【課題】第1モータのステータと第2モータのステータとを接続する接続部材を備えることなく、第1モータ、第2モータおよびカメラ部に電力を供給する電力供給系を2系統にすることができる振れ補正機能付き光学ユニットを提供すること。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子13を有するカメラ部3と、コイル38を備えるステータ50および第1軸R1回りに回転するロータ21を有する第1モータ4と、第1モータ4およびカメラ部3を支持する支持体6と、支持体6を第1軸R1と直交する第2軸R2回りに回転させるための第2モータ7を有する。ロータ21は、支持体6に固定され、カメラ部3は、ステータ50に固定され、カメラ部3およびステータ50は、支持体6に対して相対回転する可動体60となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の光学ユニットでは、第1モータの第1ステータ(コイル)、第2モータの第2ステータ(コイル)、および、カメラ部の撮像素子に電力を供給する必要がある。ここで、第1モータの第1ステータ、第2モータの第2ステータ、および、カメラ部のそれぞれに給電線を接続すると、電力供給系が3系統となるので、製造時に給電線の取り回しが煩雑になるという問題がある。
【0006】
このような問題に対し、第1モータの第1ステータと第2モータの第2ステータとの間をフレキシブルプリント基板等の接続部材で電気的に接続しておき、第1モータのステータおよび第2モータステータの一方にのみ給電線を接続することが考えられる。このようにすれば、一方のモータのステータには、給電線を介して、電力を供給できる。他方のモータのステータには、給電線および接続部材(フレキシブルプリント基板)を介して、電力を供給する。カメラ部には、別の給電線を接続して直接電力を供給できる。これにより、光学ユニットの電力供給系が2系統となるので、給電線の取り回しが容易となる。
【0007】
しかし、特許文献1の光学ユニットでは、第2モータを駆動したときに、第1モータのステータと第2モータのステータとが相対回転する。従って、第1モータのステータと第2モータのステータとを接続部材で接続した場合には、接続部材によって第1モータのステータと第2モータのステータとの相対回転が阻害される可能性がある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、相対回転する第1モータのステータと第2モータのステータとを電気的に接続することなく、第1モータ、第2モータ、および、カメラ部への電力供給系を2系統にすることができる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子および撮像素子を有するカメラ部と、コイルを備えるステータおよび第1軸回りに回転するロータを有する第1モータと、前記第1モータおよびカメラ部を支持する支持体と、前記支持体を、前記第1軸と垂直な平面上にある第2軸回りに回転させるための第2モータと、を有し、前記ロータは、前記支持体に固定され、前記カメラ部は、前記ステータに固定され、前記カメラ部および前記ステータは、前記支持体に対して相対回転する可動体を構成していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、カメラ部は第1モータのステータに固定されているので、第1モータのステータとカメラ部とは相対回転しない。従って、カメラ部と第1モータのステータとの間は、これらの相対回転を考慮することなく、接続部材を用いて電気的に接続できる。よって、カメラ部と第1モータのステータとを接続部材で電気的に接続しておき、カメラ部および第1モータのステータの一方に給電線を接続すれば、カメラ部および第1モータのステータの一方には、給電線を介して、電力を供給できる。また、カメラ部および第1モータのステータの他方には、給電線および接続部材を介して、電力を供給できる。そして、第2モータには別の給電線を接続して直接電力を供給すれば、電力供給系を2系統にすることができる。また、このようにすれば、相対回転する第1モータのステータと第2モータのステータとの間に接続部材を備える必要がないので、接続部材によってこれらの相対回転が阻害されることがない。
【0011】
本発明において、前記カメラ部と前記ステータとを電気的に接続する接続部材を備えることが望ましい。カメラ部と第1モータのステータとは相対回転しないので、これらの間を基板やコネクタなどの接続部材によって電気的に接続することが容易である。
【0012】
本発明において、前記第1軸は、前記光学素子の光軸と平行、または、前記光軸と一致しているものとすることができる。このようにすれば、第1モータの駆動により、カメラ部を光軸に沿った第1軸回りに回転させるローリング補正を行うことができる。一方、第2モータの回転により、カメラ部を光軸と垂直な平面上にある第2軸回りに回転させてピッチング(縦揺れ)補正またはヨーイング(横揺れ)補正を行うことができる。
【0013】
本発明において、前記カメラ部を前記ステータに固定するための固定部材を有し、前記ステータは、前記第1軸と直交して前記コイルが固定されたステータ基板を備え、前記カメラ部は、前記光学素子の光軸と直交する基板表面を有し当該基板表面に前記撮像素子が実装されたカメラ基板を備え、前記カメラ基板は、前記ステータ基板と隙間を開けて平行に配置され、前記固定部材を介して前記ステータ基板に固定されているものとすることができる。このようにすれば、カメラ部を第1モータのステータに固定することが容易となる。また、このようにすれば、カメラ基板とステータ基板との間に隙間が設けられるので、撮像素子からの熱およびコイルからの熱を放出しやすい。
【0014】
本発明において、前記コイルは、前記第1軸に沿った方向で、前記ステータ基板と前記カメラ基板との間に位置するものとすることができる。このようにすれば、カメラ基板とステータ基板との間に設けた隙間にコイルを配置できるので、カメラ部と第1モータとを光軸方向(第1軸に沿った方向)で小型にできる。
【0015】
本発明において、前記コイルは、前記第1軸に沿った方向で、前記ステータ基板の前記カメラ基板とは反対側に位置するものとすることができる。このようにすれば、ステータ基板とカメラ基板との間にコイルなどが存在しないので、製造時に、ステータ基板とカメラ基板とを固定する固定作業が容易である。
【0016】
本発明において、前記接続部材は、前記ステータ基板と前記カメラ基板とを接続するコネクタを備え、前記コネクタは、前記固定部材を兼ねているものとすることができる。このようにすれば、部品点数を削減できる。
【0017】
本発明において、前記カメラ部と前記第1モータとは、前記光軸方向に配列されており、前記支持体は、前記光軸方向で前記第1モータの前記カメラ部とは反対側に位置して前記光軸と直交する直交方向に延びる底板部と、前記底板部の前記直交方向の両端部分から前記カメラ部の側に向かって延びる一対の側板部と、を有し、前記ロータは、前記底板部に固定され、前記一対の側板部は、前記直交方向で前記第1モータを間に挟んだ両側に位置し、前記第2軸は、前記一対の側板部を通過するものとすることができる。このようにすれば、ロータを支持体に固定することが容易である。また、支持体によって第1モータを3方向から囲んで、保護できる。
【0018】
本発明において、前記第2軸は、前記光学素子の光軸と平行、または、前記光軸と一致しているものとすることができる。このようにすれば、第1モータの駆動により、カメラ部を光軸と垂直な平面上にある第2軸回りに回転させてピッチング(縦揺れ)補正またはヨーイング(横揺れ)補正を行うことができる。また、第2モータの駆動により、カメラ部を光軸と平行、または、光軸と一致する第1軸回りに回転させてローリング補正を行うことができる。
【0019】
本発明において、前記カメラ部を前記ステータに固定するための固定部材を有し、前記ステータは、前記光軸に沿って延びて前記コイルが固定されたステータ基板を備え、前記カメラ部は、前記光軸と直交する基板表面を有し当該基板表面に沿って前記撮像素子が実装されたカメラ基板を備え、前記カメラ基板は、前記ステータ基板と垂直に配置され、前記固定部材を介して前記ステータ基板に固定されているものとすることができる。このようにすれば、第1軸を光軸と直交させることが容易である。また、カメラ基板とステータ基板とが直交するので、撮像素子からの熱およびコイルからの熱を放出しやすい。
【0020】
本発明において、前記接続部材は、前記ステータ基板と前記カメラ基板とを接続するコネクタを備え、前記コネクタは、前記固定部材を兼ねているものとすることができる。このようにすれば、部品点数を削減できる。
【0021】
本発明において、前記カメラ部と前記第1モータとは、前記光軸方向に配列されており、前記支持体は、前記光軸方向で前記第1モータの前記カメラ部とは反対側に位置して前記光軸と直交する直交方向に延びる底板部と、前記底板部の前記直交方向の両端部分から前記カメラ部の側に向かって延びる一対の側板部と、を有し、前記ロータは、前記一対の側板部の間に位置して当該一対の側板部に固定され、前記第1軸は、前記一対の側板部を通過し、前記第2軸は、前記底板部を通過するものとすることができる。このようにすれば、ロータを支持体に固定することが容易である。また、支持体によって第1モータを3方向から囲んで、保護できる。
【0022】
本発明において、前記カメラ部および前記第1モータの一方に接続された一本のケーブルを備え、前記カメラ部への電力の供給、前記第1モータへの電力の供給、および、前記撮像素子から外部への映像信号の送信を前記一本のケーブルを介して行うことが望ましい
。このようにすれば、カメラ部および第1モータのステータの一方には、給電線を介して、電力を供給できる。また、カメラ部および第1モータのステータの他方には、給電線および接続部材を介して、電力を供給できる。
【0023】
本発明において、前記ケーブルは、前記カメラ部に接続されており、前記カメラ部は、前記ケーブルを介して映像信号を送信するための通信制御部を備え、前記通信制御部は、前記映像信号をシリアル信号として送信するシリアライザを備えることが望ましい。このようにすれば、カメラ基板とケーブルが接続された外部の装置との間で、シリアル通信を行うことができる。
【0024】
本発明において、前記可動体の重心は、前記第1軸と重なることが望ましい。このようにすれば、可動体の姿勢を維持するための必要トルクは、回転時の摩擦などの機械的損失(いわゆる、軸ロス)より大きなトルクであればよい。よって、可動体の傾きを補正する際に第1モータとして、トルクの大きなモータを用いる必要がなく、小型のモータで可動体の姿勢を維持できる。
【0025】
本発明において、前記カメラ部、第1モータ、前記支持体および前記第2モータのロータは、前記第2モータのステータに対して相対回転する第2の可動体を構成しており、前記第2の可動体の重心は、前記第2軸と重なることが望ましい。このようにすれば、第2の可動体の姿勢を維持するための必要トルクは、回転時の摩擦などの機械的損失(いわゆる、軸ロス)より大きなトルクであればよい。よって、第2の可動体の傾きを補正する際に第2モータとして、トルクの大きなモータを用いる必要がなく、小型のモータでカメラ部および第1モータを支持する支持体の姿勢を維持できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、第1モータ、第2モータ、および、カメラ部への電力供給系を2系統にすることができる。従って、製造時に給電線の取り回しが容易となる。また、相対回転する第1モータのステータと第2モータのステータとの間に、これらを電気的に接続する接続部材を備える必要がない。従って、接続部材によってこれらの相対回転が阻害されることがない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0029】
図1は本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2は振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3は振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図4は可動体の制御系および電力供給系の説明図である。本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1は、走行する車両や飛行体などの移動体に搭載されて撮像を行うものである。
【0030】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2(光学素子)を備え
るカメラ部3、カメラ部3を回転させるための第1モータ4、カメラ部3を第1モータ4に固定する固定部材5、カメラ部3および第1モータ4を支持する支持体6、および、支持体6を回転させるための第2モータ7を有する。カメラ部3と第1モータ4とは、カメラ部3のレンズ2の光軸L方向に配列されている。支持体6は、当該振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される移動体に揺動可能に支持される。第2モータ7は、移動体に固定される。以下の説明では、カメラ部3のレンズ2の光軸L方向において、カメラ部3が位置する側を前方L1(被写体側)とし、第1モータ4が位置する側を後方L2(反被写体側)とする。
【0031】
(カメラ部)
図2に示すように、カメラ部3は、レンズ2と、レンズ2を保持するホルダ11と、ホルダ11の後端部に固定されるカメラ基板12と、を備える。カメラ基板12は光軸Lと直交している。
図3に示すように、カメラ基板12において前方L1を向く基板表面12aには、当該基板表面12aに沿って撮像素子13が実装されている。撮像素子13は、ホルダ11の内側において、光軸Lと重なる位置にある。従って、撮像素子13にはレンズ2を通過した光が入射する。
【0032】
基板表面12aには、撮像素子13による撮像を制御する撮像制御部14(
図4参照)が搭載されている。また、基板表面12aには、ケーブルを接続するためのケーブルコネクタ15が設けられている。
図1に示すように、ケーブルコネクタ15には一本のケーブル16が接続されている。ケーブル16としては、同軸ケーブルやツイストペアケーブルが用いられる。ケーブル16のカメラ基板12とは反対側の端部は上位装置に接続されている。上位装置は、車両や飛行体など、本例の振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される移動体の制御部である。カメラ基板12において後方L2を向く基板裏面12bにはカメラ側コネクタ17(コネクタ)が設けられている。カメラ側コネクタ17はカメラ基板12から後方L2に突出する。
【0033】
(第1モータ)
第1モータ4は3相モータである。
図2に示すように、第1モータ4は、そのロータ21の回転軸22が光軸Lと一致する姿勢で配置されている。第1モータ4は、モータ本体25と、ステータ基板26と、モータ制御部27(
図4参照)と、を備える。モータ本体25はステータ基板26に支持されている。ステータ基板26は、カメラ基板12の後方L2で、カメラ基板12と隙間Sを開けて平行に配置されている。従って、ステータ基板26は光軸Lと直交する方向に延びる。
【0034】
モータ制御部27は、ステータ基板26において前方L1を向く基板表面12aに実装されている。モータ制御部27は、上位装置からの制御信号に基づいて、モータ本体25を駆動する。上位装置からの制御信号は、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載された移動体に取り付けられて当該移動体の姿勢の変化を検出する慣性センサの出力に基づくものである。
【0035】
図3に示すように、モータ本体25は、ステータ基板26に形成されたモータ固定孔28に固定される筒状のスリーブ31と、スリーブ31の光軸L方向の前端および後端に保持される第1軸受32および第2軸受33と、第1軸受32および第2軸受33によって回転可能に支持されるロータ部34と、スリーブ31を介してステータ基板26に固定されるステータ部35と、を備える。ステータ部35は、光軸Lを中心として径方向に突出する複数の突極を備える環状のステータコア37と、ステータコア37の各突極に巻き回されるコイル38を備える。ステータ部35は、ステータ基板26の前方L1に構成されている。従って、ステータ部35(コイル38およびステータコア37)はL方向でステータ基板26とカメラ基板12との間に位置する。
【0036】
ロータ部34は、光軸L方向に延びる回転軸22と、回転軸22に固定されるロータケース41と、ロータケース41に固定されるマグネット42を備える。回転軸22は、第1軸受32および第2軸受33によって第1軸R1回りに回転可能に支持される。回転軸22は、スリーブ31から後方L2に突出している。また、回転軸22は、スリーブ31内においてステータ基板26を貫通して、ステータ基板26の後方L2に突出している。ロータケース41は、光軸Lに対して垂直な円形板部44と、円形板部44の外周縁からステータ基板26側(後方L2)へ向かって延びる筒状部45を備えたカップ状の部材である。マグネット42は、筒状部45の内周面に固定される。
【0037】
ステータ基板26の基板表面26aにはモータ側コネクタ47が設けられている。モータ側コネクタ47はステータ基板26から前方L1に突出する。モータ側コネクタ47は、カメラ側コネクタ17に着脱可能に接続される。モータ側コネクタ47およびカメラ側コネクタ17とは、ステータ基板26とカメラ基板12とを電気的に接続するコネクタ49(接続部材)である。
【0038】
図3に示すように、カメラ基板12は、固定部材5を介してステータ基板26に固定されている。固定部材5は、円柱形状の2本の柱部材と、コネクタ49(モータ側コネクタ47およびカメラ側コネクタ17)と、備える。すなわち、コネクタ49は、固定部材5を兼ねている。カメラ基板12とステータ基板26とが固定された状態では、ロータ21の回転軸22の軸線(第1軸R1)が光軸Lと一致する。
【0039】
ここで、モータ本体25のスリーブ31、ステータ部35、ステータ基板26、および、モータ側コネクタ47は第1モータ4のステータ50である。モータ本体25のロータ部34は、第1モータ4のロータ21である。
【0040】
(支持体)
図2に示すように、支持体6は、光軸Lと直交する直交方向に延びる底板部52と、底板部52における直交方向の両端部から前方L1に向かって突出する一対の側板部53、54を備える。各側板部53、54には、その中心部分から直交方向を底板部52とは反対側に突出する軸部55、56が設けられている。一方の側板部53の軸部55と、他方の側板部54の軸部56とは、同軸である。一方の側板部53の軸部55および他方の側板部54の軸部56の軸線は、第1軸R1と直交する第2軸R2である。
【0041】
底板部52の中央部分には、第1モータ4の回転軸22を固定するための回転軸固定穴58が設けられている。第1モータ4は、回転軸固定穴58に回転軸22の後端部分を貫通させた状態で、底板部52に支持される。これにより、第1モータ4のロータ21の回転中心線である第1軸R1は底板部52を通過する。回転軸22が底板部52に固定されると、支持体6の一対の側板部53、54は、第1モータ4の両側に位置する。また、支持体6の底板部52は、第1モータ4の後方L2に位置する。従って、支持体6は、第1モータ4を、第2軸R2方向の両側および後方L2の3方向から保護する。
【0042】
ここで、カメラ部3と第1モータ4のステータ50とが一体とされた状態で(カメラ基板12とステータ基板26とが固定された状態で)、第1モータ4の回転軸22が支持体6に固定されると、第1モータ4のステータ50およびカメラ部3は支持体6に対して第1軸R1回りに相対回転する可動体60を構成する。すなわち、第1モータ4のコイル38へ給電を行ってロータ21を回転させると、支持体6に対して第1モータ4のステータ50およびカメラ部3は、光軸Lと一致する第1軸R1回りに回転する。なお、可動体60は、第1モータ4のステータ50と一体に回転する全ての部材から構成される。すなわち、可動体60は、第1モータ4のステータ50、カメラ部3、固定部材5、コネクタ4
9を含む。可動体60の重心G1は第1軸R1線上に位置する。
【0043】
なお、支持体6は、振れ補正機能付き光学ユニット1が移動体に搭載される際に、一対の軸部55、56が移動体に回転可能に支持される。これにより、支持体6および可動体60は、第2軸R2回りに回転可能な状態で、移動体に支持される。本例では、支持体6が移動体に支持されたときに、第2軸R2は水平方向に延びる。
【0044】
(第2モータ)
第2モータ7は支持体6を光軸Lと直交する第2軸R2回りに回転させるためのものである。第2モータ7は、モータ本体65と、モータ本体65から突出する回転軸67を備える。モータ本体65は、その内部に、回転軸67を備えるロータ部68と、ロータ部68の外周側に位置するステータ部70と、を備える。回転軸67は第2軸R2と同軸に配置されている。
【0045】
ロータ部68は、回転軸67を囲んで配置された環状の磁石71を有する。磁石71の外周面には、N極とS極とが周方向において交互に着磁されている。ステータ部70は、ロータ部68の外周側に位置する環状のステータコア73と、ステータコア73に巻回された複数のコイル74を備える。ステータコア73は、環状部と、環状部から径方向の内側に突出する複数の突極部とを備えるものであり、複数のコイル74は、それぞれ突極部に巻回されている。突極部の内周側端面は、ロータ部68の磁石71の外周面と僅かなギャップを開けて対向する。
【0046】
また、第2モータ7は、第1モータ4と同様のモータ制御部75を備える。モータ制御部75は、上位装置からの制御信号に基づいて、複数のコイル74への給電を制御する。上位装置からの制御信号は、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載された移動体に取り付けられて当該移動体の姿勢の変化を検出する慣性センサの出力に基づくものである。なお、第2モータ7として、第1モータ4と同様の構造のモータを用いることもできる。
【0047】
ここで、モータ本体65のステータ部70およびモータ制御部75は、第2モータ7のステータ80である。第2モータ7のロータ81は、モータ本体65のロータ部68である。
【0048】
第2モータ7の回転軸67は、支持体6の他方の軸部56に同軸に連結される。また、第2モータ7は、当該振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される移動体に固定される。従って、第2モータ7のコイル74へ給電を行ってロータ81を回転させると、支持体6はロータ81と一体に第2軸R2回りに回転する。ここで、カメラ部3、固定部材5、第1モータ4、支持体6、コネクタ49、および、第2モータ7のロータ81は、第2モータ7のステータ80に対して相対回転する第2の可動体83を構成する。第2の可動体83は、第2モータ7のロータ81と一体に回転する全ての部材である。第2の可動体83の重心G2は、第2軸R2上に位置している。
【0049】
(可動体の制御系および電力供給系)
図4は可動体60の制御系および電力供給系の説明図である。
図1に示すように、カメラ部3には、ケーブルコネクタ15を介して、一本のケーブル16が接続されている。ケーブル16におけるカメラ部3とは反対側の端部は上位装置に接続されている。
【0050】
図4に示すように、カメラ部3の制御系は、撮像素子13を備える撮像制御部14と、通信制御部85と、電源部86と、を備える。通信制御部85は撮像制御部14とケーブルコネクタ15との間に接続されている。通信制御部85はシリアライザ87を備える。撮像制御部14から出力される映像信号はシリアライザ87によりシリアル信号とされる
。そして、映像信号(シリアル信号)は、通信制御部85により、ケーブル16を介して、上位装置に送信される。一方、上位装置は、その通信制御部にデシリアライザを備える。これによし、通信制御部85と上位装置との間では、サーデス(SerDes)と呼ばれるシリアル通信が行われる。
【0051】
ここで、カメラ部3には、ケーブル16を介して上位装置の側から電力と制御信号とが供給される。ケーブル16を介して供給される電力は高周波の交流電力であり、制御信号に重畳されて伝送される。電源部86は、ケーブル16を介して伝送されてくる交流電力から直流電力を取り出して、撮像制御部14に供給する。また、電源部86は、交流電力から取り出した直流電力を、カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47を介して第1モータ4に供給する。第1モータ4に供給された直流電力は、電源回路89を介してモータ制御部27のコントロールユニット91に供給されるとともに、ドライバ回路92u、92v、92wを介してコイル38に供給される。
【0052】
一方、ケーブル16を介して送信されてくる制御信号(シリアル信号)は、通信制御部85から撮像制御部14に入力される。また、ケーブル16を介して送信されてくる制御信号は、I2C(Inter-Integrated Circuit)方式のシリアル通信で通信制御部85から、カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47を介して、第1モータ4のモータ制御部27に送信される。
【0053】
モータ制御部27は、MPU、DSP等を内蔵するコントロールユニット91を備える。コントロールユニット91には、上位装置からの制御信号が入力される。また、コントロールユニット91には、カメラ部3の電源部86および電源回路89を介して、電力が供給される。コントロールユニット91の出力側には、U相、V相、W相のコイル38への通電を制御するドライバ回路92u、92v、92wが接続される。ドライバ回路92u、92v、92wとグランドGNDとの間にはシャント抵抗93が接続されている。シャント抵抗93のグランドGNDとは反対側は、アンプ回路94を介してコントロールユニット91に接続されている。
【0054】
ここで、第1モータ4のステータ50(ステータ基板26)は、第1軸R1回りの異なる角度位置に配置された第1ホール素子95および第2ホール素子96を備えており、第1ホール素子95および第2ホール素子96が出力する信号Ha、Hbは、アンプ回路97、98で増幅されたのち、コントロールユニット91に入力される。
【0055】
コントロールユニット91は、第1ホール素子95と第2ホール素子96の信号Ha、Hbを最大振幅に対応する係数で除して正規化データに変換する処理を行う正規化処理部101と、予め作成された参照データ等を記憶する記憶部102と、記憶部102で記憶する参照データを用いてロータ21の回転位置を検出する位置検出部103と、参照データを作成するためのキャリブレーションを実行するキャリブレーション実行部104と、位置検出部103で検出した回転位置と目標位置とを比較して、回転位置を目標位置に一致させるための制御信号(PWM信号)をドライバ回路92u、92v、92wに供給するフィードバック制御部105を備える。
【0056】
モータ制御部27は上位装置からの制御信号に基づいてコイル38への給電を行い、ロータ21を回転させる。これにより、第1モータ4は、可動体60(第1モータ4のステータ50およびカメラ部3)を第1軸R1線回りに駆動し、カメラ部3の姿勢を光軸L回りで補正するローリング補正を行う。
【0057】
第2モータ7のモータ制御部75は、第1モータ4のモータ制御部27と同様に、コントロールユニットとドライバ回路を備える。
図1に示すように、第2モータ7には上記装
置からの給電線111が直接接続される。また、第2モータ7には上位装置とモータ制御部75との間の通信を可能とする信号線112が接続される。本例では、第2モータ7と上位装置との間は複数の信号線112で接続されている。給電線111を介して第2モータ7に供給される電力は、モータ制御部75のコントロールユニットに供給されるとともに、モータ制御部75のドライバ回路を介してコイル74に供給される。複数の信号線112を介して上位装置から第2モータ7に送信される信号はパラレル信号である。第2モータ7のモータ制御部75は上位装置からの制御信号に基づいてコイル74への給電を行い、ロータ81を回転させる。これにより、第2モータ7は、支持体6を第2軸R2回りに駆動して、カメラ部3の姿勢を水平な第2軸R2回り補正するピッチング補正を行う。なお、モータ制御部75には、第1モータ4のモータ制御部27と同様に、上位機器からシリアル信号が入力されるように構成することもできる。
【0058】
(作用効果)
本例によれば、カメラ部3は第1モータ4のステータ50に固定されているので、第1モータ4のステータ50とカメラ部3とは相対回転しない。従って、カメラ部3と第1モータ4のステータ50との間は、コネクタ49(カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47)を用いて電気的に接続できる。よって、カメラ部3と第1モータ4のステータ50とをコネクタ49で電気的に接続し、カメラ部3にケーブル16(給電線)を接続した本例の振れ補正機能付き光学ユニット1によれば、カメラ部3には、ケーブル16(給電線)を介して、電力を供給できる。また、第1モータ4のステータ50には、ケーブル16(給電線)およびコネクタ49を介して、電力を供給できる。一方、第2モータ7には別の給電線111を接続して直接電力を供給するので、電力供給系を2系統にすることができる。
【0059】
ここで、本例によれば、相対回転する第1モータ4のステータ50と第2モータ7のステータ80との間に、これらを電気的に接続するフレキシブルプリント基板などの接続部材を備える必要がない。従って、接続部材により、これらの相対回転が阻害されることがない。さらに、相対回転する第2モータ7のステータ80とカメラ部3との間にも、これらを電気的に接続するフレキシブルプリント基板などの接続部材を備える必要がない。よって、接続部材により、これらの相対回転が阻害されることもない。
【0060】
また、本例では、第1軸R1は、光軸Lと一致しており、第2軸R2は、光軸Lと直交する。従って、第1モータ4の駆動により、カメラ部3を光軸L回り(第1軸R1回り)に回転させるローリング補正を行うことができる。一方、第2モータ7の回転により、カメラ部3を光軸Lと直交する第2軸R2回りに回転させてピッチング(縦揺れ)補正を行うことができる。なお、支持体6を移動体に支持させる際に、第2軸R2が鉛直方向に延びるようにすれば、第2モータ7の回転によりヨーイング(横揺れ)補正を行うことができる。
【0061】
さらに、本例では、カメラ基板12は、ステータ基板26と隙間Sを開けて平行に配置されている。従って、撮像素子13からカメラ基板12に伝わる熱や、コイル38やモータ制御部27からステータ基板26に伝わる熱を外部に放出しやすい。
【0062】
また、本例では、第1モータ4のコイル38は、第1軸R1に沿った方向で、ステータ基板26とカメラ基板12との間に位置する。これにより、カメラ基板12とステータ基板26との間に設けた隙間Sにコイル38を配置できるので、カメラ部3と第1モータ4とを光軸L方向で小型にできる。
【0063】
さらに、本例では、ステータ基板26への電力の供給、カメラ基板12への電力の供給、および、撮像素子13から外部への映像信号の送信、カメラ部3および第1モータ4へ
の制御信号の供給を、一本のケーブル16を介して行う。これにより、配線が簡易なものとなる。
【0064】
また、カメラ部3は、ケーブル16を介して映像信号を送信するための通信制御部85を備え、通信制御部85は、映像信号をシリアル信号として送信するシリアライザ87を備える。これにより、カメラ部3および第1モータ4は、上位装置との間で、サーデスと呼ばれるシリアル通信を行うことができる。
【0065】
さらに、本例では、可動体60の重心G1は、第1軸R1線と重なる。従って、可動体60の姿勢を維持するための必要トルクは、回転時の摩擦などの機械的損失(いわゆる、軸ロス)より大きなトルクであればよい。よって、可動体60の傾きを補正する際に第1モータ4として、トルクの大きなモータを用いる必要がなく、小型のモータで可動体60の姿勢を維持できる。
【0066】
また、第2の可動体83の重心G2(カメラ部3、固定部材5、第1モータ4、支持体6、および、第2モータ7のロータ81の重心)は、第2軸R2と重なる。従って、第2の可動体83の姿勢を維持するための必要トルクは、回転時の摩擦などの機械的損失より大きなトルクであればよい。よって、第2の可動体83の傾きを補正する際に第2モータ7として、トルクの大きなモータを用いる必要がなく、小型のモータで第2の可動体83の姿勢を維持できる。
【0067】
(変形例1)
図5は変形例1の振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。本例の振れ補正機能付き光学ユニット1Aでは、振れ補正機能付き光学ユニット1の第1モータ4を光軸L方向で前後を反転させて配置している。また、反転させた姿勢の第1モータ4において、回転軸22を、ロータケース41から後方L2に突出させている。カメラ基板12は、複数の柱状の固定部材5を介して、ステータ基板26に固定されている。カメラ部3と固定部材5との間は、フレキシブルプリント基板115により電気的に接続している。第1モータ4のステータ50およびカメラ部3は支持体6に対して第1軸R1回りに相対回転する可動体60である。可動体60の重心G1は、第1軸R1上に位置する。また、カメラ部3、固定部材5、第1モータ4、支持体6、および、第2モータ7のロータ81は、第2モータのステータ80に対して相対回転する第2の可動体83である。第2の可動体83の重心G2は、第2軸R2上に位置している。なお、他の構成は、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1Aと同様なので、対応する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
本例においても、カメラ部3と第1モータ4のステータ50との間は、これらの相対回転を考慮することなく、フレキシブルプリント基板115を用いて電気的に接続できる。よって、カメラ部3と第1モータ4のステータ50とをフレキシブルプリント基板115で電気的に接続し、カメラ部3にケーブル16(給電線)を接続することにより、カメラ部3には、ケーブル16(給電線)を介して、電力を供給できる。また、第1モータ4のステータ50には、ケーブル16(給電線)およびフレキシブルプリント基板115を介して、電力を供給できる。一方、第2モータ7には別の給電線111を接続して直接電力を供給するので、電力供給系を2系統にすることができる。
【0069】
また、本例によれば、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1Aと同様の作用効果を得ることができる。さらに、本例によれば、ステータ基板26とカメラ基板12との間にステータ部35(コイル38)などが存在しないので、ステータ基板26とカメラ基板12とを固定する固定作業が容易である。
【0070】
なお、カメラ基板12に後方L2に突出するカメラ側コネクタ17を設け、ステータ基板26に前方L1に突出するモータ側コネクタ47を設け、カメラ側コネクタ17とモータ側コネクタ47とを接続することにより、カメラ基板12とステータ基板26とを電気的に接続してもよい。この場合には、フレキシブルプリント基板115を省略できる。また、この場合には、カメラ基板12とステータ基板26とを電気的に接続するコネクタ49(カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47)を、カメラ基板12をステータ基板26に固定する固定部材5として兼用できる。
【0071】
ここで、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1、1Aでは、第1モータ4のロータ21の回転軸22は光軸Lと一致しているが、回転軸22は光軸Lと平行でもよい。すなわち、第1軸R1は光軸Lと平行としてもよい。また、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1、1Aでは、第2モータ7の回転軸67は光軸Lと直交しているが、第2モータ7の回転軸67は、光軸Lと垂直な平面上にあればよく、光軸Lと直交していなくてもよい。すなわち、第2軸R2は、第1軸R1と垂直な平面上にあればよく、光軸Lおよび第1軸R1と離間していてもよい。この場合には、第1モータ4の駆動により、カメラ部3を光軸Lと平行な第1軸線R1回りに回転させるローリング補正を行うことができる。また、第2モータ7の回転により、カメラ部3を光軸Lと垂直な平面上に位置する第2軸R2回りに回転させてピッチング補正またはヨーイング補正を行うことができる。
【0072】
(変形例2)
図6は変形例2の振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。本例の振れ補正機能付き光学ユニット1Bでは、第1モータ4の配置、第2モータ7の配置、および、支持部材の形状が上記の振れ補正機能付き光学ユニット1Bと相違する。なお、変形例2の振れ補正機能付き光学ユニット1Bは上記の振れ補正機能付き光学ユニット1、1Aと対応する構成を備えるので、対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
図6に示すように、本例では、第1モータ4のロータ21の回転軸22である第1軸R1は、カメラ部3の光軸Lと直交する方向に延びる。第2モータ7のロータ81の回転軸67である第2軸R2は光軸Lと一致している。また、第1モータ4の回転軸22は、スリーブ31から突出するとともに、ロータケース41から突出している。さらに、第1モータ4のステータ50を構成するステータ基板26は、カメラ部3のカメラ基板12に対して垂直に配置されている。すなわち、カメラ基板12は、固定部材5により、ステータ基板26に垂直に固定されている。
【0074】
ここで、カメラ基板12は、後方L2に突出するカメラ側コネクタ17を備える。ステータ基板26は、第2軸R2方向に突出するモータ側コネクタ47を備える。カメラ基板12とステータ基板26とは、カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47を接続することにより電気的に接続される。カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47は、固定部材5と兼用されている。
【0075】
支持体6は、光軸Lと直交する直交方向に延びる底板部52と、底板部52における直交方向の両端部から前方L1に向かって突出する一対の側板部53、54を備える。底板部52の中心部分には、光軸Lと同軸で後方L2に突出する軸部55が設けられている。各側板部53、54の中央部分には、第1モータ4の回転軸22の両端部分をそれぞれ固定するための回転軸固定穴58が設けられている。第1モータ4のロータ21において、スリーブ31から突出する回転軸22の一方の端部分は側板部53の回転軸固定穴58を貫通した状態で当該側板部53に固定される。第1モータ4のロータ21において、ロータケース41から突出する回転軸22の他方の端部分は側板部54の回転軸固定穴58を貫通した状態で当該側板部54に固定される。これにより、第1モータ4のロータ21の回転中心線である第1軸R1は一対の側板部53、54を通過する。
【0076】
回転軸22が一対の側板部53、54に固定されると、支持体6の一対の側板部53、54は、第1モータ4の第1軸R1方向(直交方向)の両側に位置する。また、支持体6の底板部52は、第1モータ4の後方L2に位置する。従って、支持体6は、第1モータ4を、第2軸R2方向の両側および後方L2から保護する。
【0077】
ここで、カメラ部3と第1モータ4のステータ50とが一体とされた状態で(カメラ基板12とステータ基板26とが固定された状態で)、第1モータ4の回転軸22(ロータ21)が支持体6に固定されると、第1モータ4のステータ50およびカメラ部3は支持体6に対して第1軸R1回りに相対回転する可動体60となる。すなわち、第1モータ4のコイル38へ給電を行ってロータ21を回転させると、支持体6に対して第1モータ4のステータ50およびカメラ部3は、光軸Lと直交する第1軸R1回りに回転する。可動体60(カメラ部3、固定部材5および第1モータ4のステータ50)の重心G1は第1軸R1線上に位置する。
【0078】
第2モータ7は支持体6を第2軸R2回りに回転させるためのものである。第2モータ7は、その回転軸67(第2軸R2)が光軸Lと一致するように配置されている。従って、第2モータ7のロータ81は光軸L回りに回転する。
【0079】
第2モータ7のロータ81は、支持体6の底板部52の軸部55に同軸に連結される。従って、第2軸R2は底板部52を通過する。また、第2モータ7は、当該振れ補正機能付き光学ユニット1Bが搭載される移動体に固定される。従って、第2モータ7のコイル74へ給電を行ってロータ81を回転させると、支持体6はロータ81と一体に第2軸R2回りに回転する。ここで、カメラ部3、固定部材5、第1モータ4、支持体6、および、第2モータ7のロータ81は、第2モータのステータ80に対して第2軸回りに相対回転する第2の可動体83を構成する。第2の可動体83の重心G2は、第2軸R2上に位置する。
【0080】
本例においても、カメラ部3には一本のケーブル16が接続されている。ケーブル16におけるカメラ部3とは反対側の端部は上位装置に接続されている。カメラ部3にはケーブル16を介して上位装置の側から電力と制御信号とが供給される。ケーブル16を介して伝送された電力は、カメラ基板12に供給される。また、コネクタ49(カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47)を介してステータ基板26に供給される。さらに、ケーブル16を介して送信されてくる制御信号(シリアル信号)はカメラ部3の撮像制御部14に入力されるとともに、コネクタ49(カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47)を介して、第1モータ4のモータ制御部27に入力される。
【0081】
第1モータ4のモータ制御部27は、ケーブル16を介して上位装置から送信される制御信号に基づいてコイル38への給電を行い、モータを駆動する。これにより、第1モータ4は、可動体60を第1軸R1線回りに回転させて、カメラ部3の姿勢を光軸Lと直交する第1軸R1回り補正するピッチング補正を行う。
【0082】
一方、第2モータ7には上記装置からの給電線111が直接接続される。また、第2モータ7には上位装置との間の通信を可能とする信号線112が接続される。上位装置の側から制御信号は、信号線112を介して、第2モータ7のモータ制御部75に入力される。モータ制御部75は制御信号に基づいてコイル74への給電を行い、第2モータ7を駆動する。これにより、第2モータ7は、支持体6を第2軸R2回りに回転させて、カメラ部3の姿勢を光軸Lと一致する第2軸R2回りで補正するローリング補正を行う。
【0083】
本例においても、カメラ部3と第1モータ4のステータ50との間は、これらの相対回
転を考慮することなく、コネクタ49(カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47)を用いて電気的に接続できる。よって、カメラ部3と第1モータ4のステータ50とをコネクタ49で電気的に接続し、カメラ部3にケーブル16(給電線)を接続することにより、カメラ部3には、ケーブル16(給電線)を介して、電力を供給できる。また、第1モータ4のステータ50には、ケーブル16(給電線)およびコネクタ49を介して、電力を供給できる。一方、第2モータ7には別の給電線111を接続して直接電力を供給するので、電力供給系を2系統にすることができる。
【0084】
また、本例によれば、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1と同様の作用効果を得ることができる。
【0085】
さらに、本例によれば、カメラ基板12とステータ基板26とが直交するので、撮像素子13からの熱およびコイル38からの熱を放出しやすい。なお、コネクタ49(カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47)に替えて、カメラ基板12とステータ基板26とを、フレキシブルプリント基板などで接続してもよい。
【0086】
ここで、変形例2の振れ補正機能付き光学ユニット1Bでは、第2モータ7のロータ81の回転軸67は光軸Lと一致しているが、回転軸67は光軸Lと平行でもよい。すなわち、第2軸R2は光軸Lと平行としてもよい。また、変形例2の振れ補正機能付き光学ユニット1Bでは、第1モータ4の回転軸22は光軸Lと直交しているが、第1モータ4の回転軸22は、光軸Lと垂直な平面上にあればよく、光軸Lと離間していてもよい。すなわち、第1軸R1は、光軸L(第2軸R2)と垂直な平面上にあればよく、光軸Lおよび第2軸R2と離間していてもよい。この場合には、第2モータ7の回転により、カメラ部3を光軸Lと平行な第2軸線R2回りに回転させるローリング補正を行うことができる。また、第1モータ4の回転により、カメラ部3を光軸Lと垂直な平面上に位置する第1軸R1回りに回転させてピッチング補正またはヨーイング補正を行うことができる。
【0087】
(その他の実施の形態)
外部の機器から延びるケーブル16は、ステータ基板26に接続されていてもよい。この場合には、ステータ基板26に通信制御部85および電源部86を備える。また、ケーブル16を介して伝送される電力は、ステータ基板26の側から、カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47を介してカメラ部3に送信する。また、撮像制御部14と上位装置との間の通信は、ケーブル16、カメラ側コネクタ17およびモータ側コネクタ47を介して行う。