特開2019-128068(P2019-128068A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-128068(P2019-128068A)
(43)【公開日】2019年8月1日
(54)【発明の名称】ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/56 20060101AFI20190708BHJP
【FI】
   F22B37/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-8771(P2018-8771)
(22)【出願日】2018年1月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】中島 正隆
(57)【要約】
【課題】半ブローが適正に行われたか否かについて簡易に判断するための適切な情報を提供する。
【解決手段】缶水の電気伝導率を測定する電気伝導率センサ66と、半ブローが開始可能とされる缶水の電気伝導率を半ブロー前電気伝導率として電気伝導率センサ66により測定し、半ブローが終了されてその後の給水が行われ、所定の水位に戻したときの缶水の電気伝導率である半ブロー後電気伝導率を電気伝導率センサ66により測定する電気伝導率測定部103と、缶水の半ブロー前電気伝導率と、缶水の半ブロー後電気伝導率と、に基づいて、半ブローが適正かどうかを判定する適正判定部104と、適正判定部104の判定に基づいて、半ブローに係る情報を記憶部200に記録及び/又はアラーム情報を出力する警告出力部106と、を備えるボイラ1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶水の電気伝導率を測定する電気伝導率センサと
記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
予め設定される第1の条件を満たした場合に、電気伝導率を、半ブローが開始可能とされる前記缶水の電気伝導率である半ブロー前電気伝導率として前記電気伝導率センサにより測定し、前記半ブローが終了されてその後の給水が行われ、所定の水位に戻したとき、又は前記所定の水位とした後に予め設定された所定の時間経過したときの前記缶水の電気伝導率である半ブロー後電気伝導率を前記電気伝導率センサにより測定する電気伝導率測定部と、
前記缶水の半ブロー前電気伝導率と、前記缶水の半ブロー後電気伝導率と、に基づいて、前記半ブローが適正かどうかを判定する適正判定部と、
前記適正判定部の判定に基づいて、前記半ブローに係る情報を前記記憶部に記録するか、及びアラーム情報を出力するか、少なくともいずれか一方を実行する警告出力部と、
を備えるボイラ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の条件を満たすと半ブローを開始できることを通知し、半ブローが開始された後に、水位が低下して予め設定される半ブロー設定水位であるか又は前記半ブロー設定水位を下回ると前記半ブローを終了できることを通知する半ブロー通知部を備える請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記電気伝導率センサは前記半ブロー設定水位に設けられ、前記電気伝導率センサにより前記半ブローの開始後に水位が低下して前記半ブロー設定水位になるか又は前記半ブロー設定水位を下回ることを検出する、請求項2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記第1の条件は、前記電気伝導率センサにより測定される前記缶水の電気伝導率が予め設定される所定の電気伝導率であるか又は所定の電気伝導率を上回る条件である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボイラ。
【請求項5】
前記制御部は、
前記半ブローが実施された回数である半ブロー実施回数、及びそのうち前記適正判定部により前記半ブローが適正でないと判定された半ブロー実施回数である不適正回数を積算するブロー運転カウント部を備え、
前記警告出力部は、前記ブロー運転カウント部によってカウントされた前記不適正回数に基づいて、前記半ブローに係る情報を前記記憶部に記録するか、及び前記アラーム情報を出力するか、少なくともいずれか一方を実行する、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のボイラ。
【請求項6】
前記適正判定部は、
前記缶水の半ブロー後電気伝導率が、前記缶水の半ブロー前電気伝導率の予め設定される第1の割合になるか、又は第1の割合を下回る場合に、前記半ブローが適正でないと判定する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半ブローが適正に行われているかどうかを判断することを可能とするボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラが燃焼することにより、缶底付近に蓄積されるスラッジ等を排出するために、定期的に缶底ブローを行うこととしている。そのような場合に全ブローを行うと、缶水が全て入れ替わるため、その時点の缶水が未濃縮状態となり、濃縮度が所定範囲以下に低下した状態となり、この状態がそのまま継続すると缶体の腐食の危険性が高まることが知られている。そのため、例えば優先燃焼要求をして、長時間(例えば1時間〜3時間)燃焼させる必要が生じる。このため、全ブローではなく、半ブローを定期的に行うことを基本とすることが推奨されている。ここで、半ブローとは一定量の缶水、具体的には30%〜70%、好ましくは40%〜60%の缶水をブローすることを意味する。これにより、缶水の濃縮によるスケール障害の発生を防止するとともに、缶水の電気伝導率を腐食が抑制できるレベルに維持することができる。
【0003】
この点、特許文献1には、ボイラの稼働量を積算するカウント部、ボイラ底部の途中にブローバルブが挿入された排水管、通常の缶水水位より低い位置でかつボイラ底部よりは高い位置に半ブロー水位検出器をそれぞれ設けておき、カウントが設定値以上となりボイラの燃焼が停止しているときに、半ブロー水位検出器が水位を検知しなくなるまで排水管のブローバルブを開ける(すなわち、半ブロー水位検出器が水位を検知すると、ブローバルブを閉として半ブローを停止する)ことで、缶体下部の缶水を排出し、缶体上部の缶水をボイラに残すボイラ半ブロー装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−159405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、ボイラの稼働量を積算した積算値が設定値以上となりボイラの燃焼が停止している時に、自動的にブローバルブを開にして半ブロー処理を開始し、半ブロー水位検出器が水位を検知すると、自動的にブローバルブを閉として半ブローを停止するという自動処理を実現するためのものである。しかしながら、半ブローが適正に行われたか否かについてオペレータや保守員が簡易に判断するための適切な情報を提供するものではない。
他方、例えば簡易ボイラ等においては、所定の条件をみたすと、例えばランプを点滅(又は点灯)させることで半ブローを開始できることをオペレータに通知し、オペレータがボイラの燃焼を停止させた状態で、手動操作でブロー弁を開として半ブロー処理を開始し、ランプの点滅(又は点灯)が消えると、手動操作でブロー弁を閉とすることで半ブロー処理を停止させる運用が行われている。
この場合、半ブロー実行中にブロー弁を開状態にしたまま、オペレータがその場を離れるなどの理由で、結果的に全ブローしてしまうことがあった。しかしながら、半ブロー処理が適正に行われたか否か、また所定期間に行われたブロー処理がそれぞれ適正な半ブロー処理であったか否かについて、オペレータ又は保守員が簡易に判断することはできなかった。
このため、半ブロー処理を自動で行うか、又は手動で行うかにかかわらず、半ブローが適正に行われたか否か、について簡易に判断するための適切な情報をオペレータや保守員に提供することが望まれる。
【0006】
本発明は、半ブロー処理を自動で行うか、又は手動で行うかにかかわらず、半ブローが適正に行われたか否かについて簡易に判断するための適切な情報を提供することができるボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、缶水の電気伝導率を測定する電気伝導率センサと、記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、予め設定される第1の条件を満たした場合に、電気伝導率を、半ブローが開始可能とされる前記缶水の電気伝導率である半ブロー前電気伝導率として前記電気伝導率センサにより測定し、前記半ブローが終了されてその後の給水が行われ、所定の水位に戻したとき、又は前記所定の水位とした後に予め設定された所定の時間経過したときの前記缶水の電気伝導率である半ブロー後電気伝導率を前記電気伝導率センサにより測定する電気伝導率測定部と、前記缶水の半ブロー前電気伝導率と、前記缶水の半ブロー後電気伝導率と、に基づいて、前記半ブローが適正かどうかを判定する適正判定部と、前記適正判定部の判定に基づいて、前記半ブローに係る情報を前記記憶部に記録するか、及びアラーム情報を出力するか、少なくともいずれか一方を実行する警告出力部と、を備えるボイラに関する。
【0008】
前記制御部は、前記第1の条件を満たすと半ブローを開始できることを通知し、半ブローが開始された後に、水位が低下して予め設定される半ブロー設定水位であるか又は前記半ブロー設定水位を下回ると前記半ブローを終了できることを通知する半ブロー通知部を備えることが好ましい。
【0009】
前記電気伝導率センサは前記半ブロー設定水位に設けられ、前記電気伝導率センサにより前記半ブローの開始後に水位が低下して前記半ブロー設定水位になるか又は前記半ブロー設定水位を下回ることを検出することが好ましい。
【0010】
前記第1の条件は、前記電気伝導率センサにより測定される前記缶水の電気伝導率が予め設定される所定の電気伝導率であるか又は所定の電気伝導率を上回る条件であることが好ましい。
【0011】
前記制御部は、前記半ブローが実施された回数である半ブロー実施回数、及びそのうち前記適正判定部により前記半ブローが適正でないと判定された半ブロー実施回数である不適正回数を積算するブロー運転カウント部を備え、前記警告出力部は、前記ブロー運転カウント部によってカウントされた前記不適正回数に基づいて、前記半ブローに係る情報を前記記憶部に記録するか、前記アラーム情報を出力するか、少なくともいずれか一方を実行することが好ましい。
【0012】
前記適正判定部は、前記缶水の半ブロー後電気伝導率が、前記缶水の半ブロー前電気伝導率の予め設定される第1の割合になるか、又は第1の割合を下回る場合に、前記半ブローが適正でないと判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半ブロー処理を自動で行うか、又は手動で行うかにかかわらず、半ブローが適正に行われたか否かについて簡易に判断するための適切な情報を提供することができるボイラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のボイラの構成を示す図である。
図2】本発明の制御器の機能構成を示す図である。
図3】本発明のボイラの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のボイラの好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態においては、半ブローに係るブロー弁の開閉処理をオペレータの手動操作によるものとしている。
図1に示すようにボイラ1は、缶体20と、給水ポンプ4と、気水分離器5と、水位検出器6と、制御器7と、を備える。
【0016】
缶体20は、図1に示すように、ボイラ筐体21と、複数の水管22と、上部ヘッダ23と、下部ヘッダ24と、燃焼室25と、燃焼部26と、を備える。
缶体20はその軸線を上下方向へ沿って配置されている。缶体20は、上下に離隔して上部ヘッダ23と下部ヘッダ24とを備える。
上部ヘッダ23と下部ヘッダ24とは、複数の水管(伝熱管)5によって互いに接続されている。各水管22は、上下方向へ沿って配置されており、上端部が上部ヘッダ23に連通する一方、下端部が下部ヘッダ24に連通している。また、各水管22は、上部ヘッダ23および下部ヘッダ24に、周方向等間隔で配置されている。そして、円筒状に配置された水管22を取り囲むように、缶体20には周側壁(図示省略)が設けられる。このような構成により、缶体20内には燃焼室25が構成される。
【0017】
各水管22内へは、給水ラインL1を介して、水(缶水)が供給可能とされる。給水ラインL1は、下部ヘッダ24に接続されている。給水ラインL1の中途には、給水ポンプ4が設けられている。給水ポンプ4を作動させることで、下部ヘッダ24を介して各水管22内に水を供給することができる。
【0018】
また、下部ヘッダ24には缶底ブローラインL3が接続されている。缶底ブローラインL3の中途には、缶底ブロー弁31を設けている。缶底ブロー弁31が開状態にされると、缶水の排水が行なわれる。
【0019】
缶体20の上部中央には、燃焼部26が燃焼室25の上方に配置され、例えば段階的な複数の燃焼位置で燃焼することにより缶体20の内部を加熱する。燃焼部26は、燃料噴射ノズル及び空気供給ノズル(いずれも図示せず)を含んで構成される。燃焼部26は、燃料噴射ノズルから燃料を缶体20の燃焼室25に向けて噴射するとともに、空気供給ノズルから空気を缶体20の燃焼室25に供給して、燃料を燃焼させる。この燃焼による燃焼ガスは、各水管22内の水を加熱し蒸気化する。この蒸気は、上部ヘッダ23から気水分離器5および蒸気弁51を介して、蒸気ヘッダ50へ送られる。一方、缶体20の各水管22と熱交換後の排ガスは、煙道(図示省略)および煙突(図示省略)を介して外気へ放出される。
【0020】
缶体20外には、上部ヘッダ23と下部ヘッダ24とに連通して、水位検出筒61が設けられている。水位検出筒61は、導電性材料により形成された中空容器であり、上部において上部ヘッダ23に接続される一方、下部において下部ヘッダ24に接続されている。このようにして、水位検出筒61は、上部ヘッダ23と下部ヘッダ24とに連通されている。水位検出筒61の上壁には、長さの異なる複数の電極棒62〜64の上部が、それぞれ絶縁性材料のガイシ(図示省略)を介して保持される。このようにして、水位検出筒61には、複数の電極棒62〜64が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて、挿入され保持される。水位検出筒61と、複数の電極棒62〜64とにより、水位検出器6が構成される。
【0021】
各電極棒62〜64は、導電性材料により形成された細長い棒材である。本実施例では、低燃焼用電極棒(S棒)62、高燃焼用電極棒(M棒)63、及び低水位検出用電極棒(L棒)64が、順に下端部の高さ位置を低くして、水位検出筒61内に挿入されている。そして、各電極棒62〜64は制御器7に接続され、水位検出筒61はアースされている。従って、各電極棒62〜64は、その下端部が水に浸かれば、水位検出筒61との間で電気的な導通が確保される。これにより、制御器7は、各電極棒62〜64に流れる電流の有無によって、各電極棒62〜64の下端部に水位があるか否かを検出する。
【0022】
さらに、ボイラ1には、電気伝導率センサ66が設けられている。電気伝導率センサ66は、缶水の電気伝導度を検出するものであり、制御器7に接続されている。本実施例では、電気伝導率センサ66は、水位検出筒61と下部ヘッダ24との接続管67に設けられている。
なお、電気伝導率センサ66の接続管67に設けられる位置は、当該位置に対応する水位における缶水の水量が、低燃焼用電極棒(S棒)62により検出される水位における缶水の水量の半分程度(例えば、30%〜70%、好ましくは40%〜60%)になるように設定することが好ましい。
【0023】
制御器7は、制御部100及び記憶部200を備え、燃焼部26の燃焼位置を制御する。また、制御器7は、燃焼部26の燃焼位置及び水位検出器6から受信する缶水の水位等に基づいて、給水ポンプ4の給水量を調整する。また、制御器7は、半ブローが適正に行われたか否かについて適切な情報を提供する。
【0024】
次に制御器7の機能構成を説明する。図2に示すように、制御器7は、制御部100と、記憶部200と、を備える。
【0025】
記憶部200には、ボイラ1の運転を実施する制御プログラム、ボイラ1の運転状態、例えば燃焼部26の燃焼位置等に関する情報、燃焼位置毎に予め設定される缶体20内の設定水位に関する情報、予め設定された各設定値、及びボイラの稼働時間の積算値等が記憶される。
【0026】
制御部100は、図2に示すように、稼働積算部101と、半ブロー通知部102と、電気伝導率測定部103と、適正判定部104と、ブロー運転カウント部105と、警告出力部106と、を備える。
【0027】
稼働積算部101はボイラの稼働時間を積算する。より具体的には、ボイラが燃焼を開始したことを検出すると稼働時間の積算を開始する。稼働積算部101はボイラが燃焼状態の間、稼働時間を積算し、ボイラが燃焼停止したことを検出すると、稼働時間の積算を終了する。ここで、稼働時間の積算値は例えば記憶部200に記憶してもよい。
【0028】
半ブロー通知部102は、予め設定される第1の条件を満たすと半ブローを開始できることを通知する。半ブロー通知部102は、半ブローが開始された後に、水位が低下して予め設定される半ブロー設定水位であるか又は半ブロー設定水位を下回ると半ブローを終了できることを通知する。
ここで、第1の条件とは、稼働積算部101により積算される稼働時間が予め設定される第1の閾値になるか又は第1の閾値を超える条件A、及び電気伝導率センサ66により測定される缶水の電気伝導率が予め設定される所定の電気伝導率になるか又は所定の電気伝導率を上回る条件Bの少なくともいずれか1つの条件を指す。すなわち、第1の条件を満たす場合とは、条件A若しくは条件Bを満たす場合、又は条件A及び条件Bを満たす場合を意味する。
また、前述したように、電気伝導率センサ66の接続管67に設けられる位置の水位における缶水の水量が、低燃焼用電極棒(S棒)により検出される水位における缶水の水量の半分程度(例えば、30%〜70%、好ましくは40%〜60%)になるように設定されることで、電気伝導率センサ66により測定される電気伝導率の値により水の存在を判定することで、水位が半ブロー設定水位であるか又は半ブロー設定水位を下回ることを判定することができる。
【0029】
半ブロー通知部102は、半ブローを開始できることを例えば半ブロー許可ランプ(図示せず)を点滅(又は点灯)させることにより、オペレータに通知するようにしてもよい。同様に半ブロー通知部102は、半ブローを終了できることを例えば半ブロー許可ランプの点滅(又は点灯)を消灯させることにより、オペレータに通知するようにしてもよい。なお、半ブロー通知部102の通知は、半ブローランプの点灯及び消灯に限定されない。表示部(図示せず)にメッセージを表示するようにしてもよい、又スピーカ(図示せず)を介して音声出力により通知するようにしてもよい。
【0030】
半ブロー通知部102の半ブローを開始できることの通知(例えば、半ブローランプの点灯)を確認して、オペレータは、ボイラの燃焼を停止させた後、缶底ブロー弁31を開状態にすることで、半ブローが開始される。なお、半ブローが終了することで、制御部100は、稼働積算部101により積算された、記憶部200に記憶されている稼働時間の積算値をリセットする。
その後、半ブロー通知部102の半ブローを終了できることの通知(例えば、半ブローランプの消灯)を確認して、缶底ブロー弁31を閉状態にした後、ボイラの運転を開始させることで、給水が開始され、缶水が所定の水位(例えば、低燃焼用電極棒(S棒))に戻され、所定時間燃焼させることで、缶水が濃縮される。
【0031】
電気伝導率測定部103は、半ブロー通知部102により予め設定される第1の条件を満たしたことを検出した場合(又は、半ブローを開始できることが通知された場合)に、半ブロー処理前の缶水の電気伝導率を電気伝導率センサ66により測定する。電気伝導率測定部103は、このようにして測定された缶水の電気伝導率を半ブロー前電気伝導率とする。例えば、電気伝導率測定部103は、低水位検出用電極棒(L棒)64により水位を検出しなくなった時点で、電気伝導率センサ66により測定される缶水の電気伝導率を半ブロー前電気伝導率としてもよい。なお、電気伝導率測定部103は、低水位検出用電極棒(L棒)64により水位を検出しなくなってから、電気伝導率センサ66により電気伝導率を測定できる間であればどの時点で測定してもよい。
また、電気伝導率測定部103は、半ブローが終了され、その後の給水が行われ、所定の水位(例えば、低燃焼用電極棒(S棒)62)に戻して給水停止となったとき、又は所定の水位とした後に予め設定された所定の時間経過したときの缶水の電気伝導率を電気伝導率センサ66により測定する。電気伝導率測定部103は、このようにして測定された缶水の電気伝導率を半ブロー後電気伝導率とする。
【0032】
適正判定部104は、前記缶水の半ブロー前電気伝導率と、前記缶水の半ブロー後電気伝導率と、に基づいて、前記半ブローが適正かどうかを判定する。
より具体的には、適正判定部104は、缶水の半ブロー後電気伝導率が、前記缶水の半ブロー前電気伝導率の予め設定される第1の割合になるか、又は第1の割合を下回る場合に、前記半ブローが適正でないと判定する。
例えば半ブロー前の電気伝導率が200mS/mであり、半ブロー後の水量が100Lとし、5mS/mの給水がなされて給水後の水量が例えば200Lとなった場合の電気伝導率は、約100mS/mとなることから、このような場合、例えば第1の割合を1/3に設定することにより、半ブローが適正に行われているか否かを缶水の半ブロー後電気伝導率の半ブロー前電気伝導率の割合により判定することが可能である。
【0033】
ブロー運転カウント部105は、半ブローが実施された回数である半ブロー実施回数、及びそのうち適正判定部104により当該半ブローが適正でないと判定された半ブロー実施回数である不適正回数を積算する。
より具体的には、ブロー運転カウント部105は、半ブロー実施の履歴情報を記憶部200に記録することが好ましい。履歴情報として、半ブロー実施日、半ブロー時間、半ブローを実施する直前の運転積算値、半ブロー前の電気伝導率Xと、給水後に所定の水位に戻した時又は所定の水位とした後に予め設定された所定の時間経過したときの電気伝導率Y、電気伝導率Yの電気伝導率Xに対する割合に基づく適正か否かの判定情報、これらに基づく統計値、所定期間内の半ブロー実施回数、そのうち、適正ではなかったと判定された半ブロー実施回数、及び適正でないと判定された回数の割合等を含めることが好ましい。
【0034】
警告出力部106は、適正判定部104の判定に基づいて、半ブローに係る情報を記憶部200に記録するか、及びアラーム情報を出力するか、少なくとも一方を実行する。
より具体的には、警告出力部106は、適正判定部104の判定に基づいて、記憶部200に記録された履歴情報に基づいて、例えば、所定期間内の半ブロー実施回数に対する、適正ではなかったと判定された半ブロー実施回数の割合が所定の閾値であるか、又は所定の閾値を超える場合に、アラーム情報を出力することができる。また、アラーム情報を出力する根拠となった、所定期間内の半ブロー実施回数に対する適正ではなかったと判定された半ブロー実施回数の割合の値、及びアラーム情報出力日時等を履歴情報として、記憶部200に記憶するようにしてもよい。
【0035】
こうすることにより、所定期間内において、半ブローが適正に行われたか否か、について簡易に判断するための適切な情報をオペレータやメンテナンス要員等に提供することが可能となる。例えば、半ブローが適正に行われていないとされる場合、オペレータは今後の半ブロー処理を適正に実施するように改善することが期待できる。また、半ブローが適正に行われていないとされる場合、保守点検時にメンテナンス要員が半ブロー処理方法をボイラのオペレータ等に対して再伝達することができる。また、半ブロー回数を記録し、所定閾値を超えるとアラームを出力(又は記録)することにより、メンテナンス要員等に半ブローが適正に行われてきたか否かについての適切な情報を提供することができる。
【0036】
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
[変形例1]
本実施例では、水位検出器6として、低燃焼用電極棒(S棒)62、高燃焼用電極棒(M棒)63、及び低水位検出用電極棒(L棒)64が、順に下端部の高さ位置を低くして、水位検出筒61内に挿入されている水位検出器6を例示したが、これに限定されない。
水位検出器6として、連続式レベルセンサ例えば、静電容量式センサを設けたものとしてもよい。図3に示すように、水位検出器6が、水位検出筒61aと電極棒62bとを有し、水位検出筒61aの上端部が上部ヘッダ23に接続され、下端部が下部ヘッダ24に接続され、電極棒62bの表面に被覆された絶縁皮膜を誘電体として、電極棒62bと水位検出筒61aとの間の静電容量を測定することにより、水位検出筒61aの内部で電極棒62bと接触するボイラ水の水位を連続的に検出するものとしてもよい。
【0038】
[変形例2]
本実施例では、燃焼部26が、例えば段階的な複数の燃焼位置で燃焼することにより缶体20の内部を加熱することを例示したが、これに限定されない。燃焼部26が、燃焼率を連続的に変更して燃焼することにより缶体20の内部を加熱するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ボイラ
20 缶体
21 ボイラ筐体
22 水管
23 上部ヘッダ
24 下部ヘッダ
25 燃焼室
26 燃焼部
L1 給水ライン
4 給水ポンプ
5 気水分離器
50 蒸気ヘッダ
51 蒸気弁
6 水位検出器
61,61a 水位検出筒
62 低燃焼用電極棒(S棒)
63 高燃焼用電極棒(M棒)
64 低水位検出用電極棒(L棒)
66 電気伝導率センサ
67 接続管
62b 電極棒
7 制御器
100 制御部
101 稼働積算部
102 半ブロー通知部
103 電気伝導率測定部
104 適正判定部
105 ブロー運転カウント部
106 警告出力部
200 記憶部
L3 缶底ブローライン
31 缶底ブロー弁
図1
図2
図3