特開2019-128043(P2019-128043A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-128043(P2019-128043A)
(43)【公開日】2019年8月1日
(54)【発明の名称】真空冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 7/00 20060101AFI20190708BHJP
   F25D 1/02 20060101ALI20190708BHJP
【FI】
   F25D7/00 A
   F25D1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-7771(P2018-7771)
(22)【出願日】2018年1月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】津島 康夫
(72)【発明者】
【氏名】大下 泰史
(72)【発明者】
【氏名】狩野 泰範
(72)【発明者】
【氏名】松矢 久美
【テーマコード(参考)】
3L044
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA01
3L044CA02
3L044CA11
3L044DB01
3L044DD04
3L044FA04
3L044FA08
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】冷却槽のタイプや大きさの変更が容易であると共に、冷却槽内を減圧するための機器類のメンテナンスが容易な真空冷却装置を提供する。
【解決手段】少なくとも正面が扉2Bで開閉可能とされ被冷却物が収容される冷却槽2と、この冷却槽2内の気体を外部へ吸引排出して冷却槽2内を減圧する減圧手段とを備える。冷却槽2を含む本体ユニット63と、減圧手段を含む冷却ユニット64とを備えて構成されると共に、本体ユニット63の一側部に冷却ユニット64が配置される。冷却ユニット64の内、本体ユニット63に面した側から冷却ユニット64内をメンテナンス可能に、本体ユニット63と冷却ユニット64との間に、メンテナンス用空間Xが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正面が扉で開閉可能とされ被冷却物が収容される冷却槽と、この冷却槽内の気体を外部へ吸引排出して前記冷却槽内を減圧する減圧手段とを備えた真空冷却装置であって、
前記冷却槽を含む本体ユニットと、前記減圧手段を含む冷却ユニットとを備えて構成されると共に、前記本体ユニットの一側部に前記冷却ユニットが配置され、
前記冷却ユニットの内、前記本体ユニットに面した側から前記冷却ユニット内をメンテナンス可能に、前記本体ユニットと前記冷却ユニットとの間に、メンテナンス用空間が設けられた
ことを特徴とする真空冷却装置。
【請求項2】
前記冷却槽は、前記本体ユニットとしての冷却槽本体と、この冷却槽本体の開口部を開閉する扉とから構成され、
前記冷却槽本体の上部に、左右方向一方へ延出して扉レールが設けられ、この扉レールに前記扉が左右にスライド可能に設けられ、
正面視において、前記冷却ユニットの幅方向中央部が、前記冷却槽本体と前記扉レールの延出先端部との間に収まるように、前記本体ユニットに対し前記冷却ユニットが設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の真空冷却装置。
【請求項3】
前記本体ユニットと前記冷却ユニットとの間に、前記メンテナンス用空間として、350mm以上の隙間をあけた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空冷却装置。
【請求項4】
前記減圧手段として、蒸気凝縮用の熱交換器と、水封式の真空ポンプとを備えると共に、前記冷却ユニットには、前記真空ポンプの吐出流体を気水分離するセパレータが設けられており、
前記熱交換器への給水口が、前記冷却ユニットの上部に設けられ、
前記熱交換器からの排水口と、前記セパレータからの排気口および排水口が、前記冷却ユニットの内、前記本体ユニットに面した側面または背面の下部に設けられ、
前記本体ユニットの上部と前記冷却ユニットの上部との間に、接続管が架け渡されて、この接続管を介して、前記冷却槽と前記熱交換器とが接続される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空冷却装置。
【請求項5】
前記減圧手段として、蒸気エゼクタと、蒸気凝縮用の熱交換器と、水封式の真空ポンプとを備えると共に、前記冷却ユニットには、前記真空ポンプの吐出流体を気水分離するセパレータが設けられており、
前記蒸気エゼクタのノズルへの給蒸口と、前記熱交換器への給水口とが、前記冷却ユニットの上部に設けられ、
前記熱交換器からの排水口と、前記セパレータからの排気口および排水口が、前記冷却ユニットの内、前記本体ユニットに面した側面または背面の下部に設けられ、
前記本体ユニットの上部と前記冷却ユニットの上部との間に、前記蒸気エゼクタとそのノズルへの給蒸管が架け渡されて、前記蒸気エゼクタを介して、前記冷却槽と前記熱交換器とが接続されると共に、前記給蒸管を介して、前記ノズルと前記給蒸口とが接続される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空冷却装置。
【請求項6】
前記熱交換器の冷却水として、常温水と冷水とを切替可能とされ、
前記熱交換器を通過後の水を、排水口へ排出するか、チラーへの冷水タンクへ排出するかを切替可能とされ、
前記熱交換器への常温水の給水口と、前記チラーまたは前記冷水タンクから前記熱交換器への冷水入口と、前記熱交換器から前記冷水タンクへの冷水出口とが、前記冷却ユニットの上部に設けられる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の真空冷却装置。
【請求項7】
前記冷却ユニットは、パネルで覆われており、
前記冷却ユニットの内、少なくとも前記本体ユニットに面した側のパネルは、着脱または開閉可能に設けられる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の真空冷却装置。
【請求項8】
前記蒸気エゼクタは、前記本体ユニットから前記冷却ユニットへ行くに従って、下方へ傾斜して設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の真空冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却槽内に被冷却物を収容して、冷却槽内を減圧することで冷却する真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、冷却槽の側部に機器収容部を配置した真空冷却装置が知られている。当該文献の図面に基づき説明すると、真空冷却装置は、正面が扉(4)で開閉可能とされて被冷却物が収容される冷却槽(2)と、被冷却物の冷却を行うための機器類を内蔵した機器収容部(1)とを備え、機器収容部(1)は冷却槽(2)の側部に一体的に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−190745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、冷却槽の側面に機械室(機器収容部)が一体的に設けられているので、冷却槽のタイプや大きさ(処理量)を変更しようとすれば、冷却槽だけでなく機械室も設計し直す必要があり、設計が煩雑となる。
【0005】
また、冷却槽の側面に機械室が一体的に設けられていると、その分だけ、機械室内のメンテナンス面が制約される。つまり、機械室の左右の側面の内、冷却槽側の側面からのメンテナンスができない。その上、側面および背面が壁に近接して装置が設置される場合には、メンテナンス面は事実上、正面に限られることなる。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、冷却槽のタイプや大きさの変更が容易な真空冷却装置を提供することにある。また、冷却槽内を減圧するための機器類のメンテナンスが容易な真空冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、少なくとも正面が扉で開閉可能とされ被冷却物が収容される冷却槽と、この冷却槽内の気体を外部へ吸引排出して前記冷却槽内を減圧する減圧手段とを備えた真空冷却装置であって、前記冷却槽を含む本体ユニットと、前記減圧手段を含む冷却ユニットとを備えて構成されると共に、前記本体ユニットの一側部に前記冷却ユニットが配置され、前記冷却ユニットの内、前記本体ユニットに面した側から前記冷却ユニット内をメンテナンス可能に、前記本体ユニットと前記冷却ユニットとの間に、メンテナンス用空間が設けられたことを特徴とする真空冷却装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、本体ユニットと冷却ユニットとに分けて構成することで、冷却槽のタイプや大きさの変更を容易に行える。また、本体ユニットと冷却ユニットとの間に設けられたメンテナンス用空間から、冷却ユニット内のメンテナンスを容易に行える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記冷却槽は、前記本体ユニットとしての冷却槽本体と、この冷却槽本体の開口部を開閉する扉とから構成され、前記冷却槽本体の上部に、左右方向一方へ延出して扉レールが設けられ、この扉レールに前記扉が左右にスライド可能に設けられ、正面視において、前記冷却ユニットの幅方向中央部が、前記冷却槽本体と前記扉レールの延出先端部との間に収まるように、前記本体ユニットに対し前記冷却ユニットが設けられることを特徴とする請求項1に記載の真空冷却装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、冷却ユニットの幅方向中央部が、冷却槽本体と扉レールの延出先端部との間に収まるように、本体ユニットに対し冷却ユニットが設けられる。本体ユニットと冷却ユニットとを所定範囲内に配置することで、装置全体として省スペースに設置することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記本体ユニットと前記冷却ユニットとの間に、前記メンテナンス用空間として、350mm以上の隙間をあけたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空冷却装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、本体ユニットと冷却ユニットとの間に350mm以上の隙間をあけることで、両ユニット間の隙間から、冷却ユニットのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記減圧手段として、蒸気凝縮用の熱交換器と、水封式の真空ポンプとを備えると共に、前記冷却ユニットには、前記真空ポンプの吐出流体を気水分離するセパレータが設けられており、前記熱交換器への給水口が、前記冷却ユニットの上部に設けられ、前記熱交換器からの排水口と、前記セパレータからの排気口および排水口が、前記冷却ユニットの内、前記本体ユニットに面した側面または背面の下部に設けられ、前記本体ユニットの上部と前記冷却ユニットの上部との間に、接続管が架け渡されて、この接続管を介して、前記冷却槽と前記熱交換器とが接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空冷却装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、熱交換器、真空ポンプおよびセパレータを備えた真空冷却装置において、冷却ユニットには、上部に、給水口が設けられる一方、本体ユニット側の側面または背面の下部に、排気口および排水口が設けられる。これにより、配管が容易であると共に、メンテナンスも容易となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記減圧手段として、蒸気エゼクタと、蒸気凝縮用の熱交換器と、水封式の真空ポンプとを備えると共に、前記冷却ユニットには、前記真空ポンプの吐出流体を気水分離するセパレータが設けられており、前記蒸気エゼクタのノズルへの給蒸口と、前記熱交換器への給水口とが、前記冷却ユニットの上部に設けられ、前記熱交換器からの排水口と、前記セパレータからの排気口および排水口が、前記冷却ユニットの内、前記本体ユニットに面した側面または背面の下部に設けられ、前記本体ユニットの上部と前記冷却ユニットの上部との間に、前記蒸気エゼクタとそのノズルへの給蒸管が架け渡されて、前記蒸気エゼクタを介して、前記冷却槽と前記熱交換器とが接続されると共に、前記給蒸管を介して、前記ノズルと前記給蒸口とが接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空冷却装置である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、蒸気エゼクタ、熱交換器、真空ポンプおよびセパレータを備えた真空冷却装置において、冷却ユニットには、上部に、給蒸口および給水口が設けられる一方、本体ユニット側の側面または背面の下部に、排気口および排水口が設けられる。これにより、配管が容易であると共に、メンテナンスも容易となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記熱交換器の冷却水として、常温水と冷水とを切替可能とされ、前記熱交換器を通過後の水を、排水口へ排出するか、チラーへの冷水タンクへ排出するかを切替可能とされ、前記熱交換器への常温水の給水口と、前記チラーまたは前記冷水タンクから前記熱交換器への冷水入口と、前記熱交換器から前記冷水タンクへの冷水出口とが、前記冷却ユニットの上部に設けられることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の真空冷却装置である。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、熱交換器の冷却水として、常温水と冷水とを切替可能な真空冷却装置において、冷却ユニットには、上部に、給水口、冷水入口および冷水出口が設けられる。これにより、配管が容易であると共に、メンテナンスも容易となる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、前記冷却ユニットは、パネルで覆われており、前記冷却ユニットの内、少なくとも前記本体ユニットに面した側のパネルは、着脱または開閉可能に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の真空冷却装置である。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、冷却ユニットの内、少なくとも本体ユニットに面した側のパネルは、着脱または開閉可能に設けられるので、このパネルを取るか開けることで、冷却ユニット内のメンテナンスを容易に図ることができる。
【0021】
さらに、請求項8に記載の発明は、前記蒸気エゼクタは、前記本体ユニットから前記冷却ユニットへ行くに従って、下方へ傾斜して設けられることを特徴とする請求項5に記載の真空冷却装置である。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、蒸気エゼクタは下方へ傾斜して設けられるので、ドレンなどが溜まらない。また、蒸気エゼクタは下方へ傾斜して設けられるので、蒸気エゼクタへの給蒸管内の錆や、蒸気エゼクタ内の汚れなどが凝縮水に混じって、冷却槽内に入るのを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の真空冷却装置によれば、冷却槽のタイプや大きさの変更が容易となる。また、冷却槽内を減圧するための機器類のメンテナンスも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例の真空冷却装置の概略正面図である。
図2図1の真空冷却装置の概略平面図である。
図3図2のIII−III断面図である。
図4図1の真空冷却装置の内部構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1図3は、本発明の一実施例の真空冷却装置1を示す概略図であり、図1は正面図、図2は平面図、図3はIII−III断面図である。また、図4は、本実施例の真空冷却装置1の内部構成を示す概略図である。
【0026】
以下、まずは、主として図4に基づき、真空冷却装置1の内部構成について説明した後、図1図3に基づき、真空冷却装置1の各構成のレイアウトについて説明する。
【0027】
本実施例の真空冷却装置1は、図4に示すように、被冷却物が収容される冷却槽2と、この冷却槽2内の気体を外部へ吸引排出して冷却槽2内を減圧する減圧手段3と、減圧された冷却槽2内へ外気を導入して冷却槽2内を復圧する復圧手段4と、水を貯留する冷水タンク5と、この冷水タンク5の水を冷却するチラー6と、前記各手段3,4およびチラー6などを制御する制御手段(図示省略)とを備える。なお、被冷却物は、特に問わないが、典型的には加熱調理後の食品である。
【0028】
冷却槽2は、内部空間の減圧に耐える中空容器であり、少なくとも正面が扉2Bで開閉可能とされる(図1)。本実施例では、冷却槽2は、正面および背面の双方が扉2Bで開閉可能とされる。この場合、一方の扉2Bは、冷却槽2内に被冷却物を入れるための搬入扉とされ、他方の扉2Bは、冷却槽2外に被冷却物を取り出すための搬出扉とされる。
【0029】
冷却槽2は、略矩形の中空ボックス状の冷却槽本体2Aと、この冷却槽本体2Aの開口部を開閉する略矩形の板状の扉2Bとから構成される。本実施例では、冷却槽本体2Aは前後に開口しており、各開口部が扉2Bで開閉可能とされる。この際、扉2Bは、冷却槽本体2Aに対し左右にスライドして開閉される。
【0030】
具体的には、図1および図2に示すように、冷却槽本体2Aの上部には、左右方向一方へ延出して扉レール7が設けられ、この扉レール7に、扉2Bが左右にスライド可能に吊り下げられている。冷却槽2には前後に扉2Bが設けられるが、各扉2Bの扉レール7は、同じ方向(図1では右側であるが左側としてもよい)へ延出して設けられる。扉2Bを最大限に開くと、冷却槽本体2Aの開口部を全開することができる。一方、冷却槽本体2Aの開口部と対面する位置に扉2Bを配置した状態で、所定のロック機構8により、扉2Bを冷却槽本体2Aへ押し付けて閉じることができる。扉2Bを閉じた状態で、冷却槽本体2Aと扉2Bとの隙間はパッキンで封止される。なお、扉2Bの外面には、扉2Bをスライド操作するための把手9が設けられている。
【0031】
冷却槽2には、図4に示すように、冷却槽2内の圧力を検出する圧力センサ10と、冷却槽2内に収容される被冷却物の温度を検出する品温センサ11とが設けられる。
【0032】
減圧手段3は、冷却槽2内の気体(空気や蒸気)を外部へ吸引排出して、冷却槽2内を減圧する。本実施例では、減圧手段3として、冷却槽2内からの排気路12に、蒸気エゼクタ13、蒸気凝縮用の熱交換器14、逆止弁15、および水封式の真空ポンプ16が順に設けられている。
【0033】
蒸気エゼクタ13は、吸引口13aが冷却槽2に接続されて設けられる。そして、入口13b側のノズル(図示省略)から出口13cへ向けて蒸気を噴出させることで、冷却槽2内の気体が吸引口13aを介して出口13cへ吸引排出される。
【0034】
蒸気エゼクタ13のノズルには、給蒸口17から給蒸路18を介して蒸気が供給される。給蒸口17には、蒸気供給源(ボイラ)からの配管が接続される。蒸気エゼクタ13への給蒸路18には、給蒸元弁19と給蒸弁20とが順に設けられる。給蒸路18の内、給蒸元弁19と給蒸弁20との間には、ドレン排出路21が分岐して設けられ、このドレン排出路21には、スチームトラップ22が設けられる。給蒸元弁19は、通常、開けた状態に維持され、給蒸弁20の開閉により、蒸気エゼクタ13の作動の有無が切り替えられる。給蒸路18内の蒸気の凝縮水(ドレン)は、ドレン排出路21を介して排蒸口23へ排出される。排蒸口23には、所望により、排水ピットなどへの配管が接続される。
【0035】
熱交換器14は、排気路12内の流体とその冷却水とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器である。熱交換器14により、排気路12内の蒸気を、冷却水により冷却し凝縮させることができる。詳細は後述するが、熱交換器14への冷却水として、本実施例では、常温水と冷水とを切り替えて供給することができる。
【0036】
真空ポンプ16は、水封式であり、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。詳細は後述するが、真空ポンプ16への封水として、本実施例では、常温水と冷水とを切り替えて供給することができる。
【0037】
真空ポンプ16からの吐出流体は、吐出路24を介してセパレータ25に送られ、気水分離される。セパレータ25からの排気は、ポンプ排気路26を介してポンプ排気口27へ送られ、セパレータ25からの排水は、ポンプ排水路28を介してポンプ排水口29へ送られる。ポンプ排気口27やポンプ排水口29には、所望により、排水ピットなどへの配管が接続される。
【0038】
復圧手段4は、減圧された冷却槽2内へ外気を導入して、冷却槽2内を復圧する。復圧手段4として、冷却槽2内への給気路30に、エアフィルタ31と真空解除弁32とが順に設けられている。冷却槽2内が減圧された状態で、真空解除弁32を開けると、外気がエアフィルタ31を介して冷却槽2内へ導入され、冷却槽2内を復圧することができる。真空解除弁32は、好ましくは、開度調整可能な弁(たとえば比例制御弁)から構成される。
【0039】
冷水タンク5は、チラー6への給水を貯留する。冷水タンク5には、ボールタップ33などにより補給水路34を介して適宜給水可能とされ、冷水タンク5内の水位は所望に維持される。冷水タンク5には、下部にタンク排水路35が接続される一方、上部にオーバーフロー路36が接続されている。タンク排水路35およびオーバーフロー路36は、下流側において共通管路37とされている。タンク排水路35には、タンク排水弁38が設けられているが、このタンク排水弁38は、通常、閉じた状態に維持される。
【0040】
チラー6は、冷凍機(図示省略)を備え、冷水タンク5からの水を冷却する。冷凍機は、周知のとおり、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を備え、冷媒の圧縮、凝縮、膨張および蒸発の冷凍サイクルを実行する。そして、蒸発器において、冷媒と水とを混ぜることなく熱交換して、冷水タンク5からの水を冷却する。
【0041】
チラー6には、冷水タンク5内の貯留水が、チラー給水路39を介して供給される。チラー給水路39には、循環ポンプ40と逆止弁41とが設けられている。循環ポンプ40を作動させると、冷水タンク5からの水が、チラー6(より具体的には冷凍機の蒸発器)に通される。その際、冷水タンク5からの水は、チラー6において冷却され、冷水として導出される。そして、詳細は後述するが、その冷水は、熱交換器14や真空ポンプ16へ供給可能とされる。あるいは、冷水タンク5内の貯留水をチラー6との間で循環させることで、貯留水の冷却が可能とされる。
【0042】
熱交換器14および真空ポンプ16への給水として、本実施例では、常温水と冷水とが切替可能とされる。冷水とは、チラー6により冷却された水をいい、常温水とは、そのような冷却がなされない水をいう。以下、熱交換器14や真空ポンプ16に対する給排水系統について説明する。
【0043】
給水口42からの常温水給水路43と、冷水入口44からの冷水給水路45とは、合流して共通管路46とされた後、熱交換器14への熱交入口路47と、真空ポンプ16への封水給水路48とに分岐する。常温水給水路43には、常温水給水弁49と逆止弁50とが設けられ、冷水給水路45には、後述するバイパス路51との分岐部にバイパス弁52が設けられている。また、封水給水路48には、封水弁53が設けられている。なお、冷水給水路45の内、冷水入口44からバイパス弁52までを上流側冷水給水路45a、バイパス弁52から共通管路46までを下流側冷水給水路45bということがある。
【0044】
熱交換器14からの熱交出口路54は、熱交排水口55への熱交排水路56と、冷水出口57への冷水排水路58とに分岐する。熱交排水路56には排水弁59が設けられ、冷水排水路58には冷水戻し弁60が設けられている。冷水戻し弁60よりも下流側(冷水出口57側)の冷水排水路58と、冷水給水路45とは、バイパス路51で接続される。そして、冷水給水路45とバイパス路51との接続部には、三方弁からなるバイパス弁52が設けられる。このバイパス弁52を制御することで、冷水入口44からの冷水を、下流側冷水給水路45bへ送るか、バイパス路51へ送るかを切り替えることができる。
【0045】
給水口42には、図示しないが、常温水の給水管(水道管)が接続され、冷水入口44には、チラー6からの冷水送り路61が接続され、冷水出口57には、冷水タンク5への冷水戻し路62が接続される。また、熱交排水口55には、所望により、排水ピットなどへの配管が接続される。
【0046】
このような構成であるから、バイパス弁52により上流側冷水給水路45aと下流側冷水給水路45bとの連通を遮断した状態(つまり上流側冷水給水路45aとバイパス路51とを連通させた状態)で、常温水給水弁49および封水弁53を開けることで、真空ポンプ16に常温水を供給することができる。さらに、冷水戻し弁60を閉じた状態で、排水弁59を開けることで、熱交換器14に常温水を通すことができ、熱交換器14で使用後の水は、熱交排水路56を介して熱交排水口55へ排出される。また、この間、チラー6および循環ポンプ40を作動させれば、冷水タンク5内の貯留水を、チラー給水路39、チラー6、冷水送り路61、バイパス路51および冷水戻し路62を介して冷水タンク5へ戻すことができる。これにより、冷水タンク5内の貯留水をチラー6に循環させて、所望温度まで、冷水タンク5内の貯留水の冷却を図ることができる。
【0047】
そして、バイパス弁52により上流側冷水給水路45aと下流側冷水給水路45bとを連通させると共に、常温水給水弁49を閉じることで、チラー6で所定に冷却した冷水を真空ポンプ16に供給することができる。さらに、排水弁59を閉じた状態で、冷水戻し弁60を開けることで、熱交換器14に冷水を通すことができ、熱交換器14で使用後の水は、冷水戻し路62を介して冷水タンク5へ戻される。
【0048】
制御手段は、前記各センサ10,11の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段3,4やチラー6などを制御する制御器(図示省略)である。具体的には、チラー6、真空ポンプ16、循環ポンプ40、給蒸弁20、真空解除弁32、常温水給水弁49、バイパス弁52、封水弁53、排水弁59、冷水戻し弁60の他、圧力センサ10および品温センサ11などは、制御器に接続されている。そして、制御器は、所定の手順(プログラム)に従い、冷却槽2内の被冷却物の真空冷却などを図る。
【0049】
たとえば、準備工程の後、第一冷却工程、第二冷却工程、第三冷却工程および真空解除工程を順に実行する。この際、冷却槽2内への被冷却物の収容は、典型的には準備工程後(冷却待機中)に行われる。
【0050】
準備工程では、冷水タンク5内の貯留水を、チラー6との間で循環させて冷却する。第一冷却工程では、真空解除弁32を閉じると共に、熱交換器14への通水を停止した状態で、真空ポンプ16への封水として常温水を供給しつつ、真空ポンプ16により冷却槽2内を所定まで減圧する。第二冷却工程では、熱交換器14への通水および真空ポンプ16への封水を、常温水から冷水に切り替えて、冷却槽2内を所定までさらに減圧する。第三冷却工程では、蒸気エゼクタ13も作動させて、冷却槽2内をさらに減圧する。その後、品温センサ11の検出温度が冷却設定温度になるなど、所定の終了条件を満たせば、各弁を閉じると共に、真空ポンプ16を停止して、一連の冷却処理を終了する。そして、真空解除工程では、復圧手段4を用いて、冷却槽2内を大気圧まで復圧する。
【0051】
次に、本実施例の真空冷却装置1の各構成のレイアウトについて説明する。
本実施例の真空冷却装置1は、冷却槽2を含む本体ユニット63と、減圧手段3を含む冷却ユニット64とを備える。さらに、熱交換器14および真空ポンプ16への給水として、常温水と冷水とを切替可能に構成する場合には、図4に示すように、冷水タンク5を含むタンクユニット65と、チラー6を含むチラーユニット66とを備える。
【0052】
本体ユニット63は、主要部として冷却槽2を備え、この冷却槽2には復圧手段4の他、圧力センサ10および品温センサ11が設けられる。言い換えれば、本体ユニット63としての冷却槽本体2Aには、扉2Bが開閉可能に設けられると共に、復圧手段4や各センサ10,11が設けられる。この際、好ましくは、冷却槽本体2Aの上部に、復圧手段4が設けられる。また、冷却槽本体2Aの上部には、蒸気エゼクタ13の吸引口13aが接続され、蒸気エゼクタ13を介して本体ユニット63と冷却ユニット64とが接続される。
【0053】
冷却ユニット64は、略矩形状の中空ボックス内に、減圧手段3やそれに対する給排水系統や給排蒸系統が内蔵されて構成される。つまり、冷却ユニット64は、略矩形状にパネル67で覆われている。但し、本実施例では、蒸気エゼクタ13は、本体ユニット63や冷却ユニット64の上部に露出して、両ユニット63,64を架け渡すように設けられる。
【0054】
冷却ユニット64には、制御手段も設けられる。さらに、冷却ユニット64には、運転の指示や各種設定などを行うための操作パネル68も設けられる。この操作パネル68は、典型的には、冷却ユニット64の正面(前後に扉2Bを有する両扉式の場合には所望によりさらに背面)に設けられる。そして、制御器には、操作パネル68が接続されると共に、前記各弁やポンプなども接続される。そのために、冷却ユニット64と本体ユニット63などとは、図示しない電気配線で接続される。この電気配線も、両ユニット64,63の上部を架け渡すように行うのが好ましい。
【0055】
冷却ユニット64は、本体ユニット63の一側部(図1では右側)に設けられる。図2に示すように、冷却ユニット64の前後方向奥行寸法は、本体ユニット63の前後方向奥行寸法よりも小さく、冷却ユニット64が本体ユニット63よりも前方および後方へ突出しない大きさおよび配置とされるのが好ましい。本実施例では、冷却ユニット64の前面は、本体ユニット63の前面よりも後方へ配置され、冷却ユニット64の後面は、本体ユニット63の後面よりも前方へ配置される。また、冷却ユニット64の前後方向中央部は、本体ユニット63の前後方向中央部と対応して配置される。
【0056】
本体ユニット63と冷却ユニット64とは、本実施例では、蒸気エゼクタ13を介して接続される。蒸気エゼクタ13は、図示例では、入口13b側から出口13c側へ向けて、徐々に縮径する混合部13dと、直管状の平行部13eと、徐々に拡径する拡大部13fとを備える。そして、入口13b側には、前述したとおりノズルが設けられると共に、入口13b側の吸引口13aは、冷却槽本体2Aの上部に接続される。
【0057】
蒸気エゼクタ13は、本体ユニット63と冷却ユニット64との上部において、両ユニット63,64を架け渡すように設けられる。この際、一方のユニットに蒸気エゼクタ13を設けてから、その蒸気エゼクタ13に他方のユニットの配管を接続してもよいが、本実施例では、蒸気エゼクタ13を途中で分割可能に構成しておき、分割された両部品を一体的に接続することで、両ユニット63,64が接続される。具体的には、たとえば、平行部13eと拡大部13fとの間で、フランジ13gにより着脱可能に構成しておき、平行部13eよりも基端側(入口13b側)を本体ユニット63に固定する一方、拡大部13fよりも先端側(出口13c側)を冷却ユニット64に固定しておき、両フランジ13gを接続すればよい。
【0058】
蒸気エゼクタ13は、水平に設置されてもよいが、図示例のように、本体ユニット63から冷却ユニット64へ行くに従って、下方へ傾斜して設けられるのが好ましい。蒸気エゼクタ13の先端部を下方へ傾斜して設けることで、蒸気エゼクタ13内にドレンなどが溜まらない。また、蒸気エゼクタ13の先端部を下方へ傾斜して設けることで、蒸気エゼクタ13のノズルへの給蒸管(給蒸路18やこれに接続されるボイラからの配管)内の錆や、蒸気エゼクタ13内の汚れなどが凝縮水に混じって、冷却槽2内に入るのを防止することができる。
【0059】
蒸気エゼクタ13には、ノズルへの給蒸路18が接続されるが、その給蒸路18も、本体ユニット63と冷却ユニット64との上部において、両ユニット63,64を架け渡すように設けられる。すなわち、冷却ユニット64の上部に給蒸口17が設けられ、この給蒸口17からの給蒸路18は、給蒸元弁19と給蒸弁20とを介した後、冷却ユニット64から外方(つまり本体ユニット63側)へ延出されて蒸気エゼクタ13のノズルに接続される。この接続作業を容易にするために、給蒸路18は、途中で着脱可能とされ、本体ユニット63側の配管と冷却ユニット64側の配管とを、フランジ69等で接続するようにしてもよい。
【0060】
本体ユニット63の一側部に冷却ユニット64が設けられるが、両ユニット63,64間にはメンテナンス用空間Xがあけられる。つまり、冷却ユニット64の内、本体ユニット63に面した側から冷却ユニット64内をメンテナンス可能に、本体ユニット63と冷却ユニット64との間に、メンテナンス用空間Xが設けられる。メンテナンス用空間Xの幅(本体ユニット63と冷却ユニット64との間の左右方向離隔距離)は、350mm以上、好ましくは400mm以上とされるのがよい。一方で、あまりに広くとると、装置全体の大きさが増すので、メンテナンス用空間Xの幅は、800mm以下、好ましくは500mm以下とされるのがよい。いずれの場合も、冷却槽本体2Aの開口部を全開する位置まで、扉2Bを最大限に開いても、扉2Bの端部(図1における扉2Bの右側端辺)は、冷却ユニット64の外側面(図1における冷却ユニット64の右側面)と対応した位置よりも、外側(図1における右側)へ突出しないのが好ましい。
【0061】
前述したとおり、冷却槽本体2Aの上部には、左右方向一方へ延出して扉レール7が設けられており、この扉レール7に扉2Bが左右にスライド可能に設けられる。これを前提に、正面視において、冷却ユニット64の幅方向中央部(左右方向中央部)が、冷却槽本体2Aと扉レール7の延出先端部7aとの間に収まるように、本体ユニット63に対し冷却ユニット64が設けられるのが好ましい。本体ユニット63と冷却ユニット64とを所定範囲内に配置することで、装置全体として省スペースに設置することができる。また、装置の正面視において、扉レール7の延出先端部7aが冷却ユニット64の幅方向外側(本体ユニット63と逆側の側面より外方)へ突出するのを防止することができる。つまり、真空冷却装置1の設置幅を狭くすることで、壁に対する投影面積を小さくして、装置の設置を効率よく行うことができ、また、たとえば装置を並列設置する場合でも、隣接する装置と干渉することがない。
【0062】
冷却ユニット64には、前述したとおり、給蒸口17、排蒸口23、給水口42、冷水入口44、冷水出口57、ポンプ排気口27、ポンプ排水口29および熱交排水口55が設けられる。この内、給蒸口17、給水口42、冷水入口44および冷水出口57は、冷却ユニット64の上部(典型的には上面であるが、場合により上方の前後左右の側面でもよい)に設けられるのがよい。一方、排蒸口23、ポンプ排気口27、ポンプ排水口29および熱交排水口55は、冷却ユニット64の内、本体ユニット63に面した側面(または冷却ユニット64の背面)の下部に設けられるのがよい。これにより、配管が容易であると共に、メンテナンスも容易となる。しかも、真空冷却装置1の後方あるいは側方への配管の張り出しを少なくし、省スペースを図ることができる。また、上方の給蒸口17からの蒸気のドレンは、円滑にドレン排出路21を下って、下方の排蒸口23へ排出される。同様に、真空ポンプ16や熱交換器14からの排水も、円滑に下方の排水口29,55から排出される。
【0063】
本体ユニット63と冷却ユニット64との間のメンテナンス用空間Xからは、冷却ユニット64内のメンテナンスを図ることができる。そのために、冷却ユニット64がパネル67で覆われる場合でも、冷却ユニット64の内、少なくとも本体ユニット63に面した側のパネル67は、着脱または開閉可能に設けられる。たとえば、冷却ユニット64の内、少なくとも本体ユニット63に面した側面の内、一部領域(または全面)のパネル67Aを取り外すことで、冷却ユニット64内を開口させて、そこから各種メンテナンスを図ることができる。たとえば、冷却ユニット64内の各弁を交換したり、真空ポンプ16を交換したりすることができる。また、給蒸路18などに設けたストレーナの清掃を図ることも容易となる。なお、冷却ユニット64には、本体ユニット63側の側面だけでなく、これと反対側の側面の他、正面または背面も、一部または全部が着脱または開閉可能とされてもよい。
【0064】
本実施例の真空冷却装置1によれば、本体ユニット63と冷却ユニット64とに分けて構成することで、冷却槽2のタイプや大きさの変更を容易に行える。そのため、設計工数の大幅な低減が可能となる。また、本体ユニット63と冷却ユニット64との間に設けられたメンテナンス用空間Xから、冷却ユニット64内のメンテナンスを容易に行える。
【0065】
なお、図1に示すように、本実施例では、冷却ユニット64は、底面が前後左右の四隅で、脚部70により保持されている。これにより、冷却ユニット64の底面は、床面よりも好ましくは150mm以上高い位置に配置され、床面の清掃を容易に行える。
【0066】
ところで、本実施例の真空冷却装置1は、冷却槽2の前後が扉2Bで開閉可能とされた両扉式とされる。この場合、真空冷却装置1は、第一室と第二室とを区切る仕切壁71に設けて使用することができる(図2)。つまり、冷却槽2は、一方の扉2Bを第一室へ向け、他方の扉2Bを第二室へ向けて配置する。そして、仕切壁71は、図2において二点鎖線で示すように、冷却ユニット64の前後方向中央部よりも後方(または前方)へ偏った位置に設けられるのが好ましい。これにより、冷却ユニット64の側面には、仕切壁71を境にした前後一方に、比較的広い領域をあけることができ、その箇所のパネル67を着脱または開閉することで、内部のメンテナンスを容易に行える。
【0067】
本発明の真空冷却装置1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、次の(a)〜(c)の構成を備えるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0068】
(a)少なくとも正面が扉2Bで開閉可能とされ被冷却物が収容される冷却槽2と、この冷却槽2内の気体を外部へ吸引排出して冷却槽2内を減圧する減圧手段3とを備える。
(b)冷却槽2を含む本体ユニット63と、減圧手段3を含む冷却ユニット64とを備えて構成されると共に、本体ユニット63の一側部に冷却ユニット64が配置される。
(c)冷却ユニット64の内、本体ユニット63に面した側から冷却ユニット64内をメンテナンス可能に、本体ユニット63と冷却ユニット64との間に、メンテナンス用空間Xが設けられる。
【0069】
たとえば、前記実施例では、冷却槽2は、正面と背面の双方が扉2Bで開閉可能とされたが、正面のみ扉2Bで開閉可能とされてもよい。その場合、冷却ユニット64の背面は、本体ユニット63の背面と同一平面に配置されるか、本体ユニット63の背面よりもやや前方に配置されるのがよい。
【0070】
また、前記実施例において、減圧手段3の構成は、適宜に変更可能である。たとえば、前記実施例では、減圧手段3は、蒸気エゼクタ13を備えたが、場合により蒸気エゼクタ13の設置を省略してもよい。その場合、給排蒸系統(給蒸路18およびドレン排出路21)の設置は不要である。また、蒸気エゼクタ13を備えない場合、本体ユニット63と冷却ユニット64とは、接続管で接続される。つまり、冷却槽本体2Aと熱交換器14とは接続管で接続される。その際、接続管の一部をフランジなどで着脱可能に構成しておき、本体ユニット63側の配管と冷却ユニット64側の配管とを接続することで、両ユニット63,64を接続すればよい。
【0071】
また、前記実施例において、蒸気エゼクタ13を並列に複数設置してもよい。この場合、各蒸気エゼクタ13に対応して、熱交換器14が用意される。そして、各蒸気エゼクタ13は、吸引口13aが冷却槽本体2Aに接続され、出口13cからの配管がそれぞれ熱交換器14に接続される。なお、冷却ユニット64の給蒸口17からは、一本の給蒸路18のみを本体ユニット63側へ架け渡し、本体ユニット63側で各蒸気エゼクタ13へ分岐させて接続するのがよい。
【0072】
また、前記実施例では、熱交換器14や真空ポンプ16への給水として、常温水と冷水とを切替可能としたが、いずれか一方のみでもよい。常温水のみを利用する場合、冷水タンク5やチラー6の設置は不要であるし、冷水給水路45や冷水排水路58の設置も省略可能である。
【0073】
また、前記実施例では、チラー6からの水を熱交換器14などへ供給するか、バイパス路51を介して冷水タンク5へ戻すかは、三方弁からなるバイパス弁52により切り替えたが、これに代えて、下流側冷水給水路45bとバイパス路51とにそれぞれ弁を設けて、これら弁により制御してもよい。
【0074】
また、前記実施例では、冷水タンク5の水は、チラー6を介した後、熱交換器14や真空ポンプ16に供給されたが、場合により、次のように構成してもよい。すなわち、冷水タンク5は、チラー6との間の循環路により貯留水を冷却可能とされる一方、熱交換器14や真空ポンプ16において冷水を必要とする際には、冷水タンク5内の水をチラー6を介さずに、熱交換器14や真空ポンプ16に供給可能としてもよい。
【0075】
また、前記実施例において、洗浄時に洗浄水を噴出させる洗浄ガン(ホース付き)を設けてもよい。その場合、冷却ユニット64の常温水給水路43から洗浄ガンへの給水路を分岐させればよい。そして、その給水路も、上部において本体ユニット63側へ架け渡し、本体ユニット63の側面(特に冷却ユニット64側の側面)に、洗浄ガンを設けておくことができる。
【0076】
さらに、前記実施例では、扉2Bは、引き戸式としたが、場合により、開き戸式としてもよい。その他、真空冷却装置1は、少なくとも真空冷却機能を有すれば足り、場合により、冷風冷却機能を付加したり、被冷却物の加熱機能を付加したりしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 真空冷却装置
2 冷却槽(2A:冷却槽本体、2B:扉)
3 減圧手段
4 復圧手段
5 冷水タンク
6 チラー
7 扉レール(7a:延出先端部)
13 蒸気エゼクタ(13a:吸引口、13b:入口、13c:出口)
14 熱交換器
16 真空ポンプ
17 給蒸口
23 排蒸口
25 セパレータ
27 ポンプ排気口
29 ポンプ排水口
40 循環ポンプ
42 給水口
44 冷水入口
55 熱交排水口
57 冷水出口
63 本体ユニット
64 冷却ユニット
65 タンクユニット
66 チラーユニット
67 パネル
X メンテナンス用空間
図1
図2
図3
図4