【解決手段】アクチュエータ100は、操作体3を備えており、駆動機構1の第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7によって発生する動きを第1駆動部材4Xおよび第2駆動部材4Yによって直接操作体3に伝達する。従って、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7が発生させる加速度を直接体感することができる。また、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7は、Z方向に重ねて配置されているため、アクチュエータ100をZ方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。
前記駆動機構の前記第1コイルまたは前記第1磁石と一体になって前記第2方向へ駆動される第1駆動部材、および、前記第2コイルまたは前記第2磁石と一体になって前記第3方向へ駆動される第2駆動部材を備え、
前記操作体は、前記第1駆動部材によって直接前記第2方向へ駆動され、且つ、前記第2駆動部材によって直接前記第3方向へ駆動されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアクチュエータの可動体では、第1方向に板厚方向を向けたホルダに対して第1コイルおよび第2コイルが平面的に設けられているため、可動体の平面積が大きい。このため、アクチュエータの平面積が大きく、トルクを確保しつつ小型化することは困難である。
【0005】
また、特許文献1に記載のアクチュエータは、可動体に直接触れるようには構成されておらず、可動体は、外装ケースの内部に収容され、外装ケースに弾性体によって固定されている。従って、可動体の動きを直接感じることができず、体感できる触覚は弾性体を介して外装ケースに伝わる振動に限られるという問題がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、トルクを確保しつつ小型化できるアクチュエータを提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の課題は、磁気駆動回路が発生させる振動を直接体感できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支持体と、前記支持体に対して移動可能な操作体と、前記操作体を駆動する駆動機構と、を有し、前記駆動機構は、第1方向で対向する第1コイルおよび第1磁石を備え、前記操作体を前記第1方向に対して直交する第2方向に駆動する第1磁気駆動回路と、前記第1磁気駆動回路に対して前記第1方向で重なる位置に前記第1方向で対向する第2コイルおよび第2磁石を備え、前記操作体を前記第1方向と直交し、前記第2方向に交差する第3方向に駆動する第2磁気駆動回路と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路が第1方向に重ねて配置されている。従って、アクチュエータを第1方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。それゆえ、本発明を適応したアクチュエータは、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適している。また、本発明では、操作体を備えており、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路によって操作体を直交する2方向に駆動する。従って、操作者に平面内の任意の方向の振動を体感させることができる。また、操作体を駆動するので、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路が発生させる加速度を体感することができる。よって、弾性体を介して手指に振動が伝わる構造の場合とは異なる触覚を体感することができる。更に、弾性体が介在することによる可動量の制限がないので、ロングストロークの振動を体感させることができる。
【0010】
本発明において、前記駆動機構は、前記第1コイルまたは前記第1磁石と一体になって前記第2方向へ駆動される第1駆動部材、および、前記第2コイルまたは前記第2磁石と一体になって前記第3方向へ駆動される第2駆動部材を備え、前記操作体は、前記第1駆動部材によって直接前記第2方向へ駆動され、且つ、前記第2駆動部材によって直接前記第3方向へ駆動されることが好ましい。このようにすると、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路によって発生する動きを第1駆動部材および第2駆動部材によって直接操作体に伝達するので、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路が発生させる加速度を直接体感することができる。
【0011】
本発明において、前記駆動機構は、前記第1コイルおよび前記第1磁石の一方が設けられた第1可動体と、前記第2コイルおよび前記第2磁石の一方が設けられた第2可動体を備え、前記支持体と前記第1可動体との間に、前記第1可動体を前記第2方向へ移動可能に支持する第1転動体が配置され、前記支持体と前記第2可動体との間に、前記第2可動体を前記第3方向へ移動可能に支持する第2転動体が配置されることが好ましい。このようにすると、ボールなどの転動体によって可動体の荷重を受けることができる。従って、転動体によってコイルと磁石の磁気ギャップを確保できる。また、転動体によって可動体を支持することにより、可動体の動作をスムーズにすることができ、摩擦等によるトルクロスを少なくすることができる。
【0012】
本発明において、前記第1可動体を前記第1転動体に押し付ける第1与圧部材と、前記第2可動体を前記第2転動体に押し付ける第2与圧部材を備えることが好ましい。このようにすると、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路の非通電時に、第1可動体および第2可動体の位置保持を行うことができる。
【0013】
本発明において、前記支持体は、前記第1コイルに対して前記第1方向の一方側に配置される第1ケース、および、前記第1方向の他方側に配置される第2ケースと、前記第2コイルに対して前記第1方向の一方側に配置される第3ケース、および、前記第1方向の他方側に配置される第4ケースを備え、前記第1ケースおよび前記第2ケースは、前記第1コイルが設けられた前記第1可動体を前記第1転動体を介して前記第2方向へ移動可能な状態で保持すると共に、第1ヨークを介して前記第1磁石が固定された第1磁気駆動ユニットを構成し、前記第3ケースおよび前記第4ケースは、前記第2コイルが設けられた前記第2可動体を前記第2転動体を介して前記第3方向へ移動可能な状態で保持すると共に、第2ヨークを介して前記第2磁石が固定された第2磁気駆動ユニットを構成し、前記第1磁気駆動ユニットと前記第2磁気駆動ユニットが前記第1方向で積層されることが好ましい。このようにすると、1軸方向(第2方向、第3方向)の磁気駆動ユニットを第1方向に積層してアクチュエータを構成できるため、部品を共通化することができる。また、部品設計および製造工程の合理化を図ることができ、コスト削減に有利である。
【0014】
本発明において、前記第1磁石および前記第1ヨークは、前記第1コイルに対して前記
第1方向の両側に配置されて、前記第1ケースと前記第2ケースのそれぞれに固定され、前記第2磁石および前記第2ヨークは、前記第2コイルに対して前記第1方向の両側に配置されて、前記第3ケースと前記第4ケースのそれぞれに固定されることが好ましい。このようにすると、1つのコイルに対して2つの磁石を対向させているので、大きな駆動力を発生させることができる。
【0015】
本発明において、前記第1コイルと前記第1磁石の一方に対する他方の前記第2方向の相対移動を検出する第1センサと、前記第2コイルと前記第2磁石の一方に対する他方の前記第3方向の相対移動を検出する第2センサと、を備えることが好ましい。このようにすると、第1磁気駆動回路の実際の駆動量を第1センサで検出し、第2磁気駆動回路の実際の駆動量を第2センサで検出できるので、操作体の現在位置を検出することができる。また、現在位置に基づいてフィードバック制御を行うことができるので、精度良く駆動制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路が第1方向に重ねて配置されている。従って、アクチュエータを第1方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。それゆえ、本発明を適応したアクチュエータは、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適している。また、本発明では、操作体を備えており、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路によって操作体を直交する2方向に駆動する。従って、操作者に平面内の任意の方向の振動を体感させることができる。また、操作者が直接触れる操作体を駆動するので、第1磁気駆動回路および第2磁気駆動回路が発生させる加速度を体感することができる。よって、弾性体を介して手指に振動が伝わる構造の場合とは異なる触覚を体感することができる。更に、弾性体が介在することによる可動量の制限がないので、ロングストロークの振動を体感させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、互いに交差する3つの方向を各々、X方向、Y方向およびZ方向として説明する。Z方向(第1方向)はX方向(第2方向)およびY方向(第3方向)に対して直交する方向である。また、X方向の一方側にX1を付し、X方向の他方側にX2を付し、Y方向の一方側にY1を付し、Y方向の他方側にY2を付し、Z方向の一方側にZ1を付し、Z方向の他方側にZ2を付して説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用したアクチュエータ100に用いられる駆動機構1および支持体2の斜視図である。また、
図2(a)は、
図1に示す駆動機構1および支持体2をY方向に切断した断面図(
図1のA−A位置で切断した断面図)であり、
図2(b)は、
図1に示す駆動機構1をX方向に切断した断面図(
図1のB−B位置で切断した断面図)である。
図3は、
図1の駆動機構1および支持体2の分解斜視図である。
図1に示すように、支持体2は、略直方体形状のケースである。
【0020】
駆動機構1は、支持体2に対してX方向に相対移動する第1可動体10X、および、支持体2に対してY方向に相対移動する第2可動体10Yを備える。また、駆動機構1は、
X方向(第2方向)の振動を発生させる第1磁気駆動回路6、および、第3方向(Y方向)の振動を発生させる第2磁気駆動回路7を備える。
図1に示すように、第1可動体10Xは、支持体2のY方向の一方側Y1の側面に形成された開口部21から支持体2の外部へ突出する腕部11、および、支持体2のY方向の他方側Y2の側面に形成された開口部22から支持体2の外部へ突出する腕部12を備える。また、第2可動体10Yは、支持体2のX方向の一方側X1の側面に形成された開口部23から支持体2の外部へ突出する腕部13、および、支持体2のX方向の他方側X2の側面に形成された開口部24から支持体2の外部へ突出する腕部14を備える。
【0021】
図4は、本発明を適用したアクチュエータ100の分解斜視図である。アクチュエータ100は、支持体2と、支持体2に対してX方向およびY方向へ相対移動する操作体3と、操作体3をX方向およびY方向へ駆動する駆動機構1を備える。駆動機構1は、
図1〜
図3では図示を省略した第1駆動部材4Xおよび第2駆動部材4Yを備える。第1駆動部材4Xおよび第2駆動部材4Yは、支持体2の外部に配置される。第1駆動部材4Xは、第1可動体10Xの腕部11、12に固定されるアームを備えており、第1可動体10Xと一体になってX方向へ移動する。また、第2駆動部材4Yは、第2可動体10Yの腕部13、14に固定されるアームを備えており、第2可動体10Yと一体になってY方向へ移動する。操作体3は、第1可動体10XがX方向へ移動するとき、第1駆動部材4Xによって直接X方向へ駆動される。また、操作体3は、第2可動体10YがY方向へ移動するとき、第2駆動部材4Yによって直接Y方向へ駆動される。
【0022】
図4に示すように、本形態の第1駆動部材4Xは、Y方向に延在する第1ガイド孔5Xを備える。また、第2駆動部材4Yは、X方向に延在する第2ガイド孔5Yを備える。操作体3は、第1ガイド孔5Xおよび第2ガイド孔5YよりもX方向およびY方向の幅が広い板状部31と、板状部31からZ方向の一方側Z1へ突出する出力部32と、板状部31から出力部32とは反対側(Z方向の他方側Z2)へ突出する被駆動部33を備える。出力部32は、操作者の手指が触れる部位である。第1駆動部材4Xと第2駆動部材4Yは、第1ガイド孔5Xと第2ガイド孔5Yが交差するように積層され、第1ガイド孔5Xおよび第2ガイド孔5Yに被駆動部33が挿入される。第1駆動部材4Xおよび第2駆動部材4Yが移動すると、被駆動部33は、第1ガイド孔5Xおよび第2ガイド孔5Yの交点の軌跡上を移動する。
【0023】
第1駆動部材4Xは、X方向へ移動する際に第1ガイド孔5Xの縁によって被駆動部33をX方向へ押圧して、操作体3をX方向へ押圧移動させる。また、第2駆動部材4Yは、Y方向へ移動する際に第2ガイド孔5Yの縁によって被駆動部33をY方向へ押圧して、操作体3をY方向へ押圧移動させる。従って、第1可動体10Xの駆動量と駆動方向、および、第2可動体10Yの駆動量と駆動方向を制御することにより、操作体3をXY平面内で任意の方向へ駆動することができる。
【0024】
支持体2は、第1ケース25、第2ケース26、第3ケース27、第4ケース28の4部材からなる。本形態では、これら4つのケースは同一部材であり、Z方向(第1方向)に積層されている。第1ケース25と第2ケース26は、内部に第1磁気駆動回路6および第1可動体10Xを収容した第1磁気駆動ユニット60を構成する。また、第3ケース27と第4ケース28は、内部に第2磁気駆動回路7および第2可動体10Yを収容した第2磁気駆動ユニット70を構成する。駆動機構1は、第2磁気駆動ユニット70を第1磁気駆動ユニット60に対してZ方向の一方側Z1で重ねた構造である。第1磁気駆動ユニット60と第2磁気駆動ユニット70は同一構成であり、第2磁気駆動ユニット70は、第1磁気駆動ユニット60に対してZ方向周りに90度相対回転した姿勢で配置されている。
【0025】
第1ケース25は、支持体2のZ方向の他方側Z2の端面を構成する第1端板部251と、第1端板部251の外周縁からZ方向の一方側Z1へ立ち上がる第1側板部252を備えており、Z方向の一方側Z1へ向かって開口する。第2ケース26は、第1ケース25をZ方向で裏返した形状をしており、第1端板部251とZ方向で対向する第2端板部261、および、第2端板部261の外周縁からZ方向の一方側Z1へ立ち上がる第2側板部262を備える。第1側板部252と第2側板部262のY方向の一方側Y1および他方側Y2の側面には、第1ケース25と第2ケース26を組み立てたときに開口部21、22を構成する矩形の切欠きが形成されている。
【0026】
第3ケース27は、第2端板部261にZ方向の一方側Z1から当接する第3端板部271と、第3端板部271の外周縁からZ方向の一方側Z1へ立ち上がる第3側板部272を備えており、Z方向の一方側Z1へ向かって開口する。第4ケース28は、第3端板部271とZ方向で対向する第4端板部281、および、第4端板部281の外周縁からZ方向の他方側Z1へ立ち上がる第4側板部282を備える。第3側板部272と第4側板部282のX方向の一方側X1および他方側X2の面には、第3ケース27と第4ケース28を組み立てたときに開口部23、24を構成する矩形の切欠きが形成されている。
【0027】
第1ケース25および第2ケース26において、Y方向の一方側Y1および他方側Y2の各側面の略中央には、X方向およびY方向で所定の厚さを備えた転動体受け部29が形成されている。転動体受け部29は、開口部21、22を形成する切欠きの略中央に設けられている。第1ケース25の転動体受け部29と第2ケース26の転動体受け部29は、Z方向で対向する。同様に、第3ケース27および第4ケース28において、X方向の一方側X1および他方側X2の各側面の略中央には、X方向およびY方向で所定の厚さを備えた転動体受け部29が形成されている。転動体受け部29は、開口部23、24を形成する切欠きの略中央に設けられている。第3ケース27の転動体受け部29と第4ケース28の転動体受け部29は、Z方向で対向する。
【0028】
各転動体受け部29には凹部291が形成されている。第1ケース25の転動体受け部29に形成された凹部291には、第1転動体8が配置され、第1転動体8を介して第1可動体10Xの腕部11、12が支持される。また、第3ケース27の転動体受け部29に形成された凹部291には第2転動体9が配置され、第2転動体9を介して第2可動体10Yの腕部13、14が支持される。本形態では、第1転動体8および第2転動体9として鋼球などのボールを用いている。
【0029】
図2、
図3に示すように、駆動機構1が備える磁気駆動回路(第1磁気駆動回路6、第2磁気駆動回路7)はいずれも、コイルと、コイルとZ方向で対向する磁石とを有している。コイルは、支持体2および可動体(第1可動体10X、第2可動体10Y)3の一方側部材に設けられ、磁石は、他方側部材に設けられる。本形態では、以下に説明するように、コイル(第1コイル61および第2コイル71)が可動体(第1可動体10X、第2可動体10Y)に設けられている。また、磁石(第1磁石621、622、および第2磁石721、722)およびヨーク(第1ヨーク631、632、および第2ヨーク732、734)が支持体2に設けられている。第1磁気駆動回路6は、第2磁気駆動回路7に対してZ方向の一方側Z1に重ねられて配置されている。第1磁気駆動回路6と第2磁気駆動回路7は同一構成であり、Z方向周りに90度相対回転した姿勢で配置されている。
【0030】
図2に示すように、第1磁気駆動回路6は、第1コイル61と、第1コイル61にZ方向の他方側Z2で対向する第1磁石621と、第1コイル61にZ方向の他方側Z2で対向する第1磁石622とを有している。第2磁気駆動回路7は、第2コイル71と、第2コイル71にZ方向の一方側Z1で対向する第2磁石721と、第2コイル71にZ方向の他方側Z2で対向する第2磁石722とを有している。
【0031】
第1ケース25の第1端板部251には、第1磁石621を保持する第1ヨーク631が固定されている。また、第2ケース26の第2端板部261には、第1磁石622を保持する第1ヨーク632が固定されている。第1磁気駆動ユニット60では、第1コイル61に対してZ方向の両側に配置された第1磁石621、622を第1ヨーク631、632で保持している。同様に、第3ケース27の第3端板部271には、第2磁石722を保持する第2ヨーク732が固定されている。また、第4ケース28の第4端板部281には、第2磁石722を保持する第2ヨーク732が固定されている。第2磁気駆動ユニット70では、第2コイル71に対してZ方向の両側に配置された第2磁石721、722を第2ヨーク731、732で保持している。
【0032】
第1可動体10Xは、第1コイル61を保持する長円形状の第1枠部15を備えており、第1枠部15のY方向の両端から腕部11、12が突出する。第1コイル61は、Y方向に延在する第1有効辺部分611、612(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルであり、第1枠部15の内側に接着等により固定されている。第1磁石621、622は各々、長方形の平面形状を有しており、X方向に長辺が延在し、Y方向に短辺が延在する。第1磁石621、622は各々、X方向に分極着磁されており、N極およびS極が各々、第1コイル61の第1有効辺部分611、612に対向する。従って、第1コイル61に通電すると、第1磁気駆動回路6は、第1可動体10XをX方向に駆動する駆動力を発生させる。
【0033】
第2可動体10Yは、第2コイル71を保持する長円形状の第2枠部16を備えており、第2枠部16のY方向の両端から腕部13、14が突出する。第2コイル71は、X方向に延在する第1有効辺部分711、712(長辺部分)を有する長円形状の空芯コイルであり、第2枠部16の内側に接着等により固定されている。第2磁石721、722は各々、長方形の平面形状を有しており、Y方向に長辺が延在し、X方向に短辺が延在する。第2磁石721、722は各々、Y方向に分極着磁されており、N極およびS極が各々、第2コイル71の第1有効辺部分711、712に対向する。従って、第2コイル71に通電すると、第2磁気駆動回路7は、第2可動体10YをY方向に駆動する駆動力を発生させる。
【0034】
(動作)
本形態のアクチュエータ100において、第1コイル61に交流を印加する一方、第2コイル71への通電を停止すると、第1可動体10Xは、X方向に振動する。第1可動体10Xの振動は、第1可動体10Xと一体になった第1駆動部材4Xから操作体3の被駆動部33に直接伝達され、操作体3がX方向に振動する。このため、操作者は、操作体3の出力部32を手指で触れることにより、X方向の振動を体感することができる。その際、第1コイル61に印加する交流波形を調整して、第1可動体10XがX方向の一方側X1に移動する加速度と、第1可動体10XがX方向の他方側X2に移動する加速度とを相違させれば、操作者は、X方向において方向性を有する振動を体感することができる。
【0035】
また、本形態のアクチュエータ100において、第2コイル71に交流を印加する一方、第1コイル61への通電を停止すると、第2可動体10Yは、Y方向に振動する。第2可動体10Yの振動は、第2可動体10Yと一体になった第2駆動部材4Yから操作体3の被駆動部33に直接伝達され、操作体3がY方向に振動する。このため、操作者は、操作体3の出力部32を手指で触れることにより、Y方向の振動を体感することができる。その際、第2コイル71に印加する交流波形を調整して、第2可動体10YがY方向の一方側Y1に移動する加速度と、第2可動体10YがY方向の他方側X2に移動する加速度とを相違させれば、操作者は、Y方向において方向性を有する振動を体感することができる。
【0036】
また、第1コイル61と第2コイル71への通電とを組み合わせれば、操作者は、X方向での振動とY方向での振動とを組み合わせた振動を体感することができる。
【0037】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ100において、操作体3をX方向(第2方向)に振動させる第1磁気駆動回路6、および操作体3をY方向(第3方向)に振動させる第2磁気駆動回路7がZ方向(第1方向)に重ねて配置されているため、アクチュエータ100をZ方向からみたときのサイズ(平面積)が小さい。それゆえ、本形態のアクチュエータ100は、手に持つコントローラ等の機器に搭載するのに適している。また、アクチュエータ100は、Z方向に重ねて配置された第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7からなるため、アクチュエータ100の第1方向のサイズ(厚さ)を小型化することができる。
【0038】
本形態では、操作者が直接触れることのできる操作体3を備えており、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7によって操作体3を直交する2方向に駆動する。従って、操作者にXY平面内の任意の方向の振動を体感させることができる。また、操作者が直接触れることのできる操作体3を駆動するので、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7が発生させる加速度を直接体感することができる。よって、弾性体を介して手指に振動が伝わる構造の場合とは異なる触覚を体感することができる。更に、弾性体が介在することによる可動量の制限がないので、ロングストロークの振動を体感させることができる。なお、操作者が操作体3に直接触れる場合だけでなく、間接的に触れる場合であっても、同じ振動や加速度を体感することが可能である。
【0039】
本形態の駆動機構1は、第1コイル61と一体になってX方向(第2方向)へ駆動される第1駆動部材4X、および、第2コイルと一体になってY方向(第3方向)へ駆動される第2駆動部材4Yを備え、操作体3は、第1駆動部材4Xによって直接X方向へ押圧されて駆動され、且つ、第2駆動部材4Yによって直接Y方向へ押圧されて駆動される。従って、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7によって発生する動きを第1駆動部材4Xおよび第2駆動部材4Yによって直接操作体3に伝達できるので、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7が発生させる加速度を直接体感することができる。
【0040】
なお、
図4に図示した第1駆動部材4X、第2駆動部材4Y、および操作体3の形態は本発明の一実施例にすぎず、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0041】
本形態の駆動機構1は、第1コイル61が搭載された第1可動体10Xと、第2コイル71が搭載された第2可動体10Yを備える。そして、支持体2を構成する第1ケース25と第1可動体10Xとの間に、第1可動体10XをX方向へ移動可能に支持する第1転動体8が配置される。また、支持体2を構成する第3ケース27と第2可動体10Yとの間に、第2可動体10YをY方向へ移動可能に支持する第2転動体9が配置される。このように、ボールなどの転動体によって第1可動体10Xおよび第2可動体10Yの荷重を受けることによって、第1可動体10Xに保持される第1コイル61と第1ケース25(支持体2)に保持される第1磁石621との磁気ギャップを確保できる。また、第1可動体10Xおよび第2可動体10Yの動きをスムーズにすることができ、摩擦等によるトルクロスを少なくすることができる。
【0042】
また、本形態では、第1可動体10XのY方向の両端の腕部11、12を第1転動体8で支持し、第2可動体10YのX方向の両端の腕部13、14を第2転動体9で支持するので、第1可動体10Xおよび第2可動体10Yをバランス良く支持できる。また、第1コイル61と第1磁石621との磁気ギャップ、および、第2コイル71と第2磁石72
1との磁気ギャップを安定して確保できる。
【0043】
本形態の駆動機構1は、1軸方向の磁気駆動ユニットである第1磁気駆動ユニット60と第2磁気駆動ユニット70を同一構造として、これらをZ方向に積層してアクチュエータ100を構成しているので、部品を共通化することができる。従って、部品設計および製造工程の合理化を図ることができ、コスト削減に有利である。
【0044】
本形態の駆動機構1は、第1コイル61に対してZ方向の両側に第1ヨーク631に保持される第1磁石621、および第1ヨーク632に保持される第1磁石622が配置される。また、第2コイル71に対してZ方向の両側に第1ヨーク631に保持される第1磁石621、および第1ヨーク632に保持される第1磁石622が配置される。従って1つのコイルに対して2つの磁石を対向させているので、大きな駆動力を発生させることができる。
【0045】
(変形例)
(1)上記形態において、第1コイル61と第1磁石621、622との相対移動を検出する第1センサを設けると共に、第2コイル71と第2磁石721、722との相対移動を検出する第2センサを設けることができる。例えば、第1可動体10Xもしくは第1駆動部材4Xに被検出部を設け、支持体2にホールセンサなどの検出部を設ければ、第1磁気駆動回路6の実際の駆動量を検出できる。また、第2可動体10Yもしくは第2駆動部材4Yに被検出部を設け、支持体2にホールセンサなどの検出部を設ければ、第2磁気駆動回路7の実際の駆動量を検出できる。これにより、操作体3の現在位置を検出することができる。また、現在位置に基づいてフィードバック制御を行うことができるので、精度良く操作体3の駆動制御を行うことができる。
【0046】
(2)上記形態において、第1可動体10Xの腕部11、12と第2ケース26の転動体受け部29との間に、腕部11、12を第1転動体8に押し付けるばねなどの第1与圧部材を配置することができる。また、同様に、第2可動体10Yの腕部13、14と第4ケース28の転動体受け部29との間に、腕部13、14を第2転動体9に押し付けるばねなどの第2与圧部材を配置することもできる。このようにすると、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7の非通電時に、第1可動体10Xおよび第2可動体10Yの位置保持を行うことができる。また、この場合には、第2ケース26および第4ケース28の転動体受け部29に第1、第2与圧部材を保持させることができる。
【0047】
(他の実施形態)
(1)上記形態では、第1磁気駆動回路6および第2磁気駆動回路7は、支持体2に磁石(第1磁石621、622、第2磁石721、722)が設けられ、可動体(第1可動体10X、第2可動体10Y)にコイル(第1コイル61、第2コイル)が設けられているが、支持体2にコイルを設け、可動体に磁石を設けるように構成してもよい。
【0048】
(2)上記形態では、コイル(第1コイル61、第2コイル)のZ方向の一方側Z1および他方側Z2に、それぞれ磁石およびヨークを配置する構造であったが、Z方向の一方側Z1および他方側Z2のいずれか一方にのみ磁石およびヨークを配置する構成としてもよい。