特開2019-126649(P2019-126649A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-126649(P2019-126649A)
(43)【公開日】2019年8月1日
(54)【発明の名称】筋トレ用システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0488 20060101AFI20190708BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20190708BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20190708BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20190708BHJP
【FI】
   A61B5/04 330
   A63B71/06 J
   A63B69/00 C
   A61B5/10 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-11611(P2018-11611)
(22)【出願日】2018年1月26日
(71)【出願人】
【識別番号】505164645
【氏名又は名称】株式会社 ネットワーク応用技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】518031239
【氏名又は名称】株式会社フィットプランナーズ
(71)【出願人】
【識別番号】512063276
【氏名又は名称】株式会社ロジカルプロダクト
(74)【代理人】
【識別番号】100174791
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 敬義
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 明彦
(72)【発明者】
【氏名】納戸 習之
(72)【発明者】
【氏名】辻 卓則
(72)【発明者】
【氏名】田中 常広
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA04
4C127GG11
4C127HH11
4C127JJ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運動中においても筋肉の働きを計測しつつ,運動に制限を及ぼさず,かつ,より汎用性の高い筋運動測定システムを提供する。
【解決手段】筋電位の測定が可能な無線通信センサと,無線通信センサからの測定データを受信するとともに表示を行う汎用電子通信機器とからなることを特徴とする筋運動測定システムならびにかかる汎用電子通信機器に備えられる筋運動測定システム用プログラム。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋電位の測定が可能な無線通信センサと,
無線通信センサからの測定データを受信するとともに表示を行う汎用電子通信機器と,
からなることを特徴とする筋運動測定システム
【請求項2】
無線通信センサが,測定対象の差動による体表面電位を取得する請求項1に記載の筋運動測定システム
【請求項3】
無線通信センサが,差動波形取得機能,周波数成分解析機能,周波数成分ごとの振幅値出力機能を備える請求項1又は2に記載の筋運動測定システム
【請求項4】
汎用電子通信機器において表示される測定データが,測定筋肉部位ごとのスカラー表示である請求項1から3に記載の筋運動測定システム
【請求項5】
前記スカラー表示が,棒グラフ表示である請求項4に記載の筋運動測定システム
【請求項6】
請求項1から5の筋運動測定システムの汎用電子通信機器において,無線通信センサからの測定データの表示・解析を行う筋運動測定システム用プログラム
【請求項7】
前記筋運動測定システム用プログラムが,
目的とするトレーニング種類を選択するトレーニングメニュー選択工程と,
選択されたトレーニングに応じて無線通信センサの設定方法が表示される無線通信センサ設定工程と,
無線通信センサによる測定データの処理を行う測定処理工程とを少なくとも備え,
さらに,前記測定処理工程が,
無線通信センサデータを受信するデータ受信工程と,
無線通信センサデータを保存するデータ保存工程と,
データをスカラーデータに変換するデータ変換処理工程と,
スカラーデータの表示を行うデータ表示工程と,
からなる請求項6に記載の筋運動測定システム用プログラム
【請求項8】
前記筋運動測定システム用プログラムが,さらに再生処理工程を備え,再生処理工程が,
保存データを読み込む保存データ読込工程と,
スカラーデータを表示するデータ再表示工程と,
を少なくとも含む請求項7に記載の筋運動測定システム用プログラム
【請求項9】
汎用電子通信機器において,カメラが搭載されており,その映像を表示ならびに保存しうる映像表示・保存工程をさらに含む請求項7又は8に記載の筋運動測定システム用プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,筋肉トレーニングに用いられるシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
運動能力を向上させるにあたり,適切な筋力トレーニングを行うことが重要である。すなわち,筋肉には様々な種類と役割があり,競技によってどの筋肉のトレーニングが必要であるかが,変わってくるからである。
これに加え,競技者のみならず,一般にも筋トレの重要性が高まりつつある。すなわち,介護予防やロコモティブシンドローム予防,リハビリテーション等,身体を健康に保つことや運動機能の回復を目的として筋トレが行われることが増加しつつある。
このような事情から,運動能力向上を目的とした技術が開示されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−70899号公報
【特許文献2】特開2016−032525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に記載の技術をはじめとして従来技術は,基本的な構成として,筋肉の働きを測定することを目的として体表面に電極を取り付け,有線接続で測定機器に接続することにより,筋肉内部より発生する電気信号を波形として取得するものであった。この従来技術は,対象となる筋肉の活動を,波形を通じて測定し筋肉の活動を評価しうる点において有用である。
【0005】
しかしながら従来技術は,いくつかの課題を有すると発明者らは感じていた。
一つ目として,有線にて人体と機器を接続するため,センサの動作範囲に制限があることから,運動そのものが制限されうる点である。
二つ目として,電気信号を筋電位波形として出力・表示するため,筋肉の動作状態を把握するための専門知識が必用であり,誰でもが理解することが困難な点である。
【0006】
これらに加え,筋肉には,遅筋と速筋の2種類の筋肉があり,それぞれ特性と働きが異なるとともに,運動の種類によりそれらの適合割合が異なる。しかしながら,運動中にこれらを正確に測定することは困難であった。
【0007】
従来,体幹,上肢,下肢などの動作と,筋肉の働きは密接に関係し,より正しいトレーニングを行うには,筋肉の動きを把握する必用があるが,それを簡易に観測する手段が今まで無く,トレーニングを指導する人の経験と勘に頼っていた。
加えて,一般においても筋トレが広まってきていることから,専門的知識を十分に有していなくても,筋トレを効果的に行うための簡易かつ汎用性の高い技術が求められていると発明者らは感じていた。
【0008】
上記事情を背景として,本発明では,運動中においても筋肉の働きを計測しつつ,運動に制限を及ぼさず,かつ,より汎用性の高い技術の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは,鋭意研究の結果,種々のパラメータが測定可能な無線通信センサを開発するとともに,これを用いることにより,タブレット等の汎用電子通信機器で測定データを受信・表示する測定システムに想到し,発明を完成させたものである。
また,より好ましい態様として,無線通信センサにおいて複数のセンサを組み合わせることにより,筋肉の動作順番および筋肉の動作状況を把握可能な測定システムに関する発明を完成させたものである。
さらに,最も好ましい態様として,筋電位波形の周波数成分を解析することにより,遅筋と速筋の稼動割合を判定することが可能な測定システムの発明を完成させたものである。
【0010】
本発明は,以下の構成からなる。
本発明の第一の構成は,筋電位の測定が可能な無線通信センサと,無線通信センサからの測定データを受信するとともに表示を行う汎用電子通信機器と,からなることを特徴とする筋運動測定システムである。
【0011】
本発明の第二の構成は,無線通信センサが,測定対象の差動による体表面電位を取得する第一の構成に記載の筋運動測定システムである。
本発明の第三の構成は,無線通信センサが,差動波形取得機能,周波数成分解析機能,周波数成分ごとの振幅値出力機能を備える第一又は第二の構成に記載の筋運動測定システムである。
本発明の第四の構成は,汎用電子通信機器において表示される測定データが,測定筋肉部位ごとのスカラー表示である第一から第三の構成に記載の筋運動測定システムである。
本発明の第五の構成は,前記スカラー表示が,棒グラフ表示である第四の構成に記載の筋運動測定システムである。
【0012】
本発明の第六の構成は,第一から第五の構成に記載の筋運動測定システムの汎用電子通信機器において,無線通信センサからの測定データの表示・解析を行う筋運動測定システム用プログラムである。
本発明の第七の構成は,前記筋運動測定システム用プログラムが,目的とするトレーニング種類を選択するトレーニングメニュー選択工程と,選択されたトレーニングに応じて無線通信センサの設定方法が表示される無線通信センサ設定工程と,無線通信センサによる測定データの処理を行う測定処理工程とを少なくとも備え,さらに,前記測定処理工程が,無線通信センサデータを受信するデータ受信工程と,無線通信センサデータを保存するデータ保存工程と,データをスカラーデータに変換するデータ変換処理工程と,スカラーデータの表示を行うデータ表示工程と,からなる第六の構成に記載の筋運動測定システム用プログラムである。
本発明の第八の構成は,前記筋運動測定システム用プログラムが,さらに再生処理工程を備え,再生処理工程が,保存データを読み込む保存データ読込工程と,スカラーデータを表示するデータ再表示工程と,を少なくとも含む第七の構成に記載の筋運動測定システム用プログラムである。
本発明の第九の構成は,汎用電子通信機器において,カメラが搭載されており,その映像を表示ならびに保存しうる映像表示・保存工程をさらに含む第七又は第八の構成に記載の筋運動測定システム用プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により,運動中においても筋肉の働きを計測しつつ,運動に制限を及ぼさず,かつ,より汎用性の高い技術の提供が可能となった。
また,本発明により,トレーナーが使用することで,体の内部の動作を把握することができ,より高度なトレーニング指導を行うことが可能である。
加えて,筋肉の動きに詳しく無い一般人でもトレーニングの状態を把握し,より効率的なトレーニングを行うことが可能となる。
これらより,今まで筋肉の種類について意識していなかったトレーナーや筋肉の動きに詳しく無い一般の人でもトレーニングの状態を把握し,より効率的なトレーニングを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のシステム構成図の例(システム態様1)を示した図
図2】本発明のシステム構成図の例(システム態様2)を示した図
図3】無線通信センサならびにこれを装着した様子を示した図
図4】無線通信センサの構成を示した図
図5】汎用電子通信機器の外観を示した図
図6】筋運動測定システム用プログラムの表示画面の例を示した図
図7】筋運動測定システム用プログラムのフローチャートを示した図
図8】測定処理工程のフローチャートを示した図
図9】再生処理工程のフローチャートを示した図
図10】データ変換処理工程の処理(棒グラフ化)の例を示した図
図11】データ変換処理工程の処理(速筋,遅筋の成分分析)の例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の筋運動測定システム等について説明を行う。
【0016】
<<I.発明の概要>>
本発明の筋運動測定システムは,筋電位の測定が可能な無線通信センサと,無線通信センサからの測定データを受信するとともに,表示を行う汎用電子通信機器とからなることを特徴とする。
【0017】
無線通信センサは,筋電位の測定を行うとともに,測定データを無線的に汎用電子通信機器に送信する機能を果たす。無線通信センサは,これらの機能を果たす限り特に限定する必要はなく,その他の機能ないし構成を備えても構わない。
加えて,無線通信センサは,固定ベルトにより体表面に固定されるが,運動機能に影響を及ぼさない程度の大きさないし形状で構成される。このような大きさないし形状として,例えば,図3Aに例示される直方体状の大きさのものとすればよい。
【0018】
無線通信センサは,測定対象の差動により体表面電位を取得する機能を備えることが好ましい。これにより,微弱な体表面電位についてノイズを除去した形でより正確に測定することが可能となり,本発明の性能ないし測定精度を向上させる効果を有する。
さらに,無線通信センサは,差動波形取得機能,周波数成分解析機能,周波数成分ごとの振幅値出力機能を備えることが好ましい。これにより,筋電位波形の周波数成分の解析を行うことが可能となり,遅筋と速筋の動作状況を把握することができ,本発明の性能をより向上させる効果を有する。
【0019】
汎用電子通信機器は,無線通信センサからの測定データを受信するとともに,データの表示や解析を行う機能を果たす。汎用電子通信機器は,かかる機能を果たす限り特に限定する必要はなく,通常用いられる汎用電子通信機器を用いればよく,例えば,電子タブレット,スマートフォン,ノートパソコンなどを用いることができる。
【0020】
汎用電子通信機器は,測定筋肉部位ごとに測定データをスカラー表示(強度表示)することが好ましい。これにより,専門的知識を有していなくとも,直観的に筋肉の働きを理解することができるため,本発明のトレーニング効果を向上させる効果を有する。
スカラー表示は,無線通信センサで得られる波形データを積算した値として表示するものであり,スカラー表示をなしうる限り特に限定する必要はなく種々の表示手段を用いることができる。スカラー表示の典型的な表示として棒グラフ表示が挙げられるが,その他,数値表示,バブル表示,光や色の強度による表示などが挙げられる。
【0021】
汎用電子通信機器は,カメラが搭載されていることが好ましい。これにより,後述する筋運動測定システム用プログラムにおける映像表示・保存工程を通じて,トレーニングの様子の撮像・保存が可能となり,自らの動きと筋肉の働きを確認しながら,トレーニング内容を修正等することが可能となり,本発明のトレーニング効果を向上させる効果を有する。
【0022】
汎用電子通信機器は,無線通信センサからの測定データを表示等する筋運動測定システム用プログラムを備える。かかる筋運動測定システム用プログラムは,トレーニングメニュー選択工程,無線通信センサ設定工程,測定処理工程を必須の構成として備える。
【0023】
トレーニングメニュー選択工程は,目的とするトレーニングメニューを選択する工程である。トレーニングメニュー選択工程は,トレーニング種類の選択が可能な限り特に限定する必要はなく,種々の構成を採用することができる。
トレーニングメニュー選択工程としては,例えば,図6Aに示されるように,ベンチプレス,スクワット,腹筋運動,テッドリフトなど,目的とするトレーニングメニューをクリックないしタッチにより選択できるようにすればよい。また,かかるトレーニング選択工程において初回設定を行った場合は,これを記録し,次回の選択を省略する構成とすることもできる。
【0024】
無線通信センサ設定工程は,選択されたトレーニングに応じて無線通信センサの設定を行う工程である。無線通信センサ設定工程はかかる無線通信センサの設定が可能な限り特に限定する必要はなく,種々の構成を採用することができる。
無線通信センサ設定工程としては,例えば,図6Bに示されるように,汎用電子通信機器に表示された画面に応じて,どの位置に無線通信センサを設定するかを番号表示するなどすればよい。
【0025】
測定処理工程は,無線通信センサによる測定データの処理を行う工程である。測定処理工程は,データ受信工程,データ保存工程,データ変換処理工程,これらの工程を備える。
【0026】
データ受信工程は,無線通信センサから無線的に送信されるデータを受信する工程である。データ受信工程は,送信されるデータの受信が可能である限り特に限定する必要は無く,種々の手法でデータを受信することができ,典型的には,bluetooth(登録商標)や赤外線通信などを用いることができる。また,データについては,基本的には,無線通信からのローデータを受信すればよいが,これに限定する必要は無く,解析データを受信してもよい。
【0027】
データ保存工程は,無線通信から送信されたデータを保存する工程である。データ保存工程は,かかる保存が可能である限り特に限定する必要は無く,種々の手法で保存を行うことができ,例えば,汎用電子通信機器のHDDやSSD,eMMCなどの保存領域に保存すればよい。また,ローデータの保存だけではなく,後述するスカラー変換処理されたスカラーデータの保存を行ってもよい。
【0028】
データ変換処理工程は,無線通信センサからのデータをスカラーデータへと変換する工程である。データ変換処理工程は,スカラーデータへの変換が可能である限り特に限定する必要は無く,種々の手法で行うことができる。加えて,これにおいて,後述するデータ表示工程に応じた棒グラフなどの表示フォーマットに従った変換処理を合わせて行えばよい。
【0029】
データ変換処理工程の一例を図10に示す。図10は,無線通信センサによって得られた筋電波形を棒グラフに変換処理する例である。これらの処理は,絶対値化,包絡線の取得,振幅の棒グラフ化,ディレイ処理により行われる。
絶対値化は,交流波形として取得された筋電波形について,振幅方向をそろえるために中心値を0とみなし,絶対値を取得する処理である(図10a,b)。
包絡線の取得は,筋電波形をそのまま取得すると途中に0点が発生することから,包絡線を取得する処理である(図10c,d)。
振幅の棒グラフ化は,取得した包絡線に応じて,この振幅を棒グラフとして出力する処理である(図10e,f)。
ディレイ処理は,振幅をそのまま出力すると振幅が激しく変化するため,信号の減衰量を調整して,滑らかに棒グラフが低下するように値を処理するものである。
【0030】
データ変換処理工程の別の例を図11に示す。図11は,速筋・遅筋の働きの違いを判別する処理の例である。
まず,筋電波形を基にFFT処理を行い,周波数成分に変換する(図11a,b)。続いて,周波数成分から,速筋,遅筋に関係する成分を取り出し,比較を行う(図11c,d)。これを汎用電子通信機器状に比率として表示するものである(図11e)。
【0031】
データ表示工程は,スカラーデータを表示する工程である。スカラーデータ表示工程は,スカラーデータの表示が可能である限り特に限定する必要はなく,種々の手法で表示を行うことができる。
スカラーデータ表示工程として,例えば,図6cの右に示されるように,各筋肉の働きを棒グラフとして表示するなどすればよい。
【0032】
筋運動測定システム用プログラムにおいて,再生処理工程を備えることが好ましい。これにより,運動後に,自らのトレーニング状態を確認することができ,本発明のトレーニング効果を向上させる効果を有する。
【0033】
再生処理工程は,保存データ読込工程と,データ再表示工程とを少なくとも含む。
保存データ読込工程は,データ保存工程にて保存された無線通信センサデータないしスカラーデータを読み込む工程である。加えて,後述する映像表示・保存工程において保存された,運動した様子を撮像・保存した動画データの読み込みを行うこともできる。保存データ読込工程は,これらの保存データの読み込みが可能である限り特に限定する必要はなく,種々の手法で行うことができる。
【0034】
データ再表示工程は,読み込まれた保存データの表示を行う工程である。データ再表示工程は,保存データの表示が可能である限り特に限定する必要はなく,種々の手法で行うことができる。
【0035】
汎用電子通信機器においては,カメラが搭載されており,その映像を表示ならびに保存しうる映像表示・保存工程をさらに含むことが好ましい。これにより,自らの動きと筋肉の働きを合わせて確認することができることから本発明のトレーニング効果をさらに向上させる効果を有する。
【0036】
これらの工程については汎用電子通信機器における筋運動測定システム用プログラムにて行われるものであるが,工程の一部分を無線通信センサ内で処理を行う構成とすることもできる。
<<II.実施の態様>>
本発明の筋運動測定システム等について,図面を例にとり,説明を行う。
【0037】
図1は,本発明の筋運動測定システムの典型的なシステム態様(以下,「システム態様1」)を表した図である。
トレーニング者は,無線通信センサ21ないし26を装着し,各無線通信センサからのデータを,汎用電子通信機器1において受信・表示が行われる。それぞれの無線通信センサは,左右対称に,上腕三頭筋(無線通信センサ21および22),僧帽筋(無線通信センサ24および25),大円筋(無線通信センサ23および26)にそれぞれ固定されるものである。
汎用電子通信機器1は,タブレット端末又はスマートフォンを用いており,無線通信センサからのデータを無線的に受信するものである。また,汎用電子通信機器1には,筋運動測定システム用プログラムがインストールされており,このプログラムにより,無線通信センサからのデータを解析・表示するものである。
【0038】
図2は,本発明の筋運動測定システムの別のシステム態様(以下,「システム態様2」)を表した図である。
システム態様2では,システム態様1が複数あり,システム態様1において収集・保存されたデータが,クラウド内に保存されるとともに,別途,管理コンピュータ3により,これを確認できるようになっている。これにより,複数者もしくは複数場所で行われたトレーニング内容について,管理コンピュータ3のデータを専門家が確認することで,異なる場所にいる各トレーニング者にアドバイスを行うことが可能となり,本発明のトレーニング効果や効率性をさらに向上させる効果を有するものである。
システム態様2において当然のことながら,管理コンピュータないし管理者(専門家)は,一つに限定するものではなく,これを複数備える構成とすることもできる。
【0039】
無線通信センサ21ないし26は,図3Aに示されるように,直方体状の形状を有する装置器具である。これを図3Bのように固定バンドにより,固定して用いるものである。
また,無線通信センサ21ないし26は,図4に示されるような構成を有しており,それぞれ体表面電位を測定するための電極部,電極間の差を測定し増幅する差動アンプ部,デジタル変換処理を行うA/Dコンバーター部,FFT処理を行うCPU部,データの送受信を行う無線モジュール並びにアンテナ部を有するものである。
【0040】
汎用電子通信機器は,図5に示されるように,タブレット端末を用いるものであり,これに筋運動測定システム用プログラムがインストールされており,画面上に表示されるものである。
【0041】
筋運動測定システム用プログラムは,図6のような各表示画面を有するものである。
図6Aはトレーニングメニュー選択画面,図6Bはセンサ初期設定画面(無線通信センサ設定に相当),図6Cは棒グラフ表示画面(スカラーデータ表示に相当)である。
【0042】
図6Aより,ベンチプレス,スクワット,腹筋運動,デッドリフト,これらのメニューが表示されており,いずれかをタップすることにより,目的とするトレーニングメニューを選択することができる。
【0043】
図6Bより,どの位置に無線通信センサを設定するのかが表示され,これに従い,無線通信センサを固定ベルトなどにより,装着する。
また,画面上の「開始」ボタンをタップすることにより,データ測定や表示などが開始され,「停止」をタップすることにより,これら測定などが停止する。加えて,「保存」をタップすることにより,メモリに一次保存されていた一連のデータを保存することができ,「最新再生」をタップすることにより一次保存されていたデータの再生が,「参照再生」をタップすることにより過去に測定・保存されたデータの再生が行われる。
なお,各筋肉部位ごとに番号が付されているが,これについては,目的とするトレーニングを行う場合,この番号の順に筋肉が動く(棒グラフが表示され,スカラーとして順次推移していく)ことが理想として番号を付しているものである。
【0044】
図6Cより,運動している様子の映像,および各筋肉の動きのスカラー値(棒グラフ表示),これらが画面上に表示されている。
この場合,各筋肉ごとの運動強度が棒グラフの長さとして表示されるものであるが,ここでは大臀筋や大腿二頭筋などに装着された無線通信センサからのデータのみが棒グラフとして表示されている。
このように,筋肉ごとの動きが,動作タイミングに応じて棒グラフ表示されるため,どの筋肉がどの順番でどの程度の働きをしているかを,直観的に把握することが容易となる。また,測定された画像やデータは,同時に保存されていることから,これをその場で,もしくは遠隔地にいる専門家に見てもらうことにより,より適切な筋肉トレーニングを行うためのアドバイスを得ることができる。
なお,図6における画面上には,6つのチャネルによる測定が行われおり,7つ目のチャネルについては使用していない状態となっているが,必要に応じ,チャネル数の増減を行ってもよい。
【0045】
筋運動測定システム用プログラムは,図7ないし図9のフローに従い実行されるものである。
筋運動測定システム用プログラムを開始すると,トレーニングメニュー選択画面(S1,図6A)が表示される。トレーニング者は,この画面から目的とするトレーニングメニューの選択を行う。
続いてセンサ初期設定画面が表示される(S2,図6B)。この画面を見ながら,どの位置に無線通信センサを付けるかを確認し,固定ベルトにより無線通信センサの装着を行う。
さらに,新規でデータの取得を行うか,もしくは保存データの再生を行うかを選択し(S3),新規の場合は測定処理(S4),保存データの再生を行う場合は保存データ再生処理(S5)を行う。これら一連の処理を終了する場合は,終了を選択する(S6)。
【0046】
測定処理においては,無線通信センサから送信されるデータを汎用電子通信機器で受信(S41),保存を行う(S42)。また,データは,棒グラフデータ変換処理が行われ(S43),棒グラフとして表示される(S44)。運動を継続する場合はデータ取得を繰り返し,継続しない場合は終了する(S45)。
【0047】
再生処理においては,保存データの読み込みを行い(S51),棒グラフデータへの変換処理(S52),棒グラフ表示を行う(S53)。再生を継続する場合はこれら一連の処理を繰り返し,継続しない場合は終了する(S54)。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11