【解決手段】耐火構造は、貫通孔11aを有する区画部11と、貫通孔11aに挿通される樹脂製管体21と、樹脂製管体21の外周側に配置される耐火部材31とを備える。耐火部材31は、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材層32と、熱膨張材層32の外周側に配置される耐火断熱材層33とを備える。熱膨張材層32は、樹脂製管体21の軸方向LDに沿った両端部である第1端部32a及び第2端部32bを有する。第1端部32aは、樹脂製管体21の外周面と貫通孔11aの内周面との間に配置される。耐火断熱材層33は、熱膨張材層32の外周側を覆う外周被覆部33aと第1端部32aの端面を覆う第1端面被覆部33bとが連続した構成を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような耐火構造では、火災時に熱膨張材層の膨張が部分的に遅延することに伴って区画部の貫通孔の閉塞も遅延し、例えば、貫通孔を通じる煙を好適に抑えることができないおそれがあった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、区画部の貫通孔をより早期に閉塞することを可能にした耐火構造及び耐火部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する耐火構造は、貫通孔を有する区画部と、前記貫通孔に挿通される樹脂製管体と、前記樹脂製管体の外周側に配置される耐火部材とを備える耐火構造であって、前記耐火部材は、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材層と、前記熱膨張材層の外周側に配置される耐火断熱材層と、を備え、前記熱膨張材層は、前記樹脂製管体の軸方向に沿った両端部である第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部は、前記樹脂製管体の外周面と前記貫通孔の内周面との間に配置され、前記耐火断熱材層は、前記熱膨張材層の外周側を覆う外周被覆部と前記第1端部の端面を覆う端面被覆部とが連続した構成を有する。
【0007】
この構成によれば、火災時に第2端部側から伝わる熱は、耐火断熱材層の外周被覆部及び端面被覆部によって断熱されるため、第2端部側から伝わる熱を利用した第1端部の熱膨張を促進することができる。すなわち、第2端部の熱膨張に対する第1端部の熱膨張の遅延を抑えることができる。このように熱膨張する第1端部が、樹脂製管体の外周面と貫通孔の内周面との間に配置されているため、熱膨張材層の第1端部を貫通孔内で比較的早期に熱膨張させることが可能となる。
【0008】
上記耐火構造において、前記第2端部の端面は、前記貫通孔の開口から突出することが好ましい。
この構成によれば、火災時に熱膨張材層から生成する生成物の体積を十分に確保することが容易となる。
【0009】
上記耐火構造において、前記耐火断熱材層は、前記樹脂製管体の周方向において不連続となる両端部を有することが好ましい。
この構成によれば、熱膨張材層が熱膨張した際に、耐火断熱材層は、その両端部が離間可能であるため、拡径するように変形し易い。これにより、耐火断熱材層の外周面と区画部の貫通孔の内面との間の隙間をより狭めたり、耐火断熱材層の外周面を区画部の内面に密着させたりすることが可能となる。
【0010】
上記耐火構造において、前記耐火断熱材層は、耐火繊維を含むシート材から構成されることが好ましい。
例えば、上記のように耐火断熱材層を構成することができる。
【0011】
上記耐火構造において、前記区画部は、互いに対向して配置される第1壁部及び第2壁部と、前記第1壁部と前記第2壁部との間の中空部とを有する中空壁であり、前記耐火部材は、前記第1壁部に対応して設けられる第1耐火部材と、前記第2壁部に対応して設けられる第2耐火部材とを備え、前記第1耐火部材及び前記第2耐火部材は、それぞれ前記第2端部が前記中空壁の中空部側となるように配置されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、区画部(中空壁)で区画された両空間のうち、第2壁部側の空間が火災側の空間となった場合、第1耐火部材によって第1壁部の貫通孔を好適に閉塞することが可能となる。また、区画部(中空壁)で区画された両空間のうち、第1壁部側の空間が火災側の空間となった場合、第2耐火部材によって第2壁部の貫通孔を好適に閉塞することが可能となる。
【0013】
上記耐火構造において、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材とは独立して配置されていることが好ましい。
ここで、第1壁部側及び第2壁部側の両空間のうち、例えば、第2壁部側の空間で火災が発生した場合、火災の熱等で第2壁部が崩落するおそれがある。この点、上記耐火構造では、第1耐火部材と第2耐火部材とが独立して配置されているため、第2壁部の崩落に伴って第2耐火部材が移動したとしても、第1耐火部材については、所定の位置に留まり易くなる。また、第1壁部側の空間で火災が発生し、第1壁部が崩落した場合では、第2耐火部材が所定の位置に留まり易くなる。すなわち、第1壁部及び第2壁部の一方が崩落した場合であっても、第1耐火部材及び第2耐火部材の他方の閉塞機能を十分に発揮させることが可能となる。
【0014】
上記課題を解決する耐火部材は、区画部の有する貫通孔に挿通される樹脂製管体の外周側に配置される耐火部材であって、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材層と、前記熱膨張材層の外周側に配置される耐火断熱材層と、を備え、前記熱膨張材層は、前記樹脂製管体の軸方向に沿った両端部となる第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部は、前記樹脂製管体の外周面と前記貫通孔の内周面との間に配置され、前記耐火断熱材層は、前記熱膨張材層の外周側を覆う外周被覆部と前記第1端部の端面を覆う端面被覆部とが連続した構成を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、区画部の貫通孔をより早期に閉塞することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の耐火構造及び耐火部材の第1実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の耐火構造は、貫通孔11aを有する区画部11と、貫通孔11aに挿通される樹脂製管体21と、樹脂製管体21の外周側に配置される耐火部材31とを備えている。
【0018】
耐火構造は、建築物の一部を構成している。区画部11は、建築物を構成する壁であり、樹脂製管体21は、建築物の排水システムを構成している。区画部11の材料としては、無機材料が好適に用いられ、例えば、コンクリート、モルタル、ALC、石膏等が挙げられる。樹脂製管体21は、難燃性を有する樹脂材料(例えば、硬質の塩化ビニル樹脂)から形成される。
【0019】
耐火部材31は、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材層32と、熱膨張材層32の外周側に配置される耐火断熱材層33とを備えている。
熱膨張材層32は、樹脂製管体21の軸方向LDに沿った両端部である第1端部32a及び第2端部32bを有している。熱膨張材層32の第1端部32aは、樹脂製管体21の外周面と貫通孔11aの内周面との間に配置されている。第1端部32aの端面は、区画部11の全体の厚さを100%とし、区画部11の厚さ方向の中央を0%としたとき、±40%となる範囲に配置されていることが好ましく、±30%となる範囲に配置されていることがより好ましい。
【0020】
第2端部32bの端面は、貫通孔11aの開口から突出している。熱膨張材層32の全体形状は、火災前の状態の耐火構造において筒状であり、樹脂製管体21の外周面に沿うように配置されている。
【0021】
熱膨張材層32は、市販の材料から構成することができる。熱膨張材層32を構成する熱膨張材は、外部からの加熱により熱膨張する膨張黒鉛と、熱膨張後の膨張黒鉛の形状を安定化させる形状安定材とを含有することが好ましい。形状安定材としては、例えばホウ酸を用いることができる。膨張黒鉛に対する形状安定材の配合量は、膨張黒鉛100質量部に対して形状安定材が120質量部以下であることが好ましく、膨張黒鉛100質量部に対して形状安定材が110質量部以下であることがより好ましい。膨張黒鉛に対する形状安定材の配合量は、膨張黒鉛100質量部に対して形状安定材が70質量部以上であることが好ましい。熱膨張材には、例えば、無機充填材が含有されてもよい。膨張黒鉛及び形状安定材の合計量は、熱膨張材全体を100質量%としたとき、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0022】
熱膨張材としては、熱膨張の体積が十分に得られ易いという観点から、粉体からなる熱膨張材を用いることが好ましい。粉体の熱膨張材の場合、熱膨張材の配置を容易にするという観点から、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムを備えた耐水層で被覆されることが好ましい。耐水層は、例えば袋状に形成され、その耐水層の厚さ寸法は、樹脂製管体21の壁及び熱膨張材層32の厚さ寸法よりも小さいことが好ましく、具体的には、15μm以上、200μm以下の範囲であることが好ましい。
【0023】
熱膨張材は、所定温度以上まで外部から加熱されると、膨張黒鉛の作用により、数倍から数百倍の体積となる。熱膨張材の熱膨張により生成された生成物は、物理的な遮蔽効果とともに断熱効果を発揮する。熱膨張材(熱膨張材層32)の膨張倍率は、100倍以上であることが好ましく、200倍以上であることがより好ましい。熱膨張材の膨張倍率は、熱膨張材1gを900〜1000℃の条件で5分間加熱したときの体積変化から求められる。なお、熱膨張材の膨張倍率の上限は、例えば1000倍未満である。
【0024】
耐火断熱材層33は、熱膨張材層32の外周側を覆う外周被覆部33aと、第1端部32aの端面を覆う第1端面被覆部33bとを有している。耐火断熱材層33は、外周被覆部33aと第1端面被覆部33bとが連続した構成を有している。耐火断熱材層33の全体形状は、火災前の状態の耐火構造において筒状であり、樹脂製管体21の外周面(熱膨張材層32の外周面)に沿うように配置されている。
【0025】
本実施形態の耐火断熱材層33は、第2端部32bの端面を覆う第2端面被覆部33cをさらに有するとともに、耐火断熱材層33は、外周被覆部33aと第2端面被覆部33cとが連続した構成を有している。
【0026】
図2に示すように、耐火断熱材層33は、樹脂製管体21の周方向において不連続となる両端部(周方向端部33d,33d)を有している。
耐火部材31は、樹脂製管体21の外周に対して熱膨張材層32と耐火断熱材層33とを別々に配置してもよいし、熱膨張材層32と耐火断熱材層33とが予め積層された積層シート材として配置してもよい。本実施形態では、積層シート材を用いており、この積層シート材は、樹脂製管体21の外周に巻き付けた際に、樹脂製管体21の周方向において不連続となる両端部を有している。すなわち、耐火断熱材層33のみではなく熱膨張材層32についても、樹脂製管体21の周方向において不連続となる両端部を有している。
【0027】
耐火断熱材層33は、例えば、耐火性発泡シート材、耐火繊維を含むシート材等から構成することができる。シート材としては、耐火繊維を含むシート材を好適に用いることができる。耐火繊維としては、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、アルミナ繊維、及びカーボン繊維が挙げられる。耐火繊維を含むシート材は、例えば、織布又は不織布として構成される。耐火断熱材層33は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0028】
耐火断熱材層33の耐熱温度は、好ましくは700℃以上であり、より好ましくは800℃以上であり、さらに好ましくは900℃以上である。耐火断熱材層33の密度は、30〜250kg/m
3の範囲であることが好ましい。耐火断熱材層33の厚さは、2〜15mmの範囲であることが好ましい。
【0029】
耐火構造は、区画部11の貫通孔11aに予め挿通されている樹脂製管体21の外周に耐火部材31を配置することで形成することができる。例えば、熱膨張材層32と耐火断熱材層33とが一体となったシート状の耐火部材31を用いる場合、耐火部材31を樹脂製管体21の外周面と貫通孔11aの内周面との間に挿入しながら樹脂製管体21の外周に巻き付ければよい。このとき、耐火部材31が筒状に維持されるように耐火断熱材層33の両端部(周方向端部33d,33d)を連結する粘着テープを用いてもよい。なお、火災時には、粘着テープの粘着層が加熱(熱分解)されることで、粘着テープは耐火断熱層から脱落するため、耐火断熱材層33の両端部の離間は許容される。
【0030】
次に、耐火構造の主な作用について説明する。
図1に示すように、耐火構造は、区画部11の両側に形成されている両空間のうち、熱膨張材層32の第1端部32a側の空間を火災から保護する保護側の空間とし、熱膨張材層32の第2端部32b側の空間を火災の発生を想定した火災側の空間として設置される。
【0031】
図3及び
図4に示すように、火災時の熱により、熱膨張材層32及び樹脂製管体21が加熱されると、熱膨張材層32から生成した生成物を含む閉塞部51が形成される。この閉塞部51により区画部11の貫通孔11aが閉塞される。なお、閉塞部51は、樹脂製管体21の一部が熱分解した分解生成物を含んでいてもよい。
【0032】
ここで、火災時に
図1に示す第2端部32b側から伝わる熱は、耐火断熱材層33の外周被覆部33a及び第1端面被覆部33bによって断熱されるため、第2端部32b側から伝わる熱を利用した第1端部32aの熱膨張を促進することができる。すなわち、第2端部32bの熱膨張に対する第1端部32aの熱膨張の遅延を抑えることができる。このように熱膨張する第1端部32aが、樹脂製管体21の外周面と貫通孔11aの内周面との間に配置されているため、熱膨張材層32の第1端部32aを貫通孔11a内で比較的早期に熱膨張させることが可能となる。
【0033】
また、
図2に示す耐火断熱材層33は、樹脂製管体21の周方向において不連続となる両端部を有している。この場合、
図4に示すように、熱膨張材層32が熱膨張した際に、耐火断熱材層33は、その両端部が離間可能であるため、拡径するように変形し易い。これにより、耐火断熱材層33の外周面と区画部11の貫通孔11aの内面との間の隙間をより狭めたり、
図4に示すように耐火断熱材層33の外周面を区画部11の内面に密着させたりすることが可能となる。
【0034】
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1−1)耐火構造における耐火部材31は、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材層32と、熱膨張材層32の外周側に配置される耐火断熱材層33とを備えている。熱膨張材層32の第1端部32aは、樹脂製管体21の外周面と貫通孔11aの内周面との間に配置されている。耐火断熱材層33は、熱膨張材層32の外周側を覆う外周被覆部33aと第1端部32aの端面を覆う第1端面被覆部33bとが連続した構成を有している。
【0035】
この構成によれば、上述したように熱膨張材層32の第1端部32aを貫通孔11a内で比較的早期に熱膨張させることが可能となる。これにより、区画部11の貫通孔11aをより早期に閉塞することが可能となる。
【0036】
(1−2)熱膨張材層32における第2端部32bの端面は、貫通孔11aの開口から突出している。この場合、火災時に熱膨張材層32から生成する生成物の体積を十分に確保することが容易となる。したがって、区画部11の貫通孔11aをより好適に閉塞することができる。
【0037】
(1−3)耐火断熱材層33は、樹脂製管体21の周方向において不連続となる両端部を有している。この場合、上述したように、耐火断熱材層33の外周面と区画部11の貫通孔11aの内面との間の隙間をより狭めたり、耐火断熱材層33の外周面を区画部11の内面に密着させたりすることが可能となる。したがって、耐火断熱材層33を利用した貫通孔11aの閉塞をより好適に行うことが可能となる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、耐火構造及び耐火部材31の第2実施形態を第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0039】
図5に示すように、本実施形態の区画部11は、中空壁であり、互いに対向して配置される第1壁部12及び第2壁部13と、第1壁部12と第2壁部13との間の中空部14とを有している。本実施形態の第1壁部12及び第2壁部13は、それぞれ二枚のボード(例えば、石膏ボード)から構成されているが、第1壁部12及び第2壁部13の構成は、それぞれ独立して変更することもできる。
【0040】
耐火部材31は、第1壁部12に対応して設けられる第1耐火部材31aと、第2壁部13に対応して設けられる第2耐火部材31bとを備えている。第1耐火部材31aと第2耐火部材31bとは独立して配置されている。
【0041】
第1耐火部材31a及び第2耐火部材31bは、それぞれ熱膨張材層32の第2端部32bが中空壁の中空部14側となるように配置されている。換言すると、第1耐火部材31a及び第2耐火部材31bは、それぞれ熱膨張材層32の第1端部32aが中空部14よりも外側となるように配置されている。
【0042】
耐火構造は、区画部11の貫通孔11aに予め挿通されている樹脂製管体21の外周に第1耐火部材31a及び第2耐火部材31bを配置することで形成することができる。
第2実施形態の耐火構造では、区画部11(中空壁)で区画された両空間のうち、第2壁部13側の空間が火災側の空間となった場合、第1耐火部材31aによって第1壁部12の貫通孔11aを好適に閉塞することが可能となる。また、区画部11(中空壁)で区画された両空間のうち、第1壁部12側の空間が火災側の空間となった場合、第2耐火部材31bによって第2壁部13の貫通孔11aを好適に閉塞することが可能となる。
【0043】
第2実施形態では、第1実施形態の(1−1)〜(1−3)欄に記載した効果と同様の効果が得られる。また、第2実施形態では、さらに以下の作用及び効果が得られる。
(2−1)耐火構造は、中空壁の第1壁部12に対応して設けられる第1耐火部材31aと、中空壁の第2壁部13に対応して設けられる第2耐火部材31bとを備えている。この場合、上述した作用により、第1壁部12側及び第2壁部13側のいずれの空間で発生する火災に対しても、好適な閉塞機能を発揮させることが可能となる。
【0044】
(2−2)第1壁部12側及び第2壁部13側の両空間のうち、例えば、第2壁部13側の空間で火災が発生した場合、火災の熱等で第2壁部13が崩落するおそれがある。本実施形態の耐火構造では、第1耐火部材31aと第2耐火部材31bとが独立して配置されているため、第2壁部13の崩落に伴って第2耐火部材31bが移動したとしても、第1耐火部材31aについては、所定の位置に留まり易くなる。また、第1壁部12側の空間で火災が発生し、第1壁部12が崩落した場合では、第2耐火部材31bが所定の位置に留まり易くなる。すなわち、第1壁部12及び第2壁部13の一方が崩落した場合であっても、第1耐火部材31a及び第2耐火部材31bの他方の閉塞機能を十分に発揮させることが可能となる。したがって、中空壁を有する耐火構造として好適に用いることができる。
【0045】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・
図6に示すように、耐火構造は、樹脂製管体21の外周に配置された防音層41をさらに備えていてもよい。この場合、耐火部材31を防音層41の外周に配置すればよい。防音層41の構成は特に限定されず、例えば、吸音層と吸音層の外周側に配置された遮音層との積層構造が挙げられる。
【0047】
・
図6に示すように、耐火構造は、耐火部材31の外周に配置されたコーキング材42をさらに備えていてもよい。コーキング材42は、例えば、耐火部材31の外周面と、貫通孔11aの内周面との隙間を埋めるように樹脂製管体21の周方向に沿って配置される。コーキング材42としては、シリコーン樹脂コーキング材等の樹脂系コーキング材を用いることができる。
【0048】
・図示を省略するが、樹脂製管体21や上記防音層41と、耐火部材31とを連結する粘着テープを設けてもよい。粘着テープとしては、例えば、ブチルゴムテープを用いることができる。これにより、耐火部材31の位置ずれを長期にわたって抑えることができる。
【0049】
・
図1に示すように、第1実施形態の耐火部材31における耐火断熱材層33は、第1端面被覆部33bから保護側に向かって延在する延在部分を有している。このような延在部分については、
図7(a)に示すように省略することもできる。
【0050】
・
図7(b)に示すように、耐火部材31は、熱膨張材層32を耐火断熱材層33に保持させる保持層43をさらに備えていてもよい。
・耐火断熱層の第2端面被覆部33cを省略することもできる。
【0051】
・耐火断熱層の周方向端部33d,33dを省略することもできる。すなわち、耐火断熱層は、連続した筒状に形成されていてもよい。
・熱膨張材層32は、樹脂製管体21の周方向において連続した筒状であってもよいし、周方向において不連続となる両端部を有していてもよい。また、熱膨張材層32は、樹脂製管体21の周方向において分割された複数から構成されてもよい。このような熱膨張材層の形状や数に対応して、耐火断熱材層33の形状や数についても変更してもよい。
【0052】
・上記熱膨張材層32の第2端部32bの端面は、貫通孔11aの開口から突出しているが、第2端部32bの端面が貫通孔11a内(樹脂製管体21の外周面と貫通孔11aの内周面との間)に配置されるように熱膨張材層32の寸法を変更してもよい。
【0053】
・耐火部材31には、区画部11の貫通孔11aに対する熱膨張材層32の第1端部32aの位置を合わせるための表示部を設けてもよい。このような表示部は、区画部11の貫通孔11aに予め挿通されている樹脂製管体21の外周側に耐火部材31を配置する際に、例えば、貫通孔11aの開口端等に合わせるように設けることができる。耐火部材31を配置する作業者は、表示部を目印として耐火部材31を配置(挿入)すればよいため、耐火部材31の配置作業を効率化することができる。
【0054】
・樹脂製管体21は、排水システム以外の用途に用いられるものであってもよい。また、樹脂製管体21は、水平方向以外の方向(例えば、上下方向)に延在するように配置されるものであってもよい。