特開2019-126526(P2019-126526A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-126526(P2019-126526A)
(43)【公開日】2019年8月1日
(54)【発明の名称】特殊作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 27/00 20060101AFI20190708BHJP
【FI】
   A62C27/00 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-9669(P2018-9669)
(22)【出願日】2018年1月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】元野 等
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋
(72)【発明者】
【氏名】真 華丸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】山崎 雅義
(72)【発明者】
【氏名】荻野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】永田 隆俊
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃久
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189AA04
2E189AC06
2E189AD06
(57)【要約】
【課題】移動体相互間の連携を迅速に行え、移動体による作業を効果的に支援することができる特殊作業支援システムを提供すること。
【解決手段】移動体10A、10Bには、位置データを取得する位置データ取得手段11と、作業状態を検出する作業状態検出手段12と、検出した検出値から状態データを生成する状態データ生成手段13と、取得した位置データ、生成した状態データ、及び移動体10A、10Bを識別する識別データをサーバ20に送信するデータ送信手段14とを有し、サーバ20には、移動体10A、10Bから送信された位置データから、移動体10A、10Bがエリアの中に存在するか否かを判断する移動体判別手段21と、移動体判別手段21でエリアの中に存在すると判断された移動体10A、10Bについて、位置データ、状態データ、及び能力データを出力する出力手段22とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体は作業状態に関する状態データをサーバに送信し、前記サーバでは、所定のエリアに存在する複数の前記移動体について、前記状態データと前記移動体の能力に関する能力データとを、前記移動体の現在位置に関する位置データとともに出力することで、前記エリアでのそれぞれの前記移動体による作業を支援する特殊作業支援システムであって、
前記移動体には、
前記位置データを取得する位置データ取得手段と、
前記作業状態を検出する作業状態検出手段と、
前記作業状態検出手段で検出した検出値から前記状態データを生成する状態データ生成手段と、
前記位置データ取得手段で取得した前記位置データ、前記状態データ生成手段で生成した前記状態データ、及び前記移動体を識別する識別データを前記サーバに送信するデータ送信手段と
を有し、
前記サーバには、
前記移動体から送信された前記位置データから、前記移動体が前記エリアの中に存在するか否かを判断する移動体判別手段と、
前記移動体判別手段で前記エリアの中に存在すると判断された前記移動体について、前記位置データ、前記状態データ、及び前記能力データを出力する出力手段と
を有する
ことを特徴とする特殊作業支援システム。
【請求項2】
前記サーバには、
前記移動体について、前記識別データとともに前記能力データを記憶する移動体データベースと、
前記移動体から送信された前記識別データを用いて前記移動体データベースから、前記移動体についての前記能力データを抽出する抽出手段と
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の特殊作業支援システム。
【請求項3】
前記移動体データベースには、前記移動体が所属する消防管轄データが記憶され、
前記抽出手段では、前記移動体から送信された前記識別データから、前記移動体についての前記消防管轄データを抽出し、
前記出力手段では、前記消防管轄データを出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の特殊作業支援システム。
【請求項4】
前記移動体には、前記サーバと通信ネットワークで接続されたクライアントを備え、
前記クライアントには、
前記出力手段で出力される前記位置データ、前記状態データ、及び前記能力データを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段で受信した前記位置データ、前記状態データ、及び前記能力データを表示する表示手段と
を有し、
前記表示手段では、マップ上に、前記エリア及び前記移動体の前記現在位置を表示するとともに、前記移動体の前記能力及び前記移動体の前記作業状態を表示する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項5】
前記移動体が消防車であり、
前記作業状態検出手段がタンク内の水残量検出手段であり、
前記状態データ生成手段では、前記水残量検出手段で検出した前記検出値から放水不能と判断した場合には、前記放水不能を前記状態データとして生成し、
前記出力手段では、前記状態データとして前記放水不能を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項6】
前記移動体が消防車であり、
前記作業状態検出手段が、放水量を検出する流量検出手段であり、
前記状態データ生成手段では、複数の放水口がある場合には、全ての前記流量検出手段で検出した総放水量を前記状態データとして生成し、
前記出力手段では、前記状態データとして前記総放水量を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項7】
前記移動体が消防車であり、
前記作業状態検出手段が、吸水口、吐出口、又は中継口の開閉を検出するコック開閉検出手段であり、
前記状態データ生成手段では、前記吸水口、前記吐出口、又は前記中継口の開口数を前記状態データとして生成し、
前記出力手段では、前記状態データとして前記開口数を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項8】
前記移動体が消防車であり、
前記作業状態検出手段が、放水ポンプの回転数を検出するポンプ回転数検出手段であり、
前記状態データ生成手段では、前記放水ポンプの前記回転数を前記状態データとして生成し、
前記出力手段では、前記状態データとして前記回転数を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項9】
前記移動体が消防車であり、
前記作業状態検出手段が、放水ポンプの吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段であり、
前記状態データ生成手段では、前記吐出圧力を前記状態データとして生成し、
前記出力手段では、前記状態データとして前記吐出圧力を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項10】
前記移動体が消防車であり、
前記能力データが、最大放水量、タンク容量、又は吸水口数、吐出口数、若しくは中継口数の少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項11】
前記移動体が泡消火機能を備えた消防車であり、
前記作業状態検出手段が、泡放射モードか水放射モードかを検出するモード検出手段であり、
前記状態データ生成手段では、前記泡放射モードか前記水放射モードかを前記状態データとして生成し、
前記出力手段では、前記状態データとして前記泡放射モードか前記水放射モードかを出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項12】
前記移動体が消防車であり、
前記作業状態検出手段が、前記移動体の移動に用いる燃料の残量を検出する燃料検出手段であり、
前記状態データ生成手段では、前記燃料検出手段で検出した検出値から駆動不能と判断した場合には、前記駆動不能を状態データとして生成し、
前記出力手段では、前記状態データとして前記駆動不能を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【請求項13】
前記サーバには、
消火栓又は貯水槽の給水源位置データを記憶する給水源データベースと、
前記給水源位置データを用いて前記エリア内に位置する前記消火栓又は前記貯水槽に関する給水源データを抽出する給水源抽出手段と
を有し、
前記出力手段では、前記給水源抽出手段で抽出した前記給水源データを出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の特殊作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に消防車による消火作業を支援する特殊作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機械の状態をモニタし、モニタリングの結果をユーザに通知するための、コンピュータ及びコンピュータ間通信を利用した機械状態管理システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−208217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば火災現場に駆けつけた複数の消防車が連係して迅速に消火作業を行うためには、所定のエリアの中に存在する複数の車両について、それぞれの車両の位置、それぞれの車両の作業状態、及びそれぞれの車両の能力を把握する必要があるが、特許文献1における機械状態管理システムでは、これらの情報を把握することはできず、車両相互間の連携を迅速に行うことができない。
【0005】
そこで本発明は、移動体相互間の連携を迅速に行え、移動体による作業を効果的に支援することができる特殊作業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の特殊作業支援システムは、移動体10A、10Bは作業状態に関する状態データをサーバ20に送信し、前記サーバ20では、所定のエリアに存在する複数の前記移動体10A、10Bについて、前記状態データと前記移動体10A、10Bの能力に関する能力データとを、前記移動体10A、10Bの現在位置に関する位置データとともに出力することで、前記エリアでのそれぞれの前記移動体10A、10Bによる作業を支援する特殊作業支援システムであって、前記移動体10A、10Bには、前記位置データを取得する位置データ取得手段11と、前記作業状態を検出する作業状態検出手段12と、前記作業状態検出手段12で検出した検出値から前記状態データを生成する状態データ生成手段13と、前記位置データ取得手段11で取得した前記位置データ、前記状態データ生成手段13で生成した前記状態データ、及び前記移動体10A、10Bを識別する識別データを前記サーバ20に送信するデータ送信手段14とを有し、前記サーバ20には、前記移動体10A、10Bから送信された前記位置データから、前記移動体10A、10Bが前記エリアの中に存在するか否かを判断する移動体判別手段21と、前記移動体判別手段21で前記エリアの中に存在すると判断された前記移動体10A、10Bについて、前記位置データ、前記状態データ、及び前記能力データを出力する出力手段22とを有することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の特殊作業支援システムにおいて、前記サーバ20には、前記移動体10A、10Bについて、前記識別データとともに前記能力データを記憶する移動体データベース23と、前記移動体10A、10Bから送信された前記識別データを用いて前記移動体データベース23から、前記移動体10A、10Bについての前記能力データを抽出する抽出手段24とを有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体データベース23には、前記移動体10A、10Bが所属する消防管轄データが記憶され、前記抽出手段24では、前記移動体10A、10Bから送信された前記識別データから、前記移動体10A、10Bについての前記消防管轄データを抽出し、前記出力手段22では、前記消防管轄データを出力することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bには、前記サーバ20と通信ネットワークで接続されたクライアント15を備え、前記クライアント15には、前記出力手段22で出力される前記位置データ、前記状態データ、及び前記能力データを受信するデータ受信手段16と、前記データ受信手段16で受信した前記位置データ、前記状態データ、及び前記能力データを表示する表示手段17とを有し、前記表示手段17では、マップ上に、前記エリア及び前記移動体10A、10Bの前記現在位置を表示するとともに、前記移動体10A、10Bの前記能力及び前記移動体10A、10Bの前記作業状態を表示することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが消防車であり、前記作業状態検出手段12がタンク内の水残量検出手段12Aであり、前記状態データ生成手段13では、前記水残量検出手段12Aで検出した前記検出値から放水不能と判断した場合には、前記放水不能を前記状態データとして生成し、前記出力手段22では、前記状態データとして前記放水不能を出力することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが消防車であり、前記作業状態検出手段12が、放水量を検出する流量検出手段12Bであり、前記状態データ生成手段13では、複数の放水口がある場合には、全ての前記流量検出手段12Bで検出した総放水量を前記状態データとして生成し、前記出力手段22では、前記状態データとして前記総放水量を出力することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが消防車であり、前記作業状態検出手段12が、吸水口、吐出口、又は中継口の開閉を検出するコック開閉検出手段12Cであり、前記状態データ生成手段13では、前記吸水口、前記吐出口、又は前記中継口の開口数を前記状態データとして生成し、前記出力手段22では、前記状態データとして前記開口数を出力することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが消防車であり、前記作業状態検出手段12が、放水ポンプの回転数を検出するポンプ回転数検出手段12Dであり、前記状態データ生成手段13では、前記放水ポンプの前記回転数を前記状態データとして生成し、前記出力手段22では、前記状態データとして前記回転数を出力することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが消防車であり、前記作業状態検出手段12が、放水ポンプの吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段12Eであり、前記状態データ生成手段13では、前記吐出圧力を前記状態データとして生成し、前記出力手段22では、前記状態データとして前記吐出圧力を出力することを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが消防車であり、前記能力データが、最大放水量、タンク容量、又は吸水口数、吐出口数、若しくは中継口数の少なくともいずれかを含むことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが泡消火機能を備えた消防車であり、前記作業状態検出手段12が、泡放射モードか水放射モードかを検出するモード検出手段12Fであり、前記状態データ生成手段13では、前記泡放射モードか前記水放射モードかを前記状態データとして生成し、前記出力手段22では、前記状態データとして前記泡放射モードか前記水放射モードかを出力することを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記移動体10A、10Bが消防車であり、前記作業状態検出手段12が、前記移動体10A、10Bの移動に用いる燃料の残量を検出する燃料検出手段12Gであり、前記状態データ生成手段13では、前記燃料検出手段12Gで検出した検出値から駆動不能と判断した場合には、前記駆動不能を状態データとして生成し、前記出力手段22では、前記状態データとして前記駆動不能を出力することを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項1から請求項12のいずれかに記載の特殊作業支援システムにおいて、前記サーバ20には、消火栓又は貯水槽の給水源位置データを記憶する給水源データベース26と、前記給水源位置データを用いて前記エリア内に位置する前記消火栓又は前記貯水槽に関する給水源データを抽出する給水源抽出手段27とを有し、前記出力手段22では、前記給水源抽出手段27で抽出した前記給水源データを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の特殊作業支援システムによれば、エリアの中に存在する複数の移動体について、それぞれの移動体の位置、それぞれの移動体の作業状態、及びそれぞれの移動体の能力を把握できるので、移動体相互間の連携を迅速に行え、移動体による作業を効果的に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による特殊作業支援システムを機能実現手段で現したブロック図
図2】移動体が消防車、特にポンプ車である場合の特殊作業支援システムを機能実現手段で現したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による特殊作業支援システムは、移動体には、位置データを取得する位置データ取得手段と、作業状態を検出する作業状態検出手段と、作業状態検出手段で検出した検出値から状態データを生成する状態データ生成手段と、位置データ取得手段で取得した位置データ、状態データ生成手段で生成した状態データ、及び移動体を識別する識別データをサーバに送信するデータ送信手段とを有し、サーバには、移動体から送信された位置データから、移動体がエリアの中に存在するか否かを判断する移動体判別手段と、移動体判別手段でエリアの中に存在すると判断された移動体について、位置データ、状態データ、及び能力データを出力する出力手段とを有するものである。本実施の形態によれば、エリアの中に存在する複数の移動体について、それぞれの移動体の位置、それぞれの移動体の作業状態、及びそれぞれの移動体の能力を把握できるので、移動体相互間の連携を迅速に行え、移動体による作業を効果的に支援することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、サーバには、移動体について、識別データとともに能力データを記憶する移動体データベースと、移動体から送信された識別データを用いて移動体データベースから、移動体についての能力データを抽出する抽出手段とを有するものである。本実施の形態によれば、サーバにて移動体の能力データを管理することができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体データベースには、移動体が所属する消防管轄データが記憶され、抽出手段では、移動体から送信された識別データから、移動体についての消防管轄データを抽出し、出力手段では、消防管轄データを出力するものである。本実施の形態によれば、それぞれの移動体が所属する消防管轄を把握することで、連携を迅速に行える。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体には、サーバと通信ネットワークで接続されたクライアントを備え、クライアントには、出力手段で出力される位置データ、状態データ、及び能力データを受信するデータ受信手段と、データ受信手段で受信した位置データ、状態データ、及び能力データを表示する表示手段とを有し、表示手段では、マップ上に、エリア及び移動体の現在位置を表示するとともに、移動体の能力及び移動体の作業状態を表示するものである。本実施の形態によれば、それぞれの移動体において、他の移動体に関して位置、作業状態、及び能力を把握できるとともに、自らの位置関係も把握できることから、連携を迅速に行える。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が消防車であり、作業状態検出手段がタンク内の水残量検出手段であり、状態データ生成手段では、水残量検出手段で検出した検出値から放水不能と判断した場合には、放水不能状態を状態データとして生成し、出力手段では、状態データとして放水不能を出力するものである。本実施の形態によれば、放水不能に陥った移動体を迅速に把握できるため、放水不能に陥った移動体への中継を迅速に行えるなど、継続的な消火作業を支援できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が消防車であり、作業状態検出手段が、放水量を検出する流量検出手段であり、状態データ生成手段では、複数の放水口がある場合には、全ての流量検出手段で検出した総放水量を状態データとして生成し、出力手段では、状態データとして総放水量を出力するものである。本実施の形態によれば、総放水量によって、火災の状況を予測することができ、サポート体制の有無判断などを支援できる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が消防車であり、作業状態検出手段が、吸水口、吐出口、又は中継口の開閉を検出するコック開閉検出手段であり、状態データ生成手段では、吸水口、吐出口、又は中継口の開口数を状態データとして生成し、出力手段では、状態データとして開口数を出力するものである。本実施の形態によれば、中継の必要性などを判断でき、迅速なサポート体制を支援できる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が消防車であり、作業状態検出手段が、放水ポンプの回転数を検出するポンプ回転数検出手段であり、状態データ生成手段では、放水ポンプの回転数を状態データとして生成し、出力手段では、状態データとして回転数を出力するものである。本実施の形態によれば、ポンプ稼働状態や異常の有無を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が消防車であり、作業状態検出手段が、放水ポンプの吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段であり、状態データ生成手段では、吐出圧力を状態データとして生成し、出力手段では、状態データとして吐出圧力を出力するものである。本実施の形態によれば、ポンプ稼働状態や異常の有無を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が消防車であり、能力データが、最大放水量、タンク容量、又は吸水口数、吐出口数、若しくは中継口数の少なくともいずれかを含むものである。本実施の形態によれば、他の消防車の放水能力を把握できるため、迅速なサポート体制を支援できる。
【0019】
本発明の第11の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が泡消火機能を備えた消防車であり、作業状態検出手段が、泡放射モードか水放射モードかを検出するモード検出手段であり、状態データ生成手段では、泡放射モードか水放射モードかを状態データとして生成し、出力手段では、状態データとして泡放射モードか水放射モードかを出力するものである。本実施の形態によれば、消火状況から火災の状態を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
【0020】
本発明の第12の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、移動体が消防車であり、作業状態検出手段が、移動体の移動に用いる燃料の残量を検出する燃料検出手段であり、状態データ生成手段では、燃料検出手段で検出した検出値から駆動不能と判断した場合には、駆動不能を状態データとして生成し、出力手段では、状態データとして駆動不能を出力するものである。本実施の形態によれば、駆動不能に陥った移動体を迅速に把握できるため、駆動不能に陥った移動体のバックアップを迅速に行えるなど、継続的な消火作業を支援できる。
【0021】
本発明の第13の実施の形態は、第1から第12の実施の形態による特殊作業支援システムにおいて、サーバには、消火栓又は貯水槽の給水源位置データを記憶する給水源データベースと、給水源位置データを用いてエリア内に位置する消火栓又は貯水槽に関する給水源データを抽出する給水源抽出手段とを有し、出力手段では、給水源抽出手段で抽出した給水源データを出力するものである。本実施の形態によれば、給水源と移動体との位置から、未利用の給水源を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
【実施例】
【0022】
以下本発明の一実施例による特殊作業支援システムを説明する。
図1は、本実施例による特殊作業支援システムを機能実現手段で現したブロック図である。
それぞれの移動体10A、10Bには、位置データを取得する位置データ取得手段11と、作業状態を検出する作業状態検出手段12と、作業状態検出手段12で検出した検出値から状態データを生成する状態データ生成手段13と、位置データ取得手段11で取得した位置データ、状態データ生成手段13で生成した状態データ、及び移動体10A、10Bを識別する識別データをサーバ20に送信するデータ送信手段14とを有している。
サーバ20には、移動体10A、10Bから送信された位置データから、移動体10A、10Bがエリアの中に存在するか否かを判断する移動体判別手段21と、移動体判別手段21でエリアの中に存在すると判断された移動体10A、10Bについて、位置データ、状態データ、及び能力データを出力する出力手段22と、移動体10A、10Bについて、識別データとともに能力データを記憶する移動体データベース23と、移動体10A、10Bから送信された識別データを用いて移動体データベース23から、移動体10A、10Bについての能力データを抽出する抽出手段24と、作業現場などの位置情報から所定のエリアを決定するエリア決定手段25を有する。エリア決定手段25では、作業現場についての緯度経度情報、住所情報、又は管轄消防署区域情報を用いて、作業現場からの所定距離範囲、作業現場である住所を含む同住所区域若しくは隣接する住所区域、又は管轄消防署区域若しくは隣接する管轄消防署区域を所定のエリアとして決定する。
【0023】
移動体10A、10Bには、サーバ20と通信ネットワークで接続されたクライアント15を備えている。
クライアント15には、出力手段22で出力される位置データ、状態データ、及び能力データを受信するデータ受信手段16と、データ受信手段16で受信した位置データ、状態データ、及び能力データを表示する表示手段17とを有している。表示手段17では、マップ上に、エリア及び移動体10A、10Bの現在位置を表示するとともに、移動体10A、10Bの能力及び移動体の作業状態を表示する。なお、移動体10A、10Bの現在位置の表示においては、自らの移動体10A、10Bを、例えば点滅表示とするなど、他の移動体10A、10Bと区別できる表示とすることが好ましい。
なお、位置データ取得手段11、作業状態検出手段12、状態データ生成手段13、及びデータ送信手段14は、クライアント15に有していてもよい。また、クライアント15は、移動体とともに移動できるポータブルな装置であってもよく、消防機能を持たない指揮車としての移動体に適宜搭載でき、又は指揮者が携帯できる機器であってもよい。また、クライアント15は、移動体に搭載せずに、消防署などの司令室や監視室で用いることもできる。また、状態データ生成手段13は、サーバ20に有していてもよい。状態データ生成手段13をサーバ20に有している場合には、データ送信手段14では、作業状態検出手段12で検出する検出値をサーバ20に送信する。また、状態データ生成手段13は、クライアント15に有していてもよい。状態データ生成手段13をクライアント15に有している場合には、作業状態検出手段12で検出する検出値をサーバ20からデータ受信手段16で受信し、受信した検出値から状態データを生成する。
【0024】
本実施例によれば、エリアの中に存在する複数の移動体10A、10Bについて、それぞれの移動体10A、10Bの位置、それぞれの移動体10A、10Bの作業状態、及びそれぞれの移動体10A、10Bの能力を把握できるので、移動体10A、10B相互間の連携を迅速に行え、移動体10A、10Bによる作業を効果的に支援することができる。
また本実施例によれば、それぞれの移動体10A、10Bにおいて、他の移動体10A、10Bに関して位置、作業状態、及び能力を把握できるとともに、自らの位置関係も把握できることから、連携を迅速に行える。
なお、本実施例では、サーバ20にて移動体10A、10Bの能力データを管理するが、データ送信手段14からサーバ20に移動体10A、10Bの能力データを送信してもよい。
【0025】
移動体10A、10Bがポンプ車である場合には、移動体データベース23に記憶される能力データは、最大放水量、タンク容量、又は吸水口数、吐出口数、若しくは中継口数の少なくともいずれかを含むことが好ましい。この場合には、他のポンプ車の放水能力を把握できるため、迅速なサポート体制を支援できる。
また、移動体10A、10Bが消防車である場合には、移動体データベース23には、移動体10A、10Bが所属する消防管轄データが記憶されることが好ましい。移動体データベース23に消防管轄データが記憶されている場合には、抽出手段24では、移動体10A、10Bから送信された識別データから、移動体10A、10Bについての消防管轄データを抽出し、出力手段22では、消防管轄データを出力する。従って、それぞれの移動体10A、10Bが所属する消防管轄を把握することで、連携を迅速に行える。
また、移動体10A、10Bが消防車である場合には、サーバ20には、消火栓又は貯水槽の給水源位置データを記憶する給水源データベース26と、給水源位置データを用いてエリア内に位置する消火栓又は貯水槽に関する給水源データを抽出する給水源抽出手段27とを有することが好ましい。この場合には、出力手段22では、給水源抽出手段27で抽出した給水源データを出力する。従って、給水源と移動体との位置から、未利用の給水源を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
【0026】
このように、本実施例では、移動体10A、10Bは作業状態に関する状態データをサーバ20に送信し、サーバ20では、所定のエリアに存在する複数の移動体10A、10Bについて、状態データと移動体10A、10Bの能力に関する能力データとを、移動体10A、10Bの現在位置に関する位置データとともに出力することで、エリアでのそれぞれの移動体10A、10Bによる作業を支援することができる。
【0027】
図2は、移動体が消防車、特にポンプ車である場合の特殊作業支援システムを機能実現手段で現したブロック図である。
移動体10A、10Bがポンプ車の場合には、作業状態検出手段12は、タンク内の水残量検出手段12A、放水量を検出する流量検出手段12B、吸水口、吐出口、又は中継口の開閉を検出するコック開閉検出手段12C、放水ポンプの回転数を検出するポンプ回転数検出手段12D、放水ポンプの吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段12E、及び泡放射モードか水放射モードかを検出するモード検出手段12Fの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0028】
水残量検出手段12Aがタンク内の水残量を検出すると、状態データ生成手段13では、水残量検出手段12Aで検出した検出値から放水不能と判断した場合には、放水不能状態を状態データとして生成し、出力手段22では、状態データとして放水不能を出力する。この場合には、放水不能に陥った移動体10A、10Bを迅速に把握できるため、放水不能に陥った移動体10A、10Bへの中継を迅速に行えるなど、継続的な消火作業を支援できる。
流量検出手段12Bが放水量を検出すると、状態データ生成手段13では、複数の放水口がある場合には、全ての流量検出手段12Bで検出した総放水量を状態データとして生成し、出力手段22では、状態データとして総放水量を出力する。この場合には、総放水量によって、火災の状況を予測することができ、サポート体制の有無判断などを支援できる。
コック開閉検出手段12Cが吸水口、吐出口、又は中継口の開閉を検出すると、状態データ生成手段13では、吸水口、吐出口、又は中継口の開口数を状態データとして生成し、出力手段22では、状態データとして開口数を出力する。この場合には、中継の必要性などを判断でき、迅速なサポート体制を支援できる。
ポンプ回転数検出手段12Dが放水ポンプの回転数を検出すると、状態データ生成手段13では、放水ポンプの回転数を状態データとして生成し、出力手段22では、状態データとして回転数を出力する。この場合には、ポンプ稼働状態や異常の有無を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
吐出圧力検出手段12Eが放水ポンプの吐出圧力を検出すると、状態データ生成手段13では、吐出圧力を状態データとして生成し、出力手段22では、状態データとして吐出圧力を出力する。この場合には、ポンプ稼働状態や異常の有無を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
モード検出手段12Fが泡放射モードか水放射モードかを検出すると、状態データ生成手段13では、泡放射モードか水放射モードかを状態データとして生成し、出力手段22では、状態データとして泡放射モードか水放射モードかを出力する。この場合には、消火状況から火災の状態を予測でき、迅速なサポート体制を支援できる。
【0029】
移動体10A、10Bが消防車の場合には、作業状態検出手段12は、移動体10A、10Bの移動に用いる燃料の残量を検出する燃料検出手段12Gを含むことが好ましい。
燃料検出手段12Gが燃料の残量を検出すると、状態データ生成手段13では、燃料検出手段12Gで検出した検出値から駆動不能と判断した場合には、駆動不能を状態データとして生成し、出力手段22では、状態データとして駆動不能を出力する。この場合には、駆動不能に陥った移動体10A、10Bを迅速に把握できるため、駆動不能に陥った移動体10A、10Bのバックアップを迅速に行えるなど、継続的な消火作業を支援できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の特殊作業支援システムは、火災現場での消火作業に適しているが、その他被災地での救助作業にも適用できる。
【符号の説明】
【0031】
10A、10B 移動体
11 位置データ取得手段
12 作業状態検出手段
12A 水残量検出手段
12B 流量検出手段
12C コック開閉検出手段
12D ポンプ回転数検出手段
12E 吐出圧力検出手段
12F モード検出手段
12G 燃料検出手段
13 状態データ生成手段
14 データ送信手段
15 クライアント
16 データ受信手段
17 表示手段
20 サーバ
21 移動体判別手段
22 出力手段
23 移動体データベース
24 抽出手段
25 エリア決定手段
26 給水源データベース
27 給水源抽出手段
図1
図2