特開2019-129768(P2019-129768A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-129768(P2019-129768A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】種卵検査装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 43/00 20060101AFI20190712BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20190712BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   A01K43/00
   G01N21/01 B
   G01N21/17 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-15366(P2018-15366)
(22)【出願日】2018年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 邦男
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB11
2G059DD13
2G059EE01
2G059GG01
2G059GG02
2G059KK02
2G059MM01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光源を可及的に卵に接近させ、かつ、光源を破損したり、卵殻を破損したりすることのない装置を提供する。
【解決手段】種卵検査装置は、卵Eの鈍端と鋭端を上下方向にして収容する卵座を複数有する卵収容器Tを所定の位置に位置決めする位置決め部4と、該位置決め部4の上方に配置された検査部5とを有する種卵検査装置において、前記検査部5は、前記卵座に収容された卵Eの隣接空間の最も広い空間に位置し、且つ、前記卵Eの赤道付近から前記鈍端と鋭端を結ぶ中心線に向かって光を照射する照射部9と、前記卵座に配置された卵Eの頂部に着脱自在に且つ伸縮自在に被せられるキャップ部10と、前記キャップ部10内を通った光を受光する受光部とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵の鈍端と鋭端を上下方向にして収容する卵座を複数有する卵収容器を所定の位置に位置決めする位置決め部と、該位置決め部の上方に配置された検査部とを有する種卵検査装置において、
前記検査部は、前記卵座に収容された卵の隣接空間の最も広い空間に位置し、且つ、前記卵の赤道付近から前記鈍端と鋭端を結ぶ中心線に向かって光を照射する照射部と、前記卵座に配置された卵の頂部に着脱自在に且つ伸縮自在に被せられるキャップ部と、前記キャップ部内を通った光を受光する受光部とを有する種卵検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、上下動自在の支持部を有し、該支持部に前記照射部、キャップ部及び受光部が設けられている請求項1記載の種卵検査装置。
【請求項3】
前記照射部は、前記支持部に設けられた保持部の下端に設けられている請求項2記載の種卵検査装置。
【請求項4】
前記照射部、キャップ部及び受光部は、前記位置決め部で位置決めされた前記卵収容器の卵座に対応して設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の種卵検査装置。
【請求項5】
前記キャップ部は、蛇腹構造である請求項1〜4のいずれかに記載の種卵検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種卵検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鳥類の卵は、食用として用いられる食卵と、雛の生産やワクチンの生産等に用いられる種卵とに大別される。種卵は、所定の温度、湿度等の環境下で孵化され、孵化の途中では、種卵の内部における胚の活動状況、すなわち生死等を判定するような検査をされる。
【0003】
このような種卵の生死等を検査する装置として、下記の特許文献1に記載の生存卵を識別するための装置が公知である。
【0004】
この種卵検査装置は、図12図13に示すように、上方位置と下方位置との間を移動可能なほぼ水平のフレーム402と、該フレーム402によってほぼ垂直な方向に支持され、上方位置と下方位置との間を該フレーム402と共に移動可能な複数の検出装置ツール412を備える。各検出装置ツール412は、フレーム402が下方位置にあるとき卵1に隣接して位置し、選択された一つ以上の部分のスペクトルの光線を卵1に照射するように構成されている光源420を備える。光源420は、自由末端422aを有する細長い軸422を備える。反対の末端422bは検出装置ツール412に固定されている。光線照射要素(LED)424は自由末端422aに位置付けられている。各検出装置ツール412は、フレーム402が下方位置にあるとき、卵1と接触している関係で卵1に重なるように構成されているカップ430を備える。光検出装置432は、カップ430内に配置されており、卵1を通過する光線の強度に対応する出力信号を発生する。プロセッサは各光検出装置432に連絡しており、各光検出装置432からの出力信号を処理して光線強度の周期的および/または非周期的な変化を識別する。
【0005】
この従来のものは、胚の脈拍および動きの検出はフラット(卵収容器)20内の卵1の上方部で実施され、それによってフラット20に存在するごみ、破片および水などの異物によって生じる可能性のある複雑な問題を解消しようとするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4568602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1記載のものにおいて、カップ430とLED424との相対位置関係は固定的である。また複数のカップ430のサイズは同じである。
【0008】
一方、フラット20内の卵1のサイズは同じでない。したがって、カップ430の接触高さは卵1のサイズによって区々となる。すなわち、大きなサイズの卵1よりも小さなサイズの卵1の方が、卵1に対するカップ接触位置は下方になる。
【0009】
光源420は、カップ430を備えた検出装置ツール412に固定されているため、小さなサイズの卵1に対してカップ430が下方に下がり過ぎて、光源420がフラット20に接触して、光源420が破損するおそれがあった。
【0010】
そのため、前記従来のものにおいては、LED424は、光検出装置432の視野外である、卵Eの赤道よりもかなり上方に位置するよう、カップ430の下端縁近傍に配置されていた。
【0011】
またLED424を卵1の表面に接近して配置すると、卵1のサイズによっては、接触して卵殻に傷をつける恐れがあったので、従来のものは、卵1の表面からかなり離れて配置されていた。
【0012】
したがって、従来のものは、LED424から光検出装置432までの光路が長くなり、S/N比が悪かった。
【0013】
本発明は、前記課題を解決するものであり、光源を可及的に卵に接近させ、かつ、光源を破損したり、卵殻を破損したりすることのない装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。すなわち、本発明の種卵検査装置は、卵の鈍端と鋭端を上下方向にして収容する卵座を複数有する卵収容器を所定の位置に位置決めする位置決め部と、該位置決め部の上方に配置された検査部とを有する種卵検査装置において、前記検査部は、前記卵座に収容された卵の隣接空間の最も広い空間に位置し、且つ、前記卵の赤道付近から前記鈍端と鋭端を結ぶ中心線に向かって光を照射する照射部と、前記卵座に配置された卵の頂部に着脱自在に且つ伸縮自在に被せられるキャップ部と、前記キャップ部内を通った光を受光する受光部とを有する。
【0015】
前記検査部は、上下動自在の支持部を有し、該支持部に前記照射部、キャップ部及び受光部が設けられているのが好ましい。
【0016】
前記照射部、キャップ部及び受光部は、前記位置決め部で位置決めされた前記卵収容器の卵座に対応して設けられているのが好ましい。
【0017】
前記キャップ部は、蛇腹構造であるのが好ましい。
【0018】
前記照射部は、前記支持部に設けられた保持部の下端に設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光源を破損したり、卵殻を破損したりすることなく、光源を卵に接近して配置することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る種卵検査装置を備える検査システムの概略を示す概略図である。
図2図1の検査システムの概観を示す斜視図である。
図3】卵収容器の平面図である。
図4】卵収容器の正面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る種卵検査装置の断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る種卵検査装置の斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る種卵検査装置の検査部の正面図である。
図8】本発明の他の実施の形態に係る検査部の正面図である。
図9】検査位置にある卵収容器と照射部との位置関係を示す要部平面図である。
図10図9におけるA−A線断面図である。
図11】検査部の底面図である。
図12】従来技術の生存卵を識別する装置の正面図である(特許文献1の図6Bより引用)。
図13図12の検出装置ツールの拡大図である(特許文献1の図6Cより引用)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係る種卵検査装置1の上流側に、搬入装置2が設けられ、下流側に搬出装置3が設けられている。搬入装置2は、検査対象の種卵Eを収容した卵収容器Tを種卵検査装置1に搬入するものである。搬出装置3は、検査終了後の卵収容器Tを次工程へ送り出すものである。搬出装置3では、種卵検査装置1の検査によって除去されるべきと判定された種卵Eを卵収容器Tから自動で機械的に排除する排除機構(図示省略)を設けることができる。
【0023】
卵収容器Tは、矢印aに示すように、搬入装置2から検査装置1へ搬送され、検査後に矢印bに示すように、検査装置1から搬出装置3へ搬送される。検査装置1は、1つの卵収容器Tに収容された複数の種卵Eを一の検査単位として検査する。すなわち、1つの卵収容器Tに収容された複数の種卵Eを、検査単位ごとに搬送及び検査する。検査の際には、卵収容器Tは検査装置1の中で停止し、これにより多数の種卵Eは、所定の検査位置に整列された状態におかれる。
【0024】
図3及び図4に示すように、卵収容器Tは、二次元的に設けられた複数の卵座T1を備える。各卵座T1は、種卵の形状に適合して側方から種卵を支持するための枠部T2に、種卵Eを下方から支持するための複数の突起部T3が形成され、種卵Eを側方及び下方から保持する。卵収容器の四隅には、積み重ね用の支柱T4が設けられている。本実施の形態では、各行がオフセットされた、73個の卵座T1が設けられている。各種卵Eは、その鋭端を下方に、鈍端を上方に向けた状態で卵座T1に充填される。
【0025】
なお、各行がオフセットされずに、卵座T1が格子状に設けられているものもある。また、本実施の形態において、種卵Eは、鋭端を下方に向けた状態で収容されるが、種卵Eを検査できれば、いずれの方向に向いて卵座T1に充填されてもよい。また、卵収容器Tは、検査装置1により検査が可能であれば他の容器等であってもよい。
【0026】
図5及び図6に示すように、種卵検査装置1は、位置決め部4と検査部5とを有する。位置決め部4は、コンベヤ6を有する。位置決め部4は、前記搬入装置2からコンベヤ6上に搬入されてきた卵収容器Tを所定の検査位置に位置決めするものである。
【0027】
この位置決め手段としては、コンベヤ6上の卵収容器Tを所定の位置に正確に位置決めできるものであればよい。例えば、コンベヤ6を正確な位置で停止させる停止位置制御や、コンベヤ6上の卵収容器Tをさらにコンベヤ上で位置決めするストッパー手段や、ロボットアームのような位置決め手段を用いることができる。
【0028】
検査部5は、位置決め部4の上方に配置され、位置決め部4で位置決めされた卵収容器T内の卵Eの生死等を判定するものである。
【0029】
検査部5は、筐体7に上下機構8を介して上下動自在に設けられている。検査部5が上方に位置するときが「待機位置」で、下方に位置するときが「検査位置」とされている。
【0030】
上下機構8は、位置決め部4での卵収容器Tの位置決めが完了すると、待機位置にある検査部5を検査位置まで下降させ、生死判定が終了すると、待機位置に上昇させるものであれば、如何なるものであっても良い。
【0031】
図7に示すように、検査部5は、照射部9とキャップ部10と受光部11とを有する。照射部9、キャップ部10及び受光部11は、支持部12に設けられている。この支持部12が上下機構8により上下動自在とされている。
【0032】
照射部9、キャップ部10及び受光部11は、位置決め部4で位置決めされた卵収容器Tの卵座T1に対応して設けられている。
【0033】
照射部9は、支持部12に設けられた保持部13の下端に設けられている。保持部13は、筒状体により構成されている。保持部13の下端は、検査位置において卵Eの赤道付近に位置している。保持部13の筒状体に照射部9が収納されている。照射部9は、卵Eに可及的に接近して配置されている。照射部9はLEDにより構成されている。照射部9よりの光は、卵Eの赤道付近から鈍端と鋭端を結ぶ中心線に向かって照射される。
【0034】
なお、照射部9は、LEDに限らず、レーザ発光素子等であっても良い。光の波長を調整したり、発光強度を個々に調整することができるものであればよいが、これらに限られるものではない。
【0035】
キャップ部10は、検査位置において、卵座T1に配置された卵Eの頂部に着脱自在に且つ伸縮自在に密着して被せられるものである。キャップ部10は、蛇腹構造とされている。上下端開口の筒状蛇腹体の上端開口部が支持部12に取り付けられ、下端開口部が卵Eの頂部に密着する構造になっている。上下端の中間部の蛇腹部が待機位置において重力により伸び、検査位置において卵Eに押されて縮む構造とされている。このキャップ部10は、外部の光を内部に通さない遮光部材により構成されている。
【0036】
検査位置において、支持部12と卵収容器Tとの距離は一定とされている。卵収容器T内の卵Eのサイズは異なるため、キャップ部10の下端が卵Eの頂部に密着して被せられる位置は異なる。検査位置は、小さなサイズの卵Eの頂部にも、キャップ部10下端が密着して被せられる位置とされている。
【0037】
受光部11は、キャップ部10内を通った、前記卵Eの内部からの光を受光するものである。内部からの光は、前記照射部9からの光が卵E内部の胚などで反射拡散した光である。受光部11によって受光された光は、電気信号に変換され、識別部(図示省略)に送られる。識別部では、受光部11で受光した光の電気信号の解析により生存卵を識別する。
【0038】
図7において、受光部11は、支持部12の近傍に設けられ、卵Eの頂部との距離が長いが、図8に示すように、受光部11を卵頂部近傍に位置するように設けることができる。このような配置により、照射部9から受光部11に至る光路が短くなり、S/N比が良くなる。
【0039】
図9図10に示すように、照射部9は、検査位置において、卵座T1に収容された卵Eの隣接空間の最も広い空間に位置している。卵座T1が六角形状をしている場合、図9に示す六角形の頂点部分が卵Eの隣接空間の最も広い空間の中心点である。この中心点に照射部9が位置している。卵収容器Tの枠部T2は、卵座T1の六角形の各辺の中間部に、卵Eの赤道付近まで達するように設けられている。しかし、この枠部T2は、六角形の頂点部分には設けられていないので、照射部9と卵座T1との間には、広い空間が存在する。図10は、図9における照射部9の位置を通るA−A線における断面図である。この図10において、照射部9と卵座T1との間には、広い空間が存在することが明瞭にわかる。また、照射部9が枠部T2に接触しないことが分かる。
【0040】
図11は、検査部5を下方から見た図である。
【0041】
今回開示された実施例の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、キャップ部は、蛇腹構造に限定されず、テレスコピック構造であっても良い。
【0042】
本発明の範囲は、上記した実施例の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0043】
E 卵
T 卵収容器
T1 卵座
1 種卵検査装置
4 位置決め部
5 検査部
9 照射部
10 キャップ部
11 受光部
12 支持部
13 保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13