ30Aの有する電源端子Tvccおよび電源308に関する構成である。
【0047】
具体的には、電源端子Tvccは、電源308におけるFET308AとコンデンサC3との接続ノードに接続される。また、電源308においては、抵抗R2とツェナーダイオードZ2との接続ノードと、FET308Aのゲートとの間に、バイポーラトランジスタTr1のコレクタが接続される。バイポーラトランジスタTr2のエミッタは、接地される。バイポーラトランジスタTr1のベースには、制御端子P4が接続される。制御端子P4には、不図示のマイコンからオンレベル・オフレベルを切替える制御信号S4が印加される。
【0048】
同期整流コントローラ300Aにおいては、LDO(Low Dropout)レギュレータ350が含まれる。LDOレギュレータ350には、電源端子Tvccに印加される入力電圧が入力され、LDOレギュレータ350は、当該入力電圧に基づき内部電圧Vregを生成して出力する。
【0049】
制御端子P4にマイコンによりオンレベル(Low)の制御信号S4が印加された場合、バイポーラトランジスタTr1はオフとなり、FET308Aによるクランプにより出力電圧V308(例えば13V)が電源端子Tvccに印加される。これにより、LDOレギュレータ350は、出力電圧V308に基づき内部電圧Vregを生成する。
【0050】
内部電圧Vregはドライバ302の電源となるので、
図6に示すタイミングチャートのように、制御信号S4がオンレベルの間、ゲート駆動信号S12はオフレベルと、内部電圧Vregによるオンレベルとの繰り返しとなる。
【0051】
そして、マイコンにより制御信号S4がオフレベル(High)とされると、バイポーラトランジスタTr1がオンとなり、FET308Aのゲートが接地される。これにより、FET308Aはオフとされ、コンデンサC3の放電が開始される。放電により出力電圧V308が減少するに従い、内部電圧Vregも減少する。これにより、
図6のタイミングt11から示すように、ゲート駆動信号S12のオンレベルが減少する。そして、出力電圧V308がUVLO検出電圧を下回ると、LDO350は内部電圧Vregの出力を停止する。これにより、
図6に示すタイミングt12のように、ゲート駆動信号S12がオフされる。
【0052】
このように、本実施形態では、マイコンによる内部電源308のオンオフ制御により、同期整流コントローラ300Aのシャットダウン制御が可能となる。
【0053】
<第4実施形態>
以上の実施形態ではフライバックコンバータを例としたが、LLCコンバータにも本発明は 適用可能である。
図7は、第4実施形態に係るDC/DCコンバータ200Dの回路図で ある。一次側には、トランジスタM11、M12および共振キャパシタCsが設けられる。
【0054】
一次側コントローラ202Dは、フィードバック信号Vfbに基づいてトランジスタM11 、M12を駆動する。一次側コントローラ202Dは公知の技術を用いて構成すればよい。
【0055】
トランスT2は、二次巻線W22、W22を有する。2次側には、2個の同期整流トランジスタM21、M22が設けられる。同期整流コントローラ300Dは、同期整流トランジスタM21のドレイン電圧VD1に基づいて同期整流トランジスタM21を駆動し、同期整流トランジスタM22のドレイン電圧VD2に基づいて同期整流トランジスタM22を駆動する。同期整流コントローラ300Dは、同期整流コントローラを2チャンネル分(CH1、CH2)含んでいる。
【0056】
そして、
図7に示すように、同期整流コントローラ300Dの有する第1ドレイン端子Td1は、FET351を介して同期整流トランジスタM21のドレインに接続され、同期整流コントローラ300Dの有する第2ドレイン端子Td2は、FET352を介して同期整流トランジスタM22のドレインに接続される。FET351,352ともに所定の電源によってゲートに所定電圧が印加される。
【0057】
これにより、先述した第1実施形態と同様に、ドレイン電圧VD1,VD2に正電圧が発生した場合でも、FET351,352のソース電圧(すなわち第1ドレイン端子Td1,第2ドレイン端子Td2に印加される電圧)は、電源による所定電圧からFETの閾値電圧だけ低下した電圧にクランプされる。従って、第1ドレイン端子Td1,第2ドレイン端子Td2の耐圧に耐えることが可能となる。
【0058】
なお、他の実施形態として、LLCコンバータに対して、先述した第2実施形態のようなFETによるクランプ構成を適用することも可能である。
【0059】
また、LLCコンバータよりフライバックコンバータのほうが、同期整流トランジスタのドレイン電圧に生じる正電圧が高くなりやすい傾向にあるので、本発明はより有効である。
【0060】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変更が可能である。