【解決手段】紙葉類を蹴り出す蹴出ローラと、紙葉類を蹴出ローラに押し付けるビルプレス61とを有する紙葉類処理装置であって、ビルプレス61は、蹴出ローラに対し近接および離間するビルプレス本体121と、ビルプレス本体121の蹴出ローラ側に設けられてビルプレス本体121に対し近接および離間する押圧部122と、押圧部122とビルプレス本体121との間に設けられた弾性部124と、を有する。
前記押圧部は、紙葉類の長辺延在方向に離間して一対設けられており、これら一対の押圧部の間に前記面部が配置されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項記載の紙葉類処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置を図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る紙葉類処理装置10は、紙葉類としての紙幣を処理するものである。勿論、紙幣以外の紙葉類を処理するものであっても良い。紙葉類処理装置10は、外部から投入された紙幣を内部に収納する入金処理と、内部に収納されている紙幣を外部に取り出し可能に出金する出金処理とが可能な紙幣入出金装置である。なお、以下の説明における「前」は操作者側を、「後」は操作者とは反対側を、「左」は操作者から見て左を、「右」は操作者から見て右を示す。
【0024】
図1に示すように、紙葉類処理装置10の前面側の上部には、入金用の紙幣が外部から投入される投入部11が設けられており、この投入部11の上方かつ後方に、入金用の紙幣のうち受け入れ不可なリジェクト紙幣が内部から繰り出されるとともに出金用の紙幣が内部から繰り出され、これらを外部に取り出し可能とする払出部12が設けられている。投入部11と払出部12とは、高さ方向の位置を重ね合わせて設けられており、前後方向の位置も重ね合わせて設けられている。紙葉類処理装置10の上面の払出部12の後方には操作者の操作入力を受け付けるとともに操作者に対し表示を行うタッチパネル式の操作表示部14が設けられている。
【0025】
投入部11の後方には、紙幣を識別する識別部17が投入部11と高さ方向の位置を重ね合わせて設けられており、この識別部17の後方には、識別部17により識別された紙幣を一時貯留させる一時貯留部18が投入部11および識別部17と高さ方向の位置を重ね合わせて設けられている。投入部11の下部と識別部17の上部とが高さ方向の位置を重ね合わせており、投入部11の上部と識別部17の下部とは高さ方向の位置をずらしている。識別部17の全体と一時貯留部18の中間部から下部とが高さ方向の位置を重ね合わせており、一時貯留部18の上部は識別部17に対し高さ方向の位置をずらしている。一時貯留部18は、その上部が払出部12の下部と高さ方向の位置を重ね合わせている。投入部11と識別部17と一時貯留部18とが、装置前方から後方に向けて、投入部11、識別部17、一時貯留部18の順に配置されている。投入部11と識別部17とは前後方向の位置を完全にずらしており、識別部17と一時貯留部18とは前後方向の位置を完全にずらしている。
【0026】
投入部11には、載置板19が後下がりの姿勢で設けられており、この載置板19は、投入部11内で後上がりの方向に上昇し前下がりの方向に下降する。下降状態にある載置板19上に集積状態の紙幣が外部から載置されることになり、載置板19上に載置された紙幣は後上がりの方向に集積された状態となる。載置板19は上昇して集積状態の紙幣を後上がりの方向に搬送し、集積状態の紙幣を集積方向の上端のものから一枚ずつ紙葉類処理装置10の内部に繰り出す。
【0027】
投入部11には、その後端部に、投入部11から繰り出された紙幣を搬送する入金搬送路21Aが接続されている。入金搬送路21Aは、投入部11から後下がりに延出する傾斜送路部21Aaと、傾斜送路部21Aaの後端から水平後方に延出する水平送路部21Abとを有している。入金搬送路21Aは、水平送路部21Abの後端部において識別部17に接続されている。
【0028】
識別部17は、入金搬送路21Aの水平送路部21Abと同一直線上に配置されて水平送路部21Abの後端部から水平後方に延出する内部搬送路21Bを有している。内部搬送路21Bは、水平送路部21Abから引き続き後方に紙幣を搬送する。識別部17は、内部搬送路21Bで搬送中の紙幣の真偽、正損、金種、重送、斜行等を識別する。
【0029】
識別部17の内部搬送路21Bの後端部からは水平後方に直線搬送路21Cが延出しており、この直線搬送路21Cの後端部が一時貯留部18に接続されている。直線搬送路21Cは、内部搬送路21Bから引き続き後方に紙幣を搬送する。入金搬送路21Aの水平送路部21Abと内部搬送路21Bと直線搬送路21Cとは同一直線上で一直線に並んでおり、識別部17と一時貯留部18とが一直線の直線搬送路21Cで接続されている。例えば、投入部11に投入された紙幣が、投入部11から入金搬送路21Aで識別部17に向けて搬送され、識別部17で識別後に直線搬送路21Cで一時貯留部18に搬送される。上記のように識別部17と一時貯留部18とは高さ方向の位置を重ね合わせており、直線搬送路21Cが横方向、具体的には水平方向に延在して、これらを結んでいる。
【0030】
一時貯留部18は、紙幣を一時貯留させるもので、直線搬送路21Cで搬送されてきた紙幣を一枚ずつ取り込んで収納し、収納している紙幣を一枚ずつ直線搬送路21Cに繰り出す。この一時貯留部18は、紙幣をテープとともにドラムに巻き付けて収納し紙幣をテープとともにドラムから解いて繰り出す巻付収納タイプとなっている。
【0031】
直線搬送路21Cの中間位置からは出金搬送路21Dが上方に分岐しており、この出金搬送路21Dが払出部12に接続されている。出金搬送路21Dが分岐することによって、直線搬送路21Cは、出金搬送路21Dの分岐位置から前側の前側送路部21Caと、出金搬送路21Dの分岐位置から後側の後側送路部21Cbとに分けられる。前側送路部21Caと後側送路部21Cbとの間は紙幣の行き来が可能であり、前側送路部21Caと出金搬送路21Dとの間は前側送路部21Caから出金搬送路21Dへの紙幣の搬送が可能であり、後側送路部21Cbと出金搬送路21Dとの間は後側送路部21Cbから出金搬送路21Dへの紙幣の搬送が可能である。
【0032】
出金搬送路21Dは、直線搬送路21Cで搬送されてきた紙幣を払出部12に搬送するもので、直線搬送路21Cの中間位置から鉛直上方に延出する鉛直送路部21Daと、鉛直送路部21Daの上端部から水平前方に延出する水平送路部21Dbと、水平送路部21Dbの前端部から鉛直上方に延出する鉛直送路部21Dcと、鉛直送路部21Dcの上端部から水平前方に延出して払出部12に繋がる水平送路部21Ddとを有している。
【0033】
ここで、払出部12は、出金搬送路21Dの水平送路部21Ddから繰り出された紙幣を前側かつ下側から後側かつ上側に斜めに集積させる。払出部12に集積された紙幣は、払出部12から外部に取り出される。出金搬送路21Dは、例えば、一時貯留部18から直線搬送路21Cに繰り出された紙幣を直線搬送路21Cの途中から上方に分岐搬送して払出部12に放出する。
【0034】
投入部11、払出部12、操作表示部14、内部搬送路21Bを含む識別部17、一時貯留部18、入金搬送路21A、直線搬送路21Cおよび出金搬送路21Dは、紙葉類処理装置10の上部を構成する上部ユニット25に設けられている。
【0035】
上部ユニット25の下側にあって紙葉類処理装置10の高さ方向の中間部から下部を構成する下部ユニット26には、前部位置に前方カセット31が設けられており、前方カセット31の後方に、上下2段、前後4列の合計8台の収納庫32が設けられている。8台の収納庫32のうち、上段の4台は高さ方向の位置を一致させており、下段の4台も高さ方向の位置を一致させている。前方カセット31の高さは、収納庫32の2台分の高さと同等であり、前方カセット31は、上下2段の収納庫32と高さ方向の位置を重ね合わせている。
【0036】
入金搬送路21Aの水平送路部21Abの中間位置からは上下搬送路21Eが下方に分岐しており、この上下搬送路21Eが、水平送路部21Abから鉛直下方に延出して前方カセット31に接続されている。上下搬送路21Eが分岐することによって、入金搬送路21Aの水平送路部21Abは、上下搬送路21Eの分岐位置から前側の前側構成部21Ab1と、上下搬送路21Eの分岐位置から後側の後側構成部21Ab2とに分けられる。前側構成部21Ab1と後側構成部21Ab2との間は、前側構成部21Ab1から後側構成部21Ab2への紙幣の搬送が可能であり、上下搬送路21Eと後側構成部21Ab2との間は紙幣の行き来が可能である。上下搬送路21Eは、例えば、一時貯留部18から直線搬送路21Cに繰り出され識別部17を通過後の紙幣を識別部17の直線搬送路21Cとは反対側の入金搬送路21Aの途中から下方に分岐搬送して前方カセット31に収納させる。
【0037】
前方カセット31は、紙幣を一枚ずつ取り込んで収納可能であり、収納している紙幣を一枚ずつ繰り出し可能となっている。前方カセット31は、紙幣を上部から受け入れて水平状態で下から上に集積させて収納するとともに収納している紙幣を上端部のものから繰り出す集積収納タイプとなっている。集積収納タイプの前方カセット31は、一時貯留部18および後述する収納庫32のような巻付収納タイプに比べて紙幣の収納効率が大幅に高い。
【0038】
上下搬送路21Eの中間位置からは、収納搬送路21Fが後方に分岐している。この収納搬送路21Fは、上下搬送路21Eから水平後方に延出した後、紙葉類処理装置10の後端部付近で下方に延出して後端上段の収納庫32に接続されており、この収納庫32を介して後端の下段の収納庫32にも接続されている。収納搬送路21Fが分岐することによって、上下搬送路21Eは、収納搬送路21Fの分岐位置から上側の上側送路部21Eaと、収納搬送路21Fの分岐位置から下側の下側送路部21Ebとに分けられる。
【0039】
収納搬送路21Fの中間位置からは、複数具体的には3カ所の分岐搬送路21G,21H,21Iが下方に分岐している。分岐搬送路21G,21H,21Iは、前側3列の上段の収納庫32に接続されており、各上段の収納庫32を介して、それぞれの同列下段の収納庫32に接続されている。
【0040】
8台の収納庫32は、いずれも、紙幣をテープとともにドラムに巻き付けて収納し紙幣をテープとともにドラムから解いて繰り出す巻付収納タイプとなっており、紙幣を計数しながら繰り出す。巻付収納タイプの収納庫32は、紙幣を受け入れた順番に収納し、収納順とは逆の順番で繰り出すことになる。このため、1台に複数金種の紙幣をランダムに混合して収納する場合であっても、識別部17の識別結果から収納する各紙幣の金種を把握可能となっており、よって、繰り出す各紙幣の金種を把握可能となっている。
【0041】
収納搬送路21Fおよび分岐搬送路21G,21H,21Iは、例えば、一時貯留部18から直線搬送路21Cに繰り出され識別部17を通過後の紙幣を上下搬送路21Eの途中から後方に分岐搬送して8台の収納庫32に選択的に収納させる。8台の収納庫32は、例えば、8台全部を、それぞれが設定された単一金種の紙幣のみを収納する単金種収納庫に設定したり、そのうちの何台かを、それぞれが設定された単一金種の紙幣のみを収納する単金種収納庫に設定し、残りを、それぞれ複数金種の紙幣を金種混合で収納する金種混合収納庫に設定したりすることができる。
【0042】
下部ユニット26には、前方カセット31と、8台の収納庫32と、上下搬送路21Eの上側送路部21Eaの下部と、下側送路部21Ebと、収納搬送路21Fと、分岐搬送路21G〜21Iとが設けられている。上下搬送路21Eの上側送路部21Eaの上部は上部ユニット25に設けられている。
【0043】
下部ユニット26は、前方に開口する直方体の箱状の筐体35と、8台の収納庫32が設けられて筐体35内に配置されるユニット本体36と、筐体35の前部開口を開閉する蓋体37とを有している。前方カセット31は、ユニット本体36に対し着脱可能に設けられている。
【0044】
次に、本実施形態に係る紙葉類処理装置10の主な作動について説明する。
【0045】
「入金処理」
投入部11に外部から紙幣が投入されて、操作表示部14に入金処理開始の操作が入力されると、
図2(a)に太線で示す入金処理ルートで紙幣を搬送する。つまり、投入部11が紙幣を一枚ずつ分離して繰り出し、繰り出された紙幣を、入金搬送路21A、識別部17の内部搬送路21Bおよび直線搬送路21Cの前側送路部21Caが搬送する。内部搬送路21Bでの搬送中に、識別部17が紙幣を識別することになり、識別部17が受け入れ可能と識別した紙幣を、直線搬送路21Cの前側送路部21Caから後側送路部21Cbが一時貯留部18に搬送し、一時貯留部18が一時貯留させる(
図2(a)の太実線参照)。他方、識別部17が受け入れ不可と識別した紙幣は、直線搬送路21Cの前側送路部21Caから出金搬送路21Dが払出部12に搬送する(
図2(a)の太実線から太破線参照)。
【0046】
ここで、投入部11は厚さ方向に集積された状態の紙幣を分離して繰り出すものであるため、繰り出し時に、重送、斜行等の搬送不良を生じる可能性がある。このような搬送不良の紙幣も識別部17が受け入れ不可と識別して払出部12に搬送させる。投入部11に投入された紙幣をすべて一時貯留部18および払出部12のいずれかに搬送した状態になると、識別部17の識別結果から一時貯留部18に一時貯留させている紙幣の金種別の枚数および総額等の金額情報を操作表示部14が表示する。払出部12に搬送された紙幣は、外部に取り出し可能となる。
【0047】
「収納処理」
入金処理後の金額情報の操作表示部14の表示後、操作者が操作表示部14に承認操作を入力すると、
図2(b)に太線で示す収納処理ルートで紙幣を搬送する。つまり、一時貯留させていた紙幣を一時貯留部18が繰り出し、直線搬送路21C、識別部17の内部搬送路21B、入金搬送路21Aの後側構成部21Ab2、上下搬送路21Eの上側送路部21Eaおよび収納搬送路21Fが搬送する。内部搬送路21Bでの搬送中に、識別部17が紙幣を識別することになり、その結果に基づいて、収納搬送路21Fおよび分岐搬送路21G〜21Iの適宜のものが8台の収納庫32の対応するものに紙幣を振り分ける。振り分けられた紙幣を8台の収納庫32の対応するものが収納する。
【0048】
ここで、一時貯留部18は巻付収納タイプであるため、繰り出し時に、重送、斜行等の搬送不良を生じることが基本的になく、一時貯留部18が繰り出した紙幣に識別部17で収納不可と判断されるものは基本的にはない。
【0049】
「返却処理」
入金処理後の金額情報の操作表示部14の表示後、操作者が操作表示部14に返却操作を入力すると、
図3に太線で示す返却処理ルートで紙幣を搬送する。つまり、一時貯留させていた紙幣を、一時貯留部18が繰り出し、直線搬送路21Cの後側送路部21Cbおよび出金搬送路21Dで払出部12に搬送する。払出部12に搬送された紙幣は、外部に取り出し可能となる。
【0050】
「出金処理」
操作表示部14に、出金させる紙幣の金額情報とともに出金処理の選択操作が入力されると、単金種収納庫に設定された収納庫32から紙幣を出金する場合は、出金対象金種の紙幣が収納された収納庫32から
図4に太線で示す出金処理ルートで紙幣を搬送する。つまり、収納庫32のうちの対応するものが、収納していた紙幣を計数しつつ繰り出し、繰り出された紙幣を、分岐搬送路21G〜21Iの適宜のもの、収納搬送路21F、上下搬送路21Eの上側送路部21Ea、入金搬送路21Aの後側構成部21Ab2、識別部17の内部搬送路21B、直線搬送路21Cの前側送路部21Caおよび出金搬送路21Dが払出部12に搬送する。ここで、収納庫32はすべて巻付収納タイプであるため、繰り出し時に、重送、斜行等の搬送不良を生じることが基本的になく、収納庫32が繰り出した紙幣に識別部17で出金不可と判断されるものは基本的にない。払出部12に搬送された紙幣は、外部に取り出し可能となる。
【0051】
次に、投入部11について、
図5〜
図14を参照して説明する。
【0052】
図5に示すように、投入部11は、左右方向に長い横長の略長方形状の開口部51を有している。開口部51は、
図6に示すように、前方かつ上方に斜めに開口しており、投入部11は、開口部51から後下がりに凹んでいる。開口部51は、紙葉類処理装置10の外部に開口する。
【0053】
投入部11は、開口部51の上縁部を前縁部が形成する取込機構部52と、開口部51の下縁部を前縁部が形成する底壁部53と、開口部51の左右両縁部を前縁部が形成する一対の側壁部54と、取込機構部52、底壁部53および一対の側壁部54で囲まれた部分の開口部51とは反対側を閉塞するように設けられた支持部55とを有している。また、投入部11は、取込機構部52、底壁部53および一対の側壁部54で囲まれた部分の内側に設けられたビルプレス61と、支持部55から落下する、紙幣以外の異物を案内する異物シュート62と、異物シュート62で案内されて落下する異物を収容する受皿63と、開口部51を開閉するシャッタ64と、を有している。
【0054】
取込機構部52は、開口部51の上縁部から後下がりに延出して底壁部53に対向する略平面状の天井面71を有する天井部72と、天井部72の開口部51とは反対側の中間部分から天井面71よりも前下方向に一部突出する蹴出ローラ75と、蹴出ローラ75の後下方向に並んで設けられた繰出ローラ76と、繰出ローラ76の前下方向に並んで設けられた分離ローラ77とを有している。天井面71の後方への延長方向に入金搬送路21Aの傾斜送路部21Aaが配置されている。蹴出ローラ75は左右方向に離間して複数、具体的には2つ設けられている。繰出ローラ76も左右方向に離間して複数設けられており、分離ローラ77も左右方向に離間して複数設けられている。
【0055】
支持部55は、分離ローラ77の上端部近傍から前下がりに延出して開口部51側に向く略平面状の支持面81を有する支持部材82を有している。
図5に示すように、支持面81は左右方向に長い横長の略長方形状である。
図7に示すように、支持部材82は、支持面81を有する略長方形状の支持部55と、支持面81の長辺側の一縁部から斜めに広がる案内面84を有する案内部85とを有している。支持部55には、異物落下孔90が、支持面81の長辺延在方向に並んで複数、具体的には4箇所形成されている。
図8に示すように、異物落下孔90は、支持部55を厚さ方向に貫通している。
図7に示すように、隣り合う異物落下孔90の間が、支持面81の短辺延在方向に延びるガイド部92となっている。ガイド部92が複数、具体的には3箇所形成されている。
図6に示すように、案内面84は、入金搬送路21Aの傾斜送路部21Aaの一部を構成する。
【0056】
異物シュート62は支持部55の下方に設けられており、異物シュート62の下方に受皿63が設けられている。異物シュート62は、異物落下孔90から落下する異物を案内する。受皿63は、異物シュート62で案内されて落下する異物を収容する。異物シュート62は、
図9に示すように、前下がりに広がるガイド後壁101と、ガイド後壁101の前側に配置されたガイド前壁102と、これらガイド後壁101およびガイド前壁102の左右方向の同側同士を結ぶ一対のガイド側壁103とを有している。一対のガイド側壁103は下部側が互いの間隔を狭くするように傾斜している。
【0057】
異物シュート62は、ガイド後壁101、ガイド前壁102および一対のガイド側壁103の上縁部が上部開口106を形成し、ガイド後壁101、ガイド前壁102および一対のガイド側壁103の下縁部が下部開口107を形成している。上部開口106よりも下部開口107の方が前後方向および左右方向に狭くなっている。下部開口107は水平に広がっており、左右方向に長い横長の矩形状をなしている。異物シュート62の上部開口106の水平方向の内側範囲内に、
図7に示すすべての異物落下孔90が配置される。
図6に示す受皿63の水平方向の内側範囲内に、異物シュート62の下部開口107が配置される。
【0058】
図6に示すように、底壁部53は、取込機構部52の天井面71と略平行をなして対向する略平面状の底壁面111を有しており、
図5に示すように、一対の側壁部54は、互いに略平行をなして対向する側壁面112をそれぞれ有している。取込機構部52の天井面71と、支持部55の支持面81と、底壁部53の底壁面111と、一対の側壁部54の一対の側壁面112とが、開口部51から後下がりに凹む受入空間115を形成している。
【0059】
ビルプレス61は、左右方向に長い横長の略長方形状であり、
図6に示すように、取込機構部52の天井面71と底壁部53の底壁面111とに略平行をなしていて、これらの間で
図6に矢印Xで示すように往復移動する。ビルプレス61は、支持部55の支持面81上を、この支持面81に沿って移動する。
【0060】
投入部11には、受入空間115に集積紙幣BBが投入されることになるが、具体的には、開口部51を介して取込機構部52とビルプレス61との間に集積紙幣BBが投入される。その際に集積紙幣BBは、各紙幣Bの長辺が一対の側壁部54を結ぶ方向に延び、紙幣Bの集積方向が取込機構部52とビルプレス61とを結ぶ方向となる状態で、各紙幣Bの一方の長辺を支持部55の支持面81に当接させて、ビルプレス61に載置される。その際に、集積紙幣BBは、集積方向一端部の紙幣Bがビルプレス61に当接する。
【0061】
この状態で、ビルプレス61が図示略のビルプレス駆動部で取込機構部52の方向に移動させられると、集積紙幣BBの取込機構部52側の集積方向他端部の紙幣Bが蹴出ローラ75に接触する。このようにして、ビルプレス61が紙幣Bを蹴出ローラ75に押し付ける。そして、蹴出ローラ75および繰出ローラ76が図示略の繰出駆動部に駆動されると、蹴出ローラ75が、集積紙幣BBの取込機構部52側の端部の紙幣Bを蹴り出すことになり、蹴り出された紙幣Bを繰出ローラ76および分離ローラ77が一枚ずつに分離して、入金搬送路21Aの傾斜送路部21Aaに繰り出す。
【0062】
ビルプレス61は、
図10に示すように、左右方向、すなわち載置される紙幣Bの長辺延在方向に長い横長のビルプレス本体121と、ビルプレス本体121の長手方向の両側、すなわち載置される紙幣Bの長辺延在方向の両側に配置される一対の押圧部122と、
図11,
図12に示すようにビルプレス本体121と押圧部122との間に設けられる弾性部124とを有している。弾性部124は、一対の押圧部122とビルプレス本体121との間にそれぞれ設けられており、対応する押圧部122をビルプレス本体121に対し近接離間可能に支持する。
【0063】
ビルプレス61は、
図6に示すように、ビルプレス本体121が、図示略のビルプレス駆動部に駆動されて天井面71と底壁面111との間で支持面81に沿って往復移動する。すなわち、ビルプレス本体121が蹴出ローラ75に対し近接および離間する。ビルプレス本体121は、天井面71および底壁面111に対する角度関係(略平行)は一定に維持したまま、支持面81に沿って直線状に移動する。
【0064】
また、ビルプレス61は、
図10に示す一対の押圧部122が、ビルプレス本体121の
図6に示す蹴出ローラ75側に設けられている。一対の押圧部122は、ビルプレス本体121に対し近接および離間する。
図11,
図12に示す弾性部124は、押圧部122をビルプレス本体121に対し離間する方向に付勢する。
【0065】
ビルプレス本体121は、
図10に示すように、左右方向に長い横長の略長方形状の本体部131と、本体部131の一方の長辺側から短辺延在方向に沿って突出する一対の前方突出部132と、本体部131の両短辺側から長辺に沿って突出する一対の側方突出部133とを有している。一対の前方突出部132は、本体部131の長辺延在方向の両側に設けられている。一対の側方突出部133は、本体部131の短辺延在方向における一対の前方突出部132とは反対側に設けられている。
【0066】
ビルプレス本体121は、
図6に示すように、天井部72側に、天井面71と略平行をなして天井面71に対向する平坦な面部141を有している。面部141は、
図5に示すようにビルプレス本体121の長手方向における中央部に設けられた凸状部142に配置されている。ビルプレス本体121は、その長手方向における凸状部142の両側に設けられた、面部141よりも天井部72とは反対方向に凹む段差部143を有している。言い換えれば、ビルプレス本体121は、蹴出ローラ75側に、面部141と、面部141よりも蹴出ローラ75とは反対側に凹む一対の段差部143とを有している。
【0067】
図10に示すように、段差部143は、面部141と平行な底面145を有する段差本体部146と、
図11に示すように、段差本体部146の一端部に設けられて底面145よりもさらに凹む凹状部147と、凹状部147の底部の一端部を貫通する貫通穴148とを有している。凹状部147は左右方向に長い横長の長方形状であり、貫通穴148も左右方向に長い横長の長方形状である。凹状部147は、前方突出部132の範囲内に形成されており、貫通穴148は、前方突出部132の本体部131からの突出方向における凹状部147の端部に形成されている。
【0068】
図10に示すように、面部141を有する凸状部142は、本体部131と一対の前方突出部132の本体部131側とに形成されている。両側の段差部143は、本体部131と一対の前方突出部132の本体部131側と一対の側方突出部133とに形成されている。
【0069】
一対の前方突出部132には、
図5に示す天井部72側に、支持部55から離れるほど天井面71から離間するように傾斜する前方傾斜面149が形成されている。これらの前方傾斜面149は、相互近接側が面部141に繋がっている。
【0070】
図10に示すように、ビルプレス本体121には、凸状部142の面部141の範囲内に、面部141よりも
図6に示す天井部72とは反対側に凹む凹部151が設けられている。凹部151は、面部141の一対の前方突出部132とは反対側に形成されている。
図10に示すように、一方の凹部151が一方の段差部143に近接し、他方の凹部151が他方の段差部143に近接している。凹部151は、底面が円筒面状であり、ビルプレス本体121が
図6に示す天井部72側に移動すると、天井面71から突出する蹴出ローラ75の一部を入り込ませる。
【0071】
図10に示すように、ビルプレス本体121には、本体部131の一対の前方突出部132とは反対側の端縁部に、この端縁部よりも一対の前方突出部132側に凹むガイド溝155が形成されている。ガイド溝155は本体部131の長辺延在方向に並んで複数、具体的には3箇所設けられている。ガイド溝155内には、
図7に示す支持部材82のガイド部92が、それぞれ配置される。これにより、ビルプレス本体121は、異物落下孔90に一部入り込んだ状態となる。
【0072】
図11に示す弾性部124は、段差部143の底面145に貼着されている。弾性部124の底面145への貼着は、例えば両面テープで行われている。弾性部124は、弾性を有するもので、板状をなす一定厚さ(例えば5mm)の合成樹脂製のスポンジからなっている。弾性部124は、段差本体部146の凸状部142側の端縁部146aに当接する端縁部124aと、端縁部124aの凸状部142とは反対側の端縁部124bとを有している。これら端縁部124aおよび端縁部124bは平行をなしている。弾性部124は、端縁部124bが段差部143の左右方向の中間部に設けられており、段差部143の凸状部142側の一部を覆っている。弾性部124は、ビルプレス本体121の移動方向に対し直交方向に広がる板状の弾性部材である。
【0073】
一対の押圧部122は、それぞれが、
図12に示すように対応する弾性部124の底面145とは反対側に貼着されて段差部143に収容されるように配置されている。よって、押圧部122は、紙幣Bの長辺延在方向に離間して一対設けられている。そして、これら一対の押圧部122の間に面部141を含む凸状部142が配置されている。
【0074】
押圧部122は、ビルプレス本体121における長手方向の中央側の端縁部122aが、段差本体部146の凸状部142側の端縁部146aに当接しており、端縁部122aとは反対側の端縁部122bが弾性部124の端縁部124bよりも凸状部142とは反対側の外側に配置されている。弾性部124は、押圧部122の面部141側の一部を部分的に段差部143に連結している。具体的に、弾性部124は、押圧部122の面部141側の略半分の範囲を段差部143に連結している。言い換えれば、押圧部122に部分的に弾性部124が設けられており、押圧部122の裏側の略半面、具体的にはビルプレス61に載置された紙幣Bの長辺延在方向の中央に近い片側のみに弾性部124が設けられている。
【0075】
押圧部122は、板状であって、
図10に示すように、平坦な押圧面161を有する主板部162と、押圧面161の一端縁部から押圧面161に対して傾斜して延出する傾斜面163を有する傾斜板部164と、傾斜板部164の主板部162とは反対側の端縁部から主板部162に垂直をなして突出する先端板部165とを有している。一対の押圧部122は、それぞれの主板部162が、
図11に示すようにビルプレス本体121の移動方向に対し直交方向に広がる状態で弾性部124の、
図6に示す蹴出ローラ75側に配置されている。押圧部122は、主板部162の裏面が弾性部124へ例えば両面テープで貼着されている。
【0076】
押圧部122は、主板部162が段差本体部146に対向して段差本体部146に対し近接および離間可能である。また、押圧部122は、
図12に示すように傾斜板部164が凹状部147に対向して凹状部147に対し進退可能であり、先端板部165が貫通穴148に対向して貫通穴148に対し進退可能となる。押圧部122は、主板部162が段差本体部146の底面145に近づくと、傾斜板部164が凹状部147に入り込み、あるいは入り込み量を増大させ、先端板部165が貫通穴148に入り込み、あるいは入り込み量を増大させる。
【0077】
押圧部122は、全体的に弾性変形可能な弾性部124を介してビルプレス本体121に設けられることでビルプレス本体121に揺動可能となっている。押圧部122は、弾性部124の付勢力で、底面145から主板部162が離間する方向の離間限度位置に位置している。押圧部122は、押圧されると弾性部124の付勢力に抗して主板部162が底面145に近接する。
【0078】
一対の押圧部122は、弾性部124の付勢力で、
図10に示すように離間限度位置に位置するとき、それぞれの押圧面161が凸状部142の面部141と面一状になり、それぞれの傾斜面163が、ビルプレス本体121の前方傾斜面149と面一状になる。一対の押圧部122は、離間限度位置に位置する状態から、それぞれが単独で、弾性部124を弾性変形させながら段差部143の底面145に近づく。すなわち、ビルプレス61は、蹴出ローラ75を受けるビルプレス本体121の凸状部142よりも紙幣Bの長辺延在方向の両外側の一対の押圧部122が、任意に沈み込むように構成されている。
【0079】
ここで、紙幣Bは、一定厚さの紙に印刷が施されて長方形状に形成されている。例えば、ルーブル紙幣およびユーロ紙幣等の紙幣Bでは、
図13に示すように、紙に印刷が施された紙幣本体201に、金属製の帯状の薄いホログラムであるセキュリティスレッド202が貼られている。このセキュリティスレッド202は、紙幣本体201の短辺側に、短辺に平行に貼られている。紙幣Bは、
図14に示すように、紙幣本体201にセキュリティスレッド202が貼られた部分の厚さの方が、紙幣本体201にセキュリティスレッド202が貼られていない部分の厚さよりも厚くなっている。
【0080】
一対の押圧部122は、
図12に示すように、ビルプレス61に載置された紙幣Bの長辺延在方向において、セキュリティスレッド202の全幅と位置が重なり合うように設けられている。また、一対の弾性部124も、ビルプレス61に載置された紙幣Bの長辺延在方向において、セキュリティスレッド202の全幅と位置が重なり合うように設けられている。すなわち、ビルプレス61に載置された紙幣Bの左右方向一側に配置されたセキュリティスレッド202は、紙幣Bの長辺延在方向において、この一側に設けられた弾性部124および押圧部122と位置を全幅重ね合わせることになる。ビルプレス61に載置された紙幣Bの左右方向他側に配置されたセキュリティスレッド202は、紙幣Bの長辺延在方向において、この他側に設けられた弾性部124および押圧部122と位置を全幅重ね合わせることになる。
【0081】
セキュリティスレッド202を有する紙幣Bが、例えば表裏および天地の向きを揃える等することで、ある程度セキュリティスレッド202が紙幣Bの長辺延在方向の同側に偏った状態で集積されると、セキュリティスレッド202が多い側の集積部分と、セキュリティスレッド202が少ない側の集積部分とで、集積紙幣BBの集積厚さが異なることになる。また、紙幣Bの長辺延在方向の中央部は、セキュリティスレッド202がない状態になる。特に同一金種の紙幣Bが同一の表裏および天地の向きで多数枚重ねた集積状態になっていると、セキュリティスレッド202の厚みが重なった部分が他の部分よりも高くなり易い。
【0082】
ここで、平面状の角度一定のビルプレスで集積紙幣を下から押し上げて少なくとも左右一対ある蹴出ローラに押し付けて摩擦力を確保し、蹴出ローラで紙幣を蹴り出し、繰出ローラと分離ローラとを有する繰出部を経由して搬送路へ送り込む構成では、セキュリティスレッドが貼り付けられている集積状態にある紙幣を一枚ずつ取り込ませる場合に、集積紙幣の左右の高さに差異が生じると、セキュリティスレッドが多数重なった部分ではない他の箇所については、ビルプレスでの押し付け効果が弱まり、蹴出ローラへの押し付け力が小さくなってしまう。
【0083】
これに加えて、紙幣取り込み時に、セキュリティスレッドをビルプレスと天井面とで挟んでしまうため、蹴出ローラで搬送路へ送り込む時の抵抗にもなる。これらの要因から、取り込む紙幣に斜行を発生し、取り込み不良(ジャム)を発生する可能性がある。例えば、海外紙幣を同一方向に揃えて100枚以上積み重ねると、斜行が発生する可能性が高くなる。
【0084】
投入部11から紙幣Bを入金搬送路21Aに繰り出す、上記した入金処理等を行う場合、紙葉類処理装置10は、図示略の制御部が、投入部11の開口部51を閉塞していたシャッタ64を回動させて開口部51を開放する。そして、開口部51を介して、集積紙幣BBが、例えば、セキュリティスレッド202が多い側の集積部分が右側となる状態でビルプレス61に載置される。すると、図示略のセンサの投入部11への紙幣Bの投入の検知に基づいて、制御部が、シャッタ64を回動させて開口部51を閉塞した後、図示略のビルプレス駆動部でビルプレス61のビルプレス本体121を、蹴出ローラ75を含む取込機構部52に向けて移動させる。
【0085】
すると、ビルプレス本体121の凸状部142の面部141が集積紙幣BBの長辺延在方向の中央を、一対の蹴出ローラ75と、一対の蹴出ローラ75の間の天井面71とに押し付けることになる。
【0086】
また、集積紙幣BBのセキュリティスレッド202が多い右側部分を、右側の押圧部122が、この部分から受ける反力で弾性部124を弾性変形させながら面部141よりも底面145側に移動して中央との厚さの差を吸収しつつ、弾性部124の付勢力で天井面71に押し付けることになる。
【0087】
また、集積紙幣BBのセキュリティスレッド202が少ない左側部分を、左側の押圧部122が、この部分から受ける反力で弾性部124を弾性変形させながら面部141よりも底面145側に移動して中央との厚さの差を吸収しつつ、弾性部124の付勢力で天井面71に押し付けることになる。
【0088】
このように、集積紙幣BBの厚さに応じた量、押圧部122が面部141に対し沈み込むことにより、ビルプレス61でセキュリティスレッド202に起因した集積紙幣BBの高さ違いを吸収しつつ集積紙幣BBの全体を押圧する。
【0089】
この状態で、制御部は、繰出駆動部で蹴出ローラ75および繰出ローラ76を駆動する。すると、蹴出ローラ75が集積紙幣BBのうちの蹴出ローラ75に当接する最も蹴出ローラ75側の紙幣Bを繰出ローラ76に向け蹴り出すことになり、繰出ローラ76および分離ローラ77が蹴り出された紙幣Bを一枚ずつ入金搬送路21Aに繰り出すことになる。そして、蹴出ローラ75が所定の間隔で紙幣Bを蹴り出すことで、集積紙幣BBの紙幣Bが1枚ずつ入金搬送路21Aに繰り出されることになる。
【0090】
このような紙幣Bの順次の繰り出しで集積紙幣BBの厚さが徐々に減少すると、制御部は、集積紙幣BBの厚さに応じてビルプレス本体121を取込機構部52に向けて移動させることになり、ビルプレス本体121の面部141が、集積紙幣BBの長辺延在方向の中央を、一対の蹴出ローラ75と、一対の蹴出ローラ75の間の天井面71とに押し付ける状態を維持することになる。
【0091】
また、集積紙幣BBのセキュリティスレッド202が多い右側部分を、右側の押圧部122が、この部分から受ける反力で弾性部124を弾性変形させながら面部141よりも底面145側に位置し、徐々に小さくなる中央との厚さの差を吸収しつつ、弾性部124の付勢力で天井面71に押し付けることになる。
【0092】
また、集積紙幣BBのセキュリティスレッド202が少ない左側部分を、左側の押圧部122が、この部分から受ける反力で弾性部124を弾性変形させながら面部141よりも底面145側に位置し、徐々に小さくなる中央との厚さの差を吸収しつつ、弾性部124の付勢力で天井面71に押し付けることになる。
【0093】
以上により、ビルプレス61は、その一対の蹴出ローラ75を受ける中央部が平面状の面部141であり、一対の蹴出ローラ75の両外側の押圧部122が、セキュリティスレッド202が配置された側を押圧するときに沈み込み、紙幣枚数が少なくなるか完全に無くなると中央部と同じ高さに復帰する構造となっている。また、押圧部122の沈み込み量は紙幣の量とセキュリティスレッド202の位置によって柔軟に変化するように構成される。特にセキュリティスレッド202の重なった部分が左右一対の蹴出ローラ75の外側にくると斜行が発生する傾向があり、ビルプレス61の外側部位であって、蹴出ローラ75を受ける凸状部142より外側部位の一対の押圧部122が任意に沈み込むように構成した。
【0094】
ここで、硬貨やクリップ等の、紙幣以外の異物が、投入部11に混入した場合、支持部55に形成された異物落下孔90から落下して受入空間115から排除される。異物落下孔90から落下した異物は、異物シュート62で案内されて受皿63に収容され、受皿63とともに外部に取り出されて回収される。
【0095】
以上に述べた本実施形態によれば、ビルプレス61で集積紙幣BBを蹴出ローラ75に押圧する際に、ビルプレス本体121を蹴出ローラ75に近づけると、ビルプレス本体121の蹴出ローラ75側に設けられた押圧部122が集積紙幣BBに当接して集積紙幣BBを蹴出ローラ75側に押圧する。その際に、集積紙幣BBに部分的な厚みの差があっても、それに応じて弾性部124が変形して、この部分的な厚みの差を吸収することになる。よって、押圧部122が集積紙幣BBに良好に当接して集積紙幣BBを良好に押圧することになる。これにより、紙幣Bの斜行の発生を抑制でき、取り込み不良の発生を抑制することが可能となる。したがって、紙幣Bを安定して内部に取り込むことができる。
【0096】
しかも、移動するビルプレス本体121に押圧部122を移動可能に設けて、この押圧部122を弾性部124で付勢する構造であるため、構造の簡素化が図れ、コスト増の抑制が図れる。
【0097】
また、ビルプレス本体121の蹴出ローラ75側に設けられた面部141と、ビルプレス本体121のこの面部141よりも凹む段差部143に設けられた押圧部122とで、集積紙幣BBを蹴出ローラ75側に押圧する。よって、例えば、集積紙幣BBの厚い部分を押圧部122で、薄い部分をビルプレス本体121の面部141で押圧することによって押圧力の部分差を抑制することが可能になる。これにより、取り込み不良の発生を一層抑制することが可能となる。
【0098】
また、押圧部122は、集積紙幣BBを蹴出ローラ75側に押圧しない状態では、押圧面161が弾性部124の付勢力で面部141と面一状になるため、集積紙幣BBに厚さの部分差が少ない場合についても、押圧力の部分差を抑制することが可能になる。
【0099】
また、蹴出ローラ75に対する位置が安定しているビルプレス本体121の面部141の範囲内に蹴出ローラ75が入り込む凹部151を設けているため、ビルプレス本体121の凹部151と蹴出ローラ75とで紙幣Bを円滑に蹴り出すことができる。
【0100】
また、紙幣Bの長辺延在方向に離間して一対設けられた押圧部122で紙幣Bの長辺延在方向の両側を押圧し、これらの間のビルプレス本体121の面部141で紙幣Bの長手方向の中間部を押圧することができる。したがって、集積紙幣BBにおいて厚い部分が紙幣Bの長辺延在方向の端部側に生じ易い場合に、取り込み不良の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0101】
また、弾性部124が、ビルプレス本体121の移動方向に対し直交方向に広がる板状の弾性部材であり、押圧部122が、板状であって、ビルプレス本体121の移動方向に対し直交方向に広がる状態で弾性部124の蹴出ローラ75側に配置されているため、駆動源を持たず、より簡素な構造になり、コスト増の一層の抑制が図れる。
【0102】
また、押圧部122に部分的に弾性部124が設けられているため、押圧部122の傾斜を調整することができる。具体的には、押圧部122の裏側に略半面だけ弾性部124を入れている。この場合、例えば、所定の種類の集積紙幣BBの全てのセキュリティスレッド202を重ねた状態とすると、押圧部122は、セキュリティスレッド202の位置に当接して沈み込む際に傾く。このときの押圧部122の傾きは、紙幣Bの長辺延在方向において蹴出ローラ75よりも外側へ向かって直線的に下がるようになる。この場合、セキュリティスレッド202の位置より、紙幣Bの長辺延在方向における蹴出ローラ75よりも外側部位の紙幣Bは潰されず抵抗にならない。セキュリティスレッド202の位置では適度に押圧部122が沈んでおり、このように押圧部122が沈むことで紙幣Bの蹴出ローラ75とは反対側の面を略均一に支えるため、集積状態の紙幣Bの姿勢が崩れず、安定した状態を保つ。この状態で取り込みを開始すると、紙幣Bを斜行させずに安定して取り込むことができる。なお、紙幣Bの種類等に応じて、押圧部122に部分的に設ける弾性部124の位置を調整することができる。
【0103】
また、ビルプレス61の押圧部122の可動量(沈み込み量)は集積紙幣BBの量とセキュリティスレッド202の位置により外力に応じて変化するので、セキュリティスレッド202の位置の影響や紙幣サイズに影響を受けにくい。したがって紙幣Bの種類(金種)を問わず、安定して取り込みが可能となる。
【0104】
以上においては、弾性部124が、押圧部122の面部141側の一部を段差部143に連結する場合を例にとり説明したが、押圧部122を全面的に段差部143に連結するようにしても良い。この場合、例えば、集積紙幣BBの全てのセキュリティスレッド202を重ねた状態とすると、押圧部122は、セキュリティスレッド202の位置に当接して沈み込む際に傾く。このときの押圧部122の傾きは、紙幣Bの長辺延在方向において蹴出ローラ75よりも内側へ向かって直線的に下がるようになる。この場合、セキュリティスレッド202の位置より、紙幣Bの長辺延在方向において蹴出ローラ75よりも外側部位で押圧部122が持ち上っている。
【0105】
また、以上においては、紙幣Bを投入部11の載置板としてのビルプレス61へ集積状態でセットし、最上方にある紙幣から一枚ずつ装置内へ取り込む方式を例にとり説明したが、本願発明は、この方式に限定されずに、集積状態にある紙幣の最下方にある紙幣から一枚ずつ装置内へ取り込む方式の装置でも実施可能である。すなわち、この場合は、集積状態にある紙幣を上側から下向きに押さえる札押え板としてのビルプレスの紙幣当接面側に面部141および押圧部122を配置する。
【0106】
また、以上においては、紙葉類として紙幣を処理する紙葉類処理装置10を例にとり説明したが、紙幣以外の、有価証券、金券等の、種々の紙葉類を処理する装置に適用可能である。