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特開2019-128250検査装置、PTP包装機、及び、検査装置の較正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-128250(P2019-128250A)
(43)【公開日】2019年8月1日
(54)【発明の名称】検査装置、PTP包装機、及び、検査装置の較正方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20190708BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20190708BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20190708BHJP
【FI】
   G01N21/27 B
   G01N21/27 A
   G01N21/359
   B65B57/10 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2018-9794(P2018-9794)
(22)【出願日】2018年1月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸弘
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE12
2G059EE17
2G059FF01
2G059HH01
2G059JJ05
2G059JJ06
2G059JJ11
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM03
(57)【要約】
【課題】分光分析を利用した検査に係る検査精度の向上を図ることのできる検査装置、PTP包装機及び検査装置の較正方法を提供することにある。
【解決手段】検査装置22は、錠剤5に対し近赤外光を照射可能な照明装置52と、錠剤5から反射される反射光を分光し撮像可能な撮像装置53とを備え、該撮像装置53により取得された分光画像データを基に分析処理を行う。検査装置22は、事前に所定の基準板に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データに対し所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、撮像素子の波長感度特性を把握する。続いて、これを基に、基準分光画像データの各画素に対応する補正値を算出する。検査時においては、検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する補正値を基に補正する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データにおける、前記波長分散方向と平行する各画素列及び/又は前記波長分散方向と直交する各画素行それぞれについて、該画素列又は該画素行に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性を把握する撮像領域輝度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項3】
容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体から前記PTPシートを切離す切離手段と、
前記内容物を前記検査対象物として検査を行う請求項1又は2に記載の検査装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項4】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。
【請求項5】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データにおける、前記波長分散方向と平行する各画素列及び/又は前記波長分散方向と直交する各画素行それぞれについて、該画素列又は該画素行に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性を把握する撮像領域輝度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光分析を利用して異品種の混入検査等を行う検査装置、及び、これを備えたPTP包装機、並びに、検査装置の較正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にPTPシートは、錠剤等の対象物が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0003】
PTPシートの製造に際しては、異品種の混入を検査する異品種混入検査などが行われる。かかる検査の手法として、従来、分光分析を利用した方法が知られている。
【0004】
かかる手法においては、例えば図22に示すように、PTPシートの製造過程において、容器フィルム81のポケット部82に充填された対象物83に対し、ハロゲンランプ等の光源から近赤外光L1を照射する。ここで、対象物83等から反射された反射光L2は、光学レンズ85により集光され、平行光L3となる。このうち、スリット86を通過した光は帯状のスリット光L4となり、分光手段としての分光器(プリズム)87に入射する。
【0005】
分光器87に入射したスリット光L4は、各波長成分の光に分光され、撮像素子88の受光面89に分光スペクトル(分光スペクトル像)L5として投射される。例えば1300nm〜2000nmの波長帯域の近赤外光が1nm〜10nm間隔の波長分解能で数十〜数百バンドに分光される。
【0006】
ここで、分光スペクトルL5の各波長成分は、その波長成分の違いにより、撮像素子88の受光面89上の異なる位置に投射される。そして、この分光スペクトルL5を撮像して得られるスペクトルデータを主成分分析することで異品種の混入を検出することができる。
【0007】
近年では、検査の高速化及び生産性の低下抑制を図るべく、CCDエリアセンサ等の撮像素子を用いて、搬送される容器フィルムの幅方向に一列に並ぶ複数のポケット部にそれぞれ充填される対象物を同時に検査可能な検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
CCDエリアセンサ等の撮像素子は、行列状に配列された複数の受光素子から構成されているため、個々の受光素子の特性に基づく感度のばらつきを補正する必要がある。
【0009】
従来、受光素子の感度のばらつきを補正する方法としては、例えば強度が均一な光(均一光)を照射した基準板を撮像して得た画像データの各画素の輝度値を、全画素の平均輝度値で割り、該画素に対応する座標位置の感度値とし、検査時においては、取得した検査画像データの各画素の輝度値を該画素に係る感度値で割って補正する方法などが知られている(例えば、特許文献2の従来技術参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2013−002291号
【特許文献2】特開平4−32729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ハロゲンランプ等の光源から出射される近赤外光に含まれる各波長成分の強度は均一ではないため、分光スペクトルを撮像する場合においては、各波長成分によって撮像素子の感度が大きく変わることとなる。
【0012】
そのため、仮に特許文献2の従来技術に記載されている技術と同様に、基準板を撮像して得た画像データの画素毎の輝度値をもとに、全画素の平均輝度値を画素毎の輝度値で割った値を該画素に対応する座標位置の補正値とした場合には、補正値の大きさも画素毎に大きく変わることになる。
【0013】
かかる構成の下、検査時に取得した検査画像データの各画素の輝度値(計測値)に対し、該画素に係る補正値を掛けて、各画素の輝度値を補正した場合、補正値の大きい画素(例えば100)では、計測値に含まれるノイズが、補正値の小さい画素(例えば1)に対して大きくなる(例えば100倍大きくなる)。つまり、波長成分によってノイズレベルが大きく異なることとなる。結果として、適切なスペクトルデータを取得できず、検査精度が低下するおそれがある。
【0014】
従って、分光分析を利用した検査を行う場合においては、個々の受光素子の特性のみならず、波長成分の違いを考慮して感度のばらつきを補正する必要がある。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分光分析を利用した検査に係る検査精度の向上を図ることのできる検査装置、PTP包装機及び検査装置の較正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0017】
手段1.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理(例えば主成分分析)を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0018】
上記手段1によれば、基準分光画像データに対し所定の演算処理を実行し、各画素行毎(各波長成分毎)の特性を求めることにより、撮像素子の平均的な波長感度特性を把握することができる。
【0019】
そして、基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る特性(波長感度特性)を基に、基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する構成となっている。
【0020】
このため、補正値の大きさが画素毎に極端に変わらず、波長成分によってノイズレベルが大きく異なってしまうような不具合の発生を抑制することができる。結果として、分光分析を利用した検査に係る検査精度の向上を図ることができる。
【0021】
尚、撮像手段(受光素子)の出力レベルは、環境変化や温度変化、光源の違い等に伴い変化するため、検査装置の製造時において適切な補正値を事前に設定しておくことは難しい。
【0022】
手段2.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データにおける、前記波長分散方向と平行する各画素列及び/又は前記波長分散方向と直交する各画素行それぞれについて、該画素列又は該画素行に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性(例えば照射光の輝度ムラ)を把握する撮像領域輝度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理(例えば主成分分析)を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0023】
上記手段2によれば、基準分光画像データに対し所定の演算処理を実行し、各画素行毎(各波長成分毎)の特性を求めることにより、撮像素子の平均的な波長感度特性を把握することができる。
【0024】
加えて、基準分光画像データに対し所定の演算処理を実行し、各画素列毎(波長分散方向と直交する撮像領域幅方向における各座標位置毎)の特性を求めることにより、撮像領域幅方向における平均的な輝度特性を把握することができる。
【0025】
そして、基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る特性(波長感度特性)、及び、該画素が属する画素列に係る特性(撮像領域輝度特性)を基に、基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する構成となっている。
【0026】
このため、本手段2によれば、上記手段1の作用効果に加え、補正値のノイズレベルが撮像領域の座標位置による輝度ムラの影響を受けにくくなる。結果として、分光分析を利用した検査に係る検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0027】
例えば停止した対象物から反射される反射光の分光スペクトルを撮像する場合であれば、特許文献2に記載されたラインセンサを走査する技術を利用して、個々の受光素子の特性に基づく感度のばらつきを軽減することは可能となる。
【0028】
しかしながら、撮像領域の各座標位置(分光分析の分野においては、分光スペクトルの波長分散方向と直交する撮像領域幅方向における各座標位置)に対して強度が均一な光を照射することは困難であるため、均一光を照射して補正値を得たとしても、各座標位置に係る感度のばらつきを正確に補正することは難しい。
【0029】
また、センサを走査する技術は、検査装置の構造を複雑化するだけでなく、検査に多大な時間を要するおそれがある。
【0030】
近年、PTPシートの製造分野などにおいては、生産速度の高速化に伴い、異品種混入検査など各種検査の高速化が求められている。例えばPTP包装機上で検査を行う場合には、1秒当たり100個以上の対象物を検査することが求められる場合もある。このため、特許文献2に係る技術等はPTP包装機上での検査には適さない。
【0031】
手段3.容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体(帯状のPTPフィルム)から前記PTPシートを切離す切離手段(シート単位に打抜く打抜手段を含む)と、
前記内容物を前記検査対象物として検査を行う上記手段1又は2に記載の検査装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0032】
上記手段3のように、上記手段1等に係る検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において異品種を含む不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。また、PTP包装機は、上記検査装置によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える構成としてもよい。
【0033】
尚、上記手段3において、上記検査装置を「充填手段によりポケット部に内容物(検査対象物)が充填される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、ポケット部に充填される前段階に異品種を排除することが可能となり、不良品となるPTPシートを低減することができる。
【0034】
また、上記検査装置を「充填手段によりポケット部に内容物(検査対象物)が充填された後工程かつ取着手段によりカバーフィルムが取着される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、内容物(検査対象物)を遮るものがない状態で検査を実行することができ、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0035】
また、上記検査装置を「取着手段によりカバーフィルムが取着された後工程かつ切離手段によりPTPシートが切離される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、内容物(検査対象物)が入れ替わることがない状態で検査を実行することができ、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0036】
また、上記検査装置を「切離手段によりPTPシートが切離された後工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、不良品が混ざっていないかを最終段階で確認することができる。
【0037】
手段4.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。
【0038】
上記手段4によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0039】
手段5.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行及び/又は前記波長分散方向と平行する各画素列それぞれについて、該画素行又は該画素列に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データにおける、前記波長分散方向と平行する各画素列及び/又は前記波長分散方向と直交する各画素行それぞれについて、該画素列又は該画素行に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性(例えば照射光の輝度ムラ)を把握する撮像領域輝度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。
【0040】
上記手段5によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPフィルムを示す斜視図である。
図2】PTPシートのポケット部の部分拡大断面図である。
図3】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図4】検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図5】検査装置の配置構成を模式的に示す斜視図である。
図6】撮像装置の概略構成を示す模式図である。
図7】補正値設定ルーチンを示すフローチャートである。
図8】画像データのデータ構造を二次元的に示す模式図である。
図9】スペクトルデータ取得ルーチンを示すフローチャートである。
図10】撮像素子に投射された分光スペクトルを示す模式図である。
図11】搬送方向撮像範囲と錠剤等との関係を説明するための説明図である。
図12】スペクトル画像を示す模式図である。
図13】検査ルーチンを示すフローチャートである。
図14】搬送方向撮像範囲とスペクトル画像との関係を説明するための説明図である。
図15】第2実施形態に係る補正値設定ルーチンを示すフローチャートである。
図16】基準分光画像データのデータ構造を二次元的に示す模式図である。
図17】基準分光画像データを正規化した正規化データを二次元展開した模式図である。
図18】外れ値を無効データとした基準分光画像データを正規化した正規化データを二次元展開した模式図である。
図19】基準分光画像データの各輝度値データの割合を二次元展開した模式図である。
図20】仮想的な補正後の画像データの各輝度値データを二次元展開した模式図である。
図21】各座標位置に対応する補正値を二次元展開した模式図である。
図22】分光分析を利用した従来の検査装置の原理を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
〔第1実施形態〕
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まずPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0043】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、内容物(検査対象物)としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0044】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0045】
PTPシート1〔図1(a)参照〕は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔図1(b)参照〕がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0046】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について図3を参照して説明する。
【0047】
図3に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0048】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される(ポケット部形成工程)。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0049】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0050】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される(充填工程)。
【0051】
錠剤充填装置21とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って検査装置22が配設されている。検査装置22は、分光分析を利用して検査を行う分光分析装置であって、異品種の混入を検査するためのものである。検査装置22の詳細については後述する。
【0052】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0053】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24に案内され、加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0054】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる(取着工程)。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状体としてのPTPフィルム6が製造されるようになっている。加熱ロール25の表面には、シール用の網目状の微細な凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。フィルム受けロール20及び加熱ロール25により本実施形態における取着手段が構成される。
【0055】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0056】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0057】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0058】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。
【0059】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される(切離工程)。なお、上記検査装置22によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
【0060】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0061】
なお、上記各ロール14,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0062】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下に上記検査装置22の構成について図面を参照して詳しく説明する。図4は検査装置22の電気的構成を示すブロック図であり、図5は検査装置22の配置構成を模式的に示す斜視図である。
【0063】
図4,5に示すように、検査装置22は、照明装置52と、撮像装置53と、照明装置52や撮像装置53の駆動制御など検査装置22内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施する制御処理装置54とを備えている。
【0064】
照明装置52及び撮像装置53は、容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置されている。つまり、本実施形態では、カバーフィルム4が取着される前段階における容器フィルム3のポケット部2開口部側から異品種混入検査が行われる。
【0065】
照明装置52は、近赤外光を照射可能に構成された公知のものであり、本実施形態における照射手段を構成する。照明装置52は、連続搬送される容器フィルム3上の所定領域へ向け斜め上方から近赤外光を照射可能に配置されている。
【0066】
本実施形態に係る照明装置52では、連続スペクトルを持つ近赤外光(例えば波長700〜2500nmの近赤外領域)を出射可能な光源としてハロゲンランプを採用している。この他、光源としては、重水素放電管、タングステンランプ、キセノンランプなどを用いることができる。
【0067】
図6に示すように、撮像装置53は、光学レンズ61と、分光手段としての二次元分光器62と、撮像手段としてのカメラ63とを備えている。
【0068】
光学レンズ61は、図示しない複数のレンズ等により構成され、入射光を平行光化可能に構成されている。光学レンズ61は、その光軸が鉛直方向(Z方向)に沿って設定されている。
【0069】
また、光学レンズ61は、入射光を後述する二次元分光器62のスリット62aの位置に結像可能なように設定されている。尚、ここでは便宜上、光学レンズ61として両側テレセントリックレンズを採用した例を示すが、当然、像側テレセントリックレンズであってもよい。
【0070】
二次元分光器62は、スリット62aと、入射側レンズ62bと、分光部62cと、出射側レンズ62dとから構成されている。分光部62cは、入射側プリズム62caと、透過型回折格子62cbと、出射側プリズム62ccとから構成されている。
【0071】
かかる構成の下、スリット62aを通過した光は、入射側レンズ62bにより平行光化された後、分光部62cにより分光され、出射側レンズ62dによって後述するカメラ63の撮像素子65に二次元分光画像(分光スペクトル像)として結像される。
【0072】
スリット62aは、細長い略矩形状(線状)に開口形成され、その開口幅方向(短手方向)が容器フィルム3のフィルム搬送方向(Y方向)に沿って配設され、その長手方向が前記搬送方向と直交する容器フィルム3のフィルム幅方向(X方向)に沿って配設されている。これにより、二次元分光器62は、スリット62aの開口幅方向すなわちフィルム搬送方向(Y方向)に入射光を分光することとなる。つまり、フィルム搬送方向(Y方向)が本実施形態における波長分散方向となる。
【0073】
カメラ63は、複数の受光素子(受光部)64が行列状に二次元配列された受光面65aを有する撮像素子65を備えている。本実施形態では、撮像素子65として、近赤外領域のうち例えば波長1300〜2000nmの波長範囲に対して十分な感度を有した公知のCCDエリアセンサを採用している。
【0074】
CCDエリアセンサとしては、例えば行列状に2次元配置されかつ入射光をその光量に応じた電荷に変換して蓄積する光電変換素子(例えばフォトダイオード)からなる複数の受光素子と、該各受光素子に蓄積された電荷を垂直方向に順次転送する複数の垂直転送部と、該垂直転送部から転送される電荷を水平方向に順次転送する水平転送部と、該水平転送部から転送される電荷を電圧に変換し増幅して出力する出力アンプとを備えたものが一般に知られている。
【0075】
勿論、撮像素子は、これに限定されるものではなく、近赤外領域に感度を持つ他のセンサを採用してもよい。例えばCMOSセンサやMCT(HgCdTe)センサ等を採用してもよい。
【0076】
撮像装置53の視野領域(撮像領域)は、フィルム幅方向(X方向)に沿って延びる線状の領域であって、少なくとも容器フィルム3のフィルム幅方向全域を含む領域となる(図5の2点鎖線部参照)。一方、フィルム搬送方向(Y方向)における撮像装置53の視野領域は、スリット62aの開口幅に相当する領域となる。つまり、スリット62aを通過した光(スリット光)が撮像素子65の受光面65a上に像を結ぶ領域である。
【0077】
これにより、容器フィルム3のフィルム幅方向(X方向)の各位置で反射した反射光の分光スペクトルの各波長成分を撮像素子65の各受光素子64がそれぞれ受光することとなる。そして、各受光素子64が受光した光の強度に応じた信号が、デジタル信号に変換された上でカメラ63から制御処理装置54に対し出力される。つまり、撮像素子65の受光面65a全体で撮像された1画面分の画像信号(分光画像データ)が制御処理装置54へ出力されることとなる。
【0078】
制御処理装置54は、検査装置22全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース71(以下、「CPU等71」という)、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される「入力手段」としての入力装置72、CRTや液晶などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置73、各種画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76などを備えている。尚、これら各装置72〜76は、CPU等71に対し電気的に接続されている。
【0079】
CPU等71は、PTP包装機10と各種信号を送受信可能に接続されている。これにより、例えばPTP包装機10の不良シート排出機構などを制御することができる。
【0080】
画像データ記憶装置74は、撮像装置53により取得される分光画像データ、該分光画像データを補正した補正分光画像データ、該補正分光画像データを基に取得されるスペクトル画像データ、二値化処理された後の二値化画像データ、微分処理された後の微分画像データなどを記憶するためのものである。
【0081】
演算結果記憶装置75は、検査結果データや、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、適宜表示装置73に表示させることができる。
【0082】
設定データ記憶装置76は、例えば主成分分析に用いるローディングベクトルや判定範囲、PTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法、後述するように検査開始前に予め取得した補正値などを記憶するものである。
【0083】
次に検査装置22によって行われる異品種混入検査(検査工程)の手順について説明する。
【0084】
まずPTPシート1の製造開始前(異品種混入検査の開始前)に行われる補正値設定ルーチンについて図7のフローチャートを参照して説明する。本ルーチンは、異品種混入検査において、撮像装置53により取得される分光画像データ(検査分光画像データ)を補正するための補正値を予め設定しておくための処理である。
【0085】
制御処理装置54は、まず基準板撮像処理を実行する(ステップS01)。詳しくは、基準対象物としての基準板(図示略)に対し照明装置52から近赤外光を照射しつつ、撮像装置53による撮像処理(露光処理)を実行する。これにより、基準板に係る分光スペクトルが撮像され、基準分光画像データが取得されることとなる。
【0086】
尚、撮像装置53により取得される分光画像データは、撮像素子65における複数の受光素子64の配置構成に対応して、例えば図8に示すようなデータ構造を有する。つまり、複数の画素がm行n列(1≦i≦n、1≦j≦m、i,j,n,mは自然数)の行列状に並び、各座標位置(i,j)の画素毎に所定の輝度値を有した構造となっている。また、図8に示す例では、列方向(縦方向)が波長分散方向(Y方向)となり、行方向(横方向)が撮像領域幅方向(X方向)となっている。
【0087】
次に、制御処理装置54は、波長−感度特性取得処理を実行する(ステップS02)。かかる工程が本実施形態における波長感度特性把握工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態における波長感度特性把握手段が構成されることとなる。
【0088】
波長−感度特性取得処理においては、ステップS01において取得した基準分光画像データにおける、分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行(第1行目〜第m行目)それぞれについて、該画素行に属する画素(第1列目〜第n列目の画素)の輝度値を基に所定の演算処理として平均処理を実行し、各画素行毎に所定の演算値(特性)として平均輝度値を算出する。
【0089】
以下、図8に示すデータ構造を有する基準分光画像データを例にして具体的に説明する。まず、座標(1,1)の画素の輝度値、座標(2,1)の画素の輝度値、座標(3,1)の画素の輝度値、・・・、座標(n,1)の画素の輝度値の平均値を算出する。
【0090】
これにより、第1行目の画素行に係る平均輝度値を求めることができる。つまり、分光スペクトルの波長分散方向(Y方向)と直交する撮像領域幅方向(X方向)における平均的な輝度レベルを求めることができる。
【0091】
続いて、上記同様の処理を他の各画素行においても実行する。これにより、第1行目〜第m行目の各画素行それぞれの平均輝度値を算出することができる。尚、平均輝度値を算出するにあたり、必要に応じて、大きく外れた値の除去、正規化等の処理を行ってもよい。
【0092】
上記のように、分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行それぞれの平均輝度値を把握することにより、分光スペクトルの各波長成分の平均的な輝度レベルを把握することができる。つまり、照明装置52から照射される近赤外光の下での撮像素子65の平均的な波長−感度特性を把握することができる。
【0093】
次に、制御処理装置54は、幅方向−輝度特性取得処理を実行する(ステップS03)。かかる工程が本実施形態における撮像領域輝度特性把握工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態における撮像領域輝度特性把握手段が構成されることとなる。
【0094】
幅方向−輝度特性取得処理においては、ステップS01において取得した基準分光画像データにおける、分光スペクトルの波長分散方向と平行する各画素列(第1列目〜第n列目)それぞれについて、該画素列に属する画素(第1行目〜第m行目の画素)の輝度値を基に所定の演算処理として平均処理を実行し、各画素列毎に所定の演算値(特性)として平均輝度値を算出する。
【0095】
以下、図8に示すデータ構造を有する基準分光画像データを例にして具体的に説明する。まず、座標(1,1)の画素の輝度値、座標(1,2)の画素の輝度値、座標(1,3)の画素の輝度値、・・・、座標(1,m)の画素の輝度値の平均値を算出する。
【0096】
これにより、第1列目の画素列に係る平均輝度値を求めることができる。つまり、分光スペクトルの波長分散方向(Y方向)における平均的な輝度レベルを求めることができる。
【0097】
続いて、上記同様の処理を他の各画素列においても実行する。これにより、第1列目〜第n列目の各画素列それぞれの平均輝度値を算出することができる。尚、平均輝度値を算出するにあたり、必要に応じて、大きく外れた値の除去、正規化等の処理を行ってもよい。
【0098】
上記のように、分光スペクトルの波長分散方向と平行する各画素列それぞれの平均輝度値を把握することにより、撮像領域幅方向(X方向)の各位置における平均的な輝度レベルを把握することができる。つまり、照明装置52から照射される近赤外光の下での撮像領域における平均的な幅方向−輝度特性(照射光の輝度ムラ)を把握することができる。
【0099】
次に、制御処理装置54は、補正値算出処理を実行する(ステップS04)。かかる工程が本実施形態における補正値算出工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態における補正値算出手段が構成されることとなる。
【0100】
補正値算出処理においては、ステップS01において取得した基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、ステップS02において取得した該画素が属する画素行に係る平均輝度値、及び、ステップS03において取得した該画素が属する画素列に係る平均輝度値を基に、基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する。
【0101】
より詳しくは、まず基準分光画像データの各画素それぞれについて、該画素が属する画素行に係る平均輝度値と、該画素が属する画素列に係る平均輝度値と掛け合わせて、該画素に対応する座標位置における「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」を取得する。
【0102】
続いて、上記「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」、すなわち所定の画素が属する画素行に係る平均輝度値と、該画素が属する画素列に係る平均輝度値と掛け合わせた値を、基準分光画像データにおける該画素の輝度値で割ることにより、該画素に対応する座標位置に係る補正値を得る。
【0103】
以下、図8に示すデータ構造を有する基準分光画像データを例にして具体的に説明する。まず、基準分光画像データの座標(1,1)の画素について、該画素が属する第1行目の画素行に係る平均輝度値と、該画素が属する第1列目の画素列に係る平均輝度値と掛け合わせて、座標(1,1)に係る「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」を取得する。
【0104】
ここで、例えば第1行目の画素行に係る平均輝度値が「100」、第1列目の画素列に係る平均輝度値が「45」である場合、座標(1,1)に係る「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」は「4500」となる。
【0105】
続いて、上記同様の処理を他の座標位置の画素についても実行する。これにより、m行n列の各画素に対応する各座標位置に係る「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」を得ることができる。
【0106】
次に、座標(1,1)に係る「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」、すなわち第1行目の画素行に係る平均輝度値と、第1列目の画素列に係る平均輝度値と掛け合わせた値を、基準分光画像データの座標(1,1)の画素の輝度値で割ることにより、座標(1,1)に係る補正値を得る。
【0107】
ここで、例えば座標(1,1)に係る「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」が「4500」、基準分光画像データの座標(1,1)の画素の輝度値が「90」である場合、補正値は「50」となる。
【0108】
続いて、上記同様の処理を他の座標位置の画素についても実行する。これにより、m行n列の各画素に対応する各座標位置に係る補正値を得ることができる。
【0109】
そして、補正値算出処理によって得られた各座標位置に係る補正値を、記憶手段としての設定データ記憶装置76に記憶し、補正値設定ルーチンを終了する。
【0110】
次に、PTPシート1の製造過程において、分析対象となるスペクトルデータを取得するスペクトルデータ取得ルーチンについて図9のフローチャートを参照して説明する。尚、本ルーチンは、容器フィルム3が所定量搬送される毎に繰り返し実行される処理である。
【0111】
制御処理装置54は、まずステップS11において、連続搬送される容器フィルム3(錠剤5)に対し照明装置52から近赤外光を照射しつつ(照射工程)、撮像装置53による撮像処理(露光処理)を実行する。
【0112】
ここで、制御処理装置54は、PTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて撮像装置53を駆動制御し、該撮像装置53が撮像する分光画像データを画像データ記憶装置74に取り込む。
【0113】
これにより、照明装置52から容器フィルム3に向け照射された近赤外光のうち、ステップS11の撮像処理の実行期間(露光期間)中において、搬送方向撮像範囲W(図11参照)にて反射した反射光が撮像装置53に入射する。つまり、1回の撮像処理で搬送方向撮像範囲Wが撮像されることとなる。
【0114】
撮像装置53に入射した反射光は二次元分光器62により分光され(分光工程)、カメラ63の撮像素子65により分光画像(分光スペクトル)として撮像される(撮像工程)。尚、撮像処理の実行期間(露光期間)中、容器フィルム3(錠剤5)は連続搬送されているため、ここでは、搬送方向撮像範囲Wの平均化された分光スペクトルが撮像されることなる(図10参照)。
【0115】
図10は、錠剤5上の所定位置にて反射した反射光の分光スペクトルLSが撮像素子65の受光面65aに投射された状態を示す模式図である。図10においては、便宜上、錠剤5に係る分光スペクトルLSのみ図示し、その他の部位(容器フィルム3等)に係る分光スペクトルについては図示を省略している。
【0116】
撮像装置53により撮像された分光画像(分光スペクトル)データは、インターバル期間中に制御処理装置54へ出力され、画像データ記憶装置74に記憶される。尚、ここでいうインターバル期間とは、画像データの読出期間のことである。つまり、撮像装置53による撮像サイクルは、撮像処理の実行期間である露光期間と、インターバル期間の合計時間で表すことができる。
【0117】
ステップS11の撮像処理により分光画像データ(検査分光画像データ)が取得されると、制御処理装置54は補正処理を実行する(ステップS12)。かかる工程が本実施形態における画像補正工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態における画像補正手段が構成されることとなる。
【0118】
かかる補正処理においては、上記補正値設定ルーチンにより予め取得され、設定データ記憶装置76に記憶されている補正値を基に検査分光画像データを補正する。詳しくは、検査分光画像データの各画素の輝度値に対し、該画素に対応する座標位置に係る補正値を掛けることで、各画素の輝度値を補正することができる。補正後の分光画像データ(補正分光画像データ)は、画像データ記憶装置74に記憶される。
【0119】
ここで、例えば検査分光画像データの所定の画素の輝度値が「100」、該画素に対応する座標位置に係る補正値が「50」である場合、補正分光画像データの該画素の輝度値は「5000」となる。
【0120】
ステップS12の補正処理により補正分光画像データが取得されると、制御処理装置54はスペクトルデータ生成処理を実行する(ステップS13)。
【0121】
スペクトルデータ生成処理では、ステップS12において取得した補正分光画像データを基にスペクトルデータを生成する。スペクトルデータが生成されると、これを画像データ記憶装置74に記憶し、本ルーチンを一旦終了する。かかる工程が本実施形態におけるスペクトルデータ取得工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態におけるスペクトルデータ取得手段が構成されることとなる。
【0122】
そして、図11に示すように、容器フィルム3(錠剤5)が所定量搬送される毎に、搬送方向撮像範囲Wが断続的に相対移動していき、上記スペクトルデータ取得ルーチンが繰り返されることにより、画像データ記憶装置74には、各搬送方向撮像範囲Wに対応するスペクトルデータがフィルム搬送方向(Y方向)及びフィルム幅方向(X方向)の位置情報と共に時系列に順次記憶されていく。これにより、画素毎にスペクトルデータを有した二次元的なスペクトル画像Qが生成されていくこととなる(図12参照)。
【0123】
ここで、本実施形態におけるスペクトル画像Qについて説明する。図12に示すように、スペクトル画像Qは、複数の画素Qaが二次元配列された画像データである。各画素Qaには、それぞれスペクトルデータ〔複数の波長又は波長帯域におけるスペクトル強度(輝度値)を示すデータ〕が含まれている。
【0124】
そして、検査対象となる1つ分のPTPシート1に相当する範囲(図12の二点鎖線部参照)のスペクトル画像Qが取得されると、制御処理装置54は検査ルーチンを実行する。
【0125】
次に検査ルーチンについて図13のフローチャートを参照して説明する。尚、検査ルーチンは、1つ分のPTPシート1に相当する範囲のスペクトル画像Qが取得される毎に繰り返し行われるものである。
【0126】
制御処理装置54は、まずステップS21において、スペクトル画像Qの各画素Qaのうち、錠剤5に対応する画素、すなわち分析対象となる画素(対象画素)Qbを抽出する。
【0127】
本実施形態では、例えば各画素Qaのスペクトルデータ中の所定波長の強度データ(輝度値)が予め定めた閾値以上であるか否かを判定し、スペクトル画像Qに対し二値化処理を行う。そして、得られた二値化画像データを基に対象画素Qbを抽出する(図12,14参照)。
【0128】
図14に示すように、本実施形態では、背景の影響を受けることなく錠剤5の範囲のみを撮像したデータを含んだ画素Qaが対象画素Qbとして抽出される。図14は、搬送方向撮像範囲Wとスペクトル画像Qとの関係を説明するための説明図である。図12,14では、対象画素Qbとして抽出された画素を斜線で示している。
【0129】
尚、画素抽出方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば、各画素Qa毎にスペクトルデータの積算値を算出し、かかる値が予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、対象画素Qbを抽出する構成としてもよい。
【0130】
次に、制御処理装置54は、ステップS22において、上記ステップS21で得られた対象画素Qbのグループ化処理を行う。本実施形態では、例えば隣接する全ての対象画素Qbを1つのグループとする。
【0131】
尚、グループ化方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば特定の画素を中心とした所定の範囲に含まれる画素を該特定の画素と同一グループであると判断するようにしてもよい。
【0132】
そして、1つにグループ化された対象画素Qbは、同一の錠剤5に係る対象画素Qbとして取り扱う(図12,14参照)。図12,14では、グループ化した対象画素Qbを太枠により囲んでいる。
【0133】
次に、制御処理装置54は、ステップS23において、上記ステップS22においてグループ化された対象画素Qbのスペクトルデータに基づいて、該グループに対応する錠剤5に係るスペクトルデータを算出する。
【0134】
本実施形態では、グループ化された対象画素Qbのスペクトルデータを全て用いて、その平均値を求め、これを錠剤5に係るスペクトルデータ(平均スペクトルデータ)として算出する。これに限らず、グループ化された対象画素Qbの中から1以上の対象画素Qbを抽出し、該対象画素Qbのスペクトルデータを、錠剤5に係るスペクトルデータとして算出する構成としてもよい。また、適宜、微分処理等を行うようにしてもよい。
【0135】
次に、制御処理装置54は、ステップS24において分析処理を実行する。かかる処理が本実施形態における分析工程に相当し、かかる処理を実行する制御処理装置54の機能により、本実施形態における分析手段が構成されることとなる。
【0136】
本実施形態では、予め取得したローディングベクトルを用いて、上記ステップS23で求めた錠剤5のスペクトルデータに対し主成分分析(PCA)を行う。より詳しくは、前記ローディングベクトルと、錠剤5のスペクトルデータとを演算することによって主成分得点を算出する。
【0137】
続いて、制御処理装置54は、ステップS25において、対象となる錠剤5が良品(同品種)であるか、不良(異品種)であるか判定する判定処理を行う。より詳しくは、上記ステップS24で算出した主成分得点をPCA図にプロットし、該プロットされたデータが予め設定された良品範囲内にあれば良品(同品種)、良品範囲外なら不良(異品種)として判定する。
【0138】
尚、上記ステップS25に係る一連の処理は、PTPシート1上の全ての錠剤5についてそれぞれ実行され、ここで「不良」となる錠剤5が1つも存在しない場合には、該PTPシート1を良品と判定し(ステップS26)、本ルーチンを終了する。一方、「不良」となる錠剤5が1つでもある場合には、該PTPシート1を不良と判定し(ステップS27)、本ルーチンを終了する。そして、これらの検査結果は、表示装置73やPTP包装機10(不良シート排出機構を含む)に出力される。
【0139】
以上詳述したように、本実施形態によれば、補正値設定ルーチンにおいて、基準分光画像データにおける、分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行(第1行目〜第m行目)それぞれについて、該画素行に属する画素(第1列目〜第n列目の画素)の輝度値を基に所定の演算処理として平均処理を実行し、各画素行毎に所定の演算値として平均輝度値を算出する。
【0140】
これにより、分光スペクトルの各波長成分の平均的な輝度レベルを把握することができる。つまり、撮像素子65の平均的な波長−感度特性を把握することができる。
【0141】
さらに、本実施形態では、基準分光画像データにおける、分光スペクトルの波長分散方向と平行する各画素列(第1列目〜第n列目)それぞれについて、該画素列に属する画素(第1行目〜第m行目の画素)の輝度値を基に所定の演算処理として平均処理を実行し、各画素列毎に所定の演算値として平均輝度値を算出する。
【0142】
これにより、撮像領域幅方向(X方向)の各位置における平均的な輝度レベルを把握することができる。つまり、撮像領域における平均的な幅方向−輝度特性(照射光の輝度ムラ)を把握することができる。
【0143】
そして、基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る平均輝度値、及び、該画素が属する画素列に係る平均輝度値を基に、基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する構成となっている。
【0144】
上述したように、本実施形態によれば、撮像素子65の波長−感度特性を把握することにより、補正値の大きさが画素毎に極端に変わらず、波長成分によってノイズレベルが大きく異なってしまうような不具合の発生を抑制することができる。結果として、分光分析を利用した検査に係る検査精度の向上を図ることができる。
【0145】
加えて、本実施形態によれば、撮像領域における平均的な幅方向−輝度特性(照射光の輝度ムラ)を把握することにより、補正値のノイズレベルが撮像領域の座標位置による輝度ムラの影響を受けにくくなる。結果として、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0146】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。第2実施形態は、PTPシート1の製造開始前(異品種混入検査の開始前)に行われる補正値設定ルーチンの内容が第1実施形態と異なる。従って、本実施形態では、第1実施形態と異なる構成部分について詳しく説明し、同一構成部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0147】
図15に示すように、制御処理装置54は、まず基準板撮像処理を実行する(ステップS31)。これにより、基準板に係る分光スペクトルが撮像され、基準分光画像データAが取得されることとなる(図16参照)。図16は、基準分光画像データAのデータ構造を二次元的に示す模式図である。
【0148】
基準分光画像データAは、複数の画素がm行n列(1≦i≦n、1≦j≦m、i,j,n,mは自然数)の行列状に並び、各座標位置(i,j)の画素毎に所定の輝度値データA(i,j)を有した構造となっている。尚、図16に示す例では、列方向(縦方向)が波長分散方向(Y方向)となり、行方向(横方向)が撮像領域幅方向(X方向)となっている。
【0149】
次に、制御処理装置54は、外れ値除去処理を実行する(ステップS32)。外れ値除去処理においては、まずステップS31において取得した基準分光画像データAにおける、分光スペクトルの波長分散方向(Y方向)と直交する各画素行(第1行目〜第m行目)それぞれについて分布を求める。ここで、平均μ(j)、標準偏差σ(j)は、下記[数1]の関係式で表すことができる。
【0150】
【数1】
【0151】
続いて、行方向に対し平均を0、分散を1に正規化する。これにより、例えば図17に示すように二次元展開される正規化データBが得られる。ここで、各座標位置(i,j)に係る正規化データ値B(i,j)は、下記[数2]の関係式で表すことができる。
【0152】
【数2】
【0153】
続いて、正規化データBにおいて、下記[数3]の条件を満たしたデータのみ採用する。
【0154】
【数3】
【0155】
ここで、αはパラメータである。また、平均μ´(i)、標準偏差σ´(i)は、下記[数4]の関係式で表すことができる。
【0156】
【数4】
【0157】
つまり、μ´(i)±{α×σ´(i)}の範囲外のデータは外れ値とみなし、無効データとして取り扱う。
【0158】
次に、制御処理装置54は、幅方向−輝度特性取得処理を実行する(ステップS33)。かかる工程が本実施形態における撮像領域輝度特性把握工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態における撮像領域輝度特性把握手段が構成されることとなる。
【0159】
幅方向−輝度特性取得処理においては、まずステップS32の外れ値除去処理により、外れ値を無効データとした基準画像データA(図16参照)に対し、再度、分光スペクトルの波長分散方向(Y方向)と直交する各画素行(第1行目〜第m行目)それぞれについて分布を求める。ここで、平均μ″(j)、標準偏差σ″(j)は、下記[数5]の関係式で表すことができる。
【0160】
【数5】
【0161】
ここで、Ch(j)は、第j行目の画素行のデータ個数である。
【0162】
続いて、行方向に対し平均を0、分散を1に正規化する。これにより、例えば図18に示すように二次元展開される正規化データDが得られる。ここで、各座標位置(i,j)に係る正規化データ値D(i,j)は、下記[数6]の関係式で表すことができる。
【0163】
【数6】
【0164】
続いて、正規化データDにおける、各画素列(第1列目〜第n列目)それぞれについて、平均値Dave(i)を求める。平均値Dave(i)は、下記[数7]の関係式で表すことができる。
【0165】
【数7】
【0166】
ここで、Cv(i)は、第i列目の画素列のデータ個数である。
【0167】
そして、平均値Dave(i)に対して、最大値Rmax(i)を1、最小値Rmin(i)を0に正規化する。
【0168】
これにより、行方向の最大〜最小部分の割合T(i)が得られる。割合T(i)は、下記[数8]の関係式で表すことができる。
【0169】
【数8】
【0170】
次に、これを基準分光画像データAに当てはめ、絶対値データ(行方向全体)の割合を求める。
【0171】
まず基準分光画像データAの各画素列(第1列目〜第n列目)それぞれについて最大値Pmax(i)及び最小値Pmin(i)を求める。続いて、行方向における最大値Rmax(i)の位置における最大値Pmax(i)を求めると共に、行方向における最小値Rmin(i)の位置における最小値Pmin(i)を求める。これにより求められる行データの割合V(i)は、下記[数9]の関係式で表すことができる。
【0172】
【数9】
【0173】
上記一連の処理によって、幅方向−輝度特性取得処理(ステップS33)においては、幅方向−輝度特性として、行データの割合V(i)が取得されると共に、基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの個数Cx、及び、基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの合計値Sumxが取得されることとなる。
【0174】
基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの個数Cx、及び、基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの合計値Sumxは、下記[数10]の関係式で表すことができる。
【0175】
【数10】
【0176】
次に、制御処理装置54は、波長−感度特性取得処理を実行する(ステップS34)。かかる工程が本実施形態における波長感度特性把握工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態における波長感度特性把握手段が構成されることとなる。
【0177】
波長−感度特性取得処理においては、まずステップS32の外れ値除去処理により、外れ値を無効データとした基準画像データA(図16参照)に対し、分光スペクトルの波長分散方向(Y方向)と平行する各画素列(第1列目〜第n列目)それぞれについて分布を求める。ここで、平均μ″(i)、標準偏差σ″(i)は、下記[数11]の関係式で表すことができる。
【0178】
【数11】
【0179】
ここで、Cv(i)は、第i列目の画素列のデータ個数である。
【0180】
続いて、列方向に対し平均を0、分散を1に正規化する。これにより、例えば図18に示すように二次元展開される正規化データDが得られる。ここで、各座標位置(i,j)に係る正規化データ値D(i,j)は、下記[数12]の関係式で表すことができる。
【0181】
【数12】
【0182】
続いて、正規化データDにおける、各画素行(第1行目〜第m行目)それぞれについて、平均値Dave(j)を求める。平均値Dave(j)は、下記[数13]の関係式で表すことができる。
【0183】
【数13】
【0184】
ここで、Ch(j)は、第j行目の画素行のデータ個数である。
【0185】
そして、平均値Dave(j)に対して、最大値Rmax(j)を1、最小値Rmin(j)を0に正規化する。
【0186】
これにより、列方向の最大〜最小部分の割合T(j)が得られる。割合T(j)は、下記[数14]の関係式で表すことができる。
【0187】
【数14】
【0188】
次に、これを基準分光画像データAに当てはめ、絶対値データ(列方向全体)の割合を求める。
【0189】
まず基準分光画像データAの各画素行(第1行目〜第m行目)それぞれについて最大値Pmax(j)及び最小値Pmin(j)を求める。続いて、列方向における最大値Rmax(j)の位置における最大値Pmax(j)を求めると共に、列方向における最小値Rmin(j)の位置における最小値Pmin(j)を求める。これにより求められる列データの割合V(j)は、下記[数15]の関係式で表すことができる。
【0190】
【数15】
【0191】
上記一連の処理によって、波長−感度特性取得処理(ステップS34)においては、波長−感度特性として、列データの割合V(j)が取得されると共に、基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの個数Cy、及び、基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの合計値Sumyが取得されることとなる。
【0192】
基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの個数Cy、及び、基準分光画像データAにおいて無効データを除いた全輝度値データの合計値Sumyは、下記[数16]の関係式で表すことができる。
【0193】
【数16】
【0194】
次に、制御処理装置54は、補正値算出処理を実行する(ステップS35)。かかる工程が本実施形態における補正値算出工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態における補正値算出手段が構成されることとなる。
【0195】
補正値算出処理においては、まずステップS33において取得した行データの割合V(i)、及び、ステップS34において取得した列データの割合V(j)を掛け合わせ、二次元に展開する。
【0196】
これにより、例えば図19に示すように全輝度値データの割合(分布)Eが得られる。つまり、各座標位置における「幅方向−輝度特性(輝度ムラ)を考慮した波長−感度特性」を取得することができる。ここで、座標(i,j)に係る割合E(i,j)は、下記[数17]の関係式で表すことができる。
【0197】
【数17】
【0198】
次に、全輝度値データの割合の平均Eaveを求める。平均Eaveは、下記[数18]の関係式で表すことができる。
【0199】
【数18】
【0200】
次に、行データの割合V(i)、及び、列データの割合V(j)の算出に用いた基準分光画像データAの全輝度値データの平均値Faveを求める。平均値Faveは、下記[数19]の関係式で表すことができる。
【0201】
【数19】
【0202】
そして、全輝度値データの平均値Faveを割合の平均Eaveで割ることにより、補正値がMax値「1」となる場合の基準分光画像データAの輝度値データを求める。Max値は、下記[数20]の関係式で表すことができる。
【0203】
【数20】
【0204】
そして、これを図19に示す全輝度値データの割合Eに展開することにより、図20に示すような仮想的な補正後の画像データGを得ることができる。ここで、各座標(i,j)に係る補正後の輝度値データG(i,j)は、下記[数21]の関係式で表すことができる。
【0205】
【数21】
【0206】
各座標(i,j)に係る補正後の輝度値データG(i,j)を、各座標(i,j)に係る基準分光画像データAの輝度値データで割ることにより、図21に示すように、各座標位置(i,j)それぞれに係る補正値H(i,j)を得ることができる。ここで、各座標位置(i,j)に係る補正値H(i,j)は、下記[数22]の関係式で表すことができる。
【0207】
【数22】
【0208】
そして、補正値算出処理によって得られた各座標位置(i,j)に係る補正値H(i,j)を、記憶手段としての設定データ記憶装置76に記憶し、補正値設定ルーチンを終了する。
【0209】
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0210】
特に本実施形態では、撮像素子65の波長感度特性、及び、撮像領域の輝度特性を把握するにあたり、正規化処理を行う構成となっているため、上記第1実施形態に比べ、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0211】
加えて、本実施形態では、外れ値除去処理を行う構成となっているため、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0212】
尚、上記各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0213】
(a)上記各実施形態では、内容物(検査対象物)が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えばカプセル剤やサプリメント、食品等であってもよい。また、錠剤には素錠や糖衣錠などの固形製剤が含まれる。
【0214】
(b)容器フィルム3やカバーフィルム4の材料は、上記各実施形態に限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。例えば容器フィルム3が、アルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成された構成としてもよい。
【0215】
(c)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記各実施形態に何ら限定されるものではなく、例えば3列12個のポケット部を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0216】
(d)上記各実施形態では、ポケット部2に錠剤5が充填された後工程かつ容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着される前工程において、検査装置22による異品種混入検査が行われる構成となっている。
【0217】
これに限らず、例えば容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着された後工程かつPTPフィルム6からPTPシート1が打抜かれる前工程において、PTPフィルム6の容器フィルム3側から検査装置22による異品種混入検査が行われる構成としてもよい。
【0218】
また、PTPフィルム6からPTPシート1が打抜かれた後工程において、取出しコンベア39によって搬送されているPTPシート1の容器フィルム3側から検査装置22による異品種混入検査が行われる構成としてもよい。
【0219】
この際、検査装置22がPTP包装機10内に設けられた構成(インライン)に代えて、PTP包装機10とは別に、オフラインでPTPシート1を検査する装置として検査装置22を備えた構成としてもよい。また、かかる場合に、PTPシート1を搬送可能な搬送手段を検査装置22に備えた構成としてもよい。
【0220】
また、ポケット部2に錠剤5が充填される前工程において、検査装置22による異品種混入検査が行われる構成としてもよい。例えば錠剤充填装置21に錠剤5を投入する前段階に検査を行う構成としてもよい。つまり、PTP包装機10とは別に、オフラインで錠剤5を検査する装置として検査装置22を備えた構成としてもよい。
【0221】
(e)照明装置52及び撮像装置53の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば二次元分光器62に代えて、分光手段として反射型回折格子やプリズム等を採用した構成としてもよい。
【0222】
(f)上記各実施形態では、スペクトルデータを主成分分析(PCA)により分析する構成となっているが、これに限らず、PLS回帰分析など、他の公知の方法を用いて分析する構成としてもよい。
【0223】
(g)上記各実施形態に係る補正値設定ルーチンにおいては、撮像素子65の波長感度特性、及び、撮像領域の輝度特性を把握し、これらを基に補正値を算出する構成となっている。これに限らず、少なくとも撮像素子65の波長感度特性を把握し、これを基に補正値を算出する構成としてもよい。
【0224】
(h)波長−感度特性取得処理の内容、及び/又は、幅方向−輝度特性取得処理の内容は、上記各実施形態に係る内容に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0225】
例えば上記第1実施形態では、所定の画素行又は画素列に属する画素の輝度値を平均する平均処理を行い、これにより算出された平均輝度値を該画素行又は該画素列に係る特性とする構成となっているが、これに代えて、例えば所定の画素行又は画素列に属する画素の輝度値を加算する加算処理を行い、これにより算出された加算輝度値を該画素行又は該画素列に係る特性とする構成としてもよい。
【0226】
(i)上記第2実施形態では、正規化処理を行うにあたり、例えば平均を第1値としての「0」、分散を第2値としての「1」に正規化しているが、第1値及び/又は第2値は「0」や「1」に限定されるものではなく、他の値としてもよい。
【0227】
(j)上記第1実施形態において、外れ値除去処理を行う構成としてもよいし、上記第2実施形態において、外れ値除去処理を省略した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0228】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、10…PTP包装機、22…検査装置、52…照明装置、53…撮像装置、54…制御処理装置、62…二次元分光器、62a…スリット、63…カメラ、64…受光素子、65…撮像素子、74…画像データ記憶装置、76…設定データ記憶装置、LS…分光スペクトル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2019年5月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データにおける、少なくとも前記波長分散方向と平行する各画素列について、該画素列に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性を把握する撮像領域輝度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項3】
容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体から前記PTPシートを切離す切離手段と、
前記内容物を前記検査対象物として検査を行う請求項1又は2に記載の検査装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項4】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。
【請求項5】
対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データにおける、少なくとも前記波長分散方向と平行する各画素列について、該画素列に属する画素の輝度値を用いて所定の演算処理を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性を把握する撮像領域輝度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
手段1.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理(例えば主成分分析)を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
手段2.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握手段と、
前記基準分光画像データにおける、少なくとも前記波長分散方向と平行する各画素列について、該画素列に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性(例えば照射光の輝度ムラ)を把握する撮像領域輝度特性把握手段と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出手段と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正手段と、
前記検査分光画像データを補正した補正分光画像データを基にスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、前記検査対象物について所定の分析処理(例えば主成分分析)を行う分析手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
手段4.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、及び、該画素が属する画素行に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
手段5.対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
複数の受光素子が行列状に配置された撮像素子を有し、前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段とを備え、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置の較正方法であって、
前記撮像手段により所定の基準対象物(例えば基準板)に係る分光スペクトルを撮像し取得した基準分光画像データにおける、少なくとも前記分光スペクトルの波長分散方向と直交する各画素行について、該画素行に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素行毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での前記撮像素子の波長感度特性を把握する波長感度特性把握工程と、
前記基準分光画像データにおける、少なくとも前記波長分散方向と平行する各画素列について、該画素列に属する画素(一部又は全部の画素)の輝度値を用いて所定の演算処理(例えば加算処理、平均処理、正規化処理など)を実行し、各画素列毎の特性を求めることにより、前記照射手段から照射される近赤外光の下での撮像領域の輝度特性(例えば照射光の輝度ムラ)を把握する撮像領域輝度特性把握工程と、
前記基準分光画像データの各画素の輝度値、並びに、該画素が属する画素行に係る前記特性、及び、該画素が属する画素列に係る前記特性を基に、前記基準分光画像データの各画素に対応する座標位置それぞれに係る補正値を算出する補正値算出工程と、
前記撮像手段により所定の検査対象物(例えば錠剤)を撮像し取得した検査分光画像データの各画素の輝度値を、該画素に対応する座標位置に係る前記補正値を基に補正する画像補正工程とを備えたことを特徴とする検査装置の較正方法。