【解決手段】同じ外径をそれぞれ有する第1の直管と第2の直管との間を屈曲した形状で接続するエルボ継手を収容する空間を形成する被覆部材は、第1の直管の外径より大きな内径を有する第1の円筒を構成する複数の内側部材と、第1の円筒の外径より大きな内径を有する第2の円筒を構成する複数の外側部材とを備える。第1の円筒の内側面には、第1の直管、第2の直管、およびエルボ継手を収容するための空間が形成され、第1の円筒の外側面は、第2の円筒によって覆われ、第1の円筒における各内側部材同士の隣接面と、第2の円筒における各外側部材同士の隣接面と、第1の円筒と第2の円筒との隣接面と、はそれぞれ接着され、エルボ継手の軸線
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.第1実施形態
図1は、第1実施形態における被覆部材1の斜視図である。
図2は、被覆部材1の第1被覆部材11の上面図である。
図3は、被覆部材1の第1被覆部材11の下面図である。
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸は、被覆部材1の幅方向に対応し、Y軸は、被覆部材1の奥行き方向に対応し、Z軸は、被覆部材1の高さ方向に対応している。
図1〜
図3のXYZ軸はそれぞれ対応している。
図1〜3では、説明のために、第1の円筒120にドットハッチングを付している。また、
図2では、図示の便宜上、外側に位置する各外側部材111〜116aと、内側に位置する各外側部材111〜116bとの各隣接面と、エルボ継手50の中心を通る軸(軸線O)との位置をずらして記載している。しかし、これらの各隣接面は軸線Oに沿って配置されてよい。
【0018】
被覆部材1は、建築物やプラントなどに設置される各種の配管を被覆して、配管を外部から断熱するための部材である。本実施形態では、被覆対象として、第1の直管60と、第2の直管70と、これらの間を屈曲した形状で接続するエルボ継手50と、を例示する(
図2、
図3:破線)。エルボ継手50、第1の直管60、第2の直管70は、それぞれ同じ外径L1を有している。外径L1は任意に決定できる。エルボ継手50の曲がり角度は、直角(90°)を例示するが、直角より小さくてもよいし、直角より大きくてもよい。以降、エルボ継手50の中心を通る軸を「軸線O」と呼ぶ(
図2、
図3:一点鎖線)。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の被覆部材1は、第1被覆部材11(
図1:上段)と、第2被覆部材12(
図1:下段)とを有している。第1被覆部材11及び第2被覆部材12は、エルボ継手50を収容する空間SPを形成する「一対の部材群」である。第1被覆部材11及び第2被覆部材12は、エルボ継手50の軸線Oに対称な形状である。被覆部材1を用いてエルボ継手50を被覆する際は、エルボ継手50の両側(
図1:上側及び下側)から、第1被覆部材11と第2被覆部材12とをそれぞれ嵌め込む。エルボ継手50の上側半分は第1被覆部材11の空間SPに収容され、エルボ継手50の下側半分は第2被覆部材12の空間SPに収容される。この状態で、第1被覆部材11と第2被覆部材12との接触面を接着するか、第1被覆部材11と第2被覆部材12とをワイヤー等で外側から固定することで、エルボ継手50に対して被覆部材1を簡単に取り付けることができる。
【0020】
上述の通り、第1被覆部材11と第2被覆部材12とは、エルボ継手50の軸線Oに対称な形状であり、第2被覆部材12は第1被覆部材11と同じ構成を有するため、以降では第1被覆部材11の構成のみ説明する。
【0021】
第1被覆部材11は、第1の円筒120と、第2の円筒110とを備えている。
図1に示すように、第1の円筒120の内側面120iには、第1の直管60、第2の直管70、エルボ継手50を収容するための空間SPが形成されている。また、第1の円筒120の外側面120oは、第2の円筒110によって覆われている。第1の円筒120と第2の円筒110との隣接面(すなわち、第1の円筒120の外側面120oと、第2の円筒110の内側面110i)とは、接着剤等によって接着されている。
【0022】
図3に示すように、第1の円筒120は、第1の直管60やエルボ継手50の外径L1よりも大きな内径D120を有している。第1の円筒120の内径D120は、換言すれば、エルボ継手50を収容するための空間SPの内径である。第1の円筒120は、複数の内側部材121〜126によって形成されている。後述の通り、本実施形態の内側部材121〜126は、パーライトから主に成るが、ポリウレタンフォームから主に成ってもよいし、ケイ酸カルシウムから主に成ってもよい。
【0023】
図4は、第1の円筒120の素材である円筒80を示す図である。
図4では、正面及び側面から見た円筒80を図示し、円筒80から切り出される各部材にハッチングを付している。円筒80は、円筒80の中心を貫通する貫通孔THを有し、上下に等分された2つの半円筒801,802により構成されている。貫通孔THの径は、第1の円筒120の内径D120と同じである。円筒80は、パーライト(真珠岩粉末)を主材料に繊維バインダを混合して加圧成形した後に加熱によって膨張させた成型品である。そのため、円筒80は、パーライトから主に成る。なお、円筒80は、ポリウレタンフォームから主に成ってもよいし、ケイ酸カルシウムから主に成ってもよい。
【0024】
図4に示すように、第1の円筒120の内側部材121〜126は、円筒80のうち、半円筒801から各部材を切り出すことによって形成される。具体的には、内側部材121,122は、互いに線対称な台形形状であり、一方の脚が直角で、脚が成す角度がA/2°の部材として切り出される。内側部材123〜126は、同一形状の等脚台形形状であり、脚が成す角度がA°の部材として切り出される。本実施形態では、A=18°である場合を例示するが、Aは任意に決定できる。具体的には、エルボ継手50の曲り角度をX、内側部材の数をn(
図4の場合n=6)としたとき、A=X/(n−1)°として求めることができる。なお、半円筒802からは、第2被覆部材12の第1の円筒120の内側部材121〜126が形成される。被覆部材1の製造において、本工程は「複数の内側部材を形成する工程」に相当する。
【0025】
円筒80から切り出された内側部材121〜126は、
図1及び
図3に示すように組み合わせられ、内側部材同士の隣接面が、予め接着剤等によって接着される。具体的には、例えば、内側部材121の側面s2と、内側部材123の側面s1とが隣接するように配置されて接着される(
図3)。同様に、内側部材123の側面s2と内側部材124の側面s1とが隣接するように配置されて接着される。内側部材122,125,126についても同様である。このようにして形成された第1の円筒120の内側面120iには、円筒80の貫通孔THに起因した空間SPが形成される。被覆部材1の製造において、本工程は「第1の円筒を形成する工程」に相当する。
【0026】
図3に示すように、第2の円筒110は、第1の円筒120の外径よりも大きな内径D110を有している。第2の円筒110は、複数の外側部材111〜116によって形成されている。外側部材111は、第1被覆部材11の外側に位置する外側部材111aと、第1被覆部材11の内側に位置する外側部材111bとから形成されている。外側部材112〜116についても同様に、外側に位置する外側部材112a〜116aと、内側に位置する外側部材112b〜116bとから形成されている。本実施形態の外側部材111a,b〜116a,bは、内側部材121〜126と同様に、パーライトから主に成るが、ポリウレタンフォームから主に成ってもよいし、ケイ酸カルシウムから主に成ってもよい。
【0027】
図5は、第2の円筒110の素材である円筒90を示す図である。
図5では、正面及び側面から見た円筒90を図示し、円筒90から切り出される各部材にハッチングを付している。円筒90は、円筒90の中心を貫通する貫通孔THを有し、上下及び左右に4等分された1/4円筒901〜904により構成されている。貫通孔THの径は、第2の円筒110の内径D110と同じである。円筒90は、円筒80と同様に、パーライトから主に成ってもよく、ポリウレタンフォームから主に成ってもよく、ケイ酸カルシウムから主に成ってもよい。
【0028】
図5に示すように、第2の円筒110の外側部材111a,112a,113a,114b,115a,116bは、円筒90のうち、1/4円筒903から各部材を切り出すことによって形成される。同様に、外側部材111b,112b,113b,114a,115b,116aは、円筒90のうち、1/4円筒901から各部材を切り出すことによって形成される。具体的には、外側部材111a,b及び外側部材112a,bは、互いに線対称な台形形状であり、一方の脚が直角で、脚が成す角度がA/2°の部材として切り出される。外側部材113a,b〜116a,bは、同一形状の等脚台形形状であり、脚が成す角度がA°の部材として切り出される。
図5の例では、第1の円筒120と同様に、A=18°であるが、エルボ継手50の曲り角度をX、外側部材の数をn(
図5の場合n=6)としたとき、A=X/(n−1)°として求めることができる。なお、1/4円筒802及び804からは、第2被覆部材12の第2の円筒110の外側部材111〜116が形成される。被覆部材1の製造において、本工程は「複数の外側部材を形成する工程」に相当する。
【0029】
円筒90から切り出された外側部材111a,b〜116a,bは、
図1〜
図3に示すように、形成された第1の円筒120の内側部材121〜126に対してそれぞれ裁置され、内側部材と外側部材の隣接面と、外側部材同士の隣接面とが、予め接着剤等によって接着される。具体的には、例えば、内側部材121の上に外側部材111a及び111bが裁置され、内側部材121の外側面120oと、外側部材111aの内側面110i及び外側部材111bの内側面110iとが接着される(
図1〜
図3)。同様に、外側部材111aと外側部材111bの隣接面についても接着される。
【0030】
また、内側部材123の上に外側部材113a及び113bが裁置され、内側部材123の外側面120oと、外側部材113aの内側面110i及び外側部材113bの内側面110iとが接着される。同様に、外側部材113aと外側部材113bの隣接面、及び、外側部材113a,bと外側部材111a,bとの隣接面(外側部材113の側面s1と外側部材111の側面s2:
図2)についても接着される。外側部材112,114〜116についても同様である。このようにして形成された第2の円筒110は、第1の円筒120の外側面120oを覆い、かつ、第1の円筒120と一体化された構成となる。被覆部材1の製造において、本工程は「第2の円筒を形成する工程」に相当する。
【0031】
このようにして形成された被覆部材1において、両側面s1,s2を同種の他の部材と隣接させて配置される部材は、全て同一形状である。具体的には、第2の円筒110の両端に位置しない外側部材113a〜116aは全て同一形状であり、第2の円筒110の両端に位置しない外側部材113b〜116bは全て同一形状であり、第1の円筒120の両端に位置しない内側部材123〜126は全て同一形状である。このため、各外側部材及び各内側部材を容易に形成することができると共に、被覆部材1の美観を向上させることができる。
【0032】
本実施形態の被覆部材1の使用方法は上述の通りである。すなわち、第1の直管60、第2の直管70、及びエルボ継手50の両側から、第1被覆部材11と第2被覆部材12とをそれぞれ嵌め込み、第1被覆部材11と第2被覆部材12との接触面を接着するか、第1被覆部材11と第2被覆部材12とをワイヤー等で外側から固定することで、第1の直管60、第2の直管70、及びエルボ継手50に対して被覆部材1を取り付ける。また、被覆部材1の両端面(具体的には、外側部材112及び内側部材122の側面s2、外側部材111及び内側部材121の側面s1:
図3)には、第1の直管60を被覆する他の被覆部材(図示省略)と、第2の直管70を被覆する他の被覆部材(図示省略)とが接続される。被覆部材1と他の被覆部材との接続は、接着剤等を用いてもよく、ワイヤー等を用いてもよい。
【0033】
<効果例>
以上説明した構成によれば、被覆部材1では、第1の円筒120における各内側部材121〜126同士の隣接面と、第2の円筒110における各外側部材111a,b〜116a,b同士の隣接面と、第1の円筒120と第2の円筒110との隣接面(外側面120oと内側面110i)と、がそれぞれ接着されている。このため、隣接面に隙間を有していた従来の構成と比較して、隙間から熱が漏れることを抑制し、断熱効果を向上できる。また、この構成によれば、被覆部材1は、第1および第2の直管60,70とエルボ継手50を収容する第1の円筒120と、第1の円筒120を覆う第2の円筒110と、の2層により構成されている。このため、単一の円筒からなる従来の構成と比較して、断熱効果をより向上できる。
【0034】
また、この構成によれば、被覆部材1は、複数の内側部材121〜126および外側部材111a,b〜116a,bの各隣接面が接着されて、エルボ継手50の軸線Oに対称な一対の部材群(第1被覆部材11、第2被覆部材12)を構成している。このため、例えば、作業現場で内側部材121〜126及び外側部材111a,b〜116a,bを逐一組み合わせて固定する場合と比較して、本構成の被覆部材1では、第1被覆部材11と第2被覆部材12とを組み合わせて固定するのみでよく、建築物やプラントなどに設置される各種の配管に対して、被覆部材1を取り付ける際の作業が簡単であると共に、作業時間を短縮することができる。これらの結果、エルボ継手50を断熱するための被覆部材1において、取り付け作業に要する作業時間を短縮しつつ、断熱効果を向上させることができる。
【0035】
さらに、この構成によれば、被覆部材1は、第1の円筒120における内側部材121〜126の各隣接面と、第2の円筒110における外側部材111〜116の各隣接面とは、XY平面において同じ位置となり(
図3)、エルボ継手50の軸線Oから同心円上に位置していると言える。このため、第1の円筒120の外側面120oと、それを覆う第2の円筒110の内側面110iとの間の隙間が大きくなることを抑制でき、第1の円筒120と第2の円筒110の隣接面をぴったりと接着できる。
【0036】
さらに、上述した被覆部材1の製造によれば、被覆部材1(第1被覆部材11、第2被覆部材12)は、第1の円筒120を形成する工程の後、形成された第1の円筒120に各外側部材111a,b〜116a,bを組み合わせることで(すなわち、形成された第1の円筒120を型として)、第1の円筒120を覆う第2の円筒110が形成される。このように第1の円筒120を型として第2の円筒110を形成すれば、第1の円筒120を構成する各内側部材121〜126と、第2の円筒110を構成する各外側部材111a,b〜116a,bとの位置を合わせることができる。この結果、第1の円筒120の外側面120oと、第2の円筒110の内側面110iとの間の隙間が大きくなることを抑制でき、第1の円筒120と第2の円筒110の隣接面を、よりぴったりと接着できる。
【0037】
さらに、被覆部材1を構成する各内側部材及び各外側部材は、パーライトから主に成るため、被覆部材1を容易に構成できる。
【0038】
B.第2実施形態
図6は、第2実施形態の第1被覆部材11Aの斜視図である。
図7は、第2実施形態の第1被覆部材11Aの上面図である。
図8は、第2実施形態の第1被覆部材11Aの下面図である。
図6〜8においても、
図1〜3と同じ互いに対応するXYZ軸を図示すると共に、
図6では第2被覆部材12Aの図示を省略している。第2実施形態の被覆部材1A(第1被覆部材11A、第2被覆部材12A)は、第1実施形態の被覆部材1(第1被覆部材11、第2被覆部材12)と比較して、各内側部材及び各外側部材の形状が異なる。以下、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明する。
【0039】
第2実施形態の被覆部材1Aは、被覆対象として、第1の直管60Aと、第2の直管70Aと、エルボ継手50Aとを例示する(
図7、
図8:破線)。エルボ継手50A、第1の直管60A、第2の直管70Aは、それぞれ、第1実施形態とは異なる外径L2を有している。外径L2は任意に決定できる。
【0040】
第2実施形態の第1被覆部材11Aは、第1実施形態の第1の円筒120に代えて第1の円筒140を備え、第1実施形態の第2の円筒110に代えて第2の円筒130を備えている。
図6に示すように、第1の円筒140の内側面140iには、エルボ継手50A等を収容するための空間SPが形成されている。また、第1の円筒140の外側面140oは、第2の円筒130によって覆われ、第1の円筒140と第2の円筒130との隣接面は接着剤等によって接着されている。
【0041】
図8に示すように、第1の円筒140は、エルボ継手50Aの外径L2よりも大きな内径D140を有している。第1の円筒140は、複数の内側部材141〜145によって形成されている。内側部材141〜145は、パーライトから主に成るが、ポリウレタンフォームから主に成ってもよいし、ケイ酸カルシウムから主に成ってもよい。
【0042】
図9は、第1の円筒140の素材である円筒80Aを示す図である。円筒80Aは、貫通孔THの径が第1の円筒140の内径D140と同じである。
図9に示すように、第1の円筒140の内側部材141〜145は、円筒80Aのうち、半円筒801Aから各部材を切り出すことによって形成される。具体的には、内側部材141,142は、互いに線対称な五角形形状であり、内側部材141,142の一部を構成する直角三角形RTの頂角の角度がB/2°の部材として切り出される。内側部材143〜145は、同一形状の二等辺三角形形状であり、頂角の角度がB°の部材として切り出される。本実施形態では、B=22.5°である場合を例示するが、Bは任意に決定できる。具体的には、エルボ継手50Aの曲り角度をX、内側部材の数をn(
図9の場合n=5)としたとき、B=X/(n−1)°として求めることができる。
【0043】
円筒80Aから切り出された内側部材141〜145は、
図6及び
図8に示すように組み合わせられ、第1実施形態と同様に、内側部材同士の隣接面が予め接着剤等によって接着され、第1の円筒140の内側面140iには円筒80Aの貫通孔THに起因した空間SPが形成される。
【0044】
図8に示すように、第2の円筒130は、内側面140iの外径よりも大きな内径D130を有している。第2の円筒130は、複数の外側部材131〜135によって形成されている。第1実施形態と同様に、外側部材131〜135は、第1被覆部材11Aの外側に位置する外側部材131a〜135aと、第1被覆部材11Aの内側に位置する外側部材131b〜135bとから形成されている。外側部材131a,b〜135a,bは、内側部材141〜145と同様に、パーライトから主に成るが、ポリウレタンフォームから主に成ってもよいし、ケイ酸カルシウムから主に成ってもよい。
【0045】
図10は、第2の円筒130の素材である円筒90Aを示す図である。円筒90Aは、貫通孔THの径が第2の円筒130の内径D130と同じである。
図10に示すように、第2の円筒130の外側部材131a,132a,133a,134b,135aは、円筒90Aのうち、1/4円筒903Aから各部材を切り出すことによって形成される。同様に、外側部材131b,132b,133b,134a,135bは、円筒90Aのうち、1/4円筒901Aから各部材を切り出すことによって形成される。具体的には、外側部材131a,b及び外側部材132a,bは、互いに線対称な四角形形状であり、その一部を構成する直角三角形RTの頂角の角度がB/2°の部材として切り出される。外側部材133a,b〜135a,bは、同一形状の二等辺三角形形状であり、頂角の角度がB°の部材として切り出される。第1の円筒140の場合と同様に、B=22.5°であるが、エルボ継手50Aの曲り角度をX、内側部材の数をn(
図10の場合n=5)としたとき、B=X/(n−1)°として求めることができる。
【0046】
円筒90Aから切り出された外側部材131a,b〜135a,bは、
図6〜
図8に示すように、形成された第1の円筒140に対してそれぞれ裁置され、第1実施形態と同様に、内側部材と外側部材の隣接面と、外側部材同士の隣接面とが、予め接着剤等によって接着される。このようにして形成された第2の円筒130は、第1の円筒140の外側面140oを覆い、かつ、第1の円筒140と一体化された構成となる。
【0047】
このようにして形成された被覆部材1Aにおいて、第2の円筒130のうち、第1被覆部材11Aの外側部材132a,b及び第2被覆部材12Aの外側部材132a,bは、第1の円筒140を介して第1の直管60Aを収容する「第1の部材群」に相当する。また、第1被覆部材11Aの外側部材131a,b及び第2被覆部材12Aの外側部材131a,bは、第1の円筒140を介して第2の直管70Aを収容する「第2の部材群」に相当する。また、第1被覆部材11Aの外側部材133a,b〜135a,b及び第2被覆部材12Aの外側部材133a,b〜135a,bは、第1の円筒140を介してエルボ継手50Aを収容するとともに、第1の部材群(外側部材132a,b)と第2の部材群(外側部材131a,b)に隣接し、これらの間を接続する「第3の部材群」に相当する。
【0048】
図7に示すように、第3の部材群(外側部材133a,b〜135a,b)のうち、外側部材135a,bの側面s2は、第1の部材群(外側部材132a,b)に隣接する「第1の隣接面」である。また、外側部材133a,bの側面s1は、第2の部材群(外側部材131a,b)に隣接する「第2の隣接面」である。これら第1の隣接面(外側部材135a,bの側面s2)と、第2の隣接面(外側部材133a,bの側面s1)とは、稜線RLで交わっている。
図7の例では、稜線RLは、Z軸に平行である。第3の部材群に含まれる各外側部材133a,b〜135a,bは、稜線RLを頂点とする3個の三角形を構成している。なお、第3の部材群に含まれる複数の外側部材が構成する三角形の数は、3以上の自然数であればよく、本実施形態の3個に限定されない。
【0049】
第1の部材群(外側部材132a,b)と第2の部材群(外側部材131a,b)とは、外側部材132bの側面s3と外側部材131bの側面s3において、稜線RLを起点にして、稜線RLから離れる第1の方向にわたって相互に隣接している。本実施形態の例では、隣接面の角度はX軸に対して45°である。換言すれば、外側部材132の側面s2と側面s3とが成す角度と、外側部材131の側面s1と側面s3とが成す角度はそれぞれ45°である。また、空間SPのうち、エルボ継手50Aが収容される空間SP1(
図8)は、稜線RLを起点に、稜線RLから離れる第2の方向であって、上述した第1の方向とは逆側の第2の方向に形成されている。
【0050】
なお、
図8に示すように、被覆部材1Aの両端面(具体的には、外側部材132及び内側部材142の側面s2、外側部材131及び内側部材141の側面s1:
図8)のX軸方向及びY軸方向における位置と、第1の円筒140及び第2の円筒130の大きさと、を除いて、第1の円筒140と第2の円筒130とは同じ構成を有している。このため、第1の円筒140において、内側部材142は第1の部材群に対応し、内側部材141は第2の部材群に対応し、内側部材143〜145は第3の部材群に対応する。
【0051】
<効果例>
以上説明した第2実施形態の構成によれば、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2実施形態の被覆部材1Aによれば、複数の外側部材131a,b〜135a,bは、第1〜3の部材群を有し、第3の部材群(外側部材133a,b〜135a,b)は、第1の部材群(外側部材132a,b)に隣接する第1の隣接面と、第2の部材群(外側部材131a,b)に隣接する第2の隣接面と、第1の隣接面と第2の隣接面とが交わる1本の稜線RLとを有し、第1の部材群および第2の部材群は、稜線RLを起点に、稜線RLから離れる第1の方向にわたって相互に隣接すると共に、エルボ継手50Aが収容される空間SP1は、稜線RLを起点に稜線RLから離れる第2の方向であって、第1の方向とは逆側の第2の方向に形成されている。このため、第2実施形態の被覆部材1Aによれば、エルボ継手50が収容される空間SP1を覆う被覆部材1Aの厚さを十分に厚くできる。この結果、被覆部材1Aによる断熱効果をより向上できる。
【0052】
また、第2実施形態の被覆部材1Aでは、第1の円筒140と、第1の円筒140を覆う第2の円筒130とは、エルボ継手50Aの軸線O方向における長さが相違する(
図7、
図8)。具体的には、第1の円筒140は、第1の円筒140を覆う第2の円筒130よりも軸線O方向における長さが長く、内側部材141の側面s1が外側部材131の側面s1よりも−Y軸方向に突出しており、内側部材142の側面s2が外側部材132の側面s2よりも+X軸方向に突出している。このため、第2実施形態の被覆部材1Aでは、被覆部材1Aの外側部材132及び内側部材142の側面s2に接続されて第1の直管60Aを被覆する他の被覆部材(図示省略)や、被覆部材1Aの外側部材131及び内側部材141の側面s1に接続されて第2の直管70を被覆する他の被覆部材(図示省略)との接続部分において、軸線Oに対して垂直な隙間(換言すれば、Z軸方向にまっすぐ延伸する隙間)が生じることを抑制できる。この結果、断熱効果をより向上できる。
【0053】
B.第3実施形態
図11は、第3実施形態の第1被覆部材11Bの斜視図である。
図12は、第3実施形態の第1被覆部材11Bの上面図である。
図13は、第3実施形態の第1被覆部材11Bの下面図である。
図11〜13においても、
図1〜3と同じ互いに対応するXYZ軸を図示すると共に、
図11では第2被覆部材12Bの図示を省略している。第3実施形態の被覆部材1B(第1被覆部材11B、第2被覆部材12B)は、第1実施形態の被覆部材1及び第2実施形態の被覆部材1Aと比較して、各内側部材及び各外側部材の形状が異なる。以下、第1及び第2実施形態と相違する部分についてのみ説明する。
【0054】
第3実施形態の被覆部材1Bは、被覆対象として、第1の直管60Bと、第2の直管70Bと、エルボ継手50Bとを例示する(
図12、
図13:破線)。エルボ継手50B、第1の直管60B、第2の直管70Bは、それぞれ任意の外径L3を有している。
【0055】
第3実施形態の第1被覆部材11Bは、第1の円筒160と、第2の円筒150とを備えている。
図13に示すように、第1の円筒160は、以下の点を除いて第1実施形態の第1の円筒120と同様の構成を有する。
・第1の円筒160は、第1の円筒160を覆う第2の円筒150よりもエルボ継手50Bの軸線O方向における長さが長い。すなわち、第1の円筒160は、内側部材161の側面s1が外側部材151の側面s1よりも−Y軸方向に突出しており、内側部材162の側面s2が外側部材152の側面s2よりも+X軸方向に突出している。
・第1の円筒160は、内側部材の数が5個であるため、B=22.5°である。
【0056】
図12に示すように、第2の円筒150は、以下の点を除いて第2実施形態の第2の円筒130と同様の構成を有する。
・第1の部材群(外側部材152a,b)と第2の部材群(外側部材151a,b)とが第1の方向に隣接している隣接面の大きさが、第1実施形態よりも小さい。すなわち、外側部材152bの側面s3と外側部材151bの側面s3との第1の方向(+X軸方向かつ−Y軸方向)における長さが、第1実施形態よりも短い。
【0057】
以上説明した第3実施形態の構成によれば、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
D.変形例
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
上記第1〜3実施形態では、被覆部材の構成について一例を示した。しかし、被覆部材の構成は種々の変形が可能である。例えば、被覆部材は、第1の円筒と、第1の円筒を覆う第2の円筒に加えてさらに、第2の円筒を覆う1つまたは複数の円筒を備えていてもよい。上記第1〜3実施形態では、第1の円筒を構成する各内側部材は半円筒から切り出されるとし、第2の円筒を構成する各外側部材は1/4円筒から切り出されるとした。しかし、第1の円筒を構成する各内側部材1/4円筒から切り出されてもよく、第2の円筒を構成する各外側部材は半円筒から切り出されてもよい。上記第2実施形態の構成において、内側部材141,142の一部を構成する直角三角形RT(
図9)、及び、外側部材131a,b及び外側部材132a,bの一部を構成する直角三角形RT(
図10)は、別の部材として構成されてもよい。この場合、
図9及び
図10の一点鎖線の位置でさらに部材をカットすればよい。
【0060】
上記第1〜3実施形態の構成、及び上記変形例の構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態の構成において、第1の円筒と第2の円筒との軸線O方向における長さが相違していてもよい。また、第2及び第3実施形態の構成において、第1の円筒と第2の円筒との軸線O方向における長さが同じであってもよい。また、第2及び第3実施形態の構成において、第1の円筒の軸線O方向における長さは、第2の円筒よりも短くてもよい。上述した本体部の材料は、日本工業規格JIS A 9501:2014、JIS A 9510:2009、JIS A 9511:2009およびJIS A 9504:2011に規定される材料が好ましく、例えば、発泡プラスチック材料(硬質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームなど)、無機多孔質材料(パーライト、ケイ酸カルシウムなど)ならびに繊維材料(ガラス繊維、ロックウールなど)の少なくとも一つであってもよい。
【0061】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
(1)本発明の一形態によれば、同じ外径をそれぞれ有する第1の直管と第2の直管との間を屈曲した形状で接続するエルボ継手を収容する空間を形成する被覆部材が提供される。この被覆部材は、前記第1の直管の外径より大きな内径を有する第1の円筒を構成する複数の内側部材と、前記第1の円筒の外径より大きな内径を有する第2の円筒を構成する複数の外側部材と、を備え、前記第1の円筒の内側面には、前記第1の直管、前記第2の直管、および前記エルボ継手を収容するための空間が形成され、前記第1の円筒の外側面は、前記第2の円筒によって覆われ、前記第1の円筒における各前記内側部材同士の隣接面と、前記第2の円筒における各前記外側部材同士の隣接面と、前記第1の円筒と前記第2の円筒との隣接面と、はそれぞれ接着され、前記エルボ継手の軸線
この構成によれば、被覆部材は、第1の円筒における各内側部材同士の隣接面と、第2の円筒における各外側部材同士の隣接面と、第1の円筒と第2の円筒との隣接面と、がそれぞれ接着されている。このため、隣接面に隙間を有していた従来の構成と比較して、隙間から熱が漏れることを抑制し、断熱効果を向上できる。また、この構成によれば、被覆部材は、第1および第2の直管とエルボ継手を収容する第1の円筒と、第1の円筒を覆う第2の円筒の2層により構成されている。このため、単一の円筒からなる従来の構成と比較して、断熱効果をより向上できる。さらに、この構成によれば、被覆部材は、複数の内側部材および外側部材の各隣接面が接着されて、エルボ継手の軸線
に対称な一対の部材群を構成している。このため、建築物やプラントなどに設置される各種の配管に対して、被覆部材を取り付ける際の作業が簡単であると共に、作業時間を短縮することができる。これらの結果、エルボ継手を断熱するための被覆部材において、取り付け作業に要する作業時間を短縮しつつ、断熱効果を向上させることができる。