【解決手段】携帯端末20において、位置情報取得部27を利用して順次得られた複数の位置情報に基づいて読取位置を基準とする当該携帯端末20の移動方向を推定。情報コードCから読み取られた記録データと取得された読取位置及び移動方向推定情報とを含めた読取情報がサーバ30に送信される。サーバ30から表示情報を受信すると、情報を表示部25が表示する。サーバ30では、記録データに関連付けられる複数件の情報がそれぞれ区域情報に関連付けられて記憶部32に記憶されており、携帯端末20からの読取情報を受信すると、記憶する複数件の情報のうち、受信した読取位置及び移動方向推定情報に基づいて移動先となり得る1又は2件以上の区域情報に関連付けられる情報を、表示情報として設定する。
前記第2取得部は、前記第1取得部により順次得られた複数の位置情報に基づいて前記読取位置を基準とする当該携帯端末の移動方向に加えて移動距離を推定するための情報を取得し、
前記端末側通信部により前記サーバに送信される前記読取情報には、前記移動距離を推定するための情報が含まれ、
前記設定部は、前記サーバ側通信部にて受信した前記所定の情報に関連して前記記憶部に記憶される前記複数件の情報のうち、受信した前記読取位置、前記移動方向及び前記移動距離に基づいて移動先となり得る1又は2件以上の区域情報に関連付けられる情報を、前記サーバ側通信部により送信される前記表示情報として設定することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、情報コードの読取結果に関連付けられる情報の件数が多いと、情報コードの読み取りに応じて表示される情報の件数が多くなり、ユーザの希望に合った情報を探し難くなる場合がある。この問題を解決するため、情報コードが読み取られた位置に応じてその情報コードの読取結果に関連付けられる複数件の情報から限定することで、表示される情報の件数を減らすことができる。例えば、その情報コードに関連付けられる複数の店舗情報のうち、現在位置から離れている店舗情報を利用する可能性が低いとして除くように表示することで、携帯端末に表示される店舗情報の件数を減らすことができる。
【0006】
しかしながら、情報コードの読取結果を位置情報とともにサーバ等に送信しこのサーバ等にて位置情報に基づいて限定されるように設定された情報が携帯端末に表示される構成では、バスや電車等で移動中に携帯端末にて情報コードを読み取った場合、ユーザにとって適切に情報が限定されない可能性がある。すなわち、携帯端末の位置が情報コードの読取位置から時間とともに離れる一方で、サーバ等では上記読取位置を基準に情報が限定されてしまうため、ユーザが携帯端末を利用して見ている情報は、既に離れてしまった位置を基準とする情報になってしまう。そうすると、その移動状態によっては、ユーザにとって不要な情報が表示されるだけでなく、ユーザにとって適した情報が表示されないという問題が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、推定される携帯端末の移動方向を考慮して、読取結果に関連付けられる複数件の情報を限定して表示可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
所定の情報が記録される情報コード(C)を光学的に読み取る携帯端末(20)と、前記携帯端末と通信可能なサーバ(30)とを備える情報コード読取システム(10)であって、
前記携帯端末は、
前記情報コードを撮像して解読することで前記所定の情報を読み取る読取部(21,22)と、
当該携帯端末の位置情報を取得可能であって、前記読取部により前記所定の情報が読み取られた際の位置情報を読取位置として取得する第1取得部(27)と、
前記第1取得部により順次得られた複数の位置情報に基づいて前記読取位置を基準として当該携帯端末の移動方向を推定するための移動方向推定情報を取得する第2取得部(21)と、
前記読取部により読み取られた前記所定の情報と前記第1取得部により取得された前記読取位置と前記第2取得部により取得された前記移動方向推定情報とを含めた読取情報を前記サーバに送信し、この送信に応じて前記サーバから表示情報を受信する端末側通信部(26)と、
前記端末側通信部にて前記サーバから受信した前記表示情報を利用した情報が表示される表示部(25)と、
を備え、
前記サーバは、
前記所定の情報に関連付けられる複数件の情報がそれぞれ区域情報に関連付けられて記憶される記憶部(32)と、
前記携帯端末から前記読取情報を受信し、この受信に応じて前記表示情報を送信するサーバ側通信部(33)と、
前記サーバ側通信部にて受信した前記所定の情報に関連して前記記憶部に記憶される前記複数件の情報のうち、受信した前記読取位置及び前記移動方向推定情報に基づいて移動先となり得る1又は2件以上の区域情報に関連付けられる情報を、前記サーバ側通信部により送信される前記表示情報として設定する設定部(31)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、携帯端末において、第1取得部により順次得られた複数の位置情報に基づいて読取位置を基準とする当該携帯端末の移動方向を推定するための移動方向推定情報が第2取得部により取得される。そして、読取部により読み取られた所定の情報と第1取得部により取得された読取位置と第2取得部により取得された移動方向推定情報とを含めた読取情報がサーバに送信され、この送信に応じてサーバから表示情報が端末側通信部により受信されると、この表示情報を利用した情報が表示部により表示される。そして、サーバでは、所定の情報に関連付けられる複数件の情報がそれぞれ区域情報に関連付けられて記憶部に記憶されており、サーバ側通信部にて携帯端末から読取情報が受信されると、受信した所定の情報に関連して記憶部に記憶される複数件の情報のうち、受信した読取位置及び移動方向推定情報に基づいて移動先となり得る1又は2件以上の区域情報に関連付けられる情報が、サーバ側通信部により送信される表示情報として設定部により設定される。
【0010】
これにより、情報コードを読み取ることにより携帯端末に表示される情報は、携帯端末の読取位置だけでなく推定される移動方向をも考慮するようにサーバにて設定されるので、バスや電車等で移動中に情報コードを読み取った場合でも、既に離れてしまった位置を基準とする情報が表示され難くなる。したがって、推定される携帯端末の移動方向を考慮して、読取結果に関連付けられる複数件の情報を限定して表示できるため、読取結果に応じて表示される情報をユーザにとって適した情報に限定して表示することができる。
【0011】
請求項2の発明では、端末側通信部によりサーバに送信される読取情報には、第2取得部により取得される移動距離を推定するための情報が含まれる。そして、サーバでは、受信した所定の情報に関連して記憶部に記憶される複数件の情報のうち、受信した読取位置、移動方向及び移動距離に基づいて移動先となり得る1又は2件以上の区域情報に関連付けられる情報が、サーバ側通信部により送信される表示情報として設定部により設定される。
【0012】
これにより、情報コードを読み取ることにより携帯端末に表示される情報は、携帯端末の移動方向だけでなく推定される移動距離をも考慮するようにサーバにて設定されるので、バス等を利用した低速移動中、又は電車等を利用した高速移動中などを区別でき、情報の限定をより精度良く行うことができる。
【0013】
請求項3の発明では、第1取得部により、所定の間隔にて当該携帯端末の位置情報が取得され、第2取得部により、読取位置と当該読取位置が取得される前に取得された位置情報とに基づいて移動方向を推定するための情報が取得される。
【0014】
これにより、読取位置が取得されると既に移動方向を推定するための情報が取得されていることから、サーバに対して読取情報を迅速に送信できるので、情報コードを読み取ってから受信した表示情報を利用した情報が表示されるまでの時間を短縮でき、本システムの利便性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る情報コード読取システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コード読取システム10は、ユーザが携帯端末を利用して情報コードを読み取ることで、その読取結果に関連付けられる複数件の情報を表示するためのシステムである。より具体的には、情報コード読取システム10は、例えば、移動中のユーザが携帯端末を利用して情報コードを読み取ることでその読取結果に関連付けられる情報を表示する際に、上記複数件の情報をその移動状態に適した情報に限定して表示するためのシステムとして構成される。
【0017】
ここで、移動中の携帯端末に表示される情報としては、例えば、情報コードCを表示した広告媒体Rにサービス内容等が広告として記載されるサービス提供会社が提供するサービス等に関して、そのサービス提供会社が運営する各店舗のうちの一部の店舗に関する情報が想定される。より具体的には、そのサービス提供会社が管理する各店舗に関する情報のうちユーザの移動先となる可能性が高いことからその移動状態に適した情報となり得る一部の店舗の情報が想定される。全ての店舗の情報を携帯端末に表示すると、携帯端末の小さな画面に表示される情報の件数が多くなり、ユーザの希望に合った情報を探し難くなる場合があるからである。
【0018】
この情報コード読取システム10は、
図1に示すように、各ユーザがそれぞれ所持する携帯端末20と、各携帯端末20と通信可能なサーバ30とを備えている。各携帯端末20およびサーバ30は、インターネット等のネットワークNを介して通信可能に接続されている。なお、
図1では、便宜上、1つの携帯端末20を図示しており、他の携帯端末20の図示を省略している。
【0019】
携帯端末20は、カメラ機能を有するスマートフォン等の携帯端末に対して後述する読取処理を実行するための所定のアプリケーションプログラム(以下、単に、読取アプリともいう)をインストールすることで構成されている。この携帯端末20は、撮像手段として機能する撮像部22からの画素信号に基づいて撮像されたバーコードやQRコード(登録商標)等の情報コードを光学的読み取るための処理を実行可能な制御部21を備えている。なお、制御部21及び撮像部22は、情報コードを撮像して解読することで所定の情報を読み取る「読取部」の一例に相当し得る。
【0020】
制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部23とともに情報処理装置として機能している。記憶部23は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の半導体メモリなどによって構成されており、この記憶部23には、上記読取アプリ等が、制御部21により実行可能に格納される。
【0021】
また、携帯端末20は、操作部24と、表示部25と、通信部26と、位置情報取得部27とを備えている。操作部24は、各種操作キーやタッチパネル等により構成されており、制御部21に対して操作に応じた情報を入力する機能を有するものである。表示部25は、液晶等から構成されており、制御部21により制御されて、情報コードCの読取結果に関連付けられる情報等を表示する機能を有するものである。通信部26は、制御部21により制御されて、上記ネットワークNを介してサーバ30等と無線通信を行う通信手段として機能を有するものである。なお、通信部26は、「端末側通信部」の一例に相当し得る。
【0022】
位置情報取得部27は、例えば、周知のGPS衛星から受信した信号に基づいて当該携帯端末20の現在位置を検出して取得するGPS受信部であって、取得された現在位置に関する情報を制御部21に出力するように構成されている。なお、位置情報取得部27は、「第1取得部」の一例に相当し得る。
【0023】
このように構成される携帯端末20は、制御部21によりなされる読取処理により、情報コードCが読み取られた際に位置情報取得部27により取得された位置情報を読取位置として取得し、この読取位置の取得よりも前に位置情報取得部27により順次取得された位置情報に基づいて当該読取位置を基準とする当該携帯端末20の移動方向を推定するための情報を取得する。このため、例えば、読取処理が開始されることで、位置情報取得部27により位置情報が所定の間隔で取得され、読取位置の取得の直前に取得された位置情報から特定される位置と読取位置とを結ぶ直線に基づいて、読取位置を基準とする移動方向を推定することができる。
【0024】
そして、読取処理では、情報コードCを読み取ることで得た記録データ(所定の情報)や上述した読取位置や移動方向を推定するための情報等を含めた読取情報がサーバ30に送信され、この送信に応じてサーバ30から受信した表示情報を利用した情報が表示部25に表示される。この読取処理については後述する。
【0025】
次に、サーバ30の構成について説明する。
サーバ30は、携帯端末20から受信した読取情報に基づいて、携帯端末20が読み取った情報コードCに関連付けられる複数件の情報のうちその携帯端末20の移動状態に適した情報を表示情報として提供するコンピュータとして構成されるものである。
【0026】
このサーバ30は、主に、記憶部32および通信部33と、これらを統括的に制御する制御部31とを備えている。制御部31は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部32とともに情報処理装置として機能している。記憶部32は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の半導体メモリなどによって構成されている。この記憶部32には、上述のように表示情報を携帯端末20に送信する表示情報送信処理を実行するためのアプリケーションプログラムや所定のデータベース等が、制御部31により利用可能に予め格納されている。通信部33は、制御部31により制御されて、上記ネットワークNを介して、各携帯端末20や他の外部機器と通信を行うサーバ側通信部として機能するものである。
【0027】
特に、本実施形態では、記憶部32には、上記読取処理を行う携帯端末20による読み取りが想定される情報コードCに関して、この情報コードCに記録される記録データ(所定の情報)とこの記録データに関連付けられる複数件の情報がそれぞれ区域情報に関連付けられた状態でデータベース化されて記憶されている。上述のような広告媒体Rを利用する構成では、上記記録データはサービス提供会社を特定するための番号であり、例えば、
図2に例示するように、上記記録データに対して各店舗情報(店舗名、住所、営業時間やその店舗用のサイトのアドレス等)とそれぞれの店舗の場所を示す区域情報(地図表記する際の位置情報等)とが関連付けられてデータベース化されている。
【0028】
そして、制御部31によりなされる表示情報送信処理では、携帯端末20から上記読取情報が受信されると、その読取情報に含まれる記録データに関連付けられて記憶部32に記憶される複数件の情報を読取位置や移動方向を推定するための情報等に基づいて限定し、この限定した情報に関する情報を上記表示情報として設定して携帯端末20に送信する。この表示情報送信処理については後述する。なお、上記表示情報を設定する制御部31は、「設定部」の一例に相当し得る。
【0029】
なお、サーバ30は、外部の専用地図データサーバや検索エンジン等を利用して複数件の情報を読取位置や移動方向を推定するための情報等に基づいて限定してもよい。この場合には、サーバ30は、記録データ又はこの記録データに関連付けられる情報等を上記専用地図データサーバ等に送信し、この送信に応じて上記専用地図データサーバ等から受信した検索結果等の情報を利用して、携帯端末20に送信すべき情報を限定することができる。
【0030】
次に、このように構成される情報コード読取システム10において、読取結果に関連付けられる複数件の情報を限定して表示する際に、携帯端末20によりなされる読取処理とサーバ30によりなされる表示情報送信処理とについて、
図3〜
図7を参照して詳述する。なお、以下の説明では、様々な路線を走行するバス内での車内広告として広告媒体Rが掲示されており、このバスに乗車しているユーザがバスの移動中に広告媒体Rに表示された情報コードCを読み取った場合について詳述する。
【0031】
まず、携帯端末20の制御部21による読取処理について、
図3に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
携帯端末20を所持するユーザが広告媒体Rに表示された情報コードCを読み取るために上記読取アプリを起動させる所定の操作を操作部24に対して行うことで、制御部21により読取処理が開始される。まず、位置情報取得部27を利用して位置情報がその取得時刻とともに順次取得されて記憶部32に記憶される状態となり(
図3のS101)、情報コードCを撮像するための操作がなされるまでステップS103の判定処理にてNoとの判定が繰り返されることで、位置情報が所定の間隔で取得される。
【0032】
そして、ユーザにより撮像部22が情報コードCに向けられた状態でこの情報コードCを撮像するための操作が操作部24に対してなされると(S103でYes)、撮像部22を利用した撮像処理がなされて、情報コードCが撮像される(S105)。続いて、その撮像した情報コードCをデコード(解読)するための公知のデコード処理がなされ(S107)、このデコード処理が成功すると(S109でYes)、このデコード成功時に位置情報取得部27を利用して取得された位置情報が読取位置に関する情報として取得される(S111)。なお、上記デコードが失敗すると(S109でNo)、デコード失敗が画面表示等により報知された後、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0033】
上述のように読取位置が取得されると、ステップS113に示す処理にて、順次得られた複数の位置情報に基づいて上記読取位置を基準として当該携帯端末20の移動方向を推定するための移動方向推定情報が取得される。具体的には、読取位置が取得される所定時間前に取得された位置情報が移動方向推定情報として取得される。なお、移動方向推定情報は、例えば、位置情報が位置情報取得部27にて取得される間隔に応じて、読取位置が取得される直前に取得された位置情報であってもよいし、読取位置が取得される前に取得されて当該読取位置から所定距離程度だけ離れた位置情報であってもよい。また、移動方向推定情報は、例えば、読取位置が取得される前に取得された複数の位置情報であってもよい。なお、移動方向推定情報を取得するための処理を行う制御部21は、「第2取得部」の一例に相当し得る。
【0034】
上述のように移動方向推定情報が取得されると、ステップS115に示す処理にて、上述のように読み取られた記録データと上述のように取得された読取位置及び移動方向推定情報とを含めた読取情報が通信部26を介してサーバ30に送信される。そして、この送信に応じてサーバ30から表示情報が受信されるまで、ステップS117の判定処理にてNoとの判定が繰り返される。
【0035】
ここで、サーバ30の制御部31による表示情報送信処理について、
図4に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
サーバ30では、携帯端末20からの情報を受信するための処理が行われており、携帯端末20から上記読取情報を通信部33を介して受信すると(
図4のステップS201でYes)、ステップS203に示す移動方向推定処理がなされる。この処理では、受信した読取位置及び移動方向推定情報に基づいて、上記読取情報を送信した携帯端末20の移動方向が推定される。具体的には、例えば、移動方向推定情報として読取位置が取得される所定時間前に取得された位置(以下、基準位置Paともいう)を移動前、読取位置Pbを移動後とするように、移動方向が推定される。さらに、基準位置Paを移動前、読取位置Pbを移動後とするように、移動距離が推定される(S205)。
【0036】
続いて、ステップS207に示す処理にて、記録データに関連付けられる複数件の情報を優先度に基づいて限定するための判定マスクMが設定される。この判定マスクMは、記録データに関連付けられる複数件の情報を、受信した読取位置Pb及び移動方向推定情報(基準位置Pa)に基づいて移動先となり得る情報に限定するための範囲パラメータであり、
図5に示すように、読取位置Pbを中心とし移動方向に平行な辺を有する9つの正方形状の区域からなる。この区域の一辺の長さは、低速移動中や高速移動中などを区別するため、上述のように推定された移動距離に基づいて、例えば、推定された移動距離のN倍として設定することができる。なお、判定マスクMは、読取位置Pbを中心とするように設定されることに限らず、例えば、読取位置Pbを通り移動方向に平行な直線上であって移動方向側に所定距離だけ離れた位置を中心とするように設定されてもよい。
【0037】
本実施形態では、判定マスクMは、中央の区域Aが最も優先度が高く、区域Aの移動方向側に位置する区域Bが区域Aの次に優先度が高く、区域C、区域D、区域Eの順に優先度が低くなり、区域Fと他の領域とは表示対象外となるように設定される。
【0038】
このため、
図6に例示するように、判定マスクMを、基準位置Pa及び読取位置Pbを規準に、記録データに関連付けられる複数件の情報に対応する位置P1〜P8とともに地図に重ねたとき、区域A内となる位置P4に対応する情報は、優先度が高い情報であり、区域B内となる位置P5、区域C内となる位置P1、区域D内となる位置P2、区域E内となる位置P6の順に優先度が低くなり、区域F内となる位置P3や他の領域となる位置P7,P8に対応する情報は、表示対象外となる。
【0039】
上述のように判定マスクMが設定されると、受信した記録データに関連付けられる複数件の情報が記憶部32から読み出され(S209)、この読み出された複数件の情報のうち、判定マスクMを利用して表示対象となるように限定された位置に対応する情報がその優先度とともに表示情報として設定される(S211)。例えば、
図6の例では、位置P1〜P8に対応する情報のうち位置P4、P5、P1、P2、P6に対応する情報がその優先度とともに表示情報として設定される。そして、上述のように設定された表示情報が通信部33を介して携帯端末20に送信される(S213)。
【0040】
携帯端末20では、読取情報をサーバ30に送信することで上述のように設定された表示情報が通信部26を介して受信されると(S117でYes)、この受信した表示情報に関する情報が表示部25に表示される(S119)。具体的には、例えば、上述のように位置P4、P5、P1、P2、P6に対応する情報を含めるように表示対象が設定されていると、
図7に例示するように、その優先度に応じた順番で店舗情報等が検索情報として表示部25に表示される。なお、さらに、限定された店舗に関する位置情報を表示情報に含めることで、表示情報を受信した時点での位置を規準とする各店舗までの距離をあわせて表示部25に表示するようにしてもよいし、移動中を考慮して現在位置の変化に応じて優先度を変化させて各店舗までの距離が随時変化するように表示部25に表示してもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、携帯端末20において、位置情報取得部27を利用して順次得られた複数の位置情報に基づいて読取位置を基準とする当該携帯端末20の移動方向を推定するための移動方向推定情報が取得される。そして、情報コードCから読み取られた記録データ(所定の情報)と取得された読取位置及び移動方向推定情報とを含めた読取情報がサーバ30に送信され、この送信に応じてサーバ30から表示情報が受信されると、この表示情報を利用した情報が表示部25により表示される。そして、サーバ30では、記録データに関連付けられる複数件の情報がそれぞれ区域情報に関連付けられて記憶部32に記憶されており、携帯端末20から読取情報が受信されると、受信した記録データに関連して記憶部32に記憶される複数件の情報のうち、受信した読取位置及び移動方向推定情報に基づいて移動先となり得る1又は2件以上の区域情報に関連付けられる情報が、表示情報として設定される。
【0042】
これにより、情報コードCを読み取ることにより携帯端末20に表示される情報は、携帯端末20の読取位置だけでなく推定される移動方向をも考慮するようにサーバ30にて設定されるので、バス等で移動中に情報コードCを読み取った場合でも、既に離れてしまった位置を基準とする情報が表示され難くなる。したがって、推定される携帯端末20の移動方向を考慮して、読取結果に関連付けられる複数件の情報を限定して表示できるため、読取結果に応じて表示される情報をユーザにとって適した情報に限定して表示することができる。
【0043】
特に、サーバ30に送信される読取情報には、移動距離を推定するための情報が含まれる。そして、サーバ30では、上述のように移動距離を考慮して設定される判定マスクMを利用することで、受信した記録データに関連して記憶部32に記憶される複数件の情報のうち、受信した読取位置、移動方向及び移動距離に基づいて移動先となり得る1又は2件以上の区域情報に関連付けられる情報が、表示情報として設定される。
【0044】
これにより、情報コードCを読み取ることにより携帯端末20に表示される情報は、携帯端末20の移動方向だけでなく推定される移動距離をも考慮するようにサーバ30にて設定されるので、バス等を利用した低速移動中、又は電車等を利用した高速移動中などを区別でき、情報の限定をより精度良く行うことができる。
【0045】
さらに、所定の間隔にて当該携帯端末20の位置情報が取得され、読取位置と当該読取位置が取得される前に取得された位置情報とに基づいて移動方向を推定するための情報が取得される。
【0046】
これにより、読取位置が取得されると既に移動方向を推定するための情報が取得されていることから、サーバ30に対して読取情報を迅速に送信できるので、情報コードCを読み取ってから受信した表示情報を利用した情報が表示されるまでの時間を短縮でき、本システムの利便性を高めることができる。
【0047】
なお、携帯端末20の移動状況等に応じて、読取位置と当該読取位置が取得される後に取得された1又は2以上の位置情報とに基づいて移動方向を推定するための情報が取得されてもよい。また、携帯端末20の移動状況等に応じて、読取位置と、当該読取位置が取得される前に取得された1又は2以上の位置情報と、当該読取位置が取得される後に取得された1又は2以上の位置情報とに基づいて移動方向を推定するための情報が取得されてもよい。
【0048】
本実施形態の変形例として、判定マスクMを利用することなく、記録データに関連付けられる複数件の情報を限定してもよい。例えば、本実施形態の第1変形例として、
図8に例示するように、読取位置Pbから所定距離だけ移動方向に移動した位置を移動先Pcとして推定し、この移動先Pcを中心とする一定距離の範囲S内であって移動先Pcに近くなるほど優先度が高くなるように情報を限定してもよい。
【0049】
また、規定路線を走行する電車のような移動車両内に掲示される広告媒体Rであれば、移動先を容易に限定できるため、例えば、本実施形態の第2変形例として、記録データに関連付けられる複数件の情報を、基準位置Paと読取位置Pbとから推定される移動方向の位置に位置付けられる情報に限定してもよい。具体的には、例えば、
図9(A)に例示するように路線Lに対して基準位置Paと読取位置Pbとから移動方向が推定される場合、推定される移動方向に位置する位置P3、P2、P1に対応する情報に限定することができる。また、
図9(B)に例示するように路線Lに対して基準位置Paと読取位置Pbとから移動方向が推定される場合、推定される移動方向に位置する位置P4、P5、P6に対応する情報に限定することができる。
【0050】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態および変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)携帯端末20の移動方向や移動距離は、サーバ30にて推定されることに限らず、携帯端末20にて推定されてもよい。すなわち、携帯端末20にて、順次得られた複数の位置情報に基づいて上記読取位置を基準として当該携帯端末20の移動方向や移動距離を推定し、この推定された移動方向や移動距離を移動方向推定情報等としてサーバ30に送信することができる。
【0051】
(2)サーバ30は、推定される移動距離が所定値以下である場合には、徒歩等での移動状態又は停止している状態での読み取りであるとして、その記録データに関連付けられる情報を、読取位置Pbを中心とする一定距離の範囲内であって読取位置Pbに近くなるほど優先度が高くなるように情報を限定してもよい。
【0052】
(3)本発明は、バス内や電車内に掲示された広告媒体Rを利用したサービスに適用されることに限らず、タクシーなど、他の移動車両に掲示された広告媒体を利用したサービスに適用されてもよい。また、本発明は、バスや電車等の移動車両内で読まれる雑誌等を広告媒体Rとして利用したサービスに適用されてもよい。また、本発明は、広告を利用したサービス用のシステムに適用されることに限らず、配送物に貼付された情報コードCを配送業者等が読み取ることによってその配送業者等の移動方向がサーバ30にアクセスした第三者により特定可能となるような配送システムに適用されてもよい。
【0053】
また、本発明は、タクシーを利用するユーザが携帯端末20にてタクシー会社の広告媒体等に表示された情報コードCを読み取ることによってそのユーザの移動方向がサーバ30にアクセスしたタクシー会社等により特定可能となるようなタクシー配車システムに採用されてもよい。このようなタクシー配車システムであれば、情報コードCの読み取りによってそのユーザの位置情報がタクシー会社等に通知されるので、タクシーの配車が容易になるだけでなく、ユーザの移動先を推定して先回りすることができる。さらに、ユーザが移動してきた方向にタクシーがいなかった場合などの配車結果を蓄積して解析することで、タクシーの周回ルートの検討等のマーケティングに活用することができる。